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審決分類 審判 訂正 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) 訂正する A01M
管理番号 1040280
審判番号 訂正2000-39104  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-02-14 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2000-09-11 
確定日 2001-01-17 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2819481号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2819481号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判の請求の要旨は、特許第2819481号(平成2年6月13日出願、平成10年8月28日設定登録)の明細書を審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記aないしbのとおり訂正することを求めるものである。
a.特許請求の範囲の請求項1の「【請求項1】容器内に有効成分及び噴現寸剤を充填してエアゾール化して成るエアゾール装置を害虫を防除する部屋に置き、その内容物を噴射角度が55°〜85°の範囲となった左側の噴射口と噴射角度が55°〜85°の範囲となった右側の噴射口よりほぼV字状に一時期に噴射するようにしたことを特徴とするエアゾール装置を用いた害虫防除方法。」を
「【請求項1】非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下であって、噴霧口が直径lmm以下のエアゾール装置を、害虫を防除する部屋に置き、その内容物を噴射角度が55°〜85°の範囲となった左側の噴射口と噴射角度が55°〜85°の範囲となった右側の噴射口よりほぼV字状に一時期に噴射するようにしたことを特徴とするエアゾール装置を用いた害虫防除方法。」と訂正する。
b.明細書第7頁第6行〜7行(特許公報第2頁第4欄第28〜29行)の「容器内に有効成分及び噴射剤を充填してエアゾール化して成るエアゾール装置を」を「非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下であって、噴霧口が直径lmm以下のエアゾール装置を、」と訂正する。
2.当審の判断
これらの訂正事項について検討すると、上記訂正事項aは、「容器内に有効成分及び噴射剤を充填してエアゾール化して成るエアゾール装置を」を「非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下であって、噴霧口が直径lmm以下のエアゾール装置を、」に訂正するものであって、エアゾール装置の内容物および噴射口の口径を限定するものであるから、特許請求の範囲の滅縮を目的とするものである。
上記訂正事項bは、発明の詳細な説明を上記aの訂正に伴って、これと整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記訂正事項a、bは、願書に添付した明細書第7頁第14行〜第27頁第4行(特許公報第4欄第36行〜11欄第26行)に記載の実施例では、例示の溶剤は非水性のもので、水を添加することは記載されておらず、第21頁第13行(特許公報第9欄21行)には「原液噴射剤の容量比としては、4/6以下が好ましく」、第22頁第5〜第6行(特許公報第9欄第32行)には「噴射口としては、1.0mm以下が好ましく」と記載されているから、願書に添付した明細書に記載された事項の範囲内のものであって、且つ、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。
(独立特許要件)
(a)本件発明
訂正後における本件請求項1に係る発明(以下、本件発明という。)は、その訂正明細書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下であって、噴霧口が直径lmm以下のエアゾール装置を、害虫を防除する部屋に置き、その内容物を噴射角度が55°〜85°の範囲となった左側の噴射口と噴射角度が55°〜85°の範囲となった右側の噴射口よりほぼV字状に一時期に噴射するようにしたことを特徴とするエアゾール装置を用いた害虫防除方法。」
