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審決分類 審判 一部無効 2項進歩性 無効としない H04M
管理番号 1042622
審判番号 無効2000-35140  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-12-02 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-03-17 
確定日 2001-07-09 
事件の表示 上記当事者間の特許第2838071号発明「無線通信用の発信アダプター」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1. 手続の経緯
本件特許2838071号は、平成8年5月23日に出願された特願平8-153401号の特許出願について、平成10年10月9日に特許権の設定登録がなされたが、これに対して、平成12年3月17日にサンフラッシュ株式会社より請求項1ないし3について特許無効の審判が請求されたものである。

2.本件特許発明
本件特許の請求項1ないし3に記載された発明は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次の事項により特定されるものである。
「【請求項1】 一般電話機と無線電話機とを接続して、一般電話機からの無線発信を可能にした発信アダプターであって、一般電話機に向けて直流電圧を供給すると共に、一般電話機からのダイヤル信号や音声信号、及び、無線電話機からの音声信号を伝送する信号伝送路と、一般電話機からの音声信号を前記信号伝送路から受けて、これを無線電話機に伝える一方、無線電話機からの音声信号を受けて、これを前記信号伝送路に伝える音声信号部と、一般電話機がOFFフック状態に変化して前記信号伝送路に通話電流が流れたことを検知する回線監視部と、一般電話機から前記信号伝送路に送出されたダイヤル信号を認識するダイヤル認識部と、上記した装置各部の動作を制御する制御部とからなり、
前記制御部は、前記回線監視部からの情報に基づいて、無線電話機に通話準備動作を開始させる第1手段と、その後、前記ダイヤル認識部からの情報に基づいて、無線電話機にダイヤル発信させる第2手段と、無線電話機が相手方電話機とつながった後、前記音声信号部を制御して一般電話機と相手方電話機との間の音声信号を送受させる第3手段とを備えていることを特徴とする無線通信用の発信アダプター。
【請求項2】 一般電話機を有線通信回線に接続していると共に、前記一般電話機と無線電話機とを接続して、前記一般電話機からの無線発信をも可能にした発信アダプターであって、2つの開閉回路が第1状態にあるときには、一般電話機に向けて直流電圧を供給すると共に、一般電話機からのダイヤル信号や音声信号、及び、無線電話機からの音声信号を伝送し、一方、前記2つの開閉回路が第1状態から第2状態に遷移すると、それまで供給していた直流電圧を遮断すると共に、前記有線通信回線からの直流電圧を受けて一般電話機に供給する信号伝送路と、一般電話機からの音声信号を前記信号伝送路から受けて、これを無線電話機に伝える一方、無線電話機からの音声信号を受けて、これを前記信号伝送路に伝える音声信号部と、一般電話機がOFFフック状態に変化して前記信号伝送路に通話電流が流れたことを検知する回線監視部と、一般電話機から前記信号伝送路に送出されたダイヤル信号を認識するダイヤル認識部と、上記した装置各部の動作を制御する制御部とからなり、前記制御部は、初期状態において、前記2つの開閉回路を第1状態に設定する初期手段と、前記回線監視部からの情報に基づいて動作して、前記信号伝送路にトーン信号を送出するトーン送出手段と、その後、前記ダイヤル認識部からの情報に基づいて動作して、一般電話機から前記信号伝送路に送出された電話番号を記憶する記憶手段と、
記憶された電話番号を解析して、一般電話機の使用者が無線通信を希望しているか有線通信を希望しているかを判定する判定手段と、使用者が無線通信を希望している場合には、記憶していた電話番号を無線電話機に送出する一方、その後、前記信号伝送路と音声信号部とを介して、無線電話機と一般電話機とを接続して、無線電話機を中継して相手方電話機との無線通信を実現する無線通信手段と、使用者が有線通信を希望している場合には、前記2つの開閉回路が第1状態から第2状態に遷移させると共に、記憶していた電話番号を有線通信回線に送出し、その後、有線通信回線を介して相手方電話機との有線通信を実現する有線通信手段と、を備えていることを特徴とする無線通信用の発信アダプター。
【請求項3】 前記無線電話機は、汎用型の携帯電話機であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発信アダプター。」

