• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議200171906 審決 特許
異議199971254 審決 特許
異議199971260 審決 特許
無効200035269 審決 特許

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 発明同一  G03G
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G03G
管理番号 1031657
異議申立番号 異議1999-74948  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-09-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-12-28 
確定日 2000-10-19 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2913854号「画像記録装置」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2913854号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2913854号発明は、平成3年2月8日に特許出願され、平成11年4月16日にその特許の設定登録がなされ、その後、ミノルタ株式会社より特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年7月17日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否についての判断
ア.訂正事項
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載を
「【請求項1】原稿サイズに応じ、自動的に用紙を選択する機能である自動用紙選択機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あって、当該複数の用紙トレイは、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、前記判断手段の判断結果と予め設定された用紙トレイの優先順位との関連によって用紙搬送すべき用紙トレイを決定する制御手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。」と訂正する。
訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2の記載を
「【請求項2】自動的に用紙トレイを切り替える機能である自動トレイ切り替え機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、
現在使用している用紙トレイに用紙が無くなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つであって、当該用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合、所定時間後に再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替える制御手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。」と訂正する。
訂正事項c
特許明細書の段落【0005】の記載を
「【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の画像記録装置は、原稿サイズに応じ、自動的に用紙を選択する機能である自動用紙選択機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あって、当該複数の用紙トレイは、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、前記判断手段の判断結果と予め設定された用紙トレイの優先順位との関連によって用紙搬送すべき用紙トレイを決定する制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の画像記録装置は、自動的に用紙トレイを切り替える機能である自動トレイ切り替え機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、現在使用している用紙トレイに用紙が無くなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つであって、当該用紙トレイが前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合、所定時間後に再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替える制御手段とを備えることを特徴とする。」と訂正する。
訂正事項d
特許明細書の段落【0046】の記載を
「【0046】
具体的には次のようである。いま、用紙検出部63でA4Lが求められたとし、トレイ1はA4Lでリフトアップ中、トレイ2はA4L紙有り、トレイ3はA4L紙有り、トレイ4はA4Lで紙無しとし、優先順位がトレイ4,3,2,1の順に設定されているとすると、最初にステップS16の判断を行う際には旧状態の状態値は9で新状態値は2であるからステップS19で旧状態の状態値は2となされる。次のルーチンではトレイ2の状態が旧状態、即ちこの場合にはトレイ1の状態と比較される。トレイ2の状態値は1であるからステップS19によりこれが旧状態となる。次のルーチンではトレイ3の状態が旧状態、この場合トレイ2の状態と比較される。トレイ3はトレイ2と同じ状態値を有するが、共に紙有りであり、しかも新優先順、この場合トレイ3の優先順位は旧優先順、この場合トレイ2の優先順位よりも高いから(優先度値は小さい)、ステップS18からステップS19に分岐して旧状態となされる。次のルーチンではトレイ4の状態が旧状態と比較されるが、トレイ4の状態値はトレイ3の状態値より大きく、且つ紙無しであるので旧状態は変化しない。」と訂正する。
訂正事項e
特許明細書の段落【0055】の記載を
「【0055】
以上APSの場合について説明したがATSの場合については次のようである。LLM58は、図17に示すようなATS手段70を備えている。用紙選択部71は、まずATS機能を実施中か否かを判断し(ステップS51)、実施中でなければそのまま何もせずに終了するが、ATS機能を実施中であれば、現在使用しているトレイに用紙があるか否かを判断する(ステップS52)。これはトレイ情報の中から使用中のトレイの情報を参照することで判断する。」と訂正する。

イ.訂正の目的の適否及び拡張・変更の存否
訂正事項aについて、
訂正事項aのうち、「コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あって、当該複数の用紙トレイは、」と訂正する部分は、自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あることに特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
また、訂正事項aのうち、「前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、」の訂正部分は、訂正前の「前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイを選択する」を明確にしようとするものである。
さらに、訂正事項aのうち、「前記判断手段の判断結果と予め設定された用紙トレイの優先順位との関連によって用紙搬送すべき用紙トレイを決定する制御手段」の訂正部分は、「自動用紙選択機能により選択された当該用紙トレイからリフトアップ中と判断された用紙トレイを除外しない点」以降の制御手段の処理内容を特定したものであり、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
よって、前記訂正事項aは、全体としても特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
ここで、訂正事項aは、自動用紙選択機能以降に行われる処理内容を特定するものであり、例えば図12及びこれに関する説明部分である明細書の段落【0042】〜【0049】の記載に基づくものである。
したがって、この訂正は、特許法第120条の4第2項但し書き第1号及び第3号に相当するものであり、また、願書に最初に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。
訂正事項bについて、
訂正事項bは「前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合」の記載部分を「前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つであって、当該用紙トレイが前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合」と訂正するものであって、この訂正は、自動トレイ切り替え機能により選択される用紙トレイが一つであることを特定したものであり、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
ここで、この訂正は、明細書の図19及びこれに関する説明部分である段落【0057】〜【0064】の記載において、自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つである態様を当然に含んでいることに基づくものである。
したがって、この訂正は、特許法120条の4第2項但し書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮に相当するものであり、また、願書に最初に添付した明細書または図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

訂正事項c乃至eは、訂正された特許請求の範囲の記載に整合するように、明細書の記載を訂正するものであり、特許法第120条の4第2項但し書き第3号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、前記訂正はいずれも特許明細書の記載事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものではない。

ウ.独立特許要件の判断
(1) 取消理由の概要
本件特許発明に対して当審が通知した取消理由の概要は以下のとおりである。
理由1:〈特許法第36条第5項違反について〉
特許請求の範囲の記載中の用語「選択」は、発明の詳細な説明の記載中の用語「選択」または「決定」に対応するものと考えられる。そして、発明の詳細な説明中では「選択」と「決定」とは一応区別して用いられているものと認められるが、特許請求の範囲の記載中ではその区別がなされておらず、どちらの意味で用いられているのかが曖昧となっている。そのことも、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との対応関係が以下のごとく不明瞭となっていることの一つの要因となっているものと考えられる。
《請求項1》
請求項1の「コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された当該用紙トレイを選択する制御手段」は、以下のとおり発明の詳細な説明に記載された発明との対応関係が不明瞭である。
(a) 請求項1の「コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合」の記載は、選択された用紙トレイに対して更に判断処理をおこなって、リフトアップ中と判断された場合、を意味しているものとも理解されるが、明細書の発明の詳細な説明の記載では、申立書第6頁第23行〜第7頁第18行「実施例において、・・・することはない。」に述べられているように、用紙トレイの選択動作とリフトアップ中の判断動作とは並列的に行われているものと認められる。よって、請求項1の前記記載部分は、発明の詳細な説明に記載された発明との対応関係が不明瞭である。
(b) また、請求項1の「リフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された当該用紙トレイを選択する」の記載は、申立書第7頁第23行〜第8頁第12行「上に説明・・・ことである。」(なお、同第8頁第7〜8行「トレイ2がその後にリフトアップ状態になり」の記載の「その後」は、「選択された後」ではなく「トレイ1がリフトアップ状態になった後」の意味として把握される。)に記載された理由によって、発明の詳細な説明に記載された発明との対応関係が不明瞭である。
《請求項2》
請求項2の「現在使用している用紙トレイに用紙がなくなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合、所定時間後に再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替える制御手段」は、以下のとおり発明の詳細な説明に記載された発明との対応関係が不明瞭である。
(c) 請求項2の「現在使用している用紙トレイに用紙がなくなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合」の記載は、選択された用紙トレイに対して更に判断処理をおこなって、リフトアップ中と判断された場合、を意味しているものとも理解されるが、申立書第8頁第20行〜第9頁第7行「実施例に・・・わけではない。」に記載された理由によって、発明の詳細な説明の記載との対応関係が不明瞭である。
(d) 請求項2の「再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替える」の記載は、申立書第9頁第13行〜第10頁第3行「上に説明・・・あり得る。」に記載された理由によって、発明の詳細な説明に記載された実施例との対応関係が不明瞭である。
したがって、請求項1乃至2の記載は、発明の詳細な説明に記載された発明の構成に欠くことのできない事項のみを記載したものとは認められないから、請求項1乃至2に係る特許は特許法第36条第5項第1号及び第2号の規定に違反してなされたものである。

