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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
管理番号 1044889
異議申立番号 異議2000-73267  
総通号数 22 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-12-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-08-23 
確定日 2001-05-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3014654号「摩擦接合方法」の請求項1ないし6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3014654号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第3014654号の請求項1ないし6に係る発明についての出願は、平成9年2月20日(優先権主張平成8年3月19日)に特許出願され、平成11年12月17日にその発明について特許権の設定の登録がなされ、その後、平成12年8月23日に特許異議申立人川崎重工業株式会社より、平成12年8月25日に特許異議申立人日本軽金属株式会社及び住友軽金属工業株式会社より、それぞれ請求項1ないし6に係る特許について特許異議の申立てがなされ、平成12年12月8日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年2月20日に特許異議意見書とともに訂正請求書が提出されたものである。

第2 訂正の適否
1 訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は、次のa及びbのとおりである。
a 登録時の明細書(以下「登録明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1に記載された「第1の部材と第2の部材」を、「アルミニウム合金の第1の部材とアルミニウム合金の第2の部材」に訂正するとともに、同請求項に記載された「摩擦接合すること」を「塑性流動させて、摩擦接合するとともに、前記第1の部材と前記第2の部材との間に生じた隙間に前記突き合わせた部分の材料を埋めること」に訂正し、請求項2ないし6を削除する。
b 登録明細書の段落番号【0024】に記載された「なお、接合後、不要部があれば図のように切削する。」を削除する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、第1及び第2の部材の材料を特定するとともに、摩擦接合方法を構成する手段をより具体的に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。そして、訂正前の特許請求の範囲には、「第1及び第2の部材はアルミニウム合金であり」(請求項2)、「塑性流動させて摩擦接合すること」(請求項2)及び「前記第1の部材と前記第2の部材との間に生じた隙間に前記突き合わせた部分の材料を埋めること」(請求項4)と記載されているから、訂正事項aは登録明細書に記載されているものと認める。また、上記訂正事項aは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
次に、上記訂正事項bは、上記訂正aに伴って生じる明りょうでない記載の釈明を目的としたものに該当し、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3 むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許に係る発明
上記第2で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定される次のとおりのものである。
「アルミニウム合金の第1の部材とアルミニウム合金の第2の部材とを突き合わせ、該突き合わせた部分は前記第1の部材の端部および前記第2の部材の端部のそれぞれに、部材の厚さ方向に突出する凸部を有しており、
回転工具を前記突き合わせた部分に前記凸部側から挿入して前記突き合わせた部分を塑性流動させて、摩擦接合するとともに、前記第1の部材と前記第2の部材との間に生じた隙間に前記突き合わせた部分の材料を埋めること、を特徴とする摩擦接合方法。」

2 特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人川崎重工業株式会社は、次の甲第1ないし4号証を提示し、本件の請求項1ないし6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるので特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであり、さらに甲第1及び2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1ないし6に係る特許は取り消されるべきである旨を主張する。また、同申立人は、甲第5ないし8号証を提示し、本件の請求項1ないし6に係る発明は、頒布された刊行物に相当する甲第7号証に記録された発明であり、さらに甲第8号証により公然知られた発明であるので、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1ないし6に係る特許は取り消されるべきである旨も主張する。
甲第1号証:”Friktionssvetsning - ny metod f▲o▼r aluminium”, スウェーデン雑誌VERK ST▲A▼DERNA, Verksl▲a▼dernas F▲o▼rlag AB, Nr2 1996, p32-34, (Kungliga Tekniska Hogskolans Bibliotek 1996年3月4日受入)(以下「刊行物1」という。)
甲第2号証:A.H.Meleka著、寺井清訳、「電子ビーム溶接-原理と実際-」、株式会社産報発行、1972年6月20日、第175〜179頁(以下「刊行物2」という。)
甲第3号証:「アルミニウム合金の溶接施工管理▲3▼ アルミニウム合金の溶接設計」、改訂版、社団法人軽金属溶接構造協会発行、平成4年7月10日、第60〜64頁(以下「刊行物3」という。)
甲第4号証:実願昭55-189302号(実開昭57-112813号)のマイクロフィルム(以下「刊行物4」という。)
甲第5号証:甲第7号証に記録されたものの一こまの写真(以下「写真1」という。)
甲第6号証:TWI社のイアン ジェイ スミスから異議申立人への甲第6号証-1ないし4の送付状
甲第6号証-1:TWI社のジョン グラハムワイルドからの、甲第7号証ビデオテープを配布した事実を証明する証明書
甲第6号証-2:TWI社のジョン グラハムワイルドからの、甲第8号証ビデオテープを公表した事実を証明する証明書
甲第6号証-3:甲第6号証-2の添付書類
甲第6号証-4:TWI社のジョン グラハムワイルドからの、甲第5号証写真の事実を証明する証明書
甲第7号証:TWI社のジョン グラハムワイルドにより頒布された、摩擦撹拌接合技術についてのビデオマガジン”Contact”の「Summer 1995」(以下「ビデオテープ1」という。)
甲第8号証:TWI社のジョン グラハムワイルドにより公表された、摩擦撹拌接合技術を収録したビデオテープ、「JGM/BESem/1094」(以下「ビデオテープ2」という。)

