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審決分類 審判 全部無効 特38条共同出願 無効としない F17C
管理番号 1042627
審判番号 無効2000-35633  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1991-01-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-11-22 
確定日 2001-07-16 
事件の表示 上記当事者間の特許第2928270号発明「プロパンガス供給装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2928270号発明は、平成1年6月9日に特許出願され、平成11年5月14日に設定の登録がなされたものであって、その後、平成12年11月22日に社団法人日本エルピーガス連合会より無効審判の請求がなされ、平成13年2月19日付けで被請求人日本車輌製造株式会社より答弁書と証人尋問請求書の提出がなされ、平成13年5月18日に口頭審理と証拠調べを行い、請求人及び被請求人の主張と証拠について確認・整理がなされ、審理を終結したものである。

2.請求人及び被請求人の主張の概略
【請求人の主張】
本件特許は、特許法第38条(共同出願)の規定に違反してなされたものであって、同法第123条第1項第1号の規定によりこれを無効とすべきものである。
〈証拠方法〉
[書証]
甲第1号証;業界新聞「プロパン・ブタンニュース」昭和61年11月10日号抜粋
甲第2号証;油業報知新聞昭和61年9月5日号抜粋
甲第3号証;業界新聞「ポロパン・ブタンニュース」1986年9月8日号抜粋
甲第4号証;「打合せ会資料14」(昭和63年3月17日の第3回地下バルク機器開発技術打合せ会議事録)
甲第5号証;「打合せ会資料17」(昭和63年7月5日の第1回地下バルク機器開発技術打合せ会議事録)
甲第6号証;昭和63年7月18日付け送付案内書
甲第7号証;「打合せ会資料18」(2名の委員の手持資料の写し)
甲第8号証;「打合せ会資料19」
甲第9号証;地下バルク委員会機器開発技術打合せ会通算6回、次第及び配付資料一覧
甲第10号証;「打合せ会資料20」(昭和63年8月2日・第2回地下バルク機器開発打合せ会議事録)
甲第11号証;打合せ会資料26
甲第12号証;1989年3月9日、地下バルク機器開発技術打合せ会通算7回、次第及び配付資料一覧
甲第13号証;打合せ会資料27、昭和63年10月28日、第3回地下バルク機器開発技術打合せ会議事録
甲第14号証;1989年6月30日、地下バルク機器開発技術打合せ会通算8回、次第及び配付資料一覧
甲第15号証;打合せ会資料32、1989年3月9日の第4回地下バルク機器開発技術打合せ会議事録
甲第16号証;昭和62年度通商産業省委託(技術開発事業)に関する昭和63年3月の報告書(抜粋)
甲第17号証;昭和63年度通商産業省委託(技術開発事業)に関する平成元年3月の報告書(抜粋)
甲第18号証;平成3年度通商産業省委託(技術開発事業)に関する平成4年3月の報告書(抜粋)
甲第19号証;本件特許公報
[人証]
証人;田中 典力
証人;野村 清
【被請求人の主張】
本件発明は、発明者秋元力の単独で行われたものであり、他の委員との共同発明ではなく、したがって、請求人の主張する無効理由は該当しない。
〈証拠方法〉
[人証]
証人;秋元 力

3.当審の判断

3-1本件特許発明
本件特許第2928270号は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された下記の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】A;プロパンガスを貯留する供給用タンクを備えたタンクローリから、地上側においてプロパンガスを貯留するバルクタンクにプロパンガスを供給する装置であって、
B;前記供給用タンクから前記バルクタンクに、供給用ホースを介して液化プロパンガスを送り込む供給用ポンプと、
C;該供給用ホースの該バルクタンク側の端部近傍で操作可能な、前記ポンプのオン・オフを制御するリモートスイッチと、