理由2:〈特許法第29条の2違反について〉
引用例:特願平2-206449号(特開平4-90564号公報参照)
本件請求項1に係る発明は、上記引用例の願書に最初に添付した明細書または図面に記載された発明と同一であるから、本件請求項1に係る特許は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。

(2) 当審の判断
これに対して、特許権者は特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載を前記訂正事項の如く訂正することを求めたものである。
よって、前記訂正事項の如くに訂正することによって、前記取消理由が解消したか否かを検討する。
A.理由1:特許法36条第5項違反について、
〈請求項1について〉
取消理由の(a) の点については、
今回の訂正で、「自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あって、当該複数の用紙トレイは、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、」と訂正することにより、自動用紙選択機能は複数の用紙トレイを選択し得るものであることを示した。そのことによって、特許請求の範囲中の「自動用紙選択機能」は、従前のタイプを指すものであり、原稿サイズに応じた用紙トレイがあればそれを選択する機能を指すものであって、選択された用紙トレイのコンディション(リフトアップ中、用紙の有無)については未チェックであることが理解される。すなわち、特許請求の範囲中の「自動用紙選択機能」は、実施例でいえば、本件特許公報の図10のステップS5(図11参照)及びステップS6の一部(図12のステップS14までの処理参照)を実現する機能に対応する。そして、前記自動用紙選択機能により選択された複数の用紙トレイが、それぞれ判断手段によりリフトアップ中か否かが判断されるものであるから、発明の詳細な説明の記載とも整合するものと認められる。
取消理由の(b) の点について、
今回の訂正で、「前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、前記判断手段の判断結果と予め設定された用紙トレイの優先順位との関連によって用紙搬送すべき用紙トレイを決定する」と訂正することによって、前記(a) の点で述べたとおり、複数の用紙トレイがリフトアップ中と判断された場合にも、当該リフトアップ中の用紙トレイを用紙搬送すべき用紙トレイを決定する候補から除外しないというものであるから、「自動用紙選択機能により選択された用紙トレイ」は用紙搬送すべき用紙トレイとして決定されたものを意味するものではないことが明確にされ、発明の詳細な説明の記載とも整合するものと認められる。

〈請求項2について〉
取消理由の(c) の点について、
今回の訂正で、「前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つであって、当該用紙トレイが、」と訂正し、選択された用紙トレイが一つである場合に限定することによって、自動トレイ切り替え機能自体は、複数の用紙トレイを選択し得るものであることを示した。そのことによって、特許請求の範囲中の「自動トレイ切り替え機能」は、従前のタイプのものであり、使用トレイの用紙が無くなれば自動的に用紙サイズの合致するトレイを選択する機能を指すものであって、選択された用紙トレイのコンディション(リフトアップ中、用紙の有無)については未チェックであることが示されたものと認められる。
すなわち、特許請求の範囲中の「自動トレイ切り替え機能」は、実施例でいえば、本件特許公報の図18のステップS52及びステップS53の一部(図19のステップ56までの処理参照)を実現する機能に対応する。
このことは、特許請求の範囲中、「……自動トレイ切り替え機能を有する画像記録装置において、」と記載するように、自動トレイ切り替え機能を有するタイプを前提としていること、【0003】の「ATSによって、ある用紙トレイが選択された場合、その用紙トレイがリフトアップ中であることがあるが、……ATSにおいて選択された用紙トレイがリフトアップ中である場合、どのように扱うのがよいかについて考慮されていない。」という記載、及び【0055】〜【0057】の「……ATS機能を実施中であれば、現在使用しているトレイに用紙があるか否かを判断する(ステップS52)。これはトレイ情報の中から使用中のトレイの情報を参照することで判断する。……用紙検出部71は、……用紙が無くなった場合にはこれまで使用していた用紙サイズをトレイ検出部72に通知する。……トレイ検出部72は、……トレイ1のトレイ情報を読み出し(ステップS55)、トレイ1に収納される用紙サイズが用紙検出部71から通知された用紙サイズと一致するか否かを判断する(ステップS56)。一致していればステップS57以下の処理が実行されるが、一致しなければステップS62からステップS55に戻って次にトレイ2のトレイ情報を読み出す。……この時点ではトレイ内の用紙の有無は判断されていない。」という記載を根拠とする。
そして、本件特許公報の図19のフローチャートによれば、ステップ56では、トレイが通知された用紙サイズと一致するトレイであるかを判断し、一致すればステップS57(トレイコンディション)以下の処理が実行されるから(【0058】参照)、自動トレイ切り替え機能が行われた後に、ステップS57(トレイコンディション)以下の処理(リフトアップ中であるか否かの処理を含む:図20ステップS66参照)が行われていることは明らかである。
従って、「現在使用している用紙トレイに用紙が無くなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つであって、当該用紙トレイが前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合」という記載は、発明の詳細な説明に記載された実施例の説明と対応しているものと認められる。
取消理由の(d) について、
自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つである態様において、当該用紙トレイがリフトアップ中と判断された場合には、制御手段は、例えば図19に示すように、再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替えるというものであるから、発明の詳細な説明に記載された実施例の説明と対応するものと認められる。

以上のとおりであるから、先の取消理由の理由1(特許法第36条第5項違反について)は前記訂正事項のごとく訂正されたことによって解消している。

B.理由2:特許法第29条の2違反について、
〈先願の記載事項〉
取消理由で提示した先願(特願平2-206449号(特開平4-90564号公報参照)の願書に最初に添付した明細書または図面(以下、「先願明細書等」という。))には以下の事項が記載されている。
(a) 先願明細書等の第1図に記載された複写機は「画像形成装置」であり、第12図(A) 及び(B) に記載された自動ペーパーセレクト処理(第10頁左下欄第9行〜第11頁左下欄第3行)は、原稿サイズに対応する給紙トレイを自動的に選択する処理である。したがって、「原稿サイズに応じ、自動的に用紙を選択する機能である自動用紙選択機能を有する画像記録装置」に相当する構成が記載されている。
(b) 第1図に示される用紙トレイ42,43とLCT給紙装置1000は、本件請求項1の構成要件の「用紙を収容する複数の用紙トレイ」に対応する。
(c) LCT給紙装置1000におけるLCT1030内のエレベータ1020の上昇は、「リフトアップ中」であり、CPU501へのエレベータ上昇信号によりリフトアップ中であることが判断される(第12頁左下欄第12行〜右下欄第3行)。これは、本件請求項1の構成要件の「前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段」に対応する。
(d) LCT1030が選択され、かつ、プリントキー721が押されたとき、エレベータ1020が給紙位置に上昇し、エレベータ上昇信号が0になったとき、複写動作が開始される(第15頁右下欄第10行〜第16頁左上欄第19行、第11図(A) のS76〜S78)。すなわち、エレベータ上昇中にその給紙トレイが選択されたとき、他の給紙トレイに切り換わることなく、その給紙トレイで作像ができる(第16頁左下欄第18行〜右下欄第4行)。このことから、「コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、用紙搬送すべき用紙トレイを決定する」に相当する構成が記載されている。
以上の記載事項から、先願明細書等には、「原稿サイズに応じ、自動的に用紙を選択する機能である自動用紙選択機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、用紙搬送すべき用紙トレイを決定する制御手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。」(以下、「先願発明」という。)が記載されているものと認められる。

