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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1051445
異議申立番号 異議1999-74022  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-03-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-10-26 
確定日 2001-10-09 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2887139号「パチンコ遊技機」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2887139号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1・手続の経緯
特許第2887139号発明についての出願は、昭和61年12月27日に出願された実用新案登録出願(実願昭61-204032号)が特許法第46条第1項の規定により平成4年10月30日に特許出願(特願平4-333435号)に出願変更され、当該特許出願の一部が特許法第44条第1項の規定により平成10年5月19日に新たな特許出願(特願平10-137174号)に分割されたものであって、平成11年2月12日にその特許権の設定登録がなされ、その後、河井清悦(以下、「申立人」という)より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成12年8月7日に訂正請求がなされたものである(なお、申立人より、平成12年9月7日付け上申書及び平成13年3月14日付け審尋に対する平成13年5月14日付け回答書が提出されている)。
2・訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア・訂正事項a
特許請求の範囲中の「該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段とを含み、上記リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後」を、「該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段とを含み、上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には音声で報知する一方、ハズレ表示態様となった場合にはハズレ効果音を発生させ、上記リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後」と訂正する。
イ・訂正事項b
明細書の段落【0004】中の「該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段(例えば、音声合成回路75,増幅器81,スピーカ82等)とを含み、上記リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後」を、「該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段(例えば、音声合成回路75、増幅器81、スピーカ82等)とを含み、上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には音声で報知する一方、ハズレ表示態様となった場合にはハズレ効果音を発生させ、上記リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、上記訂正事項bは、上記訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。
(3)独立特許要件の判断
ア・訂正明細書の発明
上記訂正に係る訂正明細書の発明は、訂正明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりの、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有する可変表示装置と、遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを備え、
上記可変表示装置の可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、上記変動入賞装置を上記第2状態に変換する特別遊技状態を発生可能なパチンコ遊技機に於いて、
上記可変表示装置に関わる遊技状態を報知可能な報知手段を備え、
上記報知手段は、上記可変表示装置において、可変表示が行われていることを所要の効果音により報知可能な可変表示状態報知示手段と、上記複数の可変表示部の可変表示停止制御において、最後の残り一つの可変表示部の表示結果如何により特別表示態様となる可能性を有するリーチ状態となった際に、該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段とを含み、
上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には音声で報知する一方、ハズレ表示態様となった場合にはハズレ効果音を発生させ、
上記リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後、上記最後の残り一つの可変表示部の可変表示を停止制御するようにしたリーチ表示停止手段を備えることを特徴とするパチンコ遊技機」
である。
イ・各引用例に記載された発明
これに対し、当審が通知した取消理由で引用した、本件特許出願前に国内において頒布された刊行物である、特開昭60-66772号公報(以下、「引用例1」という)には、
特に、
「回転ドラム機構104やLEDディスプレイ106の表示が変化中である場合に出力する効果音等も発生するように構成されている」(第8頁左下欄第19行ないし右下欄第1行)の記載から、
音声発生回路500が可変表示状態報知示手段を含んでいるものと認められること、
からみて、
「複数のマークを可変表示可能なドラム111〜113を複数有する可変表示装置100と、遊技者にとって不利な第2の入賞状態と遊技者にとって有利な第1の入賞状態とに変化する可変入賞球装置200とを備え、
上記可変表示装置100の可変表示が停止した際のマークが予め定められた特定の組合わせとなったことに関連して、上記可変入賞球装置200を上記第1の入賞状態に変換する特定遊技状態を発生可能な弾球遊技機に於いて、
上記可変表示装置100に関わる遊技状態を報知可能な音声発生回路500を備え、
上記音声発生回路500は、上記可変表示装置100において、可変表示が行われていることを所要の効果音により報知可能な可変表示状態報知示手段を含む弾球遊技機」を構成とする発明が、
同じく、実願昭58-128412号(実開昭60-37379号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という)には、
「複数の絵柄を回転可能なリール3〜5を複数備え、
上記回転が停止した際の絵柄の組み合わせが入賞となったことに関連して、当りを発生可能なスロツトマシンに於いて、
報知手段を備え、
上記報知手段は、上記複数のリール3〜5の回転停止制御において、リール3,4が停止された際、その絵柄の組み合わせが入賞を構成し得るものである場合に、チヤイムによって報知可能な手段を含むスロツトマシン」を構成とする発明が、
同じく、特開昭58-83976号公報(以下、「引用例3」という)には、
「スロツトゲームとルーレツトゲーム有するゲーム装置8と、打球入賞装置10とを備え、
上記ゲーム装置8の可変表示が停止した際の数字が7・7となったことに関連して、上記打球入賞装置10を30秒間開放する大当りを発生可能な弾球遊技機に於いて、
上記ゲーム装置8に関わる遊技状態を報知可能な音声発声制御回路66を備え、
上記音声発生制御回路66は、上記ゲーム装置8において、可変表示が行われていることを音声アナウンスにより報知可能な手段を含み、
上記音声発生制御回路66は、スロツトゲームとルーレツトゲームの可変表示が7・7となった場合には音声アナウンスで報知する一方、外れとなった場合には音声アナウンスを発生させる弾球遊技機」を構成とする発明が、
同じく、特開昭61-172574号公報(昭和61年8月4日公開、以下、「引用例4」という)には、
「マトリクス状に配列された16個のターゲットランプ9から構成される組み合わせゲーム表示装置と、複数の賭けランプ14A〜14Cを有する別遊技のためのゲーム装置とを備え、
上記組み合わせゲーム表示装置の表示内容が予め設定した組み合わせ態様となったとき別遊技を行う資格が付与され、別遊技の結果大当りを発生可能な弾球遊技機に於いて、
効果音を発生する音声発生手段を備え、
上記効果音を発生する音声発生手段は、別遊技の資格が付与されたことを擬似音(例えばピー、ピー)により報知可能な手段を含み、
上記効果音を発生する音声発生手段は、大当りとなった場合には「大当り」音で報知する弾球遊技機」を構成とする発明が、
同じく、実願昭58-128413号(実開昭60-37380号)のマイクロフィルム(以下、「引用例5」という)には、
「複数の絵柄を回転可能なリール4〜6を複数備え、
上記回転が停止した際の絵柄が特定の組み合わせとなったことに関連して、ボーナスゲームを発生可能なスロツトマシンに於いて、
報知手段を備え、
上記報知手段は、上記複数のリール4〜6の回転停止制御において、リール4,5の停止による絵柄の組み合わせがボーナスゲーム可能となる入賞の構成要素となっている場合に、チヤイム音によって報知可能な手段を含み、
