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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A41B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A41B
管理番号 1044509
異議申立番号 異議2000-71992  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-06-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-05-15 
確定日 2001-02-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2977501号「使い捨て吸収性製品用の処分手段を備えた機械的ファスナー手段」の請求項1ないし32に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2977501号の請求項1ないし32に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2977501号は、昭和63年12月17日(優先権主張1987年12月17日米国)に特許出願された特願昭63-319336号の一部を平成8年10月11日に新たな特許出願としたもので、平成11年9月10日に設定登録がなされ、その後花王株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされたところ、その指定期間内である平成12年11月29日に特許異議意見書の提出とともに訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
特許権者は、本件特許の明細書を訂正明細書の記載のとおりに訂正することを求めており、その具体的内容は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1、請求項4、請求項13、請求項21、請求項28、及び請求項31にそれぞれ記載された「前記第2末端区域において」及び「第1機械的ファスナー手段とともに吸収製品の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段」を、それぞれ「前記第2末端区域の端縁近傍において」及び「第1機械的ファスナー手段とともに吸収製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段」と訂正し、請求項27に記載された「前記第2末端区域の前記外側面上」を「第2末端区域の端縁近傍の前記外側面上」と訂正するというものである。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の有無
上記の訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1、請求項4、請求項13、請求項21、請求項28、及び請求項31にそれぞれ記載された、ランド部材を設ける本体部分上の部位としての「第2末端区域」を「第2末端区域の端縁近傍」と、第1機械的ファスナー手段と第2機械的ファスナー手段とで形成される「吸収製品の閉鎖体」を「吸収製品を着用する際の閉鎖体」と限定し、また、請求項27に記載されたランド部材を設ける部位としての「第2末端区域の外側面上」を「第2末端区域の端縁近傍の外側面上」と限定するものであるので特許請求の範囲の減縮に該当する。
そして、「第2末端区域の端縁近傍」に設けられたランド部材に含まれる第2機械的ファスナー手段が第1機械的ファスナー手段とともに「吸収製品を着用する際の閉鎖体」を形成することは、願書に添付した明細書の【図面の簡単な説明】【第5図】の記載並びに第1図及び第5図の記載事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3) まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号、以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第2項及び第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1条ただし書き、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)本件発明
上記の訂正が認められるので、本件請求項1乃至請求項32に係る発明は訂正された明細書及び図面の記載からその特許請求の範囲の請求項1乃至32に記載された事項により特定される以下のとおりのものと認められる。
「【請求項1】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため吸収性製品の本体部分に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項2】
前記処分手段は前記第1末端区域に位置する請求項1記載の吸収性製品。
【請求項3】
前記処分手段は前記本体部分の前記内側面に位置する請求項2記載の吸収性製品。
【請求項4】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため前記閉鎖部材のファスナー面に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項5】
前記処分手段は前記本体部分の前記外側面上に位置する請求項2記載の吸収性製品。
【請求項6】
前記処分手段は不織布である請求項5記載の吸収性製品。
【請求項7】
前記処分手段は前記本体部分と一体である請求項1,2,3又は5記載の吸収性製品。
【請求項8】
前記処分手段は前記本体部分に接合された別個の要素である請求項1,2,3,5又は6記載の吸収性製品。
【請求項9】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の同一要素である請求項1又は4記載の吸収性製品。
【請求項10】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の別個の要素である請求項1又は4記載の吸収性製品。
【請求項11】
前記第1ファスナー要素はフックファスナー材であり、前記第2ファスナー要素はループファスナー材である請求項10記載の吸収性製品。
【請求項12】
前記閉鎖部材は本体部分の内側面および/または外側面に配置された内部ファスナー部材を含む請求項1記載の吸収性製品。
【請求項13】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分、該本体部分は透液性トップシート;該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられたテープタブ;前記各テープタブは前記本体部分に固着した固定部分、該固定部分に接合し末端縁を有する連結部分、ファスナー面、該ファスナー面と反対側の裏あて面、吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を有し、該第1機械的ファスナー手段は前記テープタブの前記連結部分の前記ファスナー面の少なくとも一部に接合する第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を有し、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄するような形状に固定するため吸収性製品本体部分に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有し該第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項14】
前記処分手段は前記第1末端区域に位置する請求項13記載の吸収性製品。
【請求項15】
前記処分手段は前記本体部分の前記外側面上に位置する請求項14記載の吸収性製品。
【請求項16】
前記処分手段は前記本体部分と一体である請求項13,14又は15記載の吸収性製品。
【請求項17】
前記処分手段は前記本体部分に接合された別個の要素である請求項13,14又は15記載の吸収性製品。
【請求項18】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の同一要素である請求項13記載の吸収性製品。
【請求項19】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の別個の要素である請求項13記載の吸収性製品。
【請求項20】
前記第1ファスナー要素はフックファスナー材であり、前記第2ファスナー要素はループファスナー材である請求項19記載の吸収性製品。
【請求項21】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられたテープタブ;前記各テープタブは前記本体部分に固着した固定部分、該固定部分に接合し末端縁を有する連結部分、ファスナー面、該ファスナー面と反対側の裏あて面、吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を有し、該第1機械的ファスナー手段は前記テープタブの前記連結部分の前記ファスナー面の少くとも一部に接合する第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられる少くとも一つのランド部材;該ランド部材は前記第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するため第2機械的ファスナー手段を有し、この第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄しうるような形状に吸収性製品を固定させるため前記テープタブの少くとも一つの前記ファスナー面上に連結された処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有し該第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項22】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の同一要素である請求項21記載の吸収性製品。
【請求項23】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の別個の要素である請求項21記載の吸収性製品。
【請求項24】
前記第1ファスナー要素はフックファスナー要素を含み前記第2ファスナー要素はループファスナーを含む請求項21記載の吸収性製品。
【請求項25】
前記処分手段は前記テープタブの前記末端縁に隣接して配置される請求項24記載の吸収性製品。
【請求項26】
前記処分手段は前記各テープタブの前記ファスナー面上に配置される請求項21記載の吸収性製品。
【請求項27】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分、該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において各縦縁に隣接して設けられ以下の(a)〜(g)を含むテープタブ、
(a)前記本体部分に固着された第1固定部分、
(b)前記内側面に前記第1固定部分を固着するため前記本体部分の前記内側面と前記第1固定部分と連結された第1タブ固定手段、
(c)前記本体部分に固着された第2固定部分、
(d)前記外側面に前記第2固定部分を固着するため前記本体部分の前記外側面と前記第2固定部分と連結された第2タブ固着手段、
(e)前記第1固定部分と前記第2固定部分に接合し、末端縁、ファスナー面と前記ファスナー面と反対側の裏あて面を有する連結部分、
(f)該連結部分を前記本体部分に固着するため前記連結部分の前記ファスナー面の少くとも一部に接合するフックファスナー材、
(g)前記第1固定部分、第2固定部分と前記連結部分は、前記本体部分の前記縦縁に隣接して各々第1タブ固着手段および第2タブ固着手段で固着され、
前記第2末端区域の端縁近傍の前記外側面上に設けられ、前記テープタブ上に設けられた前記フックファスナー材と機械的に係合しうるループファスナー材を含む少くとも一つのランド部材及び
吸収性製品を簡便に廃棄しうるような形状に固定するため少くとも1つの前記テープタブの前記ファスナー面に設けられ、前記フックファスナー材と機械的に係合しうるループファスナー材を含む処分手段
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項28】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため、前記バックシート上に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項29】
