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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1054900
異議申立番号 異議2000-73915  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-05-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-10-17 
確定日 2001-11-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3034243号「一体型インターネットカメラおよびインターネットカメラシステム」の請求項1ないし44に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3034243号の請求項1ないし40に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3034243号の請求項1ないし40に係る発明は、平成10年12月4日に特許出願され、平成12年2月18日にその特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人溝呂木寛、渡部廣美より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年5月9日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、再度取消理由が通知され、その指定期間内である平成13年10月17日に訂正請求がなされたものである。


2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
訂正前の請求項3、11、27、35を削除し、これに伴い項数を繰り上げる。

イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1に、「前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置」と「前記宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置」を「カメラ本体の内部」に収納するという限定を加えるとともに、「前記光学システム、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、および前記伝送開始装置と、前記第1のスケジューリング装置との間の動作および通信も前記マイクロコントローラにより制御される」という限定を加える。

ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項1、及び請求項22(訂正前の請求項24)において、所定のファイル転送プロトコルをFTPに、所定のインターネット・トランスポート制御プロトコルをTCP/IPにそれぞれ限定する。

エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項1において、明細書第1ページ第12行目〜13行目(特許第3034243号、第1欄第11行目)に記載の「ネットワークインターフェース装置」を「前記ネットワークインターフェース装置」とし、明細書第1ページ第23」行目、第26行目(特許第3034243号、第2欄第13行目および第3欄第3行目)の「トランスポート制御装置」を「前記トランスポート制御装置」に訂正する。

オ.訂正事項e
特許請求の範囲の請求項22(訂正前の請求項24)に、「前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの前記宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置と、前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリから構成情報を検索する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って、前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置」を有するという限定を加える。

カ.訂正事項f
さらに、特許請求の範囲の請求項22(訂正前の請求項24)に、構成情報検索装置が構成情報を「回収する」という限定を加える。

キ.訂正事項g
特許請求の範囲の請求項22(訂正前の請求項24)において、明細書第5ページ第28行目(特許第3034243号、第6欄第15行目)に記載の「ネットワークインターフェース装置」を「前記ネットワークインターフェース装置」に、明細書第5ページ第28行目および29行目および明細書第6ページ第2行目(特許第3034243号、第6欄第15行目〜16行目、17行目および第19行目〜20行目)に記載の「宛先シェル・アカウント」を「前記宛先シェル・アカウント」にそれぞれ訂正する。

ク.訂正事項h
特許請求の範囲の請求項5(訂正前の請求項6)を、請求項1の訂正個所との重複を避け、かつ請求項の番号の繰り上げに対応するため、以下の通り訂正する。
「さらに、前記構成設定装置は、前記構成情報に従って前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。」

ケ.訂正事項i
特許請求の範囲の請求項9(訂正前の請求項10)を、請求項1の訂正との整合性をとり、かつ請求項の番号の繰り上げに対応するため、以下の通り訂正する。
「前記構成設定装置がさらに、前記構成情報に従って、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置、前記第2のスケジューリング装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。」

コ.訂正事項j
特許請求の範囲の請求項27(訂正前の請求項30)を、訂正前の請求項24の訂正個所との重複を避け、かつ請求項の番号の繰り上げに対応するため、以下の通り訂正する。
「前記構成設定装置が、さらに前記構成情報に従って前記画像取込みシステム、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項22又は請求項26のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。」

サ.訂正事項k
特許請求の範囲の請求項31(訂正前の請求項34)を、請求項22(訂正前の請求項24)の訂正箇所との整合性をとり、かつ請求項の番号の繰り上げに対応するため、以下の通り訂正する。
「前記構成設定装置がさらに、前記構成情報に従って、前記画像取込みシステム、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置、前記第2のスケジューリング装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項28から請求項30のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。」

シ.訂正事項l
特許請求の範囲の請求項10、15、16、23、34、35(訂正前の請求項12、17、18、25、38、39)に記載の「所定のインターネット・トランスポート制御プロトコル」を、「インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IP」と訂正する。

ス.訂正事項m
特許請求の範囲の請求項15、34(訂正前の請求項17、38)に記載の「トランスポート制御装置」を「前記トランスポート制御装置」と訂正する。

セ.訂正事項n
特許請求の範囲の請求項15、33、34(訂正前の請求項17、37、38)に記載の「ファイル転送装置」を「前記ファイル転送装置」と訂正する。

ソ.訂正事項o
特許請求の範囲の請求項28、39(訂正前の請求項31、43)に記載の「画像取り込み回路」を「画像取り込みシステム」と訂正する。

タ.訂正事項p
請求項の番号の繰り上げと整合性を取るため、以下の通り請求項の従属先を訂正する。
・請求項3(訂正前の請求項4)の「請求項3に記載」を「請求項1または
請求項2に記載」に訂正する。
・請求項4(訂正前の請求項5)の「請求項4に記載」を「請求項3に記載
」に訂正する。
・請求項6(訂正前の請求項7)の「請求項1から請求項6のいずれかに記
載」を「請求項1から請求項5のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項7(訂正前の請求項8)の「請求項7に記載」を「請求項6に記載
」に訂正する。
・請求項8(訂正前の請求項9)の「請求項8に記載」を「請求項7に記載
」に訂正する。
・請求項10(訂正前の請求項12)の「請求項1から請求項11のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項9のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項11(訂正前の請求項13)の「請求項1から請求項12のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項10のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項12(訂正前の請求項14)の「請求項1から請求項13のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項11のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項13(訂正前の請求項15)の「請求項1から請求項14のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項12のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項14(訂正前の請求項16)の「請求項1から請求項15のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項13のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項15(訂正前の請求項17)の「請求項1から請求項16のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項14のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項16(訂正前の請求項18)の「請求項1から請求項17のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項15のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項17(訂正前の請求項19)の「請求項1から請求項18のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項16のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項18(訂正前の請求項20)の「請求項19に記載」を「請求項1
7に記載」に訂正する。
・請求項19(訂正前の請求項21)の「請求項1から請求項20のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項18のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項20(訂正前の請求項22)の「請求項1から請求項21のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項19のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項21(訂正前の請求項23)の「請求項1から請求項22のいずれ
かに記載」を「請求項1から請求項20のいずれかに記載」に訂正する。
・請求項23(訂正前の請求項25)の「請求項24に記載」を「請求項2
2に記載」に訂正する。
・請求項24(訂正前の請求項26)の「請求項24または請求項25に記
載」を「請求項22または請求項23に記載」に訂正する。
・請求項25(訂正前の請求項28)の「請求項27に記載」を「請求項2
4に記載」に訂正する。
・請求項26(訂正前の請求項29)の「請求項28に記載」を「請求項2
5に記載」に訂正する。
・請求項28(訂正前の請求項31)の「請求項24から請求項30のいず
れかに記載」を「請求項22から請求項27のいずれかに記載」に訂正す
る。
・請求項29(訂正前の請求項32)の「請求項31に記載」を「請求項2
8に記載」に訂正する。
・請求項30(訂正前の請求項33)の「請求項32に記載」を「請求項2
9に記載」に訂正する。
・請求項32(訂正前の請求項36)の「請求項24から請求項35のいず
れかに記載」を「請求項22から請求項31のいずれかに記載」に訂正す
る。
・請求項33(訂正前の請求項37)の「請求項24から請求項36のいず
れかに記載」を「請求項22から請求項32のいずれかに記載」に訂正す
る。
・請求項34(訂正前の請求項38)の「請求項24から請求項37のいず
れかに記載」を「請求項22から請求項33のいずれかに記載」に訂正す
る。
・請求項35(訂正前の請求項39)の「請求項24から請求項38のいず
れかに記載」を「請求項22から請求項34のいずれかに記載」に訂正す
る。
・請求項36(訂正前の請求項40)の「請求項24から請求項39のいず
れかに記載」を「請求項22から請求項35のいずれかに記載」に訂正す
る。
・請求項37(訂正前の請求項41)の「請求項40に記載」を「請求項3
6に記載」に訂正する。
・請求項38(訂正前の請求項42)の「請求項24から請求項41のいず
れかに記載」を「請求項22から請求項37のいずれかに記載」に訂正す
る。
・請求項39(訂正前の請求項43)の「請求項24から請求項42のいず
れかに記載」を「請求項22から請求項38のいずれかに記載」に訂正す
る。
・請求項40(訂正前の請求項44)の「請求項24から請求項43のいず
れかに記載」を「請求項22から請求項39のいずれかに記載」に訂正す
る。

チ.訂正事項q
発明の詳細な説明で、段落【0009】ないし【0012】の記載を以下のように変更する
「 【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、撮像装置と、撮像装置上に画像を形成する光学システム
と、撮像装置からデジタル画像を取り込む画像取込み回路とを有して、デ
ジタル画像をインターネット・アドレスへ送信する一体型インターネット
カメラを提供することによって達成される。一体型インターネットカメラ
は、デジタル画像ファイルをインターネットへ送信できるようにインター
ネットにネットワーク・インタフェース装置で接続されており、ファイル
転送装置が、ネットワーク・インタフェース装置を介して所定のインター
ネット・アドレスにある宛先シェル・アカウントとファイル転送プロトコ
ルFTPに従って通信することにより、デジタル画像ファイルを宛先シェ
ル・アカウントへ転送する。前記宛先シェル・アカウント内のデジタル画
像ファイルは、インターネットにアクセスするユーザに対し利用可能とな
る。
【0010】
具体的には、トランスポート制御装置が、インターネット・トランスポ
ート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケッ
ト化すると共に、パケット化されたデジタル画像ファイルを所定のインタ
ーネット・アドレスへ送信すべくアドレス制御し、同時に、送信開始装置
が、トランスポート制御装置およびネットワーク・インタフェース装置を
介してインターネットとの接続を開始する。尚、タイマを含む第1のスケ
ジューリング装置が、トランスポート制御装置およびファイル転送装置に
よるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送のスケジュ
ーリングを行うようにすることができ、マイクロコントローラが、前述の
各装置間の動作および通信を制御している。そして、前述の全ての装置お
よびマイクロコントローラが、カメラ本体に収納されている。また上記一
体型インターネットカメラは、構成装置を有し、構成装置は、構成情報検
索装置と構成設定装置とを有する。構成情報検索装置は宛先シェル・アカ
ウントから構成情報を検索、回収し、それに対して構成設定装置は構成情
報に従って、第1のスケジューリング装置等の動作パラメータを設定する

【0011】
本発明の他の態様としては、所定のインターネット・アドレスにユーザ
・ディレクトリを有する宛先シェル・アカウントに対し、インターネット
経由でデジタル画像を送信する場合で、インターネットを介して宛先シェ
ル・アカウントのユーザ・ディレクトリにアクセスするアクセス装置を有
したインターネットカメラシステムが考えられる。カメラ本体は、画像取
込みシステムと、ネットワーク・インタフェース装置と、ファイル転送装
置と、トランスポート制御装置と、送信開始装置と、第1のスケジューリ
ング装置と、構成情報検索装置と構成設定装置とを含む構成装置を有する
。画像取込みシステムはデジタル画像の取り込みを行い、ネットワーク・
インタフェース装置は、デジタル画像ファイルをインターネットへ送信で
きるようにインターネットに接続することができる。ファイル転送装置は
、ネットワーク・インタフェース装置を介して宛先シェル・アカウントと
通信し、ファイル転送プロトコルFTPに従って宛先シェル・アカウント
のユーザ・ディレクトリへデジタル画像を転送する。前記宛先シェル・ア
カウントのユーザ・ディレクトリ内の転送されたデジタル画像ファイルは
、インターネットにアクセスしてアクセス装置を用いることにより、利用
可能となる。
【0012】
具体的には、トランスポート制御装置が、インターネット・トランスポ
ート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケッ
ト化すると共に、パケット化されたデジタル画像ファイルの、所定のイン
ターネット・アドレスへのアドレス指定を制御し、送信開始装置が、トラ
ンスポート制御装置およびネットワーク・インタフェース装置を介してイ
ンターネットとの接続を開始する。第1のスケジューリング装置は、トラ
ンスポート制御装置とファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛
先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするための少なくとも
一つのタイマを含む。構成情報検索装置は宛先シェル・アカウントから構
成情報を検索、回収し、それに対して構成設定装置は構成情報に従って、
第1のスケジューリング装置等の動作パラメータを設定する。」

ツ.訂正事項r
発明の詳細な説明で、段落【0019】の記載を以下のように変更する。
「 【0019】
一体型インターネットカメラにおける構成設定装置は、構成情報に従っ
て、1つまたは複数の画像取込み回路、ネットワーク・インタフェース装
置、ファイル転送装置、トランスポート制御装置、伝送開始装置の動作パ
ラメータを設定する。」

テ.訂正事項s
発明の詳細な説明で、段落【0023】の記載を以下のように変更する。
「 【0023】
システムの一態様として、インターネット・トランスポート制御プロト
コルTCP/IPはエラーを検出せず、また誤ったデータを再送せず(す
なわちエラー訂正のためにデータの再送信を行わず)、それによってファ
イル転送装置による画像転送速度を高めることが考えられる。」

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否

ア.訂正事項aについて
訂正事項aは、訂正前の請求項3、11、27、35を削除するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、またそれに伴う項番の繰り上げは明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