一方、特許異議申立人日本軽金属株式会社及び住友軽金属工業株式会社は、次の検甲第1ないし4号証及び甲第1ないし11号証を提示し、本件の請求項1ないし3及び5に係る発明は、検甲第1号証により公然知られた発明であり、頒布された刊行物である甲第3号証に収録された発明であるので特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができないものであり、さらに本件の請求項1ないし6に係る発明は、検甲第1号証によって公然知られた発明及び検甲第3号証に収録された発明並びに甲第4及び6ないし8号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許をうけることができないものであるから、本件の請求項1ないし6に係る特許は取り消されるべきである旨を主張する。また、同申立人は、本件の請求項6に係る発明は、国内優先権の主張が認められず、その現実の出願日より前に出願され、かつ該現実の出願日より後に出願公開がされた甲第10号証に係る出願(以下、「出願1」という。)の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許に係る発明の発明者が上記出願1に係る発明の発明者と同一ではなく、また、本件特許の特許出願時の出願人が上記出願1に係る出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、本件の請求項6に係る特許は取り消されるべきである旨を主張する。
検甲第1号証:1994年10月4日に東京の英国大使館でTWIが主催したセミナーにおいて上映されたビデオテープと同一の内容が収録されたビデオテープ(整理番号JGW/BESem/1094)(以下「ビデオテープ3」という。)
検甲第2号証:検甲第1号証ビデオテープに収録された画像のうち本件特許発明に関連のあるものを抽出して印刷した写真
検甲第3号証:1995年夏にTWIが頒布したビデオテープ「Contact/News from TWI/SUMMER 1995 No23」(以下「ビデオテープ4」という。)
検甲第4号証:検甲第3号証ビデオテープに収録された画像のうち本件特許発明に関連のあるものを抽出して印刷した写真
甲第1号証:1994年10月4日に東京の英国大使館でTWIがセミナーを主催し、検甲第1号証ビデオテープに収録された内容と同一の内容を収録したビデオテープを上映したこと、上記セミナーは出席者に守秘義務を課す性質のものではなかったこと、をTWIのジョン・グラハム・ワイルドが証明した書面
甲第2号証:検甲第3号証ビデオテープは広く公開を目的として作成されたものであって、その受取人はその収録内容について守秘義務を有していなかったこと、をTWI社のジョン・グラハム・ワイルドが証明した書面
甲第3号証:検甲第3号証の正本ビデオテープと検甲第3号証の副本ビデオテープの収録内容が同一であることを、変換ダビング作業を行った有限会社アートビデオ企画の山田亮が証明した陳述書
甲第4号証:特公昭54-11250号公報(以下「刊行物5」という。)
甲第5号証:国際公開第95/26254号パンフレット(1995)(以下「刊行物6」という。)
甲第6号証:特開平7-266068号公報(以下「刊行物7」という。)
甲第7号証:欧州特許第615480号明細書(1995)(以下「刊行物8」という。)
甲第8号証:C J Dawes,”An introduction to friction stir welding and its development”,Welding & Metal Fabrication January 1995 Vol.63 No.1,英国 International Trade Publications Ltd発行,p.13-16(平成7年2月13日国立国会図書館受入)(以下「刊行物9」という。)
甲第9号証:特願平8-62491号の願書に最初に添付された明細書及び図面
甲第10号証:特開平10-216964号公報
甲第11号証:実願昭55-189302号(実開昭57-112813号)のマイクロフィルム(上記「刊行物4」に同じ。)