〈対比・判断〉
本件訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、「訂正発明1」という。)と、先願発明とを対比すると、両者は、先願発明の前記技術的事項を備えている点で一致し、以下の点で相違する。
相違点:訂正発明1の制御手段は、(a) 自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あって、(b) 当該複数の用紙トレイは、リフトアップ中でも自動用紙選択機能にて選択された用紙トレイから除外しない、(c) 判断手段の判断結果のみならず、用紙トレイの優先順位を考慮して用紙搬送すべき用紙トレイを決定する、構成を有しているのに対し、
先願発明は、これらの構成を有していない点。
そして、先願発明は、コピー開始時に自動用紙選択機能により選択された一つの用紙トレイがリフトアップ中である場合、リフトアップが完了した条件下で当該一つの用紙トレイを用紙搬送すべき用紙トレイとして決定するものであるから、自動用紙選択機能により選択された用紙トレイと、用紙搬送すべきトレイとは常に一致するものであり、しかも、自動用紙選択機能により選択される用紙トレイが複数である態様を想定していない。
それ故、訂正発明1の前記相違点に係る構成については先願明細書等に記載も示唆もされていない。
したがって、訂正発明1が、先願明細書等に記載された発明と同一であるとすることはできない。

エ.むすび
以上のとおりであるから、前記訂正請求は、特許法第120条の4第2項第3号及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立についての判断
ア.本件発明
本件請求項1及び2に係る発明は、訂正明細書の請求項1及び2に記載されたとおりのもの(上記訂正事項a及びb参照)である。

イ.申立の理由の概要
申立人ミノルタ株式会社は、本件特許発明に対して、証拠として甲第1号証(特開平4-90564号公報)を提出し、概略以下のとおり主張している。
本件請求項1に係る発明は甲第1号証に記載された特許出願の発明と同一であるから、当該特許に係る発明は特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものである。したがって、請求項1に係る特許は同法第113条第1項第2号により取り消されるべきものである。
さらに、請求項1と請求項2に係る発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されておらず、請求項1と請求項2に係る特許は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされている。したがって、請求項1と請求項2に係る特許はいずれも同法第113条第1項第4号により取り消されるべきものである。

ウ.当審の判断
(1) 特許法第36条第5項違反について
A.申立人の主張
申立人は、記載不備の理由として以下の如く述べている。
『(請求項1)
(a) 構成要件Dには、「コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合」との記載がある。この記載の意味するところは、自動用紙選択機能により原稿サイズに応じ自動的に用紙を選択した後に、この選択した用紙トレイに対してリフトアップ中か否かを判断することである。
しかし、明細書の発明の詳細な説明にはこのような内容は記載されていない。実施例において、【0033】〜【0049】に自動用紙選択機能(APS)が記載されている。以下では禁止トレイ、優先順位などの本発明に関連しない事項を省いて説明する。図10にAPS手段(図9)のプラテンモード時のメインフローチャートが示されている。「トレイ選択ボタン42によりAPSが選択されているとき、APS手段60は図10に示す処理を10msec毎に実行する」(【0034】)。すなわち、図10のフローの処理は、非常に短い周期で繰り返し実行される。次に、S5(図11参照)で、原稿サイズと倍率とから用紙サイズが選択される(自動用紙選択機能)。続いてS6(図12参照)で、用紙サイズとトレイ情報に基いて最適なトレイを決定する。ここで、用紙サイズの一致するトレイ全てに対して、トレイの状態(紙有り状態(状態値=1)、リフトアップ中状態(状態値=2)及び紙無し状態(状態値=3))がチェックされ(【0042】、9〜15行)、最も小さい状態値がセーブされ、そのトレイとその状態が選択トレイ決定部65に通知される。選択されたトレイの状態値は、図14に示す各種表示などに用いられる。ここで、「紙有りの場合には・・・用紙を搬送すべきトレイを決定する」(【0045】、5〜7行)。(実施例では、「選択」とは、選択対象のトレイの中で最も状態値の小さいトレイを選択する意味で用いられていて、紙有りトレイの場合は「決定」の用語が用いられる。)したがって、用紙サイズの一致するトレイ全てに対してリフトアップも含む3状態を判断するが、最終的に決定されるのは用紙有り状態のトレイであり、以上の処理が、用紙有りトレイが見つかるまで10msec毎に繰り返し実行される(【0049】)。つまり、用紙有りトレイ(状態値=3)が見出されるまで、各トレイの状態検出と用紙トレイの選択が繰り返し実行されるのみである。トレイの選択の後で、リフトアップ中の判断をすることはない。
(b) 構成要件Dには、また、「リフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された当該用紙トレイを選択する」との記載がある。
しかし、明細書の発明の詳細な説明にはこのような内容は記載されていない。上に説明したように、用紙有りトレイが選択されるまで自動用紙選択機能(各トレイの状態検出と用紙の選択)を繰り返し実行する。リフトアップはトレイの選択の際に状態値として考慮されるが、リフトアップ中状態(状態値=2)のトレイが選択されたとしても、その場合は用紙有り状態(状態値=1)のトレイが無いので、その選択は最終的ではない。上述の処理が繰り返し実行されるが、その繰り返しの際に、以前にリフトアップ中状態であったことが考慮されることはない。用紙トレイの決定は、用紙有りトレイについてのみなされる。
また、この記載の意味するところは、いったん自動用紙選択機能によりトレイが選択されると、これがリフトアップ中であっても、選択されるトレイは変更されないことである。しかし、いったんトレイが選択されたからといって、これが変更される場合も有り得る。たとえば、トレイ1がリフトアップ中であり最も状態値が小さいとして選択されたとしても、トレイ2がその後にリフトアップ状態になり先にリフトアップが完了すると、トレイ2が先に紙有り状態になり、トレイ2が選択される。なお、発明の詳細な説明には、リフトアップ中とはどのような状態であるか具体的な説明がないが、用紙トレイとして異なる容量のトレイを複数備える複写機が一般に知られており、このようなものでは、各トレイ毎にリフトアップ時間が異なることは当然のことである。
(請求項2)
(a) 構成要件Dには、「現在使用している用紙トレイに用紙が無くなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合」との記載がある。この記載の意味するところは、自動トレイ切り替え機能により用紙トレイを選択した後に、この選択した用紙トレイに対してリフトアップ中か否かを判断することである。
しかし、発明の詳細な説明にはこのような内容は記載されていない。実施例において、【0055】〜【0064】に自動用紙トレイ切り替え機能(ATS)が記載されている。図18のフローにおいて、使用トレイの用紙が無くなった場合、S53で用紙トレイを切り替えて選択する処理が行われる。この処理では、上述の自動用紙選択機能(APS)での用紙選択と同様に、用紙サイズの一致するトレイ全てに対して、トレイの状態がチェックされ(紙有り状態(状態値=1)、リフトアップ中状態(状態値=2))(【0059】の5〜10行)、最も小さい状態がセーブされ、そのトレイが選択トレイ決定部73に通知される。そして、以上のATS処理が、10msec毎に、用紙有りトレイが見つかるまで繰り返して実行される(【0064】)。用紙有りトレイが選択された場合は、その用紙トレイを用いてコピー動作を継続する(図21、ステップS74)。したがって、リフトアップ中か否かの判断を含む各トレイの状態検知は、トレイの選択前に行われ、自動用紙トレイ切り替え機能により用紙トレイを選択した後に、選択した用紙トレイに対してリフトアップ中か否かを判断するわけではない。
(b) 構成要件Dには、また、「再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動用紙トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替える」との記載がある。
しかし、明細書の発明の詳細な説明にはこのような内容は記載されていない。上に説明したように、用紙有りトレイが選択されるまで自動トレイ選択機能(トレイの状態検出と用紙トレイの選択)を繰り返し実行する。リフトアップはトレイの選択の際に状態値として考慮されるが、リフトアップ中状態(状態値=2)のトレイが選択されたとしても、その場合は【0064】に記載されるようにタイマー74が起動されるのみである。用紙有り状態(状態値=1)のトレイが無いので、その選択は最終的ではない。「次のATS処理において前回選択したトレイがリフトアップを完了している場合には、当該トレイに切り替わり、コピー動作が継続される」との記載はあるが、トレイの状態検出と用紙の選択が繰り返し実行される際に、以前にリフトアップ中状態であったことが考慮されているのは、タイマー74についてだけである。用紙トレイの決定は、用紙有りトレイについてのみなされる。
また、この記載の意味するところは、いったん自動用紙トレイ切り替え機能により用紙トレイが選択されると、これがリフトアップ中であっても、選択されるトレイは変更されないことである。しかし、いったんリフトアップ中のトレイが選択されたからといって、これが変更される場合もあり得る。たとえば、トレイ1がリフトアップ中であり、最も状態値が小さいとして選択されたとしても、トレイ2がその後にリフトアップ状態になり先のリフトアップが完了すると、タイマー終了後に優先順位によりトレイ2が選択されることもあり得る。』

