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審決分類 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G11B
審判 一部申し立て 2項進歩性  G11B
審判 一部申し立て 発明同一  G11B
管理番号 1043192
異議申立番号 異議2000-70918  
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-03-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-03-06 
確定日 2001-03-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2945309号「ディスクカートリッジ」の請求項1ないし3、5、6、8、9に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2945309号の請求項1、2、5、6に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続きの経緯
実用新案登録出願 平成2年3月8日
特許出願変更 平成7年10月4日
特許権設定登録 平成11年6月25日
特許異議の申立て 平成12年3月6日
(異議申立人松本信雄)
特許異議の申立て 平成12年3月6日
(異議申立人赤坂雄司)
取消理由通知 平成12年5月24日
特許異議意見 平成12年8月7日
訂正請求 平成12年8月7日

2.訂正の適法性
(1)本件発明
訂正特許明細書の請求項1〜7の中、請求項1,2,5,6に係る発明(以下、全体を「本件発明」それぞれを「本件発明1,同2,同5,同6」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1,2,5,6に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記シャッタを閉方向に付勢する付勢部材(18)が、その一方の腕部を前記スライダの前記シャッタ開方向の端部に設けられた第1受け部(17)に、他方の腕部を前記ケースに設けられた第2受け部(20)にそれぞれ係合され、前記スライダーの前記シャッタ閉方向側が前記シャッタから前記シャッタ閉方向に向けて突出すると共に、前記第1受け部(17)は前記シャッタ(5)の開方向に開口し且つ前記のシャッタ閉方向に延びる溝状に形成されていることを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項2】前記第1受け部(17)に係合する前記付勢部材(18)の腕部は、直角に折り曲げられた先端を有しており、直角に折り曲げられた該先端は、溝状の前記第1受け部(17)に収装されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクカートリッジ。
【請求頃5】ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記ケースの記録再生装置挿入方向端側には前記シャッタの開閉方向に延びる嵌合溝(23、24)が形成されており、前記スライダー(15)の両端には、前記嵌合溝(23、24)に嵌入される嵌合突起部(21、22)が形成されていることを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項6】前記嵌合突起部(21、22)の先端は略矢じり状に形成されており、前記嵌合溝内の突部(1c、1d)と係合していることを特徴とする請求項5に記載のディスクカートリッジ。」
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記特許請求の範囲は、特許明細書の請求項1,2,3を削除し、同請求項5,6及び8,9を繰り上げて、それぞれ請求項1,2及び5,6と訂正したものであって、当該訂正は、特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立ての理由の概要
異議申立人松本信雄は、特許請求の範囲の請求項1,5,6,8に係る発明は、特許法第29条第2項及び又は同法第29条の2の規定により(証拠方法:甲第1〜4号証)、また、異議申立人赤坂雄司は、特許請求の範囲の請求項1〜3、5,6,8,9に係る発明は、特許法第29条第1項第3号及び又は同法同条第2項の規定により(証拠方法:甲第1〜6号証)、特許を受けることができないものであるから、その特許は取り消されるべきものである旨それぞれ主張している。

4.当審の判断
(1)刊行物に記載された発明
