• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D03D
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  D03D
審判 全部申し立て 2項進歩性  D03D
管理番号 1039231
異議申立番号 異議1999-74047  
総通号数 19 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-06-15 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-25 
確定日 2000-12-11 
分離された異議申立 有 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2888504号「紫外線遮蔽性を有する繊維構造体および該構造体を用いた繊維製品」の請求項1〜5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2888504号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 I.本件特許第2888504号は、平成3年11月1日に出願され、平成11年2月19日にその特許の設定登録がなされたものである。
その後、宮崎香子、森田峰代、ユニチカ(株)より特許異議の申立がなされたので、取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成12年5月12日に特許異議意見書と共に訂正請求書が提出されたが、さらに取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成12年10月17日に特許異議意見書と共に訂正請求書が提出されると共に、上記平成12年5月12日付けの訂正請求が取り下げられたものである。
II.訂正についての判断
[訂正の内容]
a.特許請求の範囲の
「【請求項1】 紫外線を反射または吸収する性能を有する成分を1重量%以上含み、波長290〜320mμの紫外線の透過率が5%以下、波長290〜400mμの紫外線の透過率が10%以下、波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上、通気度が5ml/cm2↑・sec以上であることを特徴とする繊維構造体。」を、
「【請求項1】 紫外線を反射または吸収する性能を有する成分を、繊維構造体を構成する繊維中に存在させた状態で、1重量%以上含み、波長290〜320mμの紫外線の透過率が5%以下、波長290〜400mμの紫外線の透過率が10%以下、波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上、通気度が5ml/cm↑2・sec以上であることを特徴とする繊維構造体。;ただし、“アルテーヌ”(登録商標)(東レ株式会社提供の布帛)、“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布帛)および“モディフィル”(登録商標)品番I5406-(1)(S-9159)(東レ株式会社提供の布帛)を除く。」と訂正する。
b.本件特許明細書の段落【0005】の3〜4行の「可視光線より長い波長の太陽光を反射し、」を「可視光線以上の長波長の太陽光を反射し、」に訂正する。
c.同じく段落【0006】の1〜2行の「本発明は、紫外線を反射または吸収する性質を有する成分を1重量%以上含み、」を「本発明は、紫外線を反射または吸収する性質を有する成分を、繊維構造体を構成する繊維中に存在させた状態で、1重量%以上含み、」に訂正する。
d.同じく段落【0006】の5行の「繊維構造体並びに該構造体を用いた繊維製品である。」を、「繊維構造体、ただし、“アルテーヌ”(登録商標)(東レ株式会社提供の布帛)、“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布帛)および“モディフィル”(登録商標)品番15406-(1)(S-9159)(東レ株式会社提供の布帛)を除く、並びに該繊維構造体を用いた繊維製品である。
ここで、本発明から除くとしている上記“アルテーヌ”とは、「1989テキスタイル加工集」(昭和63年10月28日 株式会社 繊維社発行)に、サンプル117として添付されている、商品・加工名を”アルテーヌ“(登録商標)とする布帛をいう。財団法人日本化学繊維検査協会が作成した試験証明書No.CK-34673-1には、該 ”アルテーヌ“ なるサンプル117は、二酸化チタンの含有量が2.3重量%、290〜320nm(290〜320mμ)の紫外線の透過率が1%未満、290〜400nm(290〜400mμ)の紫外線の透過率が6%、400〜1200nm(400〜1200mμ)の可視光線の平均反射率が66%およびJIS L1079-1976による通気度が75.3cm3/cm2/s(75.3ml/cm↑2・sec)であることが報告されており、本発明はサンプル117として前記「1989 テキスタイル加工集」に添付されている ”アルテーヌ”なる布帛およびそれと同じ繊維構造体を本発明の範囲から除くものである。
また、本発明から除くとしている上記“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布帛)とは、「衣生活研究」第17巻第3号(平成2年6月1日 関西衣生活研究会発行)の第90頁に生地見本として添付されている “「XY-E」ポプリン”なる布帛およびそれと同じ繊維構造体をいう。財団法人日本化学繊維検査協会の作成した試験証明書No.CK-34673-2には、該“「XY-E」ボプリン”なる生地見本は、バンドパスフィルターを使用して試験したときの290〜320nm(290〜320mμ)の紫外線の透過率が1%および290〜400nm(290〜400mμ)の紫外線の透過率が9%てあり、400〜1200nm(400〜1200mμ)の可視光線の平均反射率が65%、およびJIS L I079-1976による通気度が29.0cm3/cm2/s(29.0ml/cm↑2・sec)であることが報告されており、本発明は、生地見本として前記「衣生活研究」第17巻第3号の第90頁に添付されている “「XY一E」ポプリン”なる布帛およびそれと同じ繊維構造体をを本発明の範囲から除くものである。
さらに、本発明から除くとしている上記“モディフィル”(登録商標)品番I5406-(1)(S-9159)とは、平成2年5月10日および11日に、大阪市の梅田センタービルにて開催された「’91年春夏東レ総合素材展」(TOFF)において、“モディフィル”(登録商標)として展示された “モディフィル”(登録商標)品番15406‐(1)(S‐9159)なる布帛およびそれと同じ繊維構造体をいう。東レ株式会社の繊維加工技術部 ファイバー加工技術室 主任部員 上野登氏の作成した平成11年10月29日付の実験証明書には、前記「’91年春夏東レ総合素材展」(TOFF)に展示された前記“モディフィル”品番15406-(1)(S-9159)の「BPリボニー」は、二酸化チタンの含有量が2.3重量%、290〜320mμの紫外線の透過率が4.1%、290〜400mμの紫外線の透過率が9.6%、400〜1200mμの可視光線の平均反射率が64.2%およびJIS L 1079-1976による通気度が63.3ml/cm↑2・secてあり、前記 “モディフィル”品番15406-(1)(S-9159)の「BPシワ」は、酸化チタンの含有量が2.3重量%、290〜320mμの紫外線の透過率が1.7%、290〜400mμの紫外線の透過率が6.2%、400〜1200mμの可視光線の平均反射率が69.6%およびJIS L I079-1976による通気度が49.2ml/cm↑2・secであることが報告されており、本発明は、前記「’91年春夏東レ総合素材展」(TOFF)において展示された ”モディフィル”品番I5406-(1)(S-9159)なる布帛およびそれと同じ繊維構造体を本発明の範囲から除くものである。」に訂正する。
