• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A01D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A01D
審判 全部申し立て 特39条先願  A01D
管理番号 1031854
異議申立番号 異議1999-74043  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-26 
確定日 2000-11-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2887671号「コンバイン」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2887671号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2887671号の請求項1及び請求項2に係る発明は、平成4年4月17日に出願された実願平4-32768号を出願変更した特願平9-278223号の一部を新たな出願とした特願平9-278224号に係り、平成11年2月19日にその発明についての特許の設定登録がされ、その後、特許異議申立人井関農機株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がされ、その指定期間内に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否について
(2-1)訂正の内容
(1)【特許請求の範囲】を、
「【請求項1】横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付け、引起ケースに内設させる受部材前面側に補助引起ケース上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース後面側を連結させたことを特徴とするコンバイン。」と訂正する。
(2)【0004】を、
「【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付け、引起ケースに内設させる受部材前面側に補助引起ケース上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース後面側を連結させたもので、補助引起ケース支持強度を引起ケース前面側に持たせる必要がないから、引起ケース前面側構造の簡略化並びに補助引起ケース支持強度の確保などを容易に行い得るものである。
(3)【0013】を、
「【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、横方向に引起タイン(23)を突出させる引起ケース(22)と、倒伏稈を起立させる補助引起タイン(26)を前方に突出させる補助引起ケース(25)を備え、補助引起ケース(25)を引起ケース(22)の前側に着脱自在に取付け、引起ケース(22)に内設させる受部材(38)前面側に補助引起ケース(25)上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース(22)裏面側に固定させる受部材(38)を前面カバー(59)の前面側に延設させ、前面カバー(59)の前面外側で受部材(38)の前面延出部に補助引起ケース(25)の駆動ケース(35)後面側を連結させたもので、補助引起ケース(25)支持強度を引起ケース(22)前面側に持たせる必要がないから、引起ケース(22)前面側構造の簡略化並びに補助引起ケース(25)支持強度の確保などを容易に行うことができるものである。」と訂正する。
(4)【符号の説明】を、
「(22)引起ケース
(23)引起タイン
(25)補助引起ケース
(26)補助引起タイン
(35)駆動ケース
(38)接続ケース(受部材)
(59)前面カバー」と訂正する。

(2-2)訂正の目的の適否
上記訂正事項(1)は、訂正前の請求項1を削除し、訂正前の請求項2を独立項とし、訂正前の請求項2の「引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面側に延設させ、受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース上端側を連結させた」構成を、下位概念である「引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース後面側を連結させた」構成にしたもので、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
上記訂正事項(2)〜(4)は、訂正後の特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び図面の簡単な説明との整合を図るための、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

(2-3)新規事項の有無及び拡張
上記訂正事項(1)〜(4)は、本件特許明細書の【0007】、【0009】、【0011】、【図1】、【図4】、【図5】に記載されており、本件特許明細書又は図面に記載した事項の範囲内であって、新規事項にではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2-4)独立特許要件
訂正明細書の請求項1に係る発明は、下記「3.特許異議申立てについて」の「(3-4)対比・判断」において述べるとおりのものであり、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。

(2-5)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
(3-1)本件発明
訂正明細書の請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりである。
「横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付け、引起ケースに内設させる受部材前面側に補助引起ケース上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース後面側を連結させたことを特徴とするコンバイン。」

(3-2)申立ての理由の概要
訂正前の請求項1に係る発明は、その出願前に頒布された甲第1号証記載の発明であるから特許法第29条第1項の規定に違反し、また、訂正前の訂正前の請求項1に係る発明と同日に出願された甲第2号証記載の発明と同一であるから特許法第39条第2項の規定に違反し、訂正前の請求項2に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反し、これらの発明は、特許を受けることができないものである。

