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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 補正却下を取り消さない。原査定の理由により拒絶すべきものである。 E05B
管理番号 1052500
審判番号 審判1999-2473  
総通号数 27 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1988-12-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1999-02-22 
確定日 2002-01-08 
事件の表示 昭和63年特許願第117173号「リモート制御装置、該装置に使用するレシーバ、レシーバに制御信号を送信するトランスミッタ」拒絶査定に対する審判事件[昭和63年12月15日出願公開、特開昭63-308171]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、昭和63年5月16日(パリ条約による優先権主張1987年5月21日、米国)の出願であって、その請求項1ないし21に係る発明は、出願公告された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項21に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明1ないし21」という。)

「1.自動車に取付けるのに適する且つ接近要求信号(S)を受信するレシーバ(R)を備えるリモート制御装置(A)であって、次の諸要素すなわち、受信されて自動車上の装置を制御する接近要求信号の部分をなす1つ以上の接近委任コードを貯蔵する貯蔵装置において、少なくとも2つの異なった接近委任コードを同時に貯蔵する適切なレジスター(I,II)及び接近委任コードに従って接近要求信号を検査してその検査に従って自動車上の装置を制御する比較器(202)、をもつ記憶装置(100)、およびプログラミング期間中記憶装置に新しい接近委任コードを貯蔵するためのフィールド・プログラミング装置(86)、を備え、該フィールド・プログラミング装置はプログラミング期間中記憶装置から古い接近委任コードのすべてを自動的に消去するよう動作し、それによってプログラミング期間終了時において記憶装置がプログラミング期間中に提示された接近委任コードのみを含むようなしたことを特徴とするリモート制御装置。
2.フィールド・プログラミング装置が、第1の新しい接近委任コードが記憶装置に貯蔵されるとき、古い接近委任コードのすべてを記憶装置から消去する請求項1のリモート制御装置。
3.フィールド・プログラミング装置がプログラミング期間中レシーバ装置によって受信される接近要求信号に対応する接近委任コードを記憶装置に貯蔵する手段を含む請求項1のリモート制御装置。
4.プログラミング期間中、フィールド・プログラミング装置はレシーバ装置が少なくとも1つの新しい接近要求信号を受信するまでは古い接近委任コードのすべてを記憶装置から消去しない請求項3のリモート制御装置。
5.比較器が受信接近要求信号の少なくとも1部を記憶装置中に貯蔵されたそれぞれの接近委任コードと比較するための手段を含む請求項1のリモート制御装置。
6.接近要求信号が接近コードを含み、接近委任コードがこの接近コードに固有である請求項1のリモート制御装置。
7.比較器が、受信接近要求信号に含まれる接近コードを記憶装置に貯蔵されるそれぞれの接近委任コードと比較して、受信信号に含まれる接近コードが記憶装置に貯蔵された接近コードの1つと同じであるときに自動車への接近を許す装置を含む請求項6のリモート制御装置。
8.フィールド・プログラミング装置が固定した持続のプログラミング時間を与える部材を含む請求項1のリモート制御装置。
9.フィールド・プログラミング装置がプログラミング時間を開始するために手動で操作しうるスイッチを含む請求項1のリモート制御装置。
10.フィールド・プログラミング装置がスイッチの手動操作に応答して固定した持続のプログラミング時間を開始する請求項9のリモート制御装置。
11.レシーバ装置が自動車ドアの操作を制御する制御装置を含み、この制御装置が比較器に従い自動車ドア制御装置の制御操作を行う請求項1のリモート制御装置。
12.自動車ドア制御装置が自動車ドアの少なくとも1つの施錠および開放を制御する手段を含む請求項1のリモート制御装置。
13.接近要求信号が変調無線周波信号の形態で通信され、レシーバ装置が無線周波数の信号を受信しそこから接近要求信号を抽出する装置を含む請求項1のリモート制御装置。