(b)刊行物記載の発明
訂正審判請求人の提示した刊行物(特開平1-190609号公報)には、「内容組成は殺虫原液5〜20容量%、水15〜30容量%、および噴射剤50〜90%の比率で配合される。」(公報第3頁右上欄第5〜8行)、「噴剤バルブは、直径0.3mm以上の噴射口を有する・・・その形状は特に限定されない。例えば噴射口を数個とりつけたり、噴射角度を上方以外の任意の角度に設置したり」(公報第4頁左上欄第2〜7行)、試験例2に「面積16m2、高さ2.5mの部屋で本殺虫噴射剤・・・比較した。すなわち部屋の中心を噴射点とし」(公報第5頁右上欄下から10行〜下から6行)、「実施例 試験例2と同様に、殺虫成分、溶剤、噴射剤を下表に示す組成にて100mlエアゾール容器に充填し、噴射口が上方45°の方向へ設置されるよう・・・本発明殺虫噴射剤を得た。約40m2の食堂で2個噴射し」(公報第5頁右下欄第10〜16行)と記載されており、これらの記載からみて、刊行物1には、「殺虫原液5〜20容量%、水15〜30容量%、および噴射剤50〜90%の比率で配合を充填してエアゾール化して成るエアゾール装置を害虫を防除する部屋の中央に2個置き、その内容物を噴射角度45°で噴射するようにしたエアゾールを用いた害虫防除方法」が記載されているものと認める。
(c)対比・判断
本件発明と刊行物に記載の発明を対比すると、刊行物には、本件発明の構成要件である「非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下であって、噴霧口が直径lmm以下のエアゾール装置で、内容物を噴射角度55〜85°の範囲となった左側の噴射口と噴射角度55〜85°の範囲となった右側の噴射口よりほぼV字状に一時期に噴射する」ことについては記載されていない。
すなわち、刊行物に記載のエアゾール装置は、その内容物を「殺虫原液5〜20容量%、水15〜30容量%、および噴射剤50〜90%」の比率で配合するものであるように、水を必須成分とし含有し、噴射角度は45°で噴射するものであるから、本件発明の「非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下」で「噴射角度55〜85°の範囲」で噴射するものとは構成が相違する。
そして、本件発明は、エアゾール装置を、その内容物を非水性として、その有効成分原液/噴射剤の容量比、噴射口の口径および噴射角度を上記のように特定することにより、「有効成分を遠くへ飛散させることができ有効成分の噴霧降下位置が拡がり、使用できる部屋の広さも拡大し、十分な効力を発現できる。さらに、従来は、エアゾール容量が大きく、例えば10畳あたり100mlも使用していたため、液化石油ガスやジメチルエーテルの如き、爆発性を有する噴射剤を多量に使用することができず、不燃性のフロン等が用いられていたが、本発明の方法によれば、噴射総量を低減することができ、前述の危険性が著しく低下し、少量で広い部屋に使用し、十分な効力を発現できる」という明細書記載の顕著な効果を奏するものであるから、本件発明は、刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
以上のとおりであるから、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない発明でもない。
3.むすび
したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項ないし第4項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
エアゾール装置を用いた害虫防除方法
(57)【特許請求の範囲】
〔請求項1〕 非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下であって、噴霧口が直径1mm以下のエアゾール装置を、害虫を防除する部屋に置き、その内容物を噴射角度が55°〜85°の範囲となった左側の噴射口と噴射角度が55°〜85°の範囲となった右側の噴射口よりほぼV字状に一時期に噴射するようにしたことを特徴とするエアゾール装置を用いた害虫防除方法。
