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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  B32B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
管理番号 1031648
異議申立番号 異議1998-72550  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-02-05 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-05-21 
確定日 2000-09-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2691171号「繊維汚染が防止された清掃用具」の請求項1ないし請求項8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2691171号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 〔1〕手続きの経緯
本件特許第2691171号(以下「本件特許」という。)は、昭和63年7月25日の出願であって、平成9年9月5日に特許権の設定登録がされ、その後、井上恵美、日之出株式会社、本名とも子、株式会社オーノ、オーサカゴム株式会社より特許異議の申立てがされ、当審における平成12年4月13日付け取消理由通知の指定期間内である平成12年4月24日に訂正請求がされたものである。
〔2〕訂正の適否についての判断
(1)本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。
a.特許請求の範囲を以下のとおり訂正する。
a-1
請求項1の「少なくとも表面がゴム加硫物で形成された基体と、該基体に取付けられた清掃用繊維とから成る清掃用具に於いて、」を「基布の裏面がゴム加硫物で形成された基体と、該基体の基布に取付けられた清掃用繊維とから成る清掃用具に於いて、」と訂正する。
a-2
請求項4の「N-テトラ-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」を「N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
a-3
請求項4の「N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」を「N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
a-4
請求項4の「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド」を削除する。
a-5
請求項4の「N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールフエンアミド」を「N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフエンアミド」と訂正する。
a-6
請求項4を請求項3に従属させる。
a-7
請求項6の「グアニジン系加硫促進剤」を「有機加硫剤乃至加硫促進剤」と訂正する。
a-8
請求項7を削除する。
a-9
訂正前の請求項8を訂正後の請求項7とする。
b.明細書第11頁第12乃至13行に、「N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」とあるのを、「N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
c.明細書第11頁第15乃至16行に、「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルフルフェンアミド,」とあるを、削除する。
d.明細書第11頁下から第3乃至2行に、「N-テトラ-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」とあるを、「N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
e.明細書第15頁第9乃至10行に、「2,6-ジテトラブチルパラクレゾール」とあるを、「2,6-ジ-tert-ブチルパラクレゾール」と訂正する。
f.明細書第15頁第11乃至12行に、「ジチオカルドミン酸塩」とあるを、「ジチオカルバミン酸塩」と訂正する。
g.明細書第17頁第1乃至2行に、「以上にもとづいて・・・を示す。」とあるを、「以上にもとづいて表1に(1)〜(3)の試験結果を、表2に(4)の試験結果を示す。」と訂正する。
h.明細書第18頁表1及び第19頁表2を以下のとおりに訂正する。
h-1
表1及び表2を合わせて表1とする。
h-2
訂正後の表1において、Sample No5,18,19,20,22及び24が、比較例であることを明記する。
h-3
訂正前の表1のSample No6を削除する。
h-4
訂正前の表1のSample No13の行に、「N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」とあるを、「N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
h-5
訂正前の表1のSample No19の行に、「N,N’-ジエチルチオカルドモイル-2-ベンゾチアゾールスルフィド」とあるを、「N,N’-ジエチルチオカルバモイル-2-ベンゾチアゾールスルフィド」と訂正する。
h-6
訂正前の表1のSample No20の行に、「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフィド」とあるを、「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド」と訂正する。
h-7
訂正前の表1のSample No24の行に、「No,49」とあるを、「No,19」と訂正する。
h-8
訂正前の表1の右欄に、「(3)ゴムからの溶出」とあるを、「(3)アルカリ性溶液中のパイル汚染」と訂正する。
h-9
訂正前の表2のSample No34の行に、「ジベジルジチオカルボメートZn塩」とあるを、「ジベンジルジチオカルバメートZn塩」と訂正する。
h-10
訂正前の表2のSample No37の行に、「ジ-グチルジチオカルボメートNa塩」とあるを、「ジブチルジチオカルバメートNa塩」と訂正する。
i.明細書第20頁第1行に、「表3」とあるを、「表2」と訂正する。
(2)訂正事項について検討すると、上記訂正a-1は、訂正前の請求項1の「少なくとも表面がゴム加硫物で形成された基体と、該基体に取付けられた清掃用繊維とから成る清掃用具に於いて、」なる記載では、清掃用繊維がゴム加硫物側に取付けられているのか否かが不明りょうであったのでこれを明りょうにするための訂正であり、特許明細書第7頁第10行〜第8頁第6行の「基体は第1図に示すように基布1とラテックス(又はプレコート)層3と、・・・工程Bにおいて基布1の裏面(ステッチ面)に加硫剤及び加硫促進剤を含有するゴムラッテクスを塗布して加硫されたラッテクス(プレコート)層3を形成させる。工程Cにおいてプレコートマット材料とプレコート層と同種のゴムを加硫剤及び加硫促進剤を含有する未加硫ゴムシート4とを、プレコート層3とゴムシート4とが対面するように重ね合わせ、・・・基体として用いる事もできる。」なる記載に基づくものと認められる。
