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審決分類 |
審判 全部無効 特123条1項8号訂正、訂正請求の適否 無効としない A62B |
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管理番号 | 1054517 |
審判番号 | 審判1999-35515 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1984-05-22 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 1999-09-24 |
確定日 | 2000-07-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第1662858号発明「安全ベルト巻取装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
【1】 手続の経緯 本件特許第1662858号発明(以下、「本件発明」という)は、昭和57年11月11日に出願され、平成4年5月19日に設定登録され、その後以下の経過を有するものである。 (1)平成4年7月16日付けで訂正審判請求(平成4年審判第13565号)がなされ、訂正認容の審決が、平成7年1月7日に確定(特許審判請求公告第757号公報参照)し、 (2)平成5年1月22日付けで無効審判請求(平成5年審判第1526号)がなされ、その審判に対して平成7年12月11日付けで「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決がなされ、 (3)前記(2)の審決に対し、東京高等裁判所に審決取消請求(平成8年(行ケ)第3号)がなされ、平成10年9月29日付けで「審決を取り消す。」との判決(以下、「高裁判決」という)が言渡され、 (4)前記高裁判決に対し、最高裁判所に上告(平成11年(行ツ)第17号及び平成11年(行ヒ)第1号)されたが、平成11年4月13日付けで「本件上告を棄却する。」との判決がなされ、その結果、前記高裁判決が確定した。 (5)前記高裁判決後の平成11年2月17日付けで訂正審判請求(平成11年審判第39014号)がなされ、訂正認容の審決が平成11年6月16に確定し、「【4】訂正の要旨」に示す訂正事項a.〜c.を要旨とする訂正(以下、本件訂正という)がなされた。 (6)平成11年9月24日付けで本件無効審判請求(平成11年審判第35515号)がなされた。 【2】 当事者の主張 1.請求人の主張 請求人は、平成11年審判第39014号による明細書についての訂正は、特許法第126条第1項ただし書き、第2、3項に違反するものであり、本件特許は、同法123条第1項第8号に該当し、無効とされるべきものであるとして、概略次の(1)〜(5)のように主張する。 (1)本件訂正は、いずれの箇所についても、明りょうでない記載の釈明としてなされた。本件訂正前の記載は、それ自体極めて明りょうな記載であり、本件発明が「エンドロックの発生防止又は回避を完全に行える旨」を明確に示している。これと異なる解釈が入り込む余地はない。したがって、訂正は、特許法第126条第1項ただし書きに違反する。 (2)本件訂正の訂正事項c.による訂正後の記載は、「阻止されることなく」との表現を含むものであり、エンドロックが完全に防止されることを意味している。訂正後の明細書がエンドロック回避率を高める発明であることを明りょうに示しているとはいえない。してみれば、訂正は、訂正後の記載が不明りょうであるから、明りょうでない記載の釈明に該当しない点で、特許法第126条第1項ただし書きに違反する。 (3)訂正事項a.〜c.は、訂正前の記載の範囲内ではない。 訂正された箇所を含め、明細書全体の解釈として、確定した高裁判決が、本件発明は、エンドロックを確実に回避する発明であると認定しているのであるから、訂正後の発明(エンドロック回避の率を高めればよい発明)が、訂正前の明細書の記載から一義的に導き出せるはずはない。 よって、本件訂正は、特許法第126条第2項の規定に違反する。 (4)本件訂正の結果、特許請求の範囲に記載された発明が、エンドロックを確実に回避される発明から、エンドロックの回避率が単に向上する発明に変更されたことに帰し、これは特許請求の範囲の実質的変更である。