14.それぞれコード信号(S)を発信する多数のトランスミッタ(T)を含み、支持体に取付けられ、機能の遂行を行うために制御信号を発生するように操作される、リモート制御系に使用するためのレシーバ(R)であって、次の諸要素すなわち、保証コードを貯蔵するための多数のレジスター(I-N)を含む記憶装置(100)、受信コード信号をそれぞれのレジスターに貯蔵された保証コードと比較し、コードの一致を検出した際に制御信号を発生する比較器(202)、およびフィールド・プログラミング期間を開始するように操作されるフィールド・プログラミング装置(86)を備えるレシーバにおいて、フィールド・プログラミング期間中第1のトランスミッタからコード信号を受信したときにそれぞれのレシーバ記憶レジスター中の貯蔵された保証コードを自動的に消去する装置、第1のレジスター(I)中のコード信号から誘導される保証コードを貯蔵する装置、および連続する次のレジスター(II)中の異なったトランスミッタから受信される次のコード信号から誘導される保証コードを貯蔵する装置を含むことを特徴とし、このような操作がフィールド・プログラミング期間中のみ他の異なったトランスミッタからのコード信号の受信によって逐次に反復可能であって、多数のレジスターのそれぞれが異なった保証コードを含みうるようになしたことを特徴とするレシーバ(R)。
15.機能部分と保証コード部分とからなる二進数ビットのマルチ無線周波数信号をそれぞれ送信する多数のトランスミッタ(T)を含むリモート制御装置に使用するためのレシーバ(R)であって、自動車に取付けられ操作されて異なった乗物の機能を遂行するための制御信号を発生するように操作されるレシーバ(R)であって、次の構成要素すなわち、電力回路、二進数ビットの保証コードを貯蔵する多数の連続するレジスターを含む記憶装置(100)、電力回路の活性化により作動して受信信号の保証コード部分をそれぞれのレジスターに貯蔵された保証コード部分と比較しそして貯蔵された保証コードと受信信号コード部分の一致を検出したときに受信信号の機能部分によって示される制御信号を発生する比較器(202)、およびフィールド・プログラミング装置(86)、を備えるレシーバ(R)において、該フィールド・プログラミング装置が予め定めた長さのフィールド・プログラミング期間操作を開始するようになっていて、その期間中にそれぞれのレシーバ記憶レジスターが自動的に消去され、その期間中第1のトランスミッタから受信した信号の保証コード部分によって第1レジスター中で置換され、そして次のレジスター中で該期間中異なったトランスミッタから受信した次の信号の保証コード部分によって置換され、このような操作がフィールド・プログラミング期間のあいだでのみ他の異なったトランスミッタからの信号の受信の際に逐次反復可能であって、それによって多数のレジスターのそれぞれが異なった保証コードを含みうるようにしたことを特徴とするレシーバ(R)。
16.レシーバによって受信された送信信号が更に目覚し部分を含み、レシーバが受信信号の目覚し部分を認識して電力回路を活性化させる検出器および所定時間後に電力回路を失活させる装置(68)を含む請求項15のレシーバ(R)。
17.記憶された保証コード、受信した信号(S)の保証コードを該記憶された保証コードと比較する保証コード比較器(202)、総括起動開始コードを含む信号(S)の受信に対してコード比較器(202)を起動及び活性化する装置(64)、及び保証コードの合致した受信信号(S)の機能コード部分に対応の車両機能コマンド(122-126)を出力する装置(120)を有する車両設置のレンーバ(R)に、リモート2進数ビット制御信号(S)を送信するトランスミッタ(T)であって、2進数ビットのシーケンスからなる独特の保証コードを記憶する装置(40)、及び起動開始コードと独特保証コードと複数から選ばれた1の機能コードとを有する2進数ビットのシーケンスからなる総括3部分信号を送信する装置(30-39)を有するトランスミッタ(T)。
18.さらに起動開始コードが少なくとも2つの2進数ビットを有し、独特保証コードが少なくとも24の2進数ビットを有し、そして機能コードがそれぞれ少なくとも3つの2進数ビットを有する請求項17のトランスミッタ(T)。
19.さらに、それぞれ異なる機能に対応して且つ対応の機能コード、独特保証コード及び起動開始コードを有する総括3部分2進数ビット信号(S)を送信できる手動で活性化可能な複数のスイッチ(12,14,16)を有する請求項17のトランスミッタ(T)。
20.さらに1つの総括3部分2進数ビット信号(S)のみを送信する手動スイッチ(14)の活性化により操作されうる電源を有する請求項17のトランスミツタ(T)。
21.手動で活性化可能なスイッチ(14)、及び第1機能コードを有する1つの総括3部分2進数ビット信号(S)を送信する手動スイッチの活性化により操作されうる電源により、継続される押圧に対して別の機能コードを有する第2の総括3部分2進数ビット信号(S)を送信する請求項17のトランスミッタ(T)。」