上記訂正事項a-2は、特許明細書の表1中の実施例Sample No12に記載されている物質、「N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」を記載すべきところ、「N-テトラ(tetra)-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正事項a-3は、「N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」を記載すべきところ、「N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と誤記した点を訂正するものと認められる。 上記訂正事項a-4は、請求項4の「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド」は、特許明細書中の表1のSample No20に対応し、CuSO4に対して黒かっ色沈殿を生ずるものであるから本件発明の実施例に相当しないものであるのに拘わらずこれを実施例と誤記した点を訂正するものであると認められる。
上記訂正事項a-5は、特許明細書第11頁第17、18行に記載されている「N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフエンアミド」と記載すべきところ、これを誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正事項a-6は、訂正前の請求項4は訂正前の請求項2を引用する形式のものであったが、訂正前の請求項2には、「チアゾール系加硫剤乃至加硫促進剤」なる構成が存在せず、一方、訂正前の請求項3には該構成が存在したことから、訂正前の請求項4は、本来訂正前の請求項3を引用すべきものを誤って、訂正前の請求項2を引用したものである。
したがって、訂正事項a-6は誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正事項a-7は、訂正前の請求項6には、「グアニジン系加硫促進剤」なる記載があるが、訂正前の請求項1には、「グアニジン系加硫促進剤」なる記載は見当たらなく、誤記したので、これを「有機加硫剤乃至加硫促進剤」と訂正するものと認められる。
上記訂正事項a-8は、訂正前の請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものと認められる。
上記訂正事項a-9は、訂正前の請求項7の削除に伴い、これと整合性を持たせるためのものであり、明りょうでない記載を釈明するものと認められる。
上記訂正事項b〜dは、上記特許請求の範囲の訂正事項aに伴い、これと整合させるためのものであるから、明りょうでない記載の釈明するものと認められる。
上記訂正事項eは、特許明細書第15頁第9、10行の「2,6-ジテトラパラクレゾール」は「2,6-ジ-tert-テトラパラクレゾール」と誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正事項fは、特許明細書第15頁第11、12行の「ジチオカルドミン酸塩」は「ジチオカルバミン酸塩」と誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正事項gは、後述するように表1と表2とを合わせたことにより、それと整合させるためのものであり、明りょうでない記載を釈明するものと認められる。
上記訂正事項h-1、h-2は、表1中に本来表2として記載されるべき比較例であるSample No5、18、19、20、22及び24が含まれていたため、これを明りょうにするために、表1と表2を合わせて表1とし、比較例を明示するためのものであり、明りょうでない記載を釈明するものと認められる。
上記訂正事項h-3は、訂正前の表1には、「ジ-オルト-トリルグアニジン」がSample No4、Sample No6として2箇所挙げられているが、Sample No6は、ジ-オルト-トリルグアニジンの特性とは異なる特性が記載されており、誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正事項h-4は、「N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」を記載すべきところ、「N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と誤記した点を訂正するものであると認められる。これは、二つのシクロヘキシル基が結合する窒素原子は同じものあるという理由による。
上記訂正事項h-5は、「N,N’-ジエチルチオカルバモイル-2-ベンゾチアゾールスルフィド」と記載すべきところを「N,N’-ジエチルチオカルドモイル-2-ベンゾチアゾールスルフィド」と誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正事項h-6は、「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド」と記載すべきところを「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフィド」と誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正事項h-7は、No,49なる表1、表2中に出てこないNoが、表1中のSample No24の物質名称として記載されていたので、明りょうでない記載を釈明するものと認められる。
上記訂正h-8は、訂正前の表1の(3)の見出しと、同表2の(3)の見出しとが、一致しておらず、明りょうでない記載を釈明するものと認められる。
上記訂正h-9は、「ジベンジルジチオカルバメートZn」と記載すべきところを、「ジベジルジチオカルボメートZn塩」と誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正h-10は、「ジブチルジチオカルバメートNa塩」と記載すべきところを、「ジ-グチルジチオカルボメートNa塩」と誤記した点を訂正するものと認められる。
上記訂正iは、表1と表2を合わせて表1としたことにより、これと整合させるために、表3を表2とするものであり、明りょうでない記載を釈明するものであると認められる。
また、上記訂正事項aないしiは、特許明細書の記載に基づくものであるから、特許明細書に記載した事項の範囲内のものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
さらに、本件訂正後の請求項1ないし請求項7に係る発明(以下「請求項1ないし請求項7に係る発明」という。)は、後述するように各特許異議申立書で示された理由によっては、特許出願の際独立して特許を受けることができないものとすることはできない。
また、他に請求項1ないし請求項7に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでないものとする理由も発見しない。
したがって、請求項1ないし請求項7に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものと認める。
(3)以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法第120条の4第2項の規定、及び同条第3項において準用する平成6年改正前の同法第126条第2、3項の規定に適合するものと認められるので、当該訂正を認める。
〔3〕特許異議申立についての判断
(1)本件発明は、本件発明は、訂正明細書の請求項1乃至7に記載された以下のとおりのものと認める。
「請求項(1)
基布の裏面がゴム加硫物で形成された基体と、該基体の基布に取付けられた清掃用繊維とから成る清掃用具に於いて、
前記ゴム加硫物は有機加硫剤乃至加硫促進剤として、非チラウム系及び非ジチオカルバミン酸塩系で、実質上キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発色しない有機加硫剤乃至加硫促進剤を含有するゴム組成物から形成されることを特徴とする繊維汚染が防止された清掃用具。