上記報知手段は、リール4〜6が特定の組み合わせとなった場合にはミユージユツク音で報知するスロツトマシン」を構成とする発明が、
同じく、特開昭56-36983号公報(以下、「引用例6」という)には、
特に、
(ア)第6図及び第7図(第11頁)の記載、
(イ)「可変表示部材で可変表示しているときその可変表示状態に適した効果音を発生することができ」(第8頁右下欄第18ないし20行)の記載から、
効果音発生装置が可変表示状態報知示手段を含んでいるものと認められること、
(ウ)「可変表示状態においては間欠的にかつ音源信号発振回路561の出力に基づく音色の効果音を発生させ、可変表示後の表示状態に基づいて或る価値を付与する状態においては音源信号発振回路563の出力に基づく音色の効果音を発生させる」(第8頁右下欄第5ないし10行)の記載から、
所定の組合わせに相当する表示状態のときの効果音は、可変表示が行われているときの効果音と異なるものと認められること、
からみて、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部材を複数有する可変表示手段と、ヤクモノとを備え、
上記可変表示手段の可変表示が停止した際の識別情報が所定の組合わせに相当する表示状態となったことに関連して、上記ヤクモノの開成数を可変可能な弾球遊技機に於いて、
上記可変表示手段に関わる遊技状態を報知可能な効果音発生装置を備え、
上記効果音発生装置は、上記可変表示手段において、可変表示が行われていることを所要の効果音により報知可能な可変表示状態報知示手段を含み、
上記効果音発生装置は、可変表示部材の可変表示が所定の組合わせに相当する表示状態となった場合には異なる効果音で報知する弾球遊技機」を構成とする発明が、
同じく、実願昭56-171468号(実開昭58-77779号)のマイクロフィルム(以下、「引用例7」という)には、
(ア)「ゲーム開始とともにある周波数の効果音がスピーカ14から流れ、次いでストップスイツチ31の作動によりゲーム結果(大当り、中当り、外れ)に対応した音色の効果音がスピーカ14から流れる」(明細書第9頁第4ないし8行)の記載から、
効果音発生装置がゲーム装置26において、変化が行われていることをある周波数の効果音により報知可能な可変表示状態報知示手段を含んでおり、又、ルーレツト盤27と数字表示LED28の変化が大当りとなった場合に報知する一方、外れとなった場合には外れに対応した音色の効果音を発生させるものと認められること、
(イ)「音発生回路は音声合成LSIやテープレコーダ等で構成されてもよい」(明細書第9頁20行ないし第10頁第2行)の記載から、
大当りとなった場合の報知を音声でしてもよいものと認められること、
からみて、
「ルーレツト盤27と数字表示LED28を有するゲーム装置26と、打球入賞装置32とを備え、
上記ゲーム装置26の変化が停止した際の数字が7・7となったことに関連して、上記打球入賞装置32を30秒間開放する大当りを発生可能な弾球遊技機に於いて、
上記ゲーム装置26に関わる遊技状態を報知可能な効果音発生装置を備え、
上記効果音発生装置は、上記ゲーム装置26において、変化が行われていることをある周波数の効果音により報知可能な可変表示状態報知示手段を含み、
上記効果音発生装置は、ルーレツト盤27と数字表示LED28の変化が7・7となった場合には音声で報知する一方、外れとなった場合には外れに対応した音色の効果音を発生させる弾球遊技機」を構成とする発明が、
それぞれ記載されていると認めることができる。
ウ・対比及び判断
訂正明細書の発明(前者)と各引用例に記載された発明とを対比すると、
引用例1に記載された発明の
「マーク」、「ドラム111〜113」、「第2の入賞状態」、「第1の入賞状態」、「変化する」、「可変入賞球装置200」、「特定の組合わせ」、「特定遊技状態」、「弾球遊技機」及び「音声発生回路500」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「識別情報」、「可変表示部」、「第1状態」、「第2状態」、「変換可能な」、「変動入賞装置」、「特別表示態様」、「特別遊技状態」、「パチンコ遊技機」及び「報知手段」
に相当するものと認められるから、
引用例1に記載された発明には、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有する可変表示装置と、遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを備え、
上記可変表示装置の可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、上記変動入賞装置を上記第2状態に変換する特別遊技状態を発生可能なパチンコ遊技機に於いて、
上記可変表示装置に関わる遊技状態を報知可能な報知手段を備え、
上記報知手段は、上記可変表示装置において、可変表示が行われていることを所要の効果音により報知可能な可変表示状態報知手段を含むパチンコ遊技機」
という構成が備わっているものと認められ、
又、
引用例2に記載された発明の
「絵柄」、「回転」、「リール3〜5」、「絵柄の組み合わせが入賞」、「当り」及び「リール3,4が停止された際、その絵柄の組み合わせが入賞を構成し得るものである場合」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「識別情報」、「可変表示」、「可変表示部」、「識別情報が予め定められた特別表示態様」、「特別遊技状態」及び「最後の残り一つの可変表示部の表示結果如何により特別表示態様となる可能性を有するリーチ状態となった際」
に相当するものと認められるから、
引用例2に記載された発明には、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数備え、
上記可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、特別遊技状態を発生可能なスロツトマシンに於いて、
報知手段を備え、
上記報知手段は、上記複数の可変表示部の可変表示停止制御において、最後の残り一つの可変表示部の表示結果如何により特別表示態様となる可能性を有するリーチ状態となった際に、チヤイムによって報知可能な手段を含むスロツトマシン」
という構成が備わっているものと認められ、
又、
引用例3に記載された発明の
「スロツトゲームとルーレツトゲーム」、「ゲーム装置8」、「打球入賞装置10」、「数字」、「7・7」、「30秒間開放する」、「大当り」、「弾球遊技機」、「音声発生制御回路66」、「音声アナウンス」及び「外れ」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数」、「可変表示装置」、「遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置」、「識別情報」、「予め定められた特別表示態様」、「上記第2状態に変換する」、「特別遊技状態」、「パチンコ遊技機」、「報知手段」、「音声」及び「ハズレ表示態様」
に相当するものと認められるから、
引用例3に記載された発明には、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有する可変表示装置と、遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを備え、
上記可変表示装置の可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、上記変動入賞装置を上記第2状態に変換する特別遊技状態を発生可能なパチンコ遊技機に於いて、
上記可変表示装置に関わる遊技状態を報知可能な報知手段を備え、
上記報知手段は、上記可変表示装置において、可変表示が行われていることを音声アナウンスにより報知可能な手段を含み、
上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には音声で報知する一方、ハズレ表示態様となった場合には音声アナウンスを発生させるパチンコ遊技機」
という構成が備わっているものと認められ、
又、
引用例4に記載された発明の
「弾球遊技機」、「効果音を発生する音声発生手段」及び「擬似音(例えばピー、ピー)」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「パチンコ遊技機」、「報知手段」及び「所要の効果音」
に相当するものと認められるから、
引用例4に記載された発明には、
「マトリクス状に配列された16個のターゲットランプ9から構成される組み合わせゲーム表示装置と、複数の賭けランプ14A〜14Cを有する別遊技のためのゲーム装置とを備え、
上記組み合わせゲーム表示装置の表示内容が予め設定した組み合わせ態様となったとき別遊技を行う資格が付与され、別遊技の結果大当りを発生可能なパチンコ遊技機に於いて、
報知手段を備え、
上記報知手段は、別遊技の資格が付与されたことを所要の効果音により報知可能な手段を含み、
上記報知手段は、大当りとなった場合には「大当り」音で報知するパチンコ遊技機」
という構成が備わっているものと認められ、
又、
引用例5に記載された発明の
「絵柄」、「回転」、「リール4〜6」、「特定の組み合わせ」、「ボーナスゲーム」及び「リール4,5の停止による絵柄の組み合わせがボーナスゲーム可能となる入賞の構成要素となっている場合」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「識別情報」、「可変表示」、「可変表示部」、「予め定められた特別表示態様」、「特別遊技状態」及び「最後の残り一つの可変表示部の表示結果如何により特別表示態様となる可能性を有するリーチ状態となった際」