前記処分手段は、前記バックシート上であって廃棄形状において第1機械的ファスナー手段が当接する部分に接合された請求項28記載の吸収性製品。
【請求項30】
前記処分手段は、不織布である請求項28記載の吸収性製品。
【請求項31】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段はフックファスナー材を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記フックファスナー材と機械的に係合しうるループファスナー材を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため吸収性製品に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため本体部分上または閉鎖部材のファスナー面上に設けられた不織布を有し、この不織布は前記フックファスナー材と機械的に係合しうる、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項32】
前記不織布は、前記バックシート上であって廃棄形状において前記第1機械的ファスナー手段が当接する部分に接合される請求項31に記載の吸収性製品。

(2)申立ての理由の概要
申立人は、証拠として、甲第1号証乃至甲第5号証を提出し、本件請求項1乃至請求項32に係る発明は、甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明と同一発明であるか、又は、少なくとも甲第1号証乃至甲第5号証に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、又は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、本件請求項1乃至請求項32に係る特許は取り消すべきものである旨を主張している。

(3)申立人の提出した証拠及びその記載事項
甲第1号証:P&G社の製品[ニューパンパース(登録商標、以下略)]のパッケージ及びニューパンパースの発売に関して記載されている粧業日報
甲第1号証の2:花王(株)の製品(メリーズ)のパッケージ及びメリーズについての花王販売レポート
甲第1号証の3:ユニ・チャーム(株)の製品(ウルトラムーニー)のパッケージ及びウルトラムーニーの販売に関して記載されている資料
甲第2号証:特開昭57-191304号公報
甲第3号証:特開昭57-161101号公報
甲第4号証:特開昭62-206001号公報
甲第5号証:実開昭58-143809号公報
甲第1号証のP&G社の製品「ニューパンパース」のパッケージには、紙おむつの使い方が図面とともに記載されており、「始末するとき」として小さく丸めてテープで止める態様が図示されている。そして、1987年3月27日付けの粧業日報には、3月24日に、P&G社が4月10日から発売される新製品「ニューパンパース」の発表会を開催した旨の記事が掲載されている。
甲第1号証の2の花王(株)の製品「メリーズ」のパッケージには、紙おむつの使い方が図面とともに記載されており、「使用後は……」として小さく丸めてテープで止める態様が図示されている。そして、「メリーズ」の花王販売レポートには昭和62年3月の日付が認められる。
甲第1号証の3のユニ・チャーム(株)の製品「ウルトラムーニー」のパッケージには、紙おむつの使い方が図面とともに記載されており、「処理するときのコツ」として小さく丸めてテープで止める態様が図示されている。そして、「ウルトラムーニー」についての記事掲載の検索データには、1987年11月19日付け及び1987年7月14日付けの「化学工業日報」誌に「ウルトラムーニー」に関する記事が掲載されたことが示されている。
甲第2号証には、使い捨ておむつに関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
a)「少なくとも、不透水性裏面シートと、透水性表面シートと、これらの間に介在せしめられた吸収体とからなり、且つおむつの前側部と背側部との腰囲り両端部を結合するための手段を備えている使い捨ておむつにおいて、前記裏面シートが繊維植設発泡体シートであり、且つ少なくとも前記腰囲り両端部に非伸縮性部材を備えていることを特徴とする前記おむつ。」[特許請求の範囲(1)]
b)「第1図には、前側部10と、背側部11と、股下区域12とからなる使い捨ておむつ13の実施態様が示されている。おむつ13は、不透水性裏面シート14と、表面シート15と、これらの間に介在せしめられた吸収体16と、前側部10と背側部11との腰囲り両端部17a,17bに非伸縮性部材18と、……背側部11の腰囲り両端17aにこれと前側部10の腰囲り両端部17bとを結合するための手段21を備えている。
裏面シート14としては、繊維植設発泡体シートが用いられ、これは、厚さ5mm以下の軟質ポリウレタンフォームに繊維が高速液体噴射処理法により一体的に植設されたものが好適である。繊維植設発泡体シートは、第12図に符号14aで示され、軟質発泡体シート14bの表面に繊維長100mm以下の繊維群14cが接着剤を介することなく均一に分布すると共に、その表面から内部に達するように植設されている。この植設状態を仔細に観察すると、繊維群14cの或る繊維は発泡体シート14bの表面で互いに交絡し或る繊維は互いに交絡しない状態で発泡体シート14bの内部に達し、且つ発泡体シート14bの内部でも或る繊維は互いに交絡し或る繊維は互いに交絡しない状態で分布している。」
(第2頁左下欄第3行〜同頁右下欄第7行)
c)「結合手段21としては、感圧性粘着テープ、係合突起群が植設された所謂テープファスナー、その他の適宜留具が用いられ、その取り付け部位は、非伸縮性部材18が位置している部位であれば、背側部11の腰囲り両端部17aの他、前側部10の腰囲り両端部17b、その他の適宜部位であってもよい。」(第4頁左上欄第17〜同頁右上欄第3行)
甲第3号証には、使い捨ておむつに関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
d)「おむつの前側部と背側部との腰囲り両端部を結合するための結合具を備え、該結合具は掛止突起を設けた少なくとも二個の掛止部材と該掛止突起を着脱可能に掛止させるための繊維を有する少なくとも一個のテープ状の伸縮性締付部材とからなり、前記掛止部材は前記前側部・背側部の一方の腰囲りの非肌当面に適宜間隔をおいて固着し、前記締付部材は前記前側部・背側部の他方の腰囲りに該腰囲り両端部から延出させて固着してあることを特徴とする使い捨ておむつ。」[特許請求の範囲(1)]
e)「本発明の目的は、従来一般に使用されている粘着テープ片に替えて特定の結合具を採択することにより前述の如き従来の欠点を除去すると共に、腰囲り両端部の結合と同時に該腰囲りを適度に締付けることが可能な使い捨ておむつを提供することにある。」(第2頁左上欄第17行〜同頁右上欄第2行)
f)「第1図、第2図は、本発明おむつに装着する結合具の概略断面図を示す。結合具は、扁平状の掛止部材1と、テープ状の伸縮性締付部材2とからなる。掛止部材1は、一般にテープファスナーと称されているもので、第1図Aに示す如き鈎部、第1図Bに示す如き隆起部を設けた掛止突起3を基材4から突出させた構造を有する。締付部材2は、柔軟性ポリウレタン5に繊維6を植設した構造を有し、これは、例えば比較的長い繊維をポリウレタンに高速液体噴射処理法により植設することにより得られるものであるが、伸縮性繃帯の如きもの、その他のものであってもよく、何れにしても、掛止部材1の掛止突起3を締付部材2に押付けた際、掛止突起3が締付部材2の繊維6に着脱可能に掛止し得る機能を有するものであればよい。」(第2頁右上欄第17行〜同頁左下欄第13行)
g)第2図乃至第19図は、本発明の各実施態様のおむつを示す。各態様のおむつ7は、前側部8と、背側部9と、股下部10とを有し、且つ着用時に肌当面となる透水性シート11と非肌当面となる不透水性シート12との間に吸収体(図示せず)を介在させた構造を有する。透水性シート11としては前記掛止部材1の掛止突起群3を掛止し得る繊維からなる不織布を用いてあり、好ましくは繊維結合剤を用いない不織布、特に繊維ウエブの繊維を高速液体噴射処理法により交絡させた構造を有するものを用いるのがよい。」(第2頁左下欄第18行〜同頁右下欄第8行)
h)第2図乃至第4図に示す第1実施態様のおむつ7に於ては、前側部8の腰囲り両端部の非肌当面(合成樹脂フィルム、以下同じ)に適宜間隔をおいて掛止部材1a,1bを固着する一方、背側部9の腰囲り両端部の肌当面(不織布、以下同じ)に締付部材2a,2bの一端部を固着して各自由端部を外方へ延出させてある。この態様のおむつ7を着用する場合には、掛止部材1a,1aに締付部材2a,2bの基端部近傍を且つ掛止部材1b,1bに締付部材2a,2bの各自由端部を互に対向する方向に伸ばした状態でそれぞれ掛止させる。」(第2頁右下欄第11行〜第3頁左上欄第1行)
i)第5図乃至第7図に示す第2実施態様のおむつ7に於ては、締付部材2a,2bの一端部を背側部9の腰囲り両端部の非肌当面に固着してあることを除き第1実施態様の構成と同じである。この態様のおむつ7を着用する場合には、掛止部材1a,1aに背側部9の腰囲り両端部の肌当面を且つ掛止部材1b,1bに締付部材2a,2bの各自由端部を互に対向する方向に伸ばした状態でそれぞれ掛止させる。」(第3頁左上欄第2〜9行)
甲第4号証には、バックルとグリップ型式の固定手段から成るおむつに関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
j)「本発明の目的は、バックルあるいはグリップを備える第1部材が支持シートで固定されているバックル及びグリップをもつ型式の固定手段から成る使い捨て完全おむつであって第1部材を補足するバックルあるいはグリップをもつ第2部材が支持シートで固定される舌状片の自由端部分でぬりつけられていることを特徴とするものを提供することにある。(第3頁左上欄第12〜19行)
k)本発明によれば、その留め具は、シート4の側でその自由端に隣接して置かれる舌状片の表面でとりつけられるベルクロ型式の固定部材52、62からも成る。この部材は、接着により結合されるのが好ましいが、しかし溶接することもできる。
縁21に向かい合った縁22に隣接して、吸収パッドは、留め具で取りつけられる部材で補足する少なくとも1つのベルクロ型式の固定部材8から成る。この部材は、支持シートに対し接着あるいは溶接によって結合されている。留め具の部材52、62は、グリップの型式であり、また部材8は、例えば、引っかかるメッシュの織物であるバックル型式である。
図示される実施の態様によると、部材8は、長方形状でありかつパッドの幅のかなりの部分で延び、そのためおむつを当てたとき十分調節余裕をもたせるようにさせる。」(第4頁左上欄第1〜17行)
甲第5号証には、衛生用品として、以下の事項が図面とともに記載されている。
l)「股下部を介してその一側に背側部とその他側に前側部とを有していて最外面が不織繊維層で覆われ、該背側部の腰囲り両側端に粘着テープの一端が取付けられているとともに、該粘着テープの自由端を該前側部の最外面に接着して着用するようにされている衛生用品において、前記両粘着テープの自由端を接着すべき部位の前記前側部の最外面に外面が実質的に平滑な補強シートを一体的に固着してあることを特徴とする前記衛生用品。」[実用新案登録請求の範囲(1)]
m)「使い捨ておむつ、おむつカバーである実用新案登録請求の範囲第1項記載の衛生用品。」[実用新案登録請求の範囲(9)]

(4)当審の判断
i)本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)は、上記(1)本件発明に述べたとおりのものであるが、これを分節して示すと以下の通りである。
A.内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む(以下、「構成A」という。)、
B.前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む(以下、「構成B」という。)、
C.前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む(以下、「構成C」という。)、
D.吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため吸収性製品の本体部分に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む(以下、「構成D」という。)、
を有する使い捨て吸収性製品。