当審が通知した取消理由で引用した刊行物1(特開平3-224172号公報:異議申立人松本信雄が提示した甲第3号証)には、「本発明は、ディスクカートリッジ内に収納されたディスク状記録媒体を回転駆動して情報の記録再生を行うディスク駆動装置に係り、」([産業上の利用分野]の項)、「第17図に示すように上ハーフ53のほぼ中央部には、駆動軸挿入開口とヘッドアクセス開口とが一緒になった長孔状の窓孔11が形成されている。」(第10頁上右欄第18行〜下左欄第1行及び第17図)、「第18図に示すように、上ハーフ53の・・・(中略)・・・前部内面にはシャッタの移動を案内するためのガイド溝80が形成され、」(第10頁下左欄第20行〜下右欄第12行及び第18図)、「さらに下ハーフ52の内面には第21図に示すように、側壁88、円弧リブ89、ディスク収容部90、ガイド溝91ならびに係止凸部92が、それぞれ所定の位置に形成されている。」(第11頁上左欄第12〜15行及び第21図)、「このカートリッジケース51内に光ディスクなどのディスク状記録媒体12が回転可能に収容される。」(第11頁上左欄第20行〜上右欄第2行)、「このシャッタ9は、シャッタ板131とスライダ132とから構成されている。シャッタ板131は例えばステンレス鋼板などの金属板から構成され、第32図に示すように、上、下の閉塞部133と、両閉塞部133の一端どうしを連結する連結部134とから構成され、側面形状がほぼコ字形をしている。前記閉塞部133は、窓孔11を閉塞するに十分な長さになっている。」(第12頁下左欄第2〜10行及び第31,32図)、「スライダ132は、例えばポリアセタール(商品名ジュラコン)、ポリアミド(商品名ナイロン)フツ素樹脂(商品名テフロン)、超高分子量ポリエチレン、各種固体潤滑剤を適量混合した合成樹脂など、自己潤滑性を有する成形体から構成されている。前記カートリッジケース51としてポリカーボネートを用い、それと摺接するスライダ132としてポリアセタールを使用した場合の、」(第12頁下右欄第17行〜第13頁上左欄第5行)、「このスライダ132は第33図ないし第37図に示すように、シャッタ板取付部137と幅狭部138とから主に構成されている。」(第13頁上右欄第20行〜下左欄第2行及び第33〜37図)、「第34図ないし第37図に示すように、前記シャッタ板取付部137から幅狭部138の全長にかけて、カートリッジケース51の前部と係合する抜止め溝143が両側に貫通している。さらにこの抜止め溝143の下方に突条144が設けられており、この突条144が上、下ハーフ53、52のガイド溝80、91に挿入されるようになっている。また、第34図ならびに第35図に示すように前記傾斜部140の下方には、バネ掛け孔145が形成されている。」(第13頁下左欄第12行〜下右欄第1行及び第33〜37図)、「スライダ132にシャッタ板131が取付けられて、シャッタ9を構成する。シャッタ9をカートリッジケース51の閉塞位置に弾性付勢するために用いられるコイルバネ146は、第38図ならびに第39図に示すように、中間部にコイル部147を有し、一端に前記上ハーフ53のバネ掛けピン81に外嵌する環状部148が形成され、他端に前記シャッタ9(スライダ132)のバネ掛け孔145に挿入される係止端149が突設されている。」(第13頁下右欄第6〜16行及び第38,39図)及び「第45図ならびに第46図は、シャッタ9の閉成位置ならびに開成位置におけるコイルバネ146の状態を示す図である。コイルバネ146の一端はスライダ132のバネ掛け孔145と係止し、他端はバネ掛けピン81と係止して、シャッタ9を常に閉成位置側に弾性付勢している。」(第14頁下右欄第3〜8行及び第45,46図)ことが、
同刊行物2(実願昭63-8850号(実開平1-113885号)のマイクロフィルム:異議申立人赤坂雄司が提示した甲第2号証)には、「本考案は、ハードディスク、特に光ディスク、光磁気ディスク、磁気ディスクあるいはフロッピーディスクなどディスク状媒体を回転自在にケース内に収納したディスクカートリッジに関するものである。」([産業上の利用分野]の項)、「円形状の光ディスク1と、該ディスク1を回転可能に収納する上ケースと下ケースとからなるケース2と、このケース2に形成した記録・再生用のピックアップ挿入孔3を開閉するためケース上下面を挟持状態でピックアップ挿入孔3を開閉する金属製(SUS)のシャッタ板の上板41及び下板42をポリアセタール樹脂などの滑性良好な材質のスライダ43にそれぞれ連結して断面がほぼコ字状に構成したシャッタ4を備えたものであって、」([実施例]の項及び第1,2図)、「また前記スライダ43に設けられる仕切壁14にはケース側壁に設けたガイド長溝に嵌入係支されスライドしやすくし、ケース表面にある凹面状のスライド領域12にシャッタ4の上板41、と下板42が摺動するようになっており、該上板41及ぶ下板4の先端縁は段付折曲げ端にしてケース2に設けられる押え片13の下側にもぐらせて嵌挿セットできるようにしてある。さらにケース2は、その中心に形成した円形の開孔15内にディスク1のハブ16が配置され、長方形の前記ピックアップ挿入孔3及び、ピン挿入穴17と前記シャッタ4を摺動可能に配置するスライド領域12とシャッタ端部の押え片13とを持っていて、不使用時にはシャッタ4によってピックアップ挿入孔3が覆われ、ディスクカートリッジを挿入する際に、スライドされピックアップ挿入孔3を開ける状態にスライドされ、ガイド軸のシャフト19に巻装されたバネ20で復元できるように付勢されている。」([実施例]の項及び第3〜8図)、「スライダ43をその仕切壁14をガイド長溝に嵌入しつつ、上板41及び下板42の間に差込み可変当片8、8間の嵌入部9に規制ロック片10を可変当片8を押し曲げつつ押し込んで納めると係止され、さらに係合孔6も突起7に嵌合されてシャッタの上板41と下板42とがスライダ43に一体的に連結構成され、同時にケース2のスライダ領域12にシャッタ4が組み立て配備されることとなり、能率良好な生産作業が可能となる。」([実施例]の項及び第3〜8図)及び「シャッタ板をカートリッジケース本体に摺動自在にセットしたのち、スライダをシャッタ板に押し込んで連結固着一体化すると同時にケース装着することができることとなり、シャッタの組み立て並びにケースへの装着が著しく容易となり、」([考案の効果]の項)ことが、