に相当するものと認められるから、
引用例5に記載された発明には、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数備え、
上記可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、特別遊技状態を発生可能なスロツトマシンに於いて、
報知手段を備え、
上記報知手段は、上記複数の可変表示部の可変表示停止制御において、最後の残り一つの可変表示部の表示結果如何により特別表示態様となる可能性を有するリーチ状態となった際に、チヤイム音によって報知可能な手段を含み、
上記報知手段は、可変表示部が特別表示態様となった場合にはミユージユツク音で報知するスロツトマシン」
という構成が備わっているものと認められ、
又、
引用例6に記載された発明の
「可変表示部材」、「可変表示手段」、「ヤクモノ」、「所定の組合わせに相当する表示状態」、「ヤクモノの開成数を可変」、「弾球遊技機」及び「効果音発生装置」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「可変表示部」、「可変表示装置」、「遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置」、「予め定められた特別表示態様」、「変動入賞装置を上記第2状態に変換する特別遊技状態を発生」、「パチンコ遊技機」及び「報知手段」
に相当するものと認められるから、
引用例6に記載された発明には、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有する可変表示装置と、遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを備え、
上記可変表示装置の可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、上記変動入賞装置を上記第2状態に変換する特別遊技状態を発生可能なパチンコ遊技機に於いて、
上記可変表示装置に関わる遊技状態を報知可能な報知手段を備え、
上記報知手段は、上記可変表示装置において、可変表示が行われていることを所要の効果音により報知可能な可変表示状態報知示手段を含み、
上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には異なる効果音で報知するパチンコ遊技機」
という構成が備わっているものと認められ、
又、
引用例7に記載された発明の
「ルーレツト盤27と数字表示LED28」、「ゲーム装置26」、「打球入賞装置32」、「変化」、「数字」、「7・7」、「30秒間開放」、「大当り」、「弾球遊技機」、「効果音発生装置」、「ある周波数の効果音」、「外れ」及び「外れに対応した音色の効果音」
がそれぞれの機能に照らし、それぞれ
前者の
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数」、「可変表示装置」、「遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置」、「可変表示」、「識別情報」、「予め定められた特別表示態様」、「第2状態に変換」、「特別遊技状態」、「パチンコ遊技機」、「報知手段」、「所要の効果音」、「ハズレ表示態様」及び「ハズレ効果音」
に相当するものと認められるから、
引用例7に記載された発明には、
「複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有する可変表示装置と、遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを備え、
上記可変表示装置の可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、上記変動入賞装置を上記第2状態に変換する特別遊技状態を発生可能なパチンコ遊技機に於いて、
上記可変表示装置に関わる遊技状態を報知可能な報知手段を備え、
上記報知手段は、上記可変表示装置において、可変表示が行われていることを所要の効果音により報知可能な可変表示状態報知示手段を含み、
上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には音声で報知する一方、ハズレ表示態様となった場合にはハズレ効果音を発生させるパチンコ遊技機」
という構成が備わっているものと認められるものの、
各引用例に記載された発明には、
前者の構成要件である、
報知手段が、「複数の可変表示部の可変表示停止制御において、最後の残り一つの可変表示部の表示結果如何により特別表示態様となる可能性を有するリーチ状態となった際に、該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段を含み」、該リーチ状態音声報知手段が、「音声報知出力時間の経過後、上記最後の残り一つの可変表示部の可変表示を停止制御するようにしたリーチ表示停止手段を備える」点
が備わっていないものと認められる。
すなわち、
前者は、要約すれば、主として、
(イ)可変表示が行われていることを「効果音」によって報知する、(ロ)リーチ状態となったことを「音声」によって報知する、(ハ)特別表示態様となったことを「音声」によって報知する、(ニ)ハズレ表示態様となったことを「効果音」によって報知する、(ホ)リーチ状態の報知後に可変表示を停止する、
という五つの構成要件から成るものと認められるところ、
(イ)の構成要件は、引用例1,6及び7に記載された各発明に備わっており、(ハ)の構成要件は、引用例3及び7に記載された各発明に備わっており、(ニ)の構成要件は、引用例7に記載された発明に備わっているものと認められるものの、(ロ)及び(ホ)の各構成要件は、各引用例に記載された発明には備わっていないものと認められる。
確かに、引用例2及び5に記載された各発明には、リーチ状態となったことを「チヤイム」ないし「チヤイム音」で報知する構成が備わっているものと認められるけれども、前者が「効果音」と「音声」とを区別していることからすれば、「チヤイム」ないし「チヤイム音」は、「効果音」とはいえても「音声」とは到底いえないものと認められる。このことは、上記訂正明細書の段落【0019】中の「従って、この例の場合は音声報知手段としてのスピーカ82が、停止結果態様の1番目の停止数字“1”と、2番目の停止数字“1”のそれぞれの「1」を意味する言語で、「イチ」、「イチ」と発声し」(昭和61年12月27日に出願された実用新案登録出願の明細書(以下、「原明細書」という)第17頁第15,16行の「従って、この例の場合は「イチ」「イチ」と発声し」を参照)という記載からも明らかであるものと認められる。
しかも、前者は、上記(ロ)及び(ホ)の構成要件によって、
訂正明細書の段落【0041】中に記載された、
「遊技がリーチ状態になった旨が、リーチ状態音声報知手段により、リーチ状態が認識できる言葉の発声として報知される。このため、可変表示が行われていることが効果音によりリアルに報知できるとともに、リーチ状態が発生した際には、この効果音とは明かに異なる音声により報知されるため、この効果音等に紛れて聞き漏らすことがなく、確実にリーチ状態の発生を遊技者に知らしめることができる。特に、リーチ状態の音声報知出力経過後に、リーチ表示停止手段によって、最後の残り一つの可変表示部が停止されるため、この最後の残り一つの可変表示が停止されるまでの遊技上で最高のトキメキの場面をアッサリと逃がしてしまうような不都合が解消でき、遊技者に、最後の残り一つの可変表示部の停止結果は如何に、との注意を強く惹き付けさせ、大きな期待感をいやが上にも膨らますことができる」
という効果を奏するものと認められる(原明細書第35頁第15ないし20行の「全桁当り移行態様の符号である場合には、その符号が音声発生手段により音声で明瞭に遊技者に報知される。従って、遊技者は全ての桁の符号が判明する迄の過程で、符号の組合せを十分に楽しむことができ、以前より興味深い遊技をさせることができる」を参照)。
それゆえ、前者は、各引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
従って、前者は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成11年改正前の特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
3・特許異議の申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
申立人は、
甲第1号証(上記引用例1)、甲第2号証(上記引用例2)、甲第3号証(上記引用例3)、甲第4号証(上記引用例4)、甲第5号証(上記引用例5)、甲第6号証(上記引用例6)及び甲第7号証(上記引用例7)を引用し、
本件特許発明は、甲第1号証に記載された発明に甲第2号証に記載された発明(必要であれば技術常識を示す甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証等に記載された発明)を適用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、したがって、本件発明の特許は、取り消されるべきものである旨主張している。
(2)本件特許発明
上記2・で示したように上記訂正が認められたので、本件特許発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される上記のとおりのものである。
(3)判断