ii)これに対して、甲第2号証(当審で通知した取消理由で引用した刊行物1)には、本件発明1の「使い捨て吸収性製品」に相当することの明らかな「使い捨ておむつ」が記載されており、該使い捨ておむつが、「内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁」を有することは、明細書及び図面の記載に照らして明らかであり、甲第2号証に記載された「背側部11」及び「前側部10」は、それぞれ本件発明1の「第1末端区域」及び「第2末端区域」の何れかに相当し、また、甲第2号証に記載された「透水性表面シート」、「不透水性裏面シート」及び「吸収体」はそれぞれ本件発明1の「透液性トップシート」、「不透液性バックシート」及び「吸収性コア」に相当するので、甲第2号証に記載された紙おむつは、「内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分」を有し、該本体部分が「透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む」ものということができる。すなわち、甲第2号証に記載された紙おむつは、本件発明1の構成Aを具備している。
甲第2号証に記載された紙おむつにおいて、背側部11の腰囲り両端17aに備えられる「結合手段21」は、該背側部11の腰囲り両端17aと前側部11の腰囲り両端17bとを結合するもので、本件請求項1に係る発明の第1末端区域の各縦縁に近接して設けられる「閉鎖部材」に相当し、上記c)に記載された「係合突起群が植設された所謂テープファスナー」は本件発明1の「機械的ファスナー手段」に相当し、少なくとも一の機械的ファスナー要素を含むものということができる。
すなわち甲第2号証に記載された紙おむつは、本件発明1の構成Bを具備している。
甲第2号証に記載された結合手段21は、背側部11の腰囲り両端17aと前側部10の腰囲り両端17bとを結合するものであり、該結合がなされた状態は、おむつを着用する際の閉鎖体を形成することは、図面を参照するまでもなく明らかである。そしてこの結合手段21は、背側部11の腰囲り両端部17aのみならず前側部10の腰囲り両端17bに取り付けてもよいことは、上記c)に記載されているが、該結合部材21を取り付けた背側部11又は前側部10(本件発明1の第1末端区域に相当する)の反対側である前側部10又は背側部11(本件請求項1に係る発明の第2末端区域に相当する)における本体部分上に該結合手段21とともに上記閉鎖体を形成するための部材、すなわち、本件発明1の「ランド部材」に相当する部材を設けることについては何も記載されていない。
また、甲第2号証には、使用後の紙おむつを簡便に廃棄する形状に固定させることについても、そのために本件発明1の「処分手段」に相当する部材をおむつ本体上に設けることについても何も記載されていない。
すなわち甲第2号証には、本件発明1の構成C及び構成Dについては記載されていない。
iii)甲第3号証(当審で通知した取消理由で引用した刊行物2)には、甲第2号証に記載されたものと同様に、本件発明1の「使い捨て吸収製品」に相当する「内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁」を有する「使い捨ておむつ」が記載されており、甲第3号証に記載された「背側部9」及び「前側部8」は、それぞれ本件発明1の「第1末端区域」及び「第2末端区域」の何れかに相当し、また、甲第3号証に記載された「着用時に肌当面となる透水性シート11」、「非肌当面となる不透水性シート」及び「吸収体」はそれぞれ本件発明1の「透液性トップシート」、「不透液性バックシート」及び「吸収性コア」に相当するので、甲第3号証に記載されたおむつは、「内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分」を有し、該本体部分が「透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む」ものということができる。すなわち、甲第3号証に記載された紙おむつは、本件発明1の構成Aを具備している。
甲第3号証に記載されたおむつにおける、おむつの前側部と背側部との腰囲り両端部を結合するための「結合具」は、本件発明1の「閉鎖部材」に相当し、「扁平状の掛止部材1」と、テープ状の伸縮性締付部材2からなり、掛止部材1の基材4から突出させた掛止突起3が締付部材2の繊維6に着脱可能に掛止し得るものとされているので、本件発明1にいう「機械的ファスナー手段」ということができ、少なくとも、その一方は「第1ファスナー要素」を含む「第1機械的ファスナー手段」ということができる
すなわち甲第3号証に記載されたおむつは、本件発明1の構成Bを具備している。
甲第3号証に記載されたおむつにおいて、前側部・背側部の一方の腰囲り両端部の一方の非肌当て面に適宜間隔をおいて固着された「掛止部材1」は、着用時に他方の腰囲り両端部に腰囲り両端部から延出させて固着してある締付部材2と係合するものであるので、上記締付部材2を背側部(第1末端区域)の腰囲り両端部に固着して「第1機械的ファスナー手段」とするとき、前側部(第2末端区域)において本体部分上に設けられ、締付部材(第1機械的ファスナー手段)とともにおむつを着用する際の閉鎖体を形成するための掛止突起(第2ファスナー要素)を有する手段(第2機械的ファスナー手段)を含む部材ということになり、本件発明1の「ランド部材」に相当するものということができ、その固着部位は、上記第2末端区域の端縁近傍であることは図面からも明らかである。
すなわち甲第3号証に記載されたおむつは、本件発明1の構成Cを具備しているということができる。
しかしながら、甲第3号証には、甲第2号証と同様、使用後の紙おむつを簡便に廃棄する形状に固定させることについても、そのために本件発明1の「処分手段」に相当する部材をおむつ本体上に設けることについても何も記載されていない。
すなわち甲第3号証には、本件発明1の構成Dについて何も記載されていない。
iv)そして、甲第4号証(当審で通知した取消理由で引用した刊行物3)に記載された「おむつ」は、バックルとグリップをもつ型式の固定手段、すなわち、機械的ファスナー手段を有するものであり、図面の記載を参照すれば、上記バックルとグリップは、おむつを当てたとき、すなわち、着用時の固定手段を構成するものであって、本件発明1でいう第1機械的ファスナー手段及び第2機械的ファスナー手段に相当するものと認められるが、それらの機械的ファスナー手段を用いて、おむつを簡単に廃棄する形状に固定すること、そのために第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有することについては、記載も示唆もされていない。
v)さらに、甲第5号証(当審で通知した取消理由で引用した刊行物4)に記載された衛生用品として例示された「使い捨ておむつ」は、本件発明1の「使い捨て吸収性製品」に相当するが、その着用時には、背側部の腰囲り両側端に、一端が取り付けられた粘着テープの自由端を前側部の最外面に接着するものであり、本件発明1の第1機械的ファスナー手段を有するものではなく、しかも、おむつを簡単に廃棄する形状に固定することも、そのための手段を有することも記載も示唆もされていない。
vi)ところで、異議申立人が、甲第1号証乃至甲第1号証の3として提示した紙おむつ等のパッケージには使用後の使い捨ておむつを小さく丸めてテープで止めること、すなわちおむつを簡便に廃棄する形状に固定することが示されており、該テープとしては着用時の固定手段としてのテープを用いていることが図面から推測することができる。
しかしながら、上記甲第1号証乃至甲第1号証の3の何れにおいても固定手段としてのテープは、本件明細書の【従来の技術】の項に示されている、接着性テープファスナー手段に相当するものが開示されるにとどまり、本件発明1の、第1機械的ファスナー手段、及びそれを固定するための第3機械的ファスナー手段を有する処分手段については記載も示唆もされていない。
そして、本件請求項1に係る発明は、従来技術において「接着性テープファスナー手段」を使用した際に生じる欠点を排除することを目的のひとつとして、「機械的ファスナー手段」を有する吸収性製品において、その処分手段として、吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定する手段として、着用時の閉鎖体を形成するための「第1機械的ファスナー手段」を使用すべく、さらに該第1機械的ファスナー手段を固定するための第2機械的要素を含む第3機械的ファスナー手段を有するものとしたものであるから、該「機械的ファスナー手段」を使用することについて何も示していない甲第1号証乃至甲第1号証の3として提示された紙おむつ等のパッケージが本件特許の出願前公知であったとしても、そのことによって、本件発明1が、甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明と同一発明であるということはできず、また、甲第1号証乃至甲第5号証に記載された事項をいかように組み合わせても、該構成Dを具備する本件発明1とはなし得ないのであるから、本件発明1は、当業者が上記甲号各証の記載に基づいて容易に発明をすることができたものということもできない。
vii)本件請求項4に係る発明は、本件発明1の構成Dにおいて「処分手段」が「本体部分に設けられた」のに対し、「処分手段」を「閉鎖部材のファスナー面に設けられた」とした点のほかは本件発明1と同じであり、該処分手段は、第1機械的ファスナー手段を固定する第3機械的手段を有するものである。
そして、上記のように、第1機械的ファスナー手段を固定する第3機械的手段を有する「処分手段」は、甲第1号証乃至甲第5号証に記載も示唆もされていないので、本件請求項4に係る発明は、本件発明1について述べたと同様の理由によって、甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明と同一のものということも、当業者が甲第1号証乃至甲第5号証の記載に基づいて容易に発明をすることができたものとすることもできない。
本件請求項13に係る発明は、本件発明1の構成Bにおける「閉鎖部材」を「テープタブ」とした点のほかは、本件発明1と同じであり、本件発明1の構成Dを具備するものであるので、やはり、本件発明1について述べたと同様の理由によって、甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明と同一のものということも、当業者が甲第1号証乃至甲第5号証の記載に基づいて容易に発明をすることができたものとすることもできない。
本件請求項21に係る発明は、本件請求項1に係る発明の構成Bにおける「閉鎖部材」を「テープタブ」とし、該テープタブをさらに限定するとともに、処分手段を「テープタブの少なくとも一つの前記ファスナー面上に連結」としたものであるが、本件請求項4に係る発明と同様に、処分手段は第1機械的ファスナー手段を固定する第3機械的手段を有するものであり、やはり、本件発明1について述べたと同様の理由によって、甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明と同一のものということも、当業者が甲第1号証乃至甲第5号証の記載に基づいて容易に発明をすることができたものとすることもできない。
本件請求項27に係る発明は、本件発明1の構成Bにおける「閉鎖部材」を「テープタブ」とし、該テープタブをさらに限定し、「第1機械的ファスナー要素」を「フックファスナー材」とし、本件発明1の構成Cにおけるランド部材に含まれる「第2機械的ファスナー要素」を「ループファスナー材」とし、本件発明1においてランド部材に含まれる第2機械的ファスナー手段が第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するとしているのに対し、特に閉鎖体について言及しておらず、さらに、本件発明1の構成Dにおいて「処分手段」が「本体部分に設けられた」のに対し、「処分手段」を「テープタブのファスナー面に設けられた」としたものであるが、少なくとも、該処分手段については、本件請求項4に係る発明と同様に、第1機械的ファスナー手段を固定する第3機械的手段を有するものであるので、やはり、本件発明1について述べたと同様の理由によって、甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明と同一のものということも、当業者が甲第1号証乃至甲第5号証の記載に基づいて容易に発明をすることができたものとすることもできない。
本件請求項28に係る発明は、本件発明1の構成Dにおける処分手段を設ける位置である「本体部分」を「バックシート上」と限定したほかは本件発明1と同じであり、請求項31に係る発明は、本件発明1の構成B、構成C及び構成Dにおける「第1ファスナー要素」、構成Cのおける「第2ファスナー要素」及び構成Dにおける「第3機械的ファスナー手段」をそれぞれ「フックファスナー材」、「ループファスナー材」及び「本体部分上又は閉鎖部材のファスナー面上に設けられた不織布」と限定したほかは本件発明1と同じであるので、何れも、本件発明1について述べたと同様の理由によって、甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明と同一のものということも、当業者が甲第1号証乃至甲第5号証の記載に基づいて容易に発明をすることができたものとすることもできない。