B.当審の判断
申立人の述べた請求項1に対する理由の(a) 、(b) 、及び請求項2に対する理由の(a) 、(b) は、それぞれ前記取消理由の理由1の請求項1に対する(a) 、(b) 、及び請求項2に対する(c) 、(d) と同じ内容である。
したがって、これに対する当審の判断は前記「2.ウ.(2) 当審の判断 A.理由1:特許法第36条第5項違反について」の項で述べたとおりである。

(2) 特許法第29条の2違反について
〈甲号証の記載事項〉
甲第1号証:取消理由で提示した引用例と同じものであって、「2.ウ.B.〈先願の記載事項〉」の項で示した技術的事項が開示されている。
〈対比・判断〉
本件請求項1に係る発明と甲第1号証に記載された発明との対比・判断は、請求項1に係る発明は前記訂正明細書に記載された請求項1に係る発明であるから、「2.ウ.(2) 当審の判断 B.理由2:特許法第29条の2違反について」の項で述べたとおりである。
したがって、本件請求項1に係る発明が、申立人の提出した甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。

オ.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1及び2に係る特許発明は、特許異議申立の理由によっては取り消すべきものとすることはできない。
また、他に本件請求項1及び2に係る特許発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像記録装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 原稿サイズに応じ、自動的に用紙を選択する機能である自動用紙選択機能を有する画像記録装置において、
用紙を収容する複数の用紙トレイと、
前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、
コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あって、当該複数の用紙トレイは、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、前記判断手段の判断結果と予め設定された用紙トレイの優先順位との関連によって用紙搬送すべき用紙トレイを決定する制御手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】 自動的に用紙トレイを切り替える機能である自動トレイ切り替え機能を有する画像記録装置において、
用紙を収容する複数の用紙トレイと、
前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、
現在使用している用紙トレイに用紙が無くなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つであって、当該用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合、所定時間後に再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替える制御手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像記録装置においては、画像を記録する用紙を収納するものとしてトレイが配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
複写機等の画像記録装置においては、自動用紙選択機能(APS)や、自動トレイ切り替え機能(ATS)を備えるものがある。APSは、原稿サイズに応じ、自動的に用紙を選択する機能であり、ATSは、現在使用しているトレイの用紙が無くなった場合に、自動的に他の用紙トレイに切り替える機能である。
ところで、APSによって、ある用紙トレイが選択された場合、その用紙トレイはリフトアップ中であることがあり、また、ATSによって、ある用紙トレイが選択された場合、その用紙トレイがリフトアップ中であることがあるが、従来においては、このようにAPSや、ATSにおいて選択された用紙トレイがリフトアップ中である場合、どのように扱うのがよいかについては考慮されていない。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するものであって、APSや、ATSにおける用紙トレイの選択に際して、用紙トレイがリフトアップ中であるか否かという用紙トレイのトレイコンディションを反映させることができる画像記録装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の画像記録装置は、原稿サイズに応じ、自動的に用紙を選択する機能である自動用紙選択機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あって、当該複数の用紙トレイは、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、前記判断手段の判断結果と予め設定された用紙トレイの優先順位との関連によって用紙搬送すべき用紙トレイを決定する制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の画像記録装置は、自動的に用紙トレイを切り替える機能である自動トレイ切り替え機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、現在使用している用紙トレイに用紙が無くなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つであって、当該用紙トレイが前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合、所定時間後に再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替える制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項1記載の発明によれば、用紙トレイがリフトアップ中と判断された場合にも自動用紙選択機能において選択される用紙とすることを可能とするので、自動用紙選択機能において選択され得る用紙トレイの範囲を拡大することができる。
【0007】
請求項2記載の発明によれば、用紙トレイがリフトアップ中と判断された場合、所定時間後に再度、用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、用紙トレイを自動トレイ切り替え機能において選択される用紙トレイとするので、自動トレイ切り替え機能において選択される用紙トレイの範囲を拡大することができ、しかも自動トレイ切り替え機能が使用されない状態を少なくすることができる。
【0008】
【実施例】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。なお、以下の実施例では画像記録装置の例として複写機を取り上げるが、本発明は複写機に限らず画像記録装置一般に適用できるものであることは当然である。
【0009】
図1は本発明に係る画像記録装置を適用した複写機の外観を示す斜視図であり、ベースマシン1に両面自動原稿送り装置(DADF)2,ソータ3が取付けられており、このベースマシン1はコンソールパネル4によって設定されたジョブに応じて付属装置を含む機構部を制御し、DADF2で送られた原稿から読み取った画像情報を基にトレイ5から供給される指定サイズの用紙に対して画像処理を施した後、排紙処理を実行すると共に、ソータ3において画像処理された用紙の仕分けを行うように構成されている。
【0010】
図2は本複写機の用紙搬送系の概略構成を示す図であり、複写機内には、感光ドラム7が配置されており、感光ドラム7の外周面には感光体8が層状に形成されている。感光ドラム7は矢印方向に回転するように駆動装置(図示せず)に連結されている。感光ドラム7の外周には、チャージコロトロン9、現像器11,12、転写コロトロン13およびクリーニング装置15が配置されている。
【0011】
感光ドラム7が矢印方向に回転するにつれて、感光体8がチャージコロトロン9によって一様に帯電された後、露光箇所16で光の照射を受け静電潜像が形成される。露光箇所16には、複写機の上面に配置されたプラテンガラス17上に載置された図示しない原稿の光像が入射されるようになっている。このために、露光ランプ19と、これによって照明された原稿面の反射光を伝達する複数のミラー20および光学レンズ21とが配置されており、このうち所定のものは原稿の読み取りのためにスキャンされるようになっている。静電潜像が形成された感光体8は、その後現像器で現像される。ここで感光体8上に形成されたトナー像は、転写コロトロン13により用紙上に転写され、ヒートロール23とプレッシャロール24の間で熱定着されて搬出される。一方、感光体8はクリーニング装置15によりクリーニングされ再使用に供される。
【0012】
一方、複写機に配置されている供給トレイ25に収容されている用紙27あるいは手差しトレイ28に沿って手差しで送り込まれる用紙27は、送りロール29あるいは31によって送り出され、搬送ロール32に案内されて感光ドラム7と転写コロトロン13の間を通過する。このとき、トナー像が用紙27上に転写される。転写後の用紙27はヒートロール23およびプレッシャロール24の間を通過して熱定着される。そして、搬送ロール32の間を通過して搬出トレイであるソータ3に搬出される。