イ.訂正事項bについて
訂正事項bは、特許請求の範囲の請求項1に、「前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置」と「前記宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置」を「カメラ本体の内部」に収納するという限定を加えるとともに、「前記光学システム、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、および前記伝送開始装置と、前記第1のスケジューリング装置との間の動作および通信も前記マイクロコントローラにより制御される」という限定を加えるものであって、ここで限定される内容は、訂正前の請求項3および6に記載されていた事項である。
したがって、訂正事項bは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

ウ.訂正事項cについて
訂正事項cは、特許請求の範囲の請求項1及び請求項22(訂正前の請求項24)の「所定のファイル転送プロトコル」を「FTP」に、「所定のインターネット・トランスポート制御プロトコル」を「TCP/IP」に限定するものであって、例えば、願書に添付された明細書の段落【0033】【0042】にはそれぞれ、「本明細書内で論じるトランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)・・・」「ファイル転送アプリケーション(たとえば、FTPアプリケーション)」と記載されている。
したがって、訂正事項cは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

エ.訂正事項dについて
訂正事項dは、特許請求の範囲の請求項1に記載の「ネットワークインターフェース装置」を「前記ネットワークインターフェース装置」に、「トランスポート制御装置」を「前記トランスポート制御装置」に、明りょうでない記載の釈明を目的として明細書の訂正を行うものであり、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

オ.訂正事項eについて
訂正事項eは、特許請求の範囲の請求項22(訂正前の請求項24)に、「前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの前記宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置と、前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリから構成情報を検索する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って、前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置」を有するという限定を加えるものであって、この限定される内容は、訂正前の請求項27および30に記載されていた事項である。
したがって、訂正事項eは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

カ.訂正事項fについて
訂正事項fは、特許請求の範囲の請求項22(訂正前の請求項24)において、構成情報検索装置が構成情報を「回収する」という限定を加えるものであって、訂正前の請求項34には「・・・宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置」と記載されている。
したがって、訂正事項fは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

キ.訂正事項gについて
訂正事項gは、特許請求の範囲の請求項22(訂正前の請求項24)の「ネットワークインターフェース装置」を「前記ネットワークインターフェース装置」とし、「宛先シェル・アカウント」を「前記宛先シェル・アカウント」と不明りょうな記載の釈明を目的として訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

ク.訂正事項hについて
訂正事項hは、特許請求の範囲の請求項5(訂正前の請求項6)において、請求項1の訂正個所との重複を避け、さらに請求項の番号の繰り上げに対応して従属先を訂正するため、不明りょうな記載の釈明を目的として訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

ケ.訂正事項iについて
訂正事項iは、特許請求の範囲の請求項9(訂正前の請求項10)において、請求項1の訂正された記載との整合をとり、かつ請求項の番号の繰り上げに対応して従属先を訂正するため、不明りょうな記載の釈明を目的として訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

コ.訂正事項jについて
訂正事項jは、特許請求の範囲の請求項27(訂正前の請求項30)において、請求項22(訂正前の請求項24)の訂正個所との重複を避け、かつ、請求項の番号の繰り上げに対応して従属先を訂正するため、不明りょうな記載の釈明を目的として訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

サ.訂正事項kについて
訂正事項kは、特許請求の範囲の請求項31(訂正前の請求項34)において、請求項22(訂正前の請求項24)の訂正された記載との整合をとり、かつ、請求項の番号の繰り上げに対応して従属先を訂正するため、不明りょうな記載の釈明を目的として訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

シ.訂正事項lについて
訂正事項lは、特許請求の範囲の請求項10、15、16、23、34、35(訂正前の請求項12、17、18、25、38、39)に記載の「所定のインターネット・トランスポート制御プロトコル」を、「インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IP」と限定する訂正であって、例えば、願書に添付された明細書の段落【0033】には「本明細書内で論じるトランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)・・・」と記載されている。
したがって、訂正事項lは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

ス.訂正事項mについて
訂正事項mは、特許請求の範囲の請求項15、34(訂正前の請求項17、38)に記載の「トランスポート制御装置」を「前記トランスポート制御装置」と不明りょうな記載の釈明を目的として訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

セ.訂正事項nについて
訂正事項nは、特許請求の範囲の請求項15、33、34(訂正前の請求項17、37、38)に記載の「ファイル転送装置」を「前記ファイル転送装置」と不明りょうな記載の釈明を目的として訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

ソ.訂正事項oについて
訂正事項oは、特許請求の範囲の請求項28、39(訂正前の請求項31、43)に記載の「画像取り込み回路」を「画像取り込みシステム」と不明りょうな記載の釈明を目的として訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

タ.訂正事項pについて
訂正事項pは請求項の番号の繰り上げと整合性を取るため、不明りょうな記載の釈明を目的として、請求項の従属先を訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

チ.訂正事項q、r、sについて
訂正事項q、r、sは、それぞれ特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、不明りょうな記載の釈明を目的として訂正するものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書き、及び第120条の4第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。


3.特許異議の申立についての判断
(1)申立ての理由の概要
ア.申立人溝呂木寛は、請求項1、2、14、15、22、23、24、26、35、37、43、44に係る発明は、
・甲第1号証(特開平9-307794号公報)、
・甲第2号証(特開平8-317268号公報)、
・甲第3号証(特開平5-153453号公報)、
・甲第4号証(井口信和著、「絵ときイントラネットTCP/IPバイブル
」、第1版、株式会社オーム社、平成9年5月30日発行)、
・甲第5号証(インターネット年鑑編集部編、「インターネット年鑑’96
Vol.1」、初版、株式会社技術評論社、平成8年4月5日発行)
に記載の発明を単に組み合わせることによって当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることのできないものであり、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張をしている。

イ.また申立人渡部廣美は、請求項1ないし44に係る発明は、
・甲第1号証(シャープ株式会社「パワーザウルス」MI504、MI50
6取扱説明書)、
・甲第2号証(特開平9-288684号公報)、
・甲第3号証(特開平5-166090号公報)、
・甲第4号証(特開平9-307794号公報)
に記載の発明と同一、もしくは組合せによって当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第1項2号もしくは第3号、もしくは第29条第2項の規定により特許を受けることのできないものであり、また、請求項24は記載が不備であるから特許法第36条の規定により特許を受けることのできないものであるから、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張をしている。

(2)本件訂正発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件請求項1ないし40に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし40に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】 デジタル画像をインターネット・アドレスへ送信する一体型インターネットカメラであって、
撮像装置と、
撮像装置上に画像を形成する光学システムと、
撮像装置からデジタル画像を取りこむ画像取込み回路と、
デジタル画像ファイルをインターネットへ送信するためにインターネットに接続することのできるネットワーク・インタフェース装置と、
所定のインターネット・アドレスにある宛先シェル・アカウントと前記ネットワーク・インタフェース装置を介して通信し、ファイル転送プロトコルFTPに従ってデジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送し、それによって、インターネットにアクセスしたユーザが宛先シェル・アカウント内のデジタル画像ファイルを使用することを可能にするファイル転送装置と、
インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケット化し、パケット化されたデジタル画像ファイルの所定のインターネット・アドレスへのアドレス指定を制御するトランスポート制御装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ネットワーク・インタフェース装置を介してインターネットとの接続を開始する伝送開始装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置を有し、
前記光学システムと、前記画像取込み回路と、前記ネットワーク・インタフェース装置と、前記ファイル転送装置と、前記トランスポート制御装置と、前記伝送開始装置との間の動作および通信を制御するマイクロコントローラと、
前記宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置と、
前記撮像装置、前記光学システム、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置と、前記マイクロコントローラと、前記第1のスケジューリング装置と、前記構成装置と、がすべて内部に収納されたカメラ本体と、
を備え、
前記光学システム、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、および前記伝送開始装置と、前記第1のスケジューリング装置との間の動作および通信も前記マイクロコントローラにより制御されることを特徴とする一体型インターネットカメラ。
【請求項2】 さらに、前記取り込まれたデジタル画像中にテキスト情報を生成する文字生成装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項3】 前記デジタル画像ファイルが、前記第1のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表す情報を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の一体型インターネットカメラ。 【請求項4】 前記生成されたテキスト情報が、前記第1のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表すことを特徴とする請求項3に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項5】 さらに、前記構成設定装置は、前記構成情報に従って前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項6】 さらに、前記画像取込み回路による画像取込みをスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第2のスケジューリング装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項7】 前記デジタル画像ファイルが、前記第2のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表す情報を含むことを特徴とする請求項6に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項8】 前記生成されたテキスト情報が、前記第2のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表すことを特徴とする請求項7に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項9】 前記構成設定装置がさらに、前記構成情報に従って、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置、前記第2のスケジューリング装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項10】 前記ネットワーク・インタフェース装置が、インターネットに接続された電話システムに接続するモデムを含み、前記伝送開始装置が、所定の電話伝送プロトコルに従って前記モデムを介してインターネットとの電話接続を開始し、前記所定の電話伝送プロトコルと前記インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPとを変換する電話変換装置を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項11】 さらに、セットアップ装置に接続するように構成され、前記接続されたセットアップ装置から前記一体型インターネットカメラを制御するためのコマンドを受信するシリアル・インタフェースを備えることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項12】 前記トランスポート制御装置とファイル転送装置のうちの少なくとも一方がさらに、ネットワーク・インタフェース装置を介して前記所定のインターネット・アドレスに接続するためのネットワーク・ログイン認証を行うネットワーク認証装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項13】 前記ファイル転送装置がさらに、前記デジタル画像ファイルを前記宛先シェル・アカウントへ転送するために宛先ディレクトリおよびファイル名を設定し送信するディレクトリ選択装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項14】 前記撮像装置が、色画像を形成する色成分システムを含み、前記一体型インターネットカメラがさらに、前記取り込まれたデジタル画像の色特性を調整する色調整回路を備えることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項15】 さらに、前記ファイル転送装置が圧縮済みデジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送し、前記トランスポート制御装置が、インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従って圧縮済みデジタル画像ファイルをパケット化するように、取込まれたデジタル画像から圧縮済みデジタル画像ファイルを生成する画像圧縮回路を備えることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項16】 前記インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPが、エラーを検出せず、また誤ったデータを再送せず、それによって前記ファイル転送装置による画像転送速度を増加することを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。 【請求項17】 さらに、Eメール伝送装置とEメール・メッセージ・アセンブラとを含み、前記Eメール・メッセージ・アセンブラが、前記カメラの状況を表すEメール・メッセージをアセンブルし、前記Eメール伝送装置が、前記Eメール・メッセージを前記トランスポート制御装置および前記伝送開始装置を介して所定のEメール・アドレスへ送信することを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。 【請求項18】 前記Eメール・メッセージ・アセンブラが、デジタル画像ファイルを含むEメール・メッセージをアセンブルし、前記Eメール伝送装置が、デジタル画像を含む前記Eメール・メッセージを前記トランスポート制御装置および前記伝送開始装置を介して所定のEメール・アドレスへ送信することを特徴とする請求項17に記載の一体型インターネットカメラ。 【請求項19】 さらに、前記マイクロコントローラに接続されたトリガ装置を備え、前記マイクロコントローラが、画像の取込みと、前記ファイル転送装置を介したデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送を開始し、前記伝送開始装置が前記トリガ装置のトリガに応答することを特徴とする請求項1から請求項18のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項20】 ビデオ信号を受信するビデオ入力手段を有し、画像取り込み回路は前記撮像装置ではなく前記ビデオ入力手段からデジタル画像を取り込むことを特徴とする、請求項1から請求項19のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項21】 ビデオ信号を出力するビデオ出力手段を有し、デジタル画像ファイルがビデオ画像として前記ビデオ出力手段から出力されることを特徴とする請求項1から請求項20のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項22】 インターネットを介してデジタル画像を送信するインターネットカメラシステムであって、
所定のインターネット・アドレスにユーザ・ディレクトリを有する宛先シェル・アカウントと、
インターネットを介して前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリにアクセスするアクセス装置と、
カメラ本体を有する一体型インターネットカメラとを備え、前記カメラ本体が、
デジタル画像を取りこむ画像取込みシステムと、
デジタル画像ファイルをインターネットへ送信するためにインターネットに接続することのできるネットワーク・インタフェース装置と、
前記ネットワーク・インタフェース装置を介して前記宛先シェル・アカウントと通信し、ファイル転送プロトコルFTPに従って前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリへデジタル画像ファイルを転送し、それによって、インターネットにアクセスしたアクセス装置が前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリ中のデジタル画像ファイルを使用できるようにするファイル転送装置と、
インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケット化し、パケット化されたデジタル画像ファイルの所定のインターネット・アドレスへのアドレス指定を制御するトランスポート制御装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ネットワーク・インタフェース装置を介してインターネットとの接続を開始する伝送開始装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの前記宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置と、
前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って、前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置と、
を含むことを特徴とするインターネットカメラシステム。
【請求項23】 前記ネットワーク・インタフェース装置が、インターネットに接続された電話システムに接続するモデムを含み、前記伝送開始装置が、所定の電話伝送プロトコルに従って前記モデムを介してインターネットとの電話接続を開始し、前記所定の電話伝送プロトコルと前記インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPとの間の変換を行う電話変換装置を含むことを特徴とする請求項22に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項24】 前記一体型インターネットカメラがさらに、前記取り込まれたデジタル画像中にテキスト情報を生成する文字生成装置を備え、前記文字生成装置が、前記取り込まれたデジタル画像中にテキスト情報を生成することを特徴とする請求項22または請求項23に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項25】 前記デジタル画像ファイルが、前記第1のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表す情報を含むことを特徴とする請求項24に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項26】 前記生成されたテキスト情報が前記第1のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表すことを特徴とする請求項25に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項27】 前記構成設定装置が、さらに前記構成情報に従って前記画像取込みシステム、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項22または請求項26のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項28】 前記一体型インターネットカメラがさらに、前記画像取込みシステムによる画像取込みをスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第2のスケジューリング装置を備えることを特徴とする請求項22から請求項27のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項29】 前記デジタル画像ファイルが、前記第2のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表す情報を含むことを特徴とする請求項28に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項30】 前記生成されたテキスト情報が前記第2のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表すことを特徴とする請求項29に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項31】 前記構成設定装置がさらに、前記構成情報に従って、前記画像取込みシステム、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置、前記第2のスケジューリング装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項28から請求項30のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項32】 前記一体型インターネットカメラがさらに、
セットアップ装置に接続するように構成され、前記接続されたセットアップ装置から前記一体型インターネットカメラを制御するためのコマンドを受信するシリアル・インタフェースを備えることを特徴とする請求項22から請求項31のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項33】 前記トランスポート制御装置と前記ファイル転送装置のうちの少なくとも一方がさらに、ネットワーク・インタフェース装置を介して前記所定のインターネット・アドレスに接続するためのネットワーク・ログイン認証を行うネットワーク認証装置を備えることを特徴とする請求項22から請求項32のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項34】 前記一体型インターネットカメラがさらに、
前記ファイル転送装置が圧縮済みデジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送し、前記トランスポート制御装置が、インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従って圧縮済みデジタル画像ファイルをパケット化するように、取込まれたデジタル画像から圧縮済みデジタル画像ファイルを生成する画像圧縮システムを備えることを特徴とする請求項22から請求項33のいずれかに記載の一体型インターネットカメラシステム。
【請求項35】 前記インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPが、エラーを検出せず、また誤ったデータを再送せず、それによって前記ファイル転送装置による画像転送速度を増加することを特徴とする請求項22から請求項34のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項36】 前記一体型インターネットカメラがさらに、Eメール伝送装置とEメール・メッセージ・アセンブラとを含み、前記Eメール・メッセージ・アセンブラが、前記カメラの状況を表すEメール・メッセージをアセンブルし、前記Eメール伝送装置が、前記Eメール・メッセージを前記トランスポート制御装置および前記伝送開始装置を介して所定のEメール・アドレスへ送信することを特徴とする請求項22から請求項35のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項37】 前記Eメール・メッセージ・アセンブラが、デジタル画像ファイルを含むEメール・メッセージをアセンブルし、前記Eメール伝送装置が、デジタル画像ファイルを含む前記Eメール・メッセージを前記トランスポート制御装置および前記伝送開始装置を介して所定のEメール・アドレスへ送信することを特徴とする請求項36に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項38】 前記一体型インターネットカメラがさらに、前記一体型インターネットカメラに接続されたトリガ装置を備え、前記一体型インターネットカメラが、前記トリガ装置のトリガに応答して、画像の取込みと、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置を介したデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送を開始することを特徴とする請求項22から請求項37のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項39】 前記インターネットカメラシステムはビデオ画像源を有し、前記一体型インターネットカメラが前記ビデオ画像源からビデオ信号を受信するビデオ入力手段を有し、前記画像取り込みシステムは前記撮像装置ではなく前記ビデオ入力手段からデジタル画像を取り込むことを特徴とする、請求項22から請求項38のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項40】 前記インターネットカメラシステムはビデオ表示装置を有し、前記一体型インターネットカメラは前記ビデオ表示装置にビデオ信号を出力するビデオ出力手段を有し、デジタル画像ファイルがビデオ画像として前記ビデオ出力手段から出力されることを特徴とする請求項22から請求項39のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。」

