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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する B02C
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B02C
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する B02C
管理番号 1040285
審判番号 訂正2000-39142  
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-12-10 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2000-11-17 
確定日 2001-02-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2813572号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2813572号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 【1】手続の経緯
本件特許第2813572号は、実願平3-44866号(出願日:平成3年6月14日)の一部を分割して新たな実用新案登録出願とした実願平7-3054号を出願変更した特願平8-104888号に係り、平成10年8月7日に、次の事項をその構成に欠くことができない事項として設定登録され、平成12年11月17日付けで本件審判請求がなされたものである。
「シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞したシュレッダーにおいて、
前記取付台の外周に各刃先片に噛合する段状歯部を突出形成したことを特徴とするシュレッダー用切断刃。」
【2】本件審判請求の趣旨
本件審判請求は、特許第2813572号の願書に添付した明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであるが、その要旨は、次の(イ)〜(ホ)のとおりのものと認める。
(イ)訂正事項a
請求項1記載の「該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞したシュレッダーにおいて」を、
「該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにしたシュレッダーにおいて」と訂正する。
(ロ)訂正事項b
請求項1記載の「前記取付台の外周に各刃先片に噛合する段状歯部を突出形成した」を、
「前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」と訂正する。
(ハ)訂正事項c
願書に添付した明細書の段落[0009]〜[0011]の「【0009】【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本発明は、シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞したシュレッダーにおいて、前記取付台の外周に各刃先片に噛合する段状歯部を突出形成したことを特徴とする。【0010】【作用】上記構成において、取付台の部分は刃先部分により表面に露出しないように取り囲まれているため、処理物を破砕する際の摩耗から保護され、使用によって摩耗するのは、刃先部分だけとなる。刃先部分の取り替えの際には、周方向に分割されてなる刃先片を個々に取付台から取り外すだけでよい。そして、新しい刃先部分を取付台にボルト等で接合締結して切断刃として一体化する。かかる構成の切断刃においては、ケーシングや軸受などを取り外さなくても、切断刃のうちの摩耗した刃先部分のみを取り替えることによって、簡単に刃先の取替作業が行える。【0011】しかも、取付台の外周に各刃先片に噛合する如く段状歯部が突出形成されていることから、この段状歯部により軸回転力が刃先部分に確実に伝達されると共に、破砕切断時に刃先片を介して伝わってくる反力がこの段状歯部を介して取付台で支持される。」を、
「【0009】【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本発明は、シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにしたシュレッダーにおいて、前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成したことを特徴とする。【0010】【作用】上記構成において、取付台の外周は刃先部分により表面に露出しないように取り囲まれていると共に取付台の側面はスペーサにより表面にほぼ露出しないようになっているため、処理物を破砕する際の摩耗から保護され、使用によって摩耗するのは、刃先部分だけとなる。刃先部分の取り替えの際には、周方向に分割されてなる刃先片を個々に取付台から取り外すだけでよい。そして、新しい刃先部分を取付台にボルト等で接合締結して切断刃として一体化する。かかる構成の切断刃においては、ケーシングや軸受などを取り外さなくても、切断刃のうちの摩耗した刃先部分のみを取り替えることによって、簡単に刃先の取替作業が行える。【0011】しかも、取付台の外周に刃先部分に噛合する如く段状歯部が突出形成されていることから、この段状歯部により軸回転力が刃先部分に確実に伝達されると共に、破砕切断時に刃先片を介して伝わってくる反力がこの段状歯部を介して取付台で支持される。」と訂正する。
(ニ)訂正事項d
願書に添付した明細書の段落[0019]の「【0019】刃先13と取付台14との接合境界面Cは、表面に露出しない、つまり、取付台14の外周全体が表面に露出しないように刃先片13aによって完全に取り囲まれた形に囲繞されている。これにより、摩耗は刃先13の部分にのみ生じ、取付台14の部分には生じない。かくして、取付台14の部分は、刃先13の部分によって保護されて摩耗しないから、交換は刃先13部分のみでよくなる。なお、取付台14の外周には各刃先片13aに噛合する如く段状歯部14aが突出形成されており、この段状歯部14aにより軸回転力を刃先13部分に確実に伝達できるようになっていると共に、切断時の反力をこの歯部14aで受け持つ。」を、
「【0019】刃先13と取付台14との接合境界面Cは、表面に露出しない、つまり、取付台14の外周全体が表面に露出しないように刃先片13aによって完全に取り囲まれた形に囲繞されている。しかも後述するようにスペーサ11の外径が取付台14の外径より大きく形成されて取付台の側面が表面にほぼ露出しないように構成されていることにより、摩耗は刃先13の部分にのみ生じ、取付台14の部分には生じない。かくして、取付台14の部分は、刃先13の部分とスペーサ11の部分とによって保護されて摩耗しないから、交換は刃先13部分のみでよくなる。なお、取付台14の外周には刃先片部分13に噛合する如く段状歯部14aが突出形成されており、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部14aとを係合することにより、この段状歯部14aにより軸回転力を刃先13部分に確実に伝達できるようになっていると共に、切断時の反力をこの歯部14aで受け持つ。」と訂正する。
(ホ)訂正事項e
願書に添付した明細書の段落[0024]の「【0024】【発明の効果】以上説明した本発明にかかる切断刃は、軸に嵌着される取付台の部分とこれを取り囲む刃先部分とによって分割形成され、刃先も周方向に分割されて幾つかの刃先片で形成され、各刃先片を取付台に着脱可能に構成したので、使用によって刃先部分のみが摩耗するだけとなり、取替作業が大幅に省力化され、保守管理が非常にやり易くなるという効果を奏しつつ、取付台の外周に各刃先片に噛合する如く段状歯部を突出形成したことにより、この段状歯部により軸回転力を刃先部分に確実に伝達でき、かつ、破砕切断時に刃先片から伝わってくる反力をこの段状歯部を介して取付台で確実に支持することができる。」を、
「【0024】【発明の効果】以上説明した本発明にかかる切断刃は、軸に嵌着される取付台の部分とこれを取り囲む刃先部分とによって分割形成され、刃先も周方向に分割されて幾つかの刃先片で形成され、各刃先片を取付台に着脱可能に構成し、取付台の外周は刃先部分により表面に露出しないように取り囲まれていると共に取付台の側面はスペーサにより表面にほぼ露出しないようになっているため、使用によって刃先部分のみが摩耗するだけとなり、取替作業が大幅に省力化され、保守管理が非常にやり易くなるという効果を奏しつつ、取付台の外周に刃先部分に噛合する如く段状歯部を突出形成したことにより、この段状歯部により軸回転力を刃先部分に確実に伝達でき、かつ、破砕切断時に刃先片から伝わってくる反力をこの段状歯部を介して取付台で確実に支持することができる。」と訂正する。
【3】訂正の目的、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
1.訂正事項aについて
訂正事項aは、取付台とスペーサの外径との関係を限定したものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