請求項(2)
前記清掃用繊維には塵埃を捕集する薬剤が塗布され、洗浄によって捕集塵埃を除去して再使用できることを特徴とする請求項1記載の清掃用具。
請求項(3)
有機加硫剤乃至加硫促進剤がチアゾール系加硫剤乃至加硫促進剤である請求項1記載の清掃用具。
請求項(4)
チアゾール系加硫剤乃至加硫促進剤が、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、メルカプトベンゾチアゾールNa塩、メルカプトベンゾチアゾールZn塩、メルカプトベンゾチアゾール、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、ジベンゾチアジルジスルフィド、2-(4-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、又はN-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドである請求項3記載の清掃用具。
請求項(5)
有機加硫剤乃至加硫促進剤がヘキサメチレンテトラミンである請求項1記載の清掃用具。
請求項(6)
有機加硫剤乃至加硫促進剤がジ-o-トリルグアニジンである請求項1記載の清掃用具。
請求項(7)
有機加硫剤乃至加硫促進剤がチオウレア類でチオカルボアニリド、N,N’-ジエチルチオウレア、2-メルカプトイミダゾリンである請求項1記載の清掃用具。」
(2)申立人井上恵美の申立て
2-1)申立人井上恵美の申立ての理由
申立人は、「本件請求項1ないし請求項4に記載された発明は本願出願前に日本国内において頒布された甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本件特許発明の特許請求の範囲の請求項1は、キレートを形成する対象となる金属を限定しておらず、本願発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではないから、特許法第36条第4項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件特許は特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消すべきものである。
さらに、当業者が容易にその発明を実施できる程度に、本願発明の目的、構成、効果が明細書または図面に記載されていないので、特許法第36条第3項および第4項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本件特許は特許を受けることができないものであり、特許法第113条第1項第4号の規定により取り消すべきものである。」旨、主張し、以下の証拠を提出している。
甲第1号証:特開昭60-224524号公報
甲第2号証:特開昭60-234633号公報
甲第3号証:特開昭60-234632号公報
甲第4号証:特開昭62-137028号公報
甲第5号証:特開昭62-137029号公報
2-2)特許法第29条第1項第3号について
甲第1号証には、カーペットの裏面に加硫裏ゴムを積層し裏打ち補強した玄関用カーペットマットにおいて、加硫促進剤としてN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフエンアミド、テトラメチルチラウムジスルフイドを用いた発明が記載されている。
しかしながら、訂正請求により請求項4からはN-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフエンアミド誤記のため削除された。
そして、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフエンアミドは、表1のSample No 20で示すようにCuSo4に対して黒かっ色の沈殿を生じ、また、テトラメチルチラウムジスルフイドは、チラウム系加硫促進剤であるので、甲第1号証には、本件請求項1に係る発明の「実質上キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発色しない有機加硫剤乃至加硫促進剤」なる構成は、記載も示唆もされていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明とすることはできない。
また、本件請求項2ないし請求項4に係る発明は、本件請求項1に係る発明をさらに限定するものであるから、同様の理由により、甲第1号証に記載された発明とすることはできない。
なお、申立人は、本件請求項1に係る発明のゴム材料をNBRに限定しても、その点は、甲第1号証ないし甲第5号証に記載されている旨主張するが、上記理由により、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明とすることはできなく、しかも、特許権者は、訂正請求によりゴム材料をNBRとする限定をしていないので、この限定をした場合についての検討をする必要はない。
2-3)特許法第36条第4項について
申立人は、本件請求項1に係る発明は、キレートを形成する対象となる金属を限定する必要がqあると主張するが、本件請求項1に係る発明は、キレートを形成する対象となる金属が、「実質上キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発色しない有機加硫剤乃至加硫促進剤」を発明の構成要件とするものであって、キレートを形成する対象となる金属を限定する必要はないから、申立人の主張は採用できない。
2-4)特許法第36条第3項および第4項について
申立人の主張する記載不備は、訂正請求により解消したものと認める。
2-5)まとめ
したがって、申立人井上恵美の主張する申立ての理由および提出した証拠方法によっては、本件請求項1ないし請求項4および請求項7に係る発明の特許を取り消すことはできない。
(3)申立人日之出株式会社の申立て
3-1)申立人日之出株式会社の申立ての理由
申立人は、「本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は取り消されるべきである。」旨、主張し、以下の証拠を提出している。
甲第1号証:特公昭63-33847号公報
3-2)特許法第29条第2項について
甲第1号証には、ゴム製の化粧用具において、化粧用具中に残留する加硫促進剤としてのメルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩を洗浄除去するか、分解して溶出除去したり、分解して、化学的に安定な状態にして、金属イオンのキレート化を防止した発明が記載されている。
本件請求項1に係る発明と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、
ア)用途について、本件請求項1に係る発明が、清掃用具であるのに対して、甲第1号証に記載された発明が、化粧用具である点、
イ)本件請求項1に係る発明が、有機加硫剤乃至加硫促進剤を含有するものであるのに対して、甲第1号証に記載されたものは、加硫促進剤を洗浄除去するか、分解して溶出除去したり、分解して、化学的に安定な状態にするものである点、
で異なる。
また、甲第1号証に記載された発明のものにおいて、本件発明の上記相違点ア)、イ)を採用することが当業者の設計的事項であるとも認められない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また、本件請求項2ないし請求項7に係る発明は、本件請求項1に係る発明をさらに限定するものであるから、同様の理由により、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
3-3)まとめ
したがって、申立人日之出株式会社の主張する申立ての理由および提出した証拠方法によっては、本件請求項1ないし請求項7に係る発明の特許を取り消すことはできない。