viii)本件請求項2、請求項3、請求項5乃至請求項12、請求項14乃至請求項20、請求項22乃至請求項26、請求項29及び請求項32に係る発明は、何れも、本件発明1及び前記vii)で言及した各請求項に係る発明の何れかをさらに限定するものであり、本件発明1の構成Dに係る第1機械的ファスナー手段を固定する第3機械的手段を有する処分手段を備えるものであるので、本件発明1について述べたと同様の理由によって、甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明と同一のものということも、当業者が甲第1号証乃至甲第5号証の記載に基づいて容易に発明をすることができたものとすることもできない。
ix)以上のとおりであるから、本件請求項1乃至請求項32に係る発明は、何れも、甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明であるということも、甲第1号証乃至甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということもできない。

(5)異議申立人の主張について
異議申立人は、本件各請求項に係る発明について、概略以下のように主張している。
(I)本件請求項1、請求項13、請求項28及び請求項31に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と同一発明であるか又は少くとも甲第1号証乃至甲第1号証の3及び甲第2号証の記載に基づいて当業者が容易に類推し得る程度のものである。
(II)本件請求項2、請求項3、請求項5乃至請求項8、請求項10、請求項11、請求項14乃至請求項17、請求項19及び請求項20に係る発明は、甲第2号証又は甲第3号証に記載された発明と同一発明であるか又は少くとも甲第1号証乃至甲第1号証の3、甲第2号証、甲第3号証及び甲第5号証の記載に基づいて当業者が容易に類推し得る程度のものである。
(III)本件請求項29、請求項30及び請求項32に係る発明は、甲第2号証に記載された発明と同一発明であるか又は少くとも甲第1号証乃至甲第1号証の3、甲第2号証及び甲第3号証の記載に基づいて当業者が容易に類推し得る程度のものである。
(IV)本件請求項4、請求項9、請求項12、請求項18、請求項21乃至27に係る発明は、いずれも前記の各請求項に係る発明と、一部の構成のみが相違しているに過ぎず、該相違点は、いずれも、少くとも甲第2号証及び甲第3号証の記載から当業者の容易に類推しうる程度のものである。
(V)本件請求項1乃至請求項3、請求項13、請求項21、請求項28及び請求項31に係る発明、並びに上記各請求項に係る発明をさらに限定した発明は何れも甲第3号証乃至甲第5号証の記載に基づいて当業者が容易に類推しうる程度のものである。
そして、本件発明1と甲第2号証に係る発明との対比において、甲第2号証に記載された紙おむつの裏面シートとして用いられる「繊維植設発泡体シート」が本件請求項1に係る発明の「ランド部材」に相当する旨、及び使用後の使い捨ておむつを簡便に廃棄する形状に固定させるために、結合手段を利用することは甲第1号証〜甲第1号証の3及び本件明細書の従来技術に関する記載から明らかなように一般の需用者が日常行っている当たり前の手段であるから、甲第2号証に構成Dが記載されていなくても甲第2号証に記載された発明と本件発明1との間に差違はない旨を主張している。
しかし、甲第2号証に記載された「繊維植設発泡体シート」は、ループ状の繊維を含んでおり、結合手段21が「係合突起群が植設された所謂テープファスナー」である場合には、ループ状の繊維が係合突起群と係合することは認められるが、該「繊維植設発泡体シート」は、おむつの本体部分を構成するものである。これに対し、本件発明1の「ランド部材」は、「第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられる」との記載から、本体部分の特定の部位に本体部分とは別個に設けられる部材と解されるものであり、両者は異なるものであり、甲第2号証に記載された「繊維植設発泡体シート」が本件発明1の「ランド部材」に相当するということはできない。
また、甲第1号証乃至甲第1号証の3として提示された紙おむつ等のパッケージには使用後の使い捨ておむつを小さく丸めてテープで止めることが示されており、該テープとしては着用時の固定手段としてのテープを用いていることが推測できるが、何れも固定手段としてのテープは「機械的ファスナー手段」であるとはいえないことは上記(4)iv)で述べたとおりであり、本件明細書の【従来の技術】の項の記載も、吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定する手段として「機械的ファスナー手段」を使用することが従来周知であったことを示すものではないので、これらの記載事項によって、本件発明1の構成Dが従来一般に知られた技術的事項であるということもできず、甲第2号証にそれが記載されているということもできない。
したがって、本件発明1と甲第2号証に記載された発明との対比についての異議申立人の上記の主張は何れも採用できない。
そして、本件請求項2乃至請求項32についての判断は上記(4)に述べたとおりであり、その何れも甲第2号証若しくは甲第3号証に記載された発明と同一の発明であるということも、甲第1号証乃至甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということもできないのであるから、異議申立人の上記(I)乃至(V)も理由があるものとすることはできない。
なお、異議申立人が使い捨ておむつの外面を不織布で構成することが周知であったことを立証する甲第5号証の他の文献として例示した文献についても検討したが、それらの文献のいずれにも、おむつを機械的ファスナー手段で固定すること及び該機械的ファスナー手段を用いた処分手段を備えることについては、何も記載されていない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1乃至請求項32に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1乃至請求項32に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、同法の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第1項及び第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
使い捨て吸収性製品用の処分手段を備えた機械的ファスナー手段
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため吸収性製品の本体部分に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項2】
前記処分手段は前記第1末端区域に位置する請求項1記載の吸収性製品。
【請求項3】
前記処分手段は前記本体部分の前記内側面に位置する請求項2記載の吸収性製品。
【請求項4】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため前記閉鎖部材のファスナー面に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項5】
前記処分手段は前記本体部分の前記外側面上に位置する請求項2記載の吸収性製品。
【請求項6】
前記処分手段は不織布である請求項5記載の吸収性製品。
【請求項7】
前記処分手段は前記本体部分と一体である請求項1,2,3又は5記載の吸収性製品。
【請求項8】
前記処分手段は前記本体部分に接合された別個の要素である請求項1,2,3,5又は6記載の吸収性製品。
【請求項9】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の同一要素である請求項1又は4記載の吸収性製品。
【請求項10】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の別個の要素である請求項1又は4記載の吸収性製品。
【請求項11】
前記第1ファスナー要素はフックファスナー材であり、前記第2ファスナー要素はループファスナー材である請求項10記載の吸収性製品。
【請求項12】
前記閉鎖部材は本体部分の内側面および/または外側面に配置された内部ファスナー部材を含む請求項1記載の吸収性製品。
【請求項13】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分、該本体部分は透液性トップシート;該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられたテープタブ;前記各テープタブは前記本体部分に固着した固定部分、該固定部分に接合し末端縁を有する連結部分、ファスナー面、該ファスナー面と反対側の裏あて面、吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を有し、該第1機械的ファスナー手段は前記テープタブの前記連結部分の前記ファスナー面の少くとも一部に接合する第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を有し、該第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄するような形状に固定するため吸収性製品本体部分に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有し該第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項14】
前記処分手段は前記第1末端区域に位置する請求項13記載の吸収性製品。
【請求項15】
前記処分手段は前記本体部分の前記外側面上に位置する請求項14記載の吸収性製品。
【請求項16】
前記処分手段は前記本体部分と一体である請求項13,14又は15記載の吸収性製品。
【請求項17】
前記処分手段は前記本体部分に接合された別個の要素である請求項13,14又は15記載の吸収性製品。
【請求項18】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の同一要素である請求項13記載の吸収性製品。
【請求項19】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の別個の要素である請求項13記載の吸収性製品。
【請求項20】
前記第1ファスナー要素はフックファスナー材であり、前記第2ファスナー要素はループファスナー材である請求項19記載の吸収性製品。
【請求項21】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられたテープタブ;前記各テープタブは前記本体部分に固着した固定部分、該固定部分に接合し末端縁を有する連結部分、ファスナー面、該ファスナー面と反対側の裏あて面、吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を有し、該第1機械的ファスナー手段は前記テープタブの前記連結部分の前記ファスナー面の少くとも一部に接合する第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられる少くとも一つのランド部材;該ランド部材は前記第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するため第2機械的ファスナー手段を有し、この第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄しうるような形状に吸収性製品を固定させるため前記テープタブの少くとも一つの前記ファスナー面上に連結された処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有し該第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項22】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の同一要素である請求項21記載の吸収性製品。
【請求項23】
前記第1ファスナー要素と前記第2ファスナー要素は補形の別個の要素である請求項21記載の吸収性製品。
【請求項24】
前記第1ファスナー要素はフックファスナー要素を含み前記第2ファスナー要素はループファスナーを含む請求項21記載の吸収性製品。
【請求項25】
前記処分手段は前記テープタブの前記末端縁に隣接して配置される請求項24記載の吸収性製品。
【請求項26】
前記処分手段は前記各テープタブの前記ファスナー面上に配置される請求項21記載の吸収性製品。
【請求項27】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分、該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において各縦縁に隣接して設けられ以下の(a)〜(g)を含むテープタブ、
(a) 前記本体部分に固着された第1固定部分、
(b) 前記内側面に前記第1固定部分を固着するため前記本体部分の前記内側面と前記第1固定部分と連結された第1タブ固着手段、
