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審決分類 |
審判 査定不服 特39条先願 取り消して特許、登録 G11B 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G11B 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G11B 審判 査定不服 出願日、優先日、請求日 取り消して特許、登録 G11B |
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管理番号 | 1052474 |
審判番号 | 不服2000-19736 |
総通号数 | 27 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-04-11 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2000-12-13 |
確定日 | 2002-01-30 |
事件の表示 | 平成11年特許願第313326号「記録媒体搬送装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成12年 4月11日出願公開、特開2000-105956、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯、本願発明 本願は、平成1年11月29日に出願した特願平1-309927号出願(特許第3026983号)(以下、「親出願」という。)の一部を平成11年11月4日に新たな特許出願(特願平11-313326号出願)として分割したものであって、その請求項1に係る発明は、当審において平成13年1月11日付け手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 記録媒体を担持しプレーヤハウジング(1)に対して突出する突出位置と収納位置との間で移動自在に設けられたトレイ(23)と、ディスクをクランプするためにターンテーブル(11)をクランパ(32)に対して近接移動させるクランプ機構(51,…)と、前記トレイと前記クランプ機構の共用の駆動源(40,47…)とを備えた記録媒体搬送装置において、 前記トレイは、前記トレイの移動方向に延在するギヤ(28)と前記ギヤの延在方向に対して傾斜した係合部(29)を有し、 前記クランプ機構は、トレイに収納されたディスクの主面に対して傾斜するカム(57)と、前記カムに嵌合し且つ前記カムの移動に伴い前記ディスクの主面に対して近接または離間する嵌合部(61)と、前記駆動源が備える駆動ギヤ(40)に対して噛合い状態となる位置と非噛合い状態となる位置との範囲において前記カム(57)と一体移動可能なギヤ(54)とを有し、 前記トレイが所定位置に到達したときに前記係合部に係合して駆動される被係合部(65)を有するとともに、前記被係合部の移動に伴って前記クランプ機構の前記ギヤ(54)を前記非噛合い位置から前記噛合い位置まで移動させるクランプ機構初期駆動手段を備えたことを特徴とする記録媒体搬送装置。」(以下、「本願発明」という。) 2 原査定の拒絶の理由、及び前置審査での拒絶の理由について (1) 原査定の拒絶の理由 原査定における拒絶の理由は、以下のとおりである。 「この出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で、(平成2年改正前)特許法第36条第3項乃至第5項に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1の記載は,必須の構成が欠落しており、その記載のみで発明を構成することができない。 〔根拠〕 請求項1には、「トレイ」、「クランプ手段」、「モータ」とを備え、「クランプ手段は…トレイに設けられた係合部により初期駆動され…モータからの駆動力の供給を受け始める」とある(符号は省略)。 しかしながら、上記の記載では、トレイとクランプ手段とモータとの具体的な関係が実質的に何ら示されていないから、「係合部」がどのような構成のものであるのか何ら特定することができないだけでなく、「係合部」の係合対象も何ら記載されていないから、「係合」することの意味すら捉えることができない。」 (2) 前置審査での拒絶の理由 前置審査における拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。 「この出願は、特許法第44条第1項の規定を満たさない不適法な分割出願であるから、出願日のそ及は認められない。 したがって、この出願の請求項1に係る発明は、その出願日前に頒布された上記親出願の公開公報である特開平3-171465号公報に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の発明に該当し、特許を受けることができない。」 