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審判番号(事件番号) データベース 権利
判定200060165 審決 特許
判定200260110 審決 特許
判定200560030 審決 特許
判定200360077 審決 特許
判定200260108 審決 特許

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審決分類 審判 判定 同一 属する(申立て成立) B26F
管理番号 1024920
判定請求番号 判定2000-60075  
総通号数 15 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1995-03-14 
種別 判定 
判定請求日 2000-05-24 
確定日 2000-09-27 
事件の表示 上記当事者間の特許第3054517号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「ダンボール打抜装置に用いるクッション材」は、特許第3054517号発明の技術的範囲に属する。 
理由 【1】請求の趣旨
本件判定の請求の趣旨は、イ号図面及びその説明書に記載されたダンボール打抜装置に用いるクッション材(以下、「イ号物件」という。)が特許第3054517号発明の技術的範囲に属する、との判定を求めるものである。
【2】本件特許発明
本件特許に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものであって、その請求項1に係る発明を構成要件に分説すると、次のとおりである。
A.固定された下抜型に対して上抜型を昇降させて、下抜型の基板上面に載置したダンボールを、上抜型の基板下面より突設したダンボール打抜用の突起で、上記ダンボールに予め形成されている打抜ラインに沿って打抜屑を打ち落とすダンボール打抜装置に用いるクッション材であって、
B.上記上抜型の基板下面で上記ダンボール打抜用の突起に囲まれた内部位置に間隔をあけて部分的に固定される所要高さを有する厚肉の第1弾性材と、
C.該第1弾性材の下端面の全面に貼着されると共に上記第1弾性材より硬く且つ第1弾性材よりも薄いシート状の第2弾性材とからなり、
D.上記上抜型の基板から突設したダンボール打抜用の突起と同一方向に突出させて上記第2弾性材が打抜時にダンボールの上面に圧接するように配置されることを特徴とするダンボール打抜装置に用いるクッション材。
なお、本件特許は、請求項1ないし3に係る3つの発明を包含するが、請求項2及び3に係る発明は、請求項1に従属する発明であるから、請求項1に係る発明を本件特許発明として、本件請求について判断する。以下、本件特許の請求項1に係る発明を本件特許発明という。
【3】イ号物件
これに対し、イ号物件は、イ号図面及びその説明書からみて、これを分説すると次のとおりである。
a.固定された上抜型に対して下抜型を昇降させて、下抜型の基板上面に載置したダンボールを、上抜型の基板下面より突設したダンボール打抜用の突起で、上記ダンボールに予め形成されている打抜ラインに沿って打抜屑を打ち落とすダンボール打抜装置に用いるクッション材であって、
b.上記上抜型の基板下面で上記ダンボール打抜用の突起に囲まれた内部位置に間隔をあけて部分的に固定される突起よりも低い高さを有する厚肉のスポンジと、
c.該スポンジの下端面の全面に貼着されると共にスポンジよりも薄いシート状の皮革とからなり、
d.上記打抜型の基板から突設したダンボール打抜用の突起と同一方向に突出させて上記皮革が打抜時にダンボールの上面に圧接するように配置されることを特徴とするダンボール打抜装置に用いるクッション材。
【4】対比、判断
1.本件特許発明の構成要件とイ号物件とを対比すると、
(1)イ号物件の構成aは、固定された上抜型に対して下抜型を昇降させたダンボール打抜装置であるのに対して、本件特許発明の構成要件Aは固定された下抜型に対して上抜型を昇降させたダンボール打抜装置である点で、両者は相違している。
したがって、イ号物件の構成aは、文言上本件特許発明の構成要件Aを充足しない。
なお、上記の点について請求人は実質的な差異はないとしているが、両者は、構成上明らかに相違しており、この相違が実質的な差異ではないとする根拠はない。
(2)イ号物件の構成bにおけるスポンジは弾性部材であり、また、該スポンジが突起よりも低いある高さを有していることから所要の高さを有するといえるので、イ号物件の構成bは、本件特許発明の構成要件Bを充足する。
(3)イ号図面及びその説明書からは、皮革とスポンジとの相対的な硬度は不明であるが、一般的に皮革は、材質として弾性があり、またスポンジより硬さが硬いものであるので、イ号物件の構成cは、本件特許発明の構成要件Cを充足する。