(3)刊行物に記載された発明

ア.当審が通知した取消理由で引用した刊行物1:特開平9-307794号公報(申立人溝呂木寛が提出した甲第1号証、異議申立人渡部廣美が提出した甲第4号証)には、「ポータブル画像伝送システム」(発明の名称)に関し、以下の事項が記載されている。(以下「刊行物1の発明」という。)
「【0023】図1は、画像転送システム10が、セルラー電話ネットワーク16を介してサーバ局14に接続された遠隔局12と共に示されている。遠隔局12は画像撮像装置20と画像メモリ24で構成されたデジタルカメラを含んでいる。画像メモリ24は画像撮像装置20により取り込まれた、少ない量の画像を保持するために構成されたメモリである。
【0024】いくつかの実施の形態においては、画像撮像装置20と画像メモリ24が、株式会社リコー製のRicohRDC-1スチルビデオカメラのような、従来のデジタルスチルビデオカメラ(DSVC)により提供されている。既製のDSVCが使われているか、あるいはそのカメラが一体化されたものであるかには関係なく、CPU22は画像メモリ24と、モデム26と、セルラー電話送信機28とに接続されている。
【0025】上記の各種構成要素間の接続は、CPU22が画像メモリ24を制御することにより、画像を表わすデータを画像メモリ24から、画像データを電話回線による送信に適した信号に変換するためのモデム26へ転送することができるように行われる。モデム26の接続によって、その信号は、信号をセルラー電話ネットワーク16を介してサーバ局14のモデム56へ送信するためのセルラー電話送信機28に供給される。」(3頁右欄42行ないし4頁左欄14行)
「コードEPROM34は、プロトコル・パケッティング・プログラム36や、暗号化モジュール38や、電子メール・ハンドラ40のような送信する前に画像上にある種の処理を行なうために必要とされるコードを有している。」(4頁左欄23ないし27行)
「【0029】つぎに、動作について説明する。画像転送システムの一動作例において、CPU22が、以下の各指令のためのプログラムを実行することにより、画像メモリ24から定期的に画像が読み出され、読み出された画像にはマーク付けがなされて、画像メモリ24はつぎに入力される画像によってオーバーライトすることが可能となる。
【0030】各画像が画像メモリ24より読み出されると、その画像データは暗号化され、電子メール・メッセージとしてフォーマット化される。セルラー電話ネットワーク16が直接のモデム・リンクではなく、TCP/IPを使ったSLIP/PPP接続である場合には、送信用画像上で追加的なプロトコル・パッケージングが行なわれる。
【0031】サーバ局14で画像が受信されると、各画像は復号され、復元されて、画像記憶装置58に格納される。必要な場合、画像記憶装置58の画像は一部分またはその全てをインターネットを介して入手することができる。TCP/IP接続が用いられている場合には、遠隔局12のCPU22はコードEPROM34に記憶されたルーチンを実行して、画像を送る前に送信先の“接続性”を知らせる(ping process:ピン処理)ようにしてもよい。
【0032】このピン処理はダミー・メッセージをチャネルを通して送信し、それによってその送信先、例えば、サーバ局14がデータ受信に対して接続可能か、準備はできているかなどを判断する。そのピン処理(ダミー・メッセージ)に対して遠隔局12がイエスの回答を受け取ったならば、その場合においてのみCPU22は画像パッケージを送信するようにする。」(4頁左欄36行ないし右欄15行)
「画像を撮りたい時には、旅行者はコマンド入力部32を使って遠隔局12を動作させ、画像を撮り、もし画像メモリ24がフルの場合には、画像をサーバ局14に転送する。」(4頁右欄28ないし31行)
「【0037】つぎに、代表的な動作例では、ディスプレイ30は画像メモリ24の残り空き容量を示す。ユーザが画像メモリ24にすでに記憶させている画像をサーバ局14に対して送信することによって増設メモリを空にしようと決めた場合、ユーザーはコマンド入力部32を使ってコマンド・シーケンスを開始する。」(4頁右欄44ないし49行)

イ.当審が通知した取消理由で引用した刊行物2:特開平8-317268号公報(申立人溝呂木寛が提出した甲第2号証)には、「映像入力装置」(発明の名称)に関し、以下の事項が記載されている。(以下「刊行物2の発明」という。)
「【0003】こうした映像入力装置を含むシステムにおいて、入力した画像情報の処理目的を限定して、該システムを、特定の画像情報の入力や処理を行なうための専用機とする場合には、CPUやメモリ、入出力回路を含むシステム全体を映像入力装置と一体化することができる。専用機とする場合には、構成をコンパクトなものにでき、また操作性の向上を図ることも可能である。」(2頁左欄28ないし34行)

ウ.当審が通知した取消理由で引用した刊行物3:特開平5-153453号公報(申立人溝呂木寛が提出した甲第3号証)には、「通信手段内蔵記録再生装置」に関し、以下の事項が記載されている。(以下「刊行物3の発明」という。)
「【産業上の利用分野】本発明は、通信手段内蔵記録再生装置に関し、特に電子スチルカメラ相互等の画像データの送受/記録再生機能を有する通信手段内蔵記録再生装置に関する。」(2頁左欄41ないし44行)
「【実施例】次に、本発明について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による通信手段内蔵記録再生装置の一実施例を示し、ICカードカメラへの適用例である。図1において、レンズ1を介してCCD2に結像された被写体像は、電気信号に変換された後、撮像プロセス回路3でγ補正等の所定の処理が施され、A/Dコンバータ(ADC)4でデジタル信号に変換される。セレクタ5は、記録時、A/Dコンバータ4からのデジタル画像データをRAM6に記録するような経路を設定する。RAM6から読み出されたブロックデータ(1画面を複数個のブロックに分割したときの各分割ブロックについてのデータ)は、セレクタ7を介して圧縮・伸長ユニット8に供給される。圧縮・伸長ユニット8のDCT/IDCT回路81は、離散コサイン変換/逆離散コサイン変換回路であり、上記ブロックデータを直交変換処理する。直交変換されて得られた変換係数は、量子化/逆量子化回路82で量子化された後、符号化/復号化回路83で符号化される。
【0008】この圧縮・伸長ユニット8における符号化等の処理は、システム制御回路12からの指示に基づいて符号化制御回路13により制御される。すなわち、上記各分割エリア毎のコントラスト情報に基づいてシステム制御回路12は、当該分割エリアに対する適切なQテーブルを、上述のように、選択設定して、符号化制御回路13を介して圧縮・伸長ユニット8における圧縮処理を制御する。こうして、圧縮・伸長ユニット8で圧縮符号化された画像データは、セレクタ9を介して、カードインタフェース(I/F)10に供給され、ICカード11に記録される。システム制御回路12は、RAM6、セレクタ7,9、符号化制御回路13を介した圧縮・伸長ユニット8、カードインターフェース回路10及び通信制御回路20の動作を制御するもので、操作部14からの信号を受けてカメラ全体の各種制御を行っている。
【0009】再生時には、セレクタ5で切り換えられたデジタル画像データは、再生プロセス部15で所定の再生処理が施され、D/Aコンバータ16でアナログ信号に変換された後、EVF(電子ビューファインダー)17やモニタ側の出力端子に出力される。システム制御回路12は、レリーズスイッチ18等の各種スイッチが接続された操作部14からの操作情報を受け、対応する制御を行うとともに、通信制御部20と接続され、シリアルインタフェース回路21との間で通信制御動作を行う。また、セレクタ9には、後述するような動作をするRAM19が接続されている。シリアルインタフェース回路21には、モデム叉は伝送相手側カメラが接続されており、そのときのケーブル装着状態の検出及びモード切換のためのケーブル端子CNTからの信号がシステム制御回路12に供給されている。」(3頁左欄17行ないし右欄15行)

エ.当審が通知した取消理由で引用した刊行物4:井口信和著、「絵ときイントラネットTCP/IPバイブル」、第1版、株式会社オーム社、平成9年5月30日発行、p.61-99(申立人溝呂木寛が提出した甲第4号証)には、FTPを用いたファイル転送によって、WWWを使って、複数のクライアントがサーバにアクセスして情報を得ること、及びTCPを用いた通信では、データはセグメントに区切られ、転送先アドレス等のヘッダを付加してセグメント化された伝送単位ごとにパッケージ化し伝送することが記載されている。(以下「刊行物4の発明」という。)

オ.当審が通知した取消理由で引用した刊行物5:インターネット年鑑編集部編、「インターネット年鑑’96 Vol.1」、初版、株式会社技術評論社、平成8年4月5日発行、p.29-33,p.209-229(申立人溝呂木寛が提出した甲第5号証)には、ユーザーがインターネットプロバイダーの所定のホームページに各種情報を登録すると、第三者はこのホームページにアクセスでき、また、ホームページは書き換え可能であることが記載されている。(以下「刊行物5の発明」という。)

カ.当審が通知した取消理由で引用した刊行物6:シャープ株式会社「パワーザウルス」MI504、MI506取扱説明書(申立人渡部廣美が提出した甲第1号証添付資料)には、デジタルカメラカードを装着し、内蔵モデムによるメールの送信機能を有するモバイルビジネスツールについて記載されている。(以下「刊行物6の発明」という。)