3 本願と関連する特許出願、及びこれらに係る発明について (1) 本願と関連する特許出願 本願と関連する特許出願としては、上記親出願〔特願平1-309927号出願(特許第3026983号)〕の他に、この親出願の一部を分割してそれぞれ新たな特許出願とした特願平10-358566号出願(特許第3065998号)(以下、「子出願1」という。)及び特願平10-358567号出願(特許第3044213号)(以下、「子出願2」という。)、並びに前記子出願1の一部を分割して新たな特許出願とした特願2000-34283号出願(特開2000-187914号公報)(以下、「孫出願1」という。)及び前記子出願2の一部を分割して新たな特許出願とした特願2000-1166号出願(特開2000-149369号公報)(以下、「孫出願2」という。)が存在する。 (2) 本願と関連する特許出願に係る発明 ア 親出願に係る発明 親出願の請求項1に係る発明(以下、「親出願の発明」という。)は、特許第3026983号明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 ディスク収納部を有し収納されたディスクを搬送するトレイ(23)と、搬送されたディスクをクランプするクランプ機構と、前記トレイ搬送機構の搬送動作のための駆動源と前記クランプ機構のクランプ動作のための駆動源を兼用する1つのモータ(47)と、前記モータの駆動力を受けて移動し前記クランプ機構にクランプ動作を行わせる移動部材(51)を備えたディスクローディング装置において、 前記移動部材は、第1のラックギア(54)が形成され、前記モータの駆動力が伝達される噛合い位置と駆動力が伝達されない非噛合い位置を含む範囲で移動可能であり、 前記トレイは、第2のラックギア(28)が形成され、前記モータの駆動力が伝達される噛合い位置と駆動力が伝達されない非噛合い位置を含む範囲で移動可能であり、 前記モータの駆動力が伝達されることで移動してディスクを搬送するものであり、 前記トレイ及び前記移動部材の何れか一方の移動に連動して他方を移動させる連動機構(30,56,64,65,66)を備え、 前記連動機構は、前記噛合い位置にある前記トレイの移動に連動して前記移動部材を非噛合い位置から噛合い位置に移動させ前記クランブ機構のクランブ動作を開始させるとともに、前記噛合い位置に移動した前記移動部材の移動に連動して前記トレイを前記噛合い位置から前記非噛合い位置に移動させトレイの搬送動作を終了させることを特徴とするディスクローディング装置。」 イ 子出願1に係る発明 子出願1の請求項1及び2に係る発明(以下、「子出願1の発明」という。)は、特許第3065998号明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】収納したディスクを搬送するトレイ(23)と、ディスクをクランプするクランプ機構(4,11,32,51,57,60,61,62,63…)と、前記トレイと前記クランプ機構の共用の駆動源(40,47…)とを備えたディスクローディング装置であって、 前記クランプ機構は、トレイに収納されたディスクの主面に対して傾斜するカム(57)と、前記カムに嵌合し且つ前記カムの移動に伴い前記ディスクの主面に対して近接または離間する嵌合部(61)を有し、前記トレイは、前記トレイの移動方向に延在するギヤ(28)を有し、前記トレイの前記ギヤと前記駆動源が備える駆動ギヤ(40)とが非噛合い状態の際において、前記カムが所定位置に到達した時に、前記トレイを筐体から突出する方向に移動させて前記ギヤと前記駆動ギヤとを噛合い状態にするトレイ初期駆動手段(29,55,64,65,66)を備え、 前記トレイ初期駆動手段は、前記トレイに設けられた被係合部(29)と、前記被係合部に係合して前記トレイを筐体から突出する方向に僅かに移動させる係合部(65)とを含み、前記係合部が移動するための駆動力は前記トレイと前記クランプ機構の共用の駆動源からの駆動力であることを特徴とするディスクローディング装置。 【請求項2】前記カムは、前記駆動ギヤ(40)と噛合い得るギヤ(54)を備えた駆動部材(51)に設けられ、前記駆動部材が駆動することにより前記係合部が移動することを特徴とする請求項1に記載のディスクローディング装置。」 ウ 子出願2に係る発明 子出願2の請求項1及び2に係る発明(以下、「子出願2の発明」という。)