同刊行物3(特開平1-134774号公報:異議申立人赤坂雄司が提示した甲第4号証)には、「上ケースと下ケースとを接合して成り、所定位置に窓孔が開設されたカートリッジケースと、このカートリッジケースに被着され、前期窓孔を開閉するシャッタとを備えたディスクカートリッジにおいて、前記カートリッジケースの前縁に沿って、前記上ケースと下ケースとの接合部にシャッタ案内レールを相内向に形成するとともに、前記シャッタの前片の内面に、この前片のほぼ全幅に亘つて延びる補強リブを突設し、この補強リブの先端の少なくとも一部に、前記シャッタ案内レールに係合可能な鉤形の係止体を形成したことを特徴とするディスクカートリッジ。」(「特許請求の範囲」の欄)、「前縁Aのほぼ全範囲に亘つて、係止爪30を有する鉤形のシャッタ案内レール31が一直線状に形成されている。係止爪30の内面30aは、第3図および第4図に示すように、前記接合用壁6の先端面6aより凹設されており、後に説明する上ケース5と接合したとき、上ケース5に形成されたシャッタ案内レールとの間に、シャッタ3を摺動可能に取り付けるためのスリットが形成されるようになっている。また、前記係止爪30の前面には斜面30bが形成されており、シャッタ3の取り付けが容易に行なえるようになっている。」([実施例]の項及び第1〜6図)、「シャッタ3は、所定の樹脂材料をもって成形されており、第7図ないし第9図に示すように、カートリッジケースの厚さと略等しい幅W有する前片51と、前片51に続く細幅部51aと、前片51および細幅部51aの内面に突設された補強リブ52と、この補強リブ52の先端部に形成された係止体53と、前記ヘッド挿入孔16を閉塞可能な幅及び長さを有する第1のシャッタ面部54と、前記ヘッド挿入孔16およびスピンドル孔14を共に閉塞可能な幅と長さとを有する第2のシャッタ面部55と、前片51の両端部に形成された曲折部56、57とから成る。」([実施例]の項及び第7〜9図)、「補強リブ52は、前片および細幅部51aのほぼ全長に亘つて形成される。その幅Dは、第10図に示すように、前片51をカートリッジケース1の内装用段部28に衝合したとき、その先端部が前記シャッタ案内レール31、46の間に形成されるスリット49の間に挿入されるように形成される。係止体53は、前記補強リブ52のシャッタ面部54、55から露出した部分に形成される。係止体53の長さは任意に設計可能であるが、あまり長く形成するとスリット49への挿入が困難になり、反対にあまり短かいと脱落し易くなるため、適当な長さに形成される。この場合、短い係止体を所定の間隔をもって複数個形成することもできる。また、シャッタ面部54、55の間まで、この係止体53を延長することも可能である。係止体53の断面形状は、第10図に示すように、補強リブ52を中心としてその両側に膨出する鉤形に形成される。この図に示すように、この係止体53は、シャッタ案内レール31、46の後縁側に形成される取付部50内に嵌合され、係止爪30と係合される。これによって、シャッタ3は、シャッタ案内レール31、46に沿って、カートリッジケース10の前縁部を摺動することができる。」([実施例]の項及び第10図)及び「次いで、シャッタ面部54、55の自由端を若干開いた状態でシャッタ3をカートリッジケース1の前縁側から挿入する。このとき、第10図に示すように、シャッタ3に形成された係止体53をカートリッジケース1の前縁部に押し込むと、係止体53の撓みと下ケース4および上ケース5(主として、連結凹部32)の弾性変形のよって、太幅の係止体53がシャッタ案内レール31、46の間に形成されるスリット49を通って、取付部50内に押し込まれる。これによって、シャッタ3とカートリッジケース1とが一体に結合され、シャッタ3が脱落することなく、シャッタ案内レール31、46に沿って自由に移動できるようになる。」([実施例]の項及び第10図)ことが、それぞれ記載されている。
(2)本件発明1,2について
本件発明1,2と刊行物1に記載された発明とを対比すると、後者の「ヘッドアクセス開口」、「駆動軸挿入開口」、「コイルバネ146」、「突条144に設けられた溝及びこれに臨んで設けられたバネ掛け孔145」、「バネ掛けピン81」及び「係止端149」は、それぞれ前者の「ヘッド挿入穴」、「回転穴」、「付勢部材」、「第1受け部」、「第2受け部」及び「直角に折り曲げられた先端」に相当する(前者の「第1受け部」は溝状に形成されたものであり、この溝状とはその実施例からみて第1割り溝21bを含む溝及びこれに臨んで設けられた引掛り突起17aからなる状態を含むものであるから、後者の「突条144に設けられた溝及びこれに臨んで設けられたバネ掛け孔145」からなる状態も、溝に臨んで設けられたものが凸状ではなく凹状であるに過ぎず、溝状に形成されたものという概念に含まれるものであるとして差し支えないことは明らかであるから、上記のように認定した。)ので、両者は「ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記シャッタを閉方向に付勢する付勢部材(18)が、その一方の腕部を前記スライダの前記シャッタ開方向の端部に設けられた第1受け部(17)に、他方の腕部を前記ケースに設けられた第2受け部(20)にそれぞれ係合され、前記スライダーの前記シャッタ閉方向側が前記シャッタから前記シャッタ閉方向に向けて突出すると共に、前記第1受け部(17)は前記シャッタ(5)の開方向に開口し且つ前記のシャッタ閉方向に延びる溝状に形成されていることを特徴とするディスクカートリッジ。」「前記第1受け部(17)に係合する前記付勢部材(18)の腕部は、直角に折り曲げられた先端を有しており、直角に折り曲げられた該先端は、溝状の前記第1受け部(17)に収装されていることを特徴とする前記のディスクカートリッジ。」である点で一致し、相違点は存しない。
