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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G11B |
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管理番号 | 1054792 |
審判番号 | 審判1999-18326 |
総通号数 | 28 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-07-21 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-11-15 |
確定日 | 2002-03-05 |
事件の表示 | 平成10年特許願第199341号「同期検出装置及びそれを採用する光ディスク再生装置」拒絶査定に対する審判事件[平成11年 7月21日出願公開、特開平11-195276]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.出願の経緯 本願は、平成10年7月14日(パリ条約による優先権主張1997年12月26日、大韓民国)の出願であって、「同期検出装置及びそれを採用する光ディスク再生装置」に関するものと認める。 2.拒絶の理由 これに対して、当審における、平成13年4月23日付けの拒絶の理由の概要は、次のとおりである。 「本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項又は第6項に規定する要件を満たしていない。 記 (第36条第4項に基づく委任省令違反について) 1.(中略) すなわち、前記「同期保護ウィンドウ信号が同期検出信号の同期をずれた後、同期検出信号が正常的に発生する」場合に、請求項1に係る発明がどのように動作して「同期挿入信号の発生を中止させる」のか、あるいは「ノイズ」が生じたときに、請求項1に係る発明がどのように動作して「同期保護ウィンドウが設定されないようにする」のかが、発明の詳細な説明又は図面で説明されていない。 (第36条第4項における実施可能要件違反について) 2.本願の請求項1に係る発明は、その解決しようとする課題(発明の詳細な説明第9段落)から鑑みて ・「同期保護ウィンドウ信号が同期検出信号の同期をずれた後、同期検出信号が正常的に発生する場合、同期挿入信号の発生を中止させる同期検出装置」 ・「ノイズに応じて同期保護ウィンドウが設定されないようにする同期検出装置」 の発明であるが、発明の実施の形態の記載において、請求項1中の発明を特定するための事項に対応する技術的手段が以下の点で不明である。 (1)不明点1 (略) (2)不明点2 発明の詳細な説明第18段落に記載された、「比較器240」が出力する「計数クロック」とは、どのようなものであるかが不明である。 なお、出願人は平成12年9月20日付け意見書において、「比較器240」が出力する前記「計数クロック」は「第1計数部236の出力」であると主張しているが、その後の当審からの問い合わせに対して出願人が提出した、平成13年3月16日付け及び平成13年4月16日付けファクシミリにおける説明では、「比較器240」の出力はホールドされた計数値と正常な同期検出時の計数値との一致/不一致を示すH/Lの出力であることから、上記意見書の主張とファクシミリの説明とが矛盾しており、何が正しい本願発明の動作なのかが不明である。 (3)不明点3 「第2計数部242」は、上記第18段落の記載からは、『前記計数クロックを所定数計数した後、常にリセット制御信号を出力するもの』としか解釈できず、該解釈によれば、『同期保護ウィンドウ信号が同期検出信号の同期をずれた後、同期検出信号が発生すると、それが正常的なものかノイズによる誤検出かに関わらず、常にリセット制御信号を出力して、その結果、保護同期ウィンドウを再設定すると共に、同期挿入信号の発生を中止する』ものとなってしまう。 この動作は、前記「同期検出が正常的に発生する場合、同期挿入信号の発生を中止させる」や、前記「ノイズに応じて同期保護ウィンドウが設定されないようにする」とは相反するから、本願の発明の詳細な説明には、前記「同期保護ウィンドウ信号が同期検出信号の同期をずれた後、同期検出信号が正常的に発生する場合、同期挿入信号の発生を中止させる同期検出装置」の発明や、「ノイズに応じて同期保護ウィンドウが設定されないようにする同期検出装置」の発明を、当業者が実施することができる程度に記載されているとは認められない。 なお、前記ファクシミリの説明での比較器240は「ホールドされた計数値が正常的な同期検出がなされた時の計数値と同一ならばHレベルを出力」し、第2計数部242は「比較器240がHレベル信号を出力する間における検出同期信号GOODの連続回数を計数し、該計数値が予め設定された値になるとリセット制御信号をHレベルにし、比較器240がLレベル信号を出力するとリセット制御信号をLレベルにする」ことにより、「同期検出が正常的に発生する場合」を検出するものであるが、前記ファクシミリの説明での第2計数部242の「比較器240がHレベル信号を出力する間における検出同期信号GOODの連続回数を計数」及び「比較器240がLレベル信号を出力するとリセット制御信号をLレベルにする」は、本願の発明の詳細な説明及び図面には記載されていない動作であるから、全体として前記ファクシミリの説明は採用できない。 (中略) (第36条第6項第2号違反について) 3.(中略)本願の請求項1に係る発明を特定するための事項である「第2計数部(242)」は、前記請求項1の記載からは、 『前記計数クロックを所定数計数した後、常にリセット制御信号を出力するもの』 としか解釈できず、該解釈によれば、 『同期保護ウィンドウ信号が同期検出信号の同期をずれた後、同期検出信号が発生すると、それが正常的なものかノイズによる誤検出かに関わらず、常にリセット制御信号を出力して、その結果、保護同期ウィンドウを再設定すると共に、同期挿入信号の発生を中止する』 ものとなってしまい、前記「同期検出信号が正常的に発生する場合、同期挿入信号の発生を中止させる」や前記「ノイズに応じて同期保護ウィンドウが設定されないようにする」ことができないから、本願の請求項1に係る発明は技術的な欠陥があり明確でない。」 3.当審の判断 イ.第36条第4項における実施可能要件違反について 上記拒絶の理由に対して、請求人は、平成13年8月10日付けで意見書を提出し、拒絶の理由の2.(2)で指摘した「比較器240」について、 「審判官殿の理解のために送付したタイムチャートと正確に一致するわけではありません。」 と主張し、 ・請求人が平成12年9月20日付け意見書でいう「第1計数部236の出力」するもの ・請求人が平成13年3月16日付け及び平成13年4月16日付けファクシミリで説明した、「ホールドされた計数値と正常な同期検出時の計数値との一致/不一致を示すH/Lの出力」するもの、 のいずれでもなく、新たな、 「正常的な同期検出がなされた時の計数値とホールドされた計数値と同一ならば、計数クロックを出力して、第2計数部242が計数クロックを計数し、正常的な同期検出がなされた時の計数値とホールドされた計数値とが同一でないならば、該同期検出信号が正常的に発生しなかったと判断し、第2計数部242に計数クロックを出力しない、という構成」 であると説明しているが、請求人のこれまでの説明が正しくなく、今回の説明が正しいという根拠もなく、かつ、いずれの説明のとおりのものであると認められる程度に明細書に構成が記載されていないから、何が正しい本願の実施例の動作なのかが不明である。 また、請求人は上記意見書で、拒絶の理由の2.(3)で指摘した「第2計数部242」について、 「“第2計数部242は、同期検出信号が正常である時のみに比較器240から出力される計数クロックを計数する”という構成は、“第2計数部242は、比較器240がHレベル信号を出力する間(正常的な同期検出がなされた時の計数値とホールドされた計数値とが同一である場合、つまり、同期検出信号が正常的に発生する間)、検出同期信号の同期検出信号(検出同期信号GOOD)の連続回数を計数する”という構成と同一です。」 と説明している。 しかし、第2計数部242にはリセットされる構成がない(計数する信号が連続しない時点でリセットされるわけではない)から、『入力される「計数クロック」が連続しているか否かに関わらず計数する』ものとしか解釈できず、したがって、請求人が平成13年3月16日付け及び平成13年4月16日付けファクシミリで説明した「連続回数を計数する」構成と同一であるとは認められないものであると共に、明細書中にはそのような構成であると認めるに足りる程度には構成が記載されていない。 よって、請求人の説明は採用できない。また、上記拒絶の理由に対して、請求人は補正を行っていない。 したがって、上記拒絶の理由の2.(2)、(3)で指摘した不備は、依然として解消していない。 ロ.第36条第4項に基づく委任省令違反について 上記拒絶の理由の1の指摘に対して、請求人は何の意見も述べていない。また、上記拒絶の理由に対して、請求人は補正を行っていない。さらに、上記イ.で述べたように実施例の構成に不備があるから、動作を推測することもできない。 したがって、発明の詳細な説明及び図面には、発明が解決しようとする課題の解決手段について、当業者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項が記載されていないから、特許法第36条第4項で引用する特許法施行規則第24条の2で規定する要件を満たしていない。 ハ.第36条第6項第2号違反について 請求人が上記意見書で行った、「第2計数部(242)」の説明は、上記イ.で述べたように明細書に記載された構成に基づくものではなく、採用できないから、上記拒絶の理由の3.で指摘した不備は、依然として解消していない。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願は、特許法第36条第4項又は第6項に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-09-25 |
結審通知日 | 2001-10-09 |
審決日 | 2001-10-23 |
出願番号 | 特願平10-199341 |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(G11B)
P 1 8・ 536- WZ (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 後藤 和茂、▲吉▼澤 雅博、小林 大介 |
特許庁審判長 |
内藤 二郎 |
特許庁審判官 |
田良島 潔 伊東 和重 |
発明の名称 | 同期検出装置及びそれを採用する光ディスク再生装置 |
代理人 | 志賀 正武 |