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審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 H01L |
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管理番号 | 1039260 |
異議申立番号 | 異議1999-73696 |
総通号数 | 19 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-03-12 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-09-27 |
確定日 | 2001-04-28 |
異議申立件数 | 2 |
事件の表示 | 特許第2877997号「半導体ウエハの処理方法」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについてされた平成12年8月3日付け決定に対し、東京高等裁判所において決定取消しの判決(平成12年(行ケ)第367号、平成13年3月19日判決言渡)があったので、さらに審理の結果、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2877997号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
【1】 手続きの経緯 特許出願 平成3年8月29日 特許権設定登録 平成11年1月22日 特許異議の申立て 平成11年9月27日、平成11年10月4日 訂正審判の請求(訂正2000-39132号) 平成12年10月31日 訂正を認める旨の審決(以下「訂正審決」といい、訂正審決に係る訂正を「本件訂正」という。) 平成13年1月23日 訂正審決の確定 平成13年2月7日 【2】 本件発明 本件請求項1に係る発明は、本件訂正により訂正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「半導体ウエハの表面に保護粘着テープを貼付けて裏面を切削・研磨するバックグラインド工程と、バックグラインドされた半導体ウエハの裏面に粘着テープを貼付けてリング状のフレームにマウントし、前記マウントされた半導体ウエハをカッテイングして個々の素子を分断するダイシング工程とを順に処理していく半導体ウエハの処理方法において、 前記ダイシング工程で半導体ウエハの裏面に粘着テープを貼付けてリング状のフレームにマウントした後に、前記粘着テープを介して半導体ウエハをリング状のフレームに支持したウエハマウントフレームを、前記リング状のフレームの下面に貼付けられた前記粘着テープの全体にまで及ぶ範囲の広さをもった吸着テーブル上に載置して、前記粘着テープを介してリング状のフレームにマウントされた半導体ウエハを吸着テーブル上に吸着保持した状態で、前記半導体ウエハの表面に貼付けられた前記保護粘着テープに剥離テープを貼付け、この剥離テープを介して前記保護粘着テープを剥離することを特徴とする半導体ウエハの処理方法。」 【3】 特許異議の申立ての理由 1 特許異議申立人・リンテック株式会社が掲げている理由 (1) 提出証拠 甲第1号証:特開平4-354333号公報 甲第2号証:特開平5-29455号公報 甲第3号証刊行物:特開昭61-121334号公報 甲第4号証刊行物:特開昭61-219138号公報 甲第5号証刊行物:特開昭62-35637号公報 甲第6号証刊行物:特開昭63-62328号公報 甲第7号証刊行物:特開昭63-147325号公報 甲第8号証刊行物:特開平1-125947号公報 甲第9号証刊行物:特開平1‐272129号公報 甲第10号証刊行物:株式会社タカトリ「全自動ウエハー表面保護テープ剥し機(MODEL ATRAM-2000C)」のカタログ(’90.5 Printed) 甲第11号証刊行物:株式会社タカトリ「全自動ウエハー表面保護テープ剥し機MODEL ATMM-2100C)」のカタログ(Printed in Japan.’90.5) 甲第12号証刊行物:日東電工株式会社「IC製造プロセス用エレップシステム」のカタログ(1987年1月初版、1988年11月3版発行) 甲第13号証刊行物:日東電工株式会社「LSI製造プロセス用エレップシステム」のカタログ(1990年8月改訂版発行) 甲第14号証刊行物:FSK株式会社「BG用保護テープ剥離装置RAD-3200」のカタログ(88.6.(印刷)) (2) 理由 本件請求項1に係る発明は、甲第3号証刊行物ないし甲第14号証刊行物に記載された周知慣用の技術を参酌すると、甲第1号証及び甲第2号証に係る出願であり、本件特許の特許出願の日前の特許出願であって、本件特許の特許出願後に出願公開された特許出願である特願平3-156130号又は特願平3-181484号の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件請求項1に係る発明の発明者が、当該特許出願の発明をした者と同一であるとも、また、その出願人が、当該特許出願の出願人と同一の者であるとも認められない。 よって、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。 