よって、両者は同一であるということができ、本件発明1,2は、いずれも特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものである。
(3)本件発明5について
本件発明5と刊行物2に記載された発明とを対比すると、後者の「ディスク(1)」、「ピックアップ挿入孔(3)」、「開孔(15)」、「ガイド長溝」及び「仕切壁14」は、それぞれ前者の「ディスク状記録媒体」、「ヘッド挿入穴」、「回転穴」、「嵌合溝」及び「嵌合突起部」に相当するから、両者は、「ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記ケースの記録再生装置挿入方向端側には前記シャッタの開閉方向に延びる嵌合溝(23、24)が形成されており、前記スライダー(15)の両端には、前記嵌合溝(23、24)に嵌入される嵌合突起部(21、22)が形成されていることを特徴とするディスクカートリッジ(以下、Aという。)。」である点で一致し、相違点は存しない。
よって、両者は同一であるということができ、本件発明5は、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができないものである。
(4)本件発明6について
本件発明6と刊行物2に記載された発明とを対比すると、後者の「ディスク(1)」、「ピックアップ挿入孔(3)」、「開孔(15)」、「ガイド長溝」、「仕切壁14」及び「ガイド長溝内の突部」は、それぞれ前者の「ディスク状記録媒体」、「ヘッド挿入穴」、「回転穴」、「嵌合溝」、「嵌合突起部」及び「嵌合溝内の突部」に相当するから、両者は、「Aであって、前記嵌合突起部(21、22)の先端は特定形状に形成されており、前記嵌合溝内の突部(1c、1d)と係合していることを特徴とするディスクカートリッジ。」である点で共通し、次の点で相違する。
即ち、嵌合突起部(21、22)の先端の特定形状が、前者では、略矢じり状であるのに対して、後者では、略長方形状である点。
そこで、この相違点を検討する。ディスクカートリッジに於いて、シャッタのスライダー相当部の嵌合突起部相当部の先端(係止体53)を略矢じり状としたものが公知(刊行物3参照)であるから、当業者が後者の嵌合突起部の先端の特定形状である略長方形状を、この公知略矢じり状に換えて、前者の構成を得ることに格別の困難性は認められないので、この相違点は格別のものということはできない。
よって、本件発明6は、刊行物2,3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本件発明の特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ディスクカートリッジ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記シャッタを閉方向に付勢する付勢部材(18)が、その一方の腕部を前記スライダの前記シャッタ開方向の端部に設けられた第1受け部(17)に、他方の腕部を前記ケースに設けられた第2受け部(20)にそれぞれ係合され、前記スライダーの前記シャッタ閉方向側が前記シャッタから前記シャッタ閉方向に向けて突出すると共に、
前記第1受け部(17)は前記シャッタ(5)の開方向に開口し且つ前記のシャッタ閉方向に延びる溝状に形成されていることを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項2】 前記第1受け部(17)に係合する前記付勢部材(18)の腕部は、直角に折り曲げられた先端を有しており、直角に折り曲げられた該先端は、溝状の前記第1受け部(17)に収装されていることを特徴とする請求項1に記載のディスクカートリッジ。
【請求項3】 ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記シャッタを閉方向に付勢する付勢部材(18)が、その一方の腕部を前記スライダの前記シャッタ開方向の端部に設けられた第1受け部(17)に、他方の腕部を前記ケースに設けられた第2受け部(20)にそれぞれ係合され、前記スライダーの前記シャッタ閉方向側が前記シャッタから前記シャッタ閉方向に向けて突出すると共に、
前記第1受け部と前記第2受け部とが、前記シャッタ(5)の開方向寄りの位置においてスライダー(15)と滑接する前記ケースの第2ガイド表面(12)よりも、さらにケースの記録再生装置挿入先端部寄りに配置されていることを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項4】 ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記シャッタを閉方向に付勢する付勢部材(18)が、その一方の腕部を前記スライダの前記シャッタ開方向の端部に設けられた第1受け部(17)に、他方の腕部を前記ケースに設けられた第2受け部(20)にそれぞれ係合され、前記スライダーの前記シャッタ閉方向側が前記シャッタから前記シャッタ閉方向に向けて突出すると共に、