キ.当審が通知した取消理由で引用した刊行物7:特開平9-288684号公報(申立人渡部廣美が提出した甲第2号証)には、「データ収集システム」に関し、以下の事項が記載されている。(以下「刊行物7の発明」という。)
「【0041】本実施例では、前述したように、スクリプトS1によって、画像データとともに受信したタイムスタンプから生成した文字列で、HTMLファイル内に記述されている文字列を置き換えることにより、HTMLファイルを更新した後、該HTMLファイルをWWWサーバ4に転送するとともに、取り込まれた画像データを、上記HTMLファイル(top.html)内に記述されているファイル名で、WWWサーバ4上の画像データに上書きすることで、HTMLファイルにリンクされた画像データを自動的に更新している。」(6頁右欄3ないし12行)
「ステップS24では、カメラ10で撮影された現時点の映像の画像データを所定の方式により圧縮し、指定メモリ番号(この場合、メモリM1)に格納する。」(7頁左欄41ないし44行)
「画像メモリ16に格納した過去の画像データを、モデム15によって公衆回線2を介して画像収集サーバ3に転送する。その後、再び、ステップS22に戻る。」(7頁右欄4ないし7行)
【0060】次いで、図14に示すステップS44に進み、取り込み画像ーファイル名対応テーブル26に従って、画像データのサイズを変換し、ステップS46で、画像データを対応ファイル名として、WWWサーバ4の同名ファイルに上書きする。例えば、画像収集端末1aの場合には、110×110に変換した後、ファイル名「Mt.gif」で上書きする。また、画像収集端末1bの場合には、メモリM1の画像データを80×60に変換した後、ファイル名「beachnight.gif」で上書きし、メモリM2の画像データをファイル名「beach.gif」で上書きする。同様に、画像収集端末1cの場合には、120×110に変換した後、ファイル名「road.gif」で上書きし、画像収集端末1dの場合には、80×60に変換した後、ファイル名「city.gif」で上書きする。この結果、端末7のWWWブラウザにおいては、図15に示すように、表示画面上、各画像収集端末1a-1dで取り込まれた画像データが自動的に更新される。」(8頁左欄38行ないし右欄19行)

ク.当審が通知した取消理由で引用した刊行物8:特開平5-166090号公報(申立人渡部廣美が提出した甲第3号証)には、「防犯監視システム」(発明の名称)に関し、以下の事項が記載されている。(以下「刊行物8の発明」という。)
「【0048】一方、監視カメラ102同様、上記監視制御部103から発せられた起動信号Eによって能動状態に制御された第1通報制御部104は、伝送路PT1を通じて集信装置200を発呼しつつ、その間に、監視区域ID(識別情報)設定器106から当該監視区域WZについてのID番号を取り込み、また時計107から上記起動信号Eが与えられたときの、すなわち防犯センサ101によって侵入者が検知されたときの時刻データTを取り込み、更には上記画像処理部105を通じて画像処理された同侵入者についての画像データIMDを取り込んで、これら各データに基づく監視情報を構築する。そして、上記の発呼により集信装置200との論理的な接続が確保された時点で、この構築した監視情報を集信装置200に対し送信する。」(5頁右欄22ないし35行)

(4)本件訂正発明と刊行物発明との対比・判断
ア.請求項1に係る発明について
本件請求項1に係る訂正発明と刊行物1ないし8の発明とを対比・検討すると、刊行物1ないし8の発明は、本件請求項1に係る訂正発明における次に掲げる主要な事項を具備していないし、刊行物1ないし8には、この主要な事項を示唆する記載もされていない。

「トランスポート制御装置およびファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置と、
前記宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置と、
を有し、
光学システム、画像取込み回路、ネットワーク・インタフェース装置、ファイル転送装置、トランスポート制御装置、および伝送開始装置と、前記第1のスケジューリング装置との間の動作および通信もマイクロコントローラにより制御される点」

そして、上記の主要な事項により、本件請求項1に係る訂正発明は、宛先シェル・アカウントへの転送を第1のスケジューリング装置によりスケジューリングし、宛先シェル・アカウントからの構成情報にしたがい第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定するという格別の効果を奏するものである。
したがって、本件請求項1に係る訂正発明は、刊行物1ないし8の発明と同一であるとも、またこれらに基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

イ.請求項22に係る発明について
本件請求項22に係る訂正発明と刊行物1ないし8の発明とを対比・検討すると、刊行物1ないし8の発明は、本件請求項22に係る訂正発明における次に掲げる主要な事項を具備していないし、刊行物1ないし8には、この主要な事項を示唆する記載もされていない。

「トランスポート制御装置およびファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置と、
前記宛先シェル・アカウントのユーザディレクトリから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置と、
をカメラ本体に有する点」

そして、上記の主要な事項により、本件請求項22に係る訂正発明は、宛先シェル・アカウントへの転送を第1のスケジューリング装置によりスケジューリングし、宛先シェル・アカウントからの構成情報にしたがい第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定するという格別の効果を奏するものである。
したがって、本件請求項22に係る訂正発明は、刊行物1ないし8の発明と同一であるとも、またこれらに基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ.請求項2ないし21、及び23ないし40に係る発明について
本件請求項2ないし21、及び23ないし40に係る訂正発明は、何れも、請求項1又は22を直接あるいは間接に引用して、その構成を更に限定したものであるから、上記「ア.請求項1に係る発明について」又は上記「イ.請求項22に係る発明について」と同じ理由により、上記刊行物1ないし8の発明と同一であるとはいえず、またこれらに基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(5)申立人が主張する記載不備についての検討
申立人渡部廣美は、申立ての理由において、訂正前の本件請求項24の「カメラ本体を有する一体型インターネットカメラ」なる記載は、本件特許明細書の段落【0163】ないし【0165】及び図21に記載された、カメラ本体が画像変換器と別体に設けられる構成(第3の実施の形態)と矛盾するため、「カメラ本体を有する一体型インターネットカメラ」なる記載では、「一体型なのか、別体なのか」不明である旨主張している。
この点について検討する。
例えば、図1、18、及びこれに関連する発明の詳細な説明の欄に記載された本件発明の第1の実施例や本件発明の第2の実施例のように、明らかに一体型に構成されたインターネットカメラについて発明の詳細な説明に記載されているから、本件請求項22(訂正前の本件請求項24)に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載されたものである。
また申立人渡部廣美の指摘する本件特許明細書の段落【0163】ないし【0165】の記載及び図21に記載されたものは、別体に構成されたものであり、一体型ではないことは当業者にとって明らかであり、したがって、本件特許明細書の段落【0163】ないし【0165】の記載及び図21に記載されたものは、本件請求項22(訂正前の本件請求項24)に記載された発明に含まれないことが明らかであるから、本件請求項22(訂正前の本件請求項24)に係る発明が明確でないとはいえない。
よって、本件請求項22(訂正前の本件請求項24)の記載は、特許法36条第6項の規定に違反してなされたものではない。