なお、本願については、平成11年3月23日付けの手続補正がされたが、これは平成13年7月2日付けの補正の却下の決定により却下された。

2.原審での補正の却下について
原審において補正却下の決定がなされた、平成9年2月20日付け手続補正書は、特許異議の申立に対する答弁書の提出期間内になされたものであって、本願についての出願公告をすべき旨の決定の謄本の送達後の補正に該当し、その内容は、発明の名称、特許請求の範囲、及び発明の詳細な説明を補正しようとするものである。
そこで、上記補正の適否について検討すると、
(1)補正後の請求項1には、「少なくとも2つの異なったアクセス許可コードを同時に貯蔵する適切な少なくとも2のレジスター(I,II)をもつ記憶装置(100)、該アクセス許可コードに従ってアクセス要求信号を検査してその検査に従って自動車機能へのアクセスを制御する比較器(202)および所定長さのプログラミング期間を発生させて該期間中の間においてのみ新しいアクセス許可コードを記憶装置に貯蔵せしめるフィールド・プログラミング装置(86)、を備えて」と記載されており、「比較器(202)」は「記憶装置(100)」の構成要素ではなく、独立している。
しかし、出願公告された明細書の請求項1には、「受信されて自動車上の装置を制御する接近要求信号の部分をなす1つ以上の接近委任コードを貯蔵する貯蔵装置において、少なくとも2つの異なった接近委任コードを同時に貯蔵する適切なレジスター(I,II)及び接近委任コードに従って接近要求信号を検査してその検査に従って自動車上の装置を制御する比較器(202)、をもつ記憶装置(100)」と記載されており、「比較器(202)」は「記憶装置(100)」の構成要素である。
そして、「記憶装置(100)」の構成要素であった「比較器(202)」を、「記憶装置(100)」の構成要素ではない独立したものとすることは、特許請求の範囲の減縮には該当しない。また、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明にも該当しない。
(2)補正後の請求項1には、「許可されない者による不正なプログラミングが行なわれる以前に記憶装置に対して正規にプログラミングされたトランスミッタが、前記不正なプログラミングが行なわれた後では自動車機能へのアクセスが不可能となるので、該レシーバに対して不正なプログラミングがなされたことが認識されうるように構成させた」が、補正後の請求項14、15には、「許可されない者による不正なプログラミングが行なわれる以前に記憶装置に対して正規にプログラミングされたトランスミッタが、前記不正なプログラミングが行なわれた後では該機能の制御が不可能となるので、該レシーバに対して不正なプログラミングがなされたことが認識されうるように構成させた」が、それぞれ付加されているが、これらの付加事項は効果に関するものであって、請求項1に記載の「リモート制御装置」、請求項14、15に記載の「レシーバ(R)」の構成を限定するものではないから、特許請求の範囲の減縮には該当しない。また、誤記の訂正、明瞭でない記載の釈明にも該当しない。
したがって、上記補正は、特許法第64条第1項の規定に違反するものであるから、同第54条第1項の規定によりこれを却下すべきものであり、原審において上記補正の却下の決定をしたことに誤りはない。
よって、上記のとおり本願発明1ないし21を認定した。

3.引用例
(1)これに対して、原査定の拒絶理由である特許異議決定の理由で引用された甲第1号証の特開昭59-80872号公報(以下、「引用例1」という。)には、
(ア)「所定のキーコード情報を含む信号を発するキーコード発信器;車上に搭載され、前記キーコード発信器が発する信号を受信しその信号に含まれる情報を検出するキーコード受信器;ドアロック機構;ドアロック機構のロック,アンロックのそれぞれの状態を他方の状態に変えるドアロック駆動装置;および所定のスイッチ動作を検出するとそのときにキーコード受信器が出力するコードを目標コードとして記憶し、キーコード受信器が目標コードを受信するとドアロック駆動装置を付勢してドアロックの状態をアンロックとし、キーコード受信器が目標コードを受信しないときはドアロックの状態をロックにするドアロック制御装置;を備える車上電磁ドアロック装置。」(特許請求の範囲第1項)、
(イ)「SRは16ビットシフトレジスタであり、16のパラレル入力端……を有している。パラレル入力端には、それぞれプルアップ用の抵抗器とDIP(デュアル・インライン・パッケージ)タイプのスイッチDSWを接続してある。……シフトレジスタSRの出力端OUTはフリップフロップFF1の入力端Dに接続してあり、FF1の出力端QはFM変調器MODに接続してあり、MODの出力端は高周波増幅回路RFに接続してある。高周波増幅回路RFの出力端は、同調回路を介して送信用アンテナAT1に接続してある。……なおスイッチDSWには、ドライバが予め好みのキーコードを2進数(オン・オフ)でセットしておく。……FF1の出力信号は、MODで周波数変調され、高周波増幅回路RFで増幅されて電波としてアンテナAT1から放射される。」(4頁左上欄4行ないし同頁左下欄16行)、
(ウ)「キーコード受信器KCRのそれぞれの出力端は、シングルチップマイクロコンピュータCPUの入力ポートP1,P2およびP3に接続してある。ドアロック機構30に接続したスイッチSW1の接点は、CPUのプルアップした割り込み入力端INTとアースに接続してある。」(5頁左上欄1ないし7行)、
(エ)「メカニカルキー25が解錠操作されてマイクロスイッチSW1が閉になると、第6c図の割り込み処理を行なって、その時にキーコード発信器から出力されているキーコードを参照キーコードレジスタに更新セットする。……またこの場合、キーコード発信器からの電波を受信しないとキーコードの更新は行なわない。……キーコード受信器KCRが電波を検出すると、次にキーコード読取処理を行なう。ここで読取ったキーコードを受信キーコードレジスタにストアして、このレジスタの内容と参照キーコードレジスタの内容とを比較する。……車速が10km/h以下でしかも受信キーコードと参照キーコードが一致するとドアロックをアンロックにする。」(5頁左下欄19行ないし6頁右上欄10行)、
(オ)「参照キーコードレジスタを複数(たとえば3つ)とし、メカニカルキーの種類をそれと同数にして、キーコード記憶時に、操作されるメカニカルキーに対応する参照キーコードレジスタに対してキーコード記憶を行なう。そして、キーコード発信器からのキーコードが到来すると、そのキーコードと3つの参照キーコードレジスタのいずれかのコードとが一致するとドアをアンロックに設定する。」(6頁右下欄3ないし10行)、
(カ)「CPU:マイクロコンピュータ(ドアロック制御装置)」(7頁左下欄5行)、
と記載されている。そして、引用例1に記載の「キーコード受信器」及び「ドアロック制御装置」は乗用車に取り付けられるものであるから、自動車に取付けるのに適するものであり、「キーコード発信器から出力されているキーコードを参照キーコードレジスタに更新セットする」は、参照キーコードレジスタの古いキーコードを、キーコード発信器から出力されているキーコードに置き換えることであり、古いキーコードは参照キーコードレジスタから消去され、キーコード発信器から出力されているキーコードが新たに参照キーコードレジスタに記憶されることを意味すると解されるから、上記記載及び第2a図ないし第6b図の記載からみて、引用例1には、「自動車に取付けるのに適する且つキーコード発信器が発する信号を受信するキーコード受信器を備える車上電磁ドアロック装置のドアロック制御装置(CPU)であって、受信されて自動車上のロックを制御するキーコード発信器が発する信号の部分をなす1つ以上のコードを記憶し、少なくとも2つの異なったキーコードを同時に記憶する適切な参照キーコードレジスタをもち、キーコードに従ってキーコード発信器が発する信号を検査してその検査に従って自動車上のロックを制御し、割り込み処理中参照キーコードレジスタに新しいキーコードを記憶するための処理を行い、該割り込み処理は参照キーコードレジスタから古いキーコードを自動的に消去するように動作し、それによって割り込み処理終了時において参照キーコードレジスタが割り込み処理中にキーコード発信器から出力されたキーコードを記憶するようなしたドアロック制御装置(CPU)。」(以下、「引用例1記載の発明」という。)の発明が記載されていると認める。