3.請求人の主張、及び証拠方法
(1)請求人の主張
本件特許の請求項1,2,3に記載された発明は、甲第1号証〜甲第5号証(甲第4号証を除く)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、その特許は、同法第123条第1項の規定により無効とすべきである。
具体的には、本件特許の請求項1に記載された発明は、一般電話機が、本来持っている機能である信号伝送路と、音声信号部と、回線監視部と、ダイヤル認識部と、制御部との機能に、一般電話機と無線電話機間の通話に必要な機能を追加して、一般電話機からの無線発信を可能とした発信アダプターであるということに尽きるものであり、より簡潔に表現すれば、有線通信電話回線に接続して一般電話と、無線機間で無線通信を可能とした発信アダプターであるということができ、請求項2に記載された発明は、一般電話機を有線通信回線に接続していると共に、前記一般電話機と無線電話機とを接続して、前記一般電話機からの無線発信をも可能にした発信アダプタであって、一般電話機に本来備えた信号伝送路と、音声信号部と、回路監視部と、ダイヤル認識部と、制御部との機能に、電話番号から判定して一般電話機と一般電話機間または無線電話機間の接続並びに無線通信に必要な機能を追加して、有線通信回線の構築と無線通信回線の構築とをボタン電話機からの電話番号で選択できるようにした発信アダプターであるということに尽きるものであり、より簡潔に表現すれば、有線通信電話回線に接続して一般電話と一般電話間の有線通信、或いは一般電話と無線機間で無線通信を可能とした発信アダプターであるということができるものである。
一方、甲第2号証(3)のカタログに記載されたラジオインターフェースTA-210(以下、「TA-210」という。)は、一般電話機と、無線電話機とを接続して、一般電話機からの無線発信を可能にしたインターフェースであって、また、一般電話機を有線通信回線に接続していると共に、前記一般電話機と無線電話機とを接続して、前記一般電話機からの無線発信をも可能にしたインターフェースであることから、本件特許の請求項1,2に記載された発明は、本件発明の出願前に公然知られ公然実施された甲第2号証(3)のカタログに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項3に記載された発明は、実質的に「TA-210」に接続する無線機(各社無線機)として、甲第2号証(3)のカタログに記載のハンディ(C-500DTMF付)を用いたものに相当し、無線電話機に汎用型の携帯電話機を選定することは当業者に容易になし得ることであるから、本件請求項1ないし3に記載された発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明である。
(2)証拠方法
[書証]
(a)甲第1号証 : アクションルート電波、1990年9月号、株式会社マガジンランド発行、南部エンジニアリングの広告欄
(b)甲第2号証(1): 有限会社南部エンジニアリング代表取締役 南部慶典氏の発行 証明書
(c)甲第2号証(2): 有限会社南部エンジニアリング代表取締役 南部慶典氏の作成にかかるラジオフォンインターフェースTA-210回路構成図並びに回路の説明書
(d)甲第2号証(3): 有限会社南部エンジニアリング発行 「ラジオフォンインターフェースTA-210」のカタログ
(e)甲第3号証 : 現代商品大辞典新商品版、東洋経済新報社 昭和61年10月18日発行 第276頁、277頁
(f)甲第5号証 : 通信の基礎知識 田崎公郎編、株式会社日本実業出版社、1994年10月10日第13版発行、P.52〜55
[人証]
証人 氏 名 南部 慶典
住 所 奈良県生駒郡三郷町立野北2丁目10-7
職 業 無線通信関係の開発及び販売、コンピュータ関連の ネットワーク関係の仕事

4.被請求人の主張、
TA-210は、移動局の無線機から送出される電話番号を受けて、NTT回線に向けて電話番号を発信し、その後、通信回線が確立すれば、送受話を中継するものに過ぎないものである。したがって、TA-210の構成は、特に本件発明(請求項1ないし3に係る発明)と類似したり本件発明を示唆するものではない。
また、TA-210は、本件特許発明の請求項2に記載された発明である「一般電話機を有線通信回線に接続していると共に、前記一般電話機と無線電話機とを接続して、前記一般電話機からの無線発信をも可能にした発信アダプター」に類似するものではなく、当然、「一般電話機から前記信号伝送路に送出された電話番号を記憶する記憶手段と、記憶された電話番号を解析して、一般電話機の使用者が無線通信を希望しているか有線通信を希望しているかを判定する判定手段」や、「使用者が無線通信を希望している場合には、記憶していた電話番号を無線電話機に送出する一方、その後、前記信号伝送路と音声信号部とを介して、無線電話機と一般電話機とを接続して、無線電話機を中継して相手方電話機との無線通信を実現する無線通信手段」等の構成を示唆するものではない。
したがって、仮に、甲第2号証(3)が本件発明の出願前に頒布された刊行物であることが立証されたとしても、本件特許の有効性に些かの影響を与えるものではない。