願書に添付した明細書の段落[0021]の「【0021】図2は切断刃10の両側に密着挟装したスペーサ11と取付台14との大小関係を示す。すなわち、スペーサ11の外径Dは取付台14の外径dよりも大きい(D>d)関係をもつように形成されており、この結果図示する如く、スペーサ11側面の(この例では突出した段状歯部14aの部分を除く)斜線部分11aが取付台14の外形よりはみ出すように構成される。こうすることによって、取付台14の外周面上に接合される各刃先片13aが、両側のスペーサ11のはみ出し部分(図上斜線部分)11aによって挟まれ、その幅方向の位置がズレないよう固定されることになる。かくして、各刃先片13aは軸1に直角方向は前述したようにボルト16で固定され、軸方向(即ち、刃先の幅方向)は刃先片13aの両側に密着したスペーサ11のはみ出し部分によって挟持固定されることから、長時間の使用にもガタを生じることがなく、その引き込み及び破断機能に支障を来さない。」との記載があり、上記「取付台14の外径d」は、図2を参照すれば取付台14に内接する円の径を示すことは明らかであり、「スペーサ11の外径Dは取付台14の外径dよりも大きい(D>d)関係をもつように形成」した場合、取付台の側面のうち、少なくとも前記「取付台14に内接する円」の内側の部分が表面に露出しないことは説明を要することなく明白であり、また、図2によれば段状歯部14aの一部がスペーサ11の外径Dより外側に位置しているから、訂正事項aの「ほぼ露出しないようにした」とは、少なくとも前記取付台14に内接する円の内側の部分が表面に露出しないことを意味すると同時に、スペーサ11の外径Dより外側に位置する部分が「露出」することを意味することは明白であり、このことは前記「(D>d)関係」及び図2によって示されているから、訂正事項aの「スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにした」の点は、上記段落[0021]の記載及び図2に示す事項の範囲内の事項と認められる。
そして、願書に添付した明細書には、「【0001】【産業上の利用分野】この考案は、剪断作用により各種の固形処理物を連続的に破砕するシュレッダー用の切断刃の改良に係り、詳しくはケーシングに軸支された回転軸上に装着される切断刃を、取付台部分と刃先部分とによって分割形成して、摩耗が刃先部分のみに生じるように構成すると共に、その交換が容易にできるシュレッダー用切断刃に関する。」及び「【0008】本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたもので、切断刃を軸に装着する取付台の部分と摩耗し易い刃先部分とに分割して、刃先部分を取付台に接離可能に構成したうえで、取付台に設けた段状歯部で刃先片と係合させて刃先片から伝わってくる反力を確実に取付台で支持できるようにしたシュレッダー切断刃を提供することを目的とする。」と記載されており、願書に添付した明細書の請求項1に係る発明は、取付台の部分を摩耗することのない部分とし、刃先部分を取付台に接離可能にして、これが摩耗した場合に容易に交換ができるシュレッダー用切断刃を前提条件として、刃先片から伝わってくる反力を確実に取付台で支持できるようにすることを目的とするものであり、また、訂正事項aの「スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにした」の点は、取付台の部分を摩耗することのない部分とするための構成と認められる。
また、スペーサ11の外径Dを取付台14の外径dよりも大きい(D>d)関係をもつように形成することにより、前摘示の明細書の段落[0021]の「各刃先片13aが、両側のスペーサ11のはみ出し部分(図上斜線部分)11aによって挟まれ、その幅方向の位置がズレないよう固定される」等の作用効果が得られるものであるが、願書に添付した明細書の請求項1に係る発明は、刃先部分を取付台に接離可能にして、これが摩耗した場合に容易に交換ができるシュレッダー用切断刃を前提条件として、刃先片から伝わってくる反力を確実に取付台で支持できるようにすることを目的とするものであるから、刃先部分を取付台に対して「その幅方向の位置がズレないよう固定」することも必然的に求められる課題であるので、スペーサ11の外径Dを取付台14の外径dよりも大きい(D>d)関係をもつように形成することによって前記作用効果が得られるものであっても、訂正事項aが願書に添付した明細書の請求項1に係る発明の目的の範囲を逸脱するものとすることはできない。
よって、訂正事項aは、願書に添付した明細書の請求項1に係る発明の目的の範囲を逸脱するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものとは認められない。
2.訂正事項bについて
訂正事項bは、願書に添付した明細書の請求項1に係る発明における、取付台外周の段状歯部と各刃先片が噛合する構成を、各刃先片の端部に段部が設けられ、該段部が取付台外周の段状歯部に係合する構成に限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
訂正事項bの「前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」点は、図1及び図2に示された事項の範囲内のものと認められる。
そして、この点は、刃先片から伝わってくる反力を確実に取付台で支持できるようにするためのものと認められ、願書に添付した明細書の請求項1に係る発明の目的の範囲を逸脱するものではないので、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものとは認められない。
3.訂正事項c〜eについて
訂正事項c〜eは、上記訂正事項a,bによる特許請求の範囲の訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合するよう発明の詳細な説明の記載を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、上記訂正事項a,bと同様の理由により、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の事項であり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものとは認められない。
【4】独立特許要件
1.訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明
本件審判請求書に添付した訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「訂正に係る発明」という。)は、訂正明細書及び願書に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにしたシュレッダーにおいて、
前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成したことを特徴とするシュレッダー用切断刃。」
2.刊行物に記載された発明
本件特許に対する平成11年審判第35020号・本件特許発明の特許無効審判事件において、又は、日本スピンドル製造株式会社が提出した上申書によって提出された、本件特許の出願前に頒布された刊行物である実公昭57-31953号公報(以下「引用例1」という。)、実公昭57-42518号公報(以下「引用例2」という。)、欧州特許出願公開第0401620号明細書(以下「引用例3」という。)、実公昭40-28155号公報(以下「引用例4」という。)、実公昭42-18397号公報(以下「引用例5」という。)、実願昭49-73388号(実開昭51-2776号)のマイクロフィルム(以下「引用例6」という。)、実願昭54-13533号(実開昭55 -115346号)のマイクロフィルム)(以下「引用例7」という。)には、それぞれ以下の事項が記載されているものと認める。
(1)引用例1(実公昭57-31953号公報)
a.「この考案は破砕機、特に、ツイン・スリット型破砕機のカッターの改良に係り、その目的は製作加工の容易化、互換性の容易さ並びに再生使用の向上を図りながら、正確にして精度のよいスリッター機能を約束し、かつ、材料の性状、砕製品の使用目的に即応したカッターを提供するにある。」(第2欄第6〜11行)
b.「5,5はケーシング1内に互いに内方に向って回転駆動するように軸装した左右一対のスリットカッターで、回転軸6,6上にカッター7,7とカラー8,8をそれぞれ交互に套嵌することによって構成され」(第3欄第23〜28行)
c.「本考案では上記のカッター7を第3図以下に示す如く構成したのである。即ち、上記カッター7は円盤状又は多角形盤のような母台11と、この母台11の外周に着脱自在に取付けられた爪9を有する刃体12と、爪9を有さない刃体13とから構成されている。母台11はこの外周縁が刃先とならないことから、高級鋼とする必要がなく普通鋼で切削加工され、該母台11の中心には回転軸6への取付け孔11aを有する。母台11の外周形状は第3図に示すように円であっても、又は第4図に示すように正多角形であってもよく、いずれにしても、その外周面上には刃体12およぴ刃体13の取付け座14が周方向全体にわたって連続して形成してある。」(第3欄第42行〜第4欄第11行)
d.「取付け座14のボルト孔16と刃体12のボルト孔17とが相一致するように取付け座14と着設座15を嵌合し、径方向外方からボルト19を螺入して締結し、ボルト孔16と18とを相一致せしめて同じく径方向外方からボルト20を螺入して締結することにより、母台11の外周上に爪9を有する刃体12と爪9を持たない刃体13とが着脱自在に取付けられるのである。」(第4欄第28〜36行)
e.「本考案では2つの刃体12,13を分割するに当って、母台11の周方向において等分割しているものであるから、図例のような4刃構成を初めとする例えば8刃構成から2刃構成のように任意の刃構成にすることが可能となり、」(第5欄第24〜29行)
f.「また、カッター7の一部が欠損したり摩耗したりした時にはその欠損した部品のみの交換ができるし、摩耗した部品のみを再研摩すれば再使用が簡単にできるし、部品の再研摩に当っても、それ自身の重量が小さいのでその加工も非常に簡単かつ確実にできる等の利点がある。」(第6欄第17〜22行)
等の記載があり、さらに、
g.図面の第3図、第4図には、母台11の全外周に、爪9を有する刃体12と爪9を有さない刃体13が取付けられて、前記母台11の外周が表面に露出していないようにした破砕機のカッター.が示されているものと認められる。
これらの記載及び図面等を参照すると、引用例1には、
“破砕機のケーシング1に軸支された回転軸6にカラー8を挟んでカッター7を装着し、このカッター7を該回転軸6に嵌着される母台11とこれを取り囲む刃体12及び13からなる刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の前記刃体12及び13で形成し、各刃体12及び13を該母台11に接雛可能に構成する共に、該刃先部分で該母台11の外周が表面に露出しないよう囲繞した破砕機のカッター.”