(2)同じく、甲第2号証の特開昭59-138674号公報(以下、「引用例2」という。)には、
(ア)「錠コードがコードおよび(または)他の読取り可能な情報を有する記録部材によつて記録されることができ、前記記録部材が記録後錠から取除くようにされた型の記録可能な電子錠において、錠が、供給される情報を一連のコード部材におけるいかなるコード部材に対しても記録させるようにしてコード化され、この一連のコード部材におけるまだ使用されていない別のコードが用いられるまで、一連のコード部材における既に使用された1つまたは複数のコード部材が有効とされ、これにより錠が自動的に新しいコードに記録され、既に使用された1つまたは複数のコード部材がもはや受入れられることのないようにしたことを特徴とする記録可能な電子錠。」(特許請求の範囲第1項)、
(イ)「この発明によれば、……前記一連のコード要素において既に使用した1つまたは複数のコード要素はその一連のコード要素における新しいまだ使用していないコード要素が使用されるまでは有効とされ、このため錠は自動的に新しいコードに記録され、それで既に使用した1つまたは複数のコード要素はもはや受入れられることはない。」(4頁左上欄10ないし19行)、
と記載されている。

(3)同じく、甲第5号証の特開昭59-476号公報(以下、「引用例3」という。)には、
(ア)「テンキーからの入力コードと暗号コードとの一致不一致を照合する照合部を有する操作部と、該操作部からの信号に従つて電気錠を制御する回路を含む制御部とからなる電気錠制御装置において、……暗号コード登録スイツチを操作して登録モードにした場合一定時間後に照合モードに切替える手段と、……を具備したことを特徴とする電気錠制御装置。」(特許請求の範囲第1項)、
(イ)「暗号コードを登録する場合、まず制御部Bの暗号コード登録スイツチBsを操作しなければならない。この操作信号Bcが書込制御タイマ17に入力され5分間のタイマが働く、この間に暗号コードを書込まないと書込めないようにしている。」(3頁右下欄6ないし11行)、
と記載されている。