(c) 前記本体部分に固着された第2固定部分、
(d) 前記外側面に前記第2固定部分を固着するため前記本体部分の前記外側面と前記第2固定部分と連結された第2タブ固着手段、
(e) 前記第1固定部分と前記第2固定部分に接合し、末端縁、ファスナー面と前記ファスナー面と反対側の裏あて面を有する連結部分、
(f) 該連結部分を前記本体部分に固着するため前記連結部分の前記ファスナー面の少くとも一部に接合するフックファスナー材、
(g) 前記第1固定部分、第2固定部分と前記連結部分は、前記本体部分の前記縦縁に隣接して各々第1ダブ固着手段および第2タブ固着手段で固着され、
前記第2末端区域の端縁近傍の前記外側面上に設けられ、前記テープタブ上に設けられた前記フックファスナー材と機械的に係合しうるループファスナー材を含む少くとも一つのランド部材及び
吸収性製品を簡便に廃棄しうるような形状に固定するため少くとも1つの前記テープタブの前記ファスナー面に設けられ、前記フックファスナー材と機械的に係合しうるループファスナー材を含む処分手段
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項28】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため、前記バックシート上に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項29】
前記処分手段は、前記バックシート上であって廃棄形状において第1機械的ファスナー手段が当接する部分に接合された請求項28記載の吸収性製品。
【請求項30】
前記処分手段は、不織布である請求項28記載の吸収性製品。
【請求項31】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段はフックファスナー材を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記フックファスナー材と機械的に係合しうるループファスナー材を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため吸収性製品に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため本体部分上または閉鎖部材のファスナー面上に設けられた不織布を有し、この不織布は前記フックファスナー材と機械的に係合しうる、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項32】
前記不織布は、前記バックシート上であって廃棄形状において前記第1機械的ファスナー手段が当接する部分に接合される請求項31に記載の吸収性製品。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は使い捨て吸収性製品用のファスナー手段に関するものであり、特に吸収性製品を簡便に使い捨てるための使い捨て吸収性製品用の改良型機械的ファスナー手段に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オシメなどの使い捨て吸収性製品の隅部を固着するために接着剤テープファスナー手段を使用する事は公知である。これらの型の接着性テープファスナー手段は米国特許Re.26.151および米国特許第3,848,594号に記載されている。
【0003】
接着性テープファスナー手段は、使用中の使い捨て吸収性製品を着用者上に保持する固着手段である。さらに再固定可能の接着性テープファスナー手段は、使い捨て吸収性製品を廃棄のために固いパッケージ状に折り畳みまたは巻上げて、廃棄形状に固定し、簡単にゴミ箱の中に捨てる事を可能にする。このような接着性テープファスナー手段が巻き上げられた吸収性製品に固着された時、この吸収性製品を投げ捨ててもその内容物は漏れない。
【0004】
しかし接着性テープファスナー手段は多くの欠点を有する。その1つは、この手段が油または粉末によって汚染されやすく、これがテープタブ上の接着剤と接触すると接着剤が有効な側面閉鎖を成すに十分な強さをもって吸収性製品に接着しない事である。さらに吸収性製品が汚れたかいなかをチェックするため、またはそのフィットを調節するためテープファスナー手段が緩められた時に、接着性テープファスナー手段が吸収性製品のバックシートを引き裂く可能性がある。従ってバックシートに孔が開けられ、テープファスナー手段を固定する事ができなくなり、テープファスナー手段が使用できなくなる。従って、油または粉末によって容易に汚染されず、再固定が容易であり、吸収性製品またはテープファスナー手段を緩めた後に使用不能とならないファスナー手段を提供するにある。
【0005】
吸収性製品の本体部分の上に機械的ファスナー手段を備えた洗濯可能のオシメを提供するための多くのアイデアが提案された。フックおよびループ型の機械的ファスナーは、接着剤テープファスナー手段と比較して一般に油または粉末によって汚染されにくく、再固定の容易なファスナー手段を成すが、吸収性製品を巻き上げてその汚物を収容し簡単に投げ出せるように廃棄状態に固定する使い捨て構造を有しない。一般に、フックファスナー部材が吸収性製品の第1末端区域に配置され、ループファスナー部材が吸収性製品の第2末端区域に配置される。従って廃棄のため吸収性製品が折り畳まれまたは巻き上げられた時、ループファスナー部材が吸収性製品の他の部分の下方に押し込まれるので、ループファスナー部材に係合する事ができない。さらにフックファスナー手段は吸収性製品の露出区域に対して、特にバックシートに対して固着されないので、吸収性製品は廃棄形状に簡便に固定できない。従って、吸収性製品を簡便に廃棄する事のできる機械的ファスナー手段を提供する事が好ましい。
【0006】
[発明の目的および効果]
従って、本発明の目的は、改良型ファスナー手段を有する使い捨て吸収性製品を提供するにある。
本発明の他の目的は、改良型機械的ファスナー手段を有する使い捨て吸収性製品を提供するにある。
本発明のさらに他の目的は、使い捨て吸収性製品を簡便に廃棄する事のできる処分手段を備えた機械的ファスナー手段を有する使い捨て吸収性製品を提供するにある。
【0007】
[発明の概要]
本発明によれば、吸収性製品を簡便に廃棄する事のできる機械的ファスナー手段を備えたオシメなどの使い捨て吸収性製品が提供される。
機械的ファスナー手段は多くの形状をとる事ができるが、テープタブと第1ファスナー要素を含む閉鎖部材と、この閉鎖部材の第1ファスナー要素と係合する第2ファスナー要素を有するランド部材と処分手段とを含む。使用に際して第1ファスナー要素が第2ファスナー要素と係合して吸収性製品の確実な側面閉鎖を成す吸収性製品が汚れた後に、汚物が吸収性製品から漏れる事を防止する廃棄形状に吸収性製品を折り畳みまたは巻き上げる。つぎに吸収性製品をその廃棄状態に固定する。
【0008】
本発明の処分手段は、吸収性製品が汚物を収容する廃棄形状に固定されるための任意の手段を含む。従って処分手段は吸収性製品の本体部分またはファスナー手段の上に配置される種々の要素を含む事ができる。好ましくは、処分手段は少なくとも一つのテープタブの裏あて面に固着された第2ファスナー要素を含み、他方のテープタブの第1ファスナー要素がこの処分手段の第2ファスナー要素に係合して、吸収性製品を廃棄状態に固定する。故に、処分手段は、テープタブ上に配置されたフックファスナー材またはループファスナー材の機械的ファスナー要素を含む事ができる。あるいは、処分手段は、吸収性製品が汚れた時に使用するためのその他任意の機械的ファスナー要素、本体部分またはファスナー手段の上に配置された接着剤固着手段、あるいは本体部分の上に配置された単数または複数の別個の接着剤テープタブを含む事ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施例について詳細に説明する。
本発明の機械的ファスナー手段は使い捨て吸収性製品に使用するのに好適である。この明細書において、「使い捨て吸収性製品」とは身体の排泄物を吸収し収容する製品、さらに詳しくは身体から排泄される種々の排泄物を吸収し収容するため着用者の身体に当接しまたは近接して配置され、1回の使用後に廃棄される製品(すなわち洗濯またはその他の方法で回収されあるいは再使用されない製品)を言う。本発明の好ましい使い捨て吸収性製品はオシメ20である。この明細書において、「オシメ」とは一般に幼児または失禁者によって着用され、その脚の間に引き上げられまたはウエスト周りに固定される衣類を言う。本発明を非常に容易に適用する事のできる種類のオシメは前記の米国特許Re第26,151および米国特許第3,860,003号に記載され、これらの両特許を引例として加える。下記の説明から明らかなように、下記に図示説明する機械的ファスナー手段はこのようなオシメの本体部分に使用される。他方において、本発明は特定のオシメ構造または形状に限定されるものではない。
【0010】
付図において、図1はオシメのユーザによって着用者の身体に配置される前の本発明のオシメ20の部分破断斜視図である。図1に見られるように、好ましいオシメ20は本体部分22と機械的ファスナー手段24とを含む。好ましい本体部分22は、透液性トップシート26と、吸収性コア28と、不透液性バックシート30と、弾性収縮性脚カフス32とを含み、この脚カフス32はサイドフラップ34と単数または複数の弾性部材36とを含む。トップシート26と、吸収性コア28と、バックシート30と、サイドフラップ34と、弾性部材36は種々の公知の構造に組立てる事ができるが、好ましい使い捨てオシメ構造は米国特許第3,860,003号に記載され、これを引例として加える。
【0011】
図1は本体部分22の好ましい実施態様を示し、トップシート26とバックシート30は同延長であって、吸収性コア28より大なる長さと幅を有する。トップシート26はバックシート30の上に重なり合い、本体部分の外周部分38を成す。この外周部分38は、本体部分22の外周を成し、すなわちその外延を限定する。外周部分38は縦縁40と末端縁42とを含む。
【0012】
本体部分22は内側面44と外側面46とを有する。一般に外側面46はオシメの一方の末端縁42から他方の末端縁42まで、また一方の縦縁40から他方の縦縁40まで延在し、オシメの使用中に着用者から離れた面である。バックシート30が使用される場合、このバックシートは本体部分22の外側面46を成す。内側面44は外側面46の反対側の面であって、図示の実施例においてはトップシート26によって形成される。一般に、内側面44は外側面46と同延長であって、オシメ20が着用される時に、その大部分が着用者に接触する。
【0013】
オシメ20は、それぞれオシメ外周38の末端縁42からオシメ20の横方向中心線に向かって延在する第1および第2区域48,50を有する。これらの末端区域48,50は、それぞれオシメの長さの約半分延在し、各区域がオシメ20のそれぞれ半分を占める。
【0014】
第1末端区域48と第2末端区域50はそれぞれパネル51を有する。これらのパネルは、オシメ20が着用者のウェスト回りに固着された時に重なり合う末端区域部分である。末端区域が重なり合う延長、すなわちパネル51の延長は、オシメ20の全体寸法と着用者のサイズとに依存する。
【0015】
吸収性コア28は、一般に圧縮性で、形状一致性で、着用者の皮膚を刺激せず、液体および排泄物を吸収し収容する事のできる任意手段とする。吸収性コア28は種々の形状に形成する事ができ(例えば、長方形、砂時計型など)、また一般にエアフェルトと呼ばれる粉砕ウッドパルプなど、使い捨てオシメおよびその他の吸収性製品の製造に使用される各種の液体吸収性材料で製造する事ができる。他の適当な吸収性材料の例は、糸紙、吸収性フォーム、吸収性スポンジ、超吸収性重合体、吸収性ゲル化材料、またはその他の同等の材料あるいはその組合せである。しかし吸収性コア28の全吸収能力はオシメ20の特定の用途における設計排泄物装入量に対応しなければならない。さらに吸収性コア28のサイズと吸収能力は幼児から成人までの範囲内の着用者に対応するように変動されなければならない。
【0016】
吸収性コア28は米国特許第4,610,678号に記載のように、単一層の吸収性材料から成る事ができ、この特許を引例として加えるが、吸収性コア28の好ましい実施態様は、米国特許第4,673,402号に記載のような二重層吸収性コアであって、この特許を引例として加える。この構造は非対称形状の上層52と下層54とを有する。上層52は、好ましくは親水性繊維材料から成る液体吸収/分布層として作用する。下層54は、親水性繊維材料と、吸収性ゲル化材料粒子(ハイドロゲル材料)との混合物から成る流体貯蔵層として作用する。上層52と下層54はそれぞれティシュ層の中に包囲された吸収性層から成る。しかし、上層52または下層54のサイズ、形状、構造および全吸収能力は幼児から成人までの範囲の着用者に適合するように変動される。従ってこれらの層の寸法、構造および形状は任意に変更する事ができる(例えば、上層あるいは下層が可変的キャリパ、親水性勾配、急速吸収区域を有し、または吸収性ゲル化材料を含有する事ができる)。
【0017】