【0013】
なお、中間トレイ33は両面または多重コピーするときに用いられるものである。
【0014】
図3は電気系のハードウェア構成を示す図である。ユーザインタフェース(UI)50はコンパネ4にあるボタンの操作による設定/入力されたデータ処理を実行し、本機システムを管理するMAINPWBA(以下、MAIN系と称す)に入力データを送ると共に、ユーザヘの表示を行う。
【0015】
DADFコントローラ51は、原稿の両面から画情報を読み取るために、この読み取りタイミングに合わせて原稿をプラテンガラス上に搬送するための制御を行う。
【0016】
光学的読取り装置(OPT)コントローラ52は、プラテンガラス上に搬送された原稿からユーザが指定した画情報の光学的な読取り制御を行う。即ち、DADFは原稿の一方の面がプラテンガラスに向き合うような状態でこれを搬送する。そしてOPTが動作して1回目の露光を行う。次いで、DADFは露光終了後の原稿を装置内にあるトレイに戻す際にその表裏を逆転させる。これによりこの原稿が再度送り出された場合には先の露光面と逆の面が露光されるように原稿送り機構部および光学系の制御を行う。ベースマシンでは両面コピーの指令により用紙の搬送制御および両面トレイの駆動制御が行われる。
【0017】
帯電除去装置(ISIL)コントローラ53は、原稿の画情報から不要な部分を消し込む処理,原稿の周辺を消す枠消し処理,原稿の画情報の中からの特定情報描出などの編集処理の制御を行う。
【0018】
画像記録装置(IOT)コントローラ54は、原稿から読み取られた画情報を基に画像処理を実行する際に、用紙搬送制御,紙づまり検知および現像プロセス制御を管理する。
【0019】
特定トレイ(DDM/TRAY[X])コントローラ55は、IOTからの両面画像処理に関する指令に基づいて片面の画像処理が既に行われている用紙を反転させて背面に画像処理を施すために、次の現像タイミングまで一時待機させるように両面トレイを制御したり、またIOTからの特別トレイ動作指令により、他のトレイとは別に取り扱われる特別トレイ[X]、例えば最下段トレイ(トレイ4)の制御を行う。これは、DDMを使用しないユーザに対して、DDMを取り外してトレイとして使用できるようにするためである。従ってDDM及びトレイ4に関する情報は特定トレイコントローラ55から通信によりIOT54に通知されることになる。
【0020】
ビンソータコントローラ56は、例えば20ビンソータをIOTからの仕分け指令により駆動し、ベースマシンから搬出される画像処理後の用紙を指定されたビンに貯えるための制御を行う。
【0021】
スティプルソータコントローラ57は、IOTからの綴じ込み仕分け指令によりビンに貯えられた用紙を丁合した後にスティプルで綴じるための制御を行う。
ライトレンズマネジャー(LLM)58は、システムの全体を統括管理しており、主に原稿の画像処理と用紙の搬送を時間的に一致させるためのシステムタイミング制御やユーザが設定するコピーモードなどのジョブ管理を行う。
【0022】
シリアルデータ通信プロセッサ(SCP)59は、UI,DADF,OPTおよびISILとのデータの送受をシリアル通信で行うと共に、LLMとの間のデータをパラレル通信によりやり取りするためのデータ処理を行う。
【0023】
特にSCPとLLMとのデータのやり取りは、SCPに内蔵されているデュアルポートRAMを通して行われる。すなわち、LLMは自分のアドレスマップ上に割り付けられたSCPのRAMをリード/ライトし、このRAMをSCPがリード/ライトすることで情報の伝達を行っている。
【0024】
上記のハードウェアは各機能ごとに独立したCPUを備え、このCPUと周辺LSIにより電気回路基板(PWBA)が構成されている。
【0025】
ここで、LLM,SCPおよびIOTはベースマシンの制御系の中枢を成すもので、各機能を分担するCPUと周辺LSIによりMAIN系を構成している。
図4はコンソールパネル(以下、コンパネと称す)を示す図であり、コンパネ4には、用紙サイズ,倍率,複写枚数などの設定/入力,スタート,ストップ,割込み,設定確認などの操作を行うためのハードキーとしてのボタンと液晶表示装置を使用したLCD画面上に表示される機能に対応して表示部分に設けられたタッチキーとしてのボタンを備えている。またコンパネ4にはハードキーを操作したときの選択や設定の状態がランプなどにより表示されている。なお、これらの機能については周知であるので必要のある場合にのみ説明することにする。
【0026】
LCD画面45は、320×200dot(1dot=0.33×0.33mm)の画素を有し、この画素により構成されるLCD画面内にタッチパネルが配置されている。このタッチパネルは、10×7tile(1tile=32×24dot)により構成されている。
【0027】
次にトレイの優先順位及び禁止トレイの設定について説明する。図5はLCD画面45に表示される初期画面の例であり、基本、応用、専門の3種類の機能が設けられている。
【0028】
基本ボタン200は、オペレータが基本コピーに必要な機能を選択するためのボタンであり、応用ボタン300は、単色カラー、とじしろ、わく消し、ページ連写、OHP合紙、応用原稿送り等の応用コピーに必要な機能を選択するためのボタンであり、専門ボタン400は、オペレータが専門コピーに必要な機能を選択するためのボタンである。
【0029】
図5の状態で専門ボタン400がタッチされると図6に示す専門画面401が表示される。専門画面401には合成410、寸法変倍420、ジョブメモリ430および仕様設定440の各機能に対応したボタンが設けられている。
【0030】
仕様設定は、従来自己診断(ダイアグノスティックス)モードで行っていたマシン状態の設定の一部をユーザに開放する機能であり、これによりユーザは本複写機のような多機能化された複写機をコピージョブに応じて所望の状態に設定することができる。
【0031】
そして図6の画面で仕様設定ボタン440をタッチすると、図7Aに示す画面に変わり、仕様設定の項目が表示され、カーソル402が第1番目の項目である「初期モード設定」の位置に置かれる。そしてこの画面においてスクロールボタン403をタッチすることにより、同図Bに示すようにカーソル402を「自動モードの優先/禁止トレイ」の項目の位置に移動させ、そこで「開く」ボタンをタッチすると同図Cに示す画面に遷移し、この画面でカーソル402を移動しながら各トレイに対してコンパネ4のテンキーで1〜4のボタンを押すことにより所望の優先順位を設定することができ、また例えばテンキーで0のボタンを押すことにより所望のトレイを禁止トレイに設定することができる。いま、トレイ1の優先順位を第1位(優先度値=1)、トレイ2の優先順位を第2位(優先度値=2)、トレイ3の優先順位を第3位(優先度値=3)とし、トレイ4に対してはテンキーで0を入力して禁止トレイを設定すると、画面表示は図8に示すようになる。
【0032】
そして、優先順位または禁止トレイの設定の後、決定ボタンがタッチされるとUI50は、SCP59を介して、決定されたトレイ状態をLLM58に通知する。これによりLLM58は最新のトレイの設定状態を不揮発性メモリ(図3には図示せず)に書き込むと共に、これらのトレイの状態を次のコピージョブの開始が指示された際に即座に反映させる。従ってトレイの優先順位あるいは禁止トレイの設定を行って仕様設定機能から抜け出ると設定されたトレイ状態は即座にAPS及びATSに反映される。
【0033】
以下、APS、ATSにおけるトレイの優先順位及び禁止トレイの取り扱いについて説明する。
まず、APSの場合について説明する。
LLM58は、図9に示すようなAPS手段60を備えている。APS手段60のプラテンモード時の動作を図10〜図14のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
倍率が設定され、且つトレイ選択ボタン42によりAPSが選択されているとき、APS手段60は図10に示す処理を10msec毎に実行する。まず、コピーモード判別部61はUI50から通知されるコピーモード情報により、設定されているコピーモードがシンプレックスまたはサイド1コピーであるか否かをチェックする(ステップS1)。これは今回行うコピーが用紙をDDMから搬送するものであるか否かを判別する処理であり、DDMに入っている用紙を搬送する場合には用紙サイズは既知であるから、この場合にはAPSを起動する必要はなく、コピーモード判別部61はコピーモードがシンプレックスまたはサイド1コピーである場合には原稿検知部62、用紙検出部63、トレイ検出部64及び選択トレイ決定/状態検出制御(以下、選択トレイ決定部と称す)65を起動するが、そうでない場合にはこれら各部を起動することなく処理を終了する。
【0035】
コピーモードがトレイから用紙を搬送する必要があるモードの場合には原稿検知部62は、原稿が検知されたか否かまたはスタートボタン40が押されたか否かを判別し(ステップS2)、原稿が検知されない場合またはスタートボタン40が押されない場合にはそのまま処理を終了する。いま例えば原稿検知がプラテンカバーが閉鎖されたとき及びプラテンカバーが開放された状態でスタートボタン40が押されたときに行われるものとすると、原稿検知部62は、プラテンスイッチの状態、スタートボタン40のボタン情報を原稿検知済み信号として取り込むことによってステップS2の処理を行う。