e.同じく段落【0007】の3〜6行の「ここで、「含まれる」とは、構成繊維中に成分(A)が存在していてもよいし、該繊維の表面に成分(A)が付着しているような状態であってもよい。しかしながら、洗濯耐久性等経時的に効果を持続させるためには成分(A)が繊維中に存在しているような物を使用するのが好ましい。」を、「洗濯耐久性等経時的に効果を持続させるために、成分(A)は、繊維構造体を構成する繊維中に存在させる。」に訂正する。
f.同じく段落番号【0007】の「成分(A)は、構造体中に1重量%含まれていればよいが、」を、「成分(A)は、構造体中に1重量%以上含まれていればよいが、」に訂正する。
g.同じく段落番号【0015】の表1の比較例4において、着用テストにおける日焼けの欄の「強い」を「弱い」に、着用感の欄の「良い」を「暑い」に訂正する。
なお、上記「“モディフィル”品番I5406-丸内1」は全て、「“モディフィル”品番I5406-(1)」と記載したが、以下においても同様とする。
[訂正の目的の適否、新規事項の追加、拡張・変更の存否]
上記訂正事項aは、紫外線を反射または吸収する成分を、繊維構造中に存在する繊維中に存在することを規定し、さらに繊維構造体の中からアルテーヌ(登録商標)等の布帛又は繊維構造体を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。さらに紫外線を反射または吸収する性能を有する成分を繊維構造体を構成する繊維中に存在させることは、本件特許の願書に添付した明細書の段落番号【0007】に「ここで、「含まれる」とは、構成繊維中に成分(A)が存在していてもよいし、該繊維の表面に成分(A)が付着しているような状態であってもよい。しかしながら、洗濯耐久性等経時的に効果を持続させるためには成分(A)が繊維中に存在しているような物を使用するのが好ましい。」と記載されていたことから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内で訂正されたものである。
また、当該訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
次に上記訂正事項aの「;ただし、“アルテーヌ”(登録商標)(東レ株式会社提供の布帛)、“「XY-E」ポプリン(要録商標)(株式会社クラレ提供の布帛)および“モディフィル”(登録商標)品番I5406-(1)(S-9159)(東レ株式会社提供の布帛)を除く。」は、取消理由で本件発明が特許法第29条第1項第1号または2号に該当するとした物品を除くものであるから、当該訂正は願書に添付した明細書の範囲内でなされたものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
上記bの訂正は、訂正前の「可視光線より長い波長の反射光を反射し」が、段落【0006】や請求項1の、「波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上」であるとの記載と矛盾するので、これを正すためのものと認められるので、誤記の訂正を目的とするものである。そして、当該訂正は願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内でなされたものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
上記c,eの訂正は、特許請求の範囲の請求項1に記載された発明の訂正事項aによる特許請求の範囲の訂正に伴って、これと整合性を図るために、発明の詳細な説明中の明りょうでない記載の釈明を目的として訂正するものである。そして、これらの訂正は、いずれも願書に添付された明細書の記載事項の範囲内においてなされたものであるし、かつ実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものでもない。
上記dの訂正は、請求項1の訂正事項aによる特許請求の範囲の訂正に伴って、これと整合性を図るために、上記aによる登録商標と共にその意味するところを記載したもので、発明の詳細な説明中の明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、これらの訂正は、いずれも願書に添付された明細書の記載事項の範囲内においてなされたものであるし、かつ実質上特許請求の範囲を拡張・変更するものでもない。
上記fの訂正は、「1重量%以上」とすべきところを誤って「1重量%」に、上記gの訂正は「弱い」、「暑い」と記載すべきところを誤って「強い」、「良い」としたものであることが特許明細書の請求項1や段落番号【0016】の記載から明らかであるから、誤記の訂正を目的とするもので、さらに、当該訂正は願書に添付した明細書の範囲内でなされたものであり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
したがって、本件訂正は、特許法第120条の4第2項、及び第3項において準用する同法第126条第2及び3項に規定する要件を満たすものである。
[独立特許要件の判断]
1.訂正後の本件発明
訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明(以下「訂正後の本件発明1〜5」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 紫外線を反射または吸収する性能を有する成分を、繊維構造体を構成する繊維中に存在させた状態で、1重量%以上含み、波長290〜320mμの紫外線の透過率が5%以下、波長290〜400mμの紫外線の透過率が10%以下、波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上、通気度が5ml/cm↑2・sec以上であることを特徴とする繊維構造体。;ただし、“アルテーヌ”(登録商標)(東レ株式会社提供の布帛)、“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布帛)および“モディフィル”(登録商標)品番I5406-(1)(S-9159)(東レ株式会社提供の布帛)を除く。
【請求項2】請求項1に記載の繊維構造体を用いた衣服。
【請求項3】請求項1に記載の繊維構造体を用いた帽子。
【請求項4】請求項1に記載の繊維構造体を用いたヴェール。
【請求項5】請求項1に記載の繊維構造体を用いた日傘。」
以下、訂正後の請求項1〜5に係る発明を「訂正後の本件発明1〜5」という。
2.刊行物等の記載事項及び判断
当審で通知した取消理由は、
「(1)本件発明1は、刊行物1(「1989 テキスタイル加工集」サンプル117(繊維社 昭和63年)、刊行物2(「衣生活研究 第17巻第3号」p.58,p.90(関西衣生活研究会) 平成2年6月)及び刊行物1,2に貼付されたサンプルの試験証明書1(No.CK-34673-1日本化学繊維検査協会)及び試験証明書2(No.CK-34673-2 日本化学繊維検査協会)によれば、その出願前に公然知られた発明であるから、特許法第29条第1項第1号の規定に該当し、
(2)本件発明1は、東レ(株) 繊維加工技術部ファイバー加工技術室主任部員 上野登の「実験証明書」、’91年春夏東レ総合素材展(TOFF)」の案内状、’91年春夏東レ総合素材展(TOFF)」のパンフレット、東レ(株)短繊維織物事業部短繊維織物課 主任部員 増田智昭の「宣誓供述書」及び(株)梅田センタービル代表取締役 尾崎英二発行の「証明書」によれば、その出願前に公然実施された発明であるから、特許法第29条第1項第2号に該当し、