が記載されているものと認められる。
(2)引用例2(実公昭57-42518号公報)
a.「本考案は、破砕機用スリットカッタ構造体に係りより具体的にはカッタ母台とブレード刃体を締結ボルトで組立分解自在に構成したスリットカッタ構造体の改良に関する。」(第1欄第30〜33行)
b.「第1図乃至第3図において、1は母台であり、その中心にキー溝2付の支持孔3を有し、外周面にはブレード刃体着座面4が周方向複数に等配に形成されて多角配置とされ、この着座面4のカッタ回転方向後側に径方向外向の受圧座面5が形成されている。実施例図では正六角形の各角部に受圧座面5を形成した形状で、前記着座面4には径方向に螺設した盲孔構造の取付けねじ孔6の複数が着座面4の巾方向中央で、かつ、着座面4の長手方向所定間隔に形成されている。」(第3欄3〜13行)
c.「このブレード刃体7は嵌合凹部8を母台1の各着座面4にインロ一構造で嵌合せしめ、刃体7の一端面7Aを受圧座面5に衝合せしめ相対応した各ねじ孔6と挿通孔9に座金10およびカラー11を有する頭付締結ボルト12を径方向外側より螺締して取付けられ、締結ボルト12の頭12Aを座ぐり部9Aに収納し、かつ、符号Aで示す如く沈めている。而して、このブレード刃体7の取着姿勢においてブレード刃体7の他端面が母台1の外周に複数個突設した材料掻込み爪7Bを有するスリットカッタ構造体Cが構成される。更に、ブレード刃体7はその長手方向断面形状が台形であって、少なくとも一端面7Aの厚みが受圧座面5の突出高さよりも大きくされており、ここに当該端面7Aを受圧座面5に衝合したとき、符号Bで示す段差によりその衝合面を通じてインロー内部に異物が侵入するのを防止すると共に、ブレード刃体7のめくれ現象を防止している。」(第3欄第23〜41行)
d.「以上使用例において破砕室14に投入口から材料が供給されると、この材料はスリットカッタ構造体Cの掻込み爪7Bにて互いに内向に喰込み状に引込むことになる。このとき、引込み外力が爪7Bに第1図のF1方向に作用することになる。この外力F1に対してはブレード刃体7の一端面7Aが母台1の受圧座面5に衝合していることから、外力F1は母台1にて受担することになり、ここに締結ボルト12に対する負荷が軽減され、同ボルト12の弛み機会は少なくなる。」(第5欄第3〜12行)
e.「ここに刃体7の再生加工、修理が簡便となるのである。」(第6欄第11〜12行)
等の記載があり、さらに、
f.図面の第1図、第3図には、“互いに前後に位置する着座面4は、それらの間に受圧座面5が介在し、前記受圧座面5と前後の着座面4とが角度をもって連接されていて、前記前後の着座面4が受圧座面5を介して段状に連接されている構造.”が示されているものと認める。
これらの記載及び図面等を参照すると、引用例2には、
“破砕機のケーシング16に軸支された回転支軸13にディスタンスカラー18を挟んでスリットカッタ構造体Cを装着し、このスリットカッタ構造体Cを該回転支軸13に嵌着される母台1とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個のブレード刃体7で形成し、各ブレード刃体7を該母台1に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該母台1の外周が表面に露出しないよう囲繞した破砕機において、前記各ブレード刃体7をほぼ台形状とし、前記母台1には、外周にブレード刃体7の着座面4を多角形配置で形成し、この着座面4のカツタ回転方向後側に径方向外向の受圧座面5を形成して、前記着座面4の前端部と受圧座面5とで段状の歯部を形成するとともに、前記ブレード刃体7のカッタ回転方向後側一端面7Aを前記受圧座面5に衝合して成る破砕機用スリットカッタ構造体.”が記載されているものと認める。
(3)引用例3(欧州特許出願公開第0401620号明細書(1990))
a.「図23から29における回転体又はロータ1は、一例としてロータ円板66と、該ロータ円板の間に設置する分離リング5とを交互に配置して構成することができる。円板の周囲表面67には、保護キャップ69のカッターエッジ68の下方に、固定機素70が固定歯71の形で設置されている。この固定歯71は、ロータの回転方向前方にあるポケットの領域73が、特に、固定歯71の形に適合するように形成された保護キャップ69のポケット72に、嵌入するようにしている。固定歯71のロータ回転方向前方にあるフランク74は、保護キャップの内部75にあるフランク76と共に機能する。固定歯71は、切断力を担うと同時に、保護キャップを半径方向に保持する作用も果たす。図23において、固定歯71の力を伝達するフランク74は、ロータの軸を含む半径方向面77にある。図24,27,28,29に従う実施例の場合、固定歯の力を伝達するフランク74は、例えば、図27の78に見られるとおり、半径方向面77に対して後退している。後退面78を通じて、ロータ軸方向に対して横向きに設置されている保護キャップ69の半径方向の固定が得られる。」(第14欄第45行〜第15欄第13行参照)
b.「保護キャップ69とくさび部材85を採用するため、本発明の別の実施例のロータ円板66においては、保護キャップ69の脚部69a又はくさび部材85の脚部85aの厚みtを両側で削減しており、半径方向においては、保護キャップの脚部又はくさび部材の脚部が内向きに延びて、ロータ円板66のこの領域の直径dは、隣接する分離リング5の直径Dより小さくなっている。」(第15欄第14〜23行参照)
c.「発生する切断力を適切に利用するため、固定歯71のそれぞれは、半径方向においては摩耗ゾーン79(図28)までできるかぎり密に接して保護キャップ69に突出する大きさに設計されている。このことは、特に、固定歯又は円板周囲67に設置されている歯71のそれぞれが保護キャップの最頂部80の領域に突出することにより可能となる。後退面78を伴う固定歯71の保護キャップを円板周囲に取り付けるためには、後退面の凹部において、保護キャップの内部75のポケット72は、構成上必要なあそびaの分だけ固定歯71の長さbより長くなければならない。」(第15欄第24〜38行参照)
d.「図31においては、………回転体又はロータ円板93の周囲に備わる固定歯94は、半径方向の面77に対してきわめてわずかに後退しているのみか又は垂直となっているので、保護キャップ95は容易に半径方向の取り外し又は交換ができる。」(第16欄第21〜28行参照)
等の趣旨の記載があるものと認められ、さらに、
e.Fig.23,24,27,29,31等には、“固定歯71,94はロータ円板66,93に対して段状に突出し、保護キャップ69,95の内部のポケット72にはまり込む形状をなして形成されているもの”が示され、また、
f.前記ロータ円板66,93が軸2に嵌着され、前記軸2がケーシングに軸支されること、前記ロータ円板66とカッターエッジ68を有する複数の保護キャップ69,95及びくさび部材85とがシュレッダーの切断刃を構成していることは、技術常識と認められるから、
前記記載及び図面等を参照すると、引用例3には、