3 当審が通知した取消しの理由の通知の概要
当審が通知した取消しの理由は、(1)登録明細書の請求項1ないし5に係る発明は、上記刊行物1及び7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって取り消されるべきである。(2)登録明細書の請求項6に係る発明は、優先権主張が認められず、その現実の出願日より前に出願され、かつ該現実の出願日より後に出願公開がされた上記出願1の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許に係る発明の発明者が上記出願1に係る発明の発明者と同一ではなく、また、本件特許の特許出願時の出願人が上記出願1に係る出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、本件の請求項6に係る特許は取り消されるべきであるというものである。

4 各甲号証に示された発明の内容
各甲号証に示された発明は、次のとおりのものであると認める。
(1)刊行物1
アルミニウム合金の板材どうしを突き合わせて接合するにあたり、回転工具を板材の前記突き合わせた部分に挿入して前記突き合わせた部分を塑性流動させて摩擦接合をすること、を特徴とする摩擦圧接方法。
摩擦圧接方法において、継ぎ目自体では強度が若干低下するが、壁厚みを局所的に若干増すことによって容易に埋め合わせることができること。

(2)刊行物2
電子ビーム溶接において、満足な表、裏ビードを得るため、溶加用部分にlip状開先を形成すること。

(3)刊行物3
ロケットなどの極低温構造物に対して、Al-Cu系合金を用いる場合、極低温における溶接継手の強度のみならず、破壊じん性値を考慮して、溶接部及びその熱影響部を母材部分よりも厚くして、破断は必ず母材部分で起こるように設計する場合があること。

(4)刊行物4
接続した直立鋼板の溶接ビード線に沿って、フライスを移動させることにより、溶接ビードの切削加工を行うこと。

(5)ビデオテープ1
金属材料同士を突き合わせ、回転工具を前記突き合わせた部分に挿入して前記突き合わせた部分を塑性流動させて、摩擦撹拌接合すること。

(6)ビデオテープ2
金属材料同士を突き合わせ、回転工具を前記突き合わせた部分に挿入して前記突き合わせた部分を塑性流動させて、摩擦撹拌接合すること。

(7)ビデオテープ3
金属材料同士を突き合わせ、回転工具を前記突き合わせた部分に挿入して前記突き合わせた部分を塑性流動させて、摩擦撹拌接合すること。

(8)ビデオテープ4
金属材料同士を突き合わせ、回転工具を前記突き合わせた部分に挿入して前記突き合わせた部分を塑性流動させて、摩擦撹拌接合すること。

(9)刊行物5
電子線加工法において、2個の被溶接物を電子線を用いて突き合せ溶接を行う際に、それらの両方に突出部を作り、この突出部の突き合わせ部を通して電子線を照射し溶接を行うことにより、アンダーカットを防止し、機械的強度を十分有するようにすること。

(10)刊行物6
摩擦撹拌溶接法において、プローブの底面部分(肩)を、溶接される部材の材料の中にアンダーカットtだけ入れること。
前進時に、プローブの底面部分(肩)が、表面から離れると、材料が不足して、プローブの後ろに空間が生じること。

(11)刊行物7
アルミニウム合金製の部材1及び部材2をレーザ光により溶接するにあたり、一方の部材の突き合わせ部側の端部に凸部を設け、いずれか一方の部材の突き合わせ部側の表面端部にレーザ光をその全ビーム面積の50%以上(但し、100%を含まず)を照射することにより、該凸部を溶融させ、その材料によって接合部材間のギャップを埋めること。