本件特許発明は、上記2・(3)で示したように、取消理由通知で引用した各引用例に記載された発明、すなわち、甲号各証に記載された発明、に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
ところで、申立人は、上記平成13年3月14日付け審尋に対する上記平成13年5月14日付け回答書において、本件特許発明でいう「リーチ状態」が、「最後の可変表示を停止するタイミングを遅らせる」現在一般的な「リーチ状態」とは異なるものであるのに、現在一般的な「リーチ状態」をも意味させようとしている旨述べている(回答書第2頁第19行ないし第3頁第17行)。 そこで検討するに、訂正明細書の段落【0028】中の「全3桁の可変表示の組合わせからなる停止結果態様が、最終桁である第3桁の可変表示の一つ前の桁に当る第2桁までの可変表示の停止態様の段階に於て、それまでの第1桁から第2桁迄が予め約束された全桁当り表示符号、即ち遊技者に有利な特別遊技価値を付与すべきとして予め設定されている特別表示態様、の相応する桁と一致して来た場合、従って、複数の可変表示部の最後の残り一つの桁(第3桁)の可変表示の停止態様の如何によって、この停止結果態様が特別表示態様となる可能性を有するに至った特別表示態様前兆状態即ちリーチ状態となったこと」という記載からすれば、本件特許発明の「リーチ状態」とは、「複数の可変表示の最後の残り一つの桁(第3桁)の可変表示の停止態様の如何によって、この停止結果態様が特別表示態様となる可能性を有するに至った特別表示態様前兆状態」を意味するものであって、現在一般的な「リーチ状態」を意味しないことは明らかである。ちなみに、原明細書をみると、原明細書の「データコンパレータ76の比較結果が「前後桁一致」であり且つ第1カウンタ64の内容が奇数のとき」(第23頁第18ないし20行)とは、正に「複数の可変表示の最後の残り一つの桁(第3桁)の可変表示の停止態様の如何によって、この停止結果態様が特別表示態様となる可能性を有するに至った特別表示態様前兆状態」に外ならないから、原明細書には、そもそも「リーチ状態」という文言は認められないけれども、訂正明細書でいうところの「リーチ状態」は、実質的に記載されていたものと認められる。
又、申立人は、同回答書において、上記特許請求の範囲の、「リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後、上記最後の残り一つの可変表示部の可変表示を停止制御する」点は、原明細書に記載されていない旨述べている(回答書第3頁第18ないし29行)ので、この点について検討するに、原明細書の「各可変表示器が停止した時点にて、上記全桁当り移行判別手段のいずれかより全桁当り移行態様である旨の信号が得られたとき、その都度、当該可変表示器に停止表示された符号の呼び名を発声させる」(第5頁第14ないし18行)及び「全桁当り移行態様の符号である場合には、その符号が音声で明瞭に遊技者に報知される。従って、遊技者は全ての桁の符号が判明する迄の過程で、符号の組合せを十分に楽しむことができ」(第6頁第7ないし11行)の記載からすれば、「その都度の符号の呼び名の発声後に次の桁の符号が判明する」、すなわち、「第1桁の符号についての発声の経過後に第2桁の符号が判明し、第2桁の符号についての発声の経過後に第3桁の符号が判明する」ことは明らかであるから、「リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後、上記最後の残り一つの可変表示部の可変表示を停止制御する」点は、原明細書に記載されていたものと認められる。
(4)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明の特許を取り消すことはできない。
又、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有する可変表示装置と、遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを備え、
上記可変表示装置の可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、上記変動入賞装置を上記第2状態に変換する特別遊技状態を発生可能なパチンコ遊技機に於いて、
上記可変表示装置に関わる遊技状態を報知可能な報知手段を備え、
上記報知手段は、上記可変表示装置において、可変表示が行われていることを所要の効果音により報知可能な可変表示状態報知示手段と、上記複数の可変表示部の可変表示停止制御において、最後の残り一つの可変表示部の表示結果如何により特別表示態様となる可能性を有するリ-チ状態となった際に、該リ-チ状態を音声によって報知可能なリ-チ状態音声報知手段とを含み、
上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には音声で報知する一方、ハズレ表示態様となった場合にはハズレ効果音を発生させ、
上記リ-チ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後、上記最後の残り一つの可変表示部の可変表示を停止制御するようにしたリ-チ表示停止手段を備えることを特徴とするパチンコ遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部を複数有する可変表示装置と、遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置とを備え、上記可変表示装置の可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、上記変動入賞装置を上記第2状態に変換する特別遊技状態を発生可能なパチンコ遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のパチンコ遊技機では、可変表示装置の可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となると、特別遊技状態の発生であるとして、変動入賞装置が第1状態から第2状態へ変換されて、効果音が発せられるように構成されたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構成では、可変表示装置の可変表示がすべて停止した際、即ち、可変表示装置の停止結果態様が判明してから、そのことが特別遊技状態の発生として遊技者に音響で知らされるだけであり、可変表示装置の複数の可変表示部のうち、最後の残る一つの可変表示部が停止する前には、即ち、停止結果態様の判明前に、それが全桁当り符合即ち特別表示態様に結び付くものであるかどうかまでは、遊技者に報知されることはなく、この点、遊技の興趣性に乏しかった。
又、そればかりか、遊技者は、それでなくても発生の稀な特別表示態様による、特別遊技状態の発生を予見し難いため、いざ、特別遊技状態が発生しても、即座に対応しきれず、発生を知って打球の狙い方向を変えて照準を合せるのに手間どり、折角の有利な状態でありながら、発生直後の時間を無駄打せざるを得ないというような焦燥感をも味合わされていた。
かかる問題に対応するかのごとき考案として、実願昭58-128412号(実開昭60-37379号)がある。
この考案は、スロットマシンであり本願発明でいうパチンコ遊技機の可変表示手段を第1、第2、第3と3つ備えており、第1、第2が停止された際、その絵柄の組み合わせが入賞を構成し得るものである場合には、チャイム、ランプなどにより、遊技者に報知させる(公開明細書第5頁4第3行〜第8行)ものである。
しかし、視覚的な報知手段であるランプや、聴覚的な報知手段であるチャイムなどの、極めて単純でありふれた報知だけでは、それでなくても無数にある遊技情報の報知様式と何等異なることがないために、他の遊技情報に埋没してしまい、遊技上で最高のトキメキの場面をアッサリと逃がしてしまい、遊技の演出上の興趣性を著しく欠く、という問題があった。
本発明はかかる問題の解決を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題を解決するため、
複数の識別情報を可変表示可能な可変表示部(22a等)を複数有する可変表示装置(5)と、遊技者にとって不利な第1状態と遊技者にとって有利な第2状態とに変換可能な変動入賞装置(9)とを備え、
上記可変表示装置の可変表示が停止した際の識別情報が予め定められた特別表示態様となったことに関連して、上記変動入賞装置を上記第2状態に変換する特別遊技状態を発生可能なパチンコ遊技機に於いて、
上記可変表示装置に関わる遊技状態を報知可能な報知手段(例えば、音声合成回路75、効果音発生回路78、80、増幅器81、スピーカ82等)を備え、
上記報知手段は、上記可変表示装置において、可変表示が行われていることを所要の効果音(回転音)により報知可能な可変表示状態報知手段(例えば、効果音発生回路80、増幅器81、スピーカ82)と、上記複数の可変表示部可変表示停止制御において、最後の残り一つの可変表示部の表示結果如何により特別表示態様となる可能性を有するリ-チ状態となった際に、該リ-チ状態を音声によって報知可能なリ-チ状態音声報知手段(例えば、音声合成回路75、増幅器81、スピーカ82等)とを含み、
上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には音声で報知する一方、ハズレ表示態様となった場合にはハズレ効果音を発生させ、
上記リ-チ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後、上記最後の残り一つの可変表示部の可変表示を停止制御するようにしたリ-チ表示停止手段(例えば、発振器60、フリップフロップFF4、アンドゲート63、カウンタ66等)を備えた構成とした。