吸収性コア28はバックシート30の上に重ねられ、好ましくはこれに対して業界公知の、例えば感圧接着剤、ホットメルト接着剤またはその他の接着剤、超音波接合、または熱/圧密封などのコア取り付け手段55によって取り付けられる。吸収性コア28はバックシート30に対して接着剤の均一連続層、パターン層または接着剤の別々の線または点の列によって固着する事ができる。満足である事が発見された接着剤はホットメルト接着剤、例えば、米国テネシー州、キングスポート、イーストマンケミカルプロダクツ社によって製造され、商標Eastobond A-3によって市販されている製品または、米国オハイオ州、コロンパス、センチュリーアドヘッシブ社によって製造され商標Century5227で市販されている製品である。コア取り付け手段55は米国特許第4,573,986号に記載のような接着剤フィラメントの開放パタンネットワークから成る。この特許を引例として加える。
【0018】
バックシート30は不透液性であって、好ましくは薄いプラスチックフィルムによって製造されるが、他の可撓性不透液性材料を使用する事もできる。バックシート30は、吸収性コア28の中に吸収され収容されている排泄物がシーツおよび下着などのオシメ20と接触する製品を汚す事を防止する。好ましくは、バックシート30は厚さ約0.012mm(0.5ミル)〜約0.051mm(2.0ミル)のポリエチレンフィルムとするが、他の可撓性不透液性材料を使用する事もできる。この場合「可撓性」とは、形状一致性であって、人体の全体形状および輪郭に容易に合致する材料を言う。
【0019】
適当なポリエチレンフィルムは、モンサントケミカル社によって製造され商標Film No.8020で市販されている。バックシート30は好ましくは布様外観を生じるためエンボス加工および/またはツヤ消し加工仕上げをされる。さらに、バックシート30は、排泄物の通過を防止しながら吸収性コアから水蒸気を脱出させる事ができる。
【0020】
バックシート30のサイズは、吸収性コア28のサイズおよび選定された正確なオシメ設計によって決定される。好ましい実施態様においてバックシート30はオシメ外周38全体から外側に少なくとも約1.3cm〜約2.5cm(約0.5〜約1.0インチ)の最小距離だけ吸収性コアから延長された変形砂時計の形状を有する。
【0021】
本発明の製品の本体部分22のトップシート26は形状一致性の、柔らかな感触を有する、着用者の皮膚を刺激しないものである。さらに、このトップシート26は液体を容易に貫通させる透液性である。適当なトップシート26は、多孔性フォーム、網状フォーム、アパチュアドフィルム、天然繊維(木材繊維または綿繊維)、合成繊維(例えばポリエステルまたはポリプロピレン繊維)、または天然繊維と合成繊維との組合せから製造する事ができる。好ましくはトップシート26は吸収性コア28の中に保持された液体から着用者の皮膚を隔離するために疎水性材料から作る。
【0022】
特に好ましいトップシート26は、米国デラウェア州、ウイルミングトン、ハーキュリーズ社から市販されているハーキュリーズタイプ151などの約1.5デニールのステープル長ポリプロピレン繊維を含む。この場合「ステープル長繊維」とは少なくとも約15.9mm(0.625インチ)の長さを有する繊維を言う。
トップシート26を製造するために使用される多くの技術がある。例えばトップシート26は織布、不織布、スパンポンディッド布、カーディッド布、ハイドロフォームド布とする事ができる。トップシート26は業界公知の手段によってカージング処理され、熱接合される。好ましくはトップシート26は約15〜約30g/平方メートルの坪量とマシン方向においてセンチメートル当り少なくとも約400gの最小乾燥引っ張り強さと、クロスマシン方向においてセンチメートル当り少なくとも約55gの引っ張り強さとを有する。
【0023】
トップシート26とバックシート30はオシメ業界公知の任意適当な手法によって相互に組み合わされる。この場合、「組み合わされる」とは、トップシート26をバックシート30に対して直接に固着する事によってバックシートに対して直接に接合する構造、およびトップシート26を介在部材に対して固着し、この介在部材をバックシートに固着する事によってバックシート30に対して間接的に接合する構造とを含む。好ましい実施態様において、トップシート26とバックシート30は接着剤または業界公知のその他任意の取り付け手段などのフラップ取り付け手段56によってオシメ外周38に沿って相互に直接に接合される。一般に、吸収性コア28をバックシート30に対して固着するコア取り付け手段55も前記のフラップ取り付け手段56と同一の手段とする。従って例えば、前記の米国特許第4,573,986号に記載のような、接着剤の均一連続層、パターン層、別々の線または点の列、あるいは接着剤フィラメントのネットワークを使用する事ができる。
【0024】
弾性的に収縮性の脚カフス32が、本体部分22の外周38に隣接して、好ましくはオシメの縦縁40に沿って配置され、これらの脚カフス32がオシメを引っ張って、着用者の脚に当接保持させる。脚カフス32はオシメ業界公知の任意の手段とする事ができるが、特に好ましい脚カフス構造は、前記の米国特許第3,860,003号に詳細に記載のように、サイドフラップ34と単数または複数の弾性部材36とを含む。さらに弾性収縮性脚カフスを有する使い捨てオシメの製造に適した方法および装置は米国特許第4,081,301号に記載されており、この特許を引例として加える。好ましい実施態様において、弾性収縮性脚カフス32はサイドフラップ34と、弾性紐から成る弾性部材36とを含む。
オシメ20は側面閉鎖を成すための機械的ファスナー手段24を備える。すなわちオシメ20が着用者に対して取り付けられる際に、その第1末端区域48と第2末端区域50が重なり合い状態に保持される。
【0025】
図1に図示の本発明の好ましい実施態様において、ファスナー手段24は、第1末端区域48の縦縁40に沿って配置されたテープタブ60および第1ファスナー要素62とを有する閉鎖部材58と、本体部分22の外側面46の第2末端区域50の中に配置されて前記第1ファスナー要素62と係合する第2ファスナー要素66を有するランド部材64と、オシメ20を簡単に廃棄できるように使い捨て形状に固定するように本体部分22またはファスナー手段24、好ましくはテープタブ60上に配置される処分手段68とを含む。
【0026】
各閉鎖部材58は、オシメ20の確実な側面閉鎖をなすようにランド部材64と係合する機械的ファスナー手段を成すものである。従って閉鎖部材58は少なくとも1つのファスナー要素62を含む。また各閉鎖部材58は、好ましくは側面閉鎖のため第1ファスナー要素62をランド部材64に隣接して配置するための手段を含む。すなわち閉鎖部材58は、オシメ20の内側面および/または外側面に固着された内部ファスナー部材、テープタブまたはベルトなど、オシメ20の側面閉鎖を成すための任意公知の構造および固着手段を含む事ができる。好ましい閉鎖部材58は内部ファスナー部材またはテープタブを含む。
【0027】
内部ファスナー部材は、オシメ20の本体部分上に配置されたファスナー要素またはファスナー要素と接着剤固着手段との組合せを含む。従って好ましい内部ファスナー部材は、フックファスナー材料のストリップまたはパッチから成る第1ファスナー要素62とする。内部ファスナー部材は、本体部分の内側面44または外側面46、あるいは第1末端区域48または第2末端区域50など、本体部分の任意の箇所に配置する事ができる。好ましくは本体部分の内側面44の第1末端区域48の中に、それぞれ縦縁40に隣接して、ランド部材64と係合するように配置される。各内部ファスナー部材の第1ファスナー要素62は、本体部分に対して接合され、本体部分22のパネル51において好ましくは約1インチ幅(長手方中心線に対して直角方向)×約2.5インチ(すなわち、長手方中心線に対して平行方向)の面積を有する。この内部ファスナー部材の実施例は米国特許第4,699,622号に記載され、これを引例として加える。
【0028】
図1と図2に図示のように、閉鎖部材58は好ましくはテープタブ60を含む。テープタブの任意公知の構造および形状を使用する事ができる。好ましいテープタブは、米国特許第3,848,594号に詳細に記載されているY形のテープタブであって、この特許を引例として加える。図1に図示のように、テープタブ60は本体部分22の各縦縁40に隣接して最も好ましくは第1末端区域48に配置される。
【0029】
特に好ましいテープタブ60は図2に図示され、ファスナー面70と裏あて面72とを有する。ファスナー面70は本発明のランド部材64と係合するテープタブの面である。すなわち、ファスナー面70はオシメの本体部分22の内側面44に対応し、その上に接着剤固着手段63と第1ファスナー要素62とを備える。裏あて面72は、ファスナー面70と反対側の面であって、オシメ本体部分22の外側面46に対応する。従って、裏あて面72はオシメ20の着用中露出されている。
【0030】
図2に図示の好ましいテープタブ60は、本体部分22の内側面44と外側面46に対して固着されて、メーカの末端を成す(すなわち、オシメ20に対するテープタブの固着がオシメの製造中に実施される)。テープタブ60はユーザの末端としての他の要素を有する(すなわち、オシメを着用者に取り付ける人によって作られる継手部分)。すなわち本発明の好ましいテープタブは少なくとも下記の3要素を有する:第1固定部分74、第2固定部分76、連結部分78。第1固定部分74は本体部分22の内側面に取り付けられた部分である。第2固定部分76は本体部分22の外側面46に取り付けられた部分である。従って第1固定部分74と第2固定部分76は、テープタブ60のメーカの末端を成す。連結部分78は、使用者が着用者に対してオシメ20を固着する際にこのオシメ20の他の部分に対して、一般にランド部材64に対して取り付けられる部分である。従ってこの連結部分78はユーザの末端を成す。さらに、第2固定部分76の外側面と連結部分78の外側面はテープタブ60の裏あて面72を成すが、第1固定部分74の内側面と連結部分78の内側面はテープタブ60のファスナー面70を成す。
【0031】
本発明の好ましいY形テープタブ60はいくつかの手法で製造する事ができる。第1固定部分74、第2固定部分76、および連結部分78は、それぞれ本体部分20の縦縁40に隣接して接合区域において相互に接合される別々のテープである。テープタブ60のさらに実際的構造は、連結部分78と、第1固定部分74または第2固定部分76のいずれかとが一体的テープストリップを成す構造である。図2に図示のように連結部分78が第2固定部分76と一体を成す場合、第1固定部分74は本体部分22の縦縁40に隣接した接合区域80において、連結部分78/第2固定部分76結合体に連結された別個の要素である。
【0032】
図2はテープタブ60を本体部分22に対して固着するためのタブ固着手段を示す。この手段は適当な接合を成す任意の固着手段、好ましくは接着剤業界公知の任意の感圧接着剤とする。第1固定部分74の第2面75´が本体部分22の内側面44に対して、第1タブ固着手段80によって固着される。第2固定部分76の第1面77が本体部分22の外側面46に対して、第2タブ固着手段82によって固着される。連結部分78は、その第1面79上に第1ファスナー要素62を第2タブ固着手段82(あるいは、連結部材78が第2固定部分76とは別個の要素であれば第3タブ固着手段)によって取り付けられている。しかし接着剤固着手段を別個に第1ファスナー要素62上に配置し、これを連結部分78に接合する事もできる。
【0033】
テープタブ60の好ましい素材は、米国ミネソタ州、セントポール、ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング社から入手されるテープコードNo.XPF 14.43.0、Y-9376またはY-9030などのテープ材料を含む。これらの実施態様において使用されるテープ材料は好ましくはポリエチレンフィルムであって、ポリエチレンに接合するように配合されたタブ固着手段が前記テープ材料上に配置されている。このタブ固着手段は、オシメの他の部分と適当に接合する任意の接着剤であって、好ましくは業界公知の任意の感圧接着剤とする。好ましいタブ固着手段はミネソタ州、セントポール、ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング社から入手されるコードNo.XPF 1.42.34などの感圧接着剤とする。
【0034】
図2に図示のように、テープタブ60は連結部分78の末端縁71にグリップタブ83を備える。このグリップタブは、連結部分78の縁71を折り返して接着する事によって形成される。これにより、オシメ20を着用者に取り付けて固着する際にユーザが容易に把持する事のできる末端部分を連結部分78上に形成する。グリップタブ83は、使用中に連結部分78を第1固定部分74上に重ね合わせる際に最も有効である。
【0035】
閉鎖部材58の第1ファスナー要素62は閉鎖部材58とランド部材64との間を閉鎖する。すなわち第1ファスナー要素62はランド部材64の第2ファスナー要素66に係合する単数または複数の要素を成す。従って第1ファスナー要素62は、ボタン、スナップ、フックまたはループファスナーなどの側面閉鎖を成す任意公知の手段とする事ができる。