2 特許異議申立人・三井化学株式会社が掲げている理由 (1) 提出証拠 甲第1号証:特開平4-354333号公報 甲第2号証:特開平5-29455号公報 甲第3号証刊行物:特開平2-28950号公報 (2) 理由 本件請求項1に係る発明は、甲第3号証刊行物に記載された周知慣用の技術を参酌すると、甲第1号証及び甲第2号証に係る出願であり、本件特許の特許出願の日前の特許出願であって、本件特許の特許出願後に出願公開された特許出願である特願平3-156130号又は特願平3-181484号の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件請求項1に係る発明の発明者が、当該特許出願の発明をした者と同一であるとも、また、その出願人が、当該特許出願の出願人と同一の者であるとも認められない。 よって、本件請求項1に係る特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものである。 【4】 前記理由について検討する。 1 特許異議申立人・リンテック株式会社が掲げている理由について検討する。 本件請求項1に係る発明と甲第1号証又は甲第2号証に記載されたものとを比較すると、バックグラインド工程でウエハのパターン形成面に貼付けられた前記保護テープに剥離テープを貼付けるにあたり、訂正発明においては、粘着テープを介して半導体ウエハをリング状のフレームに支持したウエハマウントフレームを、リング状のフレームの下面に貼付けられた粘着テープの全体にまで及ぶ範囲の広さをもった吸着テーブル上に載置して、粘着テープを介してリング状のフレームにマウントされた半導体ウエハを吸着テーブル上に吸着保持した状態で、半導体ウエハの表面に貼付けられた前記保護粘着テープに剥離テープを貼付けているのに対して、前記明細書及び図面には、この点について記載がない。 そこで、前記の点について検討する。 前記甲第1号証には、「【0007】ダイシング工程において、保護テープ3の剥離テープ6による剥離は、ダイシング前でもダイシング後であってもよく、保護テープ剥離後はパターン形成面2aに付着したテープ糊等を除去する洗浄を施した後乾燥し、ダイシング又は組立て工程へ移す」と記載されている。 また、半導体ウエハの表面に貼付けられた保護粘着テープに剥離テープを貼付け、この剥離テープを介して保護粘着テープを剥離することについては、前記周知慣用の技術を示す刊行物に記載されている。 前記した剥離を行う場合にさらに、吸着テーブルに半導体ウエハを吸着しながら行う点についても周知慣用の事項(例として、実開昭60-187541号公報、実開平3-67442号公報、特開昭59-174677号公報、特開昭60-250642号公報、特開平3-85745号公報参照)である。 そして、ダイシング工程は、ダイシングテーブルを用いて行うことが通常であり、かつ、ダイシングテーブルについて、リング状のフレームの下面に貼付けられた粘着テープの全体にまで及ぶ範囲の広さを持った吸着テーブルに載置して、粘着テープを介してリング状のフレームにマウントされた半導体ウエハを吸着テーブル上に吸着保持するものについても周知である。 しかし、ダイシングテーブルには、前記のものばかりでなく、多数の種類があり、リング状のフレームの下面までは支持しない種類もある。 そして、本件請求項1に係る発明は、多数の種類のダイシングテーブルの内の特定のものを選択することによって剥離テープを貼付けるときなどにリング状のフレームに反りが生じることがなく、また粘着テープが弾性変形しないので、半導体ウエハの破損を防止することができ、また、粘着テープに伸びが発生しないので、次のダンシング工程で粘着テープが回転刃で切断されることがなく、さらに、リング状のフレームへの糊付着も回避することができるという目的を達成し、所期の目的を達成できるものである。 したがって、上位の概念であるダイシングテーブルを用いるものが前記明細書又は図面に記載されいても、訂正発明に記載されている特定のダイシングテーブルを用いるものが記載されていることにはならない。 よって、本件請求項1に係る発明が、前記明細書又は図面に記載された発明と同一の発明であるとすることができない。 したがって、特許異議申立人・リンテック株式会社の主張は認めることができない。 2 特許異議申立人・三井化学株式会社が掲げている理由について検討する。 特許異議申立人・三井化学株式会社と特許異議申立人・リンテック株式会社とが掲げている理由の相違は、半導体ウエハの表面に貼付けられた保護粘着テープに剥離テープを貼付け、この剥離テープを介して保護粘着テープを剥離することが周知慣用の技術であることを立証するための証拠として提出している刊行物が相違する点にのみある。 したがって、前記【4】1に記載したと同様の理由により特許異議申立人・三井化学株式会社の主張は認めることができない。 【5】 むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことができない。 また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2000-08-03 |
出願番号 | 特願平3-244884 |
審決分類 |
P
1
651・
161-
Y
(H01L)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小野田 誠、加藤 浩一 |
特許庁審判長 |
小林 武 |
特許庁審判官 |
鈴木 孝幸 桐本 勲 中村 達之 宮崎 侑久 |
登録日 | 1999-01-22 |
登録番号 | 特許第2877997号(P2877997) |
権利者 | 日東電工株式会社 |
発明の名称 | 半導体ウエハの処理方法 |
代理人 | 鈴木 俊一郎 |
代理人 | 辻 良子 |
代理人 | 辻 邦夫 |
代理人 | 杉谷 勉 |