(12)刊行物8
レシプロ歯を用いた熱可撓性材料の摩擦溶接方法において、厚板の端部を反り上がるように形成して突き合わせることにより、接合部を広くすること。

(13)刊行物9
摩擦撹拌接合法において、接合する板材間のギャップは、例えば、1.6mmの板材で0.2mm、12.7mmの板材で1.25mmまで許容されること。

5 対比・判断
本件発明と、上記刊行物1に記載された発明とを対比すると、本件発明は、突き合わせた部分の第1の部材の端部および第2の部材の端部のそれぞれに、部材の厚さ方向に突出する凸部を有するのに対し、刊行物1に記載された発明では、そのような構成を有しない点で相違する。
一方、上記刊行物7に記載された発明は、接合を行う部材の端部に凸部を設け、該凸部の材料によって接合部材間のギャップを埋めるものではあるが、いずれか一方の部材の突き合わせ部側の表面端部にレーザ光をその全ビーム面積の50%以上(但し、100%を含まず)を照射することを要件とするという点で、液層接合たるレーザー溶接固有の技術である。これに対し、上記刊行物1に記載された摩擦撹拌接合は、接合部の金属を塑性流動させて接合する固相接合であって、接合部周辺の材料を塑性流動させてギャップを埋めるための手段は、上記レーザー溶接とは全く異なるものである。したがって、上記刊行物7に記載された発明を、上記刊行物1に記載された発明に直接的に適用することはできないから、上記刊行物1及び7に記載されたものから当業者が容易に発明をすることができたとは言えない。
このほか、上記刊行物2ないし6、8及び9、並びに上記ビデオテープ1ないし4のいずれにも、摩擦撹拌接合等の固相接合において、突き合わせた部分の第1の部材の端部および第2の部材の端部のそれぞれに、部材の厚さ方向に突出する凸部を有する点は示されていない。
なお、異議申立人川崎重工業は、同申立人が提示した甲第5号証の写真が、上記ビデオテープ1又はビデオテープ2の一こまの写真である旨を主張するが、同申立人が提出した甲第6号証-4によれば、該写真はマスターテープから撮られたものであり、該写真に映った特定のシーンは上記ビデオテープ2には含まれないとのことであり、実際に、該写真に映った特定のシーンは上記ビデオテープ1及び2には含まれていない。そして、上記ビデオテープ1及び2に収録された画像のいずれにも、突き合わせた部分の第1の部材の端部および第2の部材の端部のそれぞれに、部材の厚さ方向に突出する凸部を有するものを示す画像を見出すことはできない。したがって、上記ビデオテープ1が頒布されたものであるとの主張、及び上記ビデオテープ2の上映による収録内容が公然知られたものであるとの主張について検討するまでもなく、本件発明が上記ビデオテープ1及び2に記録された発明であるとも、本件発明が上記ビデオテープ1及び2に記録された発明に基づいて発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、本件発明は、上記刊行物1ないし9並びに上記ビデオテープ1及び2に示された発明ではなく、また上記刊行物1ないし9並びに上記ビデオテープ1及び2に示されたものから当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明は、本件特許に係る出願が優先権主張の基礎とする特願平8-62491号の願書に最初に添付し明細書及び図面に記載されたものであるから、本件発明に対する特許法第29条の2の規定の適用については、本件特許に係る出願の出願日は、特願平8-62491号の出願日である平成8年3月19日にされたものとみなされる。したがって、上記出願1を証拠として、本件特許が特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであるとすることもできない。