D;前記タンクローリからのガス漏れを検知したときに作動するガス漏れ検知手段と、
E;前記タンクローリに所定以上の衝撃が加えられたことを検出したときに作動する衝撃検出手段と、
F;前記ガス漏れ検知手段もしくは前記衝撃検出手段が作動したとき、前記供給用ポンプの動作を停止すると共に、前記供給用タンクからのプロパンガスの供給路を遮断するガス供給停止手段と、
G;を備えたプロパンガス供給装置。」
なお、A〜Gの符号は、以下の説明の都合上分説して付記した。

3-2請求人の提出した甲第1号証〜甲第19号証、請求人の田中典力証人、野村清証人並びに被請求人の秋元力証人の証言から理解される事実
【高圧ガス保安協会が通商産業省から委託した技術開発事業について】
(1)高圧ガス保安協会及び液化石油ガス部液化石油ガス研究所は、昭和62年度から通商産業省より「石油ガス供給事業安全管理技術開発、指導普及事業(技術開発事業)」として石油ガス地下バルク供給システムの開発を委託し、研究委員会の下に3つの技術打合せ会を組織し、その内の一つの技術打合せ会である機器開発技術打合せ会の主査は、田中典力であり、田中典力は、研究委員会の委員でもあり、機器開発技術打合せ会での審議の内容ををまとめて、研究委員会へ報告していたこと。
(2)甲第16号証及び甲第17号証の報告書で報告された事項、上記5つの議事録の内容及び委員会の委員構成からみて、昭和63年度までは、研究及び機器開発の対象は、バルク容器及びその関連機器であって、容器埋設法、防食法等の検討や縦型容器用液面計の試作等がなされたことは認められるが、タンクローリについては、研究委員会では格別な検討がなされておらず、機器の試作等も行ってはいないこと。
【機器開発技術打合会について】
(1)機器開発技術打合せ会に秋元力が委員として加わったのは、事務局からタンクローリの専門家として委員の委嘱を受け、昭和63年度の第2回機器開発技術打合せ会(昭和63年8月2日開催)からであること。
(2)機器開発技術打合せ会の委員には、秋元力以外には、タンクローリに関する専門知識を有する委員はいなかったこと。
(3)秋元力が最初に出席した上記第2回機器開発技術打合せ会には、資料17(前回議事録)、資料18(開発機器項目)、資料19(開発機器項目に対する意見)が配付資料として打合せ会当日に各委員に配布されたことが認められるが、甲第5号証の議事録には、資料17と明示されているが、甲第7号証で2名の委員の手持資料の写しとして添付された2部の資料の内、1部の資料には、資料17と同様の「資料18」との表示がなく、手書きで資料18と記載されているものであり、同内容の他の1部には「資料18」の表示がなく、また、審判請求書の甲第7号証の説明でも、『甲第6号証に明らかな、各委員に送付及び検討依頼がなされた「地下バルクシステム開発機器項目の一覧」と「法規上の問題点一覧」の、ある2名の委員の手持ち資料であって、打合せ会資料18である。』と記載されていることからみても、甲第7号証の資料18は、第2回機器開発技術打合せ会で配布された「資料18」に対応した2名の委員の手持資料であることまでは認められるが、当日配布された資料18とは必ずしも同一の資料であるとまでは認められないこと。
(4)また、甲第8号証で資料19とされる田中典力の意見メモは、手書きで「別紙18-1」との記載を訂正して手書きで「資料19」と記載したものであり、このものが「資料19」として配布された資料と同一のものであるとまでは認められないこと。
(5)甲第9号証の第3回機器開発技術打合せ会(昭和63年10月28日開催)の次第では、配付資料としては資料20から資料25までしか記載されておらず、甲第13号証の議事録では、配付資料として資料26「地下バルクタンクローリに関する安全対策」が追加されていることから、甲第7号証の資料26は、打合せ会当日急遽追加された資料であることが認められること。
(6)甲第13号証の議事録及び各証人の証言によれば、資料26によるタンクローリの安全対策についての審議では、ホースが長尺なもの(30m)になることから、ホースに流す流量に対するホース径やホースの摩滅による破断の問題点等については、田中典力や他の委員より質問等が出され、また、秋元力からは、リモートコントロールの機構が難しいこと、エンジン駆動で油圧ポンプを回して充填することを考えていること等を回答したこと。