(3)本件発明1は、刊行物3(「繊維消費学会誌」p.392〜396 日本繊維製品消費科学会 昭和56年発行)を参照すれば、刊行物4(特公昭63-17926号公報)に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、
(4)本件発明1は、刊行物3、刊行物5(U.S.P4861651)及び刊行物6(特公昭57-17712号公報)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に該当する、
から、その特許を取り消すべきである。」というものである。
取消理由(1)について
刊行物1は、本件出願前に頒布された刊行物であると認められ、その貼付資料のサンプル117の「アルテーヌ」について、チタンを二酸化チタン換算で2.3%含み、紫外線透過率が波長290〜320nmで1%未満、290〜400nmで6%で、可視光反射率が400〜1200nmで66%であり、JIS L 1079-1976「化学繊維織物試験方法」の6.29により測定した通気度が75.3であることが、試験証明書1に記載されている。また、刊行物2は、本件出願前に頒布された刊行物であると認められ、同号証に「「XY-E」・・・ポリマー中に、合成重合の段階で、比重の重いセラミックを混入する方法を検討した。単繊維の太さがせいぜい数μ〜10数μの直径であることにより、1μ以下の粒径の微粒子を選んだが、重いセラミックスを大量に糸に入れ紡糸することは困難であった。・・・新しい分散方式、機械の開発や多段延伸の方式採用により解決することができた。」と記載され、その貼付資料のサンプル(株)クラレの「XY-E」ポプリンについて、バンドパスフィルターを使用して測定した紫外線透過率が、波長290〜320nmで1%、290〜400nmで9%で、可視光反射率が400〜1200nmで65%であり、BS5636法による通気度の測定結果が23.8cm3/cm2/sであって、これから推定したJIS L 1079-1976法の通気度は29.0となることが、試験証明書2に記載されている。
これらから、本件出願前に刊行物1又は2に貼付され本件出願前に公知となったサンプル、東レ(株)のアルテーヌ及び(株)クラレの「XY-E」ポプリンが訂正前の本件発明1の範囲内の物性を持つものであることは明らかである。
しかしながら、訂正後の本件発明1は東レ(株)のアルテーヌ及び(株)クラレの「XY-E」ポプリン及びそれと同じ繊維構造体を除くものであるから、もはや訂正後の本件発明1が本件出願時に東レ(株)のアルテーヌ及び(株)クラレの「XY-E」ポプリンにより公知であったということはできない。
取消理由(2)について
’91年春夏東レ総合素材展(TOFF)」の案内状とパンフレット、及び東レ(株)短繊維織物事業部短繊維織物課 主任部員 増田智昭の「宣誓供述書」及び(株)梅田センタービル代表取締役 尾崎英二発行の「証明書」には、91年春夏東レ総合素材展(TOFF)を1990年5月10〜11日に開催したこと、同素材展において、品番I5406-(1)(S-9159)のBPリボニー及びBPシワなる“モディフィル”フルダル白色平織物を出品し、来客に技術説明を行ったことが記載され、実験証明書(東レ(株)山下登)には、前記品番15406-(1)(S-9159)のBPリボニーとBPシワのそれぞれの紫外線を反射または吸収する性能を有する成分(TiO2)の含有量が両者とも2.3重量%、紫外線透過率が波長290〜320nmで4.1%、1.7%、290〜400nmで9.6%、6.2%、可視光反射率が400〜1200nmで66%、69,6%であり、JIS L 1079-1976により測定した通気度が63.3、49.2ml/cm2・secであることが記載されている。
これらから、本件出願前に素材展に出品され技術説明された東レ(株)のモディフィルが訂正前の本件発明1の範囲内の物性を有するものであることは明らかである。
しかしながら、訂正後の本件発明1は東レ(株)のモディフィルおよびこれと同じ繊維構造体を除くものであるから、もはや訂正後の本件発明1が、本件出願時に東レ(株)のモディフィルにより公然知られた発明であったということはできない。
取消理由3について
刊行物4には、「合成繊維の用途の多様化にともない薄くて、ソフトでドレープ性のある織物および編物で光の透過性が少なく、中がすけて見えないような合成繊維の要望が強くなってきた。このため光遮へい材として酸化チタンを重合体組成物に対し、従来1.0〜2.5重量%配合させることが一般に行われている。」と記載され(2欄1〜7行)、さらに「該繊維の摩耗特性を改善するため、芯部に酸化チタンを1重量%以上含有し、鞘部に酸化チタンを1重量%以下含有するようにした複合繊維は、織編物として各種衣料品や室内装飾品として使用され、光遮蔽性が良好である。」旨が記載されている(特許請求の範囲及び4欄31〜36行)。刊行物3には、通常衣料用に使われる布の通気度が通常5ml/cm2・secであることが示されている(395頁の1表)。
しかしながら、刊行物4には、光遮蔽性が良好であるというだけで、波長400〜1200mμの可視光線反射率についての記載も示唆もないうえに、波長290〜400mμ域での紫外線の透過率がどの程度かも不明である。したがって、訂正後の本件発明1は刊行物3を参照しても、刊行物4に記載された発明ということはできない。
なお、訂正後の本件特許明細書には、「紫外線および可視光線に対する遮蔽性を実現するためには、構造体に紫外線を反射または吸収する性能を有する成分(A)が1重量%以上含まれることが重要である。」(明細書の段落【0007】参照)との記載があるが、これは成分(A)だけで紫外線および可視光線に対する遮蔽性を実現するというものでなく、他に繊維の材質や形状、織り方等も前記遮蔽性に影響することが記載されている(明細書の段落【0009】参照)から、刊行物4記載の発明が、成分(A)が1重量%以上含まれていることのみをもって 、訂正後の本件発明1と同様の400〜1200mμの可視光線や紫外線に対する反射率が実現するということはできない。
取消理由(4)について
刊行物3には、上記取消理由(3)で示したとおりの事項が記載され、刊行物5には、「(A)多孔性を与える開口孔のある布帛、及び(B)布帛の少なくとも一部がコーティングされており、該コーティング材が少なくとも1つのUVブロッカーを有効量含有している紫外線ブロッキング剤」(6欄クレーム1)と記載され、さらに「上記コーティングは、乾燥重量ベースで、UVブロッカーを全部で約7%含有しているクレーム1の材料」(クレーム10)、「4.5mW/cm2の輻射照度と1.6mW/cm2の輻射照度のもとで、UVA及びUVB両者の透過率がゼロパーセントであることを特徴とするクレーム1の材料」(クレーム9)と記載され、前記UVA及びUVBについてそれぞれ320〜400nm,290〜320nmであること、望ましくはコーティングは可視光線を通過させることも示されている。また、刊行物6には白色反射複合シートについて記載され、その白色層は、繊維から作られた布帛に、二酸化チタン粉末を含む熱可塑性重合体液を塗布して得られる旨が記載されている。
刊行物5又は6に記載の発明は紫外線又は可視光線を反射または吸収する性能を有する成分をコーティング材中に含有させるものであって、訂正後の本件発明1の繊維構造体を構成する繊維中に存在させることは記載も示唆もなされていないし、さらに400〜1200mμの可視光線の反射率についても記載されていない。また、当該事項について刊行物3にも何ら記載されていない。したがって、刊行物3及び5〜6に基いて、当業者が訂正後の本件発明を容易に発明できたものということはできない。