5.当審の判断
(1)甲第2号証(3)のカタログに記載された発明について
甲第2号証(3)のカタログに記載された発明(以下、「カタログに記載された発明」という。)には、ラジオインターフェースTA210の外観、及びTA210の使用例、DTMFテンキー付きハンドマイクロホン、TA210と無線機の接続例等の記載と共に「このシステムは、基地局(電話のある場所)の無線機と電話回線の間に本装置(TA-210)を接続し、移動局(自動車等)の無線機に接続されたマイクロフォンのプッシュボタンにより電話をかけて通話を行ったり、又基地局にかかってきた電話を移動局から受けることもできます。」の記載があり、これらの記載からはカタログに記載された発明が、電話機と無線機とを接続して電話機からの無線発信が可能であるか否かは明らかではないが、これに関して、証人南部慶典の「基地局のTA-210には、一般電話の回線を接続し、或いはマイクロフォンもしくは電話機をつないで電話機と無線機の間でも会話できますし、一般回線との間でも会話できる、という機能を持っているテレフォンインターフェースである。」、「基地局から電話をかける場合は、このインターフェースを通じて一般電話にかけるか、無線電話にかけるかという機能を持っております。」、「電話をつなぐ場合は、このマイクロフォンのコネクタのところに電話機用の変換コネクタを付けまして、そこに電話機を接続して電話でしゃべるということができます。」の証言があり、これらの証言内容を甲第2号証(3)のカタログに開示された内容と照らしてみても、証言に不合理な点はないから、カタログに記載された発明は、一般電話機と、無線電話機とを接続して、一般電話機からの無線発信を可能にしたインターフェースであって、また、一般電話機を有線通信回線に接続していると共に、前記一般電話機と無線電話機とを接続して、前記一般電話機からの無線発信をも可能にしたインターフェースであると認められる。

(2)カタログに記載された発明の公知性について
甲第1号証には、カタログに記載されたラジオインターフェースTA210が記載され、本件特許の出願前に発行された雑誌の広告に掲載されていることが認められることから、カタログに記載された発明は、本件特許の出願前に公知の発明であったといえる。

(3)本件特許の請求項1に記載された発明とカタログに記載された発明との対比・検討
ア) 本件特許の請求項1に記載された発明とカタログに記載された発明とを対比すると、両者は、「一般電話機と無線電話機とを接続して、一般電話機からの無線発信を可能にした発信アダプター」である点で一致するといえるものの、無線通信用の発信アダプターの具体的構成として、本件特許の請求項1に記載された発明は、「一般電話機に向けて直流電圧を供給すると共に、一般電話機からのダイヤル信号や音声信号、及び、無線電話機からの音声信号を伝送する信号伝送路と、一般電話機からの音声信号を前記信号伝送路から受けて、これを無線電話機に伝える一方、無線電話機からの音声信号を受けて、これを前記信号伝送路に伝える音声信号部と、一般電話機がOFFフック状態に変化して前記信号伝送路に通話電流が流れたことを検知する回線監視部と、一般電話機から前記信号伝送路に送出されたダイヤル信号を認識するダイヤル認識部と、上記した装置各部の動作を制御する制御部とからなり、前記制御部は、前記回線監視部からの情報に基づいて、無線電話機に通話準備動作を開始させる第1手段と、その後、前記ダイヤル認識部からの情報に基づいて、無線電話機にダイヤル発信させる第2手段と、無線電話機が相手方電話機とつながった後、前記音声信号部を制御して一般電話機と相手方電話機との間の音声信号を送受させる第3手段とを備えている」のに対して、カタログに記載された発明は具体的構成が不明である点で相違する。
この相違点についての検討するに、甲第2号証(2)として提出されたラジオフォンインターフェイスTA-210の回路構成図、並びに回路説明図は、回路構成図を示すブロック図が正しく記載されたものではないことを当事者双方が認めるところであり、そこで証人南部慶典は、甲第2号証(2)のラジオフォンインターフェイスTA-210のブロック図の内容を修正した参考図を使用し、ラジオフォンインターフェイスTA-210の回路構成は本件特許の請求項1に記載された発明の無線通信用の発信アダプターの具体的構成と同様である旨の証言を行ったが、甲第2号証(2)として提出されたラジオフォンインターフェイスTA-210の回路構成図(修正図も同様)は、本件無効審判請求時またはその後に、証人南部慶典以外のものによって作成されたと認められるものであって、かつ、そのブロック図の内容も、本件特許の請求項1に記載された発明との対応関係において、どのように対応するのか判然としないことから、カタログに記載された発明が、本件特許の請求項1に記載された発明の具体的構成を備えているということはできない。また、他の証拠をみても、上記具体的構成の開示を裏付ける証拠の提出もないことから、本件特許の請求項1に記載された発明が、本件発明の出願前に公然知られ公然実施された甲第2号証(3)のカタログに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