(6)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし40に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし40に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
一体型インターネットカメラおよびインターネットカメラシステム
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 デジタル画像をインターネット・アドレスへ送信する一体型インターネットカメラであって、
撮像装置と、
撮像装置上に画像を形成する光学システムと、
撮像装置からデジタル画像を取りこむ画像取込み回路と、
デジタル画像ファイルをインターネットへ送信するためにインターネットに接続することのできるネットワーク・インタフェース装置と、
所定のインターネット・アドレスにある宛先シェル・アカウントと前記ネットワーク・インタフェース装置を介して通信し、ファイル転送プロトコルFTPに従ってデジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送し、それによって、インターネットにアクセスしたユーザが宛先シェル・アカウント内のデジタル画像ファイルを使用することを可能にするファイル転送装置と、
インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケット化し、パケット化されたデジタル画像ファイルの所定のインターネット・アドレスへのアドレス指定を制御するトランスポート制御装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ネットワーク・インタフェース装置を介してインターネットとの接続を開始する伝送開始装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置を有し、
前記光学システムと、前記画像取込み回路と、前記ネットワーク・インタフェース装置と、前記ファイル転送装置と、前記トランスポート制御装置と、前記伝送開始装置との間の動作および通信を制御するマイクロコントローラと、
前記宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置と、
前記撮像装置、前記光学システム、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置と、前記マイクロコントローラと、前記第1のスケジューリング装置と、前記構成装置と、がすべて内部に収納されたカメラ本体と、
を備え、
前記光学システム、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、および前記伝送開始装置と、前記第1のスケジューリング装置との間の動作および通信も前記マイクロコントローラにより制御されることを特徴とする一体型インターネットカメラ。
【請求項2】 さらに、前記取り込まれたデジタル画像中にテキスト情報を生成する文字生成装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項3】 前記デジタル画像ファイルが、前記第1のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表す情報を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項4】 前記生成されたテキスト情報が、前記第1のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表すことを特徴とする請求項3に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項5】 さらに、前記構成設定装置は、前記構成情報に従って前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項6】 さらに、前記画像取込み回路による画像取込みをスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第2のスケジューリング装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項7】 前記デジタル画像ファイルが、前記第2のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表す情報を含むことを特徴とする請求項6に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項8】 前記生成されたテキスト情報が、前記第2のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表すことを特徴とする請求項7に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項9】 前記構成設定装置がさらに、前記構成情報に従って、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置、前記第2のスケジューリング装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項10】 前記ネットワーク・インタフェース装置が、インターネットに接続された電話システムに接続するモデムを含み、前記伝送開始装置が、所定の電話伝送プロトコルに従って前記モデムを介してインターネットとの電話接続を開始し、前記所定の電話伝送プロトコルと前記インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPとを変換する電話変換装置を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項11】 さらに、セットアップ装置に接続するように構成され、前記接続されたセットアップ装置から前記一体型インターネットカメラを制御するためのコマンドを受信するシリアル・インタフェースを備えることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項12】 前記トランスポート制御装置とファイル転送装置のうちの少なくとも一方がさらに、ネットワーク・インタフェース装置を介して前記所定のインターネット・アドレスに接続するためのネットワーク・ログイン認証を行うネットワーク認証装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項13】 前記ファイル転送装置がさらに、前記デジタル画像ファイルを前記宛先シェル・アカウントへ転送するために宛先ディレクトリおよびファイル名を設定し送信するディレクトリ選択装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項14】 前記撮像装置が、色画像を形成する色成分システムを含み、前記一体型インターネットカメラがさらに、前記取り込まれたデジタル画像の色特性を調整する色調整回路を備えることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項15】 さらに、前記ファイル転送装置が圧縮済みデジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送し、前記トランスポート制御装置が、インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従って圧縮済みデジタル画像ファイルをパケット化するように、取込まれたデジタル画像から圧縮済みデジタル画像ファイルを生成する画像圧縮回路を備えることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項16】 前記インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPが、エラーを検出せず、また誤ったデータを再送せず、それによって前記ファイル転送装置による画像転送速度を増加することを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項17】 さらに、Eメール伝送装置とEメール・メッセージ・アセンブラとを含み、前記Eメール・メッセージ・アセンブラが、前記カメラの状況を表すEメール・メッセージをアセンブルし、前記Eメール伝送装置が、前記Eメール・メッセージを前記トランスポート制御装置および前記伝送開始装置を介して所定のEメール・アドレスへ送信することを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項18】 前記Eメール・メッセージ・アセンブラが、デジタル画像ファイルを含むEメール・メッセージをアセンブルし、前記Eメール伝送装置が、デジタル画像を含む前記Eメール・メッセージを前記トランスポート制御装置および前記伝送開始装置を介して所定のEメール・アドレスへ送信することを特徴とする請求項17に記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項19】 さらに、前記マイクロコントローラに接続されたトリガ装置を備え、前記マイクロコントローラが、画像の取込みと、前記ファイル転送装置を介したデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送を開始し、前記伝送開始装置が前記トリガ装置のトリガに応答することを特徴とする請求項1から請求項18のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項20】 ビデオ信号を受信するビデオ入力手段を有し、画像取り込み回路は前記撮像装置ではなく前記ビデオ入力手段からデジタル画像を取り込むことを特徴とする、請求項1から請求項19のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項21】 ビデオ信号を出力するビデオ出力手段を有し、デジタル画像ファイルがビデオ画像として前記ビデオ出力手段から出力されることを特徴とする請求項1から請求項20のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。
【請求項22】 インターネットを介してデジタル画像を送信するインターネットカメラシステムであって、
所定のインターネット・アドレスにユーザ・ディレクトリを有する宛先シェル・アカウントと、
インターネットを介して前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリにアクセスするアクセス装置と、
カメラ本体を有する一体型インターネットカメラとを備え、前記カメラ本体が、
デジタル画像を取りこむ画像取込みシステムと、
デジタル画像ファイルをインターネットへ送信するためにインターネットに接続することのできるネットワーク・インタフェース装置と、
前記ネットワーク・インタフェース装置を介して前記宛先シェル・アカウントと通信し、ファイル転送プロトコルFTPに従って前記宛先シェル・アカウントのユーザ・デイレクトリへデジタル画像ファイルを転送し、それによって、インターネットにアクセスしたアクセス装置が前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリ中のデジタル画像ファイルを使用できるようにするファイル転送装置と、
インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケット化し、パケット化されたデジタル画像ファイルの所定のインターネット・アドレスへのアドレス指定を制御するトランスポート制御装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ネットワーク・インタフェース装置を介してインターネットとの接続を開始する伝送開始装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの前記宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置と、
前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って、前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置と、
を含むことを特徴とするインターネットカメラシステム。
【請求項23】 前記ネットワーク・インタフェース装置が、インターネットに接続された電話システムに接続するモデムを含み、前記伝送開始装置が、所定の電話伝送プロトコルに従って前記モデムを介してインターネットとの電話接続を開始し、前記所定の電話伝送プロトコルと前記インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPとの間の変換を行う電話変換装置を含むことを特徴とする請求項22に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項24】 前記一体型インターネットカメラがさらに、前記取り込まれたデジタル画像中にテキスト情報を生成する文字生成装置を備え、前記文字生成装置が、前記取り込まれたデジタル画像中にテキスト情報を生成することを特徴とする請求項22または請求項23に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項25】 前記デジタル画像ファイルが、前記第1のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表す情報を含むことを特徴とする請求項24に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項26】 前記生成されたテキスト情報が前記第1のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表すことを特徴とする請求項25に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項27】 前記構成設定装置が、さらに前記構成情報に従って前記画像取込みシステム、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項22または請求項26のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項28】 前記一体型インターネットカメラがさらに、前記画像取込みシステムによる画像取込みをスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第2のスケジューリング装置を備えることを特徴とする請求項22から請求項27のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項29】 前記デジタル画像ファイルが、前記第2のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表す情報を含むことを特徴とする請求項28に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項30】 前記生成されたテキスト情報が前記第2のスケジューリング装置が備える前記少なくとも1つのタイマの状況を表すことを特徴とする請求項29に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項31】 前記構成設定装置がさらに、前記構成情報に従って、前記画像取込みシステム、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置、前記第2のスケジューリング装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項28から請求項30のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項32】 前記一体型インターネットカメラがさらに、
セットアップ装置に接続するように構成され、前記接続されたセットアップ装置から前記一体型インターネットカメラを制御するためのコマンドを受信するシリアル・インタフェースを備えることを特徴とする請求項22から請求項31のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項33】 前記トランスポート制御装置と前記ファイル転送装置のうちの少なくとも一方がさらに、ネットワーク・インタフェース装置を介して前記所定のインターネット・アドレスに接続するためのネットワーク・ログイン認証を行うネットワーク認証装置を備えることを特徴とする請求項22から請求項32のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項34】 前記一体型インターネットカメラがさらに、
前記ファイル転送装置が圧縮済みデジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送し、前記トランスポート制御装置が、インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従って圧縮済みデジタル画像ファイルをパケット化するように、取込まれたデジタル画像から圧縮済みデジタル画像ファイルを生成する画像圧縮システムを備えることを特徴とする請求項22から請求項33のいずれかに記載の一体型インターネットカメラシステム。
【請求項35】 前記インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPが、エラーを検出せず、また誤ったデータを再送せず、それによって前記ファイル転送装置による画像転送速度を増加することを特徴とする請求項22から請求項34のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項36】 前記一体型インターネットカメラがさらに、Eメール伝送装置とEメール・メッセージ・アセンブラとを含み、前記Eメール・メッセージ・アセンブラが、前記カメラの状況を表すEメール・メッセージをアセンブルし、前記Eメール伝送装置が、前記Eメール・メッセージを前記トランスポート制御装置および前記伝送開始装置を介して所定のEメール・アドレスへ送信することを特徴とする請求項22から請求項35のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項37】 前記Eメール・メッセージ・アセンブラが、デジタル画像ファイルを含むEメール・メッセージをアセンブルし、前記Eメール伝送装置が、デジタル画像ファイルを含む前記Eメール・メッセージを前記トランスポート制御装置および前記伝送開始装置を介して所定のEメール・アドレスへ送信することを特徴とする請求項36に記載のインターネットカメラシステム。