また、訂正後の本件発明2〜5はいずれも訂正後の本件発明1を引用してさらに限定するものであるから、訂正後の本件発明1と同じ理由で、本件出願前に公知の発明であるとも、公然実施されたものであるとも、刊行物に記載された発明であるともいえず、さらに当業者が刊行物の記載に基いて容易に発明できたものということもできない。
したがって、訂正後の本件発明1〜5が特許法第29条第1項第1〜3号又は第2項の規定に該当し特許を受けることができないものということはできず、訂正後の本件発明1は特許出願の際独立して特許を受けることができるものと認められる。
[むすび]
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の4第2項、及び第3項において準用する同法第126条第2〜4項に規定する要件を満たすものであるから、本件訂正を認める。
III.特許異議の申立についての判断
〔申立の理由の概要〕
1.特許異議申立人宮崎香子の異議申立てについて 特許異議申立人は、甲第1号証(上記刊行物5)、甲第2号証(特公昭57-17711号公報)及び甲第3号証(上記刊行物6)を提出して、本件発明1〜5は前記刊行物記載の発明に基いて容易に発明できたものであるから、本件特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであると主張する。
2.特許異議申立人森田峰代の異議申立てについて
特許異議申立人は、甲第1号証(特開平2-221411号公報)、甲第2号証(特開昭55-158330号公報)、甲第3号証(上記刊行物6)、甲第4号証(特開昭61-146840号公報)、甲第5号証(平成2年11月29日付化学工業日報)及び甲第6号証(平成3年10月10付加工技術Vol.26,No.10(1991))を提出し、
(1)本件発明1〜5は前記甲第1〜4号証刊行物の記載事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであり、
(2)特許明細書の【0016】の「可視光線の透過が大きい時は暑くて着用感が悪かった(比較例4)」と記載されているのに、第1表の比較例4には、紫外線透過率及び可視光線反射率はいずれも本件特許発明を満足しており、着用テストで日焼け強い、着用感良いとされており、両者の記載は矛盾しているので、本件特許明細書に不備がある、
から、本件発明1〜5に係る特許は特許法第29条第2項又は同法第36条第4項の規定に違反してなされたものであると主張している。
3.特許異議申立人ユニチカ(株)の異議申立てについて
特許異議申立人は甲第1号証(上記刊行物1)、甲第2号証(上記刊行物2)、甲第3号証(上記試験証明書1)、甲第4号証(上記試験証明書2)、甲第5号証(上記刊行物4)、甲第6号証(「ファインケミカル」 シーエムシー(昭和63年)p.5〜13、甲第7号証(上記刊行物5)、甲第8号証(上記刊行物3)、甲第9号証(「被服衛生学」 建帛社(昭和58年)p.115〜119,268〜273)及び甲第10号証(「Chemistry Express」p.899〜902(1991)を提出し、
(1)本件発明1及び2は、上記刊行物1又は2に記載された発明であり、
(2)本件発明1〜3及び5は、甲第1〜9号証の記載事項に基いて容易に想到できたものであり、
(3)本件特許明細書には、本件発明1〜5の「波長290〜320mμの紫外線の透過率が5%以下、波長290〜400mμの紫外線の透過率が10%以下、波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上、通気度が5ml/cm2・sec以上である布帛」の数値限定を満足させるためにどのようにすればよいのかについて当業者が容易に実施できる程度に記載されていない、
から、本件発明1〜5に係る特許は特許法第29条第1項第3号又は同法同条第2項又は同法第36条第4項の規定に違反してなされたものであるから、取り消すべきであると主張している。
[判断]
1について
甲第2号証には、白色反射シートは、熱可塑性高分子物質からなるマトリックスとその中に分散した紫外線反射剤粉末からなる混合物をカレンダー法又は押出法によって形成するか、基材上に前記混合物からなる白色反射シート又はフィルムを貼着するか、該混合物の溶液又は分散液を塗布することにより形成される旨が記載されている(特許請求の範囲1、3欄26〜31行、4欄22〜26行)が、紫外線反射剤を繊維構造体を構成する繊維中に存在させることは記載も示唆もされていない。したがって、甲第1及び3号証(上記刊行物5及び6号証)の記載事項に甲第2号証の記載事項を合わせて勘案しても、上記取消理由(4)に記載したと同じ理由で、訂正後の本件発明1〜5が容易に発明できたものということはできない。
2-(1)について
甲第1号証は「偏平効果及び遮光効果」の付与された織編物に関し(2頁左下欄13〜15行)、同刊行物に「従来の技術」として記載された特開昭55-158330号公報(甲第2号証として提出)には、「艶消し剤を含有させることによって遮光性を高める技術が提案されている」こと、及び「特に遮光性が強く求められている婦人外衣用服地等の薄地織物分野では、艶消し剤を高濃度で添加する」ことが記載されており(2頁左上欄8〜17行)、更にこの様な艶消し剤の種類としては、「酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等が例示され、特に酸化チタン、酸化亜鉛が好ましく、より好ましくは酸化チタンが良い」旨が示されている(3頁左下欄最終行〜右下欄9行)。また、扁平断面糸を経糸、緯糸に使い、緻密度がそれぞれ105本/インチ、85本/インチの平織物としたものであることも記載されている(6頁左上欄14〜16行)。さらに同号証には、「酸化チタン等の光遮蔽剤を1重量%以上添加することにより光遮蔽効果が得られる」ことが示されている(2頁左上欄9〜12行)。甲第4号証は「紫外線遮蔽用途用織編物」に関し、特に250〜390nmの範囲の紫外線を殆ど遮蔽することのできる優れた紫外線遮蔽効果を有し、通気性がlcc/cm2/sec以下の織編物及びその製造方法に関するものである(特許請求の範囲、「産業上の利用分野」及び「従来の技術」)。また、甲第3号証は白色シート状基層に紫外線反射剤を含有する紫外線反射層を積層することにより、300〜400mμの紫外線を80〜85%反射し、且つ可視光線に対して良好な光遮蔽性を有する白色反射複合シートに関し、雪面と区別が困難なシートを得るというものである。
甲第1,2号証には、光遮蔽剤を繊維構造体の繊維中に含有するものが記載されているものの紫外線を調整することを目的としていない。したがって、甲第3又は4号証の記載事項を合わせてみれば、甲第1又は2号証の光遮蔽剤が紫外線を反射又は吸収することは認められるものの、光遮蔽剤の量を調整して紫外線の透過率を訂正後の本件発明1のようなものとし、さらに400〜1200mμの可視光線の反射率を60%以上にすべき技術的動機はない。
そして、訂正後の本件発明1が、特定の波長の紫外線透過率及び可視光線反射率を規定することにより格別の効果を奏することは、本件明細書の記載を見れば明らかであるから、訂正後の本件発明1は、上記甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められない。
また、訂正後の本件発明2〜5は訂正後の本件発明1をさらに限定したものであるから、上記と同じ理由で 、上記甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められない。
2-(2)について
上記訂正事項gにより、2-(2)の明細書の記載不備は解消した。
3-(1)について
(1)については、訂正後の本件発明1及び2は、“アルテーヌ”(登録商標)及び“「XY-E」ポプリン”(登録商標)及びこれと同じ繊維構造体を含まないから、訂正後の本件発明1及び2が刊行物1又は2に記載された発明ということはできず、異議申立人の主張は採用できない。
3-(2)について