(7)第4回機器開発技術打合せ会(1989年(平成1年)3月9日開催)では、甲第12号証の次第によれば、審議対象に開発機器の検討も含まれているが、甲第15号証の議事録及び各証人の証言によれば、タンクローリの構造等に関しては具体的な審議はなされておらず、秋元力が、「現在、リモートコントロール、ガス漏れ遮断、追突等の安全対策については検討中である。次回までに案を提出したい。」と発言したにとどまること。
(8)甲第14号証の次第によれば、機器開発技術打合せ会でタンクローリ保安機構の検討が直接的に審議の対象となったのは、本件特許の出願後の1989年(平成1年)6月30日に開催された第1回(通算8回)機器開発技術打合せ会であること。
【機器開発技術打合せ会で配布された配付資料について】
『資料18(甲第7号証)』
(1)甲第7号証の資料18については、第2回機器開発技術打合せ会での資料18とは同一のものであるとは認めることができないものではあるが、資料18に対応する2名の委員の手持資料であることは認められること。(上記打合せ会についての(3)参照。)
(2)この資料18の「3/3」頁には、タンクローリ関係として、「1.高圧ホース」、「2.リモートコントロール」、「3.エンジン駆動ポンプ」、「4.緊急しゃ断弁」、「5.過流防止弁」、「6.セイフティカプラ」、「7.弁箱」、「8.タンクローリ衝突時の安全性」について検討する必要があるかどうか項目として記載されており、また、「完」頁には、タンクローリ衝突時の安全性の確認、保安機器の見直し、ホース切断時の保安機器の検討、リモートコントロール機構の検討等について調査・実験・検討事項としていること。
(3)上記資料18の「3/3」頁及び「完」頁に記載された上記タンクローリの課題等は、昭和63年当時、既に知られていた一般的な事項を列挙した程度のものであって、格別な事項を含むものではなく、特に本件発明の上記技術事項C及びFについて開示又は示唆するものではないこと。
『資料19(甲第8号証)』
(1)甲第8号証の資料19は、田中典力が作成したものであると認められるが、第3回機器開発技術打合せ会の配付資料19と同一物であるかどうかまでは認めることができないこと。
(2)上記資料19には、バルク容器に対応した技術事項が記載されていることは認められるが、タンクローリに関する直接的な記載は格別認めることができないこと。
『資料26(甲第11号証)』
(1)甲第11号証の資料26は、甲第6号証の送付御案内書(同一物とまでは認めることができない。)によって、事務局から地下バルク用タンクローリに関する安全対策について検討項目の依頼があって、秋元力が他の委員の助言等を受けることなく、単独で第3回機器開発技術打合せ会に間に合うように直前に作成した資料と認められるものであって、地下バルク用タンクローリに関する安全対策についての検討項目として、下記の1〜5の事項が記載されたものである。
1.ホース先端(30m)に於けるポンプの制御が可能とする。
(原則として作業員は1名と考えられるためホースの先端で排出用ポンプの始動と停止の操作ができること)・・・本件発明の技術事項Cに対応
2.上記の制御機構はガスもれ時等に着火原因とならない方式とする。
(電気的なものはリード線の破損等が心配されるため採用不可)・・・本件発明の技術事項Cに対応
3.ガスもれ事故発生時に於けるエンジンの緊急停止。・・・本件発明の技術事項D及びFに対応
4.荷役時停車中のタンクローリへの他車追突時に於けるポンプの自動停止及び緊急しゃ断弁の閉止・・・本件発明の技術事項E及びFに対応
5.荷役中に於ける第3者によるタンクローリの発車防止
(2)この資料26は、第3回機器開発技術打合せ会で資料26として当日追加配布されたものと認められること。
(3)請求人が提出した甲第11号証の証拠中に、この資料26の次にホースと見てとれる図面が添付されているが、この図面が甲第11号証の資料26の「地下バルク用タンクローリに関する安全対策」とどのような関係にあるものか不明であること。
【機器開発技術打合せ会の各委員の役割について】
(1)秋元力は、タンクローリの専門家として第2回機器開発技術打合せ会から第4回機器開発技術打合せ会まで委員として出席したこと。