また、出願人の意図する作用効果を達成することが不可能な出願は、発明未完成と評価されるべきであり、一般に未完成発明を完成させる補正は要旨変更に当たると考えられる。本件訂正はこれと同様の性質のものであり、違法である。 したがって、本件訂正は、特許法第126条第3項の規定に違反する。 (5)本件発明は、高裁判決のとおり、エンドロックを完全に(100%近く)防止するものであると解釈しなければならず、これと異なる解釈を前提とした本件訂正は、違法である。 2.被請求人の主張 被請求人は、本件訂正は適法になされたものであり、本件特許を無効とする理由はないと反論すると共に、高裁判決について、「本件訂正審判は、高裁判決に沿ってその請求をなし、確定しているものであり、同判決の拘束力に何ら反するものではない。上記したように、本件訂正は、高裁判決が……当該明細書にはエンドロックの発生防止又は回避を完全に行えると解される記載があると認められると指摘したことに基づき、当該技術分野の技術常識との関係において明りょうでない記載を訂正したものであり、本件訂正には、請求人が指摘するような違法性は存在しない。」と主張している。 【3】 高裁判決の判事事項の概要 判決は、「慣性部材がロックリングを回転させる点及びエンドロックの解除の点について」において、「しかし、前記乙第2号証(山本藤夫らの実験報告書)の検討結果によれば、本件発明におけるカムスロットの延長部分の効果は、エンドロックの回避率を高めるものではあるが、その発生防止又は回避を100%近く確実に行えるものではないことが明らかである。そして、甲第2号証の2によれば、本件明細書には、他の箇所を見ても、前記乙第2号証のような実験結果の記載やカムスロットの延長部分の効果がエンドロックの発生防止又は回避の率を高めるものにすぎないことをうかがわせる記載はなく、かえって、『本発明の目的は、安全ベルト巻取装置の作動を確実にすることにあり、特に、ベルト格納時におけるエンドロックの発生を防止することにあり、』(甲第2号証の2第2頁左欄23行ないし26行)、『慣性部材36が静止して内歯46と爪50との係合が解かれたとき、ロックリング34は拘束を解かれてばね力により時計方向へ回転し、ポール26をラチェットホイール24との係合動作位置から、非係合の原位置へ移動させる。従って、エンドロットは防止され、ベルトは格納後いつでも引き出すことができる。』(同4頁左欄10行ないし17行)とエンドロックの発生防止又は回避を完全に行える旨記載されていることが認められるのであり、この点に関する記載内容は誤りというべきである。そうすると、本件発明がロックリングの内歯に干渉部分を有するもののみを対象としたものだとしても、当業者は、本件明細書にカムスロットの延長部分の効果がエンドロックの発生防止又は回避を完全に行えるものではないこと(すなわち、エンドロックの発生防止又は回避の率を高めるにすぎないこと)又はこれを示唆する記載がないために、エンドロックの完全な発生防止又は回避を求めて限りない実験を行わざるを得ないこととなるから、本件明細書の発明の詳細な説明中の『前記カムスロットは、前記ポールが前記動作位置にある間に前記カムフオロアを運動させることなしに前記ロックリングの前記ベルト引出方向への回転を可能にする延長部分を有する』(甲第2号証の2第2頁右欄11行ないし15行)との記載は、当業者が容易に実施をすることができる程度にその発明の目的、構成及び効果が記載されたものではなく、特許法36条4項(昭和62年法律第27号による改正前の特許法36条3項)に違反していると解さざるを得ない。」旨判示する。 【4】訂正の要旨 平成11年審判第39014号の訂正審判請求による訂正は、次の訂正事項a.〜c.を要旨とするものと認められる。 訂正事項a. 明細書の「本発明の目的は、安全ベルト巻取装置の作動を確実にすることにあり、特に、ベルト格納時におけるエンドロックの発生を防止することにあり、」(特許審判請求公告第757号公報2頁左欄23〜26行)を、「本発明の目的は、安全ベルト巻取装置の作動をより確実にすることにあり、特に、ベルト格納時におけるエンドロックの発生の防止を高めることにあり、」と訂正する。 訂正事項b. 明細書の「従って、エンドロックは防止され、ベルトは格納後いつでも引き出すことができる。」