【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は、有効成分と溶剤と噴射剤を容器内に封入したエアゾール装置を用いて害虫を防除する方法に関する。
〔従来の技術〕
エアゾール装置としては、有効成分と溶剤と噴射剤を容器内に封入し、容器の押釦を押すことで噴射口より有効成分を噴射して害虫を防除するものが種々知られている。
かかるエアゾール装置においては有効成分とともに溶剤・噴射剤も噴射されるために、近年、溶剤・噴射剤の多量使用による環境汚染、環境破壊の問題がクローズアップされ、人々の安全への認識も高まってきている。例えばフロン系溶剤、噴射剤による環境破壊などである。
また、害虫防除において、各種昆虫に対し、有機リン系殺虫剤、やピレスロイド系殺虫剤への抵抗性、交差抵抗性が発現しており、防除効果を上げるために、作用機構が異なる各種薬剤を、各々又は混用、あるいは処理濃度や処理時期を変化させて使用されている。
例えば、ピレスロイド系化合物は種々の衛生害虫および農園芸害虫に極めて優れた殺虫効果を示す一方、温血動物に対する毒性は低く、既に家庭用、防疫用、農業用殺虫剤として広く使用されているが、この、ピレスロイド系殺虫剤と有機リン系またはカーバメート系殺虫剤の混合製剤が有効であることはよく知られている。
しかし、これらの薬剤の物理、化学特性が著しく異なる事が多いため、製剤化する上で種々の解決すべき問題を生じ、一液化をはかるための溶剤の均一化が重要となり、中でも溶剤の選択は困難をきわめ、さらに溶解性は得られても、毒性・安全性の点で好ましくない溶剤もある。
また、製造取扱の1例として有機溶剤中毒予防規則があり作業環境測定が必要な有機溶剤は、平成2年4月現在で47種しかないが、この中には第1種ではクロロホルムや四塩化炭素等があり、第2種ではアセトン、メタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等があげられている。
また、製造上から、毒性や低温での溶解性はもちろん、高温での引火危険性等についても注意をはらう必要があり、例えば良く用いられている溶剤としてJISI号灯油は消防法で言うところの第4類第3石油類となり引火性や、化合物の種類により、法的にも区分けされ、貯ぞうや取扱い、数量に規制を受けている。
この様に、溶剤、噴射剤の使用量を減らすことは、製造性、取扱い安全性からも、またコスト上からも有用である。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、従来の全量噴射タイプの殺虫エアゾールは、上方へ噴霧するもの、斜め上方の一方向へ噴霧するものなどであり、いずれも限定された方向性を有するものであり、効果の点で若干劣るものであり広い部屋への適用はきわめて困難である。
また、フロン系噴射剤を大量に用いて、広い部屋に使用させるものがあるが、環境保全上好ましいものではなかった。
また、以下のような形状の噴射システムも考えられているが、いずれも種々の課題を有している。
つまり、実公昭62-31162号公報に示す噴射システムは、缶体の上端に缶体軸心に対して接線方向に噴口が向いた噴射ノズルを備えたエアゾール装置の缶体の下端部を吊紐に吊下げ、噴口かからエアゾール内容物が噴射されたとき、その反動でエアゾール装置が自転し、それによりエアゾール内容物を広範囲に噴射しうるようにしたものであり、かかる噴射システムではエアゾール装置を吊下げているため、自転のみならず、公転もしてしまい、所期の噴射パターンが得られないものであるばかりか、紐でエアゾール装置の如き重量で、かつ、自転公転運動をするものを吊り下げるためのフックを手の届かない天井に新たに設け、かつ、吊り下げなければならず使用に際して不便であり、しかも紐を天井などに取りつけられない場所では、使用することができないか、別途紐を吊下げるためのスタンドなどを用意しなければならないので、使用する場所が限られるなどの不都合がある。
また、実開昭63-32666号公報に示す噴射システムは、エアゾール容器に転動ローラと支持ピンを設けて成るエアゾール装置を用い、エアゾール内容物の噴射動作の反作用でエアゾール容器を装置面上で公転して噴射するシステムであり、かかる噴射システムでは支持ピンが床に、設置され、かつ支持するために、床につきささる必要があり、畳や木等の床でないと使用できず、コンクリート等には不向きであった。