“シュレッダーのケーシングに軸支された軸2に分離リング5を挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸2に嵌着されるロータ円板66,93とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の保護キャップ69,95及びくさび部材85で形成し、各保護キャップ69,95及びくさび部材85を該ロータ円板66,93に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該ロータ円板66,93の外周が表面に露出しないよう囲繞し、該分離リング5及び保護キャップ69,95並びにくさび部材85で該ロータ円板66,93の側面が表面に露出しないようにしたシュレッダーにおいて、前記ロータ円板66,93の周囲表面67に、前記各保護キャップ69,95の内部75のポケット72にはまり込み、該保護キャップ69,95に対してロータ円板66,93の回転力を伝達すると共に切断時の反力を支持する段状の固定歯71,94を突出形成した点.” 及び
“ロータ円板66の半径方向において、保護キャップ69の脚部69a及びくさび部材85の脚部85aは内向きに延びて、前記脚部69a,85a内周面に接するロータ円板66の周面の直径dは、隣接する分離リング5の直径Dより小さく形成されたシュレッダーのロータ.”
が記載されているものと認める。
(4)引用例4(実公昭40-28155号公報)
a.「本考案はダブルロールクラッシャー、特にそのタイヤーとその取付体即ちコアーの改良に関する。」(第1頁左欄第21〜23行)
b.「その外周28は円筒状をなし、その左右両端27,27を所定度外方へ突出させ、そこへ、その円周方向に所定度長い複数個の切込28を、等間隔に且つ、左右両端27,27の切込28,28が、前記タイヤー単位板への凸起部1,1或いは21に適合する如く相対向し、対をなす如くし、この切込28,28の対の数と、前記タイヤー単位板への分割の数とは一致する如くし、その各対をなす切込28,28の全部へ、タイヤー単位板へを嵌合せしめた時は、即ち、このタイヤー単位板へにより、コアートの外周を完全に囲繞せしめる如く形成する。」(第2頁左欄第43行〜同頁右欄第6行)
c.「その取付けられたタイヤー単位板ヘはその回転方向に長いキー凸起部1,1或いは21によってコアートへ嵌合され、上記の如きボルトチナットリによって締着せられるから強大な破砕力に耐え得、然かもタイヤーホの摩耗に至りての取替えは上記の如く専門的技術を要せず、クラッシャー使用者に於いて簡単に手間を要せずになし得る。」(第2頁右欄第36〜42行)
等の記載があり、併せて図面を参照すると、引用例4には、
“ダブルロールクラッシャーにおいて、ロールをコアートとこれを取り囲むタイヤー部分とで分割形成し、しかもこのタイヤー部分を周方向に分割して複数個のタイヤー単位板へで形成し、各タイヤー単位板へを該コアートに接離可能に構成する共に、該タイヤー部分で該コアートの外周が表面に露出しないよう囲繞し、前記コアートの左右両端27,27に切込28,28を形成する一方、各タイヤー単位板への左右両端に設けた凸起部1,1或いは21を前記切込28,28に嵌合して、タイヤー部分をコアートに取り付けた点”が記載されているものと認められる。
(5)引用例5(実公昭42-18397号公報)
引用例5には、特に図面第1図を参照すると、
“ロールクラッシャー歯板取付装置において、破砕ロールをロール1とこれを取り囲む歯板部分とで分割形成し、しかもこの歯板部分を周方向に分割して複数個の歯板2で形成し、各歯板2を該ロール1に接離可能に構成する共に、各歯板2底面の凹部と該ロール1周面の凸部とを係合させて、歯板部分をロールに取り付けた点”が記載されているものと認められる。
(6)引用例6(実願昭49-73388号(実開昭51-2776号)のマイクロフィルム)
a.「回転軸に複数枚の回転刃を軸装すると共に回転刃と回転刃との間に該回転刃の最長外径よりも短径のスペーサーを介在させることにより、少なくとも回転刃の刃先をスペーサーの外周面より外側に突出させると共に回転刃と回転刃との間に所要の間隔を設けたことを特徴とする粉砕機。」(実用新案登録請求の範囲)
b.「この考案は粉砕機の改良に関し、更に詳しくは主にスクラップ化された合成樹脂、ゴム、エボナイト、その他のものを粉砕、破砕して再生処理又は廃棄処理し易いようにするための粉砕機における回転刃部の改良に関するものである。」(明細書第1頁第12〜16行)
c.「尚、上記実施例においてはスペーサーに山形の周面を備えた円盤状のものを例示したが、角形状、その他の形状のものも当然使用できるものであり、またその径長も回転刃の最長外径より短かい範囲内で所望に変更調整でき、更に回転刃は四枚羽根のものに限定されるものではない。」(明細書第3頁第10〜15行)
d.「尚、破砕物の大きさ、材質に応じてスペーサーの大きさ、形状、巾等を適宜変更すれば一層優れた効果を期待できるものである。」(明細書第4頁第18〜20行)
等の記載があり、さらに、
e.図面の第2図には、“回転刃の刃先のみをスペーサーの外周面より外側に突出させるように、回転刃の側面の大部分を覆う外径を有するスペーサ.”が示されているものと認める。
(7)引用例7(実願昭54-13533号(実開昭55 -115346号)のマイクロフィルム)
a.「ケーシングに軸架された回転軸に複数個の回転刃を列設してなる剪断破砕機において、回転刃が、略接線方向に削成されかつ嵌合部を設けた座面とこれに連接する略直径方向のバックアップ面とからなる鋸刃状の切欠を外周部に有する回転刃基体と、当該鋸刃状の切欠に前記嵌合部と嵌合させて定着された破砕刃とによって構成されている事を特徴とする、剪断破砕機。」(実用新案登録請求の範囲)
b.「この考案は、………破砕刃を回転刃基体の外周に強固に定着させる手段を提供することによって、破砕刃が摩耗した際に破砕刃のみを容易に交換することができる剪断破砕機を提供することを目的とするものである。」(明細書第2頁第14〜19行)
c.「上述の構成によれば、破砕刃10に作用する衝撃力はバックアップ面7によって受止められ、………、破砕刃10に繰返し作用する苛酷な衝撃力のもとにおいても破砕刃10が接線方向や軸方向にずれる虞はまったくない。従って、このような構成によれば、破砕刃10を回転刃基体5から取外し自在に設けることが可能となり、破砕刃10が摩耗した場合には破砕刃10のみを取外して交換あるいは修復することができることとなる。」(明細書第4頁第2〜13行)
等の記載があり、
これらの記載及び図面等を参照すると、引用例7には、
“剪断破砕機のケーシングに軸支された軸1,2に回転刃3,4を装着し、この回転刃3,4を該軸1,2に嵌着される回転刃基体5と周方向に離間して配置された複数個の破砕刃10とで分割形成し、しかも各破砕刃10を該回転刃基体5に接離可能に構成する剪断破砕機において、前記回転刃基体5に、略接線方向に削成されかつ嵌合部8を設けた座面6とこれに連接する略直径方向のバックアップ面7とからなる鋸刃状の切欠を外周部に形成し、破砕刃10を前記鋸刃状の切欠に嵌合部を嵌合させて定着して構成された剪断破砕機.”
