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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1027906
異議申立番号 異議2000-71152  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-12-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-03-17 
確定日 2000-10-20 
異議申立件数
事件の表示 特許第2951815号「情報処理装置」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2951815号の特許を取り消す。 
理由 1.本件特許第2951815号の請求項1に係る発明(平成5年5月20日出願、平成11年7月9日設定登録。)は、特許査定時の明細書および図面の記載からみて、その請求項1に記載されたとおりの下記のものである。
「他の情報機器から送信された画像データを受信する受信手段と、受信した該画像データを記憶する記憶手段と、更に記憶した該画像データを出力する出力手段とを具備する情報処理装置において、受信中に相手情報機器からのデータ送信が所定の時間途絶えた場合に、受信状態を解除する受信解除手段と、前記受信解除に応答して受信解除が行われるまでに受信し記憶した受信済の画像データを出力するよう出力手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする情報処理装置」。
2.これに対して、平成12年5月29日付けで意見書を提出するための期間を指定して取消理由を通知した。その取消理由の内容は以下のとおりである。
「(1)本件請求項1に係る発明は、その請求項1に記載されたとおりの構成により特定された情報処理装置(以下、「本件発明」という。)と認められる。
(2)刊行物記載発明
刊行物1 特開昭63- 70665号公報
刊行物2 特開平04-135370号公報
上記刊行物1には、
「データ送信が中断された場合には中断されたデータをメモリに記憶させてしまう。この為に不完全なデータもメモリに記憶されてメモリの容量不足を招いてしまう」との認識に基づいて、
「メモリを有効に使用すること」旨を目的・効果とし、
CPU27の制御動作として、
「データ受信が有ればステップS2において回線40をCCU30のモデムに接続する。」(第2頁右下欄12行〜同頁同欄14行)、
「データ受信が中断した場合、中断されるまでに受信したデータを不揮発性メモリ内に所定時間保持する。そして、所定時間に中断したデータの残りのデータを受信した場合には、既に記憶されているデータに加えて受信した残りのデータを不揮発性メモリに記憶し、完全なデータとした保持する。一方、所定時間内に中断したデータの残りのデータを受信しない場合には、既に記憶されているデータに途中で中断してしまったことを示す情報を付加してプリントアウトする。」(第2頁左下欄13行〜右下欄3行)、
「受信したデータはPMEM23に一時的に格納する。そしてステップS6でデータ受信が中断したかどうかを判断する。このデータ受信が中断したかどうかの判断は、一定時間以上データ無状態が続いたか、或いは送信側からの中断信号を受信したかどうかにより判断する。」(第3頁左上欄第7行〜同頁同欄第14行)、
「データ受信中にステップS6においてデータ受信が中断したと判断するとステップS12に進んでステップS10と同様に回線40を解放し、ステップS13で所定時間をカウントする為のタイマT、及ぶPMEM23のタイマT動作フラグをセットしてステップS14に進む。」(第3頁右上欄第18行〜同頁左下欄第18行)、
「タイマTがタイムアップしてもデータ受信要求が無ければステップS16に進む。ステップS16ではタイマT動作フラグをリセットし、ステップS17,S18において途中で中断してしまったデータであることを示す情報(中断した時間情報を含む)を付加して、ハードデイスク装置50に格納された中断データを読み出し、ドットデータに展開した後プリンタ70によりプリントアウトする。」(第3頁左下欄8行〜同頁同欄18行)、
「ステップS7では、1頁分のデータを受信したかの判断を(中断)行い、1頁分のデータを受信するとステップS8においてPMEM23のデータをハードディスク装置50に格納する。」(第3頁左上欄15行〜同頁同欄20行)、とする発明が記載されている。
上記刊行物2には、通信の中断があった場合にも、同一発信元からの電文をまとめて出力する」旨を目的・効果とし、
「受信途中で回線ノイズ等により通信エラーが発生し画データを正確に受信出来なくなる事態、即ち通信障害が生じた場合には、受信側から通信異常信号を送出する。送信側ではこの信号を受け取ると、未送信の画データが残っている場合であっても通信を終了させる。そして、受信側では、それまでに画メモリに記憶されていた画データを読み出し、文書の形にして出力する。」(第2頁右上欄6行〜同頁同欄13行)、
「続いて送られてきた画データBiは、通常のデータ処理過程に従って、NCU1、モデム2および通信制御部3を経て順次画メモリ4に送られ、画データ記録領域4bに記録される。」(第3頁右上欄14行〜同頁同欄17行)、
「画データBiが出力される(ステップ8)」(第3頁右下欄20行〜第4頁左上欄1)、とする発明が記載されている。
(3)対比・判断
本件発明と刊行物1記載発明とを対比するに、両者は、
(a)「受信解除に応答して」「出力手段」で「出力する」「画像データ」が、本件発明では「受信解除が行われるまでに受信し記憶した受信済の画像データ」であるのに対し、刊行物1記載発明では「受信解除が行われるまでに受信し記憶した頁単位の受信済の画像データ」である点、で相違し、その余は相違しない。
上記相違点について審究するに、、異常処理のために、
受信解除に応答して、受信解除が行われるまでに受信し記憶した受信済の画像データを出力手段で出力する発明は、上記刊行物2に示されている。
してみれば、上記相違点(a)は上記刊行物2記載発明の適用により当業者が容易に成し得たものといえる。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1に係る発明は、上記刊行物1,2記載発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。」
3.上記取消理由通知に対して、指定した期間内に特許権者からは何らの応答もない。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件特許は、特許法第113条1項2号に該当し、この取消理由によって取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-08-31 
出願番号 特願平5-118331
審決分類 P 1 651・ 121- Z (H04N)
最終処分 取消  
前審関与審査官 辻本 泰隆加内 慎也  
特許庁審判長 及川 泰嘉
特許庁審判官 江頭 信彦
菅原 道晴
登録日 1999-07-09 
登録番号 特許第2951815号(P2951815)
権利者 シャープ株式会社
発明の名称 情報処理装置  
代理人 小池 隆彌  

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