また通常部屋の中央の人目につき易い所で使用するが、床にピンの傷あとが残り、不適当であった。
また公転開始時には停止しているため動作エネルギーが多大に必要となり、炭酸ガスエアゾール等噴射力の弱いエアゾールには不向きであり、またピンのささり具合によっては、公転し得ないほどつきささることもあり、不良噴射し易い。
また、支持ピン、転動ローラが必要でコストが高くなり好ましくない。
そこで、本発明は前述の種々のことがらに鑑みなされたものであり、拡散性を改善することができ、噴射剤及び溶剤を、従来に比べ著しく減少でき、安全性が良好となり、環境保全、製造性、取扱い安全性、および効力向上、簡易使用が可能となるようにしたエアゾール装置を用いた害虫防除方法を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段及び作用〕
非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下であって、噴霧口が直径1mm以下のエアゾール装置を、害虫を防除する部屋に置き、その内容物を噴射角度が55°m〜85°の範囲となった複数の噴射口より一時期にほとんど噴射するようにしたエアゾール装置を用いた害虫防除方法であり、これにより拡散性を向上できると共に、簡便な使用が可能となり、しかも安価となる。
〔実施例〕
本発明の害虫防除方法を実施するエアゾール装置の一例を第1図、第2図、第3図に基づいて説明する。
エアゾール缶1とキャップ2とオーバーキャップ3とで容器Aを構成し、キャップ2はエアゾール缶1に嵌合して取付けられ、かつ上壁4を有する円形の筒状となり、その上壁4の中央部は凹んで凹部5を有し、かつその凹部5の両側側に穴6がそれぞれ形成してあると共に、キャップ2内部にボタン7を有し、そのボタン7はエアゾール缶1のステム8に嵌合する嵌合筒9と当該嵌合筒9に設けた押し部10より成り、その嵌合筒9は、2つの通路11を通って、左側、右側の導部12に各々導かれ、各導部12先端には指定された口径の噴射口を有する左側、右側のノズル13が設けられており、その各ノズル13がキャップ2の穴6より外方に突出し、押し部10がキャップ2の凹部5底壁に形成した開口部14より外方に突出し、ボタン7の押し部10を押し込むことにより、ロック部15が相対するキャップ2の係止溝(図示せず)に係合され、ステム8を押し続け、エアゾール缶1の内容物を連続してV字状に噴霧し続ける構成になっている。
前記導部12の抑げ角(水平に対する角度)が噴射角度θとなる。
なお、エアゾール装置は以上の実施例に限定されるものではないと共に、ボタン7をロックする構成も任意のものが利用でき、さらに噴霧操作後、時限装置が作動し、噴霧開始を遅らせることも可能である。
次に前述のエアゾール装置を用いて害虫を防除する方法を説明する。
エアゾール装置を部屋の床上に置き、オーバーキャップ3を外して押し部10を押すことで2つのノズル13,13より内容物を導部12の抑げ角により噴射する。
これにより、部屋B内が第4図、第5図に示すように2つの高濃度領域C,Cと中濃度領域Dとなって有効成分を部屋B内に効率良く拡散できる。
これに対して1つのノズルより真上に噴射した場合には第6図、第7図に示すように、部屋B内が1つの高濃度領域Cと1つの中濃度領域Dと低濃度領域Eとなって有効成分を効率良く拡散できない。
本発明に用いる殺虫剤としては、
(1)ピレスロイド系殺虫剤
-α-シアノフエノキシベンジル-イソプロピル-4-クロロフエニルアセテート(一般名フエンバレレート;商品名スミサイジン;住友化学工業株式会社製以下スミサイジンという)
・3-フエノキシベンジル 2,2-ジメチル-3-(2′,2′-ジクロロ)ビニーニルシクロプロパンカルボキシレート(一般名ペルナトリン;商品名エクスミン;住友化学工業株式会社製、以下エクスミンという)
・3-フエノキシベンジル d-シス/トラン ス-クリサンテマート(一般名フエノトリン;商品名スミスリン;住友化学工業株式会社製、以下スミスリンという)
・3-アリル-2-メチルシクロペンタ-2-エン-4-オン-1-イル dl-シス/トランス-クリサンテマート(一般名アレスリン;商品名ピナミン;住友化学工業株式会社製、以下ピナミンという)
・3-アリル-2-メチルシクロペンタ-2-エン-4-オン-1-イル d-シス/トランス-クリサンテマート(商品名ピナミンフオルテ;住友化学工業株式会社製、以下ピナミンフオルテという)