(4)同じく、甲第6号証の特開昭61-278294号公報(以下、「引用例4」という。)には、
(ア)「本発明は、例えば、自動車のドアロックを遠隔操作するシステムの受信装置のように、常時受信可能な状態を維持する必要のある受信器のためのスタンバイ装置に関する。」(1頁右下欄19行ないし2頁左上欄2行)、
(イ)「本発明においては、受信回路での信号受信の有無を識別する受信識別手段および該受信識別手段の識別結果に応じて受信ユニット側の電気回路への供給電力を切換える電力切換手段を設ける。……例えば、遠隔操作用の信号として電波を利用する場合、受信識別手段は電波が受信されているかどうかを判定し、電力切換手段は、電波が受信されている時は電気回路各部に所定の電力を供給するが、電波が受信されなくなると、供給電力を小さくして消費電力を下げる。例えば、受信ユニットには、受信回路と、それが出力する信号に含まれる情報を識別してドアロック等を制御する制御回路とが含まれるが、電波を受信しない時は制御回路を作動させる必要はないので、制御回路に供給する電力は零にする。……本発明の好ましい実施例においては、受信回路の出力端子に得られる電気信号のノイズレベルを判定して、外部からの信号受信の有無を識別するとともに、信号受信無しなら、制御回路の供給電力を零にするとともに、受信回路への供給電圧を通常よりも小さくする。これにより、待機時の受信ユニット側の消費電力を更に小さくできる。」(2頁右上欄16行ないし同右下欄16行)、
(ウ)「第1図に、本発明を実施する自動車用の電子錠システムの受信側、即ち車上装置を示す。第1図を参照すると、この車上装置には、受信ユニット10,電源ユニット20,信号処理ユニット30,マイクロコンピュータ(以下、CPUと略す)40,スイッチマトリクス50,ドライバ60,70,80等々が備わっている。……スイッチマトリクス50には、この例では16個のスイッチが備わっており、それらはCPU40のポートPA及びPBに、マトリクス状に接続されている。これらの16個のスイッチの状態が、この車上装置自体が持つ唯1つの識別コードに対応する。ドライバ60,70及び80の出力端子には、それぞれ、右側ドアロック,左側ドアロック,及びトランクロックの各機構をアンロックに制御するソレノイドSL1,SL2及びSL3が接続されている。……CPU40は、信号ラインSG3に得られる二値シリアル信号を解読し、その結果に応じて出力ポートP10,P11及びP12の状態、即ちロック解除用のソレノイドSL1,SL2及びSL3を制御する。……信号ラインSG3に現われる正規の二値信号には、予め定めた送信機側の識別コードの情報が含まれている。CPU40は、その識別コードと、スイッチマトリクス50の状態で定まる受信機側の識別コードとを比較してそれらが一致する場合に所定の動作を行なう。ここで、この電子錠システムの送信機と受信機との間で伝送する情報の仕様を説明する。この例では、伝送する信号は、シリアル二値信号であり、一単位の情報は、第8a図に示すように24ビットでなっている。即ち、H-H-H-Lと続く予め定めた4ビットのヘッダ情報,それに続く4ビットの制御コード,及び16ビットの認識コード(識別コード)でなっている。……制御コードは、何を制御するのかを区別するのに利用される。」(3頁左上欄4行ないし同右下欄18行)、
(エ)「受信機の認識コードと受信データの認識コードとが一致すると、フラグFSTCが「1」になる。この時、受信データに含まれる制御、即ちアンロック制御用のソレノイドSL1,SL2又はSL3の付勢が行なわれる。」(6頁右下欄4ないし9行)、
(オ)「次に、この電子錠システムの送信機側、即ち携帯用アンロック操作ボードを説明する。……この操作ボードには認識コード生成回路100,マイクロコンピュータ(以下、CPUという)110,電源回路120,変調回路130,高周波増幅回路140等々が備わっている。SW1,SW2及びSW3は、それぞれ、右側ドアロック、左側ドアロック及びトランクロックの各機構のアンロックを指示する、スイッチである。認識コード生成回路100は、多数の抵抗器でなっており、CPU110の入力ポートR0〜R15の各々の状態を予め定めた2値レベルに固定する。CPU110がこれらのポートの状態を読み取ることによって、送信機側の16ビットの認識コードが生成される。」(10頁右上欄最終行ないし同左下欄16行)、
(カ)「スイッチSW1,SW2及びSW3のいずれかをオンに操作すると、この装置の電源がオンして、CPU110,変調回路130,高周波増幅回路140等に5Vの電圧が供給され、装置が動作を開始する。」(11頁左上欄7ないし11行)、
(キ)「電源がオンしてから、変調された電波が出力されるまでの時間を考える。……従って、電波(搬送波)が最初に出力されてから、約170msecの間は、変調波は出力されない。……約170msecと比較的長い期間、無変調波を送信すると、その間に受信機側では電波の受信を確認し、電源の自己保存を完了する」(17頁左下欄5行ないし同右下欄8行)、
と記載されており、上記記載及び第1図、第2a図、第5図、第8a図の記載からみて、引用例4には、「記憶された認識コード(識別コード)、受信した信号の認識コード(識別コード)を該記憶された認識コード(識別コード)と比較するCPU40、無変調波の受信に対してCPU40を起動及び活性化する電源ユニット20(電力切換手段)、及び認識コード(識別コード)の合致した受信信号の制御コードに対応のロック解除用のソレノイドSL1,SL2又はSL3を付勢するCPU40を有する車両設置の受信機に、シリアル二値信号を送信する携帯用アンロック操作ボード(送信機)であって、シリアル二値信号からなる認識コード(識別コード)を記憶する認識コード生成回路100、及び認識コード(識別コード)と複数から選ばれた1つの制御コードとを有するシリアル二値信号を送信する装置を有する携帯用アンロック操作ボード(送信機)。」(以下、「引用例4記載の発明」という。)の発明が記載されていると認める。