(4)イ号物件の構成dは、本件特許発明の構成要件Dを充足することは、明らかである。
したがって、イ号物件は、構成要件Aにおいて相違するので、本件特許発明を文言通りに解した場合には、イ号物件は、本件特許発明の特許請求の範囲に記載された要件のすべてを充足するということはできない。
2.次に、上記構成要件Aの相違点に係る部分が均等であるか否か検討する。
(1)発明の本質的部分について
本件特許明細書における発明の詳細な説明に記載された【従来の技術】、【発明が解決しようとする問題点】、及び【発明の効果】からみれば、本件特許発明は、固定された下抜型に対して上抜型を昇降させて、下抜型の基板上面に載置したダンボールを、上抜型の基板下面より突設したダンボール打抜用の突起で、上記ダンボールに予め形成されている打抜ラインに沿って打抜屑を打ち落とすダンボール打抜装置に用いるクッション材において、当該クッション材の構成を改良したものであって、この改良によって、「摩耗が発生しやすいダンボールとの接触面に硬質ゴムを貼着しているため、クッション材の摩耗を低減して、耐久性を向上させることができる。さらに、硬質ゴムはダンボールとの接触面にだけ貼着して、他の主要部は柔軟性があり弾性率の大きな発泡ウレタン、スポンジ等で形成しているため、ダンボールに圧接させる時に容易に圧縮して作業性が良く、かつ、ダンボールに凹凸がある場合も容易に吸収し、特に、ダンボールが腰の弱いものである場合、クッション材の押圧により変形や損傷を発生させる恐れはない。さらにまた、クッション材に貫通穴を設けた場合には、圧縮時にクッション材の中間部が横方向にズレる変形が発生することを防止でき、クッション材により所要の押圧力をダンボールに負荷することができる。よって、突起による打抜作業時にダンボールを所定位置に確実に保持することができる。」の効果を奏するものである。そうすると、本件発明の、中核をなす特徴的部分は、「上抜型の基板下面で上記ダンボール打抜用の突起に囲まれた内部位置に間隔をあけて部分的に固定される所要高さを有する厚肉の第1弾性材と、該第1弾性材の下端面の全面に貼着されると共に上記第1弾性材より硬く且つ第1弾性材よりも薄いシート状の第2弾性材とからなり、上抜型の基板から突設したダンボール打抜用の突起と同一方向に突出させて上記第2弾性材が打抜時にダンボールの上面に圧接するように配置されるダンボール打抜装置に用いるクッション材。」にあると解すべきであるから、上記相違点は、本件特許発明の本質的部分ではない。
(2)置換可能性について
本件特許発明の上型昇降・下型固定するものと、イ号物件の上型固定・下型昇降するものとは、いずれも、上下型を近接させることにより、予め形成されている打ち抜きラインに沿って打抜屑を打ち落とすものであって、イ号物件も本件発明と同一の作用効果を奏するものである。
(3)置換容易性について
一般的に、工作物と工具とを相対的に移動して加工をするものにおいて、どちらを昇降するかは、設計的事項にすぎない。したがって、イ号図面に示されたもののごとく、単に、上型、及び下型が、他の部材との関連性がなく、独立して昇降可能なようなものであれば、イ号物件製造時に本件特許発明の上型昇降・下型固定するものを、上型固定・下型昇降するものに置換する程度のことは、当業者が容易に想到できたものである。
(4)自由技術の除外について
本件特許発明の出願審査時の、拒絶理由通知において引用された、実願昭50-40157号(実開昭51-120589号)のマイクロフィルムには「木板3に植立された型刃2の内外部に復元性の大きいクッション材4、4’、敷き板5、5’が配され、クッション材4’の外端に型刃2の高さHより小厚みの枠6を木板3に固着し、クッション材4、4’の厚みが刃高さH以下とした構造を有する抜型器具。」(実用新案登録請求の範囲)が記載され、実願平61-13849号(実開平62-138020号)のマイクロフィルムには「紙器打抜用下型の構造において、硬質シートをベースフィルムに接着剤で接着すること及び接着剤層の剥離紙を貼着すること」(第1図参照)が記載され、実願昭62-172516号(実開平1-79600号)のマイクロフィルムには「打抜き刃(1)の中空内部に抜出し部材(9)が装着され、全体として突切り打抜き台が構成されている。抜出し部材(9)は、スポンジ等の弾性材(10)と、それを支持する支持体(11)からなり、」(第5頁第14〜18行)が記載され、実願昭57-15426号(実開昭58-117399号)のマイクロフィルムには「抜刃型としてトムソン刃型25を使用し、この刃型25の内外にスポンジゴム35・・・充填するとともに、更にこれらのスポンジゴム35・・・の上縁部、特に刃型を挟む両縁部にゴム片36・・・を貼着しているため、原反打抜時に打抜れた裁断物が打抜型から容易に押し出され、抜刃型内に裁断物が残存するようなことがない。」(第16頁第17行〜第17頁第5行)が記載され、及び実願昭48-112791号(実開昭50-59688号)のマイクロフィルムには「ポンチブロックの通過用の孔、取付ボルト用の孔と共に、圧縮時のたわみが得られるように複数の孔を形成したことを特徴とするポリウレタン・スプリング・プレート。」(実用新案登録請求の範囲)が記載されているが、いずれも、イ号物件の構成a及びdが記載されていない。そして、前記刊行物に記載されたクッション材が、イ号物件の構成として特定された構成aの用途に使用することが容易であるとすることもできない。