【0036】
この判断を行う理由は次のようである。原稿検知が行われない場合には、原稿が載置されない場合と、原稿が載置された状態が保持される場合の2通りの場合がある。前者についてはコピー処理が要求されていないのであるからAPS機能を実行させる必要がないことは明らかであり、また後者の場合には最初に原稿が載置されたときに後述するステップS3以下の処理が実行されてトレイが選択され、そのまま同じ原稿が載置されているのであるから、新たにAPS機能を実行する必要はなく、最初に行われたAPS動作で決定されたトレイがそのまま使えることになる。従って、原稿検知が行われない場合にはAPSの処理を行う必要がないのであり、それをステップS2でチェックするのである。
【0037】
原稿検知が行われた場合には原稿検知部62は原稿サイズを識別する。この処理は、例えばプラテンガラス17の下部に配置される原稿サイズセンサの出力を取り込むことによって行う。そして、いま原稿検知の下限がA5サイズであるとすると、原稿サイズがA5より小さい、または原稿が載置されていない場合にはAPS処理の対象外とし(ステップS3)、選択トレイ決定部65にその旨を通知する。これにより選択トレイ決定部65はUI50に対して「トレイを選択して下さい」等のメッセージの表示を要求する(ステップS4)。即ち、原稿が無い場合または原稿があってもそのサイズが原稿検知下限未満の場合にはAPS動作を行ってはならないので、APS機能を解除し、手動でトレイを選択することをユーザに要求するのである。
【0038】
原稿サイズがA5以上である場合には、原稿検知部62は用紙検出部63に原稿有りの情報を通知する。用紙検出部63は、原稿検知部62から通知される原稿有りの情報、原稿サイズ情報及び倍率情報を取り込んでステップS5の処理を行うことによって適合する用紙を決定する。ステップS5の処理は具体的には図11に示すように行われる。用紙検出部63は図15に示すような原稿サイズと倍率の関係で用紙サイズが定められたテーブルを備えており、まず倍率から使用するテーブルを決定する(ステップS7)。例えば倍率が100%の場合には図15の上から5段目のテーブルが決定される。なお、図15において「A4S」等の「S」はショートエッジフィード(short edge feed)を意味し、「B5L」等の「L」はロングエッジフィード(long edge feed)を意味する。
【0039】
そして、当該テーブルの最初のデータを読み出し(ステップS8)、テーブルに書き込まれている原稿サイズと、取り込んだ原稿サイズが一致するか判断し(ステップS9)、一致したら原稿全体の画像をコピーできるか否か判断する(ステップS10)。即ち、APS機能は原稿サイズと設定倍率との関係から原稿の画像全体をコピーできる丁度よい大きさの用紙を選択する機能であるが、例えばコピー可能な最大サイズがA3であるときにA3サイズの原稿で倍率が110%に設定された場合のように、原稿サイズと倍率との関係から原稿の画像全体をコピーすることができない不適合な状態に設定されることがある。ステップS10はこのような原稿サイズと倍率の関係が適合するものであるか否かを判断するための処理であり、不適合な場合は用紙検出部63は選択トレイ決定部65にその旨を通知する。これにより選択トレイ決定部65は、UI50に対して、倍率が不適であることを示す「原稿全体コピー不可」等のメッセージの表示を要求する(ステップS11)。このとき、当該メッセージの表示が用意されるだけで実際には表示されない。なぜなら、後述する処理でより優先度の高いメッセージの表示が要求された場合に短時間の内に表示されるメッセージが変化することになり、その結果表示画面にちらつきが生じて見にくい画面になるからである。なお、原稿サイズと倍率が不適合の場合にも用紙検出部63は、図15の網掛け部で示すように用紙サイズの検出は行う。
【0040】
以上のようにしてステップS5の処理が終了すると用紙検出部63は検出した用紙サイズをトレイ検出部64に通知する。トレイ検出部64は用紙サイズとトレイ情報に基づいてステップS6の処理を行い、最適なトレイを決定する。
ここで、トレイ情報はLLM58が管理しているトレイテーブル(図3には図示せず)を参照することによって得る。このトレイテーブルには、各トレイについて、当該コピー処理の直前に仕様設定で設定されたトレイの優先順位の情報、禁止トレイの情報、及びIOT54から通知された用紙サイズ、用紙の有無、リフトアップ中、リフト故障、レディ(ready)即ちリフトアップ完了等の種々のトレイ状態が書き込まれている。なお、IOT54は各トレイの状態を監視し、何等かの変化が生じると即座にLLM58に通知するようになされているので、トレイ検出部64は常に最新のトレイ情報を参照することができる。
【0041】
ステップS6の処理は具体的には図12に示すように行われる。トレイ検出部64はまずトレイの状態として該当トレイ無しの状態(状態値=9)をセーブする(ステップS12)。次に、トレイ1のトレイ情報を読み出し(ステップS13)、トレイ1に収納される用紙サイズが用紙検出部63で検出された用紙サイズと一致するか否かを判断する(ステップS14)。一致していればステップS15以下の処理が実行されるが、一致しなければステップS20からステップS13に戻ってトレイ2のトレイ情報を読み出す。以下同様である。なお、このステップS14の処理は各トレイのサイズスイッチの位置を検知することにより行い、この時点ではトレイ内の用紙の有無は判断していないものである。
【0042】
用紙サイズが一致すると、ステップS15によりトレイコンディションの処理を行う。この処理は現在当該トレイがどのような状態にあるかを識別する処理であり、具体的には図13に示すように行われる。まずステップS14で用紙サイズが一致したトレイがトレイ4の場合には通信エラーを生じているか否かを判断し(ステップS22)、通信エラーが発生している場合には通信エラー状態(状態値=8)をセーブする(ステップS32)が、当該トレイがトレイ4以外のとき及びトレイ4であって通信エラーが発生していない場合にはステップS23及びステップS25で当該トレイ中に用紙が有るか否か、当該トレイがリフトアップ中か否かを判断することによって、トレイの状態を、紙有り状態(状態値=1),リフトアップ中状態(状態値=2)及び紙無し状態(状態値=3)の3種類に分類する。
【0043】
次に、当該トレイが禁止トレイに設定されているか否かをトレイ情報により検知し(ステップS28)、禁止トレイの設定があった場合には、現在の状態値に3を加えてセーブする(ステップS29)。これによりステップS24で紙有り状態がセーブされた場合には禁止トレイで紙有り状態(状態値=4)がセーブされ、ステップS26でリフトアップ中状態がセーブされた場合には禁止トレイでリフトアップ中状態(状態値=5)がセーブされ、ステップS27で紙無し状態がセーブされた場合には禁止トレイで紙無し状態(状態値=6)がセーブされることになる。更にエレベータに故障が生じているか否かを判断し(ステップS30)、故障であればリフターフェイル状態(状態値=7)をセーブする。
【0044】
以上の処理により用紙検出部63で検出された用紙サイズと同じサイズの用紙を収納するトレイに対しては1〜9の何れかの状態値がセーブされる。
【0045】
次にトレイ検出部64は、ステップS15で求めたトレイの状態値を新状態として、旧状態の状態値と比較し(ステップS16)、旧状態の状態値より新状態の状態値が小さければ新状態を旧状態に置き換え(ステップS19)、そうでなければ紙有りの場合には(ステップS17)優先順位によって用紙を搬送すべきトレイを決定する。
【0046】
具体的には次のようである。いま、用紙検出部63でA4Lが求められたとし、トレイ1はA4Lでリフトアップ中、トレイ2はA4L紙有り、トレイ3はA4L紙有り、トレイ4はA4Lで紙無しとし、優先順位がトレイ4,3,2,1の順に設定されているとすると、最初にステップS16の判断を行う際には旧状態の状態値は9で新状態値は2であるからステップS19で旧状態の状態値は2となされる。次のルーチンではトレイ2の状態が旧状態、即ちこの場合にはトレイ1の状態と比較される。トレイ2の状態値は1であるからステップS19によりこれが旧状態となる。次のルーチンではトレイ3の状態が旧状態、この場合トレイ2の状態と比較される。トレイ3はトレイ2と同じ状態値を有するが、共に紙有りであり、しかも新優先順、この場合トレイ3の優先順位は旧優先順、この場合トレイ2の優先順位よりも高いから(優先度値は小さい)、ステップS18からステップS19に分岐して旧状態となされる。次のルーチンではトレイ4の状態が旧状態と比較されるが、トレイ4の状態値はトレイ3の状態値より大きく、且つ紙無しであるので旧状態は変化しない。
【0047】
従ってこの場合にはステップS20が終了したときにはトレイ3が選択されることになる。
【0048】
ステップS20の処理が終了するとトレイ検出部64は選択したトレイ及びその状態を選択トレイ決定部65に通知する。選択トレイ決定部65はステップS21の処理を行うが、この処理は具体的には図14に示すようであり、トレイ検出部64から通知されたトレイ番号のLEDの点灯、及び当該トレイの状態値に応じたメッセージ表示をUI50に要求する。
【0049】