(4)申立人本名とも子の申立て
4-1)申立人本名とも子の申立ての理由
申立人は、「本件請求項1ないし請求項8に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易になし得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、本件特許は、同法第113条第1項第2号により取り消すべきものである。
さらに、本件特許は、特許明細書に記載不備があり、特許法第36条第3項または第4項に規定する要件を満たしていないので、同法第113条第1項第4号により取り消すべきものである。」旨、主張し、以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証:特開昭62-137028号公報
甲第2号証:特開昭62-137029号公報
甲第3号証:社団法人日本ゴム協会関西支部、「ゴム技術入門」、社団法人日本ゴム協会関西支部、昭和36年5月10日、p193-206、第2表
甲第4号証:社団法人日本ゴム協会東海支部編、「ゴム技術のABC」、社団法人日本ゴム協会東海支部、昭和48年4月1日、p60-83、272-289
4-2)特許法第29条第2項について
甲第1号証および甲第2号証には、基布と基布にタフト化されたパイル糸と基布の裏面に施されたエラストマーのバッキングとからなるダストコントロールマットにおいて、ゴムにそれ自体公知の加硫剤乃至架橋剤、加硫促進剤を配合することが記載されている。
しかしながら、甲第1号証、甲第2号証には本件請求項1に係る発明の「実質上キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発色しない有機加硫剤乃至加硫促進剤」なる構成、および繰り返し洗浄再生に際しても植設繊維の汚染を防止するという課題は、記載も示唆もされていない。
甲第3号証および甲第4号証には、ゴム用の加硫剤乃至加硫促進剤として公知の加硫剤乃至加硫促進剤が、化学的成分により分類され、化学構造式と共にリストアップされている。
しかしながら、植設繊維の汚染を防止するために、非チラウム系および非ジチオカルバミン酸塩系の特定の有機加硫剤乃至加硫促進剤を選択使用するという課題は、記載も示唆もされていない。
むしろ、甲第3号証の第204-205頁および甲第4号証の第72-73頁には、チアゾール系加硫促進剤を、本件発明で使用を排除しているチラウム系およびジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤と併用することが記載されている。
したがって、甲第1号証および甲第2号証に記載された発明に、甲第3号証および甲第4号証に記載された発明を適用する動機付けが存在しないので、甲第1号証および甲第2号証に記載された発明に、甲第3号証および甲第4号証に記載された発明を適用することが、当業者が容易になし得たものとするはできない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
また、本件請求項2ないし請求項4に係る発明は、本件請求項1に係る発明をさらに限定するものであるから、同様の理由により、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
4-3)特許法第36条第3項または第4項について
申立人の主張する記載不備は、訂正請求により解消したものと認める。
4-4)したがって、申立人本名とも子の主張する申立ての理由および証拠方法によっては、本件請求項1ないし請求項7に係る発明の特許を取り消すことはできない。
(5)申立人株式会社オーノの申立て
5-1)申立人株式会社オーノの申立ての理由
申立人は、「本件請求項1ないし請求項4、請求項8に記載の発明は、本願出願前に日本国内において頒布された甲第3号証および甲第7号証に記載された発明であり、また、本件請求項1ないし請求項4に係る発明は、本願出願前に日本国内において頒布された甲第8号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。また、本件請求項1ないし請求項4、請求項8に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証、甲第4号証、甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、本件請求項1ないし請求項4、請求項8に係る発明は、甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
さらに、本件明細書実施例のSample No2、3、5、6、8、10、18、19、20および22は、金属キレートを形成して発色、または繊維に付着して発色するので、これらの化合物によっては本件発明の所期の目的は達成されず、本件請求項1ないし請求項4、請求項6、請求項8に係る発明は産業上の利用性を有しないので、特許法第29条第1項柱書の規定により特許を受けることができない。
最後に、本件明細書の実施例には、金属キレートを形成して発色するもの、或いは繊維に付着して発色するものもあり、本願明細書によっては本件発明の技術的内容を特定して理解することはできなく、特許法第36条第3項および第4項の規定により特許を受けることはできない。」旨、主張し、以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証:特公昭47-46034号公報
甲第2号証:特公昭63-54835号公報
甲第3号証:特開昭62-30172号公報
甲第4号証:特公昭61-40792号公報
甲第5号証:特開昭61-2812号公報
甲第6号証:エマルジョン・ラテックスハンドブック編、「エマルジョン・ラテックス」、初版、株式会社大成社、昭和50年3月25日、p412-421
甲第7号証:特開昭46-41690号公報
甲第8号証:社団法人日本ゴム協会東海支部編、「ゴム技術のABC」、社団法人日本ゴム協会東海支部、昭和48年4月1日、p60-83、164-165、272-289
甲第9号証:特開昭62-289679号公報
甲第10号証:社団法人日本化学会編、「化学便覧応用編」、第3版、丸善株式会社、昭和55年3月15日、p934-939
甲第11号証:実公昭56-43103号公報
5-2)特許法第29条第1項第3号について
甲第3号証には、カーペット裏打ち用接着剤組成物に老化防止剤として2-メルカプトベンズイミダゾールを加えたことが記載されている。
甲第7号証には、タフテッドまたは織った絨毯にフォーム化ゴムラテックスのキュアリングにより形成された固体ゴムフォームの裏張りをするにあたり、ゴムフォームの加硫促進剤に酸化亜鉛、亜鉛ジブチルジチオカルボメートおよび亜鉛メルカプトベンゾチアゾールを用いたことが記載されている。
甲第11号証には、玄関マットに最適な人工芝性マットが記載されている。
しかしながら、甲第3号証および甲第7号証には、本件請求項1に係る発明の「実質上キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発色しない有機加硫剤乃至加硫促進剤」なる構成は、記載も示唆もされていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第3号証および甲第7号証に記載された発明とすることはできない。
また、甲第8号証には、ゴム用の加硫剤乃至加硫促進剤として公知の加硫剤乃至加硫促進剤が、化学的成分により分類され、化学構造式と共にリストアップされている。また、自動車用フロアーマットにチアゾール系の加硫促進剤を用いることが記載されている。