6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
摩擦接合方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミニウム合金の第1の部材とアルミニウム合金の第2の部材とを突き合わせ、該突き合わせた部分は前記第1の部材の端部および前記第2の部材の端部のそれぞれに、部材の厚さ方向に突出する凸部を有しており、
回転工具を前記突き合わせた部分に前記凸部側から挿入して前記突き合わせた部分を塑性流動させて、摩擦接合するとともに、前記第1の部材と前記第2の部材との間に生じた隙間に前記突き合わせた部分の材料を埋めること、を特徴とする摩擦接合方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦接合方法に関し、例えば、アルミニウム合金製の鉄道車両や建築物等に使用されるパネルの接合に好適である。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両の構体の二面構造体(パネル)は、中空状の型材を用いたものは特開平2-246863号公報に示され、ハニカムパネルのような積層パネルを用いたものは特開平6-106661号公報に示されている。
【0003】
摩擦接合方法は、接合部に挿入した丸棒を回転させて発熱、軟化させ、接合するものである。この接合は突合せ部、重ね部に適用される。これはWO 93/10935(EP 0615480B1、特表平7-505090号公報に同一)、Welding&Metal Fabrication,January1995 13頁から16頁に示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
摩擦接合方法は、接合施工中、回転工具(丸棒)の直下の部材が表面へ排出される反作用のため、接合部に下向きの力が働く。このため、本接合法を二面構造体(パネル)の接合に適用する場合、この下向きの力により接合部の継ぎ手部材が下方向に押し流され、変形を生じ、良好な接合を施工することができなかった。
【0005】
二面構造体(パネル)は、例えば、アルミニウム合金の押し出し型材の中空型材や、ハニカムパネルがある。このパネル同士の接合として、従来MIG溶接やTIG溶接が行われている。この継ぎ手形状に摩擦接合を適用すると、摩擦接合の際の押し下げ力によって、継ぎ手が下方に曲がったり、部材が下方に流されたりする。
【0006】
発明者は種々な実験により上記の現象を発見したものである。
【0007】
本発明の目的は、摩擦接合を行う場合において、良好な接合が得られるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、凸部を接合すべき部材の端部に設け、この凸部側から摩擦接合すること、によって達成できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1の実施例は、パネルとしての中空型材31,32の継ぎ手部の形状が突合せタイプの場合である。中空型材31,32の幅方向の端部には垂直の板36,36がある。接合前においては、回転工具50の直下に垂直な板36,36があり、板36,36同士は向い合っており、接触している。離れている場合は両者の隙間は小さい。隙間は1mm程度である。板36,36の間の延長線上に凸部52の中心が位置する。板36,36は前記下向きの力を支えるだけの剛性を有している。板36は2つの板33、34に直交している。中空型材31,32はアルミニウム合金の押出し型材である。中空型材31の上下の面は中空型材32の上下の面に一致している。つまり、中空型材31、32の厚さは同一である。以下の実施例も同様である。摩擦接合時において、回転工具50の大径部51と小径部の凸部52との境53が中空型材31,32の上面に位置している。35は2枚の板36、36を接続するものであって、トラス状に複数配置している。中空型材31、32の端部の形状はは左右対称である。中空型材31、32は架台(図示せず)に載せられ、移動しないように固定されている。板36、36の下方にも架台がある。
【0010】
摩擦接合は回転工具50を回転させながら、凸部52を中空型材31、32の接合部に挿入し、接合部に沿って移動させて行う。凸部52の回転中心は2つの板36、36の間にある。
【0011】
図2は摩擦接合後の状態である。45は接合後の接合ビードの形状を示したものである。板36,36の間の延長線上に接合ビード45の幅の中心が位置する。板36、36の厚さの延長線の範囲にビード45がある。接合ビード45の深さは接合部に挿入した回転工具50の下端の凸部52の高さによって定まる。
【0012】
これによれば、板33、34に垂直な板36,36が摩擦接合時の垂直力を支えるので、接合部が曲がったりせず、図2に示すように良好な接続が得られるものである。板36はできるだけ板33、34に直交させる。
【0013】
なお、軽量化のために、板36に穴をあけていても良い。以下の実施例でも同様である。
【0014】
下面側の接合は中空型材の上下面を反転させて行なう。
【0015】
