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審決分類 審判 一部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  H05K
審判 一部申し立て 発明同一  H05K
管理番号 1051563
異議申立番号 異議2001-70039  
総通号数 26 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-01-14 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-01-10 
確定日 2001-11-16 
異議申立件数
事件の表示 特許第3061282号「セラミック多層回路板および半導体モジュール」の請求項1ないし3、6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3061282号の請求項1、2、3、6に係る特許を取り消す。 
理由 1. 本件発明
特許第3061282号の請求項1〜7に係る発明は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜7に記載されたものであるところ、その請求項1、2、3及び6に係る発明は次のとおりのものと認める。
「 【請求項1】セラミック絶縁材料からなる絶縁層が複数積層され、各絶縁層間には導体が形成されており、各層の導体を電気的に接続するビアホールを有するセラミック多層回路板において、前記絶縁層は高強度層と低誘電率層の2種類の絶縁層の積層体からなり、高強度層は低誘電率層よりも高強度材で構成され、該積層体の内層部分に低誘電率層に挟まれた高強度層を1層以上含み、低誘電率層は信号層を有し、該低誘電率層と前記高強度層の間に電源層またはグランド層が設けられていることを特徴とするセラミック多層回路板。
【請求項2】セラミック絶縁材料からなる絶縁層が複数積層され、各絶縁層間には導体が形成されており、各層の導体を電気的に接続するビアホールを有するセラミック多層回路板において、前記絶縁層は高強度層と低誘電率層の2種類の絶縁層の複数積層体からなり、前記積層体の高強度層は低誘電率層よりも高強度材で構成され、該高強度層の少なくとも一層が内層部分に形成され、その両面には電源層またはグランド層が設けられており、かつ、該電源層またはグランド層を介して前記低誘電率層が設けられており、該低誘電率層は信号層を有することを特徴とするセラミック多層回路板。
【請求項3】セラミック絶縁材料からなる絶縁層が複数積層され、各絶縁層間には導体が形成されており、各層の導体を電気的に接続するビアホールを有するセラミック多層回路板において、前記絶縁層は高強度層と2層以上の低誘電率層の2種類の絶縁層から成る積層構成の2回以上のくり返しを含む複数積層体からなり、信号層は低誘電率層間に形成されており、該低誘電率層の信号層を形成していない側に電源層またはグランド層が設けられており、該電源層またはグランド層を挟んで前記高強度層が設けられており、該高強度層は低誘電率層よりも高強度材で構成されていることを特徴とするセラミック多層回路板。
【請求項6】前記信号層の信号伝播速度が1.2x108m/秒以上であることを特徴とする請求項第1項〜第3項のいずれかに記載のセラミック多層回路板。 」
2. 特許異議申立て理由の概要
特許異議申立人は、本件請求項1、2、3、6に記載された発明は、本件特許出願前に出願され、出願後に公開された甲第1号証に記載された発明と同一であり、また、本件請求項1、6に記載された発明は、本件特許出願前に出願され、出願後に公開された甲第2号証に記載された発明と同一であり、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであるから、また、本件発明の特許明細書は、その記載が不備であるため特許法第36条第3項、第4項(異議申立人のいう適用条文が、特許法第36条第5項は誤りである)に規定する要件を満たしていないので、それらの発明に係る特許は、取り消されるべき旨主張している。
3. 特許法第29条の2違反について
(1) 特願平1-290680号(特開平3-151691号公報参照)
(異議申立人が提示した甲第1号証、以下、「第1先願発明」という)
(2) 特願平2- 36731号(特開平3-239394号公報参照)
(異議申立人が提示した甲第2号証、以下、「第2先願発明」という)
[第1先願発明との対比]
本件請求項1に係る発明と当審において通知した取消理由で引用した第1先願発明とを対比すると、第1先願発明の「強化層領域11」、「信号線路形成領域6」、「信号線路3」及び「シールド層2」が、それぞれ本件請求項1に係る発明の「高強度層」、「低誘電率層」、「信号層」及び「電源層またはグランド層」に相当するものであり、この第1先願発明はその前提として、第1先願発明である甲第1号証の4頁左上欄の「これらのグリンシートは、それぞれ100mm角に切断した後、パンチしてバイアホールを形成した後、この穴の中に銅ペーストを充填した。」との記載から、ビアホールを有する多層セラミック回路基板であることが明らかであるので、両者の構成は完全に一致し、相違するところがない。
次に、本件請求項2、3に係る発明と前記第1先願発明とを対比すると、請求項1に係る発明と第1先願発明とを対比したのと同じ理由で、本件請求項2、3に係る発明も第1先願発明と構成上一致し、相違するところはない。
さらに、本件請求項6に係る発明と前記第1先願発明とを対比すると、本件請求項6に係る発明は、請求項1〜3に係る発明において、信号層の信号伝播速度を規定したものであるが、信号伝播速度に関しては、特許異議申立書の第8頁で対比しているのと同じ理由で第1先願発明である甲第1号証に間接的に記載されている。よって、本件請求項6に係る発明も第1先願発明と相違するところがない。
[第2先願発明との対比]
本件請求項1に係る発明と当審において通知した取消理由で引用した第2先願発明とを対比すると、第2先願発明の「強化層6」、「低誘電率層5」、「信号線路1」及び「アース線3」が、それぞれ本件請求項1に係る発明の「高強度層」、「低誘電率層」、「信号層」及び「電源層またはグランド層」に相当するものであり、この第2先願発明はその前提として、第2先願発明である甲第2号証の4頁左下欄の「これを100mm角に打ち抜き、これにバイヤホールを形成した後、・・・・加圧して積層体とした。」との記載から、ビアホールを有する多層セラミック回路基板であることが明らかであるので、両者の構成は完全に一致し、相違するところがない。
また、本件請求項6に係る発明と前記第2先願発明とを対比すると、本件請求項6に係る発明は、請求項1〜3に係る発明において、信号層の信号伝播速度を規定したものであるが、信号伝播速度に関しては、特許異議申立書の第10頁で対比しているのと同じ理由で第2先願発明である甲第2号証に間接的に記載されている。よって、本件請求項6に係る発明も第2先願発明と相違するところがない。
4. 特許法第36条違反について
特許異議申立人は、明細書に記載の「低誘電率層」の「低」の基準について明らかにされていないので、本件発明を特定できない旨を主張しているが、「低」とは定性的な表現ではあるが、高誘電率に対して相対的に低誘電率であればよいと解されるので、異議申立人が主張するような「低」の基準についての数値限定は必要ないと思料される。
5. むすび
以上のとおり、本件請求項1、2、3及び6に係る発明は、第1先願発明と同一であり、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであり、また、本件請求項1及び6に係る発明は、第2先願発明と同一であり、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-09-27 
出願番号 特願平2-112513
審決分類 P 1 652・ 531- Z (H05K)
P 1 652・ 161- Z (H05K)
最終処分 取消  
前審関与審査官 市川 裕司  
特許庁審判長 藤井 俊明
特許庁審判官 刈間 宏信
鈴木 久雄
登録日 2000-04-28 
登録番号 特許第3061282号(P3061282)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 セラミック多層回路板および半導体モジュール  

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