(特許審判請求公告第757号公報4頁左欄15〜17行)を、「従って、エンドロックが防止されたとき、ベルトは格納後いつでも引き出すことができる。」と訂正する。 訂正事項c. 明細書の「巻取軸の確実な作動を得ることができ、安全ベルト巻取装置の信頼性を一層高めることができる。」(特許審判請求公告第757号公報4頁右欄6〜7行)を、「巻取軸のより確実な作動を得ることができ、安全ベルト巻取装置の信頼性を一層高めることができる。」と訂正する。 【5】 当審の判断 1.訂正の目的 (1)訂正事項a.について 本件特許明細書(本件訂正前明細書をいう。以下同じ。)の「本発明の目的は、安全ベルト巻取装置の作動を確実にすることにあり、特に、ベルト格納時におけるエンドロックの発生を防止することにあり、」(特許審判請求公告第757号公報第2頁左欄第23〜26行)、「従って、エンドロックは防止され、ベルトは格納後いつでも引き出すことができる」(特許審判請求公告第757号公報第4頁左欄15〜17行)等の記載を参照すると、本件特許明細書の発明の詳細な説明に、エンドロックの発生防止又は回避を完全に行える旨の記載があるものと認められる。 一方、特許明細書の発明の詳細な説明には、「本発明は、これを防止するために、ラチェットホィール24にポール26が係合していったんロック状態となったのちに、なお継続する慣性部材36の慣性回転を利用してロックリング34を回転させ、これにより爪50を内歯46から解除し、ロックリングの引き続くばね力による復帰運動を可能にする。このために、カムスロット48は、第5図に示すように、ポール26がラチェットホィール24に係合したときのカムフォロア30の占める位置がカムスロットの両端間にあるように、長さeの延長部分48aを有する。この延長部分48aの存在により、ロックリング34はカムフォロア30を全く運動させることなく、従ってポールをラチェットホィールに係合させたまま、第6図に示すように延長部分48aの端部がカムフォロア30に当たるまで、ベルト引出方向すなわち反時計方向へ回転することができる。慣性部材36が静止して内歯46と爪50との係合が解かれたとき、ロックリング34は拘束を解かれてばね力により時計方向に回転し、ポール26をラチェットホィール24との係合動作位置から、非係合の原位置へ移動させる。」(特許審判請求公告第757号公報第3頁右欄37行〜同第4頁左欄第15行)と記載されており、これらの記載から、前記「延長部分48aの存在により」、「ロックリング34」が「ベルト引出方向すなわち反時計方向へ回転すること」が可能となり、その「ロックリング34」の回転が慣性回転によるものであることが理解できる。そして、前記「ロックリング34」のベルト引出方向すなわち反時計方向への回転が慣性回転によるものであるから、「爪50を内歯46から解除」する程度のロックリング34の回転が生じるか否かは、その慣性回転の回転力の大きさ、各運動部分の摩擦力等に依存し、100%の確率で又は常に「爪50を内歯46から解除」する程度のロックリング34の回転が生じるものでないことは、当業者にとって技術常識と認められる。 しからば、特許明細書の発明の詳細な説明に、エンドロックの発生防止又は回避のための主要な構成である、カムスロットの「前記ポールが前記動作位置にある間に前記カムフォロアを運動させることなしに前記ロックリングの前記ベルト引出方向への回転を可能にする延長部分」について、エンドロックの発生防止又は回避を完全に行える構成が記載されているとは到底いえない。 したがって、特許明細書の「本発明の目的は、安全ベルト巻取装置の作動を確実にすることにあり、特に、ベルト格納時におけるエンドロックの発生を防止することにあり、」との記載は、その記載が意味するところは明確であっても、その記載は誤りであり、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載は、発明の目的についての記載とその目的を達成するための構成として記載された事項との関係において不整合を生じているものと認められる。 