ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 補正却下の決定 判示事項別分類コード:2 G06F |
---|---|
管理番号 | 1046929 |
審判番号 | 審判1997-16225 |
総通号数 | 23 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1993-08-13 |
種別 | 補正却下の決定 |
確定日 | 1999-09-24 |
事件の表示 | 平成 4年 特 許 願 第 13448号「生産計画作成方法」拒絶査定に対する審判事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 平成11年6月7日付けの手続補正を却下する。 |
理由 |
(1)平成11年6月7日付け手続補正書の手続補正7(明細書の段落【0022】の補正)については、以下に述べるとおり、当初明細書又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載された、発明の構成に関する技術的事項に基づくものではなく、又この点が当業者が当初明細書等の記載からみて自明な事項であるともいえない。 (2)当初明細書等の段落【0014】〜【0017】には、 「【0014】 次に品種の設備決定について図2に示すフローチャートにより説明すると、まずステップ▲1▼で生産できる設備が同じ品種をまとめて負荷を計算する。つまり生産要求数から生産に必要な時間を算出し、合計していく。ステップ▲2▼では設備テーブルを作成する。 表2は何も割り付けていない状態の設備テーブルを示す。この場合各設備1〜4の1カ月分の設備能力を30日間としている。 【0015】 【表2】 【0016】 次のステップ▲3▼では候補設備が一つしかなくその設備でしかできない品種を設備に割り付ける。つまり表1の左端の4つのデータが設備を決定するのである。表3は割り付けたため残負荷量が減っている状態を示す。 【0017】 【表3】 」 と記載されている。ここで、表3を本願の図3と同様の形式で記載してみると、参考図1のようになる。 【参考図1】 (3)次に、当初明細書の段落【0018】〜【0019】には、 「【0018】 次のステップ▲4▼では残量負荷が一番少ない設備を選択する。表3の場合には設備2が選択される。ステップ▲5▼ではその設備に関係し候補設備の少ない品種を選択し、ステップ▲6▼でその品種を設備に割り付ける。但し30日間を越えてはならない。つまり、設備1-2、2-3、2-3-4の中から設備1-2又は設備2-3を選択する。表4は設備1-2が選択されたときの設備2の割り付け状態を示す。 【0019】 【表4】 」 と記載されている。ここで、表4を本願の図3と同様の形式で記載してみると、参考図2のようになる。 【参考図2】 (4)また、当初明細書の段落【0020】〜【0021】には、 「【0020】 設備の負荷を越えた場合にはステップ▲8▼で他の候補設備に割り付ける。表5は表4で示した割り付けでの設備の負荷を越える残りを設備1に割り付けた状態を示す。 【0021】 【表5】 」 と記載されている。ここで、表5を本願の図3と同様の形式で記載してみると、参考図3のようになる。 【参考図3】 (5)そして、段落【0022】の記載は次のようなものである。 「【0022】 ステップ▲7▼で組合わせのどの設備でも満杯になった場合は、最初に割り付けようとした設備の中で30日間を越えていない設備の組合せを探し、30日間を越えていない設備に割り付けていた品種を移す。これによってできた空き時間に割り付けを行なう。この処理がステップ▲8▼である。以上の処理を繰返して行なうことにより品種の設備を決定していく。図3は設備の振り分け状況を示す負荷分布表を示す。 。尚図3中の()内の数値は日数を示す。」 (6)最後に、図3は、次のようなものである。 【図3】 (7)以上のとおり、表2から表5(参考図3)までには一割り付け毎の変化が記載されているが、表5(参考図3)と図3の間には複数の割り付けが行われており、しかも、その途中の変化を示す表又は図の記載はない。とりわけ、表5(参考図3)の時に、設備1についての品種1-2の割り付けが15日間、設備2についての品種1-2の割り付けが10日間になっていたのが、図3の最終的な割り付けでは、前者が20日間、後者が5日間に変更されているが、これについての説明は、当初明細書等の段落【0022】の記載(特に下線により強調した部分の記載)のみである。