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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A41B
管理番号 1032218
異議申立番号 異議2000-72740  
総通号数 17 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-06-03 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-07-14 
確定日 2000-12-25 
異議申立件数
事件の表示 特許第2999404号「かかと形状付ストッキング」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2999404号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
本件特許第2999404号(平成7年11月24日出願、平成11年11月5日設定登録。)の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、特許明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。ただし、ここでは、丸付き数字に代えて括弧付き数字(1)及び(2)を用いている。
【請求項1】 溶融紡糸され熱セット率が70〜100%のポリウレタン弾性糸を芯糸とし、これにナイロンフィラメント糸を捲き付けたカバリング糸を用いてレッグ部が編み立てられているストッキングであって、上記ストッキングが、爪先,かかと,ふくらはぎ,ふとももの各部分に沿う形状がかたどられ左右に略厚みをもたない平たい形状の足型に装着された状態で熱セットされ、この熱セットによって、左右方向に略厚みをもたずかかと部が膨出した平たい形状に賦形されており、その状態におけるフート部の平面形状が、下記の(1)および(2)を満たすようになっていることを特徴とするかかと形状付ストッキング。
(1)フート部の甲に沿うラインと、レッグ部の前ラインとが交差する交差点からかかと部頂点までの長さが8〜10cm。
(2)フート部の足の裏に沿うラインのうち最も凹んだ部分の接線をかかと側に延長した直線と、レッグ部の後ろラインのうち最も凹んだ部分の接線をかかと側に延長した直線とをつないで形成される折れ線より外側にかかと部が膨出しており、この膨出部分の最大幅が0.5〜2cm。

2.特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立人中西綾は、次の甲第1号証ないし甲第5号証を提出し、本件発明は、甲第1、4、5号証に記載された発明と甲第2、3号証が示す公知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件請求項1に係る特許は取り消されるべきものである旨主張している。なお、特許異議申立人は、特許異議申立書の「証拠方法」欄に、甲第2、3号証として意匠登録公報のみを掲げているが、同申立書の「証拠等の説明」欄の記載及び添付書類である甲第2、3号証の写しから見て、両証はそれぞれ、同公報以外に、意匠に係る物品の見本が添付された意匠登録に係る出願経過書類をも含むものであると認められるので、両証を次のように把握した。
甲第1号証 特開平5-339802号公報
甲第2号証 意匠登録第701396号公報及び同号意匠登録に係る出願経過書類(意匠に係る物品の見本を含む。)
甲第3号証 意匠登録第701398の類似1号公報及び同号意匠登録に係る出願経過書類(意匠に係る物品の見本を含む。)
甲第4号証 ”HOSIERY AND UNDERWEAR”、1972年1月、第55巻第1号、表紙、5頁(目次)、77頁、86頁
甲第5号証 「暮しの手帖」、1994年6.7月号、表紙、50〜52頁

3.甲各号証の検討
(1)甲第1号証の記載を総合すると、同証には、「溶融紡糸され熱セット率が70%以上のポリウレタン弾性糸を芯糸とし、これにナイロンフィラメント糸を捲き付けたカバリング糸を用いてレッグ部が編み立てられているストッキングであって、上記ストッキングが平たい形状の足型に装着された状態で熱セットされ、この熱セットによって、前後方向に略厚みをもたない平たい形状に賦形されているストッキング」が記載されていると認められる。
(2)甲第4号証は英語で記載された刊行物であるが、同証の記載を図面を含めて総合すると、同証には、「デュポン社が開発した特定のナイロン巻縮糸を用いて編み立てられているパンティストッキング(pantyhose)を、爪先,かかと,ふくらはぎ,ふとももの各部分に沿う形状がかたどられ左右に略厚みをもたない平たい形状の足型(board)に装着された状態で熱セットする(preboard,postboard)こと」が記載されていると認められ、さらに、この足型のフート部の甲に沿うラインとレッグ部の前ラインとが交差する交差点からかかと部頂点までの長さ(同証図面のH-H’の長さ)は3.5インチすなわち約8.9cmであることが認められる。
(3)甲第5号証の記載を総合すると、同証には、「ポリウレタン弾性糸を芯糸とし、これにナイロン糸を捲き付けたカバリング糸を用いてレッグ部が編み立てられているかかと形状付ストッキング」が記載されていると認められる。
(4)甲第2、3号証のそれぞれ1頁目の「見本品のコピーはご指定の方法によりました。」との記載からみて、両証のそれぞれ7頁目の図は、直線、矢付き直線、引出線及び記号(R、S)を除いて、意匠に係る物品の見本であるパンティストッキングを左右方向に略厚みをもたない形状に畳んだ状態で複写機にかけてそのレッグ部の表面形状を写し取って得られたものと認められる。ただし、これが同見本の原寸大の写しであるか否かは不明である。 したがって、甲第2、3号証からは、「左右方向に略厚みをもたずかかと部が膨出した平たい形状のかかと形状付ストッキング」が、本件出願前に国内において公然知られていたことが認められる。