【0005】
【作用】
本発明によれば、可変表示装置において可変表示が開始されると、可変表示状態報知手段によって可変表示が行われていることが所要の効果音により報知され、この可変表示中にリ-チ状態となった際には、リ-チ状態音声報知手段によって、リ-チ状態が音声により報知される。従って、可変表示が行われていることを効果音によりリアルに報知できるとともに、リーチ状態が発生した際には、該所要の効果音とは異なる音声により、識別しやすい状態で報知できる。そして、この音声報知出力経過後に、リ-チ表示停止手段によって、最後の残り一つの可変表示部が停止されて停止結果態様が現れる。
【0006】
【実施の形態】
以下、本発明を図示のパチンコ遊技機を例にして説明する。
図1はパチンコ遊技機1の正面図である。
遊技盤2のガイドレール3により区画された遊技領域4内には、複数の識別情報(符合)を順次的に可変表示可能な複数の可変表示部を備えた可変表示装置5と、パチンコ球の入賞を条件として上記可変表示装置5の可変表示部の表示態様を変化させるトリガとなる3つの特定入賞口6、7、8とが並置され、これらの特定入賞口6、7、8には特定入賞検出器SW1、SW2、SW3が所属している。
遊技領域4内の下方には、アタッカ形式の変動入賞装置9が配置され、上記3つの特定入賞口のうち2つの特定入賞口7、8は、この変動入賞装置9の両サイドに設けられている。
尚、図中の符号10は可変表示装置5を自動停止させるストップスイッチ、11は打球供給皿、12は下皿、13は打球発射装置の操作ダイヤルである。
【0007】
図2に示すように、実施例の可変表示装置5は、その中央に可動体としてのロボット21を有し、ロボット21の胴体部21Bには、7セグメントLED表示器から成る3個のデジタル式の可変表示手段としての可変表示部22(必要に応じ添字a、b、cを付して区別する)が組込んである。
ロボット21は、取付穴14aにより遊技盤2に取付られる取付基板14から深く後方に形成された凹室15内に納められている。
尚、図中の符号16はヨロイ部であり、打球が取付基板14の正面を流下してロボット21に当るのを妨げるものである。
又、取付基板14の上部には天入賞口17及び左右の天横入賞口18を設けてある。
又、デジタル可変表示部22の下方に4個配設してあるLEDランプ19は、特定入賞した記憶球の数を示す記憶表示器20を構成している。
ロボット21は、図3に破線で示すように「うなずき」動作可能な頭部21Aと、左右方向に回動可能な胴体部21Bと、振り挙げ動作可能な腕部21Cと、前後方向に摺動可能な脚部21Dとを備えた人型のものである。
3個のデジタル可変表示器22a、22b、22cは、このロボット21の胴体部21Bに横方向に並べ、遊技者に視認できるように内蔵してある。
【0008】
図4に於て、変動入賞装置9は、その正面側中央に設けた開閉扉23により開閉される大きな開口24と、取付基板25の左右に設けた第2及び第3の特別入賞口7、8とを有し、開口24の内部には中央の継続入賞口26を含む計3個の入賞口が形成されている。
図5に示すように、取付基板25の裏面側には、継続入賞口26へ入賞した球を検出して、特別遊技価値としての特別賞態様を継続させるための継続検出器SW4と、開閉扉23が図4の如く開放して変動入賞装置9に入賞した球の総個数をカウントするための入賞個数検出器SW5とが配置されており、その入賞総個数は開閉扉23の下方に配置した個数表示器27により表示される。
【0009】
制御手段
以下、本実施例のパチンコ遊技機についての制御動作を図6〜図9に示す回路に従って説明する。
図中のFF1〜FF10はフリップフロップであり、FF1は可変表示部22a・22b・22cのスタート用、FF2、FF3、FF4は回転スタート及び停止を実行する可変表示部用、FF5は停止用のフリップフロップである。
FF6は特別遊技価値としての特別賞態様の継続を決定するフリップフロップ(継続用フリップフロップ)、
FF7は変動入賞装置9の開閉扉23を開かせる開閉ソレノイド28のためのフリップフロップ(開閉用フリップフロップ)、
FF8はロボット21の胴体部21B及び脚部21Dを動作させるモータ37用のフリップフロップ(モータ用フリップフロップ)、
FF9及びFF10はロボット21の頭部21Aを動作させる頭部ソレノイド43のためのフリップフロップ(頭部用フリップフロップ)である。
尚、FF7はロボット21の腕部21Cを作動させる腕部ソレノド49のためのフリップフロップ(腕部フリップフロップ)及び可変表示装置5の後部に設けたストロボ装置29用のフリップフロップとしても機能する。
【0010】
符号の64は最初に停止する可変表示部22a(第1停止桁)の表示内容を定める第1カウンタ、
65は次に停止する可変表示部22b(第2停止桁)の表示内容を定める第2カウンタ、
66は最後に停止する可変表示部22c(第3停止桁)の表示内容を定める第3カウンタである。
デジタル可変表示部22a、22b、22cは、カウンタ64、65、66の内容をデコーダ67、68、69で10進にデコードした計数値をそれぞれ表示する。
この表示内容は、発振器60からの出力パルスが、ANDゲート61、62、63を通してカウンタ64、65、66に入力されることで、回転変化する。
【0011】
次に動作について説明する。
通常の遊技状態
可変表示部用フリップフロップFF2、FF3、FF4は、通常はリセット状態にある。
このため、フリップフロップFF2、FF3、FF4のQ出力端子に接続されているANDゲート61、62、63が閉じており、発振器60からの出力パルスを禁止しているので、可変表示部22a、22b、22cは回転を停止している。
【0012】
特定入賞口への入賞
特定入賞口6、7、8に打球が入賞すると、可変表示装置5のロボットの頭部21Aが2回下る。
そして、次のようにして、デジタル可変表示部22a、22b、22cが回転し始める。
(イ)可変表示部の回転スタート
図6に於て、特定入賞検出器SW1、SW2、SW3の1つがONすると、波形整形回路50及びANDゲート51を介してパルスがアップ・ダウン・カウンタ52に加わる。
アップ・ダウン・カウンタ52は、記憶表示器20に表示される記憶個数と関連するものであり、合計4個まで特定入賞パルスをアップカウントし、カウント値が1〜4個の間出力を生ずる。
そして、記憶されているカウント値が5個以上になると、Lレベルのキャリーを生じてANDゲート51を禁止する。
アップ・ダウン・カウンタ52に出力が生ずると、ANDゲート53を介してスタート用フリップフロップFF1がセットされ、フリップフロップFF1の出力端子QバーがLレベルに反転し、ANDゲート53は禁止される。
又、フリップフロップFF1のQ出力がHレベルに反転し、ラインAより第7図の可変表示器用フリップフロップFF2、FF3、FF4に送られると共に、ラインBより図9の頭部用フリップフロップFF9に送られる。
【0013】
図7に於て、フリップフロップFF1のQ出力を受けてフリップフロップFF2、FF3、FF4がセットされ、そのセット出力によりANDゲート61、62、63が開かれる。
発振器60からのパルスが第1カウンタ64、第2カウンタ65、第3カウンタ66に加わり、これらのカウンタ64、65、66の計数内容が歩進されて行き、デジタル可変表示部22a、22b、22cの表示内容が回転する。
又、フリップフロップFF4のQ出力からHレベルに変化することにより、このQ出力端子からラインLを経て接続されている効果音発生回路80により所要の効果音としての回転音が作成され、増幅器81を通してスピーカ82より出力される。効果音発生回路80と増幅器81及びスピーカ82により報知手段(可変表示状態報知手段)が構成されている。
【0014】
(ロ)ロボットの頭部のうなずき動作
一方、図9に於て、フリップフロップFF1のQ出力によりラインBを経てフリップフロップFF9のQ出力がHレベルに反転し、頭部用フリップフロップFF10がセットされる。
フリップフロップFF10のQバー出力がLレベルに落るため、カウンタ回路96のリセットが解除される。
このカウンタ回路96はQ0、Q1、Q2の3つの出力端子を持ち、クロック発生器95からのクロックを受けて、その出力端子Q0には0.5秒後に0.5秒幅の繰返しパルスを生じ、Q1には2秒後にパルスを、Q2には1秒後にパルスを生じるように構成されている。
従って、カウンタ回路96は2秒後にQ1端子にパルスを生じる迄の間に、Q0端子に2発のパルスを出力する。
この2発のパルスは、カウンタ回路96のQ0出力と頭部用フリップフロップFF10のQ出力とを2入力とするANDゲート97を通して、ソレノイド駆動回路43aに加わり、頭部ソレノイド43を2回付勢する。
【0015】
従って、ロボット21の頭部21Aが2回下る。
即ち、図10に於て、頭部ソレノイド43が付勢されると、ピン39を介して連結部材42が回動し、頭部連結ピン41が後方に引かれる。
ロボット21の頭部21Aは、支柱40に後頭部のL字部44が軸44bにより支承されており、頭部連結ピン41が後方に引かれると、頭部21Aが軸44bを中心として下方に回動する。
尚、カウンタ回路96のQ1に出力が生じると、フリップフロップFF9、FF10がリセットされ、カウンタ回路96もリセット状態に戻される。
【0016】
(ハ)可変表示部の回転停止
デジタル可変表示部22a、22b、22cの回転は、第6図のORゲート56に、自動停止パルスが入力されるか、又は、ストップスイッチ10からの手動停止パルスが入力されたときに、次のようにして停止される。
尚、自動停止パルスは、スタート用フリップフロップFF1がセットされることによりタイマ54がリセット解除され、同タイマ54がクロック発生器55からのクロックを受けて約6秒後にタイマ出力を生じることにより作成される。