前記スライダーと滑接する前記ケースのガイド表面(11、12)には前記シャッタの開閉方向に延びる嵌合溝(23、24)が形成されており、前記スライダー(15)には、割り溝(21b、22b)を有し且つ前記嵌合溝(23、24)に嵌入される嵌合突起部(21、22)が形成されており、前記第2受け部(20)を前記嵌合突起部とともに連成し、前記付勢部材(18)の腕部が前記割り溝(21b、22b)に収納可能としたことを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項5】 ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記ケースの記録再生装置挿入方向端部には前記シャッタの開閉方向に延びる嵌合溝(23、24)が形成されており、前記スライダー(15)の両端には、前記嵌合溝(23、24)に嵌入される嵌合突起部(21、22)が形成されていることを特徴とするディスクカートリッジ。
【請求項6】 前記嵌合突起部(21、22)の先端は略矢じり状に形成されており、前記嵌合溝内の突部(1c、1d)と係合していることを特徴とする請求項5に記載のディスクカートリッジ。
【請求項7】 略矢じり状の前記嵌合突起部(21、22)に、該嵌合突起部をその中心線へ向けて弾性変形させることのできる割り溝(21b、22b)がさらに形成されていることを特徴とする請求項6に記載のディスクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディスク状記録媒体を収納したディスクカートリッジ、特に3.5インチ用のディスクカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
記録再生装置に使用されるディスク状記録媒体は、不使用時に破損したり、塵埃が付着したりするのを防止するために、ディスクカートリッジ内にこのディスク状記録媒体を収納することによって保護している。このようなディスクカートリッジとして、例えば図8および図9に示すようなものがある。図8において、符号101は上半片101aと下半片101bとからなるケースであり、このケース101にはディスク状記録媒体(図示せず)が収納されている。ケース101にはこのディスクカートリッジが記録再生装置に装着されたときに、ディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(図示せず)や情報の読み書きを行うためにヘッドを接近可能なヘッド挿入穴(図示せず)が形成されている。
【0003】
ここで、前記回転穴やヘッド挿入穴からケース101内部に塵埃が侵入するのを防止するために、このケース101には図9にも示すようにシャッタ102が取り付けられている。また、シャッタ102はケース101内に収装されたねじりコイルばね(図示せず)によって常時付勢されて、前記回転穴やヘッド挿入穴を閉止している。
【0004】
ねじりコイルばねの付勢力に抗してシャッタ102を摺動させると、前記回転穴やヘッド挿入穴は開口される。シャッタ102を開閉する際に、このシャッタ102がケース101から外れないようにするとともに開閉方向にガイドするために、図9に示すようにこのガイド板部105の片面側にガイド突起部105a,105bが形成されている。ガイド突起部105a,105bはケース101の片面側に摺動方向に形成されたガイド溝106a,106bにそれぞれ嵌入されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のディスクカートリッジにおいては、金属製のシャッタ102がケース101に直に摺接し、またガイド溝106a,106bには金属製のガイド突起部105a,105bが嵌入しているので、このシャッタ102をケース101に対してスムーズに摺動させにくいという問題点があった。
【0006】
そこで、ケース101に対して滑接するスライダーをシャッター102に取り付けることが考えられるが、このスライダーはケース101から外れないようにするために、このケース101に摺動自在に取付ける必要がある。そのためには、スライダーに係合突起部を形成し、この係合突起部を一対の上半片101aと下半片101bとで挟み込むようにして、スライダーをケース101に取り付ける方法が考えられる。しかし、このようにしてスライダーをケース101に取り付けるようにすると、スライダーの係合突起を上・下半片101a,101bでいちいち挟み込まねばならず、煩雑であるとともに組立ての時間がかかってしまうという新たな問題が生じる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような問題点を解決するために、本発明にあっては、3.5インチのディスク状記録媒体が収納されたケースと、このケースに形成されたヘッド挿入穴およびディスク状記録媒体を回転させるための回転穴を開閉するためのシャッタとを備えた3.5インチ用のディスクカートリッジにおいて、前記シャッタに前記ケースと滑接するスライダーを取り付け、このスライダーに割り溝を有する嵌合突起部を形成し、この嵌合突起部が嵌入可能な嵌合溝を前記ケースに形成した構成とするものである。
【0008】
ディスクカートリッジを記録再生装置に装着すると、この回転穴やヘッド挿入穴を開口するためにこの装置の開閉ピンがシャッタを押して摺動させる。このとき、シャッタはケースに対して直に摺接しているのではなく、スライダーを介して摺接している。したがって、シャッタをケースに対してスムーズに摺動させることができる。