(3-3)甲号証等の記載内容
甲第1号証(実願昭63-12729号(実開平1-116025号)のマイクロフィルム)には、
「1はコンバイン等の機体前部に装備された穀稈刈取装置、2はその穀稈引起し装置であって、該穀稈引起し装置2の左右に設けた引起しケース3内には・・・、該チェン5には所定間隔ごとに引起し爪6が回動自在に枢着されている。」(第4頁第13行〜同頁第19行)、
「14は、上記穀稈引起し装置2の前面側方に配設された穀稈の強制梳き上げ装置であって、・・・チェン16に梳き上げ爪17が所定間隔ごとに枢着されているが、該梳き上げ爪17は前記引起し爪6に直交する方向となっており、機体の前方に起立して上昇する梳き上げ爪17により、側方の未刈地から機体側に倒伏した穀稈を強制的に梳き上げるようになっている。」(第5頁第17行〜第6頁第6行)、
「そしてその伝動ケ-ス21の基端部は、前記位置規制板12に取り付けた支持部材22に前方から着脱自在に連結支持されている。22aは下部支持部材、23は開閉自在のカバーである。」(第6頁第9行〜同頁第12行)、
「また引起しケース3は、第7図〜第8図に示すように、・・・カバー体32はワンタッチでケース本体34に着脱可能となっている。」(第7頁第10行〜同頁第17行)、
「そして上記強制梳き上げ装置14は引起しケース内に設けた位置規制板12に支持させて穀稈引起し装置2に強固に取付けることができるうえ、前方から連結支持されるので・・・。しかも、強制梳き上げ装置14自体もサイドカバー13に関係なく前方から着脱できるので、点検整備作業等を能率よく行うことができる。」(第9頁第3行〜同頁第13行)が記載されている。
甲第2号証(特許第2887670号公報)は、本件発明と同一出願人により同日に出願された特許発明の特許公報であって、平成11年異議第74042号において平成12年7月4日付けで適法に訂正された訂正明細書の請求項1には、「横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付けるコンバインにおいて、引起ケースに内設させて前面カバーに対してフリーの状態に設ける受部材前面側に補助引起ケースの駆動ケース後面側を着脱自在に連結させると共に、引起ケースのケース本体に対して補助引起ケースの駆動ケースとは各別に前面カバーを取付け、引起ケースのケース本体に対して前面カバーを開放自在に取付けたことを特徴とするコンバイン。」が記載されている。
甲第3号証の1(特開昭2-238813号公報)、甲第3号証の2(特開平3-65114号公報)には、引起ケースのケース本体に対して前面カバーを開放自在に取付けたことが記載されている。
甲第4号証(実願平1-143881号(実開平3-83023号)のマイクロフィルム)には、
「第2図に示すように、・・・引起しチェーン(8)を内装した引起し装置(1)のカバーケース(13)の前面上部に、前方に向かう開口(14)を有する出力ケ-ス(15)がボルト固定され、・・・一方、強制分草装置(7)のカバーケース(17)の上部には、第2図に示すように、・・・平面視L字状の入力ケース(21)を固定設置してある。そして、・・・入力ケース(21)の後端部(21a)が出力ケ-ス(15)に内嵌されるように、入力ケース(21)の後端部(21a)及び出力ケース(15)の内周部(15a)を構成してあるとともに・・・ように構成してある。」(第7頁第4行〜第8頁第14行)が記載されている。

(3-4)対比・判断
(特許法第29条第1項について)
訂正明細書の請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)と甲第1号証記載の発明とを対比すると、甲第1号証記載の発明の「引起しケース3」、「強制梳き上げ装置14」、「カバー体32」、「支持部材22」、「伝動ケース21」が、本件発明の「引起ケース」、「補助引起ケース」、「前面カバー」、「受部材」、「補助引起ケースの駆動ケース」に相当するから、両者は、「横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付け、引起ケースに内設させる受部材前面側に補助引起ケースを着脱自在に連結させるコンバイン。」である点で一致する。
しかしながら、甲第1号証には、「伝動ケース21の基端部は、前記位置規制板12に取り付けた支持部材22に前方から着脱自在に連結支持されている。」(6頁9〜11行)ものの、第1、3、7図を参照しても、本件発明の構成要件である「引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース後面側を連結させたこと」は記載されていない点で相違する。
したがって、本件発明は、甲第1号証記載の発明ではなく、特許法第29条第1項の規定に違反して特許されたものではない。