が記載されているものと認める。
3.対比・判断
3-1.対比
(1)本件訂正に係る発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、引用例1に記載された発明の「破砕機」、「ケーシング1」、「回転軸6」、「カラー8」、「カッター7」、「母台11」、「刃体12及び13からなる刃先部分」、「刃体12及び13」は、その機能に照らして、それぞれ訂正に係る発明の 「シュレッダー」、「ケーシング」、「軸」、「スペーサ」、「切断刃」、「取付台部分」、「刃先部分」、「刃先片」に相当するから、
両者は、
シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲綾したシュレッダー用切断刃.
である点で一致するものの、
引用例1に記載されたものは、本件訂正に係る発明の構成に欠くことができない事項である
(イ)「該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにした」点、
(ロ)「前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」点
を備えていない。
(2)本件訂正に係る発明と引用例2に記載された発明とを対比すると、
引用例2に記載された発明の“破砕機”、“回転支軸13”、“ディスタンスカラー18”、“スリットカッタ構造体C”、“母台1”、“ブレード刃体7の集合体”、“ブレード刃体7”、“受圧座面5及び着座面4前端部”は、その機能に照らし、それぞれ本件訂正に係る発明の「シュレッダー」、「軸」、「スペーサ」、「切断刃」、「取付台部分」、「刃先部分」、「刃先片」、「段状歯部」に相当し、
両者は、
シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞したシュレッダーにおいて、
前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片と該段状歯部とを係合する如く構成したシュレッダー用切断刃.
である点で一致するものの、
引用例2に記載されたものは、本件訂正に係る発明の構成に欠くことができない事項である
(イ)「該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにした」点、
(ロ)「各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」点
を備えていない。
(3)本件訂正に係る発明と引用例3に記載された発明とを対比すると、引用例3に記載された発明の“破砕機”、“軸2”、“分離リング5”、 “ロータ円板66,93”、“保護キャップ69及びくさび部材85”、“固定歯71”は、その機能に照らし、それぞれ本件訂正に係る発明の「シュレッダー」、「軸」、「スペーサ」、「取付台部分」、「刃先片」、「段状歯部」に相当するから、
両者は、
シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該取付台の側面が表面に露出しないようにしたシュレッダーにおいて、
前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、刃先片と該段状歯部とを係合する如く構成したシュレッダー用切断刃.
である点で一致するものの、
引用例3に記載されたものは、ロータ円板66,93の周囲表面67の外径が分離リング5の外径より大きく形成され(Fig.23〜26、29〜31等参照)、ロータ円板66,93の側面は、保護キャップ69とくさび部材85の脚部69a、85a及び分離リング5の三者によって完全に覆われるものであるから、本件訂正に係る発明の構成に欠くことができない事項である
(イ)「該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにした」点を備えず、また、
(ロ)「各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」点
を備えていない。
(4)本件訂正に係る発明と前記引用例4,5に記載されたものとを対比すると、前記引用例4,5に記載されたものは、ロールクラッシャーに係るものであり、
両者は、
破砕装置のケーシングに軸支された軸に破砕作業用回転体を装着し、この破砕作業用回転体を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲み被破砕物に直接接触する破砕作業部分とで分割形成し、しかもこの破砕作業部分を周方向に分割して複数個の交換部材で形成し、各交換部材を該取付台に接離可能に構成する共に、該破砕作業部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞した破砕装置において、各交換部材と取付台部分とを凹凸係合する如く構成した破砕装置の破砕作業用回転体.
である点で一致するものの、
前記引用例4,5に記載されたものは、本件訂正に係る発明の構成に欠くことができない事項である
「軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにしたシュレッダーにおいて、前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」点
を備えていない。
(5)本件訂正に係る発明と引用例6に記載された発明とを対比すると、引用例6に記載された発明の“粉砕機”、“回転軸”、“スペーサー”、“回転刃は、その機能に照らして、それぞれ本件訂正に係る発明の「シュレッダー」、「軸」、「スペーサ」、「切断刃」に相当し、
両者は、
シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着したシュレッダー.
である点で一致するものの、
引用例6に記載されたものは、本件訂正に係る発明の構成に欠くことができない事項である
(イ)「切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにした」点、
(ロ)「取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」点
を備えていない。
(6)本件訂正に係る発明と引用例7に記載された発明とを対比すると、引用例7に記載された発明の“剪断破砕機”、“回転軸1,2”、“回転刃3,4”、“回転刃基体5”、“破砕刃10の集合体”、“各破砕刃10”、“鋸刃状の切欠による段状部分”は、その機能に照らして、それぞれ本件訂正に係る発明の「シュレッダー」、「軸」、「切断刃」、「取付台部分」、「刃先部分」、「各刃先片」、「段状歯部」に相当し、
両者は
シュレッダーのケーシングに軸支された軸に切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分と刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成したシュレッダーにおいて、
前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片と段状歯部とを係合したシュレッダー用切断刃.
である点で一致するものの、
引用例7に記載されたものは、本件訂正に係る発明の構成に欠くことができない事項である
(イ)「スペーサを挟んで切断刃を装着し」の点、
(ロ)「切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し」の点
(ハ)「刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにした」点、
(ニ)「各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」点.