イ)これに関して請求人は、一般電話機と無線電話機とを接続して一般電話機からの無線発信を可能とするための発信アダプターが、信号伝送路と、音声信号部と、回線監視部と、ダイヤル認識部と、制御部とからなっている点は、特別のものではなく、一般電話機間の通信においても、通信の機能を実行するためには、本来信号伝送路と、音声信号部と、回線監視部と、ダイヤル認識部と、制御部は具備しなければならないから、本件特許の請求項1に記載の構成を選定すことは、当業者に容易なし得ることである旨主張する。
しかしながら、本件特許の請求項1に記載された発明の無線発信を可能とするための発信アダプターは、単に、信号伝送路と、音声信号部と、回線監視部と、ダイヤル認識部と、制御部を有するというものではなく、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に記載されているように、信号伝送路は、「一般電話機に向けて直流電圧を供給すると共に、一般電話機からのダイヤル信号や音声信号、及び、無線電話機からの音声信号を伝送する」ものであり、音声信号部は、「一般電話機からの音声信号を前記信号伝送路から受けて、これを無線電話機に伝える一方、無線電話機からの音声信号を受けて、これを前記信号伝送路に伝える」ものであり、回線監視部は、「一般電話機がOFFフック状態に変化して前記信号伝送路に通話電流が流れたことを検知する」ものであり、ダイヤル認識部は、「一般電話機から前記信号伝送路に送出されたダイヤル信号を認識する」ものであり、制御部は「上記した装置各部の動作を制御」し、「前記回線監視部からの情報に基づいて、無線電話機に通話準備動作を開始させる第1手段と、その後、前記ダイヤル認識部からの情報に基づいて、無線電話機にダイヤル発信させる第2手段と、無線電話機が相手方電話機とつながった後、前記音声信号部を制御して一般電話機と相手方電話機との間の音声信号を送受させる第3手段とを備えている」ものであるから、これらの具体的構成を無視した請求人の主張は失当である。

ウ)また、請求人は、甲第5号証にも表現は違うが実質的には同じことが記載されているから、本件特許の請求項1に記載の構成を選定すことは、当業者に容易なし得ることである旨主張する。
確かに、甲第5号証には、「電話はどうやってつながる?」を示す図、及び「電話機と交換機は一心同体」を示す図の記載と共に、「電話機は大きく分けると着信回路、ダイヤル回路、ダイヤルボタン、通話回路、保留回路、送話、及び受話器から構成されています。」(54頁2ないし4列)の記載があることから、電話機には、着信回路、ダイヤル回路、ダイヤルボタン、通話回路等の構成があることは認められるが、本件特許の請求項1(請求項2,3も同様)に記載された発明は、一般電話機と無線電話機とを接続して、一般電話機からの無線発信を可能にした発信アダプターの発明であって、電話機そのものの発明ではないし、上記発信アダプターに、単に着信回路、ダイヤル回路、ダイヤルボタン、通話回路、保留回路、送話、及び受話器を設けたという発明でもないことから、請求人の主張は失当である。