図3の実施例は、一方の中空型材31の端部には板36があり、他方の中空型材32の端部には板36は無い。中空型材31の板36の垂直方向の角部は中空型材32の端部の突片38,38の先端を載せることができるように、凹んでいる。この凹部は中空型材31の厚さ方向およびこれに直交する方向(中空型材32側)に開放している。凹部に突片38をの載せた(重ねた)とき、図では両者は接触しているが、実際は隙間がある。また、両者の先端同士(突片38、38と角部33b、34bとの間)にも隙間がある。2つの中空型材31,32の表面側の突合せ部、すなわち、回転工具50の中心の直下に前記突合せ部および板36がある。板36の厚さの中心の延長線上に凸部52の回転中心が位置する。つまり、板36の厚さの中心の延長線上に板33(34)と板33(34)の接合部が位置する。板33、34から凹部に至る角部33b、34bは板36の厚さの中心の延長線上にある。または、角部33b、34bの位置は突片38との間隔を考慮して、図3において、板36の厚さの中心の延長線上よりもごくわずか左にある。板36は前記垂直力を支える剛性を有している。突片38の先端と中空型材31との水平方向の間隔は図1の場合と同様である。回転工具50の凸部52の高さは突片38の厚さ程度である。一般に、凸部38よりも下方まで塑性流動状態になり、摩擦接合される。同様に、凸部52の径よりも大きく塑性流動状態になる。突片38の下面と板36との接触部の下方まで摩擦接合されるようにするのが望ましい。
【0016】
図4は接合後の状態を示す。板36の厚さの中心の延長線上に接合ビード45の幅の中心が位置する。
【0017】
前記垂直力を支えるために、板36の厚さの中心部の延長線上に回転工具50の回転中心があることが望ましい。左右の中空型材31、32の接合量を同一にするために、前記延長線上に角部33b、34bはあることが望ましい。板36の厚さの延長線の範囲内に回転工具50の凸部52があることが望ましいが、板36の厚さは前記垂直力、凸部52の位置、板36の強度によって定まる。このため、凸部52の径よりも板36の厚さの方が小さい場合が考えられる。また、回転工具50の位置の誤差、角部33b、34bの位置の誤差を考えると、板36の厚さの延長線の範囲に角部33b、34bがあり、前記範囲に回転工具50の凸部52の少なくとも一部が位置することが望ましい。これによれば、板36は前記垂直力を少しなりとも受けることができ、継ぎ手の変形を実質的に防止し、良好な接合を得ることができる。ビード45を基準にすれば、ビード45は凸部52よりも若干大きいが、前記とほぼ同様なことがいえる。他の実施例においても同様である。
【0018】
この継ぎ手形状によれば、実験によれば、図1の場合に比べて、一般的に、突片38と中空型材31との水平方向の間隔が大きくても、接合部の凹みを少なくできるものである。このため、見栄えが良く、塗装する場合にもパテの量を少なくできるものである。これは、両者の隙間が突片38の厚さで終了しているためと考えられる。また、一般に軽量にできるものと考えられる。また、一方の中空型材を他方にはめこんでいるので、両者の高さ方向の位置合わせを容易にできるものである。
【0019】
中空型材31の端部の形状は左右対称であり、中空型材32の端部の形状は左右対称である。または、中空型材31の一端は図3のとおりであり、他端は図3の中空型材32の端部の形状である。
【0020】
図5の実施例は、中空型材31の凹部の角部33b、34bの直下には垂直な板36は実質的に無い。角部33b、34bの延長線上に板36の右端がある。この延長線上に回転工具50の回転中心がある。接合部において下方に位置する突片37の厚さを厚く、また、突片37の先端から板36への接続部の円弧を大きくして、中空型材31の端部を前記垂直力を支える剛性にしている。他方の中空型材32の突片38は図3の実施例と同様に、突片37の凹部に重なっている。他方の中空型材32には突片の近くに2つの板33、34を接続する板36を有する。これによって、凹部の角部の直下に垂直な板36が無くても、接合部に不良は発生しない。ただし、ビード45の範囲の垂直方向にはパネル31の板36がある。図6は接合後の状態を示す。
【0021】
図5の実施例において、中空型材32の板36を除くことも可能である。
【0022】
図7の実施例は、図5の実施例において、2つの中空型材31,32の接合部において、表面側に突出する凸部37a,38aを設けたものである。つまり、接合部の肉厚は厚くなっている。凸部37aと凸部38a高さは同一である。他の形状は図5と同様であるが、板36、および突片37の厚さは若干薄くなっている。
【0023】
これによれば、摩擦接合の前に、凸部37aと凸部38aとの間に隙間があっても、摩擦接合によって凸部37a、38aの体積が前記隙間を埋める。このため、見栄えがよく、パテの量を少なくできる。
【0024】
また、従来においては、下向きの力により下方に流失した部材41の体積分、接合ビードに空孔を生じていた。図7の継ぎ手形状によれば、接合時、回転工具50により凸部37a,38aが塑性流動して下方に押し流され、流失した部材41の体積分を補うことになるので、空孔の発生を防止し、良好な接合を行なうことができるものである。図8は接合後のビード45の形状を示したものである。
【0025】
前記凸部37a,38aは図1、図3、図5および後述の実施例においても適用できるものである。
【0026】