は、特許第3044213号明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】収納したディスクを搬送するトレイ(23)と、ディスクをクランプするクランプ機構(4,11,32,51,57,60,61,62,63…)と、前記トレイと前記クランプ機構の共用の駆動源(40,47…)とを備えたディスクローディング装置であって、 前記クランプ機構は、クランパ(32)と、ピックアップ(19)及びターンテーブル(11)を駆動するモータ(12)を搭載したピックアップベースと、前記ターンテーブルを前記クランパの方向に移動せしめるべく前記ピックアップベースをディスククランプ方向に付勢する付勢手段(4)と、前記付勢手段の付勢に抗して前記ピックアップベースを前記ディスククランプ方向とは反対方向に移動させて係止する係止手段(60,61…)とを含み、 前記付勢手段はディスククランプ完了後における前記ピックアップベースの防振手段を兼ねることを特徴とするディスクローディング装置。 【請求項2】装置内において移動自在で且つトレイに収納されたディスクの主面に対して傾斜するカム(57)を備え、前記係止手段は、前記カムに嵌合し且つ前記カムの移動に伴い前記ディスクの主面に対して近接または離間する嵌合部(61)を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスクローディング装置。」 エ 孫出願1及び2に係る発明 孫出願1及び2は、現在、審査に係属中であり、この孫出願1に係る発明はその明細書の請求項1に記載されており(以下、「孫出願1の発明」という。)、また孫出願2に係る発明はその明細書の請求項1〜6に記載されている(以下、「孫出願2の発明」という。)。 4 当審の判断 (1) 原査定の拒絶の理由について 当審において平成13年1月11日付け手続補正書によって補正された明細書の請求項1をみれば、以下のことが明らかである。即ち、 (a) トレイ(23)とクランプ機構(クランプ手段)(51,…)は、共用の駆動源(モータ)(40,47…)により駆動されること。 (b) 係合部(29)は、トレイ(23)の移動方向であるギヤ(28)の延在方向に対して傾斜した構成(実施例の「カム部(29)」)であること。 (c) クランプ機構初期駆動手段の被係合部(65)は、前記係合部(29)に係合して駆動されること。 してみれば、当審において補正された明細書の請求項1には、不備な記載はなく、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項が記載されていることになるから、原査定の拒絶の理由は上記補正により解消したことになる。 (2) 前置審査での拒絶の理由について 本願発明と親出願の発明とを対比すると、本願発明は、「クランプ機構が、トレイに収納されたディスクの主面に対して傾斜するカム(57)と、前記カムに嵌合し且つ前記カムの移動に伴い前記ディスクの主面に対して近接または離間する嵌合部(61)とを有する」ことを特定した点において、親出願の発明と相違するものである。 してみれば、本願発明は親出願の発明と同一ではなく、親出願の一部を新たな特許出願として適法に分割したものであるから、出願日のそ及は認められることになり、前置審査での拒絶の理由は妥当なものではない。 (3) 本願と関連する特許出願に係る発明との同一性について ア 親出願の発明について 本願発明と親出願の発明とを対比すると、本願発明は、上記4(2)に記載したように親出願の発明と相違するものである。 イ 子出願1及び2の発明について 本願発明と子出願1及び2の発明とを対比すると、本願発明は、「トレイが所定位置に到達したときに係合部に係合して駆動される被係合部(65)を有するとともに、前記被係合部の移動に伴って前記クランプ機構のギヤ(54)を非噛合い位置から噛合い位置まで移動させるクランプ機構初期駆動手段を備えた」ことを特定した点において、子出願1及び2の発明と相違するものである。 ウ 孫出願1及び2の発明について 本願発明と孫出願1及び2の発明とを対比すると、現時点においては、本願発明は、上記4(2)に記載した理由により孫出願1及び2の発明と相違するものである。 したがって、本願発明と関連する特許出願に係るそれぞれの発明は、特許法第39条第2項に規定されている同日に出願された2以上の同一の発明には当たらない。 5.むすび 以上のとおりであって、本願は、原査定の拒絶の理由又は前置審査の拒絶の理由によって、拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2002-01-07 |
出願番号 | 特願平11-313326 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WY
(G11B)
P 1 8・ 4- WY (G11B) P 1 8・ 03- WY (G11B) P 1 8・ 534- WY (G11B) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 洋一、石丸 昌平、齊藤 健一 |
特許庁審判長 |
内藤 二郎 |
特許庁審判官 |
犬飼 宏 田良島 潔 |
発明の名称 | 記録媒体搬送装置 |