【0009】
また、スライダーの嵌合突起部には割り溝が形成されているので、この嵌合突起部をケースの嵌合溝に圧挿する際に、前記嵌合突起部は容易に弾性変形することができ、前記嵌合溝に圧入される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。図1ないし図7は本発明に係る3.5インチ用のディスクカートリッジの一実施例を示す図である。
【0011】
図1および図2において符号1はディスクカートリッジのケースであり、このケース1は合成樹脂製であって全体が矩形の平板状筐体の上半片1aと下半片1bとからなっている。ケース1内には光学的情報を記録した3.5インチの光ディスク2(ディスク状記録媒体)が収納されている。ケース1の下半片1bの中央には、光ディスクが記録再生装置に装着されたときに、ケース1内の光ディスク2をスピンドルモータ(図示せず)によって回転させるための回転穴4が形成され、この回転穴4から光ディスク2の中心部に設けられたハブ部2aが露出している。またケース1の上下半片1a,1bには光ディスク2に記録された情報を読み取るための光ヘッド(図示せず)が接近可能なようにヘッド挿入穴3が形成されている。
【0012】
光ディスク2を使用しない場合には、前記回転穴4やヘッド挿入穴3から塵埃がケース1内に侵入するのを防止するために、このケース1にはシャッタ5が取付けられている。シャッタ5は図3に示すようにステンレンス鋼等の金属薄板を略中央から断面略コの字形に折り曲げて形成され、前記回転穴4及びヘッド挿入穴3を開閉するための開閉板部6と、この開閉板部6よりも折り曲げ長さが短い補助開閉板部7とを有している。また、前記シャッタ5の折り曲げられた部分(同図中上部)にはケース1の記録再生装置挿入側先端部に位置するガイド板部8が形成されている。
【0013】
ここで、ケース1の記録再生装置挿入先端部分に形成されたガイド部Gは、図4に示すように、図上左側に形成されケース1の上端面から落込んだ位置に水平方向に伸びる第1ガイド表面11と、この第1ガイド表面11とは前記ヘッド挿入穴3に対して反対側に形成された第2ガイド表面12とを有している。そして、前記両ガイド表面11,12間には、連結部13が形成されている。
【0014】
前記第1ガイド表面11の前記ヘッド挿入穴3側には、シャッタ5を開閉するための開閉ピンPがシャッタ5を開放したときに落込むための逃げ凹み14が形成されている。前記開閉ピンPはシャッタ5を頭上右側に移動せしめ、前記ヘッド挿入穴3を開放する。このようにヘッド挿入穴3が開放されたときに前記開閉ピンPは前記逃げ凹み14内に落込む。
【0015】
断面略コの字型のガイド板部8の内面側にはガイド部Gに摺接するポリアセタール等の合成樹脂製のスライダー15が取り付けられており、このスライダー15は図4中略右半分がガイド板部8の内面側にタッピングねじ16によって固着されている。また、このスライダー15の略右半分には第2ガイド表面12と摺接する第2摺接面部15aが設けられ、第2摺接面部15aと第2ガイド表面12とはともに合成樹脂製であるので、この第2摺接面部15aは第2ガイド表面12に対して滑性を有している。
【0016】
さらに、この略右半分の右端側部分には第1ばね受部(第1受け部)17が形成されている。ケース1内にはねじりコイルばね(付勢部材)18を収納するための収納室19が設けられ、この収納室19の右上方端のケース1には第2ばね受部(第2受け部)20が形成されている。第1、第2ばね受部17、20にはねじりコイルばね18の一端、他端がそれぞれ係合し、このねじりコイルばね18によってスライダー15を図4中左方へ付勢している。
【0017】
一方、スライダー15の略左半分は図5に示すように記録再生装置のヘッド(図示せず)が側方からヘッド挿入口3へ接近可能なように厚さを薄く形成している。また、このスライダー15の略左半分の左端側部には第1ガイド表面11と摺接する第1摺接面部15bが突出形成されており、この第1摺接面部15bは前記同様の理由から第1ガイド表面11に対して滑性を有している。
【0018】
また、スライダー15の摺動方向両端には図6および図7に示すように断面略矢じり状の第1,第2嵌合突起部21,22がそれぞれ同図中下方に向けて一体形成されている。すなわち、第1、第2嵌合突起部21,22の先端側(図6および図7中下方側)には隆起するえら部21a,22aがそれぞれ形成され、このえら部21a,22aから先端までは次第にすぼめた形となっている。
【0019】
スライダー15を図4中左右に摺動ずると、第1、第2嵌合突起部21,22も同時に摺動ずるが、この第1、第2嵌合突起部21,22が摺動ずる範囲であってケース1の上方端側には第1、第2嵌合溝23,24が設けられている。第1、第2嵌合溝23,24の縁は、上下半片1a,1bの内壁に形成された突部1c,1dによって画成されている。突部1c,1d間の間隔はえら部21a,22aの幅よりも小さい。このため、えら部21a,22aを突部1c,1d間に圧押しようとしてもしずらいことになる。
【0020】
そこで、第1、第2嵌合突起部21,22のそれぞれの中心線部分には図6および図7中下方に向けて第1、第2割り溝21b,22bを形成している。このように第1、第2割り溝21b,22bが形成されていると、えら部21a,22aを突部1c,1dに圧押する際に、このえら部21a,22aは第1、第2嵌合突起部21,22の中心線へ向けて弾性変形することができ、突部1c,1d間を容易に擦り抜けることができる。したがって、第1、第2嵌合突起部21,22はケース1に前記摺動方向に沿ってそれぞれ形成された第1、第2嵌合溝23,24内に圧入することができ、このことによりスライダー15が摺動されるときにこのケース1から容易に外れるのを防止している。