(5)同じく、甲第11号証の、昭和58年審判第18020号(昭和54年特許願第30111号「自動車用錠の制御装置」拒絶査定に対する審判事件)における昭和61年8月25日付け手続補正書(以下、「引用例5」という。)には、
(ア)「この発明は、自動車用錠特にその扉錠の制御装置に関するものであり」(明細書3頁9ないし10行)、
(イ)「第1図に提起された装置は、メッセージ用の発振器1によって構成される送信部A1を含んでいる。……発振器1によって発振されるメッセージMは、すべてのメッセージに対して同じである符号化されない第1の部分Mu(トリップ信号)、およびその後に続く符号化された第2の部分Mc(符号化メッセージ)を含んでおり、これらは直列伝送される。……受信部B1が前述のトリップ信号(trip signal)すなわちメッセージの第1の部分Muを受信することにより、該受信部B1は、特に比較器6および記憶器7が付勢される。」(明細書6頁5行ないし同7頁6行)、
と記載されている。

なお、引用例5を含む、上記審判事件の審判書類は、本願の優先権主張の日前に閲覧に供されているから、引用例5に記載のものは、本願の優先権主張の日前に日本国内において公然知られたものである。

4.対比・判断
(1)本願発明1について
本願発明1と引用例1記載の発明とを比較すると、引用例1記載の発明の「キーコード発信器が発する信号」、「キーコード受信器」、「参照キーコードレジスタ」が、本願発明1の「接近要求信号(S)」、「レシーバ(R)」、「レジスター(I,II)」に相当し、引用例1記載の発明の「キーコード受信器」と「ドアロック制御装置(CPU)」とを併せたものが、本願発明1の「リモート制御装置(A)」に相当し、引用例1記載の発明の「ドアロック制御装置(CPU)」の「キーコードに従ってキーコード発信器が発する信号を検査してその検査に従って自動車上のロックを制御」する部分が、本願発明1の「比較器」に対応し、引用例1記載の発明の「参照キーコードレジスタ」と、「ドアロック制御装置(CPU)」の「参照キーコードに従ってキーコード発信器が発する信号を検査してその検査に従って自動車上のロックを制御」する部分とを併せたものが、本願発明1の「貯蔵装置」及び「記憶装置」に対応し、引用例1記載の発明のドアロック制御装置(CPU)」の「割り込み処理中参照キーコードレジスタに新しいキーコードを記憶するための処理を行」う部分が、本願発明1の「フィールド・プログラミング装置」に対応するので、両者は、「自動車に取付けるのに適する且つ接近要求信号(S)を受信するレシーバ(R)を備えるリモート制御装置(A)であって、次の諸要素すなわち、受信されて自動車上の装置を制御する接近要求信号の部分をなす1つ以上の接近委任コードを貯蔵する貯蔵装置において、少なくとも2つの異なった接近委任コードを同時に貯蔵する適切なレジスター(I,II)及び接近委任コードに従って接近要求信号を検査してその検査に従って自動車上の装置を制御する比較器(202)、をもつ記憶装置(100)、およびプログラミング期間中記憶装置に新しい接近委任コードを貯蔵するためのフィールド・プログラミング装置(86)、を備え、該フィールド・プログラミング装置はプログラミング期間中記憶装置から古い接近委任コードを自動的に消去するよう動作し、それによってプログラミング期間終了時において記憶装置がプログラミング期間中に提示された接近委任コードを含むようなしたことを特徴とするリモート制御装置。」において一致し、次の点で相違する。

相違点
本願発明1では、プログラミング期間中記憶装置から古い接近委任コードのすべてが自動的に消去され、プログラミング期間終了時において、記憶装置はプログラミング期間中に提示された接近委任コードのみを含むのに対し、引用例1記載の発明では、プログラミング期間中記憶装置から古い接近委任コードの1つが自動的に消去され、プログラミング期間終了時において、記憶装置はプログラミング期間中に提示された接近委任コード以外の接近委任コードをも含む点