【請求項38】 前記一体型インターネットカメラがさらに、前記一体型インターネットカメラに接続されたトリガ装置を備え、前記一体型インターネットカメラが、前記トリガ装置のトリガに応答して、画像の取込みと、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置を介したデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送を開始することを特徴とする請求項22から請求項37のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項39】 前記インターネットカメラシステムはビデオ画像源を有し、前記一体型インターネットカメラが前記ビデオ画像源からビデオ信号を受信するビデオ入力手段を有し、前記画像取り込みシステムは前記撮像装置ではなく前記ビデオ入力手段からデジタル画像を取り込むことを特徴とする、請求項22から請求項38のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【請求項40】 前記インターネットカメラシステムはビデオ表示装置を有、前記一体型インターネットカメラは前記ビデオ表示装置にビデオ信号を出力するビデオ出力手段を有し、デジタル画像ファイルがビデオ画像として前記ビデオ出力手段から出力されることを特徴とする請求項22から請求項39のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インターネットに接続しインターネットを介して画像を送信する一体型インターネットカメラおよび該インターネットカメラを用いたインターネットカメラシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネット(TCP/IP(トランスミッション制御プロトコル/インターネット・プロトコル)の下で稼動する世界規模のインターネットワーク)の加入者が増大し、消費者志向が強まるにつれて、簡単な方法で様々な媒体にアクセスしたいとの要求が強まってきている。新しい加入者の大部分は、「World Wide Web」、すなわち、ハイパーテキストによって駆動される世界規模のマルチメディア・システム(以下では「Web」と呼ぶ)へのアクセスが目的であり、現在、静止画及び動画のデジタル画像アーカイブがWeb上のいたるところに存在している。また、動画であるか静止画像であるかにかかわらず、様々な応用が考えられるため、リアルタイム及びライブ・ビデオに対する要望は強く、娯楽、広告、教育、セキュリティ、交通監視、気象観測、育児監視、サーベイランス、一般消費者向け製品等のニーズによって、リアルタイム画像または一連の画像をインターネットおよびWeb上に乗せることのできるシステムが考案されてきている。
【0003】
しかしながら、従来型のシステムは複雑かつ高価であり、画像をインターネットまたはWeb上に乗せるには汎用パーソナル・コンピュータおよび周辺装置を制御するためのホスト機能を必要とすると共に、使用するには適格なオペレータを必要とするといった問題があった。しかも、通常このようなシステムは大型で携帯性に欠けるものである。
【0004】
そのような従来型のシステムの例を図24に示す。ビデオ・カメラ110は、パーソナル・コンピュータ122の並列バス114をホストとする「フレーム・グラバ」カード112に接続される。フレーム・グラバ・カード112は、ビデオ・カメラ110からのアナログ・ビデオ信号の1画面分をデジタル画像に復号し、コンピュータ122上で実行される専用のソフトウェアでこのデジタル画像を使用できるようにする。通常、専用のソフトウェアは、パーソナル・コンピュータ122のメイン・マイクロプロセッサを使用してデジタル画像をメイン・メモリ内に圧縮し格納する。コンピュータ122がインターネットに画像をアップロードするには、シリアル・ポート118と、公衆電話システム124に接続されたモデム120が必要である。パーソナル・コンピュータ122は、少なくともモデム・ドライバと、ネットワーク伝送プロトコル(たとえば、TCP/IP)ドライバと、電話伝送プロトコル(たとえば、PPP:ポイント・ツー・ポイント・プロトコル)ドライバと、ファイル転送プロトコル(たとえば、FTP:ファイル転送プロトコル)アプリケーションとを含んだメイン・メモリ内で実行される他のソフトウェア・プログラムによりモデム120に接続され、電話システム124を通してISP(インターネット・サービス・プロバイダ)128に接続される。その後、パーソナル・コンピュータ122は、ISP128で利用できるシェル・アカウントに予め割り振られた記録装置の所定の領域に、圧縮された画像をアップロードすることができる。
【0005】
このようなシステムではコストが数千ドルに達することもあり、また、コンピュータ122は、オンサイトで、すなわち、カメラ110に比較的近接していなければならず、大型で比較的移動しにくいものとなる。また、このシステムは汎用的な部品のアセンブリであり、コンピュータ122は通常、カメラ110専用に使用されるので、システム自体は多数の冗長機能および必要以上に高度な機能を有する。さらに、このようなシステムでは、個々の装置間で多数のインタフェースおよび通信リンクが存在するためにエラーが起こる可能性が高く、結果として、設置及び設定時の障害や個々の装置間での通信エラーを引起こし易いといった問題がある。
【0006】
以下の頭字語および略語は、本明細書の全体にわたって使用される。これらの語の定義を以下の通りとする。
xDSL-(汎用)デジタル加入者回線
ATM-非同期転送モード
CCD-電荷結合素子
CCTV-閉回路テレビ
DNS-ドメイン・ネーミング・システム、ドメイン・ネーム・サーバ
ExCA-Exchangeable Card Architecture
FTP-ファイル転送プロトコル
HTML-Hypertext Markup Language
IrDA-Infrared Data Association
ISA-インダストリースタンダードアーキテクチャ
ISDN-統合デジタルサービス網
ISP-インターネット・サービス・プロバイダ
JPEG-Joint Photographic Expert Group
MIME-Multipurpose Internet Mail Extension
NTSC-National Television System Committee
PAL-Phase Alternating Line
PCMCIA-Personal Computer Memory Card International Association
POTS-在来型電話サービス
PPP-ポイント・ツー・ポイント・プロトコル
SLIP-Serial Link Interface Protocol
SMTP-簡易メール転送プロトコル
TCP/IP-トランスミッション制御プロトコル/インターネット・プロトコル
UDP/IP-ユーザ・データグラム・プロトコル/インターネット・プロトコル
URL-Uniform Resource Locator
USB-Universal Serial Bus
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、単一で携帯可能なそれ自身で独立して動作する装置、いわゆる、組込み型システムで、パーソナル・コンピュータなどの外部制御装置を使用する必要なしにリアルタイム・デジタル画像および記憶されたデジタル画像をインターネットへ送信するためのすべての必要な機能を有する廉価で効率的なカメラを提供することである。
【0008】
そして、本発明のさらなる目的は、インターネット上の特定のユーザが利用できる特定の領域に対し、スケジューリングされたデジタル画像の送信を行うことができ、かつそのスケジューリング及びデジタル画像を独立に制御することのできる携帯可能でかつそれ自身で独立して動作するカメラを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、撮像装置と、撮像装置上に画像を形成する光学システムと、撮像装置からデジタル画像を取り込む画像取込み回路とを有して、デジタル画像をインターネット・アドレスへ送信する一体型インターネットカメラを提供することによって達成される。一体型インターネットカメラは、デジタル画像ファイルをインターネットへ送信できるようにインターネットにネットワーク・インタフェース装置で接続されており、ファイル転送装置が、ネットワーク・インタフェース装置を介して所定のインターネット・アドレスにある宛先シェル・アカウントとファイル転送プロトコルFTPに従って通信することにより、デジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送する。前記宛先シェル・アカウント内のデジタル画像ファイルは、インターネットにアクセスするユーザに対し利用可能となる。
【0010】
具体的には、トランスポート制御装置が、インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケット化すると共に、パケット化されたデジタル画像ファイルを所定のインターネット・アドレスへ送信すべくアドレス制御し、同時に、送信開始装置が、トランスポート制御装置およびネットワーク・インタフェース装置を介してインターネットとの接続を開始する。尚、タイマを含む第1のスケジューリング装置が、トランスポート制御装置およびファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送のスケジューリングを行うようにすることができ、マイクロコントローラが、前述の各装置間の動作および通信を制御している。そして、前述の全ての装置およびマイクロコントローラが、カメラ本体に収納されている。また上記一体型インターネットカメラは、構成装置を有し、構成装置は、構成情報検索装置と構成設定装置とを有する。構成情報検索装置は宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収し、それに対して構成設定装置は構成情報に従って、第1のスケジューリング装置等の動作パラメータを設定する。
【0011】
本発明の他の態様としては、所定のインターネット・アドレスにユーザ・ディレクトリを有する宛先シェル・アカウントに対し、インターネット経由でデジタル画像を送信する場合で、インターネットを介して宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリにアクセスするアクセス装置を有したインターネットカメラシステムが考えられる。カメラ本体は、画像取込みシステムと、ネットワーク・インタフェース装置と、ファイル転送装置と、トランスポート制御装置と、送信開始装置と、第1のスケジューリング装置と、構成情報検索装置と構成設定装置とを含む構成装置を有する。画像取込みシステムはデジタル画像の取り込みを行い、ネットワーク・インタフェース装置は、デジタル画像ファイルをインターネットへ送信できるようにインターネットに接続することができる。ファイル転送装置は、ネットワーク・インタフェース装置を介して宛先シェル・アカウントと通信し、ファイル転送プロトコルFTPに従って宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリへデジタル画像を転送する。前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリ内の転送されたデジタル画像ファイルは、インターネットにアクセスしてアクセス装置を用いることにより、利用可能となる。
【0012】
具体的には、トランスポート制御装置が、インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケット化すると共に、パケット化されたデジタル画像ファイルの、所定のインターネット・アドレスへのアドレス指定を制御し、送信開始装置が、トランスポート制御装置およびネットワーク・インタフェース装置を介してインターネットとの接続を開始する。第1のスケジューリング装置は、トランスポート制御装置とファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするための少なくとも一つのタイマを含む。構成情報検索装置は宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収し、それに対して構成設定装置は構成情報に従って、第1のスケジューリング装置等の動作パラメータを設定する。
【0013】
このように、携帯可能でそれ自身で独立して動作する一体型インターネットカメラは、パーソナル・コンピュータやサーバなどの外部制御装置を使用する必要なしに、スケジューリングされたインターネット接続を行い、インターネット上の特定のユーザに対して利用可能なリアルタイムデジタル画像を送信する構成とすることができ、かつその接続スケジューリング及び画像の送信を独立に制御することができるものである。さらに、携帯可能でそれ自身で独立して動作する一体型インターネットカメラは、パーソナル・コンピュータやサーバなどの外部制御装置を使用する必要なしに、所定のインターネットアドレスにユーザディレクトリを有する宛先シェルアカウントに対しスケジューリングされたインターネット接続を行い、アクセス装置を介して、インターネット上の特定のユーザに対して利用可能なリアルタイムデジタル画像を送信することができ、かつその接続スケジューリング及び画像の送信を独立に制御することができるものである。
【0014】
ネットワーク・インタフェース装置の一例としては、インターネットに接続する為の電話システムに接続されているモデムが考えられる。この場合、送信開始装置は、所定の電話伝送プロトコルに従ってモデムを介してインターネットとの電話接続を開始し、所定の電話伝送プロトコルとインターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPとの変換を行う電話変換装置を含む。したがって、この一体型インターネットカメラは、電話伝送プロトコルまたはアナログ・データ伝送を使用して、公衆電話網または専用電話網、あるいは任意のネットワークまたは接続を介して前述の機能を実行することができる。
【0015】
一体型インターネットカメラは第2のスケジューリング装置を有し、このスケジューリング装置は、画像取込み回路による画像取込みをスケジューリングするタイマを有する。したがって、画像取込みと画像送信をそれぞれの異なる時間にスケジューリングすることができる。この場合、デジタル画像ファイルは、1つまたは複数のタイマの状況を表す情報を有することができる。
【0016】
一体型インターネットカメラはさらに、取り込まれたデジタル画像中にテキスト情報を生成する文字生成装置を有する。この場合、生成されるテキスト情報としては、第1および第2のスケジューリング装置の一方あるいは両方のそれぞれの1つまたは複数のタイマの状況表示が考えられる。
【0017】
一体型インターネットカメラは、セットアップ装置(たとえば、パーソナルコンピュータ)に接続するように構成されたシリアル・インタフェースを有し、このシリアル・インタフェースは、接続されたセットアップ装置から一体型インターネットカメラを制御するコマンドを受信する。このように、一体型インターネットカメラを他の装置によって制御または設定することができる。
【0018】
1つまたは複数のトランスポート制御装置およびファイル転送装置はさらに、ネットワーク・インタフェース装置を介して所定のインターネット・アドレスに接続するためのネットワーク・ログイン認証を与えるネットワーク認証装置を有する。したがって、一体型インターネットカメラは、セキュリティ機能および認証機能を有するネットワークにアクセスしファイルを送信することができる。
【0019】
一体型インターネットカメラにおける構成設定装置は、構成情報に従って、1つまたは複数の画像取込み回路、ネットワーク・インタフェース装置、ファイル転送装置、トランスポート制御装置、伝送開始装置の動作パラメータを設定する。
【0020】
さらに、ファイル転送装置は、デジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送するための宛先ディレクトリおよびファイル名を設定して送信し、宛先シェル・アカウント内の1つまたは複数の特定ディレクトリへのデジタル画像ファイル送信を可能にするディレクトリ選択装置を有する。
【0021】
撮像装置は、カラー画像を形成する色成分システムを有することができ、その場合、一体型インターネットカメラはさらに、取り込まれたデジタル画像の色特性を調整する色調整回路を有する。
【0022】
一体型インターネットカメラは画像圧縮回路を有し、この回路は、取り込まれたデジタル画像から圧縮されたデジタル画像ファイルを生成する。その結果、ファイル転送装置は圧縮済みデジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送し、トランスポート制御装置はインターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPによって圧縮済みデジタル画像ファイルをパケット化する。
【0023】
システムの一態様として、インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPはエラーを検出せず、また誤ったデータを再送せず(すなわちエラー訂正のためにデータの再送信を行わず)、それによってファイル転送装置による画像転送速度を高めることが考えられる。
【0024】
さらに、他の態様として、一体型インターネットカメラはさらに、Eメール(電子メール)伝送装置とEメール・メッセージ・アセンブラとを有することが考えられる。Eメール・メッセージ・アセンブラは、カメラの状況を表すEメール・メッセージをアセンブル(データに変換)し、Eメール伝送装置は、トランスポート制御装置および伝送開始装置を介してEメール・メッセージを所定のEメール・アドレスへ送信する。
【0025】
