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審決分類 |
審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認めない。無効とする(申立て全部成立) F21V |
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管理番号 | 1044403 |
審判番号 | 審判1999-35437 |
総通号数 | 22 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-06-10 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-08-23 |
確定日 | 2001-09-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2500916号「天井取付用照明器具」の特許無効審判事件についてされた平成12年2月3日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成12年(行ケ)第132号平成13年3月14日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2500916号発明の特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.本件特許第2500916号(以下「本件」という。)は、実願昭62-22204号(出願日:昭和62年2月18日)の変更出願として特許出願され、平成8年3月13日に設定登録がされたものであって、本件審判事件に係る手続の経緯の概要は、以下のとおりである。 1)特許無効審判の請求:平成11年8月23日 2)審判事件答弁書:平成11年12月21日 3)訂正請求:平成11年12月21日 4)審判事件弁駁書(請求人):平成12年1月14日 4)口頭による審尋:平成12年1月14日 5)口頭審理:平成12年1月14日 6)審決:平成12年2月3日付け(審決書送達:平成12年3月27日) 〔結論:請求は成り立たない〕 7)東京高等裁判所平成12年(行ケ)第132号本件審決取消請求事件判決:平成13年3月14日判決言渡〔主文:審決を取り消す〕 2.請求人の請求の理由(概要)は、 (ア) 本件発明は、甲第1号証に記載された発明であるから特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり(理由1)、 (イ)第29条第1項第3号に該当しないとしても、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである(理由2)。 (ウ)訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明についても、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 というにあり、以下の証拠方法を提出した。 甲第1号証:実願昭59-59803号(実開昭60-172213号)のマイクロフィルム 甲第2号証:実公昭58-48736号公報 一方、被請求人は、本件審判請求は成り立たない旨答弁した。 3.平成12年2月3日付けの原審決は、平成11年12月21日付け訂正請求に基づく訂正は、特許法第134条第2項第1号の「特許請求の範囲の減縮」及び同第2号の「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものに該当し、同条第5項で準用する同法第126条第2項及び第3項に規定する訂正の要件に適合し、訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとすることもできないので、本件訂正事項は、同法第134条第5項で準用する同法第126条第4項の規定にも適合するものであるとして訂正を認めるとともに、本件発明が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない、とした。 4.これに対して、平成13年3月14日判決言渡の原審決の取消請求事件判決は、本件発明(訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明)と甲第1号証(引用例1)に記載された発明の相違点として、 ア 固定側部材と着脱側部材の組み合わせが、訂正発明では、天井側に取り付けられた取付アダプタと下面にランプを保持した本体であるのに対し、引用例発明1では、天井に取り付けられた器具本体と透光カバーである点、 イ 訂正発明では、ばねで付勢される第一係止部、係止解除部材、その操作部の下端が下面に露出される位置が、いずれも「本体側」であるのに対し、引用例発明1では、引掛爪、これを動かして係止状態を解除するために下側から押し上げる押上ボタンの位置が、いずれも透光カバー枠部である点、 ウ 訂正発明では、第一係止部を付勢するばねが本体の中心から放射状に沿うように設けられる点、 にあるとしたうえで、 (1)相違点アについて 引用例2(甲第5号証)には、照明器具本体をスタットカバー部材を介して天井側に取り付けたスタット部材に係止し、かつ、その係止状態を解除できる着脱装置が記載されていると認められる(実用新案登録請求の範囲、1欄)。そして、引用例発明1及び引用例発明2は、ともに照明器具という共通の技術分野に属するものであり、かつ、天井に固定された部材に着脱側部材を取り付け又は取り外すという機能で共通するものであるから、当業者にとって、引用例発明1に示された着脱装置を引用例発明2の天井側に取り付けられた取付アダプタと下面にランプを保持した本体の脱着に用いることで、相違点アに係る訂正発明の構成を採用することは、当業者にとって容易に想到し得るものと認められる。・・・ (2)相違点イについて 上記(1)のとおり、引用例発明2の天井側に取り付けられた取付アダプタと下面にランプを保持した本体の脱着について、引用例発明1の着脱装置を適用することは、当業者にとって容易である以上、引用例1で透光カバー側に設けられた引掛爪と押上ボタンの位置は、上記の適用の結果、ランプを保持した本体側となることが自然な設計であって、相違点イに係る訂正発明の構成は、当業者にとって、容易に想到し得るものにすぎない。 (3)相違点ウについて 第一係止部を付勢するばねを本体の中心から「放射状」に沿うように設けることは、このような構成を採用することに困難性はなく、この点に特段の技術的意義を見いだすこともできないから、当業者が適宜採用することのできる設計事項にすぎないと認められる。相違点ウに係る訂正発明の構成も、当業者が容易に想到し得るものである。 とし、原審決を取り消す、とした。 5.平成11年12月21日付け訂正請求に基づく訂正された発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「下面にランプを保持した本体と天井側に取り付けられる取付アダプタが縦方向にはめられて、本体側に設けた第一係止部と取付アダプタ側に設けた第二係止部が係止状態になることにより天井に取付けられる照明器具であって、本体の中心からの放射線に沿うよう本体側において横方向に設けられたばねで第一係止部が付勢されて、第一係止部と第二係止部の係止状態が維持され、この係止状態を解除するために本体側に設けられた係止解除部材は、その下端の操作部が本体側において下面に露出され、前記操作部が変位操作されることにより第一係止部が前記ばねの付勢方向に逆らって変位されて前記係止状態が解除されるものである天井取付用照明器具。」にあるところ、上記判決に示された理由により、請求人の提出した前掲甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得るものとするほかない(行政事件訴訟法第33条第1項)。 したがって、本件訂正は、特許法第134条第5項で準用する同法第126条第4項の規定に適合しないこととなるので、本件訂正請求は認められない。 6.そうすると、本件発明は、特許された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された「第一部材と第二部材が縦方向にはめられて、第一部材側に設けた第一係止部と第二部材側に設けた第二係止部が係止状態になることにより天井に取付けられる照明器具であって、第一部材の中心からの放射線に沿うよう第一部材側において横方向に設けられたばねで第一係止部が付勢されて、第一係止部と第二係止部の係止状態が維持され、この係止状態を解除するために第一部材側に設けられた係止解除部材は、その下端の操作部が第一部材側において下面に露出され、前記操作部が変位操作されることにより第一係止部が前記ばねの付勢方向に逆らって変位されて前記係止状態が解除されるものである天井取付用照明器具。」にあるところ、同様に、上記判決に示された理由により請求人の提出した前掲甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものとするほかない。 7.したがって、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものというべきであるから、同法第123条第1項第2号に該当し無効とすべきである。 また、審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-06-27 |
結審通知日 | 2001-07-03 |
審決日 | 2000-02-03 |
出願番号 | 特願平5-221100 |
審決分類 |
P
1
112・
121-
ZB
(F21V)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 斉藤 博子、和泉 等 |
特許庁審判長 |
佐藤 洋 |
特許庁審判官 |
松下 聡 岡田 和加子 青山 紘一 熊倉 強 |
登録日 | 1996-03-13 |
登録番号 | 特許第2500916号(P2500916) |
発明の名称 | 天井取付用照明器具 |
代理人 | 神保 欣正 |
代理人 | 役 昌明 |
代理人 | 坂口 智康 |