しかしながら、植設繊維の汚染を防止するために、非チラウム系および非ジチオカルバミン酸塩系の特定の有機加硫剤乃至加硫促進剤を選択使用するという課題、および、本件請求項1に係る発明の「実質上キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発色しない有機加硫剤乃至加硫促進剤」なる構成は、記載も示唆もされていない。
むしろ、甲第8号証の第72-73頁には、チアゾール系加硫促進剤を、本件発明で使用を排除しているチラウム系およびジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤と併用することが記載されている。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第8号証に記載された発明とすることはできない。
また、本件請求項2ないし請求項4に係る発明は、本件請求項1に係る発明をさらに限定するものであるから、同様の理由により、甲第3号証、甲第7号証、甲第8号証に記載された発明とすることはできない。
5-3)特許法第29条第2項について
甲第1号証には、ポリアミド系繊維材料に堅牢な染色を行うために、後処理材としてヘキサメチレンテトラアミンを用いた発明が記載されている。
甲第2号証には、染色繊維又は染色皮革の着色色素の耐光堅牢化をはかるために、染色浴中に2-メルカプトベンゾチアゾールのニッケル塩を含有させたことが記載されている。
甲第4号証には、パイル部と基布部とからなり且つ基布部がポリオレフィン系皮膜層が設けられているパイル状布帛物に関して、このポリオレフィン系皮膜に耐熱剤としてメルカプトイミダゾール系化合物を含有させる発明が記載されている。
甲第5号証には、繊維ウエツブが表面部と裏面部に積層されて構成されているニードルパンチカーペットに関して、この裏面部繊維層に耐熱剤としてメルカプトイミダゾール系化合物を含有させたことが記載されている。
甲第6号証には、ラッテクス用加硫促進剤に関して、種々の加硫促進剤が分類され記述されている。
甲第9号証には、パイル毛付きゴムマットに関し、タフテッドパイル布帛を加硫ゴムマットに圧着し、加熱加硫することが記載されている。
甲第10号証には、ゴム加硫促進剤に関し、種々の加硫促進剤が分類され記述されている。
しかしながら、甲第1号証および甲第2号証には、繊維材料の染色法において、その染色を改善するための処理剤について記載されており、本件請求項1に係る発明のゴム加硫物に加える有機加硫剤乃至加硫促進剤については記載も示唆もされていない。
なお、甲第2号証に記載された発明は、本件の出願後に公告されたものであって公知文献ではない。
また、甲第3号証および甲第4号証には、メルカプトイミダゾール化合物を耐熱剤としてゴム以外の材料に配合することが記載されており、本件請求項1に係る発明のゴム加硫物に加える有機加硫剤乃至加硫促進剤については記載も示唆もされていない。
すなわち、甲第1号証ないし甲第11号証には、本件請求項1に係る発明の「実質上キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発色しない有機加硫剤乃至加硫促進剤」なる構成、および繰り返し洗浄再生に際しても植設繊維の汚染を防止するという課題は、記載も示唆もされていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
また、本件請求項2ないし請求項4に係る発明は、本件請求項1に係る発明をさらに限定するものであるから、同様の理由により、甲第1号証ないし甲第11号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
5-4)特許法第29条第1項柱書について
申立人は、「本件明細書実施例のSample No2、3、5、6、8、10、18、19、20および22は、金属キレートを形成して発色、または繊維に付着して発色するので、これらの化合物によっては本件発明の所期の目的は達成されず、本件発明は産業上の利用性を有しない。」旨、主張する。
しかしながら、実施例のSample No 5、6、18、19、20、22は訂正により、本件発明の実施例から、比較例に訂正された。また、Sample No 2、3、8、10は、実質上金属キレート形成能を有しない点で本件発明の範囲内のものである。また、効果においても、若干発色が認められるものの、十分本件発明の作用効果を奏しているものと認められる。
したがって、本件訂正により、申立人の主張は、根拠のないものとなった。
5-5)特許法第36条第3項および第4項について
申立人の主張する記載不備は、訂正請求により解消したものと認める。
5-6)まとめ
したがって、申立人株式会社オーノの主張する申立ての理由および証拠方法によっては、本件請求項1ないし請求項7に係る発明の特許を取り消すことはできない。
(6)申立人株式会社オーサカゴム株式会社の申立て
6-1)申立人株式会社オーサカゴム株式会社の申立ての理由
申立人の申立ての理由は、「甲第5号証が開示する技術は、甲第7号証ないし甲第9号証が示すとおり、申立人が、その出願前に製造していた清掃用具(靴拭き用マット)の改善に係るものであるので、本件発明は、その特許出願前に日本国内において公然知られた発明であり、特許法第29条第1項第1号に該当し、特許を受けることはできない。
また、本件請求項1ないし請求項8に係る発明は、甲第5号証、甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることはできない。
さらに、本件特許明細書は、甲第1号証ないし甲第4号証からも明らかなように、不明りょうであるので、特許法第36条第3項および第4項の規定により、特許を受けることができない。」旨、主張し、以下の証拠方法を提出している。
甲第1号証:山本義公編、「NOC」、大内新興化学工業株式会社、昭和60年5月30日、p22
甲第2号証:社団法人日本ゴム協会編、「ゴム用語辞典」、初版、社団法人日本ゴム協会、昭和53年7月10日、p36
甲第3号証:勝本信之助編、「合成ゴム」、日本合成ゴム株式会社、昭和40年5月31日、p76-86
甲第4号証:日本合成ゴム株式会社総務部・製品技術部、「JSR HANDBOOK」、新版、日本合成ゴム株式会社、昭和52年5月、p182-205
甲第5号証:特開商62-289679号公報
甲第6号証:白石工業株式会社研究部編、「Filler Book」、改訂第7版、白石工業株式会社、昭和45年7月1日、p56-97、202-209
甲第7号証:オリックス・インテリア株式会社証明書
甲第8号証:日本ゼオン株式会社証明書
甲第9号証:株式会社サニクリーン本部のカタログ、昭和60年発行(裏面にKPR-CA-85-5、PR-S-85-11と略記)
証人:鈴木博嗣
住所:八尾市旭ヶ丘3丁目85番地
6-2)特許法第29条第1項第1号について
甲第8号証に記載された処方によると、このゴム組成物は、加硫促進剤DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、加硫促進剤D(ジフェニルグアニジン)に加えて加硫促進剤TS(テトラメチルチラウムモノスルフィド)を配合したものを用いることが記載されている。
すなわち、甲第8号証では、本件発明で使用を排除しているチラウム系加硫促進剤、テトラメチルチラウムモノスルフィドを用いている点で本件発明とは異なっている。
したがって、本件発明は、甲第7号証ないし甲第9号証や証人尋問によって立証しようとしている公知発明でないことは明らかであり、本件請求項1ないし請求項7に係る発明が本件特許出願前に日本国内において公然知られた発明とすることはできない。
6-3)特許法第29条第2項について
甲第5号証には、主に塩化ビニルかゴムでつくられ、付飾的にタフテッドパイル布帛が表面に貼り合わされた靴拭き用マットにおいて、吸塵性をよくするために鉱油系吸塵剤が付与されることが記載されている。
しかしながら、甲第5号証には本件請求項1に係る発明の「実質上キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発色しない有機加硫剤乃至加硫促進剤」なる構成、および繰り返し洗浄再生に際しても植設繊維の汚染を防止する課題は、記載も示唆もされていない。