甲第6号証に酸化亜鉛や酸化チタンの粒子の紫外線の反射率と吸収率について記載され、さらに酸化チタンは可視部から400nmに至るまで反射率が大きいこと、及び酸化亜鉛は480nm以上の可視部を90%以上反射することが記載されている。また、甲第9号証には、「防暑帽は第一に太陽の輻射熱をはね返し、熱の吸収・透過の少ない材質、加工方法、形、色が要求される。第二は、・・・通気性も考慮しなければならない。・・・色彩も熱線を反射する白いものの方がよい。」と記載されている。甲第5号証には、繊維構造体中に酸化チタンを1重量%以上含有する繊維は光遮蔽効果に優れていることが記載され、甲第7号証に織物のコーティング中に紫外線及び赤外線ブロッカーを含有させて、紫外線と赤外線を遮断することが記載され、甲第8号証には一般的に衣料に用いられる布帛の通気量は5ml/cm2・sec以上であることが記載されている。
訂正後の本件発明1を甲第5号証記載の発明と対比すると、後者には光遮蔽性を有する繊維及びその繊維構造体が記載され、該光遮蔽性とは可視光線の反射性に相当するものであると認められるが、後者には紫外線の透過率、波長400〜1200mμ(可視光線と赤外線を含む。)の反射率及び通気度について記載されていない点で相違する。
前記相違点のうち、通気度は甲第8号証より衣類に求められるごく普通のものと認められる。
しかしながら、他の相違点については、甲第1及び2号証には紫外線等の反射率の記載はないし、甲第3及び4号証は本件特許出願前に頒布された刊行物でないし、甲第6号証には単に酸化チタン等が紫外線や可視光線を反射または吸収することが示されているだけであるし、甲第7号証は紫外線等のブロッカーを、コーティング材中に含有させるもので繊維構造体中に含有させるというものでないし、甲第9号証にも紫外線や可視光線の反射率についての記載はないから、これらの甲号証を勘案しても相違点を容易に想到できるたいうことはできない。
そして、訂正後の本件発明1が、特定の波長の紫外線及び可視光線の反射率を規定することにより格別の効果を奏することは、本件明細書の記載を見れば明らかであるから、訂正後の本件発明1は、上記甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められない。
また、訂正後の本件発明2〜5は訂正後の本件発明1をさらに限定したものであるから、上記と同じ理由で 、上記甲第1〜9号証に記載された発明に基づいて容易に発明することができたものとは認められな
3-(3)について
本件明細書の【0009】に、「本発明の繊維構造体は紫外線遮蔽性が良好であるポリエステル繊維を用いることが望ましい。また、使用する繊維の形態としては丸断面のほか、扁平断面、ドッグボーン断面、T型断面、・・・等としたり様々なバリエーションが可能であるが、本発明においては、例えば特開昭63-315606号に記載されているような扁平度が1.2以上であり、断面に8〜14個の凸部を有する扁平多様断面繊維とすると隠蔽性が向上するので遮光の点からも好ましい。」ことが記載され、【0013】の実施例1に糸と織り方が具体的に記載されている。これらの記載を参照すれば、当業者であれば訂正後の本件発明1〜5を容易に実施できるものと認められるうえ、実施例1に記載された繊維構造体が製造不可能であることを示す証拠もない。結局、本件明細書には、訂正後の本件発明1〜5を当業者が容易に実施できる程度に記載されていたということができる。
IV.結び
以上のとおりであるから、特許異議申立人の提出した証拠及び主張によって訂正後の本件発明1〜5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
紫外線遮蔽性を有する繊維構造体および該構造体を用いた繊維製品
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 紫外線を反射または吸収する性能を有する成分を、繊維構造体を構成する繊維中に存在させた状態で、1重量%以上含み、波長290〜320mμの紫外線の透過率が5%以下、波長290〜400mμの紫外線の透過率が10%以下、波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上、通気度が5ml/cm↑2・sec以上であることを特徴とする繊維構造体;ただし、“アルテーヌ”(登録商標)(東レ株式会社提供の布帛)、“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布帛)および“モディフィル”(登録商標)品番15406-▲1▼(S-9159)(東レ株式会社提供の布帛)を除く。
【請求項2】 請求項1に記載の繊維構造体を用いた衣服。
【請求項3】 請求項1に記載の繊維構造体を用いた帽子。
【請求項4】 請求項1に記載の繊維構造体を用いたヴェール。
【請求項5】 請求項1に記載の繊維構造体を用いた日傘。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、人体が皮膚に過度の日焼けするのを防ぐための衣類や帽子などの紫外線遮蔽性を有する繊維材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
太陽光に曝されると人体は皮膚の日焼けを起こし、進行するとあざとなること強い曝露を長時間受けていると皮膚がんになりやすいことが知られている。これらの多くは太陽光線に含まれている紫外線によって引き起こされていることが知られている。紫外線は、通常、イ)紫外線A(320〜400mμ)、ロ)紫外線B(290〜320mμ)、ハ)紫外線C(200〜290mμ)に3区分される。しかし、紫外線Cは太陽から地球に到達する間に大気に吸収されるので実際は紫外線AとB、特に、紫外線作用の強いBから皮膚を保護することが重要である。
【0003】
従来から、日焼けを防止する目的で紫外線を遮蔽するため、二酸化チタンや酸化亜鉛あるいは有機の紫外線吸収剤を配合分散した化粧品がある。また、繊維構造体に紫外線遮蔽効果を付与する技術も提案されており、例えば、特開昭61-146840号公報には、極細繊維を用いて作成された通気度が1cc/m↑2/24hr以下で透湿性が4000g/m↑2以上で、カバーファクターが2000以上の紫外線遮蔽用の織編物が開示されている。また、蛍光増白剤などを用いて紫外線をカットする方法も採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術においては、紫外線遮蔽効果を発現させるために織物の組織を緻密なものにしなければならず、その結果、布畠自体の通気性が悪くなるという欠点を有し、また、効率よく紫外線を吸収しかつ可視光よりも長波長の光線を反射するような紫外線遮蔽効果と快適さの両方を満足する繊維構造体は得られていないのが現状である。
また、蛍光増白剤を使用した衣料は紫外線遮蔽効果を有するが可視光線に対する反射効率が悪いため、日焼けは防止できても蒸暑くなり衣料としての快適性に欠けるものであり、しかも、蛍光増白剤の中には皮膚に対して悪影響があるものがあるので、肌に直接触れるような衣料用としては不適で、わが国においても特に乳幼児の衣料には使用が制限されているのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記のような現状に鑑み鋭意検討した結果、人体を太陽光による被害から保護するためには被覆材の使用によって太陽からの紫外線の被爆をできるだけ少なくすることが必須であり、また、可視光線以上の長波長の太陽光を反射し、透過・吸収を少なくして皮膚またはその周辺の温度の上昇を少なくし、さらに温湿度をできるだけ快適な領域に保つための通気性の確保が必須であることを見出だして本発明に至った。
【0006】