この場合、Eメール・メッセージ・アセンブラは、デジタル画像ファイルを有するEメール・メッセージをアセンブルすることができる。したがって、Eメール伝送装置は、デジタル画像ファイルを有するEメール・メッセージを、トランスポート制御装置および伝送開始装置を介して所定のEメール・アドレスへ送信することができる。
【0026】
一体型インターネットカメラはさらに、カメラおよびマイクロコントローラに接続されたトリガ装置を有する。カメラは、トリガ装置のトリガに応答して、画像取込みと、ファイル転送装置、トランスポート制御装置、伝送開始装置を介してデジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送することができる。
【0027】
さらに加えて、一体型インターネットカメラは、標準的なビデオ信号を入力するためのビデオ入力端子を有しており、画像取り込み回路は、撮像装置の代わりにビデオ入力端子からの画像を取り込むことができる。したがって、カムコーダ若しくは他のビデオソース(チューナ、CCTVネットワーク等)等を、インターネット等に送信するデジタル画像のソースとして使用することができる。
【0028】
さらにもう一つの態様として、一体型インターネットカメラは、デジタル画像ファイルとして転送されるビデオ画像を、標準的なビデオ信号として出力することができるビデオ出力端子を有する。したがって、インターネット等に送信される全ての画像は、モニター、録画装置、CCTVネットワーク等の標準的なビデオ信号を用いる装置及びシステムにおいても使用することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について図面を参照しながらさらに説明する。図面は、非制限的な例をあげて、本発明の様々な実施形態を示すものであり、いくつかの図にわたる同じ参照符号は同様な部品を表す。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す。一体型インターネットカメラ1のすべての電気構成要素、機械構成要素、光学構成要素は、カメラ本体201内に収納される。したがって、本明細書では、「一体型」は「内蔵」と等価であり、すべての前述の構成要素は本体またはケーシング上に支持されるか、あるいは本体またはケーシング内に配置される。図1に示したように、カメラ1は、ネットワーク・インタフェース装置236(たとえば、モデムまたはネットワーク・カードを備える)および接続ケーブル237(公衆網に接続された電話線でも、あるいはローカル・エリア・ネットワークまたはワイド・エリア・ネットワークに接続されたネットワーク・ケーブルでもよい)を介してインターネットに接続することができる。望ましくは、カメラ本体は、標準の三脚ねじ穴を有し、戸外で使用できるように市販の屋外用カメラハウジングに適合するような寸法および形状にされる。
【0031】
ビューファインダ244によって、オペレータは、画像形成光学システム(図2に示されている)を介してカメラ1の撮像装置(図2に示されている)上に形成された画像に対応する光景、またはその画像と同じ光景を見ることができる。ディスプレイ(たとえば、LCD)218、望ましくは廉価なマルチライン・テキスト・ディスプレイは、設定状況、動作状況等をユーザに表示し、ユーザは、少なくともボタン/スイッチ入力装置214を介してカメラ1に適切な指示を入力することができる。第1の実施形態では、ボタン/スイッチ入力装置214は押しボタン214aおよび214bと、動作メニューの切り替えを行う「メニュー」ボタン214dと、メニュー中の選択肢を示す「項目」ボタン214cと、イベント・ベース・モードで画像の取込みを行う(手動操作を含む)リリース・ボタン214eと、その他の特定の機能(後述)とを有する。
【0032】
図2は、一体型インターネットカメラ1の第1の実施形態ブロック図である。この場合、カメラ1は、常時動作状態で動作している。すなわち、たとえば「オン-オフ」スイッチによってカメラが「オフ」しているとき、オペレータにはカメラに電力が供給されていないように見えるが、カメラ1は、「オフ」しているときでも依然として制御信号および入力に応答する。図2に示したように、カメラ1は、高集積マイクロコントローラ200によって制御されており、このマイクロコントローラは、メイン・プロセッサまたはマイクロプロセッサ201と、パラレル(たとえば、16ビットISA)バス234(マイクロコントローラ200の外部の構成要素に接続される)と、パラレル・バス234上のスロット・インタフェース232(たとえば、PCMCIAインタフェース)を制御するスロット・コントローラ202(たとえば、PCMCIAスロット・コントローラ)と、パラレル・バス234上の汎用メモリ(GP DRAM)228を制御するメモリコントローラ204と、ディスプレイ218(例えば、LCD)の表示機能を制御するLCDコントローラ206と、時間、タイミングおよび間隔を測定するリアルタイム・クロック(クロック/タイマ)208と、外部周辺装置またはコンピュータをセットアップ装置としてマイクロコントローラ200に接続するシリアル/IrDAポート210と、割込みコントローラ213と、ボタン/スイッチ入力214を走査するキーボード・コントローラ212とを有する。
【0033】
マイクロコントローラ200は、それぞれ、メイン・プロセッサ201と通信できる複数の汎用入出力219(GPIOピン)およびトリガ入力211インターフェイスを有する。図2に示したように、GPIOピン219は様々な入出力、たとえばオーディオ入力221(MIC)に接続することができる。さらに、(後述のように)イベント信号、すなわち「マニュアル」リリース信号をマイクロコントローラ200へ送信する外部トリガ装置215(モーション・センサまたはトリップ・スイッチ)をトリガ入力211に接続することができる。GPIOピン219は、入力信号を受信できるため、トリガ入力211と同様の動作も可能であることに留意されたい。カメラ1で使用するのに適した高集積マイクロコントローラの一例としてはVadem VG330があり、これは、前述の構成要素を有するx86互換単一チップ・マイクロコントローラで、米国のVadem社から市販されている。Vademマイクロコントローラは、本明細書内で論じるトランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)スタックを組み込んだオペレーティング・システムの下で動作することができる。また、上記で述べた構成要素を外付けすることにより、より低い集積度のマイクロコントローラを使用できることに留意されたい。より低い集積度のマイクロコントローラの一例としては、日立製作所製H8/3437があり、富士フィルムマイクロデバイス社製 MD8501等の PCMCIAコントローラ(ダイレクトメモリアクセス機能付)と組み合わせて使用されること等が考えられる。
【0034】
スロット(PCMCIA)コントローラ202とスロット・インタフェース232は共に、少なくともPCMCIA2.1標準カードおよびExCA標準カードに準拠し、後述のようにネットワーク・インタフェース装置236をサポートすると共に、ホット・スワッピング機能およびメモリ・カードをサポートするように構成されている。
【0035】
前述したように、ディスプレイ218は、文字およびテキスト情報を表示することができ、ディスプレイ・コントローラ206に応答する廉価なマルチライン・ディスプレイである。リアルタイム・クロック208は、クロック機能とタイマ機能の両方を有し、現在の日時を維持すると共に、日付および時間の問合せに応答し、あるいは1つまたは複数のタイマを開始又は停止し、あるいは所与のタイマの状況を返すことができる。また、リアルタイム・クロック208は自動でセットまたはリセットすることも、あるいは手動でセットまたはリセットすることもできる。ユーザの希望に応じて、現在の日時ストリングを得るためにカメラ1をサーバに接続することも、あるいは1900年1月1日の深夜12時からの秒数、すなわち調整された普遍時間を得るためにカメラ1をサーバに接続することもできる。これらの値と変数群内の時間ゾーン設定とに基づいて、現在のローカル時間を自動的に設定することができる。
【0036】
シリアル/IrDAポート210は、IrDA規格の下で動作する赤外線トランシーバと、シリアル・インタフェース(たとえば、DB9コネクタを有するRS-232Cインタフェース)のうちの一方または両方を備える。シリアル/IrDAポート210は、ケーブルまたは赤外線トランシーバを介してポータブル・コンピュータ216またはセットアップ装置に接続することができる。割込みコントローラ213は、たとえば、キーボード・コントローラ212や、メモリ・コントローラ204や、スロット・コントローラ202や、シリアル/IrDAポート210や、GPIOピン219や、トリガ入力211や、パラレル・バス234からの割込みを処理する。
【0037】
パラレル・バス234は、制御命令およびデータを転送するマイクロコントローラ200と、画像メモリ220に接続されていて取り込まれた画像を圧縮する圧縮エンジン224と、マイクロコンピュータ200によって記憶空間およびアプリケーション空間として使用される汎用メモリ(GP DRAM)228と、マイクロコントローラ200をブートする、すなわち、セルフテストおよびO/Sを立ち上げるブートROM230と、記憶されているデジタル画像に対して画像処理を実行する色調整回路256と、記憶されているデジタル画像にテキスト情報を重ね合わせる文字生成装置254と、スロット・インタフェース232に接続される。GPメモリ228は、少なくとも2MBであり、画像メモリは、少なくとも512Kである。
【0038】
圧縮エンジン224は、画像圧縮をハードウェアで実施し、他のタスクを実行するメイン・プロセッサ201を解放している。本実施例では、圧縮エンジン224は、JPEG規格の下で画像圧縮を実行するが、他の画像フォーマット(たとえば、TIFF、GIF)、またはその他の圧縮方式(たとえば、ハフマン、ウェーブレット、フラクタル)を出力するようにも構成することができる。JPEGを標準として使用した場合、圧縮エンジン224は、8ビット・グレースケールまたは24ビット・カラー(8ビット*3色平面)に適したJPEG圧縮レベルを用いてJPEG画像ファイルを符号化し、復号し、再符号化することができる。本実施例の場合、圧縮エンジン224は、可変圧縮レベル、たとえば0%ないし100%を連続的に処理するが、より簡単な動作の場合は、低画質レベルと、中間画質レベルと、高画質レベルと、最大画質レベルとを含む少なくとも4つのJPEG圧縮レベルで圧縮するように設定することもできる。
【0039】
色調整回路256は、画像メモリ220に記憶されている画像の画像データ処理を実行する専用回路である。色調整回路は、たとえば、撮像装置(CCD)の分光特性(直線性)を補償するために、記憶されている画像に対して色補正を実行する色調整(ガンマ)モジュールと、記憶されている画像の全体的な輝度を増減させる輝度モジュールと、記憶されている画像の全体的なコントラストを増減させるコントラスト・モジュールと、画像のアスペクト比の調整や画像の任意の部分のクロッピング(抽出)を含めて、記憶されている画像を補間または再サンプリングしてそのサイズを増減させるスケーリング・モジュールと、記憶されている画像の色相、彩度、輝度を増減させる色相/彩度/輝度モジュールとを有する。これらのモジュールにはそれぞれ、所望の補正または機能を実行するために、従来型のアルゴリズムを使用ことができる。
【0040】
色調整計算は、色調整回路256によって行われるが、圧縮エンジン224によって行うことも、あるいはNVRAM242からGPメモリ228にロードすることのできるような適切な色調整アプリケーションとマイクロコントローラ200を組み合わせて行うこともできる。
【0041】
文字生成装置254は、文字ストリング(たとえば、日付、時間、あるいは注釈ストリング)を受信すると、内部に記憶されているフォントに従ってビットマップ文字列を生成し、記憶されているデジタル画像にテキスト情報を重ね合わせるように画像メモリ220内のメモリ値を変更する。すなわち、ビットマップ文字列のビットマップデータに従い、記憶されている画像の画像座標上で、色情報に相当する部分の値を変更することとなる。本実施例では、文字生成装置は、文字を確実に見えるようにするために記憶されている画像内のビットマップ文字に対応するすべての画素を反転させるか、あるいは一様な色の文字を挿入するために、記憶されている画像内のビットマップ文字に対応するすべての画素を同じ値に変更するよう動作する。
【0042】
マイクロコントローラ200はさらに、シリアル・バス240を有するシリアル・コントローラ238(たとえば、EEPROMコントローラ)に接続される。本実施例では、少なくとも64Kの再書込み可能な不揮発性(NVRAM)242(たとえば、EEPROM)がシリアル・バス上に設けられる。NVRAMは、カメラ242に関するシステム・ファームウェア、パラメータ、アプリケーションを記憶しており、たとえば、マイクロコントローラ200が初期設定されるときに少なくともブートROM230に従ってマイクロコントローラ200からアクセスされる。別法としては、NVRAM242がフラッシュ・メモリであり、前述のEEPROMコントローラに換えてフラッシュ・メモリ・コントローラで置き換えることができる。NVRAM242は少なくとも、マイクロコントローラ200を制御するユーザ・インタフェース/オペレーティング・システム・アプリケーションと、撮像回路250によって使用される露光を制御する自動利得制御(AGC)を含む露光制御アプリケーションと、インターネット・アクセス用のトランスポート制御プロトコル・スタック(たとえば、TCP/IPスタック)と、ファイル転送アプリケーション(たとえば、FTPアプリケーション)と、スロット・インタフェース232に接続されたネットワーク・インタフェース装置236の少なくとも1つのドライバ(たとえば、モデム・ドライバ、ネットワーク・アダプタ・ドライバ)を記憶する。NVRAM242の一例としては、ナショナルセミコンダクタ社から市販されているNM24cxxシリーズのシリアルEEPROMがある。さらに別法として、NVRAM242は前述のようなパラメータだけを記憶し、残りのソフトウェア/ファームウェアはそれらが記憶された別のROMから実行される場合が考えられる。この場合のROMも新しいソフトウェア/ファームウェアを更新可能なフラッシュ・メモリでよい。
【0043】
トランスポート制御プロトコル・スタックは、マイクロコントローラ200によって制御され、トランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)接続の下で送信されるすべてのデータをパケット化し、各パケットにヘッダ情報(アドレス情報を含む)を挿入する。したがって、カメラ1をトランスポート制御プロトコルの下でネットワーク・インタフェース装置236を介してインターネットに接続すると、画像ファイルの送信を含むすべての送信が、トランスポート制御プロトコルに従ってパケット化されアドレスされる。
【0044】
前述のように、標準プロトコルの一例には、トランスポート制御プロトコル・スタックTCP/IPがあり、これは、エラー報告、データの優先順位付け、失われたパケットまたはエラーのあるパケットの再送信を行うことのできる接続順応型プロトコルの一つである。このモデルでは、TCPレイヤは、データ・ストリームを受け入れセグメント化し、これらのセグメントを経路指定するためのIPレイヤに渡す。また、セグメント化されたデータをIPレイヤから受け入れ、エラー条件を解決し、必要に応じて再度セグメント化を行う。IPレイヤは、セグメント化されたデータを経路指定し、エラー条件を解決し、再セグメント化のためにTCPレイヤにデータを返す。この種のプロトコルは、訂正しなければならないデータを確実に送信し、特定の静止画像を送信し、あるいは構成ファイル(後述)を回収または受信する場合に、より有用である。
【0045】
別法として、さらに、再送信機能もエラー訂正機能も与えない低いオーバヘッドのプロトコルを使用することもできる。たとえば、チェックサムやCRC(巡回冗長性検査)等のエラー検査で不合格となった画像データやその他のデータは破棄され再送信を必要とされない場合である。プロトコルの1つの候補はUDP/IPであり、このプロトコルは、送信エラーに応答するプロトコル(たとえば、TCP/IP)の代わりに、あるいはそれに加えてトランスポート制御プロトコル・スタックの一部として与えらえる。この種のプロトコルは、エラー応答プロトコルのオーバヘッド(たとえば、パケット・ヘッドに含まれるデータが少ない)を著しく低減し、最高速度で画像をストリーム化する場合に有用である。したがって、後述のように、カメラは、画像を最高速度でストリーム化するように設定されると、トランスポート制御プロトコル・スタックの一部として与えられるよりオーバヘッドの低いプロトコル(たとえば、UDP/IP)に切り替える。試算によると、現行のモデルでは、UDP/IPなど低オーバヘッドのプロトコルの下で毎分約15フレームの静止画像のストリーム化送信が可能となる。
【0046】
以下は、エラー応答TCP/IPが例示的なトランスポート制御プロトコルとして使用される例で、特には、パケットまたはデータの喪失が受け入れられる接続上で、たとえば、データ・オーバヘッドを低減し画像ストリーム化速度を増加するためにTCP/IPをよりオーバヘッドの低いプロトコルで置き換えることである。尚、エラー応答TCP/IPと低オーバヘッドUDP/IPのいずれかを継承プロトコル(エラー応答TCP/IPまたは低オーバヘッドUDP/IPを標準として継承するインターネット・プロトコル)で置き換えることができる。
【0047】
ネットワーク・インタフェース装置236はスロット・インタフェース232に設置される。ネットワーク・インタフェース装置236は、POTS線上で使用できるアナログ・モデム(V.34、56K、V.90など)またはデジタル・モデムや、トランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)を使用する標準イーサネットLAN(たとえば、10BaseT)に接続されるイーサネット・アダプタや、ISDN端末アダプタに接続することのできるISDNモデムや、xDSLアダプタや、ケーブル・モデムや、ATMアダプタや、T搬送波端末アダプタ接続や、衛星接続用アダプタや、マイクロ波接続用アダプタや、無線接続用アダプタや、高速外部シリアル・バス、たとえばUSBやIEEEI394を介したシリアル送信用のアダプタや、一般電線を介したデータ送信用のアダプタなどのカード(たとえば、PCMCIA)であるが、これらに限らない。電話型モデム(たとえば、アナログ、デジタル、ISDN)をネットワーク・インタフェース装置236として使用する場合、NVRAM242内に「電話伝送プロトコル」(たとえば、ポイント・ツー・ポイント・プロトコル:PPP)アプリケーションが設けられ、必要に応じてマイクロコントローラ200によって適切にロードされ実行される。