(特許法第39条第2項について)
本件発明と、同一出願人により同日に出願された特許発明の特許公報(甲第2号証)であって平成11年異議第74042号において平成12年7月4日付けで適法に訂正された訂正明細書の請求項1に係る発明とを、対比すると、少なくとも、前者(本件発明)が「引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの後面側を連結させた」たのに対して、後者は、「引起ケースに内設させて前面カバーに対してフリーの状態に設ける受部材前面側に補助引起ケースの駆動ケース後面側を着脱自在に連結させると共に、引起ケースのケース本体に対して補助引起ケースの駆動ケースとは各別に前面カバーを取付け」点で両者は相違する。
そして、甲第3号証の1及び甲第3号証の2には、引起ケースのケース本体に対して前面カバーを開放自在に取付けたことが記載され、甲第4号証には、補助引起ケースの駆動ケース(入力ケース21)が引起ケースの前面カバー(カバーケース13)に出力ケース15を介して取り付けたことが記載されているだけであって、上記相違点はいずれにも記載されておらず、上記相違点が周知技術ということもできない。
したがって、本件発明は、上記同日に出願された発明と同一ではなく、特許法第39条第2項の規定に違反して特許されたものではない。

(特許法第29条第2項について)
本件発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、上記「(特許法第29条第1項について)」に記載したとおりの一致点及び相違点がある。
上記相違点を検討すると、甲第4号証には、補助引起ケースの駆動ケース(入力ケース21)が引起ケースの前面カバー(カバーケース13)に出力ケース15を介して取り付けたことが記載されているだけであって、本件発明の構成要件である「引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの後面側を連結させた」ことは、記載されていない。
したがって、本件発明は、甲第1号証証記載の発明及び甲第4号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものではない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
コンバイン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付け、引起ケースに内設させる受部材前面側に補助引起ケース上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース後面側を連結させたことを特徴とするコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は引起ケースにより未刈穀稈を引起して、刈刃により切断するようにしたコンバインに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、実開平3-83023号公報に示す如く、横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付ける技術がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術は、引起ケースの支持に必要な強度を持たせた引起ケース裏面側と同様に、補助引起ケースの支持に必要な強度を引起ケース前面側に持たせ、引起ケース前面外側に受部材を固定させ、該受部材に補助引起ケースを取付けるから、前記引起ケースの構造の簡略化並びに製造コストの低減などを容易に図り得ないと共に、受部材の取付け構造の簡略化並びに補助引起ケース支持強度の向上などを容易に図り得ない等の問題がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付け、引起ケースに内設させる受部材前面側に補助引起ケース上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース後面側を連結させたもので、補助引起ケース支持強度を引起ケース前面側に持たせる必要がないから、引起ケース前面側構造の簡略化並びに補助引起ケース支持強度の確保などを容易に行い得るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は引起駆動部の説明図、図2はコンバインの全体側面図、図3は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は昇降支点筒軸(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は運転操作部(19)及び運転席(20)を備える運転台、(21)は運転席(20)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0006】
また、図中(22)は前記刈取部(8)前部に立設させる引起ケースで、機体左右方向に突設させる引起タイン(23)を設けていて、分草板(24)を介して取込む未刈穀稈を前記引起タイン(23)により起立支持させるものであり、さらに、図中(25)は前記引起ケース(22)前面側に直立状に立設させる倒伏稈引起用の補助引起ケースで、機体進行方向に突設させる倒伏稈用補助引起タイン(26)を設けていて、前記引起ケース(22)の引起作用を助長させるものである。
【0007】
図4乃至図7にも示す如く、前記補助引起ケース(25)を機体前方に回動自在に支持させるもので、刈取部(8)の刈取フレーム(27)前端に脱着自在に分草アーム(28)を差込固定し、該分草アーム(28)の先端側に各ブラケット(29)(30)を介し前記分草板(24)を固定支持させると共に、分草アーム(28)の中間部に固設する回動支点軸(31)に、補助引起ケース(25)の下端側にボルト(32)(32)により締結させる枢着板(33)の切欠溝(34)を係合支持させて、前記支点軸(31)を中心として補助引起ケース(25)を機体前方に回動自在とさせるように構成している。