図9の実施例は一方側のみから上下二面の接合を行えるようにしたものである。中空型材31,32の下面側の端部は下面の板34,34と同一面から突片34aを他方の中空型材側に大きく突出している。突片34a,34aの先端は実質的に接触している。上面の板33,33の先端は下面の板34a,34aの先端よりも後方に位置している。上面の板33,33の先端部と下面の板34,34とは垂直な板36,36によって接続されている。板36、36は板34の途中に接続している。垂直な板36,36の上部に継ぎ手60が重なる凹部39,39がある。継ぎ手60を凹部39,39に載せたとき、継ぎ手60の上面の板33,33の上面と同一面になる。2つの板36,36の間隔は回転工具50を挿入できる程度の大きさであり、できるだけ小さい。板36と凹部39との関係は図3、図5、図7の実施例等で説明したとおりである。
【0027】
接合手順を説明すると、図9の(A)の状態で、回転工具50によって下面の板34a,34aの先端を接合する。この時、中空型材31,32は板34a,34aの接合部を含めてベッドに載っている。接合部のベッド(接合ビードの裏当て)の上面は平である。回転工具50の凸部52の高さは板34a,34aの厚さよりも小さい。これによれば、接合後の下面は平になる。このため、この下面側を鉄道車両の構体の外面や建築物等の構造物の外面(その表面に化粧板を配置しない面を言う。)に容易にすることができる。一般に、摩擦接合部の上面側(境53の部分)に凹凸が生じやすい。
【0028】
次に、(B)のように2つの中空型材31,32の間に継ぎ手60を載せる。継ぎ手30の縦断面はT状である。継ぎ手30の両端を凹部32,32に重ねたとき、垂直片61の下端は下面の板の接合ビードとの間に隙間を有する。垂直辺61はなくてもよい。
【0029】
次に、(C)のように、継ぎ手60と中空型材31との接続部を回転工具50で摩擦接合する。この回転工具50は(A)の接合工具と同一である必要はない。
【0030】
次に、(D)のように、継ぎ手60と中空型材32との接続部を回転工具50で摩擦接合する。
【0031】
これによれば、一方の面側から接合ができ、反転作業を不要にできるものである。反転作業を省略することで、反転および位置決め時間の省略、反転装置の省略、組立精度向上というメリットを得ることができる。
【0032】
図10の実施例は、中空型材56,57の上下の面を同時に摩擦接合するようにしたものである。上部の回転工具50の鉛直方向に下方を接合する回転工具50aがある。回転工具50aの凸部52は上方を向いている。2つの回転工具50,50aを対向させた状態で、同一速度で移動させ、摩擦接合を行なう。70,70はベッド(架台)である。工具50、と50aの回転中心は同一線上にある。この線上に、中空型材31、32の接合部がある。
【0033】
これによれば、一方の回転工具50の回転中心の延長線上に他方の回転工具50aの回転中心があるので、力がつりあい、接合部の変形が少なく、短時間に接合できる。中空型材31、32を反転させる必要が無いので、変形が少なく、作業時間を少なくできる。
【0034】
この実施例は他の実施例にも適用できる。
【0035】
上記各実施例はパネルとして中空型材を使用したものである。以下の実施例はハニカムパネルに適用した場合を示すものである。図11に示すように、ハニカムパネル80a,80bは、2つの面板81,82と、ハニカム状のセルを有する芯材83と、面板81,82の端面に沿って配置した縁材84とからなり、芯材83、縁材84は面板81,82にろう付けされ、一体になっている。面板81,82、芯材83、および縁材84はアルミニウム合金である。縁材84は押出し型材であり、その断面は4角形である。各片の肉厚は板81,82の厚さよりも厚い。接触する縁材84,84の垂直片の厚さは図1の場合と同様である。2つのハニカムパネル80a,80bの厚さは同一である。
【0036】
図11の実施例は図1の実施例に相当するものである。回転工具50の凸部52の高さは面板81,82の厚さよりも大きい。これによって、面板81、82、および縁材84、84が接合される。主として縁材84がパネル80a、80bに作用する荷重を伝達する。パネル80a、80bを製作後、両者を組み合わせ、摩擦接合を行う。
【0037】
図12の実施例は図3に相当するものである。ハニカムパネル80aの縁材84は断面がほぼ4角形であり、角部に凹部を有する。ハニカムパネル80bの縁材84はハニカムパネル80bの端部側が開放したチャンネル状であり、その先端が縁材80aの凹部に載る。
【0038】
図5に相当するハニカムパネルも同様に製作できるものである。
【0039】
図13の実施例は、図7に相当するものである。2つのハニカムパネル80a0,80bを組み合わせた後、面板81,81の上面に板86を載せ、板81,81に溶接で仮止めしたものである。板86は塑性流動によって流出する材料を補うものである。また、図12において、ハニカムパネル80aの縁材84の端部側の垂直片を除いたものである。前記垂直力は水平片の厚さおよびその周囲の形状で受けもつ。
【0040】