【0036】
第1ファスナー要素62は、テープタブ60に接合された別個の部材とし、またはテープタブ60と一体を成す部材とする事ができる。例えばトップシート60はランド部材64と機械的に係合するようにその上に形成または成形された係合要素を有し(一体型第1ファスナー要素62)、またはテープタブ60に対して別個のパッチまたはストリップを接合する事ができる(別部材型第1ファスナー要素62)。好ましくは第1ファスナー要素62はテープタブ60のファスナー面70に接合された別個の部材とする。
【0037】
第1ファスナー要素62は好ましくはテープタブ60のファスナー面70に対して接合される。この明細書において、「接合される」とは、特にオシメ20が汚れた後にユーザが第1ファスナー要素62を接着剤固着手段63から引き剥す事ができるようにテープタブ60に対して着脱自在に固着される構造と、第1ファスナー要素62がテープタブ60に対して固定的に固着される構造とを含む。また「接合される」とは、第1ファスナー要素62がテープタブに対して直接に接合される場合と、第1ファスナー要素62を着脱自在に介在部材に固着し、この介在部材をテープタブに対して着脱自在に固着する事によって第1ファスナー要素62を間接的にテープタブ60に対して接合する場合とを含む。好ましくは図2に図示のように、第1ファスナー要素62をテープタブ60の固定部分78に対して第2タブ固着手段82によって直接に固着する。
【0038】
第1ファスナー要素62はテープタブ60のファスナー面70の任意の箇所に配置する事ができるが、閉鎖部材58が内部ファスナー部材を含む時、第1ファスナー要素62は好ましくは末端区域48のパネル51の中に縦縁40に隣接して配置される。閉鎖部材58がテープタブ60を含む時、第1ファスナー要素62は、好ましくはファスナー面70の全部または一部に、さらに好ましくは連結部分78の全部または一部に配置される。最も好ましくは第1ファスナー要素62は、連結部分78の第1区域(一部)に、テープタブ60の末端縁71に隣接して配置される。この構造の実施例は、米国特許第5,019,065号明細書に記載され、この特許を引例として加える。
図2は本発明の好ましい実施態様の第1ファスナー要素62を示す。この第1ファスナー要素62はフックファスナー材84を含む。この明細書において、「フックファスナー材」とは係合要素86を有する材料を言う。すなわちこのフックファスナー材84はオスファスナーと呼ぶ事もできる。また「フック」とは、係合要素86が補形の第2ファスナー要素66と係合できる限り業界公知の任意の形状を取るという意味で非制限的用語である。図示のように、フックファスナー材84は好ましくは、第1面と第2面を有する基体88と、基体88の第1面から突出した複数の係合要素86とを含む。各係合要素86は基体88の第1面の上に支持された軸部94と、軸部94の基体88と反対側末端に配置された拡大ヘッド96とを含む。
【0039】
本発明の好ましいフックファスナー材84はループファスナーの繊維要素と係合してファスナー装置を成すように構成される。従って、このフックファスナー材84は各種の材料で製造する事ができる。適当な材料は、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、またはその組合せである。ミネソタ州、セントポール、ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング社から入手される「スコッチメート」ブランドNo.FJ3402などの織布ライニングから突出した多数の係合要素86を含む。あるいは、この係合要素86はフック状、T状またはその他業界公知の任意の形状を有する事ができる。特に好ましいフックファスナー材料は、米国特許第4,846,415号明細書に記載され、これを引例として加える。
【0040】
機械的ファスナー手段24のランド部材64は、それ自体と閉鎖部材58とを相互に固着して、オシメの第1末端区域48と、第2末端区域50とを重なり合う状態に保持するための手段を成す。ランド部材64は、閉鎖部材58と係合して側面閉鎖を保持する限り、オシメ20の任意の場所に配置する事ができる。例えば、ランド部材64は、第2末端区域50の外側面46上に、あるいは第1末端区域48の内側面44上に、あるいは閉鎖部材58と係合するその他の任意の場所に配置する事ができる。さらに、ランド部材64は、オシメ20に固着された別個の要素とし、あるいはオシメ20のトップシート26またはバックシート30などの要素と不可分にまたは連続的に備えられた一体部材とし、あるいは一体部材と別個部材との組合せとする事ができる。ランド部材64は種々のサイズと形状をとる事ができるが、好ましくはバックシート30の一部と、着用者のウェストに最もよくフィットするように第2末端区域50の外側面46に配置された単数または複数の別個のパッチとを含む。図1と図5に図示のオシメ20の好ましい実施態様は、第2末端区域50の縦縁40に隣接して外側面46に固着された細長い長方形のランド部材64を含む。
【0041】
ランド部材64は好ましくは、テープタブ60の第1ファスナー要素62に係合する第2ファスナー要素66を含む。すなわち、この第2ファスナー要素66は種々の材料から作られ、第1ファスナー要素62に係合する種々の形状を有する事ができる。例えば、第2ファスナー要素66は、第1ファスナー要素62と補形の同一要素とし、または別個の要素とする事ができる。この場合、「補形の同一要素」とは、第1ファスナー要素62と第2ファスナー要素66の係合部材が相互に係合する同一の形状または構造を有する機械的ファスナー手段を定義するために使用される。このような手段の例は米国特許第4,322,875号および米国特許第4,701,179号に記載されている。「補形の別個の要素」とは、第1ファスナー要素62が第2ファスナー要素66と相違する形状を有するが、これと係合する事ができる場合、例えばボタンと穴、フックファスナーとループファスナー、あるいはオス部材とメス部材などを意味する。好ましくは、第2ファスナー要素66は、第1ファスナー要素62がループであるかフックであるかに従って、フックあるいはループとする。図5に図示のように、ランド部材64は、ループファスナー98などの複数のファイバ要素を備えた第2ファスナー要素66を含む。
【0042】
第2ファスナー要素66のループファスナー材98は、フックファスナー材84の係合ヘッド86に係合するファイバ要素を成す。これらのループファスナー材98は、ファイバ要素、好ましくはループを成す種々の材料から製造する事ができる。その適当な材料はナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレンまたはその組合せである。適当なループファスナー材98は、ミネソタ州、セントポール、ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング社の登録商標「スコッチメート」No.SJ3401のナイロン織成ループなど、ライニングから突出したファイバループを含む。また好ましいループファスナー材98は、ノースカロライナ州グリンスボロのギルフォードミル社から市販されている「ギルフォードNo.16110」などのナイロンライニングから突出したナイロンフィラメントループから成るトリコットニットファブリックである。あるいは、ループファスナー材98は不織布、あるいはその他任意の型の業界公知のファイバ材料またはループ材料とする事ができる。経済的なループファスナー材とその製造方法は米国特許第5,032,122号明細書に記載され、これを引例として加える。
【0043】
本発明の処分手段68は、オシメ20を簡便容易に廃棄するための要素を成す。すなわち、処分手段68は、オシメ20を廃棄形状に折り畳みまたは巻き上げてこの形状に保持しオシメ20内部に汚物を収容する事のできる任意の構造を有する。例えば、処分手段68は接着性テープタブ、接着剤固着手段、機械的ファスナー要素、フックファスナー材、ループファスナー材、第1ファスナー要素および第2ファスナー要素又は当業者に知られた他の要素又は要素の組合わせなど、本体部分22上にまたはファスナー手段24上に配置される種々の要素とする事ができる。
【0044】
処分手段68は、オシメ20を廃棄形状に保持できる限り、オシメ20の本体部分またはファスナー手段24のいずれにも配置する事ができる。例えば、処分手段68は、本体部分22の内側面44上にも、外側面46上にも、第1末端区域48または第2末端区域50上にも、一方または両方のテープタブ60などのファスナー手段24上にも配置する事ができる。処分手段68は、ファスナー面70上またはテープタブ60の裏あて面72上にも、連結部分78、第1固定部分74、第2固定部分76の上にも、あるいは一方または両方のテープタブ60の要素の任意の組合せ上に配置する事ができる。
【0045】
さらに、処分手段68はオシメ20に連結された別個の要素とし、あるいはトップシート26、バックシート28または一方の第1ファスナー要素62などのオシメ要素に連続不可分の単一部材としての一体要素とする事ができる(例えば、一方のテープタブの第1ファスナー要素が他方のテープタブの第1ファスナー要素と相補形であって相互に固着される場合、一方の第1ファスナー要素が処分手段を成す)。処分手段68は各種の要素とし種々のサイズおよび形状を有する事ができるが、好ましい処分手段68は、オシメ20を廃棄するために配置された第2ファスナー要素としての接着剤テープタブまたは機械的ファスナー要素とする事ができる。
【0046】
図2と図5に図示のオシメ20の好ましい実施態様は、少なくとも一方のテープタブ60に固着された第2ファスナー要素106から成る別個要素としての処分手段68を有する。処分手段68は好ましくは各テープタブ60の裏あて面72に固着された第2ファスナー要素106を含む。この第2ファスナー要素106はテープタブ60のファスナー面70に配置する事もできるが、反対側テープタブ60の第1ファスナー要素62が第2ファスナー要素106に容易に固着されてオシメ20の廃棄のためテープタブ60を容易に閉鎖できるように、この処分手段68は好ましくはテープタブ60の裏あて面72に配置される。また第2ファスナー要素106は連結部分78上にテープタブ60の末端縁に隣接して配置される。
【0047】
処分手段68の第2ファスナー要素106は、本発明のランド部材64として使用される任意の構造を有する事ができる。例えば、第2ファスナー要素106は一体要素または別個要素とし、フックファスナー材またはループファスナー材とし、また補形の単一要素または補形の別個要素とする事ができる。好ましくは処分手段68の第2ファスナー要素106はランド部材64の第2ファスナー要素66と同一の材料とし、好ましくはテープタブ60のファスナー面70上に配置されたフックファスナー材84と係合可能のループファスナー材とする。従って一方のテープタブ60のフックファスナー材84を他方のテープタブ60の裏あて面72上の処分手段68のループファスナー材に固着する事ができる。処分手段68の第2ファスナー要素106は、好ましくは裏あて面72に対して、業界公知の接着剤固着手段108によって、好ましくは感圧接着剤によって固着される。
【0048】
オシメ20を使用する際、第1末端区域48を着用者の背中の下に配置し、オシメ20の他の部分を着用者の足の間を引っ張って、第2末端区域50を着用者の前側に配置する。つぎに、テープタブ60の連結部分78を第2末端区域50の外側面46のランド部材64に対して固着し、テープタブ60のファスナー面70上に配置された第1ファスナー要素62を第2ファスナー要素66に係合させて側面閉鎖を成す。オシメ20が汚れたとき、オシメ20を着用者から離す。その場合、第2末端区域50のパネル51を内側に折込み、本体部分22を第2末端区域50から折込みまたは巻き込んで、テープタブ60が巻上がったオシメ20から外側に突出する図6に図示の構造にする。つぎに図7に図示のように、一方のテープタブ60の第1ファスナー要素62を他方のテープタブ60上に配置された処分手段68の第2ファスナー要素106に固着すれば、オシメ20を巻かれた状態に固定されるので、これをごみ箱に簡単に捨てる事ができる。
【0049】
図3に図示の本発明の他の実施態様においては、処分手段368はテープタブ360、好ましくはその裏あて面72上に配置された接着剤固着手段110を含むが、これをファスナー面70の一部上に配置する事ができる。またオシメ20が汚れるまで接着剤を露出しないように、処分手段368は接着剤固着手段110上に配置されたリリースライナー112を含む。接着剤固着手段110はこのような目的で業界で使用されている任意の接着剤または糊を使用する事ができるが、感圧接着剤が好ましい。リリースライナー112は、接着剤固着手段の乾燥を防止し、使用前に異物に付着する事を防止する。このような目的に使用されている任意のリリースライナーを使用する事ができるが、適当な例は、アクロシル社製造のBL 30MG-A SILOX E1-0およびBL 30MG-A SILOX 4P/0である。この実施態様においては、オシメ20が汚れて廃棄形状に成された時に、リリースライナー112が接着剤固着手段110から除去されて、接着剤固着手段110が他方のタブ360または本体部分22のバックシート30などに固着されて、オシメ20をその使い捨て状態に固定する。