したがって、本件特許の出願時に引用された刊行物の範囲内においては、イ号物件が、本件特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者が公知技術から出願時に容易に推考できたものではない。
(5)意識的除外等の事情について
本件特許発明の「固定された下抜型に対して上抜型を昇降させて、下抜型の基板上面に載置した段ボールを、上抜型の基板下面より突設した段ボール打抜用の突起で、上記段ボールに予め形成されている打抜ラインに沿って打抜屑を打ち落とす段ボール打抜装置に用いるクッション材であって、」の用途限定は、本件特許の出願手続中、審査官からの拒絶理由通知に対して平成10年1月20日付け手続補正書において限定されたものである。
ところで、当該手続補正書と同日付けで提出された意見書には、「引例1(実願昭50-40157号(実開昭51-120589号)のマイクロフィルム)は、発泡体を通常のプレスを用いて切断する装置を対象としております。まず、この対象の点において、引例1は通常のプレス切断装置であるのに対して、本発明は予め切り目が入れられた打抜ラインに沿って打抜屑を打ち落とす(落丁する)もので、かつ、引例1は発泡体を切断しているのに対して、本発明はダンボールを落丁しており、対象から相違します。・・・(本発明では、)このようにクッション材でダンボールを圧接することにより、下抜型の基板との間でダンボールを挟持し、打抜屑の落丁時にダンボールを移動不可に支持する機能を持たせています。これに対して、・・・引例のクッション材4およびその上面の敷板5は、切断される発泡体8を型刃2より上面に支持するために支持材であり、本発明のクッション材と機能が相違します。」と記載されているところ、この意見書の主張は、本件発明のクッション材が「段ボールに予め形成されている打抜ラインに沿って打抜屑を打ち落とす段ボール打抜装置」に用いられる点で拒絶理由に引用された刊行物との相違を主張するものであって、「固定された下抜型に対して上抜型を昇降させ」る構成の故をもって進歩性の主張をするものとは認められない。また、前記拒絶理由に引用された実願昭50-40157号(実開昭51-120589号)のマイクロフィルムにも、本件特許発明と同様に下型が固定されて上型が昇降する合成樹脂発泡体の抜型器具が記載されている。
そうすると、「固定された下抜型に対して上抜型を昇降させて」の特定は、特許取得のために、前記拒絶理由に引用された刊行物に記載された発明と異なる構成を限定し、刊行物に記載された発明に対して新規性進歩性を主張するために特定されたものというよりは、「段ボールに予め形成されている打抜ラインに沿って打抜屑を打ち落とす段ボール打抜装置」を用途として限定するに際し、その表現を整えるために記載されたものと解すべきであるから、この特定が、拒絶理由に対応する手続補正によって特定されたものであるからといって、これを均等の成立を妨げるような特段の事情ということはできない。
したがって、イ号物件は、本件特許発明と均等なものとして、本件特許発明の技術的範囲に属すると解するのが相当である。
【5】結び
以上のとおりであるので、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属するものと認められる。
よって、結論のとおり判定する
 
別掲
 
判定日 2000-09-06 
出願番号 特願平5-219781
審決分類 P 1 2・ 1- YA (B26F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大河原 裕  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 鈴木 孝幸
播 博
登録日 2000-04-07 
登録番号 特許第3054517号(P3054517)
発明の名称 ダンボール打抜装置に用いるクッション材  
代理人 大和田 和美  
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