すなわち、本発明は、紫外線を反射または吸収する性能を有する成分を、繊維構造体を構成する繊維中に存在させた状態で、1重量%以上含み、波長290〜320mμの紫外線の透過率が5%以下、波長290〜400mμの紫外線の透過率が10%以下、波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上、通気度が5ml/cm↑2・sec以上であることを特徴とする繊維構造体、ただし、“アルテーヌ”(登録商標)(東レ株式会社提供の布畠)、“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布帛)および“モディフィル”(登録商標)品番15406-▲1▼(S-9159)(東レ株式会社提供の布帛)を除く、並びに該繊維構造体を用いた繊維製品である。
ここで、本発明から除くとしている上記“アルテーヌ”とは、「1989 テキスタイル加工集」(昭和63年10月28日 株式会社 繊維社発行)に、サンプル117として添付されている、商品・加工名を“アルテーヌ”(登録商標)とする布用およびそれと同じ繊維構造体をいう。財団法人日本化学繊維検査協会が作成した試験証明書No.CK-34673-1には、該“アルテーヌ”なるサンプル117は、二酸化チタンの含有量が2.3重量%、290〜320nm(290〜320mμ)の紫外線の透過率が1%未満、290〜400nm(290〜400mμ)の紫外線の透過率が6%、400〜1200nm(400〜1200mμ)の可視光線の平均反射率が66%およびJIS L 1079-1976による通気度が75.3cm3/cm2/s(753ml/cm↑2・sec)であることが報告されており、本発明はサンプル117として前記「1989テキスタイル加工集」に添付されている“アルテーヌ”なる布畠およびそれと同じ繊維構造体を本発明の範囲から除くものである。
また、本発明から除くとしている上記“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布帛)とは、「衣生活研究」第17巻第3号(平成2年6月1日 関西衣生活研究会発行)の第90頁に生地見本として添付されている“「XY-E」ポプリン”なる布帛およびそれと同じ繊維構造体をいう。財団法人日本化学繊維検査協会の作成した試験証明書No.CK-34673-2には、該“「XY-E」ポプリン”なる生地見本は、バンドパスフィルターを使用して試験したときの290〜320nm(290〜320mμ)の紫外線の透過率が1%および290〜400nm(290〜400mμ)の紫外線の透過率が9%であり、400〜1200nm(400〜1200mμ)の可視光線の平均反射率が65%、およびJIS L 1079-1976による通気度が29.0cm3/cm2/s(29.0ml/cm↑2・sec)であることが報告されており、本発明は、生地見本として前記「衣生活研究」第17巻第3号の第90頁に添付されている“「XY-E」ポプリン”なる布帛およびそれと同じ繊維構造体を本発明の範囲から除くものである。
さらに、本発明から除くとしている上記“モディフィル”(登録商標)品番15406-▲1▼(S-9159)とは、平成2年5月10日および11日に、大阪市の梅田センタービルにて開催された「’91年春夏東レ総合素材展」(TOFF)において、“モディフィル”(登録商標)として展示された“モディフィル”(登録商標)品番15406-▲1▼(S-9159)なる布帛およびそれと同じ繊維構造体をいう。東レ株式会社の繊維加工技術部 ファイバー加工技術室 主任部員 上野登氏の作成した平成11年10月29日付の実験証明書には、前記「’91年春夏東レ総合素材展」(TOFF)に展示された前記“モディフィル”品番15406-▲1▼(S-9159)の「BPリボニー」は、二酸化チタンの含有量が2.3重量%、290〜320mμの紫外線の透過率が4.1%、290〜400mμの紫外線の透過率が9.6%、400〜1200mμの可視光線の平均反射率が64.2%およびJIS L 1079-1976による通気度が63.3ml/cm↑2・secであり、前記“モディフィル”品番15406-▲1▼(S-9159)の「BPシワ」は、酸化チタンの含有量が2.3重量%、290〜320mμの紫外線の透過率が1.7%、290〜400mμの紫外線の透過率が6.2%、400〜1200mμの可視光線の平均反射率が69.6%およびJIS L 1079-1976による通気度が49.2ml/cm↑2・secであることが報告されており、本発明は、前記「’91年春夏東レ総合素材展」(TOFF)において展示された“モディフィル”品番15406-▲1▼(S-9159)なる布帛およびそれと同じ繊維構造体を本発明の範囲から除くものである。本発明の「繊維構造体」は、通常の装置を用いて得られる織物・編物・不織布およびこれらの任意の組み合わせによる複合体を総称して指すものであり、その組織、形態自体は特に限定されるものではないが、上記の如く、波長290〜320mμの紫外線の透過率が5%以下、波長290〜400mμの紫外線の透過率が10%以下、波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上であるようなものでなければならない。
【0007】
このような紫外線および可視光線に対する遮蔽性を実現するためには、構造体に紫外線を反射または吸収する性能を有する成分(A)が1重量%以上含まれていることが重要である。洗濯耐久性等経時的に効果を持続させるために、成分(A)は、繊維構造体を構成する繊維中に存在させる。成分(A)は、構造体中に1重量%以上含まれていればよいが、例えば、陽射しの強い夏季および冬季のスキー場など紫外線が特に多い時期に効果的に紫外線遮蔽を行なうためには2.5重量%以上、更には3.5重量%以上含まれることが好ましい。上限については特にないが、繊維中に成分(A)を存在させるような場合は紡糸工程の安定性の面から20重量%以下、好ましくは10重量%以下で使用することが好ましい。
【0008】
次に使用される成分(A)については、基本的には本発明の目的を達成できる成分であれば特に限定されず、例えば、二酸化チタン(含む表面コートチタン)、酸化亜鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化マグネシウム、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム等の無機化合物やパラ安息香酸、ベンゾイミダゾール等の有機化合物等の中から少なくとも1つの化合物の用いることができる。しかしながら、有機系化合物を練り込んで用いる場合は繊維の着色および繊維の物性低下を招き易いので無機化合物が好ましく使用され、紫外線および可視光線に対する遮蔽性能のバランスがとれた二酸化チタンを主体として用いることが好ましい。そして、本発明においては、例えば二酸化チタンと少量の酸化亜鉛を併用すると、酸化亜鉛が有する優れた紫外線吸収性能によって紫外線遮蔽効果が強調された繊維構造体とすることができるので好ましい。但し、酸化亜鉛の比率が多すぎると、ポリエステルが解重合を起こすため十分注意しなければならない。さらに、二酸化チタンを主体とし少量の酸化アルミニウムを組み合わせて使用すると可視光線の反射性能を強調することができ、この様に目的に応じて化合物を選択することができる。
二酸化チタンと他の無機化合物を併用する場合における両者の配合比率(重量)は、二酸化チタン/他の無機化合物=60/40〜98/2、さらに好ましくは、70/30〜95/5であることが望まれる。
【0009】
