ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04M |
---|---|
管理番号 | 1034535 |
審判番号 | 審判1999-1690 |
総通号数 | 18 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1993-04-02 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-02-04 |
確定日 | 2001-02-28 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第239814号「コードレス電話装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 4月 2日出願公開、特開平 5- 83337]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明の要旨 本願は、平成3年9月19日の出願であって、その発明の要旨は、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの、 「電話回線に接続された親機と、該親機と無線で結ばれた子機よりなるコードレス電話装置において、前記子機に、充電状態か否かを検出する手段と、少なくとも受話音声を拡声する拡声モード或いは通常受話モードのいずれかを選択する手段と、第1の通話操作がなされたとき、充電状態であれば拡声モードを選択し、充電状態でなければ通常受話モードを選択し、また第2の通話操作がなされたとき、充電状態に関係なく、拡声モードを選択するように前記選択手段を制御する制御手段を設けたことを特徴とするコードレス電話装置。」(以下、本願発明という)、 にあるものと認める。 2.引用例に記載の発明 原査定の拒絶理由に引用された特開平3-212045号公報(以下、引用例という)には、以下の記載がある。 「コードレス子機を置く専用置台を設け、前記コードレス子機はそのコードレス子機が前記専用置台に置かれたことを検出して制御信号を出力する検出手段と、前記制御信号に対応してレシーバ感度を切りかえるレシーバ感度切りかえ手段と、前記制御信号に対応してマイク感度を切りかえるマイク感度切りかえ手段とを備え、前記感度切りかえは前記子機が専用置台に置かれているときには前記子機を手持ち操作するときの感度より高感度にするようにしたコードレス電話装置」(引用例1頁左下欄5〜14行)、 「以下、本発明の一実施例のコードレス電話装置の子機について、第1図を参照しながら説明する。図において、22は子機をハンズフリー操作するときに子機を置く専用台で子機とは別の筐体に属する。子機は以下のように構成されている。マイク11がマイクアンプ12に接続され、そのアンプ出力が変調送信部13の変調入力端に接続される。変調送信部13の高周波出力端はアンテナ11に接続される。また、アンテナ11は復調受信部15にも接続され、その復調受信部15の音声出力端はレシーバ駆動部16の入力端に接続される。レシーバ駆動部16の出力端はレシーバ17に接続される。検出部20は子機が専用置台に置かれているときに、その状態に対応した第1の制御信号出力を制御部18に入力する。制御部18は子機の送信および受信動作の制御を集中的に行うが、前記第1の制御信号入力に対応した第2の制御信号を切りかえ部21に出力する。切りかえ部21は前記第2の制御信号を受けて切りかえ信号をマイクアンプ11およびレシーバ駆動部16に出力する。マイクアンプ11とレシーバ駆動部16はその切りかえ信号を受けて感度が切りかわるようになっている。」(同2頁左下欄20行〜3頁左上欄3行)、 「上記構成において動作を説明すると、子機を手持ちで操作するときは、通常の動作を行う。子機をハンドフリー操作のために専用置台22に置くと検出部20が専用台に置かれたことを検出して第1の制御信号を制御部18に出力する。制御部18はその第1の制御信号を受けて第2の制御信号を切りかえ部21に出力し、切りかえ部21はその第2の制御信号を受けて切りかえ信号をレシーバ駆動部16とマイクアンプ12に出力する。レシーバ駆動部16とマイクアンプ12はそれぞれ感度が手持ち操作の時よりも高くなるように切りかわる。」(同3頁左上欄4〜15行)、 「専用置台は子機内蔵の二次電池の充電器を兼ねたものでも、コードレス親機でも、ハンズフリー通話専用のものであってもよい。さらに、子機の充電器を兼ねたものであるときに、検出部20の機能は充電電圧の有無でも置きかえることができる。」(同3頁右上欄11〜16行)。 これらの記載及び引用例の図面第1図によれば、引用例には、以下の発明が記載されている。 「電話回線に接続された親機と、該親機と無線で結ばれた子機よりなるコードレス電話装置において、前記子機に、充電状態か否かを検出する検出部20と、レシーバの感度を切りかえる切りかえ部21と、通話操作がなされたとき、子機が充電器に置かれていればレシーバを高感度にし、子機が充電器に置かれていなければレシーバを通常感度に制御する制御部18を設けるコードレス電話装置。」(以下、引用例に記載の発明という) 3.対比 本願発明と引用例に記載の発明とを対比する。 まず、引用例に記載の発明における、「親機」、「子機」、「検出部20」、「切りかえ部21」、「コードレス電話装置」は、本願発明における、「親機」、「子機」、「検出する手段」、「選択する手段」、「コードレス電話装置」に相当する。 また、引用例に記載の発明における「通話操作がなされたとき、子機が充電器に置かれていればレシーバを高感度にし、子機が充電器に置かれていなければレシーバを通常感度に制御する制御部18」は、本願発明における「第1の通話操作がなされたとき、充電状態であれば拡声モードを選択し、充電状態でなければ通常受話モードを選択する制御手段」に相当する。 そうすると、本願発明と引用例に記載の発明は、 「電話回線に接続された親機と、該親機と無線で結ばれた子機よりなるコードレス電話装置において、前記子機に、充電状態か否かを検出する手段と、少なくとも受話音声を拡声する拡声モード或いは通常受話モードのいずれかを選択する手段と、第1の通話操作がなされたとき、充電状態であれば拡声モードを選択し、充電状態でなければ通常受話モードを選択するように前記選択手段を制御する制御手段を設けるコードレス電話装置。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 相違点 本願発明は、第2の通話操作がなされたとき、子機の充電状態に関係なく、拡声モードを選択する構成を備えているのに対して、引用例に記載の発明は、該構成を備えていない点。 4.当審の判断 そこで、前記相違点について検討する。 本願発明における子機の充電状態に関係なく拡声モードを選択することの技術的意味は、第1の通話操作により子機の充電状態に応じて拡声モード又は通常受話モードが自動的に選択されることによって操作性及び利便性が向上した反面、充電状態でないときには拡声モードが選択されないという制約が生じたので、これを考慮して、第2の通話操作により子機の状態に関係なく任意無条件に拡声モードを設定できるようにしたことにあると認められる。 ところで、子機の状態に関係なく必要に応じて任意無条件に拡声モードを設定できるようにしたコードレス電話機は、拡声モードとしての基本的構成にすぎず、周知技術(例えば、特開昭63-234654号公報、実願平1-127629号(実開平3-65342号)のマイクロフィルム)である。 してみると、引用例に記載の発明に、前記相違点にかかる、拡声モードとしての基本的構成による利点をも考慮して、子機の状態に関係なく拡声モードを設定する前記周知技術を付加することによって、本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。 そして、本願発明にかかる、充電状態に応じて受話音声を拡声モード或いは通常受話モードのいずれかに設定するとともに、さらに、充電状態に関係なく拡声モードを設定できるようにすることで、使用勝手のよいコードレス電話が得られるという作用効果は、当業者にとって、引用例に記載の子機の充電状態に応じて拡声モード又は通常受話モードを選択する発明に、前記周知技術に示される拡声モードの基本的構成を適用するものにおいて当然予測できることである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載の発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-02-15 |
結審通知日 | 2000-02-25 |
審決日 | 2000-03-07 |
出願番号 | 特願平3-239814 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04M)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 長島 孝志 |
特許庁審判長 |
松野 高尚 |
特許庁審判官 |
大塚 良平 二宮 千久 |
発明の名称 | コードレス電話装置 |
代理人 | 芝野 正雅 |
代理人 | 芝野 正雅 |