・d-3-アリル-2-メチルシクロペンタ-2-エン-4-オン-1-イル d-トランス-クリサンテマート(商品名エキスリン;住友化学工業株式会社製、以下エキスリンという)・(S)-α-シアノ-3-フエノキシベンジル(1R,シス)-3-(2,2-ジブロモビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下デカメスリンという)
・(R,S)α-シアノ-3-フエノキシベンジル(1R,1S)-シス/トランス-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(以下サイパーメスリンという)
・a-シアノ-3-フエノキシベンジル α-シス/トランス-クリサンテマート(以下サイフエノトリンという)
・α-シアノ-3-フエノキシベンジル 2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート(一般名フエンプロパトリン;以下フエンプロパトリンという)
・N-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド)-メチル クリサンテマート(一般名; フタルスリン)
・5-ベンジル-3-フリルメチル クリサンテマート(一般名;レスメトリン)
・5-プロパルギル-3-フリルメチル クリサンテマート(一般名;フラメトリン)
・2-メチル-5-プロパルギル-3-フリルメチル クリサンテマート(一般名;プロパルスリン)
・1-エチニル-2-メチル-2-ペンテニルシス/トランス-クリサンテマート
・1-エチニル-2-メチル-2-ペンテニル2,2-ジメチル-3-(2-メチル-1-プロペニル)シクロプロパン-1-カルボキシレート
・1-エチニル-2-メチル-2-ペンテニル2,2,3,3-テトラメチルシクロプロパンカルボキシレート
・1-エチニル-2-メチル-2-ペンテニル2,2-ジメチル-3-(2,2-ジクロロビニル)シクロプロパン-1-カルボキシレート・2-(4-エトキシフエニル)-2-メチルプロピル-8-フエノキシベンジルエーテル(エトフエンプロクス)
・2,3,4,5,6-ペンタフルオロベンジル3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボキシレート(フエンフルスリン)
・(RS)-α-シアノ-3-フエノキシベンジル(R)-2-(2-クロロ-4-トリフルオロメチルアニリノ)-3-メチルブタノエート(フルバリネート)
・2-メチル-3-(プロプ-2-イニル)-4-オキソ-シクロペント2-エニル-d-シス・トランス-・クリサンテマート(プラレスリン)
・2,4-ジオキソ-1-(プロプ-2-イニル)-イミダゾリディン-3-イルメチル(1R)-シス,トランス-・クリサンテマート
などのピレスロイド系殺虫剤。
(2)有機リン系殺虫剤
・0,0-ジメチル 0-(3-メチル-4-ニトロフエニル)チオノフオスフエート(以下スミチオンという)
・0,0-ジエチル 0-2-イソプロピル-4-メチル-ピリミジル-(3)-チオフオスフエート(以下ダイアジノンという)
・0,0-ジメチル S-(1,2-ジカルボエトキシエチル)-ジチオフオスフエート(以下マラソンという)
・0,0-ジメチル 0-(2,2-ジクロロ)ビニルホスフエート(以下DDVPという)
・0-(4-ブロモ-2,5-ジクロロフエニル)0,0-ジメチルホスホロチオエート(以下ブロモフオスという)
・0,0-ジエチル-0-(3-オキソ-2-フエニル-2H-ピリダヂン-6-イル)ホスホロチオネート(以下ピリダフエンチオンという)
(3)カーバメート系殺虫剤
・0-イソプロポキシフエニル メチルカーバメート(以下プロポクスルという)
・5-メトキシ-3(0-メトキシフエニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2(3H)-オン(一般名:メトキサシアゾン,商品名;エレミック;住友化学工業K.K)
・1-ナフチル メチルカーバメート(カルバリル)
・2-エチルチオ メチルフエニルメチルカーバメート(エチオフエンカーブ)
本発明における上記薬剤には、通常用いられている効力増強剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消臭剤、香料、着色剤等の各種添加剤を任意に添加することができる。