エ)したがって、本件特許の請求項1に記載された発明は、本件発明の出願前に公然知られ公然実施された甲第2号証(3)のカタログに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(3)本件特許の請求項2に記載された発明とカタログに記載された発明との対比・検討
ア) 本件特許の請求項2に記載された発明とカタログに記載された発明とを対比すると、両者は、「一般電話機と無線電話機とを接続して、一般電話機からの無線発信を可能にした発信アダプター」である点では一致するといえるものの、本件特許の請求項2に記載された発明は、無線通信用の発信アダプターの具体的構成として、「2つの開閉回路が第1状態にあるときには、一般電話機に向けて直流電圧を供給すると共に、一般電話機からのダイヤル信号や音声信号、及び、無線電話機からの音声信号を伝送し、一方、前記2つの開閉回路が第1状態から第2状態に遷移すると、それまで供給していた直流電圧を遮断すると共に、前記有線通信回線からの直流電圧を受けて一般電話機に供給する信号伝送路と、一般電話機からの音声信号を前記信号伝送路から受けて、これを無線電話機に伝える一方、無線電話機からの音声信号を受けて、これを前記信号伝送路に伝える音声信号部と、一般電話機がOFFフック状態に変化して前記信号伝送路に通話電流が流れたことを検知する回線監視部と、一般電話機から前記信号伝送路に送出されたダイヤル信号を認識するダイヤル認識部と、上記した装置各部の動作を制御する制御部とからなり、前記制御部は、初期状態において、前記2つの開閉回路を第1状態に設定する初期手段と、前記回線監視部からの情報に基づいて動作して、前記信号伝送路にトーン信号を送出するトーン送出手段と、その後、前記ダイヤル認識部からの情報に基づいて動作して、一般電話機から前記信号伝送路に送出された電話番号を記憶する記憶手段と、記憶された電話番号を解析して、一般電話機の使用者が無線通信を希望しているか有線通信を希望しているかを判定する判定手段と、使用者が無線通信を希望している場合には、記憶していた電話番号を無線電話機に送出する一方、その後、前記信号伝送路と音声信号部とを介して、無線電話機と一般電話機とを接続して、無線電話機を中継して相手方電話機との無線通信を実現する無線通信手段と、使用者が有線通信を希望している場合には、前記2つの開閉回路が第1状態から第2状態に遷移させると共に、記憶していた電話番号を有線通信回線に送出し、その後、有線通信回線を介して相手方電話機との有線通信を実現する有線通信手段と、を備えている」のに対して、カタログに記載された発明は具体的構成が不明である点で相違する。
そこで、相違点についての検討するに、上述したように甲第2号証(2)として提出されたラジオフォンインターフェイスTA-210の回路構成図(修正図も同様)は、本件無効審判請求時またはその後に、証人南部慶典以外の者によって作成されたと認められるものであって、かつ、そのブロック図の内容も、本件特許の請求項2に記載された発明との対応関係において、どのように対応するのか判然としないことから、カタログに記載された発明が、本件特許の請求項2に記載された発明の具体的構成を備えているということはできない。また、他の証拠をみても、上記具体的構成の開示を裏付ける証拠の提出もないことから、本件特許の請求項2に記載された発明が、本件発明の出願前に公然知られ公然実施された甲第2号証(3)のカタログに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(4)本件特許の請求項3に記載された発明の検討
本件特許の請求項3に記載された発明は、請求項1又は請求項2に記載の発信アダプターの発明を引用した発明であることから、本件特許の請求項3に記載された発明は、当然、本件発明の出願前に公然知られ公然実施された甲第2号証(3)のカタログに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

6.むすび
以上のとおり、甲第2号証(3)のカタログに記載された発明は、証人の証言内容をもってしても、本件特許の請求項1,2,3の発明とは具体的な構成において相違するものと認められるものであり、また、他の証拠にも上記具体的な構成を開示する記載はないと認められることから、本件特許の請求項1,2,3の発明は、本件発明の出願前に公然知られ公然実施された甲第2号証(3)のカタログに記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできないし、甲第1号証ないし甲第5号証(甲第4号証を除く。)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることもできない。
したがって、請求人が主張する無効の理由、及び提出した証拠によっては、本件特許を無効にすることはできない。
また、他に本件特許を無効とすべき理由を発見しない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
 
審理終結日 2001-04-26 
結審通知日 2001-05-15 
審決日 2001-05-28 
出願番号 特願平8-153401
審決分類 P 1 122・ 121- Y (H04M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 須田 勝巳  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 山本 春樹
武井 袈裟彦
登録日 1998-10-09 
登録番号 特許第2838071号(P2838071)
発明の名称 無線通信用の発信アダプター  
代理人 福島 三雄  
代理人 小山 方宣  
代理人 野中 誠一  
代理人 菅野 中  
代理人 荒尾 幸三  
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