甲第6号証には、各種ゴムの配合方法と共に、それに配合する各種の加硫剤乃至加硫促進剤として公知の加硫剤乃至加硫促進剤が、その特徴と共に記載されている。
しかしながら、植設繊維の汚染を防止するために、非チラウム系および非ジチオカルバミン酸塩系の特定の有機加硫剤乃至加硫促進剤を選択使用するという課題は、記載も示唆もされていない。
したがって、甲第5号証に記載された発明に、甲第6号証に記載された発明を適用する動機付けが存在しないので、甲第5号証に記載された発明に、甲第6号証に記載された発明を適用することが、当業者が容易になし得たものとするはできない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第5号証、甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
また、本件請求項2ないし請求項4に係る発明は、本件請求項1に係る発明をさらに限定するものであるから、同様の理由により、甲第5号証、甲第6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
6-3)特許法第36条第3項または第4項について
申立人の主張する記載不備は、訂正請求により解消したものと認める。
6-4)まとめ
したがって、申立人株式会社オーノの主張する申立ての理由および証拠方法によっては、本件請求項1ないし請求項7に係る発明の特許を取り消すことはできない。
〔4〕むすび
以上のとおりであるから、各異議申立人の主張する申立ての理由および証拠方法によっては、本件請求項1ないし請求項7に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
繊維汚染が防止された清掃用具
(57)【特許請求の範囲】
(1)基布の裏面がゴム加硫物で形成された基体と、該基体の基布に取付けられた清掃用繊維とから成る清掃用具に於いて、
前記ゴム加硫物は有機加硫剤乃至加硫促進剤として、非チウラム系及び非ジチ
オカルバミン酸塩系で、実質上金属キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発色しない有機加硫剤乃至加硫促進剤を含有するゴム組成物から形成されることを特徴とする繊維汚染が防止された清掃用具。
(2)前記清掃用繊維には塵埃を捕集する薬剤が塗布され、洗浄によって捕集塵埃を除去して再使用できることを特徴とする請求項1項記載の清掃用具。
(3)有機加硫剤乃至加硫促進剤がチアゾール系加硫剤乃至加硫促進剤である請求項1項記載の清掃用具。
(4)チアゾール系加硫剤乃至加硫促進剤が、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、メルカプトベンゾチアゾールNa塩、メルカプトベンゾチアゾールZn塩、メルカプトベンゾチアゾール、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、ジベンゾチアジルジスルフィド、2-(4-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、又はN-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドである請求項3記載の清掃用具。
(5)有機加硫剤乃至加硫促進剤がヘキサメチレンテトラミンである請求項1記載の清掃用具。
(6)有機加硫剤乃至加硫促進剤がジ-o-トリルグアニジンである請求項1記載の清掃用具。
(7)有機加硫剤乃至加硫促進剤がチオウレア類でチオカルボアニリド、N,N’-ジエチノレチオウレア、2-メルカプトイミダゾリンである請求項1記載の清掃用具。
【発明の詳細な説明】
[産業上の利用分野]
本発明は繊維汚染が防止された清掃用具に係り、特にゴム状基体に清掃用の繊維が植設された清掃用具に関する。
[従来技術]
靴拭きマットやモップはゴム状のプレート或いは円筒体に繊維が植設され、その繊維に特殊な薬品が塗布されたものである。植設繊維は薬品の塗布により床或いは靴底等の塵挨を捕集する機能を有し、靴拭きマットやモップは便利な清掃用具となっている。また、このような清掃用具はユザーが一定期間使用した後、リース業者が回収するシステムになっており、業者においては清掃用具の繊維に付着した塵埃等を洗浄除去した後、再生のために繊維に特殊薬品を塗布して再びユザーに貸し出ししている。
ところで、靴拭きマット及びモップ等の繊維が植設される基体は、可撓性のあるゴム材が使用される。これらのゴム材は加硫剤、加硫促進剤活性剤を用いて形成されるが、加硫剤、加硫促進剤は基体に要求される性能を考慮して、強伸度、非破裂性、耐油、耐熱、耐水等の基準を十分に満たすものが選定される。更に、ゴム加硫作業工程、特に加硫時間、スコーチ性ゴムラテックスでは貯蔵安定性、ポットライフ等の点で作業工程に問題のないものが選定される。
これ等の加硫条件を満たす加硫剤、加硫促進剤としては、硫黄、チウラム類、ジチオカルバミン酸塩類等が一般的であり、この加硫促進剤は基体自身の耐着色性が良いので頻用されている。
[発明が解決しようとする問題点]
しかしながら、このような従来の清掃用具では、雨水等に晒された時又は再使用のための洗濯時に基体の加硫剤、加硫促進剤等が一部溶出拡散して土砂、塵埃等の相互作用により、植設繊維を除去不能に着色汚染する不具合がある。この為、清掃用具の再使用の回数が制御され好ましくない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、植設繊維の汚染が防止され、十分な再使用ができる清掃用具を提供することを目的としている。
[問題点を解決するための手段]
本発明は前記目的を達成する為に、清掃用繊維が植設される基体は、非チウラム系及び非ジチオカルバミン酸塩系で且つ実質上金属キレート形成して発色しない有機加硫剤又は加硫促進剤を使用して形成し、該形成基体を再使用可能な清掃用具に利用したことを特徴とする。
[作用]
本発明に係る清掃用具の基体の加硫剤又は加硫促進剤に非ジチオカルバミン酸塩系及び非チウラム系のものを使用した場合、清掃用具を雨水に晒した時に或いは洗浄時に該加硫剤又は加硫促進剤は従来と同様に溶出する。しかし、鋭意研究の結果、本発明に係る加硫促進剤は土砂、塵埃等の相互作用によって繊維を着色汚染しないことが認められた。本発明に係る加硫促進剤は金属キレートを形成しない物或いは金属とキレートを形成しても該金属キレートが発色せず且つ繊維に吸着された時に発色が生じない物質である。このことから、従来の着色汚染が生じるメカニズムは、ジチオカルバミン酸等の従来の加硫剤が雨水中、或いは洗浄剤中に溶出した時に、土砂、塵埃等に含まれる金属、特にFe、Cu等とキレートを形成し、該金属キレートが発色して繊維に付着して汚染すると考察される。
また、チアゾール系、ヘキサメチレンテトラミン及びグアニジン系の加硫促進剤に於いては、本発明の目的とする繊維の汚染防止だけでなく、基本的な条件である基体の強伸度、非破裂性を付与すると共にゴム加硫作業工程を容易にしている。
[発明の好ましい態様]
以下本発明に係る繊維汚染が防止された清掃用具の好ましい態様を詳説する。
清掃用具の基体
清掃用具の基体は靴拭きマットの場合にはプレート材から成り、モップ等の場合にはプレート材に限らず、円筒材、円柱材等が使用される。また、パイル糸(繊維)は直接プレート材に植毛できるが、基布等を使用して植設される事が多い。このようなパイル系の植設には靴拭き一体化マットが例として揚げられる。