そこで、上記相違点について検討すると、引用例2には、電子錠において、既に使用した複数のコード要素(本願発明1の「古い接近委任コードのすべて」に相当)を受入れられないようにし、まだ使用されていない別のコード(本願発明1の「プログラミング期間中に提示された接近委任コード」に対応)のみを受け入れられるようにする点が記載されている。そして、引用例1記載の発明と引用例2記載のものは、電子錠という共通の技術分野に属するものであるから、引用例1記載の発明のフィールド・プログラミング装置に、引用例2記載の上記構成を適用して、相違点に係る本願発明1の構成とすることは当業者が容易になし得る事項である。そして、本願発明1によってもたらされる効果も、引用例1記載の発明及び引用例2記載のものから、当業者であれば当然に予測できる程度のものであって、顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明1は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本願発明2について
本願発明2は、本願発明1を引用してさらに、「フィールド・プログラミング装置が、第1の新しい接近委任コードが記憶装置に貯蔵されるとき、古い接近委任コードのすべてを記憶装置から消去する」という構成を限定したものであるが、引用例2には、「(1)本願発明1について」で検討した構成が記載されており、引用例1記載の発明のフィールド・プログラミング装置に、引用例2記載の上記構成を適用して、本願発明2において限定した構成とすることは当業者が容易になし得る事項である。
したがって、本願発明2は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本願発明3について
本願発明3は、本願発明1を引用してさらに、「フィールド・プログラミング装置がプログラミング期間中レシーバ装置によって受信される接近要求信号に対応する接近委任コードを記憶装置に貯蔵する手段を含む」という構成を限定したものであるが、この点は引用例1に記載されている。
したがって、本願発明3は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本願発明4について
本願発明4は、本願発明3を引用してさらに、「プログラミング期間中、フィールド・プログラミング装置はレシーバ装置が少なくとも1つの新しい接近要求信号を受信するまでは古い接近委任コードのすべてを記憶装置から消去しない」という構成を限定したものであるが、引用例2には、一連のコード要素において既に使用した1つまたは複数のコード要素(本願発明4の「古い接近委任コードのすべて」に相当)はその一連のコード要素における新しいまだ使用していないコード要素(本願発明4の「新しい接近要求信号」に相当)が使用されるまでは有効とする点が記載されており、引用例1記載の発明のフィールド・プログラミング装置に、引用例2記載の該構成を適用して、本願発明4において限定した構成とすることは当業者が容易になし得る事項である。
したがって、本願発明4は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)本願発明5について
本願発明5は、本願発明1を引用してさらに、「比較器が受信接近要求信号の少なくとも1部を記憶装置中に貯蔵されたそれぞれの接近委任コードと比較するための手段を含む」という構成を限定したものであるが、この点は引用例1に記載されている。
したがって、本願発明5は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)本願発明6について
本願発明6は、本願発明1を引用してさらに、「接近要求信号が接近コードを含み、接近委任コードがこの接近コードに固有である」という構成を限定したものであるが、この点は引用例1に記載されている。
したがって、本願発明6は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7)本願発明7について
本願発明7は、本願発明6を引用してさらに、「比較器が、受信接近要求信号に含まれる接近コードを記憶装置に貯蔵されるそれぞれの接近委任コードと比較して、受信信号に含まれる接近コードが記憶装置に貯蔵された接近コードの1つと同じであるときに自動車への接近を許す装置を含む」という構成を限定したものであるが、この点は引用例1に記載されている。
したがって、本願発明7は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(8)本願発明8について
本願発明8は、本願発明1を引用してさらに、「フィールド・プログラミング装置が固定した持続のプログラミング時間を与える部材を含む」という構成を限定したものであるが、この点は引用例3に記載されている。
したがって、本願発明8は、引用例1ないし3記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9)本願発明9について
本願発明9は、本願発明1を引用してさらに、「フィールド・プログラミング装置がプログラミング時間を開始するために手動で操作しうるスイッチを含む」という構成を限定したものであるが、この点は引用例3に記載されている。
したがって、本願発明9は、引用例1ないし3記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(10)本願発明10について
本願発明10は、本願発明9を引用してさらに、「フィールド・プログラミング装置がスイッチの手動操作に応答して固定した持続のプログラミング時間を開始する」という構成を限定したものであるが、この点は引用例3に記載されている。
したがって、本願発明10は、引用例1ないし3記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(11)本願発明11について
本願発明11は、本願発明1を引用してさらに、「レシーバ装置が自動車ドアの操作を制御する制御装置を含み、この制御装置が比較器に従い自動車ドア制御装置の制御操作を行う」という構成を限定したものであるが、この点は引用例1に記載されている。
したがって、本願発明11は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(12)本願発明12について
本願発明12は、本願発明1を引用してさらに、「自動車ドア制御装置が自動車ドアの少なくとも1つの施錠および開放を制御する手段を含む」という構成を限定したものであるが、この点は引用例1に記載されている。
したがって、本願発明12は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(13)本願発明13について
本願発明13は、本願発明1を引用してさらに、「接近要求信号が変調無線周波信号の形態で通信され、レシーバ装置が無線周波数の信号を受信しそこから接近要求信号を抽出する装置を含む」という構成を限定したものであるが、この点は引用例1に記載されている。
したがって、本願発明13は、引用例1及び2記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(14)本願発明17について
本願発明17と引用例4記載の発明とを比較すると、引用例4記載の発明の「電源ユニット20(電力切換手段)」、「受信機」、「シリアル二値信号」、「携帯用アンロック操作ボード(送信機)」、「認識コード生成回路100」、「制御コード」が、本願発明17の、コード比較器(202)を起動及び活性化する「装置(64)」、「レシーバ(R)」、「リモート2進数ビット制御信号(S)」、「トランスミッタ(T)」、独特の保証コードを記憶する「装置(40)」、「機能コード」に相当し、引用例4記載の発明の「認識コード(識別コード)」が、本願発明17の「保証コード」、「独特の保証コード」及び「独特保証コード」に相当し、引用例4記載の発明のCPU40は、ロック解除用のソレノイドSL1,SL2又はSL3を付勢するためにコマンドを出力することは明らかであるから、引用例4記載の発明の「CPU40」が、本願発明17の「保証コード比較器(202)」、及び車両機能コマンド(122-126)を出力する「装置(120)」に対応し、引用例4記載の発明の「ロック解除」が、本願発明17の「車両機能」に対応し、引用例4記載の発明の「無変調波」も一種の信号と捉えることができるから、両者は、「記憶された保証コード、受信した信号(S)の保証コードを該記憶された保証コードと比較する保証コード比較器(202)、信号(S)の受信に対してコード比較器(202)を起動及び活性化する装置(64)、及び保証コードの合致した受信信号(S)の機能コード部分に対応の車両機能コマンド(122-126)を出力する装置(120)を有する車両設置のレンーバ(R)に、リモート2進数ビット制御信号(S)を送信するトランスミッタ(T)であって、2進数ビットのシーケンスからなる独特の保証コードを記憶する装置(40)、及び独特保証コードと複数から選ばれた1の機能コードとを有する2進数ビットのシーケンスからなる信号を送信する装置(30-39)を有するトランスミッタ(T)。」において一致し、次の点で相違する。