【0008】
また、前記補助引起ケース(25)の上端側にボルト(37)止め固定する駆動ケース(35)を、引起ケース(22)上端の駆動ケース(36)にボルト(37)止め固定する接続ケース(38)に、ネジ結合部材(39)を介して取外し自在に一体結合させるもので、前記駆動ケース(35)の入力軸(40)先端のスプライン部(40a)に圧縮バネ(41)を介し軸方向に摺動自在に接続用筒軸(42)を嵌合させると共に、引起ケース(22)の引起タイン(23)のタインチェン(43)を駆動する駆動スプロケット(44)のスプロケット軸(45)先端に、前記筒軸(42)先端の係合軸孔(46)に嵌合させる係合頭部(47)を設けて、前記接続ケース(38)にネジ結合部材(39)で駆動ケース(35)の一体結合時に、これら頭部(47)と軸孔(46)を嵌合させて補助引起ケース(25)の入力軸(40)を回転させることによって、該入力軸(40)に一対のベベルギヤ(48)・伝達軸(49)・駆動スプロケット(50)を介し連動連結する補助引起タイン(26)のタインチェン(51)の駆動を行うように構成している。
【0009】
また、前記駆動ケース(36)内に臨ませるスプロケット軸(45)端の入力スプロケット(52)は、駆動ケース(36)上端に連結接続される引起パイプ(53)の引起駆動軸(54)に伝達チェン(55)などを介し連動連結させて、各引起タイン(23)(26)の駆動を行うように構成している。
【0010】
さらに、前記ネジ結合部材(39)は、駆動ケース(35)の接続側外周に突設する鍔部(56)に軸回りに回転自在で抜出し不可能に嵌合支持され、前記接続ケース(38)の接続側に形成する外周外ネジ部(57)にネジ結合部材(39)の内ネジ部(39a)を結合させて、これらケース(35)(38)の一体接続を図る一方、これらケース(35)(38)の接続解除による補助引起ケース(25)の取外し時、引起ケース(22)のケース本体(58)より前面カバー(59)を取外して、引起ケース(22)の前面側を開放状態とさせての内部掃除や保守点検を可能とするよう構成している。
【0011】
上記から明らかなように、横方向に引起タイン(23)を突出させる引起ケース(22)と、倒伏稈を起立させる補助引起タイン(26)を前方に突出させる補助引起ケース(25)を備え、補助引起ケース(25)を引起ケース(22)の前側に着脱自在に取付けるコンバインにおいて、引起ケース(22)に内設させる受部材である接続ケース(38)前面側に補助引起ケース(25)上端部を着脱自在に連結させ、引起ケース(22)に接続ケース(38)を内設させることによって引起ケース(22)裏面側構造を利用して接続ケース(38)を支持させ、引起ケース(22)の前面側構造の簡略化並びに製造コストの低減などを図ると共に、前記接続ケース(38)の取付け構造の簡略化並びに補助引起ケース(25)支持強度の向上などを図るもので、引起ケース(22)裏面側に固定させる接続ケース(38)を前面側に延設させ、接続ケース(38)の前面延出部に補助引起ケース(25)上端部を連結させ、補助引起ケース(25)支持強度を引起ケース(22)前面側に持たせる必要がなく、引起ケース(22)前面側構造の簡略化並びに補助引起ケース(25)支持強度の確保などを行えるように構成している。
【0012】
本実施例は上記の如く構成するものにして、前記引起ケース(22)の内部掃除や保守点検必要時にあっては、前記ネジ結合部材(39)を回動操作し接続ケース(38)とのネジ結合解除を行った後に、前記支点軸(31)を中心として補助引起ケース(25)の上端側を前回動させて前倒し状態とさせることによって、該ケース(25)の取外しを容易なものとさせることができるもので、このようなワンタッチ操作による補助引起ケース(25)の脱着によって、引起ケース(22)の前面カバー(59)の脱着も容易に可能となって該ケース(22)の内部掃除や保守点検作業などでの至便化が図れる。
【0013】
【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、横方向に引起タイン(23)を突出させる引起ケース(22)と、倒伏稈を起立させる補助引起タイン(26)を前方に突出させる補助引起ケース(25)を備え、補助引起ケース(25)を引起ケース(22)の前側に着脱自在に取付け、引起ケース(22)に内設させる受部材(38)前面側に補助引起ケース(25)上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース(22)裏面側に固定させる受部材(38)を前面カバー(59)の前面側に延設させ、前面カバー(59)の前面外側で受部材(38)の前面延出部に補助引起ケース(25)の駆動ケース(35)後面側を連結させたもので、補助引起ケース(25)支持強度を引起ケース(22)前面側に持たせる必要がないから、引起ケース(22)前面側構造の簡略化並びに補助引起ケース(25)支持強度の確保などを容易に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】引起駆動部の側面説明図。
【図2】コンバインの全体側面図。
【図3】コンバインの全体平面図。
【図4】引起ケース部の断面説明図。
【図5】引起ケース部の側面説明図。
【図6】引起駆動部の正面説明図。
【図7】引起ケース部の側面説明図。
【符号の説明】
(22) 引起ケース
(23) 引起タイン
(25) 補助引起ケース
(26) 補助引起タイン
(35) 駆動ケース
(38) 接続ケース(受部材)
(59) 前面カバー
 