今、上記停止パルスのいずれかがORゲート56に入力されると、同ORゲート56に接続された停止用フリップフロップFF5がセットされる。
フリップフロップFF5のQ出力がHレベルになるため、シフトレジスタ59のリセット状態が解除され、同シフトレジスタ59が、ランダムパルス発生回路57からANDゲート58を通して送られて来るパルスによりカウント動作する。 シフトレジスタ59の桁出力端子Q1、Q2、Q3、Q4に順次に出力パルスが生じ、Q4出力によりANDゲート58は禁止される。
【0017】
この間に、桁出力端子Q1、Q2、Q3に順次生じる出力パルスにより、図7の可変表示部用フリップフロップFF2、FF3、FF4が順次にリセットされて行く。
このためANDゲ-ト61、62、63が閉じ、発振器60からのパルスが禁止され、デジタル可変表示部22a、22b、22cが順次に回転を停止して行く。
そして、停止する時に表示数字を言うか、効果音が鳴る。
最後の残る一つのデジタル可変表示部22cの回転は、シフトレジスタ59の最上位桁に出力が生じたときに停止する。
又、フリップフロップFF4のQ出力がLレベルに変化することにより、効果音発生回路80により出力されていた回転音が停止する。
【0018】
(ニ)表示数字の発声、効果音の発生
図7に於て、可変表示手段としてのデジタル可変表示部22a、22b、22cは、この順序で次々と回転を停止して行くが、各可変表示部22a、22b、 22cが停止する際に、その各可変表示される符号(本例では数字符号)が全桁で見た場合の全桁当り符合(本例では3桁の当り数字)に移行する表示態様ならば、その旨を意味する人の声、即ち単なる音としてではなく音声、として遊技者に報知される。
実施例の場合では、該当する可変表示符合の呼び名が、報知手段(可変表示状態報知手段、リーチ状態音声報知手段)としてのスピーカ82から発声されることになる。
又、各可変表示符合がこの全桁当り符合に移行しないハズレ表示態様ならば、ハズレ音として「ピッ」という効果音が、報知手段としてのスピーカ82から発生される。
【0019】
ここでは、特別遊技価値が付与される停止結果態様たる特別表示態様(全桁当り符合)として3桁の奇数のゾロ目数字“111”“333”“555”“777”“999”を予め設定した例で説明する。
この場合、停止結果態様としての可変表示符合が全桁当り符合に移行する表示態様(以下単に「全桁当り移行態様」ともいう)とは、例えば、停止結果態様“110”が上位桁から順次停止表示されるものとすれば、最終的な全桁当り符合である数字“111”に向けて、停止結果態様の1番目の停止数字“1”と、2番目の停止数字“1”は全桁当り移行態様であり、3番目の停止数字“0”は全桁当り符合に移行しないハズレ表示態様である。
従って、この例の場合は音声報知手段としてのスピーカ82が、停止結果態様の1番目の停止数字“1”と、2番目の停止数字“1”のそれぞれの「1」を意味する言語で、「イチ」、「イチ」と発声し、続いて「ピッ」という単なる効果音を発する。
【0020】
又、停止結果態様の1番目の停止数字や2番目の停止数字が当り符合以外、即ち偶数であれば、それら以降の桁の停止数字については、奇数・偶数の別を問わず、全桁当り符合に移行しないハズレ表示態様となる。
従って、例えば、停止結果態様“073”が上位桁から順次停止表示されるものとすれば、1番目の停止数字“0”が既にハズレ表示態様であるから、報知手段82は、全て「ピッ」「ピッ」「ピッ」というハズレの効果音を発することになる。
又、例えば、停止結果態様“107”が上位桁から順次停止表示されるものとすれば、1番目の停止数字“1”については全桁当り符合に移行している態様であるから音声報知手段82は「イチ」と発声し、2番目以降の停止数字は全て全桁当り符合に移行しないハズレ表示態様となるため、「ピッ」「ピッ」という単なる音を発する。
【0021】
以下これについて詳述すると、図7に於て、可変表示部用フリップフロップFF2、FF3、FF4が順次にリセットされて行き、第1カウンタ64、第2カウンタ65、第3カウンタ66はそれらの時点で或る内容を保持する。
第1停止桁、第2停止桁、第3停止桁の各可変表示部22a、22b、22cに停止表示される停止結果態様としての数字は、この各カウンタ64、65、66の内容によって定まる。
全桁当り移行態様であるための第1の条件は、第1停止桁が第1カウンタ64の内容が当り符合(奇数)であることである。
【0022】
この判別手段、即ち、可変表示部が停止表示する度にその表示符合が予め約束された全桁当り表示符合(特別表示態様)の相応する桁の表示符合と一致するかどうかを確認して行く判別手段として、ここでは、第1カウンタ64の最下位ビットの出カラインが、「奇数」ならば“1”、「偶数」ならば“0”となっていることを利用する。
第1停止桁については、この第1条件だけで全桁当り移行態様であるかどうかが決定される。
第2の条件は、第2停止桁以降が、それぞれ全桁当り移行態様であるために必要な条件である。
即ち、第2停止桁以降の各停止桁については、第1条件に加えて、当該停止桁の第2カウンタ65又は第3カウンタ66の内容が、それぞれ当該停止桁より前に存在する全ての停止桁についてのカウンタの内容、つまり、第1カウンタ64の内容又は第1カウンタ64及び第2カウンタ65の内容と一致することが必要である。
符号の71、72、73は、第1停止桁、第2停止桁、第3停止桁の各表示が全桁当り移行態様であるかどうかを決定する判別手段としての全桁当り移行判別回路である。
このうち第1停止桁の全桁当り移行判別回路71については、第2の条件を必要としないので、この実施例では単なる当り符合判別回路として構成されている。
【0023】
又、第2停止桁以降の判別回路としての全桁当り移行判別回路72、73については、第1条件の他に第2の条件を考慮に入れるため、第2カウンタ65の内容を第1カウンタ64の内容と比較するデータコンパレータ76、第3カウンタ66の内容を第1カウンタ64の内容と比較するデータコンパレータ79を有し、データコンパレータ76の比較結果を第2停止桁の全桁当り移行判別回路72の条件入力とし、データコンパレータ79の比較結果を第3停止桁の全桁当り移行判別回路73の条件入力としている。
【0024】
▲1▼第1停止桁
第1停止桁の全桁当り移行判別回路71は、カウンタ64の最下位ビットに直接に接続したANDゲート711と、カウンタ64の最下位ビットにインバータ710を介して接続したANDゲート712とを有する。
70aは両ANDゲート711、712のためのタイミング出力回路であり、該タイミング出力回路70aは、フリップフロップFF2のQバー出力端子に接続されたインバータ、CR積分回路及びANDゲートから成る立上り微分回路を以って構成され、そのタイミング出力端子はANDゲート711、712の入力端子に接続されている。
従って、フリップフロップFF2がリセットされる第1桁の停止するタイミング時に、タイミング出力回路70aに単パルスが生じ、同単パルスがANDゲート711、712に加わって、第1カウンタ64の最下位ビットのデータをサンプリングし、ANDゲート711から当り符合信号である「奇数信号」を出力させるか、ANDゲート712からハズレ符合信号である「偶数信号」を出力させる。
【0025】
第1停止桁が当り符合(奇数)のときは、ANDゲート711からの奇数信号が、ORゲート74を介し、報知手段(リーチ状態音声報知手段)を構成する音声合成回路75にストローブ入力として加わる。
これにより、音声合成回路75はカウンタ64の内容に応じた数値(奇数)の音声合成信号を作成し、報知手段(可変表示態様報知手段、リーチ状態音声報知手段)を構成する増幅器81を通してスピーカ82より、該当する当り符合の呼び名(奇数)を発声させる。
第1停止桁がハズレ符合(偶数)のときは、ANDゲート712からの偶数信号が、ORゲート77を介してハズレ効果音発生回路78に加わる。
これにより、報知手段を構成するハズレ効果音発生回路78はハズレ音信号を作成し、増幅器81を通してスピーカ82より「ピッ」というハズレ効果音を発生させる。
【0026】
▲2▼第2停止桁
第2停止桁が全桁当り移行態様であるためには、上記第1、第2の条件を同時に満足しなければならない。
そこで本実施例では、第2の条件を満足させるため、第2停止桁の表示内容を第1停止桁の表示内容と比較するデータコンパレータ76を設けると共に、その比較結果をも条件入力とする判別回路として第2の全桁当り移行判別回路72を設けている。
この第2の全桁当り移行判別回路(判別回路)72は、2入力ANDゲート711の代りに3入力ANDゲート721が使用され、ANDゲート722の入カライン中にインバータ710の代りにNORゲート720が使用されている点で異なるが、基本的には第1の全桁当り移行判別回路71と同様の構成である。
3入力ANDゲート721には、第1の全桁当り移行判別回路71と同様に、タイミング出力回路70bからのパルスと、第1カウンタ64の最下位ビットのデータの他に、コンバレータ76からの比較結果もが条件入力される。
データコンパレータ76は、第2カウンタ65が第1カウンタ64の内容と一致している場合には一致信号としてHレベル(前後桁一致)を、不一致ならばLレベル(前後桁不一致)を出力する。
フリップフロップFF3がリセットされ第2桁が停止するタイミングに於て、フリップフロップFF3のQバー出力端子に接続した立上り微分回路70bに単パルスが生じ、該パルスがANDゲート721、722に加わる。
データコンパレータ76の比較結果が「前後桁一致」であり且つ第1カウンタ64D内容が奇数のときは、ANDゲート721から「当り移行信号」即ち一致信号が出力され、ORゲート74を介して音声合成回路75にストローブ入力として加わる。
【0027】