を備えていない。
(7)以上のように、本件訂正に係る発明の構成に欠くことができない事項である「該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにした」点(以下「構成(A)」という。)及び「取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」点(以下「構成(B)」という。)は、引用例1〜7のいずれにも記載されていない。
3-2.判断
(1)構成(A)について
上記引用例3に記載されたシュレッダーの切断刃は、前摘示のとおり、刃先片に相当する保護キャップ69及びくさび部材85で取付台に相当するロータ円板66の外周が表面に露出しないように囲繞し、スペーサに相当する分離リング5及び前記保護キャップ69並びにくさび部材85で前記ロータ円板66の側面が表面に露出しないように構成されており、ロータ円板66の側面が摩耗から保護され、また、保護キャップ69及びくさび部材85の脚部69a,85aが分離リング5によって挾持されているから、引用例1又は2に記載された如き切断刃において、スペーサ(カラー8、ディスタンスカラー18)によって取付台(母台11,母台1)の側面を摩耗から保護し、刃先部分を挾持するように、スペーサの外径を取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにすることは、上記引用例3に記載されたものに基づいて当業者が容易に想到し得るものであり、上記構成(A)は、上記引用例3に記載されたものに基づいて当業者が容易に想到し得したものとするのが相当である。
(2)構成(B)について
取付台に段状歯部を突出形成し、該段状歯部の回転方向前方向きの面に各刃先片の端部を係合する構成は、前摘示のとおり上記引用例2,7に記載され、また、取付台(ロータ円板66,93)に段状歯部(固定歯71)を突出形成し、該段状歯部の回転方向前方向きの面(フランク74)に各刃先片(保護キャップ69)の中間部分の回転方向後ろ向きの面(フランク76)を係合する構成は、上記引用例3に記載されているものの、引用例3に記載されたものにおける中間部分の回転方向後ろ向きの面(フランク76)は各刃先片(保護キャップ69)の中間部分に形成したポケット72に形成したものであって、取付台の段状歯部との係合は、いずれも刃先片の端部に設けた段部によるものではなく、また、刃先片の端部に設けた段部と隣接する刃先片によって段状歯部と噛合する凹部を形成するものでもない。
したがって、上記引用例2,3,7に、取付台の段状歯部の回転方向前方向きの面に、各刃先片の端部の回転方向後ろ向きの面を係合する構成又は各刃先片の中間部の回転方向後ろ向きの面を係合する構成が、記載されていても、上記構成(B)を、上記引用例2,3,7に記載されたものに基づいて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
また、上記引用例7に記載されたものに、刊行物1〜2に記載されたような、刃先部分で取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞した構成を適用すると、刊行物1、2、7に記載されたものにおける刃先片はいずれも端部に段部を備えていないから、各刃先片の長さが取付台の外周が表面に露出しない程度の長さに形成された構成、すなわち引用例2に記載された構成は予測し得るものの、上記構成(B)が容易に想到し得るものではない。
(3)以上のとおりであるから、本件訂正に係る発明は、上記引用例1〜7に記載された発明とすることも、これらの発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
4.明細書の記載要件
前記上申書において、その提出者は、取付台の外径より大きく形成したスペーサを刃先片の両側に密着することにより、各刃先片の軸方向(刃先片の幅方向)の挟持固定を行うようにした場合、摩耗した刃先片のみを交換しようとしても、刃先片とスペーサの接触面に生じる大きな摩擦力によって、刃先片のみを取付台から外すことができず、また、仮に刃先片を外すことができても、一旦、取付台から刃先片を外してしまうと、同じ刃先片であっても、そのまま取付台に再度取り付けることができず、ましてや、他の交換用の刃先片を、刃先片の両側がスペーサのはみ出し部分と密着した状態にして、スペーサのはみ出し部分によって挟持固定されるようにすることは実質的に不可能であるから、訂正明細書の段落[0022]に「摩耗した刃先13部分を交換する際には、単に、締結用のボルト16を取り外して刃先片13aを取付台14から取り外せばよく、従来のようにケーシングや軸受をばらした後軸から切断刃全体を引き抜くような作業は不要である。また、刃先片13aの取付台14への装着も簡単に行える。通常、かかるシュレッダーには相当数の切断刃が備わっているので、本案を採用した場合、交換作業が大幅に省力化される。」と記載された作用効果を奏しないことになるので、訂正明細書の記載は、特許法第36条第4項及び第5項,第6項に規定する要件を満たしていない、旨主張する。
しかしながら、訂正明細書の段落[0021]の「こうすることによって、取付台14の外周面上に接合される各刃先片13aが、両側のスペーサ11のはみ出し部分(図上斜線部分)11aによって挟まれ、その幅方向の位置がズレないよう固定されることになる。かくして、各刃先片13aは軸1に直角方向は前述したようにボルト16で固定され、軸方向(即ち、刃先の幅方向)は刃先片13aの両側に密着したスペーサ11のはみ出し部分によって挟持固定されることから、長時間の使用にもガタを生じることがなく、その引き込み及び破断機能に支障を来さない。」との記載によれば、両側のスペーサ11のはみ出し部分は、「幅方向の位置がズレないよう」に、「長時間の使用にもガタを生じることがない」程度に密着し挟持固定するものであり、また、訂正に係る発明は、刃先部分を取付台に接離可能に構成することを前提とするものであるから、スペーサと刃先片との間に大きな摩擦力が生じる程度の挟持力で密着し挟持固定するものでないことは明白であり、「摩擦力によって刃先片のみを取付台から外すことができず、また、仮に刃先片を外すことができても、一旦、取付台から刃先片を外してしまうと、同じ刃先片であっても、そのまま取付台に再度取り付けることができない」ものとすることはできない。
したがって、訂正明細書の記載が、特許法第36条第4項及び第5項,第6項に規定する要件を満たしていないとすることはできない。
5.独立特許要件についてのむすび
上記説示のとおり、本件訂正に係る発明は、上記引用例1〜7に記載されたものとすることはできず、また、引用例1〜7に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
さらに、訂正明細書の記載は、特許法第36条第4項及び第5項,第6項に規定する要件を満たしていないとすることもできない。
そして、他に本件訂正に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
【5】むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法等の一部を改正する法律・平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる同法律による改正前の特許法第126条第1〜3項の規定に適合するので、当該訂正は認容されるべきものである。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
シュレッダー用切断刃
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにしたシュレッダーにおいて、
前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成したことを特徴とするシュレッダー用切断刃。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、剪断作用により各種の固形処理物を連続的に破砕するシュレッダー用の切断刃の改良に係り、詳しくはケーシングに軸支された回転軸上に装着される切断刃を、取付台部分と刃先部分とによって分割形成して、摩耗が刃先部分のみに生じるように構成すると共に、その交換が容易にできるシュレッダー用切断刃に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、剪断力を効果的に利用してプラスチック、木片、紙、金属、ゴム、繊維、皮革に至るまであらゆる固形処理物を粉砕する、剪断式粉砕機が知られている(例えば実公昭55-41309号公報参照)。