図14の実施例について説明する。図13までの実施例は2つの面(板)を有するパネルであったが、図14の実施例は実質的に1つの面(板94、94)を有するパネル91、92である。但し、パネル91、92の端部において、板94、94のある外側と、板のない内側の2カ所で、摩擦接合を行う。このため、内側の接合部には幅の小さな面(板93、93)がある。板93、93は板96、96で支えられている。このものでも板96は板93、94に実質的に直交しているといえる。板93、94は図7と同様の凸部37a、38aを設けている。板94、94には所定の間隔で複数の強度部材用のリブ(板)95、95を配置している。リブ95の断面はT状である。リブ95の頂面は接合部の板93の頂面と同一面である。両者の頂面には強度部材(例えば、柱)を溶接したり、物品の取り付け座になる。また、板93、93は工具50の高さ位置を管理するための座となる。工具50を備える移動体は板93、93をに載って移動する。板93、94によって、このパネル91、92も2面構造体といえる。パネル91、92は押出し型材である。
【0041】
図14のパネル91とパネル92との接合部の形状は図1と同様に板96、96を向き合わせているが、図3、図5、図7、のように、重ねることができる。
【0042】
図15は鉄道車両の構体への適用を示す図である。構体は、側構体101、屋根構体102、床構体103、長手方向の端部の妻構体104から構成される。側構体101、屋根構体102は例えば、パネル31、32、80a、80b、91、92の長手方向を車両の長手方向にしている。側構体101と屋根構体102との接続、側構体101と床構体103との接続等はMIG溶接で行う。屋根構体102や側構体101は円弧状であることが多い。パネル91、92を側構体102に使用する場合、板96、リブ96がある面が車内側であり、前記強度部材は柱となる。
【0043】
なお、図9のパネル31、32を勝手違いに組み合わせることができる。突出した板34a、34aの端部が板32側の凹部39、39に重なっている。継ぎ手60は使用しない。接合部を上下から同時に摩擦接合できる。板33、34aには図7のように凸部を設けることができる。
【0044】
本発明の技術範囲は、特許請求の範囲の各請求項の記載の文言あるいは発明が解決しょうとする課題の項の記載の文言に限定されず、当業者がそれから容易に置き換えられる範囲にも及ぶものである。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、接合にあたって凸部が有るので、良好な摩擦接合を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例の縦断面図である。
【図2】
図1において摩擦接合後の縦断面図である。
【図3】
本発明の他の実施例の縦断面図である。
【図4】
図3において摩擦接合後の縦断面図である。
【図5】
本発明の他の実施例の縦断面図である。
【図6】
図5において摩擦接合後の縦断面図である。
【図7】
本発明の他の実施例の縦断面図である。
【図8】
図7において摩擦接合後の縦断面図である。
【図9】
本発明の他の実施例の摩擦接合の手順を説明する縦断面図である。
【図10】
本発明の他の実施例の縦断面図である。
【図11】
本発明の他の実施例の縦断面図である。
【図12】
本発明の他の実施例の縦断面図である。
【図13】
本発明の他の実施例の縦断面図である。
【図14】
本発明の他の実施例の縦断面図である。
【図15】
鉄道車両の構体の斜視図である。
【符号の説明】
31,32…中空型材、33…上面の板、34…下面の板、35…リブ、36…板、37,38…突片、39…凹部、50…接合用工具、52…凸部、81,82…面板、83…芯材、84…縁材。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
1.訂正事項a
特許第3014654号発明の明細書の特許請求の範囲の請求項2ないし6を削除するとともに、請求項1に記載された「第1の部材と第2の部材」を「アルミニウム合金の第1の部材とアルミニウム合金の第2の部材」と、「摩擦接合すること」を「塑性流動させて、摩擦接合するとともに、前記第1の部材と前記第2の部材との間に生じた隙間に前記突き合わせた部分の材料を埋めること」と、特許請求の範囲の減縮を目的として訂正する。
2.訂正事項b
同明細書の段落番号【0024】に記載された「なお、接合後、不要部があれば図のように切削する。」を、明りょうでない記載の釈明を目的として削除する。
異議決定日 2001-04-25 
出願番号 特願平9-35918
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加藤 昌人  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 中村 達之
宮崎 侑久
登録日 1999-12-17 
登録番号 特許第3014654号(P3014654)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 摩擦接合方法  
代理人 園田 敏雄  
代理人 磯野 道造  
代理人 沼形 義章  
代理人 住吉 多喜男  
代理人 沼形 義彰  
代理人 磯野 道造  
代理人 住吉 多喜男  

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