【0050】
図4に図示の本発明のさらに他の実施態様においては、処分手段468はテープタブ460のファスナー面70上に配置された接着剤固着手段114(この実施例においては第2タブ固着手段82)を含む。テープタブ60の第1ファスナー要素62は接着剤固着手段114によってファスナー面70に対して着脱自在に固着されている。従って、オシメ20が汚れて廃棄形状に成された時に、第1ファスナー要素62が接着剤固着手段114から剥離されて接着剤固着手段114を露出する。露出された接着剤固着手段114を他方のテープタブ460、またはバックシート30、またはオシメ20の他の任意の箇所に固着する事によってオシメ20を廃棄状態に固定する。故に接着剤固着手段114はこのような目的に使用される公知の任意の接着剤とし、感圧接着剤が好ましい。
【0051】
図8に図示のさらに他の実施態様においては、処分手段868は本体部分22上に配置された接着剤テープタブ116を含む。この接着剤テープタブは業界公知の任意の接着剤テープタブとする事ができる。このテープタブ116の例は前記の米国特許第3,848,594号に記載されている。接着剤テープタブ115はオシメ20の本体部分22上の任意の箇所に配置する事ができるが、好ましくは第1末端区域48上に、オシメ20の末端縁42に隣接して、最も好ましくは末端縁42に沿って横方向にセンタリングして配置され、処分手段868を成す。従って、オシメ20が汚れて折り畳まれまたは巻き上げられた後に、ユーザが接着剤テープタブ116をそのリリースライナーから離脱させ、その接着剤を本体部分22のバックシート30または本体部分22に対して固着させて、巻き上げられたオシメ20を閉鎖状態に固定する。
【0052】
図9に図示の本発明のさらに他の実施態様においては、処分手段968は2つの接着剤テープタブ118,120を含む。これらの接着剤テープタブは本体部分22上の任意の箇所に例えば各末端縁42に隣接して配置する事ができるが、好ましくはそれぞれオシメ20の第1末端縁48において、縦縁40に隣接して、最も好ましくはテープタブ60に隣接して配置される。従ってこの実施態様においては、処分手段968は第2対のテープタブを成し、これは着用中のファスナー手段およびオシメ20が汚れた後の処分手段として、あるいはオシメ20が汚れた後にのみ処分手段として使用される。これらの接着剤テープタブ118,120は、オシメ20を廃棄形状に固定するため、本体部分22のバックシート30などに固着し、あるいは相互に固着して処分手段968として使用される。
本発明は前記の説明のみに限定されるものでなく、その主旨の範囲内において任意に変更実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による実施態様のオシメの部分破断斜視図。
【図2】
図1の2-2線に沿ったテープタブの断面図。
【図3】
本発明の他の実施態様の図2と同様の断面図。
【図4】
本発明のさらに他の実施態様の図2と同様の断面図。
【図5】
図1のオシメを着用する際の状態を示す立面図。
【図6】
本発明のファスナー手段を使用する前の廃棄状態の図1のオシメを示す斜視図。
【図7】
本発明のファスナー手段を使用した後の廃棄状態の図1のオシメを示す斜視図。
【図8】
本発明の他の実施態様によるオシメの平面図。
【図9】
本発明のさらに他の実施態様によるオシメの平面図。
【符号の説明】
20 オシメ
22 オシメ本体
24 機械的ファスナー手段
44 本体内側面
46 本体外側面
48 第1末端区域
50 第2末端区域
58 閉鎖部材
60 テープタブ
62 第1ファスナー要素
63 接着剤固着手段
64 ランド部材
66 第2ファスナー要素
68 処分手段
70 ファスナー面
71 末端縁
84 フックファスナー材
86 係合要素
98 ループファスナー材
368,468,868,968 処分手段
 
訂正の要旨 特許明細書を特許請求の範囲の減縮を目的として訂正明細書の記載のとおりに訂正する。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1、4、13、21、28及び31にそれぞれ記載された「前記第2末端区域において」及び「第1機械的ファスナー手段とともに吸収製品の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段」を、それぞれ「前記第2末端区域の端縁近傍において」及び「第1機械的ファスナー手段とともに吸収製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段」と、特許請求の範囲の請求項27に記載された「前記第2末端区域の前記外側面上」を 「前記第2末端区域の端縁近傍の前記外側面上」として、特許請求の範囲の請求項を1、4、13、21、27,28及び31を以下のように訂正する。
【請求項1】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため吸収性製品の本体部分に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項4】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため前記閉鎖部材のファスナー面に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項13】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分、該本体部分は透液性トップシート;該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられたテープタブ;前記各テープタブは前記本体部分に固着した固定部分、該固定部分に接合し末端縁を有する連結部分、ファスナー面、該ファスナー面と反対側の裏あて面、吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を有し、該第1機械的ファスナー手段は前記テープタブの前記連結部分の前記ファスナー面の少なくとも一部に接合する第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を有し、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄するような形状に固定するため吸収性製品本体部分に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有し該第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項21】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられたテープタブ;前記各テープタブは前記本体部分に固着した固定部分、該固定部分に接合し末端縁を有する連結部分、ファスナー面、該ファスナー面と反対側の裏あて面、吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を有し、該第1機械的ファスナー手段は前記テープタブの前記連結部分の前記ファスナー面の少くとも一部に接合する第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられる少くとも一つのランド部材;該ランド部材は前記第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するため第2機械的ファスナー手段を有し、この第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄しうるような形状に吸収性製品を固定させるため前記テープタブの少くとも一つの前記ファスナー面上に連結された処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有し該第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項27】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分、該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において各縦縁に隣接して設けられ以下の(a)〜(g)を含むテープタブ、
(a)前記本体部分に固着された第1固定部分、
(b)前記内側面に前記第1固定部分を固着するため前記本体部分の前記内側面と前記第1固定部分と連結された第1タブ固定手段、
(c)前記本体部分に固着された第2固定部分、
(d)前記外側面に前記第2固定部分を固着するため前記本体部分の前記外側面と前記第2固定部分と連結された第2タブ固着手段、
(e)前記第1固定部分と前記第2固定部分に接合し、末端縁、ファスナー面と前記ファスナー面と反対側の裏あて面を有する連結部分、
(f)該連結部分を前記本体部分に固着するため前記連結部分の前記ファスナー面の少くとも一部に接合するフックファスナー材、
(g)前記第1固定部分、第2固定部分と前記連結部分は、前記本体部分の前記縦縁に隣接して各々第1タブ固着手段および第2タブ固着手段で固着され、
前記第2末端区域の端縁近傍の前記外側面上に設けられ、前記テープタブ上に設けられた前記フックファスナー材と機械的に係合しうるループファスナー材を含む少くとも一つのランド部材及び
吸収性製品を簡便に廃棄しうるような形状に固定するため少くとも一つの前記テープタブの前記ファスナー面に設けられ、前記フックファスナー材と機械的に係合しうるループファスナー要素を含む処分手段
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項28】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段は第1ファスナー要素を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため、前記バックシート上に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するための第3機械的ファスナー手段を有し、この第3機械的ファスナー手段は前記第1ファスナー要素と機械的に係合しうる第2ファスナー要素を含む、
を有する使い捨て吸収性製品。
【請求項31】
内側面、該内側面の反対側である外側面、縦縁、端縁、第1末端区域、該第1末端区域の反対側の第2末端区域を有する本体部分;該本体部分は透液性トップシート、該トップシートに組み合わされる不透液性バックシート、前記トップシートと前記バックシートの間に設けられた吸収性コアを含む、
前記第1末端区域において前記本体部分の各縦縁に近接して設けられる閉鎖部材;各閉鎖部材は吸収性製品の閉鎖体を形成するための第1機械的ファスナー手段を含み、該第1機械的ファスナー手段はフックファスナー材を含む、
前記第2末端区域の端縁近傍において前記本体部分上に設けられるランド部材;該ランド部材は第1機械的ファスナー手段とともに吸収性製品を着用する際の閉鎖体を形成するための第2機械的ファスナー手段を含み、前記第2機械的ファスナー手段は前記フックファスナー材と機械的に係合しうるループファスナー材を含む、
吸収性製品を簡便に廃棄する形状に固定させるため吸収性製品に設けられた処分手段;該処分手段は前記第1機械的ファスナー手段を固定するため本体部分上または閉鎖部材のファスナー面上に設けられた不織布を有し、この不織布は前記フックファスナー材と機械的に係合しうる、
を有する使い捨て吸収性製品。
異議決定日 2001-01-25 
出願番号 特願平8-269837
審決分類 P 1 651・ 113- YA (A41B)
P 1 651・ 121- YA (A41B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 梅田 幸秀小野寺 務門前 浩一植前 津子  
特許庁審判長 佐藤 雪枝
特許庁審判官 船越 巧子
西村 綾子
登録日 1999-09-10 
登録番号 特許第2977501号(P2977501)
権利者 ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー
発明の名称 使い捨て吸収性製品用の処分手段を備えた機械的ファスナー手段  
代理人 羽鳥 修  
代理人 野一色 道夫  
代理人 小野寺 捷洋  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 野一色 道夫  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 小野寺 捷洋  

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