靴拭き一体化マットの場合、基体は第1図に示すように基布1とラテックス(又はプレコート)層3と、ゴムシート4とから構成され、第1図の工程Aにおいて、基布1にはパイル糸2がタフト化され且つその先端が切揃えられてマット面を形成しているマット材料を用意する。工程Bにおいて基布1の裏面(ステッチ面)に加硫剤及び加硫促進剤を含有するゴムラテックスを塗布して加硫されたラテックス(プレコート)層3を形成させる。工程Cにおいてプレコートマット材料とプレコート層と同種のゴムを加硫剤及び加硫促進剤を含有する未加硫ゴムシート4とを、プレコート層3とゴムシート4とが対面するように重ね合わせ、加熱下にプレスする。また同材料を用い同様に工程Bにおいて基布1の裏面に加硫剤、加硫促進剤を含有するゴムラテックスを塗布して加硫したもの基体として用いる事もできる。モップ等の場合も同様に基布裏面に加硫剤、加硫促進剤を含有するゴムラテックスを塗布し加硫したものを用いる。
基体に使用されるゴム材(ゴムラテックス層及びゴムシート)
ゴムラテックス層(プレコート層)、ゴムシートに使用するエラストマーとしては、ニトリルーブタジエンゴムが特に好適に使用されるが、加硫可能な他のゴム、例えばスチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、クロロプレンゴム、ポリブタジエンゴム、イソブチレン、イソブチレンゴム等を用いることもできる。
基体のゴム材に使用される加硫物
ゴムラテックス及びゴムシートには加硫物が配合され、加硫物は加硫剤と加硫促進剤活性剤とが使用される。
加硫剤としては、無機系加硫剤として、硫黄、塩化亜鉛、塩化第一鉄、塩化スズ等の金属塩や、塩化硫黄等が挙げられ、有機過酸化物の加硫剤として、ジクミルペルオキシド、アセチレンペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、エチルメチルケントペルオキシド等が挙げられ、その他にも4,4’-ジチオ-ビス-ジモノレホリン等のジチオ酸を挙げることができるが、4,4’-ジチオ-ビス-ジモルホリンは金属とキレートを形成するが、形成物は沈殿してパイル糸等に吸着されないので、パイル糸を汚染しない。また、硫黄を用いるのが普通である。
加硫促進剤としては、非チウラム系及び非ジチオカルバミン酸塩系で、金属キレート形成能力のないもの、または金属キレートを形成してもその金属キレートは発色せず、且つパイル系に付着したときに発色しないものが使用される。キレートの対象となる金属は主に土砂中に含まれるもので、例えば、Fe,Cu,Al,Si等である。しかし、Al,Siはチウラム系及びジチオカルバミン酸塩系のものに対しても形成金属キレートには発色があまりみられないので対象からはずしてよい。即ち、キレートの対象となる金属はFe,Cu等の金属キレートが発色する可能性のあるものが対象とされる。
また、本発明に使用される加硫促進剤は、清掃用具を洗浄剤液中に浸すことから、アルカリ性での金属キレートの形成機能が調べられ、これらのPH状態に於いても、前記条件を満たすものが加硫促進剤として使用される。
金属キレート形成能のないもの、または金属キレートを形成しても発色しない加硫促進剤としては、分子内にN-N配位型、N-O配位型、O-O配位型、N-S配位型、及びS=C-S配位型のないものが主に金属キレート形成能のないものであり、金属キレート形成能があっても発色しないものは、N-O配位型、O-O配位型、N-S配位型にみられる。しかし、S=C-S配位型の金属キレートには発色がみられる。具体的には、N-N配位型としてグアニジン類、N-O配位型としてチオウレア類、N-S配位型としてチアゾール類があり、加硫促進剤として使用できないS=C-S配位型にはジチオカルバミン酸塩類、チウラム類がある。
また、金属キレートが発色しない場合でも、パイル系等に吸着したとき発色を生じる加硫促進剤は使用の対象とならない。
具体的に使用される加硫促進剤としては、チアゾール系化合物(N-S配位型)があり、メルカプトベンゾチアゾール,N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド,ジベンゾチアジルジスルフィド,2-(4-モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール,又はN-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾ-ルスルフェンアミド,N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド,メルカプトベンゾチアゾールNa塩,メノレカプトベンゾチアゾールZn塩がある。
また、グアニジン系化合物も加硫促進剤として使用され、ジ-O-トリルグアニジン、ジフェニルグアニジン等がある。チアゾール化合物ヘキサメチレンテトラミン及びグアニジン化合物は、パイル糸を着色汚染しないだけでなく、ゴムの加硫促進剤として優れた機能を有する。
ゴムラテックス及びゴムシートに配合される加硫剤の量はゴム当りイオウ量として、S量に換算して0.1乃至3重量%の範囲にあるのがよく、0.5乃至2重量%の範囲にあるのが特に好ましい。また、加硫促進剤の量は、加硫剤量、加硫条件等により適当量を添加する。
ゴムラテックス及びゴムシートにはそれ自体公知の配合剤を公知の処方に従って配合することができ、例えばカーボンブラック等の充填剤、プロセスオイル等の軟化剤、老化防止剤、分散剤、可塑剤等を配合することができる。
マット材料へのゴムラテックスの塗布方法としては、ロールコーターやスプレー、ハケによる塗布等、通常の塗布方法により行うことができるが、ラテックスのゴム成分が均一に分散していることが必要である。また、ゴムラテックスは、固形分としてマット材料に25乃至300g/m2、特に30乃至200g/m2の割合いで塗布されていることが好ましく、塗布した後、ゴムラテックスが加硫の状態であるように層を形成しなければならない。
パイル糸(繊維)
パイル糸2としては、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維等の合成繊維のマルチフィラメント糸、紡績糸或いはこれらの混紡糸が使用できる他、従来の天然繊維等も使用することができる。具体的にはナイロン、アセテート、羊毛、絹、ポリエステル、アクリル(塩ビ)、ビニロン、綿、レーヨン等である。これ等の繊維の内、特に加硫促進剤の金属キレートを吸着するものは、ナイロン、アセテート、羊毛、絹であり、ポリエステル、アクリル(塩ビ)、ビニロンは若干吸着し、綿、レーヨンはほとんど吸着しない。
基布
本発明に用いる基布1としては、アセタール化ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維等の寸法安定性に優れた合成繊維の織布や不織布が使用される。尚、これ等の繊維も、加硫物による着色汚染の対象となる場合がある。
[実施例]
本発明に係る清掃用具として靴拭きマットを製造した。
製造マットの材料
(1)パイル:BCFナイロン
ステッチ8/inch ゲージ1/8
パイル高さ10mm
(2)ゴム材:NBR(アクリロニトリルブタジエン共重合体ゴム)
(100重量部)
○加硫剤:硫黄又は4,4’-ジチオービス-ジモルホリン
(0.3〜3重量部)
○加硫促進剤:アルデヒドアンモニア類、アルデヒドアミン類、
グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、
(0.2〜3重量部)
○加硫条件:約160℃、30分、10kg/cm
○その他の配合剤:ZnO(5重量部)、ステアリン酸(1.5重量部)、
SRFカーボン(40重量部)、DOP(15重量部)、
老化防止剤:2,6-ジ-tert-ブチルパラクレゾール
(1.5重量部)
尚、比較例としてゴム材の加硫促進剤にジチオカルバミン酸塩、キサントゲン酸塩類、チウラム類を使用してゴム材を作成した。
以下、製造マットに於いて、着色汚染測定試験を行った。
(1)加硫剤及び加硫促進剤の金属キレート形成能及び発色試験。
前記製造マットに添加した加硫剤及び加硫促進剤を水中に分散させ80℃で48時間放置した後、不溶分をロ過した後の水溶液をFeSO4溶液及びCuSO4溶液に添加し、キレート形成及び発色状態を調べた。