【0021】
スライダー15の図4中上方部には前記した第1ばね受部17が第1嵌合突起部21と連成されているが、第1ばね受部17はねじりコイルばね18の直角に折り曲げられた先端18aが収装されるように形成されている。また、この第1ばね受部17の図4中右方側には、ねじりコイルばね18が容易に脱するのを阻止するめたに引掛り突起17aが形成されるとともに、この第1ばね受部17は図6に示すように第1割り溝21bと連通している。スライダー15を図4中右方へ摺動させると、ねじりコイルばね18は同じ右方へ押圧されるが、このねじりコイルばね18の一端腕部18bは、第1ばね受部17に係合する先端18aを中心に第1嵌合突起部21に向けて回動ずる。第1嵌合突起部21には第1割り溝21bが形成されているので、一端腕部18bはそのまま回動しても第1割り溝21b内に入り込むことができる。したがって、ねじりコイルばね18が押圧される際にこの一端腕部18bは第1割り溝21b内に入り込むことによって第1ばね受部17から一層脱しにくくなる。
【0022】
ここで、ディスクカートリッジを記録再生装置に装着すると、回転穴4やヘッド挿入穴3を開口するためにこの装置の開閉ピンPがスライダー15の図4中左上端部を押し、シャッタ5を右方向へ摺動させる。このとき、シャッタ5はケース1に対して直に摺接しているのではなく、スライダー15を介して摺接している。すなわち、滑性を有する第1,第2摺接面部15b,15aは第1,第2ガイド表面11,12に対して摺接している。また、スライダー15がケース1から容易に外れてしまうのを防止するために、合成樹脂製の第1,第2嵌合突起部21,22を第1,第2嵌合溝23,24に圧入しているが、この第1,第2嵌合突起部21,22も第1,第2嵌合溝23,24に対して滑性を有している。したがって、シャッタ5を開閉ピンPで押せば、ケース1に対してスムーズに摺動させることができる。
【0023】
ところで、ディスクカートリッジの組立時にケース1にスライダー15を取り付けるには、シャッタ5に固着されたスライダー15の第1,第2朕合突起部21,22を、前記したようにケース1の第1,第2嵌合溝23,24に圧入することができる。このため、スライダー15をケース1に取り付けるのに、スライダー15の第1、第2嵌合突起部21,22を一ス1の上・下半片1a,1bによって挟み込む必要がない。したがって、予め組み立てられたケース1の第1、第2嵌合溝21,22に第1、第2嵌合突起部21a,21bを圧入するだけで、スライダー15をケース1にワンタッチで取り付けることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シャッタにケースと摺接するスライダーを取り付けたので、シャッタはケースに対して滑性を有するスライダーを介して摺動させることができる。したがって、シャッタをケースに対してスムーズに摺動させることができる。
【0025】また、スライダーに割り溝を有する嵌合突起部を形成し、この嵌合突起が嵌入可能な嵌合溝をケースに形成したので、スライダーの嵌合突起部をケースの嵌合溝に圧入することができる。このため、ディスクカートリッジの組立時にスライダーの嵌合突起部をケースの上・下半片によって挟み込んだりする必要がなくなる。したがって、予め組み立てられたケースの嵌合溝にスライダーの嵌合突起部を圧入するだけで、スライダーをケースにワンタッチで取り付けることができる。
【0026】
加えて、付勢部材の受け部をスライダーに嵌合突起部とともに連成し、この付勢部材の端部が前記割り溝に収納可能としたので、前記端部は前記受け部から一層脱しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ディスクカートリッジの表側の斜視図
【図2】ディスクカートリッジの裏側の斜視図
【図3】シャッタの断面図
【図4】ディスクカートリッジの下半片の部分拡大正面図
【図5】ディスクカートリッジの平面図
【図6】図4におけるVI-VI線断面図
【図7】図4におけるVII-VII線断面図
【図8】従来のディスクカートリッジの裏側の斜視図
【図9】従来のディスクカートリッジの裏側の斜視図
【符号の説明】
1…ケース
2…3.5インチのディスク状記録媒体
3…ヘッド挿入穴
4…回転穴
5…シャッタ
15…スライダー
17…第1ばね受部
21,22…嵌合突起部
21b,22b…割り溝
23,24…嵌合溝
 
訂正の要旨 (3)訂正の要旨
▲1▼.訂正事項a
特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の請求項1〜3を削除する。
▲2▼.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項4に係る記載を明瞭でない記載の釈明を目的として、引用形式請求項から独立形式請求項に、下記のとおり訂正し、請求項3とする。