【0003】
この種の剪断式粉砕機(以下、シュレッダーともいう)においては、上下にそれぞれ処理物の投入口と排出口を有するケーシング内に、2つの軸が平行に軸受を介して対向回転可能に支承されており、各軸上にはスペーサを挟んで交互に、一体物である円盤状の切断刃が配設されている。交互に配設された切断刃は、片一側側面同志が相互に密接すると共に、切断刃の外周面同志が一部ラップして、所謂スリットカッタを形成している。また、切断刃の外周には一部突設したように処理物引き込み用の爪が設けられている。シュレッダー使用時には、相対する一対の切断刃を互いに内方に向かって回転駆動させ、ケーシングの上部の投入口から目的の処理物品を投入する。すると、相対向する切断刃の爪により、切断刃間の間隙に処理物が引き込まれ、スリットカッタの剪断作用で破砕され、排出口より落下する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種のシュレッダーにおいては、機能上、切断刃が最も摩耗し易く、一定の使用期間を経過すると、切断刃を新しいものに取り替える必要がある。使用頻度、処理物によってはかなり短期間のうちに取り替えなければならない。
【0005】
しかし、円盤状の切断刃は一体物であるから、これを取り替える場合には、ケーシングと軸受をばらして取り外した後、軸からスペーサと共に切断刃を引き抜く必要があり、非常に煩雑で手間のかかる作業を強いられることとなる。しかも、かかるシュレッダーには相当数の切断刃が備わっているので、その取り替えには相当の労力を要し、保守管理が容易でない。
【0006】
一方、実公昭57-31953号公報には、刃体を周方向に分割したシュレッダーが記載されている。刃体はボルトにより母台側に固定されている。各分割された刃体の境界面は垂直面となっており、この垂直面同士の接触で周方回に一体的な切断刃を形成している。
【0007】
このような構成では、分割した刃体を円周に配置するため、誤差により境界面に隙間が生じ易くなる。この場合、破砕時に刃部から伝達される力はこの垂直な境界面を介して隣の刃体に伝達され難くなるので、ボルトに曲げモーメントが働くことになる。また、境界面に微小な隙間(ガタ)が存在すると、破砕中の衝撃力で境界面が叩かれて破損を招くことになる。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたもので、切断刃を軸に装着する取付台の部分と摩耗し易い刃先部分とに分割して、刃先部分を取付台に接離可能に構成したうえで、取付台に設けた段状歯部で刃先片と係合させて刃先片から伝わってくる反力を確実に取付台で支持できるようにしたシュレッダー切断刃を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的達成のため、本発明は、シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにしたシュレッダーにおいて、前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成したことを特徴とする。
【0010】
【作用】
上記構成において、取付台の外周は刃先部分により表面に露出しないように取り囲まれていると共に取付台の側面はスペーサにより表面にほぼ露出しないようになっているため、処理物を破砕する際の摩耗から保護され、使用によって摩耗するのは、刃先部分だけとなる。刃先部分の取り替えの際には、周方向に分割されてなる刃先片を個々に取付台から取り外すだけでよい。そして、新しい刃先部分を取付台にボルト等で接合締結して切断刃として一体化する。かかる構成の切断刃においては、ケーシングや軸受などを取り外さなくても、切断刃のうちの摩耗した刃先部分のみを取り替えることによって、簡単に刃先の取替作業が行える。
【0011】
しかも、取付台の外周に刃先部分に噛合する如く段状歯部が突出形成されていることから、この段状歯部により軸回転力が刃先部分に確実に伝達されると共に、破砕切断時に刃先片を介して伝わってくる反力がこの段状歯部を介して取付台で支持される。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0013】
まず、本発明にかかる切断刃を装着したシュレッダー全体の構成について説明する。図4はシュレッダー全体の平断面図、図5は同側断面図、図6は図5のX-X矢視断面図である。
【0014】
これらの図において、2つの矩形断面をした回転軸である、主軸1と従軸2が一定間隔をおいて平行に並設されており、各軸1、2の両軸端は軸受3を介して回転自在に箱形のケーシング4に支承されている。主軸1に連なる軸1aが継手5を介して電動機6の駆動軸7に連結されている。この主軸1に連なる軸1a上には平歯車8が装着され、従軸2の一端部に設けた平歯車9と噛合している。従って、電動機6を駆動して主軸1を左回転させると、従軸2はこれと反対の右方向に回転、つまり、2つの軸1、2は内方に向かって(図6の矢印方向に)対向回転するように構成されている。
【0015】
上記2つの平行な軸1、2上には、後述するような構成を有する円盤状の切断刃10がスペーサ11を密着状態に挟んで交互に、その側面同志が互いに密接ラップした状態で嵌合装着されている。各切断刃10の外周には処理物を引き込み且つ切断用の複数の爪10a(図6の切断刃10を参照)が一定の間隔で設けられている。爪10aは、切断刃10の回転時に処理物を引き込む作用と同時に、相対するスペーサ11の外周面に摺接するほどに接近(接近時の隙間は0.5〜1mm程度に設定)して剪断作用により処理物をある一定の長さ(爪10aの間隔に相当する長さ)に破断する作用を果たす。そして、相対向する一対の切断刃10の側面同志が常時密接ラップしてスリットカッタを形成しており、ケーシング4の上方から投入された処理物は爪10aによって引き込まれ、スリットカッタの剪断作用により破砕され、下方に排出されるようになっている。
【0016】
なお、上記切断刃10及びスペーサ11に対向する位置にスクレーパ12が箱形のケーシング4側部から突設され、その先端部はそれぞれ切断刃10(爪10aの先端)及びスペーサ11の周面に近接するよう半円弧状に形成されている。このスクレーパ12は、切断刃10に挟まった処理物をかき取る働きをする。
【0017】
ところで、上記のような機能を有する切断刃10の場合、外周の刃先部分と特に爪10aの部分が摩耗し易く、一定期間使用すれば新替えする必要がある。ここで、切断刃10が一体物であれば、簡単に取り替えできないことは前述した通りである。
【0018】
そこで、本発明にかかる切断刃10は、図1の如く構成されている。すなわち、図1に示すように、切断刃10は、矩形断面の軸1、2に嵌着される取付台14の部分とこれを取り囲む刃先13の部分とに分割、形成されている。この刃先13と取付台14とは後述する如く接離(着脱)可能になっている。しかも、刃先13の部分は、周方向に幾つか分割されている。つまり、刃先13は、一つの爪10aを含む略鉤状の刃先片13aを周方向に幾つか接合連設することによって形成されている。
【0019】
刃先13と取付台14との接合境界面Cは、表面に露出しない、つまり、取付台14の外周全体が表面に露出しないように刃先片13aによって完全に取り囲まれた形に囲繞されている。しかも後述するようにスペーサ11の外径が取付台14の外径より大きく形成されて取付台の側面が表面にほぼ露出しないように構成されていることにより、摩耗は刃先13の部分にのみ生じ、取付台14の部分には生じない。かくして、取付台14の部分は、刃先13の部分とスペーサ11の部分とによって保護されて摩耗しないから、交換は刃先13部分のみでよくなる。なお、取付台14の外周には刃先部分13に噛合する如く段状歯部14aが突出形成されており、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部14aとを係合することにより、この段状歯部14aにより軸回転力を刃先13部分に確実に伝達できるようになっていると共に切断時の反力をこの歯部14aで受け持つ。
【0020】