そして、当該記載において、「組合わせのどの設備」、「最初に割り付けようとした設備」、「30日間を越えていない設備の組合せ」、「30日間を越えていない設備に割り付けていた品種」、「これによってできた空き時間」が表5(参考図3)の時点で具体的に何を指すのかはいずれも不明である。実施例に則してみると、上述のとおり表5(参考図3)と図3の間で品種1-2の割り付けが変更されている(つまり、品種1-2が移されていると解釈できる)が、品種1-2が「30日間を越えていない設備に割り付けていた品種」に当たるのか否かは明瞭でない。なぜならば、仮に品種1-2が「30日間を越えていない設備に割り付けていた品種」に当たるものとした場合には、表5(参考図3)の時点で30日間に達していた設備2に割り付けられていた品種1-2が「30日間を越えていない設備に割り付けていた品種」に当たるということになって矛盾し、逆に当たらないものとした場合には、移された品種が他にあることになるが、それがいずれの品種であるかは、表5(参考図3)から図3へ至る間の変化が記載されていない以上、不明であるからである。 (8)ところで、平成11年6月7日付け手続補正書の手続補正7は、明細書の段落【0022】の「ステップ▲7▼で組み合わせのどの設備でも満杯になるような場合には、最初に割り付けようとした設備の中で30日間を越えていない設備の組み合わせを探し、30日間を越えていない設備を割り付けていた品種を移す。」との記載の後に以下の事項を挿入しようとするものである。 「(イ)つまり上記のように設備1-2に対応する品種を設備1に15日、設備2に10日を割り付けてしまうと、設備2には最早割り付けができなくなるため、例えば設備2で生産できる例えば設備2-3に対応する品種を割り付けできなくなる。従って上記の割り付けは仮の割り付けとしておき、次に品種の割り付け時に、設備中負荷が30日間を超えていない設備があると、当該設備でも生産できるが、既に他の設備で割り付けが終わっている品種の生産時間を適宜当該設備へ移す。 (ロ)これによってできた空き時間に対して割り付けを行うのである。これがステップ▲8▼である。以上の処理を演算処理手段3により繰り返して行うことで品種の設備を決定していく。図3は最終的な設備の振り分けを示す負荷分布表である。 (ハ)この負荷分布表は上記の各品種の割り付け処理過程中に演算処理手段3により作成され、作成される負荷分布表を基に次の品種の割り付けを行うというように時間軸に沿って品種を設備に割り付ける処理を行って最終的な設備の振り分けを終了するのである。」(引用注.「イ」「ロ」「ハ」は分節のために、下線は強調のために付した。) 上記のうち、ロは、表現の細部においては異なるものの、当初明細書の段落【0022】に記載されていたことと同じである。また、上記ハの事項は、当初明細書等の記載からみて自明な事項の範囲内と思われる。 (9)しかしながら、上記イの、とりわけ下線部の事項は、当初明細書等に記載されていた事項であるとも、当初明細書等の記載からみて自明な事項であるとも認められない。なぜなら、当初明細書等では、「最初に割り付けようとした設備の中で30日間を越えていない設備の組み合わせを探し、30日間を越えていない設備に割り付けていた品種を移す。」とあるが、「30日間を越えていない設備に割り付けていた品種」と、補正後の「当該設備でも生産できるが、既に他の設備で割り付けが終わっている品種」とは文言上も異なるものであるし、実施例に則してみても、補正前の「30日間を越えていない設備に割り付けていた品種」がどの品種であるかは上述のとおり不明瞭であるから、補正後の「当該設備でも生産できるが、既に他の設備で割り付けが終わっている品種」が当初明細書等の記載からみて自明な事項であるということもできない。 (10)以上のとおり、上記手続補正によって、明細書又は図面に記載された、発明の構成に関する技術的事項が当初明細書等に記載した事項の範囲内でないものになっており、上記手続補正は、明細書の要旨を変更するものである。したがって、上記手続補正は、特許法第159条第1項の規定によって準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
決定日 | 1999-08-09 |
出願番号 | 特願平4-13448 |
審決分類 |
P
1
93・
2-
(G06F)
|
特許庁審判長 |
森田 信一 |
特許庁審判官 |
西村 仁志 高松 猛 |
発明の名称 | 生産計画作成方法 |
代理人 | 西川 惠清 |
代理人 | 森 厚夫 |