相違点
本願発明では、トランスミッタ(T)が起動開始コードと独特保証コードと複数から選ばれた1の機能コードとを有する2進数ビットのシーケンスからなる総括3部分信号を送信するのに対し、引用例4記載の発明では、トランスミッタ(T)が独特保証コードと複数から選ばれた1の機能コードとを有する2進数ビットのシーケンスからなる信号を送信する点

そこで、上記相違点について検討すると、引用例5には、自動車用錠の制御装置において、発振器1(本願発明17の「トランスミッタ(T)」に相当)によって発振されるメッセージM(本願発明17の「総括3部分信号」に対応)は符号化されない第1の部分Mu(本願発明17の「起動開始コード」、「総括起動開始コード」に相当)、およびその後に続く符号化された第2の部分Mc(本願発明17の「保証コード」、「独特の保証コード」及び「独特保証コード」に相当)を含んでおり、これらは直列伝送される点が記載されている。そして、引用例4記載の発明と引用例5記載のものとは、トランスミッタという共通の技術分野に属するものであるから、引用例4記載の発明に、引用例5記載の上記構成を適用して、トランスミッタから送信される信号を総括3部分信号とし、その起動開始コードによって保証コード比較器(202)を起動及び活性化するようなすことは当業者が容易になし得る事項である。そして、本願発明17によってもたらされる効果も、引用例4記載の発明及び引用例5記載のものから、当業者であれば当然に予測できる程度のものであって、顕著なものとはいえない。
したがって、本願発明17は、引用例4及び5記載の発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(15)本願発明18について
本願発明18は、本願発明17を引用してさらに、「さらに起動開始コードが少なくとも2つの2進数ビットを有し、独特保証コードが少なくとも24の2進数ビットを有し、そして機能コードがそれぞれ少なくとも3つの2進数ビットを有する」という構成を限定したものであるが、送信するコード信号の長さを何ビットにするかは、必要に応じて当業者が適宜設定し得る設計事項にすぎない。

(16)本願発明19について
本願発明19は、本願発明17を引用してさらに、「さらに、それぞれ異なる機能に対応して且つ対応の機能コード、独特保証コード及び起動開始コードを有する総括3部分2進数ビット信号(S)を送信できる手動で活性化可能な複数のスイッチ(12,14,16)を有する」という構成を限定したものであるが、引用例4には、それぞれ異なる機能に対応する信号を送信できる複数のスイッチを設ける点が記載されており、また、トランスミッタに手動で活性化可能な複数のスイッチを設けることは、例えば実願昭60-148586号(実開昭62-56665号)のマイクロフィルムに記載のように周知技術である。
したがって、本願発明19は、引用例4及び5記載の発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(17)本願発明20について
本願発明20は、本願発明17を引用してさらに、「さらに1つの総括3部分2進数ビット信号(S)のみを送信する手動スイッチ(14)の活性化により操作されうる電源を有する請求項17のトランスミツタ(T)。」という構成を限定したものであるが、引用例4には、スイッチの活性化により操作されうる電源を有する点が記載されており、また、トランスミッタに手動スイッチを設けることは、「(16)本願発明19について」で検討したように周知技術である。
したがって、本願発明20は、引用例4及び5記載の発明及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明1ないし13及び17ないし20は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-07-19 
結審通知日 2001-08-03 
審決日 2001-08-16 
出願番号 特願昭63-117173
審決分類 P 1 8・ 121- ZB (E05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠夫原 光明鉄 豊郎  
特許庁審判長 幸長 保次郎
特許庁審判官 中田 誠
伊波 猛
発明の名称 リモート制御装置、該装置に使用するレシーバ、レシーバに制御信号を送信するトランスミッタ  
代理人 斉藤 武彦  

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