(2)田中典力は、機器開発技術打合せ会の主査であって、審議の内容をまとめて研究委員会へ報告する立場にあったが、タンクローリに関する専門的知識は有しておらず、又、野村清は事務局の一員として、打合せ会の各委員への連絡や議事録、資料の取りまとめや配付、打合せ会の運営を担当していたこと。
(3)田中典力を除く他の委員(浅野泰司、金子稔、小林克也、瀬戸紀臣、田坂泰晃、松永栄之助、小西孝治、秋山利等)も、タンクローリに関する専門的知識は有しておらず、それぞれ専門とする立場で打合せ会の審議に参加し、海外調査や埋設容器の形状、縦型容器の液面計、横置円筒形地下貯槽基準、ガス検知器の設置場所等について事務局から甲第6号証による書面等で検討依頼を受けて資料を提出し、或いは機器の試作等を行っていたこと。
(4)地下バルク用タンクローリに対する安全対策については、第2回機器開発技術打合せ会から第3回機器開発技術打合せ会までの間に秋元力のみに検討依頼がなされ、秋元力が独自に安全対策に必要な課題をまとめ、第3回機器開発技術打合せ会当日に資料26として提示したものであって、第4回機器開発技術打合せ会でも、資料26以上の具体的な資料はどの委員も提示することがなかったこと。

3-3以上の事実から判断される本件発明の発明者
本件発明の技術事項A〜Gのうち、技術事項A、B、D、E及びGは、昭和63年当時にそれぞれ個別の技術事項としては一般的に知られた技術事項であって、それは、甲第7号証の資料18及び本願出願前周知の刊行物(例えば、本件特許発明の参考文献として引用された実開昭56-81096号公報、秋元力が考案者である実開昭63-105544号公報参照)からも認めることができる。
しかしながら、本件発明の技術事項C及びFについては、秋元力が単独で作成した甲第11号証の資料26ではじめて地下バルク用タンクローリの安全対策に必要な技術検討項目として提示されたもの、すなわち課題が提起されたものであって、この資料26においても本件発明のような明確な構成として完成されたものではない。
そして、第2回〜第4回機器開発技術打合せ会で、本件発明と同じ構成のプロパンガス供給装置について検討されていたと認めるに足る事実もない。
そうすると、資料26で「地下バルク用タンクローリに関する安全対策」として提示した5項目の内、項目5を除く他の項目1〜4の技術検討項目(安全対策として必要な課題)と秋元力がこれまで知り得たタンクローリに関する周知技術を総合した結果、秋元力が単独で本件発明であるプロパンガス供給装置を完成したものと認める以外にないものであって、機器開発技術打合せ会で田中典力以下の他の委員が関与することによって本件発明を完成したものとは認めることができないものである。
ところで、請求人は、証拠調べに引き続く口頭審理において、甲第11号証の資料26を除いても、第3回及び第4回の議事録や資料18から本件発明が機器開発技術打合せ会で完成されたものであると主張しているが、第3回及び第4回の議事録(第4回議事録は、本件発明の出願後に配布)並びに資料18には、単にタンクローリに関する安全対策の一般的な課題、問題点、これから検討すべき事項並びに審議結果(内容)が記載されているにすぎないものであって、本件発明が機器開発技術打合せ会で完成されたものとは認めることができないものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。

4.むすび
以上のとおりであるから、請求人が主張する理由及び証拠方法によっては、本件発明の特許を無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2001-06-04 
出願番号 特願平1-147491
審決分類 P 1 112・ 151- Y (F17C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 康史  
特許庁審判長 村本 佳史
特許庁審判官 船越 巧子
吉国 信雄
登録日 1999-05-14 
登録番号 特許第2928270号(P2928270)
発明の名称 プロパンガス供給装置  
代理人 足立 勉  
代理人 土井 清暢  
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