「【請求項3】ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記シャッタを閉方向に付勢する付勢部材(18)が、その一方の腕部を前記スライダの前記シャッタ開方向の端部に設けられた第1受け部(17)に、他方の腕部を前記ケースに設けられた第2受け部(20)にそれぞれ係合され、前記スライダーの前記シャッタ閉方向側が前記シャッタから前記シャッタ閉方向に向けて突出すると共に、前記第1受け部と前記第2受け部とが、前記シャッタ(5)の開方向寄りの位置においてスライダー(15)と滑接する前記ケースの第2ガイド表面(12)よりも、さらにケースの記録再生装置挿入先端部寄りに配置されていることを特徴とするディスクカートリッジ。」
▲3▼.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項5に係る記載を明瞭でない記載の釈明を目的として、引用形式請求項から独立形式請求項に、下記のとおり訂正し、請求項1とする。
「【請求項1】ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記シャッタを閉方向に付勢する付勢部材(18)が、その一方の腕部を前記スライダの前記シャッタ開方向の端部に設けられた第1受け部(17)に、他方の腕部を前記ケースに設けられた第2受け部(20)にそれぞれ係合され、前記スライダーの前記シャッタ閉方向側が前記シャッタから前記シャッタ閉方向に向けて突出すると共に、前記第1受け部(17)は前記シャッタ(5)の開方向に開口し且つ前記のシャッタ閉方向に延びる溝状に形成されていることを特徴とするディスクカートリッジ。」
▲4▼.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項6に係る記載を明瞭でない記載の釈明を目的として、下記のとおり訂正し、請求項2とする。
「【請求項2】前記第1受け部(17)に係合する前記付勢部材(18)の腕部は、直角に折り曲げられた先端を有しており、直角に折り曲げられた該先端は、溝状の前記第1受け部(17)に収装されていることを特徴とする請求項1記載のディスクカートリッジ。」
▲5▼.訂正事項e
特許請求の範囲の請求項7に係る記載を明瞭でない記載の釈明を目的として、引用形式請求項から独立形式請求項に、下記のとおり訂正し、請求項4とする。
「【請求項4】ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記シャッタを閉方向に付勢する付勢部材(18)が、その一方の腕部を前記スライダの前記シャッタ開方向の端部に設けられた第1受け部(17)に、他方の腕部を前記ケースに設けられた第2受け部(20)にそれぞれ係合され、前記スライダーの前記シャッタ閉方向側が前記シャッタから前記シャッタ閉方向に向けて突出すると共に、前記スライダーと滑接する前記ケースのガイド表面(11、12)には前記シャッタの開閉方向に延びる嵌合溝(23、24)が形成されており、前記スライダー(15)には、割り溝(21b、22b)を有し且つ前記嵌合溝(23、24)に嵌入される嵌合突起部(21、22)が形成されており、前記第2受け部(20)を前記嵌合突起部とともに連成し、前記付勢部材(18)の腕部が前記割り溝(21b、22b)に収納可能としたことを特徴とするディスクカートリッジ。」
▲6▼.訂正事項f
特許請求の範囲の請求項8に係る記載を明瞭でない記載の釈明を目的として、下記のとおり訂正し、請求項5とする。
「【請求項5】 ディスク状記録媒体(2)が収納されたケース(1)と、このケースに形成されたヘッド挿入穴(3)及びディスク状記録媒体を回転させるための回転穴(4)を開閉するために前記ケースに取り付けられたシャッタ(5)と、前記シャッタに取り付けられ、前記シャッタの開閉方向に滑るようにして前記ケースと接触するスライダー(15)と、を備えたディスクカートリッジにおいて、前記ケースの記録再生装置挿入方向端側には前記シャッタの開閉方向に延びる嵌合溝(23、24)が形成されており、前記スライダー(15)の両端には、前記嵌合溝(23、24)に嵌入される嵌合突起部(21、22)が形成されていることを特徴とするディスクカートリッジ。
▲7▼.訂正事項g
特許請求の範囲の請求項9に係る記載を明瞭でない記載の釈明を目的として、下記のとおり訂正し、請求項6とする。
「【請求項6】 前記嵌合突起部(21、22)の先端は略矢じり状に形成されており、前記嵌合溝内の突部(1c、1d)と係合していることを特徴とする請求項5に記載のディスクカートリッジ。」
▲8▼.訂正事項h
特許請求の範囲の請求項10に係る記載を明瞭でない記載の釈明を目的として、下記のとおり訂正し、請求項7とする。
「【請求項7】 略矢じり状の前記嵌合突起部(21、22)に、該嵌合突起部をその中心線へ向けて弾性変形させることのできる割り溝(21b、22b)がさらに形成されていることを特徴とする請求項6に記載のディスクカートリッジ。」
異議決定日 2001-01-25 
出願番号 特願平7-257477
審決分類 P 1 652・ 161- ZA (G11B)
P 1 652・ 121- ZA (G11B)
P 1 652・ 113- ZA (G11B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 赤穂 隆雄  
特許庁審判長 奥村 寿一
特許庁審判官 犬飼 宏
相馬 多美子
登録日 1999-06-25 
登録番号 特許第2945309号(P2945309)
権利者 大日本印刷株式会社
発明の名称 ディスクカートリッジ  
代理人 金山 聡  
代理人 土屋 勝  
代理人 金山 聡  

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