本発明の繊維構造体を構成する繊維としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等の合成繊維、再生繊維および天然繊維を単独または混合して使用することが可能であるが、それ自体で紫外線遮蔽性が良好であるポリエステル繊維を用いることが望ましい。また、使用する繊維の形態としては丸断面の外、偏平断面、ドッグボーン断面、丁型断面、3〜6角断面、3〜14葉断面、中空断面等種々の断面繊維としたり、サイドバイサイド型、芯鞘型、多層貼合型、ランダム複合型、海島型等の他成分系繊維としたり様々なバリエーションが可能であるが、本発明においては、例えば、特開昭63-315606号に記載されているような偏平度(繊維断面の長径を短径で除した値)が1.2以上であり断面に8〜14個の凸部を有する偏平多葉断面繊維とすると隠蔽性が向上するので遮光のからも好ましい。
また、このような断面繊維を使用すると、落ち着いた光沢が得られ、ドライタッチとすることができるので衣料用途において好ましい。また、隠蔽力を良好にするという面では、使用される繊維はフィラメントよりもステープルであることが望ましい。
【0010】
さらに、本発明の繊維構造体は通気度が5ml/cm↑2・sec以上、好ましくは10ml/cm↑2・sec以上でなければならない。このような通気度の繊維構造体を得るためには様々な公知の手法が適用可能であるが、例えば、(イ)単繊維繊度(ロ)繊維長(ハ)糸の撚数(ニ)糸の太さ(ホ)構造体のカバーファクター、目付(へ)構造体の仕上げ・加工条件等々を適宜選択することによって達成することができる。かかる通気度を達成するためには、例えば、織物であれば織密度は経が120本/in以下、緯が100本/in以下が好ましい。
【0011】
この様にして得られる本発明の繊維構造体は、優れた紫外線遮蔽効果と適度な通気性を合せ持つものであり、例えば、ブラウス、シャツ、ワンピース、サマースーツ、サマーセーター、トーブ、スポーツ衣料(テニスウエアー、キャディーウエアー、ゴルフウエアー、スキーウエアー等)、ヤッケ、ヴェール、下着、冬用肌着、作業服等の衣類、帽子、日傘、ビーチパラソル、手袋、うで抜き、ストッキング、日よけ用タオル等のファッション小物、カーテン、レース、障子紙、ブラインド用スラット、暗幕等のインテリア用品、テント地、スクリーン、自動車カバー、帆布、寒冷沙、工事用シート、農園芸用遮熱ネット、各種機器保護カバー等の資材など種々の用途に応用できるものである。
【0012】
なお、本発明で規定している平均透過率または平均反射率とは、分光光度計を用いて所定の波長範囲にわたって各波長での光の透過または反射する割合(透過率または反射率)を計測し、その波長範囲での透過率または反射率の平均値を算出して求めたものである。通気度とは、JISL1079-1976「化学繊維織物試験方法」の6.29通気度に準じて測定した値である。
【0013】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが本発明は何等これらに限定されるものではない。
(実施例1、比較例1〜5)
二酸化チタンを3.0%(重量、以下同じ)および酸化亜鉛を1%含有した〔η〕が0.62のポリエチレンテレフタレートを用い、特開昭63-315606号に記載された紡糸口金から285℃で溶融紡糸、延伸、捲縮、熱処理、カットし、偏平率(長径/短径)が1.3の偏平8葉断面形状のポリエステル短繊維A(単繊維繊度1.3デニール、繊維長36mm)を製造した。次いでこのポリエステル短繊維Aを単独に100%使用して綿番手40番の紡績糸Aを作り、この紡績糸Aを用いて常法に従い目付が約100g/m↑2の平織物Aを作成した(実施例1)。比較例1として、上記の紡績糸Aで経糸、緯糸の打ち込み本数を織物Aよりも約3割り多くした高密度の平織物A-Hを作成した。比較例2として、二酸化チタンを0.3%含有したポリエチレンテレフタレート短繊維Bを100%用いて紡績糸Bとし、実施例1と同様にして平織物Bを作成した。比較例3として、上記の織物Bを黒色に染めた織物B-Dを作成した。比較例4として、上記の織物Bを紫外線吸収剤1%owf水溶液中で130℃で処理し、織物B-Fとした。比較例5として、二酸化チタンを3重量%含有したポリェチレンテレフタレートを用いてポリエステルフィラメントヤーンD(75d/36f)を作成し、このヤーンDを用いて目付が約100g/m↑2の平織物を作った。
実施例2
酸化亜鉛3重量%および酸化アルミニウム3重量%を含有したポリエチレンテレフタレートを用いるほかは実施例1と同様にしてポリエステル短繊維C(単繊維繊度2.0デニール)を製造し、この繊維を用いて紡績糸を作り、その糸で目付が約100g/m↑2の平織物Cを作成した。
【0014】
上記で準備した織物について平均透過率、平均反射率および通気度を測定した。その結果を第1表に示す。次に、本発明(織物A)と比較例(織物A-H,B,B-D,B-F,D)の一つを左右半身づつに使用した長袖シャツを5つの組合わせについて作成すると共に、7種類の織物を単独に使用して長袖シャツを作成し、太陽光のもとで上半身に該長袖シャツのみ着用して各々累計25時間の着用テストを実施した。その結果を第1表に示す。但し、表中の透過率一1は波長290〜320mμでの平均透過率を、透過率-2は波長290〜400mμでの平均透過率を示す。遮熱性は10cm×10cm×1cmの空間を有する断熱箱の上部に布帛状のサンプルを置き、空間の底に黒体塗料を塗ったケント紙で覆った温度センサーを置いて太陽光に暴露し、サンプルがない状態での温度に対する増減を測定し、それらの増減温度を比較例2を基準にして表示した。
【0015】
【表1】

【0016】
上記の結果から明らかなように、紫外線領域の透過光の多いものは日焼けしやすく(比較例2)、紫外線の透過光が少なくても布畠密度を上げ過ぎたり、或いは黒色等に染めて透過光を少なくした場合は、布畠の通気度が低下したり布帛の熱吸収が増大して衣服内の温湿度が上昇して着用感が悪かった(比較例1、3)。
また、紫外線吸収剤処理で紫外線を吸収して遮蔽しても、可視光線の透過が大きい時は暑くて着用感が悪かった(比較例4)。さらに、同じ程度の目付でも布帛のカバリング性が劣ると紫外線の遮蔽性が低いものであった(比較例5)。
【0017】
実施例3
実施例1で使用した綿番手40番の紡績糸Aを用いて、経116本/in、緯80本/inで平織物を作成し、これを傘地として日傘を作成した。また、対照例として二酸化チタンを0.08%含有するポリエチレンテレフタレート繊維から同様にして日傘を作成した。得られた日傘について透過率および反射率を測定したところ、本発明の日傘は実施例1の織物Aとほぼ同等の値を示しており、対照例の日傘よりも紫外線に対する遮蔽効率の高いものであった。また、10cm×10cm×1cmの空間を有する断熱箱の上部に全波長域に亘って90%以上の透過率をもつ厚さ10μmのポリエチレンフィルムを貼り、空間の底に黒体塗料を塗ったケント紙で覆った温度センサーを置いた遮熱性測定装置を該日傘の下において温度上昇を測定し、サンプルのない状態での温度と比較したところ、本発明の日傘はサンプルのない状態に比べ10.5℃低い温度が測定され極めて遮熱効果に優れた日傘であることがわかったが、対照例においては6.5℃低い温度が測定され十分な遮熱効果が得られなかった。
【0018】
実施例4
実施例1で使用したポリエステル短繊維A80重量%と熱バインダー繊維として芯鞘型ポリエステル短繊維20重量%を混綿して、常法に従ってカードウエブを作成し、該ウエブを2枚重ねて二一ドルパンチを施して目付200g/m↑2の不織布とし、次いで、この不織布を帽子形状の成型機に供給して加圧、加熱処理して熱バインダー繊維で繊維間が融着固定された不織布製の帽子を作成した。得られた帽子は、優れた紫外線遮蔽性を有すると共に適度な通気性を有しているので、直射日光下で長時間着用していても頭部の蒸れも少なく従来の帽子に比べて快適なものであった。
【0019】
【発明の効果】
本発明の繊維構造物を使用した衣服、帽子、日傘等の繊維製品は、人体が太陽光に暴露されるような状態にあるとき、快適に使用できながら、従来の被覆材に比べて日焼けを大幅に少なくすることができる。
 
訂正の要旨 [訂正の要旨]