これにより、リーチ状態音声報知手段としても機能する音声合成回路75はカウンタ64の内容に応じた数値(奇数)の音声合成信号を作成し、増幅器81を通してスピーカ82より、該当する奇数を発声させる。
一方、リ-チ状態判別手段としてのデータコンパレータ76が「前後桁不一致」を出力しているとき、又はデータコンパレータ76が「前後桁一致」を出力しているが第1カウンタ64の内容が偶数のときは、ANDゲート722から「ハズレ態様信号」が発生され、ORゲート77を介してハズレ効果音発生回路78に加り、増幅器81を通してスピーカ82より「ピッ」というハズレ効果音が発生する。
【0028】
上記した実施例のように、本発明では、例えば、全3桁の可変表示の組合わせからなる停止結果態様が、最終桁である第3桁の可変表示の一つ前の桁に当る第2桁までの可変表示の停止態様の段階に於て、それまでの第1桁から第2桁迄が予め約束された全桁当り表示符合、即ち遊技者に有利な特別遊技価値を付与すべきとして予め設定されている特別表示態様、の相応する桁と一致して来た場合、従って、複数の可変表示部の最後の残り一つの桁(第3桁)の可変表示の停止態様の如何によって、この停止結果態様が特別表示態様となる可能性を有するに至った特別表示態様前兆状態即ちリ-チ状態となったことを、上記のようなコンパレ-タ76や判別回路72等で構成されるリ-チ状態判別手段で判別し、このリ-チ状態判別手段からの判別出力に基づいて、リ-チ状態を識別可能な音声によって報知するリ-チ状態音声報知手段としての音声合成回路75を用いて、遊技者にリ-チ状態である旨(特別表示態様直前状態であること)を、意味の分かる音声により知らせる構成としている。
本実施例においては、特別表示態様前兆状態については、停止した可変表示の桁の数値を発声させる報知手段として説明したが、遊技者に特別表示態様前兆状態即ちリ-チ状態を音声で報知できる報知手段であれば、とのようにも構成することができる。
これにより、遊技者には、従来のようなシグナルとしての単なる音ではなく、それ自体意味のある言葉としての音声で、特別表示態様前兆状態即ちリ-チ状態である事が知らされるので、より確実に事態を認識することができ、今、この目前の停止結果態様が特別遊技価値が与えられる特別表示態様となるかも知れない、という大きな期待感をいやが上にも膨らませたり、最終桁たる第3桁の停止態様は如何にと注意を強く惹き付けさせたりして、遊技の演出を多様化でき、演出効果を高めて、遊技の醍醐味を満喫させることができる。
又、遊技者は、特別表示態様前兆状態即ちリ-チ状態であることの音声による報知により、特別遊技価値が付与されて、いわゆる大当たりの特別遊技が実現するかも知れないという事前予知がより確実に与えられるので、最終桁が所謂「当り」になり次第、ただちに、打球の狙いを所望箇所に変える心構えを遊技者に与えることができる。
【0029】
▲3▼第3停止桁
第2停止桁の場合と同様に、第1、第2の条件を同時に満足しなければならない。
そこで第2の条件を満足させるため、第3カウンタ66の内容をデータコンパレータ76の出力と比較するデータコンパレータ79を有し、そのデータコンパレータ79の比較結果をも条件入力とする判別手段として第3の全桁当り移行判別回路73を設けている。
この第3の全桁当り移行判別回路73は、リ-チ状態判別手段としての上記した第2の全桁当り移行判別回路72と同様の構成であり、4入力ANDゲート731とANDゲート732を使用し、ANDゲート732の入カライン中に3入力NORゲート730を設けてある。
4入力ANDゲート731には、タイミング出力回路70cからのパルスと、第1カウンタ64の最下位ビットのデータの他に、データコンパレータ76、79からの比較結果も条件入力される。
この第3桁の停止は、若し、上記リ-チ状態音声報知手段がリ-チ状態の報知を行っている際には、当然、その音声報知出力時間の経過後、即ちリ-チの掛け声が終了した後に、最後の残り一つとなった可変表示部、即ち、この実施例でいう第3桁の可変表示が、シフトレジスタ59や発振器60やフリップフロップFF4やアンドゲ-ト63やカウンタ66で構成されているリ-チ表示停止手段により停止される。
フリップフロップFF4がリセットされ第3桁が停止するタイミングに於て、フリップフロップFF4のQバー出力端子に接続した立上り微分回路から成るタイミング出力回路70cに単パルスが生じ、該パルスがANDゲート731、732に加わる。
データコンパレータ76及び79の比較結果が「前後桁一致」であり且つ第1カウンタ64の内容が奇数のときは、ANDゲート731から「当り移行信号」が出力され、ORゲート74を介して音声合成回路75即ちリ-チ状態音声報知手段75にストローブ入力として加わる。
【0030】
これにより、音声合成回路75はカウンタ64の内容に応じた数値(奇数)の音声合成信号を作成し、増幅器81を通してスピーカ82より、該当する奇数を発声させる。
一方、リ-チ状態判別手段としてのデータコンパレータ76又は79が「前後桁不一致」を出力しているとき、又はこのリ-チ状態判別手段としてのデータコンパレータ76又は79が「前後桁一致」を出力しているが第1カウンタ64の内容が偶数のときは、ANDゲート732から「ハズレ態様信号」が発生され、ORゲート77を介してハズレ効果音発生回路78に加り、増幅器81を通してスピーカ82より「ピッ」というハズレ効果音が発生する。
【0031】
(ホ)特別表示態様(特別賞態様)の判定
第1カウンタ64、第2カウンタ65、第3カウンタ66の内容データは、第9図の特別表示態様判定回路83に入力される。
この特別表示態様判定回路83には、本来の全桁当り符合である奇数のゾロ目の固定データ“111”“333”“555”“777”“999”が入力されており、特別表示態様判定回路83は、今停止した可変表示部22a、22b,22cの表示数字に相当するカウンタ64、65、66の値を、これらの固定データと比較する。
特別表示態様判定回路83の判定は出カラインI3からの入力によって開始し、ラインFからの入力によって終了する。
そして、当りのときは端子Yに「特別表示態様信号」を、ハズレのときは端子Zに「非特別表示態様信号」を出力し、第7図の効果音発生回路80に送られてスピーカ82より特定の音響ないしメロディをそれぞれ発生させる。
【0032】
更に、この実施例の場合、特別表示態様信号は「バンザイ」を3回発声させる。つまり、特別表示態様信号(特別表示態様判定回路83からの端子Y出力)によってANDゲート84が開き、ANDゲート84からの出力が音声合成回路75に入力されて、「バンザイ」が3回発声される。
従って、ANDゲート84から特別表示態様信号が出力されるたびに「バンザイ」が発声されることになる。
【0033】
(へ)特別表示態様中の動作
特別表示態様判定回路83に特別表示態様信号が発生すると、ラインGを経て第8図のANDゲート100が開かれ、継続入賞検出器SW4の動作が受付けられる状態になると共に、継続カウンタ107のリセット状態が解除される。
又、第9図のANDゲート84が成立し、その出力がHレベルとなる。
このため、29.5秒計時用のタイマカウンタ86、腕回数用のカウンタ93のリセット状態が解除される。
タイマカウンタ86はANDゲート84の出力がHレベルとなると同時に、クロック発生器85からのパルスを受けて、第12図に示すサイクルタイム約29.5秒の計時を開始する。
更に、ANDゲート84の出力は、ラインHを経て第8図の入賞個数カウンタ112のリセット状態を解除すると共に、継続カウンタ107に加わって、デコーダ108を介し継続回数表示器109に“1”を表示させる。
【0034】
▲1▼ロボットの腕部動作
まず、腕回数用のカウンタ93がクロック発生器92からのパルスを受けて作動し、ANDゲート94、ソレノイド駆動回路49aを通して腕部ソレノイド49が付勢され、ロボット21が両腕部21Cを3回上げる。
即ち、図10に於て、腕部ソレノイド49が付勢されると、連結部材48を介して連結ピン47が引下げられ、連結部材46を介して腕軸45が図10で時計方向に回動し、ロボットの両腕部21Cがバンザイをする形に持上げられる。 結局、図12に示すように、カウンタ93の働きにより、ロボット21は腕部21Cを3回上げ「バンザイ」を3回言う。
【0035】
▲2▼変動入賞装置の動作
一方、ANDゲート84の出力により、ソレノイド駆動回路28aを介して開閉ソレノイド28が付勢され、変動入賞装置9の開閉扉23が開放される。開放中に変動入賞装置9に入賞球が発生すると、入賞個数検出器SW5(図5)が作動し、図8の波形整形回路111を介して入賞個数カウンタ112の内容がカウントアップし、デコーダ113を介して入賞個数が入賞球個数表示器27に数字表示される。
【0036】
▲3▼ロボットの胴体部及び脚部の動作
又、特別表示態様判定回路83の出力端子Yの出力によりORゲート89を通してフリップフロップFF8がセットされ、モータ駆動回路30aを通してモータ37(図10)が回転し始める。
特別表示態様が終了すると、特別表示態様判定回路83からの特別表示態様信号が出力されず、特別表示態様信号が出力されなくなることによって、ANDゲート91の一方の入力がHレベルとなる。
又、ANDゲート91の他方入力は、モータ37のカム板38の回転を検出するセンサ90(図10には示してないが、カム板38に在る切欠部が当該センサに対応する部分である。)からの信号がHレベルとなった時、ANDゲート91を開き、フリップフロップFF8にリセット信号を出力するので、モータ37は胴体部21Bを正面に向けた適正位置で停止する。
又、POWER ONと記した電源投入設定回路88は、電源投入時にワンパルス出力するもので、ロボット21の胴体部21Bを正面の適正位置に修正する働きをする。
【0037】