効力増強剤としては
ピペロニールブトキサイド,オクタクロロジプロピルエーテル,チオシアノ酢酸イソボルニル,N-(2-エチルヘキシル)-ピシクロ[2,2,1]-ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド,N-(2-エチルヘキシル)-1-イソプロピル-4-メチルピシクロ[2,2,2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミドおよびβ-ブトキシ-β’-チオシアノジエチルエーテル。
また一般に使用される忌避剤や殺ダニ剤を使用することもできる。
(III)忌避剤としては、
・N,N-ジエチル m-トルアミド(以下DETという)
・ジ-n-ブチル サクシネート(以下DNBSという)
・ジ-n-プロピル イソシンコメロネート(以下DPICという)
テトラメチルチウラムジサルフアイト,グアニジン,ナフタレンクレゾール,シクロヘキシミド,ジンクジメチルジチオカーバメイト,シクロヘキシルアミン,N-N-ジメチルスルフエニルジチオカルバメート,2,6-ジメチル-オクタジエン-(2,6)-α1(8)(以下シトラールという),0,0-ジエチルS-2-エチルチオエチルジチオフオスフエート(以下ETPという),0,0-ジメチルS-2-イソプロピルチオエチルジチオホスフエート(以下MIPという)、r-クロラローゼ,4-(メチルチオ)-3,5-キシリルN-メチルカーバメート,4-アミノピリジンアンスラキノン,テトラメチルチラウムジサルフアイド,ジアリルジスルフイド、
溶剤又は増量剤としては
・ケロシン
・アセトン
・エタノール,プロピルアルコール,イソプロピルアルコール
・3-メチル-3-メトキシブタノール(ソフフィット)
・エチレングリコールモノブチルエーテル
・エチレングリコールモノメチルエーテル
・エチレングリコールモノイソプロピルエーテル
・プロピレングリコールモノメチルエーテル
・プロピレングリコールモノブチルエーテル
・ジプロピレングリコールモノメチルエーテル・ジプロピレングリコールモノブチルエーテル・ジエチレングリコールモノメチルエーテル
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル
・ジエチレングリコールモノプロピルエーテル・ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル
N-(2-エチルヘキシル)-1-イソプロピルー4-メチルピシクロ[2,2,2]オクト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド(以下CP5という),N-(2-エチルヘキシル)-ピシクロ[2,2,1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボキシイミド(以下CP2という),アラキン酸メチル,アラキン酸エチル,アラキン酸イソプロピル,アラキン酸n-ブチル,アラキン酸イソブチル,アラキン酸オクトチル,リーセン,ベヘニン酸メチル,ベヘニン酸エチル,ベヘニン酸イソプロピル,ベヘニン酸n-ブチル,ベヘニン酸イソブチル,セサメックス,リブノセリン酸メチル,リブノセリン酸エチル,リブノセリン酸イソプロピル,オレイン酸メチル,オレイン酸エチル,オレイン酸イソプロピル,オレイン酸n-ブチル,オレイン酸イソブチル,オレイン酸ペンチル,スルフオキサイド,リノール酸エチル,リノール酸メチル,リノール酸イソプロピル,リノール酸n-ブチル,リノール酸イソブチル,リノレン酸エチル,リノレン酸ブチル,オクタクロロジプロピルエーテル,フタル酸ジブチル,フタル酸ジオクチル,ステアリン酸メチル,ステアリン酸エチル,ステアリン酸イソプロピル,ステアリン酸n-ブチル,ステアリン酸イソブチル,チオシアノ酢酸イソボニル,ラウリン酸オクチル,ミリスチン酸n-ブチル,ミリスチン酸イソブチル,ミリスチン酸オクチル,アルフア[2-(2-ブトキシエトキシ)エトキシ]-4,5-メチレン2-プロピルトルエン,パルミチン酸メチル,パルミチン酸エチル,パルミチン酸イソプロピル,パルミチン酸n-ブチル,パルミチン酸イソブチル,パルミチン酸オクチル等を例示しうるがこれらのものに限定されるものではない。