訂正事項aは、発明の目的についての特許明細書の「本発明の目的は、安全ベルト巻取装置の作動を確実にすることにあり、特に、ベルト格納時におけるエンドロックの発生を防止することにあり、」(特許審判請求公告第757号公報2頁左欄23〜26行)との記載を、「本発明の目的は、安全ベルト巻取装置の作動をより確実にすることにあり、特に、ベルト格納時におけるエンドロックの発生の防止を高めることにあり、」と訂正して、明細書の発明の詳細な説明における発明の目的についての記載を「エンドロックの発生防止又は回避を完全に行える」旨のものから、特許明細書の発明の詳細な説明及び図面に記載された実施例の構成に則して「エンドロックの発生防止又は回避」を従来技術に比較して相対的に高めるものであることを示す記載に訂正し、発明の詳細な説明における発明の目的についての記載とその目的を達成するための構成として記載された事項との関係を整合させるものであって、訂正事項aは明りょうでない記載の釈明に相当するものと認める。 (2)訂正事項b.について 訂正事項bは、安全ベルト捲取装置の作動の説明において、エンドロックの発生防止又は回避を完全に行えるものであるかの如き記載を、エンドロックの発生防止又は回避の率が高められる程度のものであることを示す記載に訂正するものであり、上記訂正事項aと同様の理由により、明りょうでない記載の釈明に相当するものと認める。 (3)訂正事項c.について 訂正事項cによって、発明の効果について「本発明によれば、エンドロック又は不測のロックによって巻取軸の回転が阻止されることなく、巻取軸のより確実な作動を得ることができ、安全ベルト捲取装置の信頼性を一層高めることができる。」と記載されることとなった。 前記訂正事項aに関連して記載したように、発明の詳細な説明に、エンドロックの発生防止又は回避のための主要な構成である、カムスロットの「前記ポールが前記動作位置にある間に前記カムフォロアを運動させることなしに前記ロックリングの前記ベルト引出方向への回転を可能にする延長部分」について、エンドロックの発生防止又は回避を完全に行える構成が記載されているとは到底いえない。発明の効果に関連する記載を、特許明細書に実施例として記載されたものが有する、エンドロックの発生防止又は回避の率が高められる効果と整合するように訂正することは、明りょうでない記載の釈明に相当するものと認められる。 そして、訂正事項cによる訂正後の記載は、訂正事項aによる訂正後の記載及び実施例の記載と整合し、エンドロックの発生防止又は回避の率が高められるという発明の効果を記載したものであることは明りょうと認められるから、「巻取軸の回転が阻止されることはなく」との記載を、エンドロックの発生防止又は回避を完全に行えるものであると解釈するのは不合理である。 2.新規事項の有無について 本件特許明細書には、「本発明の目的は、安全ベルト巻取装置の作動を確実にすることにあり、特に、ベルト格納時におけるエンドロックの発生を防止することにあり、」、「慣性部材36が静止して内歯46と爪50との係合が解かれたとき、ロックリング34は拘束を解かれてばね力により時計方向へ回転し、ポール26をラチェットホイール24との係合動作位置から、非係合の原位置へ移動させる。従って、エンドロットは防止され、ベルトは格納後いつでも引き出すことができる。」とエンドロックの発生防止又は回避を完全に行える旨の記載があるものと認められる。ここに引用したエンドロックの発生防止又は回避を完全に行える旨の記載は、エンドロックの発生防止又は回避の率を高め、その程度が完全或いは100%近くまで高められる旨の記載と認められるから、その内容に、エンドロックの発生防止又は回避の率を高めるものであることを含むことは明白であり、「エンドロックの発生防止又は回避」を従来技術に比較して相対的に高めることを発明の目的の一部としていることは、特許明細書に、直接的かつ一義的に記載されていたものと認定できる。そして、本件特許明細書に記載された実施例のものが、エンドロックの発生防止又は回避の率を高めるものであることは、明細書の記載から明白である。 したがって、上記訂正事項a〜cは、特許明細書に記載した事項の範囲内のものと認められる。 3.特許請求の範囲の拡張又は変更について 本件訂正は、エンドロックの発生防止又は回避という同一の目的の範囲内で、その目的の達成の程度について、発明の詳細な説明において、上記訂正事項aのとおり、発明の目的に関する記載を訂正するとともに、実施例のものの作動、発明の効果に関して訂正事項b,cのとおり訂正するものであり、特許請求の範囲を訂正するものではない。 