図10に於て、モータ37が回転するとカム板38と共にピン39が偏心的に旋回し、制御部材36を左右に振り、回転支柱34が一緒に往復回動する。これによりロボットの胴体部21Bが左右に振られる。
又、この運動は、回転支柱34のセグメントギヤ35、これと噛合う両側のセグメントギヤ33、該セグメントギヤ33に固定のピン32を介して、台部30の下方に位置する左右の脚部21Dに伝わり、左右の脚部21Dが前後方向に突出後退運動をする。尚、31はピン32の貫通するスリットを示す。
変動入賞装置9の開放中、ストロボ発光回路29aを介してストロボ装置29(図11)が発光点滅を行ない、ロボット21の胴体部21Aが左右に揺れ、脚部21Dが前後動し、頭部21Aがうなずき動作をする。
【0038】
▲4▼サイクルの終了
変動入賞装置9は、図12に示すように開放後29.5秒を経過するか、変動入賞装置9に入賞球が10個入賞することにより閉じる。
即ち、開放後29.5秒を経過するとラインEがHレベルとなり、ORゲート115を通ってフリップフロップFF7がセットされる。
フリップフロップFF7のQバー出力が消失し、ラインDを経てANDゲート84が禁止される。また、入賞球数が10個になると、ANDゲート114に出力が生じ、ORゲート115を通して、やはりフリップフロップFF7がセットされるので、同様にしてANDゲート84が禁止される。
これらにより、変動入賞装置9は閉じる。
この間に、継続入賞検出器SW4が作動すると、波形整形回路101からのパルスが、3入力ANDゲート100を介してフリップフロップFF6に入力され、フリップフロップFF6がセットされる。
このフリップフロップFF6のセット出力によりフリップフロップFF7のD入力がHレベルとなる。
フリップフロップFF6のQバーに接続されたANDゲート102は、継続動作の条件が成立しておらず従ってフリップフロップFF6のQバーがHレベルに在る場合に、タイマカウンタ86の29.5秒が終了したとき、ORゲート103を介して、図6のアップ・ダウン・カウンタ52に信号を送り、同カウンタ52をダウンカウントさせる。
【0039】
変動入賞装置9は、上記サイクルタイム中に継続入賞口26に入賞球が発生したこと、正確にはフリップフロップFF6がセット状態に在ることを条件として、一旦閉じてから3秒のウエイトタイムを置いて再度開放する。
即ち、フリップフロップFF7のセット出力により3秒タイマ105がリセット解除され、ウエイトタイム3秒が経過するとORゲート106を介してフリップフロップFF7がリセットされる。
このウエイトタイム間に於て、ロボット21が腕部21Cを3回上げ「バンザイ」を3回言う。
以後、変動入賞装置9は、29.5秒間開かれている間、又は入賞球が合計10個入賞されるまでの間に、その継続入賞口26に入賞があることを条件として、最高10回まで開閉動作が継続する。
この10回の開閉動作がなされたかどうかは、継続カウンタ107に接続したANDゲート110により検出され、10回の継続がなされると3入力ANDゲート100が禁止される。
従って、最後の第10回目のサイクルについて、29.5秒の時間経過又は計10個の入賞があると、フリップフロップFF6のセット出力、従ってフリップフロップFF7のD入力がLレベルに落ち、ORゲート115からのパルスは全て無効とされる。
【0040】
(ト)非特別表示態様の場合の動作
若し、当りでないときは、上記特別表示態様判定回路83は、出力端子Zに「非特別表示態様信号」を出力する。
図7の効果音発生回路80はこれを受けて、ハズレ効果音を発生せしめる。又、頭部用フリップフロップF F10がセットされ、ロボットの頭部21Aが1回下る。
更に、非特別表示態様信号は、ラインKを経て図8のORゲート103に入力され、ORゲート103からORゲート106を経てフリップフロップFF6、FF7をリセット状態に置くとともに、ORゲート103からラインFを経てアップ・ダウン・カウンタ52に加わり、記憶個数を-1せしめる。
又、同時にスタート用フリップフロップFF1、停止用フリップフロップFF5をリセットさせる。
尚、本発明は、パチンコ遊技機について説明したが、可変表示装置を利用した遊技機であればどの様な遊技機にも適用できるものである。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、可変表示装置において可変表示が開始されると、可変表示状態報知手段によって可変表示(リーチ状態を含む)が行われていることが所要の効果音によって報知される。そして、この可変表示の可変表示停止制御において、最後の残り一つの可変表示部の停止結果如何により特別の遊技価値(特別遊技状態)が付与されんとする遊技上最高の興奮がもたらされる特別表示態様直前状態、即ちリ-チ状態に至った際には、遊技がリ-チ状態になった旨が、リ-チ状態音声報知手段により、リ-チ状態が認識できる言葉の発声として報知される。
このため、可変表示が行われていることが効果音によりリアルに報知できるとともに、リーチ状態が発生した際には、この効果音とは明かに異なる音声により報知されるため、この効果音等に紛れて聞き漏らすことがなく、確実にリーチ状態の発生を遊技者に知らしめることができる。
特に、リーチ状態の音声報知出力経過後に、リーチ表示停止手段によって、最後の残り一つの可変表示部が停止されるため、この最後の残り一つの可変表示が停止されるまでの遊技上で最高のトキメキの場面をアッサリと逃がしてしまうような不都合が解消でき、遊技者に、最後の残り一つの可変表示部の停止結果は如何に、との注意を強く惹き付けさせ、大きな期待感をいやが上にも膨らますことができると共に、遊技の演出を多様化でき、演出効果を高め遊技の演出上の興趣性を高めることができる。
又、このリーチ状態の音声報知により、遊技者にとって極めて有利な大当り状態の発生が事前に報知されることにもなり得るため、特別遊技状態になり次第、直ちに、特別遊技状態に応じた遊技を行う心構えができるので、例えば、特別遊技状態の発生により打球の狙い所を変えるような場合でも、特別遊技状態への対応が遅れてしまうようなことを無くすことができ、焦燥感や不満を解消させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明をパチンコ遊技機の実施例で示した正面図である。
【図2】 可変表示装置の正面図である。
【図3】 可変表示装置内に装置されるロボットの外観を示す斜視図である。
【図4】 変動入賞装置の斜視図である。
【図5】 可変表示装置及び変動入賞装置を示す背面図である。
【図6】 制御手段の一例を示す回路図である。
【図7】 制御手段の一例を示す回路図である。
【図8】 制御手段の一例を示す回路図である。
【図9】 制御手段の一例を示す回路図である。
【図10】 可変表示装置の可動体の駆動関係を示す分解斜視図である。
【図11】 可変表示装置の分解断面図である。
【図12】 特別表示態様時及びハズレ時の変動入賞装置及び可動体の動作を説明に供するタイミング図である。
【符号の説明】
1 パチンコ遊技機、4…遊技領域、5 可変表示装置、9 変動入賞装置 22 可変表示部(可変表示手段)、23…開閉扉、60 発振器(リ-チ表示停止手段)、63 アンドゲ-ト(リ-チ表示停止手段)、66 カウンタ(リ-チ表示停止手段)、71、73 判定手段、72 判定手段(リ-チ状態判別手段)、75 音声合成回路(リ-チ状態音声報知手段)、76 デ-タコンパレ-タ(リ-チ状態判別手段)、80 効果音発生回路、82 スピーカ(音声報知手段)。
 
訂正の要旨 (1)訂正の要旨
ア・訂正事項a
特許請求の範囲中の「該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段とを含み、上記リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後」を、特許請求の範囲の減縮を目的として「該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段とを含み、上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には音声で報知する一方、ハズレ表示態様となった場合にはハズレ効果音を発生させ、上記リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後」と訂正する。
イ・訂正事項b
明細書の段落【0004】中の「該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段(例えば、音声合成回路75,増幅器81,スピーカ82等)とを含み、上記リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後」を、明りょうでない記載の釈明を目的として「該リーチ状態を音声によって報知可能なリーチ状態音声報知手段(例えば、音声合成回路75,増幅器81,スピーカ82等)とを含み、上記報知手段は、可変表示部の可変表示が特別表示態様となった場合には音声で報知する一方、ハズレ表示態様となった場合にはハズレ効果音を発生させ、上記リーチ状態音声報知手段の音声報知出力時間の経過後」と訂正する。
異議決定日 2001-09-14 
出願番号 特願平10-137174
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 斎藤 利久神 悦彦  
特許庁審判長 村山 隆
特許庁審判官 渡部 葉子
鈴木 寛治
登録日 1999-02-12 
登録番号 特許第2887139号(P2887139)
権利者 株式会社ソフィア
発明の名称 パチンコ遊技機  
代理人 後藤 政喜  
代理人 後藤 政喜  

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