各刃先片13aにはボルト孔15が開設されており、このボルト孔15にボルト16を挿入して取付台14側に形設した雌ねじ孔17に螺着することにより、各刃先片13aは取付台14の外周に接離(着脱)可能に一体化され、一つの切断刃10が形成されるようになっている。
【0021】
図2は切断刃10の両側に密着挟装したスペーサ11と取付台14との大小関係を示す。すなわち、スペーサ11の外径Dは取付台14の外径dよりも大きい(D>d)関係をもつように形成されており、この結果図示する如く、スペーサ11側面の(この例では突出した段状歯部14aの部分を除く)斜線部分11aが取付台14の外形よりはみ出すように構成される。こうすることによって、取付台14の外周面上に接合される各刃先片13aが、両側のスペーサ11のはみ出し部分(図上斜線部分)11aによって挟まれ、その幅方向の位置がズレないよう固定されることになる。かくして、各刃先片13aは軸1に直角方向は前述したようにボルト16で固定され、軸方向(即ち、刃先の幅方向)は刃先片13aの両側に密着したスペーサ11のはみ出し部分によって挟持固定されることから、長時間の使用にもガタを生じることがなく、その引き込み及び破断機能に支障を来さない。
【0022】
従って、摩耗した刃先13部分を交換する際には、単に、締結用のボルト16を取り外して刃先片13aを取付台14から取り外せばよく、従来のようにケーシングや軸受をばらした後軸から切断刃全体を引き抜くような作業は不要である、また、刃半片13aの取付台14への装着も簡単に行える。通常かかるシュレッダーには相当数の切断刃が備わっているので、本案を採用した場合、交換作業が大幅に省力化される。
【0023】
一方、上記シュレッダーの構成では、切断刃10のみならず、スペーサ11の外周面が摩耗し易い。そこで、スペーサ11も図3に示すように接離可能に2分割形成されている。接合面はスペーサ11の外周面に開設した切欠部19を利用してボルト18により締結される。ボルト18を取り外すことによりスペーサ11は軸1、2より簡単に取り外すことができ、その交換が容易となる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明した本発明にかかる切断刃は、軸に嵌着される取付台の部分とこれを取り囲む刃先部分とによって分割形成され、刃先も周方向に分割されて幾つかの刃先片で形成され、各刃先片を取付台に着脱可能に構成し、取付台の外周は刃先部分により表面に露出しないように取り囲まれていると共に取付台の側面はスペーサにより表面にほぼ露出しないようになっているため、使用によって刃先部分のみが摩耗するだけとなり、取替作業が大幅に省力化され、保守管理が非常にやり易くなるという効果を奏しつつ、取付台の外周に刃先部分に噛合する如く段状歯部を突出形成したことにより、この段状歯部により軸回転力を刃先部分に確実に伝達でき、かつ、破砕切断時に刃先片から伝わってくる反力をこの段状歯部を介して取付台で確実に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施例にかかる切断刃全体を一部断面して示す正面図である。
【図2】
切断刃を構成する取付台とこれに密着するスペーサとの大小関係を示す正面図である。
【図3】
スペーサの横断面図である。
【図4】
本発明にかかる切断刃を装着したシュレッダー全体の構成を示す平断面図である。
【図5】
同側断面図である。
【図6】
図5のX-X矢視断面図である。
【符号の説明】
1…(主)軸
2…(従)軸
4…ケーシング
6…電動機
8、9…平歯車
10…切断刃
10a…爪
11…スペーサ
11a…はみ出し部分
12…スクレーパ
13…刃先
13a…刃先片
14…取付台
14a…段状歯部
 
訂正の要旨 (イ)訂正事項a
請求項1記載の「該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞したシュレッダーにおいて」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにしたシュレッダーにおいて」と訂正する。
(ロ)訂正事項b
請求項1記載の「前記取付台の外周に各刃先片に噛合する段状歯部を突出形成した」を、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一方、各刃先片の端部に設けた段部と段状歯部とを係合して刃先部分と該段状歯部とを噛合する如く構成した」と訂正する。
(ハ)訂正事項c
願書に添付した明細書の段落[0009]〜[0011]の「【0009】【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本発明は、シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞したシュレッダーにおいて、前記取付台の外周に各刃先片に噛合する段状歯部を突出形成したことを特徴とする。【0010】【作用】上記構成において、取付台の部分は刃先部分により表面に露出しないように取り囲まれているため、処理物を破砕する際の摩耗から保護され、使用によって摩耗するのは、刃先部分だけとなる。刃先部分の取り替えの際には、周方向に分割されてなる刃先片を個々に取付台から取り外すだけでよい。そして、新しい刃先部分を取付台にボルト等で接合締結して切断刃として一体化する。かかる構成の切断刃においては、ケーシングや軸受などを取り外さなくても、切断刃のうちの摩耗した刃先部分のみを取り替えることによって、簡単に刃先の取替作業が行える。【0011】しかも、取付台の外周に各刃先片に噛合する如く段状歯部が突出形成されていることから、この段状歯部により軸回転力が刃先部分に確実に伝達されると共に、破砕切断時に刃先片を介して伝わってくる反力がこの段状歯部を介して取付台で支持される。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0009】【課題を解決するための手段】上記目的達成のため、本発明は、シュレッダーのケーシングに軸支された軸にスペーサを挟んで切断刃を装着し、この切断刃を該軸に嵌着される取付台部分とこれを取り囲む刃先部分とで分割形成し、しかもこの刃先部分を周方向に分割して複数個の刃先片で形成し、各刃先片を該取付台に接離可能に構成する共に、該刃先部分で該取付台の外周が表面に露出しないよう囲繞し、かつ、該スペーサの外径を該取付台の外径より大きく形成して該スペーサで該取付台の側面が表面にほぼ露出しないようにしたシュレッダーにおいて、前記取付台の外周に段状歯部を突出形成する一より軸回転力を刃先部分に確実に伝達でき、かつ、破砕切断時に刃先片から伝わってくる反力をこの段状歯部を介して取付台で確実に支持することができる。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「【0024】【発明の効果】以上説明した本発明にかかる切断刃は、軸に嵌着される取付台の部分とこれを取り囲む刃先部分とによって分割形成され、刃先も周方向に分割されて幾つかの刃先片で形成され、各刃先片を取付台に着脱可能に構成し、取付台の外周は刃先部分により表面に露出しないように取り囲まれていると共に取付台の側面はスペーサにより表面にほぼ露出しないようになっているため、使用によって刃先部分のみが摩耗するだけとなり、取替作業が大幅に省力化され、保守管理が非常にやり易くなるという効果を奏しつつ、取付台の外周に刃先部分に噛合する如く段状歯部を突出形成したことにより、この段状歯部により軸回転力を刃先部分に確実に伝達でき、かつ、破砕切断時に刃先片から伝わってくる反力をこの段状歯部を介して取付台で確実に支持することができる。」と訂正する。
審決日 2001-01-17 
出願番号 特願平8-104888
審決分類 P 1 41・ 851- Y (B02C)
P 1 41・ 856- Y (B02C)
P 1 41・ 855- Y (B02C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 新居田 知生大熊 幸治斎藤 克也  
特許庁審判長 蓑輪 安夫
特許庁審判官 西野 健二
清田 栄章
登録日 1998-08-07 
登録番号 特許第2813572号(P2813572)
発明の名称 シュレッダー用切断刃  
代理人 角田 嘉宏  
代理人 角田 嘉宏  
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