本件特許明細書の発明の詳細な説明及び図面に記載された実施例のものは、「ロックリング34」のベルト引出方向すなわち反時計方向への回転が慣性回転によるものであるから、「爪50を内歯46から解除」する程度のロックリング34の回転が生じるか否かは、その慣性回転の回転力の大きさ、各運動部分の摩擦力等に依存し、100%の確率で又は常に「爪50を内歯46から解除」する程度のロックリング34の回転が生じるものでないことは、当業者にとって技術常識であり、本件特許明細書の特許請求の範囲に記載された構成のものも、100%の確率で又は常に「爪50を内歯46から解除」する程度のロックリング34の回転が生じるものでないこと、「エンドロックの発生防止又は回避を完全に行える」ものでないことは、当業者にとって明白と認められる。 したがって、上記訂正事項a〜cは、特許明細書の発明の詳細な説明及び図面に記載された実施例並びに特許請求の範囲の構成に則して、上記「1.訂正の目的」の「(1)」〜「(3)」に記載したように、明りょうでない記載を釈明したものにすぎない。 そして、上記訂正事項a〜cによって、特許請求の範囲に記載された構成要件についての削除・入れ替え・上位概念への変更が生じるものでもなく、択一的記載の要素の追加、数値範囲のずれ又は拡張、目的の範囲を逸脱する技術的事項の変更、発明のカテゴリー又は対象の変更が生じるものではない。 更に、特許明細書の発明の詳細な説明及び図面に、実施例として、エンドロックの発生防止又は回避を高めるための構成が記載されているから、本件訂正が、未完成発明を完成させるものとは認められない。 よって、本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものとは認められない。 4.高裁判決との関係について 判決は、「エンドロックの発生防止又は回避を完全に行える旨記載されていることが認められるのであり、この点に関する記載内容は誤りというべきである。」、「本件明細書の発明の詳細な説明中の『前記カムスロットは、前記ポールが前記動作位置にある間に前記カムフオロアを運動させることなしに前記ロックリングの前記ベルト引出方向への回転を可能にする延長部分を有する』(甲第2号証の2第2頁右欄11行ないし15行)との記載は、当業者が容易に実施をすることができる程度にその発明の目的、構成及び効果が記載されたものではなく、特許法36条4項(昭和62年法律第27号による改正前の特許法36条3項)に違反していると解さざるを得ない。」とし、特許明細書に当業者が容易に実施をすることができる程度に発明の目的、構成及び効果が記載されていないことを判示しているものと認められるところ、本件訂正は、記載内容の誤りを訂正し、当業者が容易に実施をすることができる程度に、明細書における発明の目的、構成及び効果の記載を整合させるものであるから、違法性はない。 5.以上のとおり、上記訂正事項a〜cは、明りょうでない記載の釈明を目的とし、特許明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、また実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、平成11年審判第39014号による訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第126条第1〜3項の規定に適合するものと認められる。 【6】 むすび 以上のとおりであるから、審判請求人が主張する理由及び提出した証拠によっては、本件特許を無効とすることはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2000-03-10 |
結審通知日 | 2000-03-24 |
審決日 | 2000-05-29 |
出願番号 | 特願昭57-196792 |
審決分類 |
P
1
112・
831-
Y
(A62B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 常盤 務 |
特許庁審判長 |
蓑輪 安夫 |
特許庁審判官 |
鈴木 法明 大島 祥吾 |
登録日 | 1992-05-19 |
登録番号 | 特許第1662858号(P1662858) |
発明の名称 | 安全ベルト巻取装置 |
代理人 | 遠山 勉 |
代理人 | 貞重 和生 |
代理人 | 天野 正景 |
代理人 | 牧野 利秋 |
代理人 | 久保田 穣 |
代理人 | 増井 忠弐 |