4.対比・判断
(1)前認定のとおり、甲第1号証には、溶融紡糸され熱セット率が70%以上のポリウレタン弾性糸を芯糸とし、これにナイロンフィラメント糸を捲き付けたカバリング糸を用いてレッグ部が編み立てられているストッキング(以下「特定熱セット率カバリング糸ストッキング」という。)が記載されており、さらに、このストッキングが、平たい形状の足型に装着された状態で熱セットされ、この熱セットによって、前後方向に略厚みをもたない平たい形状に賦形されているものであることが記載されているものの、同証には、本件発明を特定する次の事項アないしイが記載されていない。
【事項ア】上記ストッキングが、爪先,かかと,ふくらはぎ,ふとももの各部分に沿う形状がかたどられ左右に略厚みをもたない平たい形状の足型に装着された状態で熱セットされ、この熱セットによって、左右方向に略厚みをもたずかかと部が膨出した平たい形状に賦形されているかかと形状付ストッキングであること。
【事項イ】上記ストッキングは、前記賦形されている状態におけるフート部の平面形状が、下記の(1)および(2)を満たすようになっていること。
(1)フート部の甲に沿うラインと、レッグ部の前ラインとが交差する交差点からかかと部頂点までの長さが8〜10cm。
(2)フート部の足の裏に沿うラインのうち最も凹んだ部分の接線をかかと側に延長した直線と、レッグ部の後ろラインのうち最も凹んだ部分の接線をかかと側に延長した直線とをつないで形成される折れ線より外側にかかと部が膨出しており、この膨出部分の最大幅が0.5〜2cm。
(2)前認定のとおり、甲第4号証には、ナイロン巻縮糸を用いて編み立てられているストッキングを、爪先,かかと,ふくらはぎ,ふとももの各部分に沿う形状がかたどられ左右に略厚みをもたない平たい形状の足型に装着された状態で熱セットすることが記載されているものの、同証は、このような足型による熱セットを特定熱セット率カバリング糸ストッキングに適用することは教えない。そして、このことは、ポリウレタン弾性糸を芯糸とし、これにナイロン糸を捲き付けたカバリング糸を用いてレッグ部が編み立てられているかかと形状付ストッキングが存在することを単に教えるにすぎない甲第5号証の記載からも導かれないし、甲第2、3号証が示す前認定の公知技術からも当然ながら導かれない。
したがって、事項アは、甲第4〜5号証の記載及び甲第2、3号証が示す公知技術から当業者が容易に想到しうるものではなく、これらと甲第1号証の記載とを総合しても、当業者が容易に想到しうるものではない。
(3)このように、事項アが、そもそも、甲第1、4、5号証の記載及び甲第2、3号証が示す公知技術から当業者が容易に想到しうるものではないのであるから、たとえ甲第2、3号証が、一般に、左右方向に略厚みをもたずかかと部が膨出した平たい形状のかかと形状付ストッキングについて、事項イの要件(1)及び(2)を満たすものが公知であることを示すとしても、特定熱セット率カバリング糸ストッキングについて、事項アに規定する熱セットによって左右方向に略厚みをもたずかかと部が膨出した平たい形状に賦形されている状態におけるフート部の平面形状を、さらに要件(1)及び(2)を満たすようにすることなど、当業者は到底想到しえない。
したがって、事項イも、甲第4〜5号証の記載及び甲第2、3号証が示す公知技術から当業者が容易に想到しうるものではなく、これらと甲第1号証の記載とを総合しても、当業者が容易に想到しうるものではない。
(4)そして、本件発明は、事項ア及びイを採用することにより他の事項と相まって、ポリウレタン弾性糸を用いたサポートタイプのものであるにもかかわらず、鮮明なかかと形状が賦形されていて見栄えも着用時のフィット感も良好なストッキングを提供するという、明細書記載の顕著な作用効果を奏するものである。
(5)したがって、本件発明が、甲第1、4、5号証に記載された発明と甲第2、3号証が示す公知技術とに基づいて本件出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
してみると、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明には該当しないから、前記特許異議の申立ての理由により、本件請求項1に係る特許は取り消されるべきものであるとする特許異議申立人の主張は失当である。

5.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-11-27 
出願番号 特願平7-305813
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A41B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 梅田 幸秀  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 杉原 進
鈴木 美知子
登録日 1999-11-05 
登録番号 特許第2999404号(P2999404)
権利者 鐘紡株式会社
発明の名称 かかと形状付ストッキング  
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