訂正の要旨 訂正の要旨
(1)【特許請求の範囲】を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「【請求項1】横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付け、引起ケースに内設させる受部材前面側に補助引起ケース上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース後面側を連結させたことを特徴とするコンバイン。」と訂正する。
(2)【0004】を、不明りょうな記載の釈明を目的として、
「【課題を解決するための手段】
然るに、本発明は、横方向に引起タインを突出させる引起ケースと、倒伏稈を起立させる補助引起タインを前方に突出させる補助引起ケースを備え、補助引起ケースを引起ケースの前側に着脱自在に取付け、引起ケースに内設させる受部材前面側に補助引起ケース上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース裏面側に固定させる受部材を前面カバーの前面側に延設させ、前面カバーの前面外側で受部材の前面延出部に補助引起ケースの駆動ケース後面側を連結させたもので、補助引起ケース支持強度を引起ケース前面側に持たせる必要がないから、引起ケース前面側構造の簡略化並びに補助引起ケース支持強度の確保などを容易に行い得るものである。
(3)【0013】を、不明りょうな記載の釈明を目的として、
「【発明の効果】
以上実施例から明らかなように本発明は、横方向に引起タイン(23)を突出させる引起ケース(22)と、倒伏稈を起立させる補助引起タイン(26)を前方に突出させる補助引起ケース(25)を備え、補助引起ケース(25)を引起ケース(22)の前側に着脱自在に取付け、引起ケース(22)に内設させる受部材(38)前面側に補助引起ケース(25)上端部を着脱自在に連結させるコンバインにおいて、引起ケース(22)裏面側に固定させる受部材(38)を前面カバー(59)の前面側に延設させ、前面カバー(59)の前面外側で受部材(38)の前面延出部に補助引起ケース(25)の駆動ケース(35)後面側を連結させたもので、補助引起ケース(25)支持強度を引起ケース(22)前面側に持たせる必要がないから、引起ケース(22)前面側構造の簡略化並びに補助引起ケース(25)支持強度の確保などを容易に行うことができるものである。」と訂正する。
(4)【符号の説明】を、不明りょうな記載の釈明を目的として、
「(22)引起ケース
(23)引起タイン
(25)補助引起ケース
(26)補助引起タイン
(35)駆動ケース
(38)接続ケース(受部材)
(59)前面カバー」と訂正する。
異議決定日 2000-10-30 
出願番号 特願平9-278224
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A01D)
P 1 651・ 4- YA (A01D)
P 1 651・ 113- YA (A01D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉田 英一  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 平瀬 博通
鈴木 寛治
登録日 1999-02-19 
登録番号 特許第2887671号(P2887671)
権利者 ヤンマー農機株式会社
発明の名称 コンバイン  
代理人 藤原 忠治  
代理人 藤原 忠治  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