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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C10B
管理番号 1028227
異議申立番号 異議2000-70722  
総通号数 16 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-04-19 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-02-22 
確定日 2000-11-29 
異議申立件数
事件の表示 特許第2936914号「石炭調湿設備の調湿炭の水分制御方法」の請求項1,2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2936914号の請求項1,2に係る特許を維持する。 
理由 I.本件発明

特許第2936914号(平成4年9月30日出願、平成11年6月11日設定登録。)の請求項1及び2に係る発明は、それぞれ、特許請求の範囲の請求項1及び2に記載されたとおりのものである。

II.異議申立ての理由の概要

甲第1号証:住友金属工業株式会社鹿島製鉄所 IIコークス調湿炭設 備 一般取扱説明書
甲第2号証:住友金属工業株式会社鹿島製鉄所 IIコークス調湿炭設 備 DDCマイコン演算式
甲第3号証:住友金属工業株式会社鹿島製鉄所 IIコークス調湿炭設 備 計装ループ機能説明書
甲第4号証:第44回コークス部会の案内書および議事録の写し

特許異議申立人は上記甲第1-4号証を提出し、
(1)本件請求項1に係る発明と略同一の構成が甲第1号証に、また、本件請求項2に係る発明と略同一の構成が甲第2号証および甲第3号証にそれぞれ記載されている。
(2)甲第1-3号証は、いずれも、特許異議申立人が平成2年7月に導入し、平成4年2月より稼働を開始したコークス調湿炭設備についての、一般取扱説明書、DDCマイコン演算式、計装ループ機能説明書の抜粋であり、特許異議申立人が本件特許出願前より本件請求項1,2に係る発明を実施していたことは明らかである。
(3)該コークス調湿炭設備は、特許異議申立人所有の鹿島製鉄所において不特定の者に見学させており、その際に、担当技術者が内部構造や作動等を説明している。
(4)甲第4号証は、日本鉄鋼協会共同研究会の主催により、本件特許異議申立人所有の鹿島製鉄所において、本件特許権者である日本鋼管株式会社も出席して開催された、第44回コークス部会(開催日、平成4年5月21日、22日)の出席者名簿および議事録の写しであり、該議事録によれば、「住友金属工業(株)・鹿島製鉄所のNo.1コークス炉、CMC(調湿炭設備)及びNo.3高炉を見学した。」と記載されており、このCMCとは、特許異議申立人が平成2年7月に導入し、平成4年2月より稼働を開始した上記のコークス調湿炭設備を意味している。
(5)そうしてみると、甲第1-3号証に記載された発明は、「公然知られるおそれがある状況」で実施された発明であることが甲第4号証から明らかであり、すなわち、本件請求項1,2に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内において公然実施をされた発明に基いて当業者が容易に想到し得た発明であり、特許法第29条第2項の規定に該当する。
と、主張している。

III.甲第1-4号証の内容

甲第3号証は、平成3年4月23日付で株式会社安川電機製作所が作成した、住友金属工業株式会社鹿島製鉄所注文の、IIコークス調湿炭設備、計装ループ機能説明書であって、キャリアガス流量制御等、28項目に関して記載されている。
甲第4号証は、平成4年5月21日、22日に開催の、「第44回コークス部会ご案内」と「第44回 コークス部会 議事録」であって、当日の出席者名簿や、工場見学をした旨等が記載されている。

IV.対比・判断

(1)甲第4号証について
甲第4号証の、「第44回 コークス部会 議事録」、第4頁、「7.工場見学」の欄には、「住友金属工業(株)・鹿島製鉄所のNo.1コークス炉、CMC(調湿炭設備)およびNo.3高炉を見学した。」と記載されているが、この「CMC(調湿炭設備)」が、どのような設備であるのか、あるいは、甲第1-3号証に示すものと略同一であるのか否か、ということについては、甲第4号証には、何も記載されていない。
また、一般の工場見学において、例えば甲第1-3号証に記載されているような具体的仕様までもが説明されるとは、常識上考え難く、そのような説明やそれに関する質疑応答がなされたという記録もない。
そうしてみると、甲第4号証の記載からは、当該コークス部会出席者が、どのような調湿炭設備を見学し、そのときにどのような説明・質疑応答がなされたのかを、特定することはできないから、甲第4号証が本件請求項1,2に係る発明と直接関連する証拠である、とすることはできない。
(2)甲第1-3号証について
甲第1-3号証は、本件特許出願前に頒布された刊行物であるとは、認められず、また、この点については、特許異議申立人も何ら言及していない。しかも、甲第4号証との関連性も認められないから、甲第1-3号証が本件請求項1,2に係る発明と直接関連する証拠である、とすることはできない。
(3)したがって、本件請求項1,2に係る発明は本件特許の出願前に日本国内において公然実施をされた発明に基いて当業者が容易に想到し得た発明であり、特許法第29条第2項の規定に該当する、という、特許異議申立人の主張を採用することはできない。

V.むすび

以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1及び2に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおりに決定する。
 
異議決定日 2000-11-06 
出願番号 特願平4-261565
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C10B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 渡辺 陽子  
特許庁審判長 花田 吉秋
特許庁審判官 佐藤 修
西川 和子
登録日 1999-06-11 
登録番号 特許第2936914号(P2936914)
権利者 日本鋼管株式会社
発明の名称 石炭調湿設備の調湿炭の水分制御方法  
代理人 広瀬 章一  

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