上記の動作が10msec毎に繰り返し行われる。そして、プラテンカバーが開放された状態でスタートボタン40が押された場合で、且つ決定されたトレイの状態値が1である場合には、当該トレイ番号がLLM58からIOT54に通知されて用紙がフィードされ、コピー動作が開始されるが、それ以外だったらスタートは無効となされる。なお、禁止トレイに設定されているトレイが決定された場合には、図14の旧状態=4の場合のように、当該トレイは禁止トレイである旨の表示がなされるが、それにも拘らずスタートボタン40が押された場合にはコピー処理を実行するものとする。なぜなら、この場合には特殊な用紙にコピーされてもよいというユーザの意志が確認できるからである。
【0050】
以上がプラテンモード時のAPS処理の動作であり、次にDADFモードの場合のAPS動作について説明する。DADFモード時のAPS処理は図10〜図14に示すと同様であるが、次の二つの点で異なっている。
【0051】
第1にはプラテンモードとDADFモードで原稿検知下限が異なる場合があることであり、その場合にはステップS3における判断は異なるものとなる。例えばいまDADFではA6サイズまで検知できるものとすると、ステップS3では原稿無しまたはA6未満の判断を行う。
【0052】
第2にはDADFモードにおける原稿検知はスタートボタン40が押され、コピー処理が開始された場合に行われることである。このことは決定されたトレイの状態値が1である場合にはそのままコピー処理を行うことができるが、状態値が1以外の場合にはコピー動作を停止させる必要があることを意味する。従って、選択トレイ決定部65は図14の処理を行うに際して、決定されたトレイの状態値が1である場合には決定されたトレイをIOT54に通知すると共にUI50に対して「コピーしています」の表示を要求するが、それ以外の場合には決定したトレイ番号をIOT54には通知せず、コピー動作の停止を要求すると共に、UI50に対して状態値に応じたメッセージ表示を要求する。
【0053】
以上がDADFモード時のAPS処理の特徴である。
【0054】
次に、コピー動作が行われている最中のAPS処理について説明する。コピー処理が行われているときにはトレイの状態がコピーの度毎に変化する。用紙が無くなる場合もあるし、誤操作により使用しているトレイが引き抜かれる可能性も皆無ではない。また、特にDADFモードの場合にはサイズが異なる原稿、いわゆるミックス原稿が用いられる場合もある。そこで、コピー処理が行われている場合においても、図16に示すように、10msec毎に原稿サイズを判断し(ステップS41)、原稿無しまたはA5サイズ未満である場合にはコピー処理を停止させて所定のメッセージ表示の要求を行い、原稿サイズがA5以上であるときにはステップS43,S44の処理を行って最適なトレイを決定するようにする。なお、ステップS43,S44の処理は、それぞれステップS5,S6の処理と同じである。
【0055】
以上APSの場合について説明したがATSの場合については次のようである。LLM58は、図17に示すようなATS手段70を備えている。用紙選択部71は、まずATS機能を実施中か否かを判断し(ステップS51)、実施中でなければそのまま何もせずに終了するが、ATS機能を実施中であれば、現在使用しているトレイに用紙があるか否かを判断する(ステップS52)。これはトレイ情報の中から使用中のトレイの情報を参照することで判断する。
【0056】
用紙検出部71は、ステップS52の処理において用紙が有る場合にはATSを機能させる必要はないから、処理を終了するが、用紙が無くなった場合にはこれまで使用していた用紙サイズをトレイ検出部72に通知する。
【0057】
トレイ検出部72は、用紙検出部71から通知された用紙サイズとトレイ情報に基づいてステップS53の処理を行い、次に切り替えるべき最適なトレイを選択する。ステップS53の処理は具体的には図19に示すように行われる。トレイ検出部72は、まずトレイの状態として該当トレイ無しの状態(状態値=9)をセーブする(ステップS54)。次に、トレイ1のトレイ情報を読み出し(ステップS55)、トレイ1に収納される用紙サイズが用紙検出部71から通知された用紙サイズと一致するか否かを判断する(ステップS56)。一致していればステップS57以下の処理が実行されるが、一致しなければステップS62からステップS55に戻って次にトレイ2のトレイ情報を読み出す。以下同様である。このステップS56の処理は各トレイのサイズスイッチの位置を検知することにより行い、この時点ではトレイ内の用紙の有無は判断されていない。
【0058】
用紙サイズが一致すると、ステップS57によりトレイコンディションの処理を行う。この処理は現在当該トレイがどのような状態にあるかを識別する処理であり、具体的には図20に示すように行われる。まず、ステップS56で選択されたトレイが禁止トレイに設定されているか否かを判断し、禁止トレイに設定されている場合にはATSの対象外とし、ステップS62の処理を行う。これは次の理由による。即ち、禁止トレイは、特別な用紙が収納されていることによって禁止トレイとして設定されるのであるから、使用しようとしているトレイが禁止トレイに設定されていることをユーザが明確に認識し、それにも拘らず使用するというユーザの確固とした意図が確認された場合に限り使用できるようにすべきであり、ATSのようにユーザの意図とは全く無関係に選択される場合には使用できないようにすべきだからである。
【0059】
ステップS64で禁止トレイの設定がなされていない場合には、トレイ検出部72は当該トレイの用紙の有無を判断し(ステップS65)、用紙が無い場合にはATSの対象外としてステップS62の処理を行うが、用紙がある場合にはステップS66,S67で当該トレイがリフトアップ中か否か、リフトアップ中であればリフターフェイル、即ちリフト故障が生じているか否かを判断することによって、トレイの状態を、紙有り状態(状態値=1),リフトアップ中状態(状態値=2)の2種類に分類する。なお、リフト故障が生じている場合にはATSの対象外とする。
【0060】
以上の処理により用紙検出部71から通知された用紙サイズと同じサイズの用紙を実際に収納しているトレイに対してはそれぞれのトレイの状態に応じた状態値がセーブされる。
【0061】
次にトレイ検出部72は、ステップS57で求めたトレイの状態値を新状態として、旧状態の状態値と比較し(ステップS58)、旧状態の状態値より新状態の状態値が小さければ新状態を旧状態に置き換え(ステップS61)、そうでなければ紙有りの場合には(ステップS59)優先順位によって用紙を搬送すべきトレイを決定する。
【0062】
具体的には次のようである。いま、用紙検出部71から通知された用紙サイズがA4Lであるとし、理解を容易にするためにトレイ1,2の二つのトレイを考え、トレイ1はA4Lでリフトアップ中、トレイ2はA4L紙有りとし、更に優先順位がトレイ2の方がトレイ1より高い、即ち優先順値がトレイ2の方が小さいものとすると、最初にステップS14の判断を行う際には旧状態の状態値は9で新状態値は2であるからステップS17で旧状態の状態値は2となされる。次のルーチンではトレイ2の状態が旧状態、即ちこの場合にはトレイ1の状態と比較される。トレイ2の状態値は1であるからステップS17によりこれが旧状態となる。従ってこの場合にはステップS18が終了したときにはトレイ2が選択されることになる。
【0063】
ステップS62の処理が終了するとトレイ検出部72は選択したトレイ及びその状態を選択トレイ決定部/状態検出制御部(以下、選択トレイ決定部と称す)73に通知する。選択トレイ決定部73はステップS63の処理を行うが、この処理は具体的には図21に示すようであり、トレイ検出部72から通知されたトレイの状態値が9の場合(ステップS70)には同一サイズの用紙を収納しているトレイが無いから使用中のトレイのLEDの点灯、及び「紙無し」のメッセージ表示をUI50に要求し(ステップS71)、状態値が2の場合(ステップS72)には同一サイズの用紙を収納しているトレイがリフトアップ中であるから当該トレイのLEDの点灯、及び「リフトアップ中」のメッセージ表示をUI50に要求する(ステップS73)。そして、状態値が1である場合には選択トレイ決定部73は、IOT54に対してトレイ検出部72で選択したトレイを通知すると共にコピー動作の継続を指示し、且つUI50に対して切り替え後のトレイのLEDの点灯を要求する(ステップS74)。
【0064】
そして、トレイ検出部72の検出結果が状態値=2である場合、即ち選択したトレイがリフトアップ中である場合にはタイマー74が起動される。タイマー74は、トレイ検出部72からリフトアップ中の検出結果が出力されてから所定時間、例えば数100msec経過すると用紙検出部71を起動する。これによって再び上述したATS処理が行われ、次のATS処理において前回選択したトレイがリフトアップを完了している場合には、当該トレイに切り替わり、コピー動作が継続される。
【0065】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能であることは当業者に明らかであろう。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、用紙トレイがリフトアップ中と判断された場合にも自動用紙選択機能において選択される用紙とすることを可能とするので、自動用紙選択機能において選択され得る用紙トレイの範囲を拡大することができる。