また、カーバメート系化合物のうち、5-メトキシ-3-(0-メトキシフエニル)-1,3,4-オキサジアゾール-2(3H)-オン(メトキサジアゾン)を用いた製剤が広く商品化されているが本メトキサジアゾンは常温固体(mp.77℃)でパラフィン系溶剤や、アルコール系溶剤には溶けにくい性質を有している。
先に上げた、作業環境測定が必要な有機溶剤の一部には溶け易く、例えばアセトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等である。
本発明者らは取扱い及び環境への安全性等を配慮し、検討した結果、エアゾール型殺虫剤にも適用できる溶剤としては、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル
ジエチレングリコールモノエチルエーテル
ジエチレングリコールモノプロピルエーテル
ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル
ジエチレングリコールモノブチルエーテル
3-メチル-3-メトキシブタノール
が好ましいことを見い出している。
これらのエアゾール剤としては、
原液噴射剤の容量比としては、4/6以下が好ましく特には2/8以下である事が最適であり、噴射粒子の微細化及び拡散噴霧が可能となる。
溶剤量は、製造可能である限り、減少する事が好ましく、原体を加熱溶解したり高温溶液としたり、原体と溶剤を別々にして充填し、噴射剤を充填して溶解させる方法や噴射剤に原体を溶解したのち充填する方法等が利用できる。
噴射剤としては、ジメチルエーテルL.P.G,窒素ガス、炭酸ガス等が利用でき、これらの混合使用もでき20℃で2-6kg/cm2の噴射剤を使用する事が好ましい。
さらに噴霧口としては、1.0mm以下が好ましく特には0.5mm以下である事が最適であり、噴霧粒子の微細化及び遠方への噴霧が可能となる。
試験例を説明する。
(試験1)
ペルメトリン1.5g、メトキサジアゾン0.75gをジエチレングリコールモノメチルエーテルにて溶解し、7mlとしジメチルエーテル、液化石油ガス(70:30)を噴射剤として加え全量を50mlとした。
噴射口(0.3mmφ)を2つとし、水平からの角度θを40°、55°、70°、85°の4種及び比較として、噴射口(0.3mmφ)を1つとして、真上へ噴射するものを作製し、各々、エアゾール化した。
第8図のように10畳の部屋Bの4隅及び対角線上の1/4分割の点4点に木製シェルタ入りのシャーレaをおきピレスロイド抵抗性チャバネゴキブリ(♀)25匹づつ放飼した。
部屋の中央にて供試サンプルを噴射し、ノックダウン時間及び2時間暴露後にチャバネゴキブリを回収し、24時間後の死亡率を調べた。
その結果は下記表1となった。

このことによりピレスロイド抵抗性チャバネゴキブリに対しては、複数の噴霧口を有する場合噴霧角度55°〜85°において、ノックダウン時間(KT50)が早く、死亡率(KT 50)も高いものであった。
また、通常の感受性チャバネゴキブリで同様の試験を行なった場合、いずれも高い死亡率が得られたが、ノックダウン時間(KT50)については同様の傾向がみられた。
(試験2)
サイフエノトリン1.0g、メトキサジアゾン1gをジエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解し、10mlとしジメチルエーテル、液化ガス(95:5)を噴射剤として加え全量を50mlとしたエアゾールを調製し、試験1と同様の効力試験を行なった。
この時の噴射口は4口で70°の噴射角度とした。また内容組成物を同じ比率で各化合物・噴射剤を加え、全量を100、150mlとしたエアゾールを調製し、各々20畳、30畳にて同様の効力試験を行なった。
その結果は下記表2のようになり、

いずれも良好であり、少量の噴射量で十分な効力が得られた。
(試験3)
フエノトリン2.0g、フエニトロチオン1.Og、エタノール20mlをJISI号灯油にて溶解し、30mlとし、ジメチルエーテル、液化石油ガス(50:50)を噴射剤として加え、全量を100mlとした。噴射口(0.3mmφ)を1、2、4、6個各々設け、水平からの角度θ60°としたものを作製し、各々エアゾール化した。
第9図のように20畳の部屋Bの4隅に木製シェルター入りのシャーレaを2個づつおき、ピレスロイド抵抗性チャバネゴキブリ(♀)25匹づつ放飼した。