a.特許請求の範囲の
「【請求項1】 紫外線を反射または吸収する性能を有する成分を1重量%以上含み、波長290〜320mμの紫外線の透過率が5%以下、波長290〜400mμの紫外線の透過率が10%以下、波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上、通気度が5ml/cm2↑・sec以上であることを特徴とする繊維構造体。」を、
「【請求項1】 紫外線を反射または吸収する性能を有する成分を、繊維構造体を構成する繊維中に存在させた状態で、1重量%以上含み、波長290〜320mμの紫外線の透過率が5%以下、波長290〜400mμの紫外線の透過率が10%以下、波長400〜1200mμの可視光線の平均反射率が60%以上、通気度が5ml/cm↑2・sec以上であることを特徴とする繊維構造体。;ただし、“アルテーヌ”(登録商標)(東レ株式会社提供の布畠)、“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布畠)および“モディフィル”(登録商標)品番15406-(1)(S-9159)(東レ株式会社提供の布吊)を除く。」と訂正する。
b.本件特許明細書の段落【0005】の3〜4行の「可視光線より長い波長の太陽光を反射し、」を「可視光線以上の長波長の太陽光を反射し、」に訂正する。
c.同じく段落【0006】の1〜2行の「本発明は、紫外線を反射または吸収する性質を有する成分を1重量%以上含み、」を「本発明は、紫外線を反射または吸収する性質を有する成分を、繊維構造体を構成する繊維中に存在させた状態で、1重量%以上含み、」に訂正する。
d.同じく段落【0006】の5行の「繊維構造体並びに該構造体を用いた繊維製品である。」を、「繊維構造体、ただし、“アルテーヌ”(登録商標)(東レ株式会社提供の布畠)、“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布畠)および“モディフィル”(登録商標)品番15406-(1)(S-9159)(東レ株式会社提供の布畠)を除く、並びに該繊維構造体を用いた繊維製品である。
ここで、本発明から除くとしている上記“アノレテーヌ”とは、「1989テキスタイル加工集」(昭和63年10月28日 株式会社 繊維社発行)に、サンプル117として添付されている、商品・加工名を”アルテーヌ“(登録商標)とする布畠をいう。財団法人日本化学繊維検査協会が作成した試験証明書No.CK-34673-1には、該”アルテーヌ“なるサンプル117は、二酸化チタンの含有量が2.3重量%、290〜320nm(290〜320mμ)の紫外線の透過率が1%未満、290〜400nm(290〜400mμ)の紫外線の透過率が6%、400〜1200nm(400〜1200mμ)の可視光線の平均反射率が66%およびJIS L1079-1976による通気度が75.3cm3/cm2/s(75.3ml/cm↑2・sec)であることが報告されており、本発明はサンプル117として前記「1989 テキスタイル加工集」に添付されている“アルテーヌ”なる布帛およびそれと同じ繊維構造体を本発明の範囲から除くものである。
また、本発明から除くとしている上記“「XY-E」ポプリン”(登録商標)(株式会社クラレ提供の布帛)とは、「衣生活研究」第17巻第3号(平成2年6月1日 関西衣生舌研究会発行)の第90頁に生地見本として添付されている “「XY-E」ポプリン”なる布帛およびそれと同じ繊維構造体をいう。財団法人日本化学繊維検査協会の作成した試験証明書No.CK-34673-2には、該“「XY-E」ポプリン”なる生地見本は、バンドパスフィルターを使用して試験したときの290〜320nm(290〜320mμ)の紫外線の透過率が1%および290〜400nm(290〜400mμ)の紫外線の透過率が9%てあり、400〜1200nm(400〜1200mμ)の可視光線の平均反射率が65%、およびJIS L I079-1976による通気度が29.0cm3/cm2/s(29.0ml/cm↑2・sec)であることが報告されており、本発明は、生地見本として前記「衣生活研究」第17巻第3号の第90頁に添付されている“「XY一E」ポプリン”なる布帛およびそれと同じ繊維構造体をを本発明の範囲から除くものである。
さらに、本発明から除くとしている上記“モディフィル”(登録商標)品番15406-(1)(S-9159)とは、平成2年5月10日および11日に、大阪市の梅田センタービルにて開催された「’91年春夏東レ総合素材展」(TOFF)において、“モディフィル”(登録商標)として展示された “モディフィル”(登録商標)品番15406-(1)(S-9159)なる布帛およびそれと同じ繊維構造体をいう。東レ株式会社の繊維加工技術部 ファイバー加工技術室 主任部員 上野登氏の作成した平成11年10月29日付の実験証明書には、前記「’91年春夏東レ総合素材展」(TOFF)に展示された前記“モディフィノレ”品番15406-(1)(S-9159)の「BPリボニー」は、二酸化チタンの含有量が2.3重量%、290〜320mμの紫外線の透過率が4.1%、290〜400mμの紫外線の透過率が9.6%、400〜1200mμの可視光線の平均反射率が64.2%およびJIS L 1079-1976による通気度が63.3ml/cm↑2・secてあり、前記“モディフィル”品番15406-(1)(S-9159)の「BPシワ」は、酸化チタンの含有量が2.3重量%、290〜320mμの紫外線の透過率が1.7%、290〜400mμの紫外線の透過率が6.2%、400〜1200mμの可視光線の平均反射率が69.6%およびJIS L I079-1976による通気度が49.2ml/cm↑2・secであることが報告されており、本発明は、前記「’91年春夏東レ総合素材展」(TOFF)において展示された”モディフィル”品番15406-(1)(S-9159)なる布帛およびそれと同じ繊維構造体を本発明の範囲から除くものである。」に訂正する。
e.同じく段落【0007】の3〜6行の「ここで、「含まれる」とは、構成繊維中に成分(A)が存在していてもよいし、該繊維の表面に成分(A)が付着しているような状態であってもよい。しかしながら、洗濯耐久性等経時的に効果を持続させるためには成分(A)が繊維中に存在しているような物を使用するのが好ましい。」を、「洗濯耐久性等経時的に効果を持続させるために、成分(A)は、繊維構造体を構成する繊維中に存在させる。」に訂正する。
f.同じく段落番号【0007】の「成分(A)は、構造体中に1重量%含まれていればよいが、」を、「成分(A)は、構造体中に1重量%以上含まれていればよいが、」に訂正する。
g.同じく段落番号【0015】の表1の比較例4において、着用テストにおける日焼けの欄の「強い」を「弱い」に、着用感の欄の喰い」を「暑い」に訂正する。
なお、上記「“モディフィル”品番15406一丸内1」は全て、「“モディフィル”品番15406-(1)」と記載した。
異議決定日 2000-11-16 
出願番号 特願平3-315528
審決分類 P 1 651・ 531- YA (D03D)
P 1 651・ 113- YA (D03D)
P 1 651・ 121- YA (D03D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山崎 豊  
特許庁審判長 石橋 和美
特許庁審判官 石井 克彦
喜納 稔
登録日 1999-02-19 
登録番号 特許第2888504号(P2888504)
権利者 株式会社クラレ
発明の名称 紫外線遮蔽性を有する繊維構造体および該構造体を用いた繊維製品  
代理人 辻 良子  
代理人 辻 邦夫  
代理人 辻 邦夫  
代理人 辻 良子  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