請求項2記載の発明によれば、用紙トレイがリフトアップ中と判断された場合、所定時間後に再度、用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、用紙トレイを自動トレイ切り替え機能において選択される用紙トレイとするので、自動トレイ切り替え機能において選択される用紙トレイの範囲を拡大することができ、しかも自動トレイ切り替え機能が使用されない状態を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る画像記録装置を適用した複写機の外観を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す複写機の用紙搬送系の概略構成を示す図である。
【図3】 図1に示す複写機の電気系のハードウェア構成を示す図である。
【図4】 図1に示す複写機のコンソールパネルを示す図である。
【図5】 基本機能の画面の例を示す図である。
【図6】 専門機能の画面の例を示す図である。
【図7】 仕様設定機能によりトレイの優先順位、禁止トレイを設定するための画面の例を示す図である。
【図8】 トレイの優先順位及び禁止トレイの設定例を示す図である。
【図9】 APS手段の構成例を示す図である。
【図10】 APS処理の全体を示すフローチャートである。
【図11】 ステップS5の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【図12】 ステップS6の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【図13】 ステップS15の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【図14】 ステップS21の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【図15】 設定倍率と原稿サイズとから用紙サイズを求めるテーブルの例を示す図である。
【図16】 コピー処理中におけるAPS処理を示すフローチャートである。
【図17】 ATS手段の構成例を示す図である。
【図18】 ATS処理の全体を示すフローチャートである。
【図19】 ステップS53の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【図20】 ステップS57の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【図21】 ステップS63の具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
60…APS手段、61…コピーモード判別部61、62…原稿検知部、63…用紙検出部、64…トレイ検出部、65…選択トレイ決定/状態検出制御部、70…ATS手段、71…用紙検出部、72…トレイ検出部、73…選択トレイ決定/状態検出制御部、74…タイマー。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2913854号の特許明細書を本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正する。すなわち、
(1) 特許請求の範囲の請求項1の記載を
「【請求項1】原稿サイズに応じ、自動的に用紙を選択する機能である自動用紙選択機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あって、当該複数の用紙トレイは、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、前記判断手段の判断結果と予め設定された用紙トレイの優先順位との関連によって用紙搬送すべき用紙トレイを決定する制御手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。」と訂正する。
(2) 特許請求の範囲の請求項2の記載を
「【請求項2】自動的に用紙トレイを切り替える機能である自動トレイ切り替え機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、
現在使用している用紙トレイに用紙が無くなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つであって、当該用紙トレイが、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合、所定時間後に再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替える制御手段とを備えることを特徴とする画像記録装置。」と訂正する。
(3) 特許明細書の段落【0005】の記載を
「【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の画像記録装置は、原稿サイズに応じ、自動的に用紙を選択する機能である自動用紙選択機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、コピー開始時に前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイが複数あって、当該複数の用紙トレイは、前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合にも、前記自動用紙選択機能により選択された用紙トレイから除外されず、前記判断手段の判断結果と予め設定された用紙トレイの優先順位との関連によって用紙搬送すべき用紙トレイを決定する制御手段とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の画像記録装置は、自動的に用紙トレイを切り替える機能である自動トレイ切り替え機能を有する画像記録装置において、用紙を収容する複数の用紙トレイと、前記用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断する判断手段と、現在使用している用紙トレイに用紙が無くなった場合において、前記自動トレイ切り替え機能により選択された用紙トレイが一つであって、当該用紙トレイが前記判断手段によりリフトアップ中と判断された場合、所定時間後に再度当該用紙トレイがリフトアップ中か否かを判断し、当該用紙トレイがリフトアップを完了している場合に、自動トレイ切り替え機能により選択された当該用紙トレイに切り替える制御手段とを備えることを特徴とする。」と訂正する。
(4) 特許明細書の段落【0046】の記載を
「【0046】
具体的には次のようである。いま、用紙検出部63でA4Lが求められたとし、トレイ1はA4Lでリフトアップ中、トレイ2はA4L紙有り、トレイ3はA4L紙有り、トレイ4はA4Lで紙無しとし、優先順位がトレイ4,3,2,1の順に設定されているとすると、最初にステップS16の判断を行う際には旧状態の状態値は9で新状態値は2であるからステップS19で旧状態の状態値は2となされる。次のルーチンではトレイ2の状態が旧状態、即ちこの場合にはトレイ1の状態と比較される。トレイ2の状態値は1であるからステップS19によりこれが旧状態となる。次のルーチンではトレイ3の状態が旧状態、この場合トレイ2の状態と比較される。トレイ3はトレイ2と同じ状態値を有するが、共に紙有りであり、しかも新優先順、この場合トレイ3の優先順位は旧優先順、この場合トレイ2の優先順位よりも高いから(優先度値は小さい)、ステップS18からステップS19に分岐して旧状態となされる。次のルーチンではトレイ4の状態が旧状態と比較されるが、トレイ4の状態値はトレイ3の状態値より大きく、且つ紙無しであるので旧状態は変化しない。」と訂正する。
(5) 特許明細書の段落【0055】の記載を
「【0055】
以上APSの場合について説明したがATSの場合については次のようである。LLM58は、図17に示すようなATS手段70を備えている。用紙選択部71は、まずATS機能を実施中か否かを判断し(ステップS51)、実施中でなければそのまま何もせずに終了するが、ATS機能を実施中であれば、現在使用しているトレイに用紙があるか否かを判断する(ステップS52)。これはトレイ情報の中から使用中のトレイの情報を参照することで判断する。」と訂正する。
訂正事項(1)は、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項(2)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項(3)ないし(5)は、訂正事項(1)ないし(2)の訂正に伴って、発明の詳細な説明の記載が不明瞭になることの釈明を目的とするものである。
異議決定日 2000-09-25 
出願番号 特願平3-18117
審決分類 P 1 651・ 161- YA (G03G)
P 1 651・ 534- YA (G03G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 下村 輝秋  
特許庁審判長 酒井 進
特許庁審判官 水垣 親房
川上 益喜
登録日 1999-04-16 
登録番号 特許第2913854号(P2913854)
権利者 富士ゼロックス株式会社
発明の名称 画像記録装置  
代理人 成瀬 勝夫  
代理人 小泉 雅裕  
代理人 中村 智廣  
代理人 青山 葆  
代理人 河宮 治  
代理人 石野 正弘  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