(2)水溶液中でのパイル糸汚染の測定試験。
上記、不溶分をロ過した水溶液にFe,Cuを各50ppm添加し、PHを10に調整した後パイル糸を常温、2時間浸し、パイル糸の汚染状態を測定した。
(3)アルカリ性溶液中でのパイル糸汚染の測定試験。
それぞれの加硫促進剤を含む製造マットを、Fe,Cuが50ppm含まれたアルカリ洗浄液に2時間浸し、パイル糸の汚染状態を測定した。
(4)再使用によるパイル糸の汚染度試験。
製造マットを、通行人数2000人/日の場所に3日間敷設した後、洗浄乾燥(条件:温度60℃、時間30分乾燥80℃×60min、洗剤0.5g/l)を30回くり返して変色程度を測定した。尚、この試験に於いては、実施例Sample23と比較例Sample44とについてのみ行った。
以上にもとづいて表1に(1)〜(3)の試験結果を、表2に(4)の試験結果を示す。



△E:色差計機による汚染呈色度。
グレースケール:JIS変退色用グレースケールと対比。
△Eab JISZ8722の4又は5によって測定し、標準の光D65によるX10Y10Z10を用い、JISZ8730の6,1によって求めた数値。
4,3,1条件c
4,3,2方法a
に従って行った。
[発明の効果]
以上説明したように本発明に係る繊維汚染が防止された清掃用具によれば、基体の加硫物に非チウラム系及び非ジチオカルバミン酸塩系で、実質上金属キレート形成能を有しないもの或いは金属キレート形成能を有する場合には該金属キレートが発色せず且つ繊維に付着して発光が生じないものを選択して使用するので、再使用される清掃用具の植設繊の汚染を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の除塵用一体化マットの製造工程を説明する側面図である。
1……基布、2……パイル糸、3……ラテックス層、4……ゴムシート。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
a.特許請求の範囲を以下のとおり訂正する。
a-1
請求項1の「少なくとも表面がゴム加硫物で形成された基体と、該基体に取付けられた清掃用繊維とから成る清掃用具に於いて、」を「基布の裏面がゴム加硫物で形成された基体と、該基体の基布に取付けられた清掃用繊維どから成る清掃用具に於いて、」と訂正する。
a-2
請求項4の「N-テトラーブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」を「N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
a-3
請求項4の「N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」を「N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
a-4
請求項4の「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド」を削除する。
a-5
請求項4の「N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールフエンアミド」を「N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフエンアミド」と訂正する。
a-6
請求項4を請求項3に従属させる。
a-7
請求項6の「グアニジン系加硫促進剤」を「有機加硫剤乃至加硫促進剤」と訂正する。
a-8
請求項7を削除する。
a-9
訂正前の請求項8を訂正後の請求項7とする。
b.明細書第11頁第12乃至13行に、「N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」とあるのを、「N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
c.明細書第11頁第15乃至16行に、「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルフルフェンアミド,」とあるを、削除する。
d.明細書第11頁下から第3乃至2行に、「N-テトラ-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」とあるを、「N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
e.明細書第15頁第9乃至10行に、「2,6-ジテトラブチルパラクレゾール」とあるを、「2,6-ジ-tert-ブチルパラクレゾール」と訂正する。
f.明細書第15頁第11乃至12行に、「ジチオカルドミン酸塩」とあるを、「ジチオカルバミン酸塩」と訂正する。
g.明細書第17頁第1乃至2行に、「以上にもとづいて・・・を示す。」とあるを、「以上にもとづいて表1に(1)〜(3)の試験結果を、表2に(4)の試験結果を示す。」と訂正する。
h.明細書第18頁表1及び第19頁表2を以下のとおりに訂正する。
h-1
表1及び表2を合わせて表1とする。


h-2
訂正後の表1において、Sample No5,18,19,20,22及び24が、比較例であることを明記する。
h-3
訂正前の表1のSample No6を削除する。
h-4
訂正前の表1のSample No13の行に、「N,N’-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」とあるを、「N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド」と訂正する。
h-5
訂正前の表1のSample No19の行に、「N,N’-ジエチルチオカルドモイル-2-ベンゾチアゾールスルフィド」とあるを、「N,N’-ジエチルチオカルバモイル-2-ベンゾチアゾールスルフィド」と訂正する。
h-6
訂正前の表1のSample No20の行に、「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフィド」とあるを、「N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド」と訂正する。
h-7
訂正前の表1のSample No24の行に、「No,49」とあるを、「No,19」と訂正する。
h-8
訂正前の表1の右欄に、「(3)ゴムからの溶出」とあるを、「(3)アルカリ性溶液中のパイル汚染」と訂正する。
h-9
訂正前の表2のSample No34の行に、「ジベジルジチオカルボメートZn塩」とあるを、「ジベンジルジチオカルバメートZn塩」と訂正する。
h-10
訂正前の表2のSample No37の行に、「ジーグチルジチオカルボメートNa塩」とあるを、「ジブチルジチオカルバメートNa塩」と訂正する。
i.明細書第20頁第1行に、「表3」とあるを、「表2」と訂正する。
異議決定日 2000-08-09 
出願番号 特願昭63-183658
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B32B)
P 1 651・ 534- YA (B32B)
P 1 651・ 531- YA (B32B)
最終処分 維持  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 大里 一幸
長崎 洋一
登録日 1997-09-05 
登録番号 特許第2691171号(P2691171)
権利者 株式会社ダスキン
発明の名称 繊維汚染が防止された清掃用具  
代理人 鈴木 郁男  
代理人 折寄 武士  
代理人 鈴木 郁男  
代理人 内山 正雄  
代理人 千葉 茂雄  
代理人 林 宏  

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