部屋の中央にて供試サンプルを噴射し、20畳の部屋を左右2分割し、各々の部屋の供試虫のノックダウン時間を測定した。ただし噴射口1個のものは中央位置より右方向に噴射したものと、右部屋隅から、左方向へ噴射したものについて測定した。ノックダウン時間を調べた。
その結果は表3のようになり、

噴射口が2以上有ることにより、部屋の隅々まで安定した効力が得られた。
また噴射口が1つのものは、設置方法を変えても、十分な効力が得られなかった。
〔発明の効果〕
左側、右側の噴射口から55〜85°の角度でほぼV字状に噴射させる害虫防除方法であるから、例えば噴射口が2個の場合、同じ口径のノズルを使用すると、1ケに比べ、早期に全量噴霧でき、対象害虫、例えば、ゴキブリが薬剤付着に気づき、逃げる前に、十分量の薬剤を付着させることができる。また、上方1方向噴霧方法に比べ、薬剤高濃度域が広く、かつ均一となり、低濃度域がなくなり、床面等に薬剤が降下したときの薬剤バラツキが著しく減少し、部屋中央部が不必要に高濃度になることはない。
また、55°〜85°の範囲の角度を有して噴射するため、有効成分を遠くへ飛散させることができ有効成分の噴霧降下位置が拡がり、使用できる部屋の広さも拡大し、十分な効力を発現できる。さらに、従来は、エアゾール容量が大きく、例えば10畳あたり100mlも使用していたため、液化石油ガスやジメチルエーテルの如き、爆発性を有する噴射剤を多量に使用することができず、不燃性のフロン等が用いられていたが、本発明の方法によれば、噴射総量を低減することができ、前述の危険性が著しく低下し、少量で広い部屋に使用し、十分な効力を発現できるものである。
また、使用者は特別な操作をしなくとも良いから簡易使用が可能で、しかも特別な部材を用いたりしなくとも良いから安価である。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図、第3図はエアゾール装置の一例を示し、第1図は外観斜視図、第2図は断面図、第3図はボタンの外観斜視図、第4図、第5図は噴射状態の説明図、第6図、第7図は従来のエアゾール装置による噴射状態の説明図、第8図、第9図は試験例を示す平面図である。
 
訂正の要旨 特許第2819481号の特許明細書を本件審判請求書に添付の訂正明細書のとおりに訂正する。即ち、特許請求の範囲の減縮を目的として下記aのとおり訂正し、明りょうでない記載の釈明を目的として下記bのとおり訂正する。
a.特許請求の範囲の請求項1の「【請求項1】容器内に有効成分及び噴現寸剤を充填してエアゾール化して成るエアゾール装置を害虫を防除する部屋に置き、その内容物を噴射角度が55°〜85°の範囲となった左側の噴射口と噴射角度が55°〜85°の範囲となった右側の噴射口よりほぼV字状に一時期に噴射するようにしたことを特徴とするエアゾール装置を用いた害虫防除方法。」を
「【請求項1】非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下であって、噴霧口が直径1mm以下のエアゾール装置を、害虫を防除する部屋に置き、その内容物を噴射角度が55°〜85°の範囲となった左側の噴射口と噴射角度が550〜850の範囲となった右側の噴射口よりほぼV字状に一時期に噴射するようにしたことを特徴とするエアゾール装置を用いた害虫防除方法。」と訂正する。
b.明細書第7頁第6行〜7行(特許公報第2頁第4欄第28〜29行)の「容器内に有効成分及び噴射剤を充填してエアゾール化して成るエアゾール装置を」を「非水性の有効成分原液/噴射剤の容量比が4/6以下であって、噴霧口が直径1mm以下のエアゾール装置を、」と訂正する。
審決日 2000-12-19 
出願番号 特願平2-152542
審決分類 P 1 41・ 832- Y (A01M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 星野 浩一  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 新井 重雄
鈴木 寛治
登録日 1998-08-28 
登録番号 特許第2819481号(P2819481)
発明の名称 エアゾール装置を用いた害虫防除方法  
代理人 浜本 忠  
代理人 高橋 邦彦  
代理人 佐藤 嘉明  
代理人 高橋 邦彦  
代理人 浜本 忠  
代理人 佐藤 嘉明  

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