【0048】
カメラ1は、撮像装置(たとえば、CCDまたはCMOS)248上に特定の光景の画像を形成する画像形成光学システム245を有し、ビューファインダ光学システム244によって、ユーザは、画像形成光学システム245を通過した光景を見ることができる。図3は、ビューファインダ光学システム244と画像形成光学システム245を示した例で、本実施例では、これらのシステムは対物レンズを共用し、半透鏡を使用してシステム244とシステム245との間で光を分配しているが、各システム244、245を専用のレンズで形成することもできる。すなわち、ビューファインダ光学システム244と画像形成光学システム245は、別々の光学軸を有する2つの別々の光学システムであってもよい。
【0049】
撮像装置248は、たとえば、GPIOピン等を介して、マイクロコントローラ200に接続された撮像ドライバ252(たとえば、CCDや、CMOSや、赤外線撮像ドライバ)によって駆動され、マイクロコントローラ200は、撮像装置248の駆動に寄与すると共に、画像データを撮像回路250へ転送することを担う。本実施例では、撮像装置248は、色画素の取込みを可能にするカラー・フィルタ(たとえば、Mgフィルタ要素、Yeフィルタ要素、Cyフィルタ要素、Gフィルタ要素の2x2マトリックスで撮像装置248上の4つの画素からなる各群をカバーするフィルタ)を備える、たとえば、1/4”カラーCCDである。別法として、撮像装置248は、撮像装置248の前方で、複数のカラー・フィルタを連続的に切り替えることのできる機械式のカラー・フィルタ・スイッチャと、それぞれの異なるカラー・フィルタを通して得られた連続画像をフルカラー信号にアセンブルする回路とを備える場合が考えられる。
【0050】
さらに、前述のように、撮像装置248は、既知の技術によってサーモグラフを生成するのに適した赤外線センサでもよい。そのような場合、本明細書で論じたレンズは、赤外線伝達材料、たとえば、カルコゲンガラスや、フッ化ガラスや、セレン化亜鉛や、ゲルマニウムや、シリコンで形成することができ、以下で論じる画像処理回路は、結果として得られるサーモグラフ中の暖色領域および冷色領域として赤外線周波数変化度を区別する色変換ルーチンを有する。
【0051】
撮像回路250は、撮像信号を輝度(Y)信号および2つの色差信号(Cb-青、Cr-赤)に変換する画像処理回路を有し、撮像装置248から得たアナログ画像信号をアセンブルするのに必要な従来型の回路を有する。当技術分野で良く知られているように、YCbCr信号群(たとえば、4:2:2)からフルカラー信号に合成することができる。
【0052】
アナログ画像信号は、A/D変換器246によってデジタル信号に変換され、圧縮エンジン224を介して画像メモリ220(たとえば、高解像度色画像を少なくとも1つメモリできる容量のRAM)に渡される。圧縮エンジン224としては、画像メモリ220を制御するメモリコントローラ226が組み込まれたものが望ましい。メモリ・コントローラ226を組み込んだ適切な画像圧縮エンジン224の一例としては、富士フィルムマイクロデバイス社から市販されているMD2205Bがある。独立のメモリ・コントローラを必要とする適当な画像圧縮エンジンとしては、たとえば、メモリコントローラ MD0204と共に用いるMD36050Xがあり、これらも共に、富士フィルムマイクロデバイス社から市販されている。
【0053】
マイクロコントローラ200は、後述のように、個々の画像に割り当てられた属性に従い、画像を画像メモリに格納するか、または圧縮するかの指令を送り圧縮エンジン224を制御し、希望の圧縮度で圧縮(たとえば、JPEG)する。特定の画像を圧縮すると、圧縮された画像は、マイクロコントローラ200のパラレル・バス234上に存在する汎用メモリ(GP DRAM)228にヘッダ情報、たとえば、JPEG制御および時間/日付/メッセージ・スタンピングと共に記憶される。マイクロコントローラ200は、画像メモリに画像を記憶する前または後に、アスペクト比を維持した状態で(ただし、アスペクト比は必要に応じて変更することもできる)、その画像の解像度を連続スケール上で調整することができる。(たとえば、640*480、320*240、160*120、80*60、または、任意の解像度を設定することができる)。
【0054】
カメラ1はさらに、そのすべての構成要素に電力を与える一体型DC電源217(たとえば、12V)を備える。DC電源としてACアダプタを組み込むことができるが、本実施例では、ACアダプタは、カメラの寸法を小さくできるようにカメラの外部に設けられている。この場合、ACアダプタは従来のACアウトレットに挿入され、全世界の様々なAC電源に接続することのできる「汎用」ACアダプタでよい。
【0055】
図3の(a)および(b)に示したように、一体型インターネットカメラは、ネットワーク・インタフェース装置236により、電話システム302またはローカル・ネットワーク316を介してインターネット308に接続することができる。
【0056】
図3(a)は、カメラ1をネットワーク・インタフェース装置236としてのモデムと組み合わせてインターネットに接続するための構成を示す。カメラ1は、たとえばPPP(電話伝送)およびTCP/IP(トランスポート制御)を使用し、電話システムまたはケーブル・ネットワーク302を介してローカルまたはリモートISPに接続される。後述する初期ログインを介してカメラ1から供給されるユーザーDおよびパスワード、すなわち、ネットワーク認証によって、カメラは、ローカルISP304から与えられるローカル・シェル・アカウント306(シェル#1)にアクセスすることができる。本明細書では、「ローカル・シェル・アカウント」は、ダイレクト接続と初期ログインを介してカメラ1からアクセスされるシェル・アカウントを示す。ローカル・シェル・アカウント306は、各ユーザに対して、ユーザ・ディレクトリへのアクセスを可能にするので、ユーザは、HTMLファイル、圧縮画像ファイル、ユーザ・スクリプト、コントロール、およびWebページを作成しかつWebページへのアクセスを可能にするのに必要なその他のファイルを自由にこのディレクトリに収納することができる。
【0057】
すなわち、ユーザ・ディレクトリに記憶されているのは、Webページから参照されるか、あるいはWebページにリンクされており、たとえばWebブラウザを備えるパーソナル・コンピュータ310等を使用して、リモート・ユーザから見ることのできる圧縮済み画像ファイルである。カメラ1は、ローカル・シェル・アカウント306にログインした後、制御ファイル属性および宛先情報(後述)に応じて、ファイル転送(たとえば、FTP)アプリケーションを介してGPメモリ228からローカル・ユーザ・ディレクトリに画像ファイル(たとえば、JPEG)をアップロードすることができる。インターネット308のユーザは、アップロードされた画像(たとえば、JPEG)にアクセスし、たとえばパーソナル・コンピュータ310およびブラウザを介してシェル・アカウントのユーザ・ディレクトリからこの画像を見ることができる。本明細書では、パーソナル・コンピュータ310は別法として、Webブラウザ、ネットワーク・コンピュータ、またはサーバを含む一体型テレビジョン・セットまたは電話、あるいはメインフレームまたはミニコンピュータを含む「ダム」端末、あるいはメインフレームまたはミニコンピュータを含むスマート端末、あるいはインターネットにアクセスできる任意の構成でよい。
【0058】
さらに、いったんカメラ1がローカルISP304に接続され、インターネット308へのアクセスが可能になると、カメラ1は、適切なFTPユーザーIDおよびパスワードを用いることにより、FTPを介して、リモートISP312から与えられたリモート・シェル・アカウント314(シェル#2)にアクセスすることもできる。JPEG画像ファイルは、上記でローカル・シェル・アカウント306と共に説明したのと同様にリモート・シェル・アカウント314に記憶されリンクされる。したがって、カメラ1は、ローカルな第1の場所でインターネットに接続されるが、世界の任意の場所である第2の場所に画像を記録することができる。そのため、おそらく数千マイル離れた一体型インターネットカメラ1からの画像を用いたWebページの作成が可能になる。
【0059】
図3(b)は、カメラ1がローカル・シェル・アカウント306、インターネット、リモート・シェル・アカウント314に同様のメカニズムでアクセスできるという点で、図3(a)と類似している。しかし、図3(b)では、カメラ1をインターネットに接続するための構成が、ネットワーク・インタフェース装置236としてのネットワーク・アダプタと組み合わされているという点で異なる。カメラ1は、トランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)を使用してローカル・イントラネットまたはLAN316に接続され、ローカル・イントラネットまたはLANはさらにインターネットに接続される。カメラ1とローカル・イントラネットまたはLAN316との間にトランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)接続が確立された後、カメラ1は、上記で図3(a)に関して説明したように画像をアップロードすることができる。
【0060】
図4、5に、ディスプレイ218と組み合わされたボタン/スイッチ入力214を介し、あるいはパーソナル・コンピュータと組み合わされたシリアル/IrDAポート210を介してユーザによって読み取りおよび書き込むことができ、あるいは自動セットアップ/構成機能により、カメラ自体によって更新することができるNVRAM242中のメニュー・パラメータ記憶構造の例を示す。ただし、これらのパラメータは、カメラ1が動作しているときはGPメモリ228に読み込まれる。
【0061】
図4、5に示したように、カメラ1は、その動作を制御する多数の変数およびパラメータをNVRAM242に記憶し、それらの変数およびパラメータは、メニュー機能を介し、あるいはマイクロコントローラ200によって受信される直接コマンドを介し、あるいはシリアル/IrDAポート210を介してユーザによって調整することができる。表型インタフェースまたはラインモード・テキスト・インタフェース、グラフィカル・ユーザ・インタフェース、あるいはパラメータを設定し記憶することを可能にするボタン/スイッチ入力214またはシリアル/IrDAポート210に応答するその他のユーザ・インタフェースを介して、メニュー機能にアクセスすることができる。メニュー・パラメータ記憶構造は、画像ファイル(IMAGE FILES)、他のオプション(MISC OPTION)、通信(COMMUNICATIONS)、レポート(REPORTING)のような少なくとも4つの範疇のパラメータを記憶する。
【0062】
IMAGE FILES(画像ファイル)メニュー/記憶領域では、カメラによって取り込まれ、調整され、アップロードされる複数の画像に関するフラグ、属性、パラメータの設定ができる。この実施形態では、個々の制御に複数の画像スロット(たとえば、FILE1...FILE9)を使用することができ、図4に示されるように、各画像スロットごとに各IMAGE FILES変数群が与えられる。なお、9つの画像スロットは例示的なものに過ぎず、カメラ1は、いくつかの異なる画像ファイルとそれに伴うパラメータとを、与えられたメモリの容量まで記憶することができる。
【0063】
ファイル定義(FILE DEFINITION)変数群は、ファイル名と、宛先ディレクトリと、同じ名前のファイルを上書きすべきかどうかと、カメラ1が画像のアップロードに失敗した場合の再試行の数とその間隔を定義するいくつかのパラメータを記憶する。ファイル名は、英数字定義ストリングに従ってカメラ1によって自動的に設定され、たとえば、「vcam###」がファイル名として入力された場合、カメラは、画像が記録される毎に画像名に続く数字部を1ずつ増分する(たとえば、「vcam001」、次いで「vcam002」など)。FILE DEFINITION(ファイル定義)変数群は、画像スロット用のメモリが動的に割り振られたときの開始メモリ・アドレスと、終了メモリ・アドレスと、画像ファイルサイズを記憶し、画像スロットが他のスロットのサムネイル画像(画像をブラウズするために使用されるより小さな画像)であるかどうかを定義するパラメータとサムネイルの親画像スロットの番号等も記憶する。画像スロットをサムネイル・スロットとして指定すると、サムネイル・スロットのファイル名は、親画像スロットの派生名として自動的に設定され、たとえば、ファイル名「vcam001」の親スロットに対応するサムネイル・スロットは、「vcam001t」と自動的に命名される。
【0064】
アップロード(UPLOAD)変数群は、ファイルをただちに(たとえば、リリース信号が入力され画像ファイルが記憶された直後に)アップロードすべきか、それとも次のバッチ・アップロード動作時にアップロードすべきかを定義するパラメータを記憶する。
【0065】
スタンピング(STAMPING)変数群は、スタンピングをファイル・ヘッダ情報に付加するか、あるいは画像に重ね合わせるかと、日付および時間ならびにユーザ定義注釈またはメッセージのスタンピング、ならびに注釈自体を定義するいくつかのパラメータを記憶する。
【0066】
画像調整(IMAGE ADJUST)変数群は、ガンマ、明るさ、コントラスト、色相、彩度、輝度の増減、ならびに圧縮レベル(たとえば、JPEG)と、解像度と、画像をグレースケールとして記憶するか、それとも色画像として記憶するか、ならびに指定された画像のクロッピング(たとえば、クロップすべき領域のそれぞれの対向する隅の座標を定義するいくつかの色特性パラメータ)を記憶する。各IMAGE ADJUST(画像調整)変数群に記憶されているパラメータは、画像の各色特性(たとえば、コントラスト、色相など)に対応し、特定の画像スロットに関する特定の特性の増減または変化なしを定量化する。
【0067】
タイマ(TIMER)変数群は、週、日、時間、分間隔の取込み、あるいはストリーム化、すなわち、カメラ1が管理できる最高速の連続取込みおよび送信、あるいは設定された日付および/または時間での取込み、あるいは画像スロットが、「手動」取込みを含んだイベント・ベースの取込み(たとえば、リリースボタン214eを押すことか、あるいはトリガ入力211またはGPIOピン219から受信されるリリース信号による)を使用するものであるかどうかを定義するパラメータを記憶する。
【0068】
任意選択で、変数群に従って各サムネイルごとに1つの画像スロットを指定するのではなく、任意の画像スロットをサムネイル画像ファイルの伴う画像スロットとして指定することができる。そのような場合、マイクロコントローラ200は、親画像ファイルを作成しているときに、親画像をスケーリングすることによってより小さなサムネイル画像を自動的に作成し、親ファイル名から得られたファイル名を使用してサムネイル画像を送信することができる。この時、サムネイル画像のファイル名は、親ファイル名をベースとして使用するが、画像がサムネイルであることを示す所定のプリフィックスまたはサフィックスを有する。
【0069】
さらに別法として、画像スロットをサムネイル・グリッド・コラージュ・スロットとして指定することができる。サムネイル・グリッド・コラージュ・スロットとは、サムネイルをコラージュ状に格子配列した画像スロットである。すなわち、サムネイル・グリッド・コラージュ・スロット内の所定のX、Y位置に、各画像スロットのより小さな(たとえば、80*60ピクセルの)サムネイル画像が記録されており、このサムネイル・グリッド・コラージュ・スロット画像をマスタ「コラージュ」画像として指定することができる。すなわち、マスタ・コラージュ画像は、通常の画像スロットのサムネイル画像を格子状に配列して、通常の単一の画像のサイズとしたものである。画像スロットと共にサムネイルを送信する際、マイクロコントローラ200は、マスタ・コラージュ画像中の所定の位置から対応するサムネイルを読み取り、自動的にサムネイル・ファイル名を割り当てて、該サムネイルを送信することができる。たとえば、ファイル名「vcam002」を有する画像スロット2を、80*60サムネイルの伴うスロットとして指定した場合、マイクロコントローラ200は、マスタ・コラージュ画像中の、通常の画像スロット2から得られた位置(たとえば、マスタ・コラージュ画像の(81、0)から(160、60)で規定される範囲)に記録されているサムネイル画像を読み取り、たとえば、「vcam002t」というファイル名を付与して送信することができる。また、サムネイル・グリッド・コラージュ・スロット自体を、現在カメラ1に記憶されている画像スロットとは別に送信することにより、すべての画像をプレビューまたは検索するための容易な方法を提供することもできる。
【0070】
図5に示す、通信(COMMUNICATIONS)メニュー/記憶域には、通信パラメータを設定することができる。
電話(TELEPHONE)変数群は、第一ISP電話番号およびリターン・ストリング、第二ISP電話番号およびリターン・ストリング、カメラ1が電話伝送プロトコル(たとえば、PPP)接続に失敗した場合の再試行の回数とその間隔、「良好な」接続速度、電話接続用のオプションを記憶する。オプションには、どの電話伝送プロトコルを使用するか(たとえば、PPPやSLIP)と、選択された電話伝送プロトコルを使用するためのパラメータ、たとえば、認証の種類や、「クライアント」が通信を開始するか、それとも「サーバ」が通信を開始するかが含まれる。リターン・ストリングは、カメラ1がたとえば、ユーザIDやパスワード情報を送信するためのプロンプトとして使用する被呼ISP接続からの通信である。
【0071】
カメラ・アドレス(CAMERA ADDRESS)変数群は、カメラ1のローカルアドレス(たとえば、IP)が動的に設定されているもの、すなわち、インターネット・サーバから与えられたものか、それとも静的なもの、すなわち、カメラ1の固有のアドレスとして設定されているものかどうかと、静的なものである場合にはローカルアドレス(たとえば、IP)と、発呼Eメールのメールサーバ・アドレス(たとえば、SMTP)を記憶し、必要に応じてSMTPユーザIDおよびパスワードを記憶する。
【0072】
伝送(TRANSMISSION)変数群は、ネームサーバ(たとえば、DNS)によって指示されたリモートアドレス(たとえば、IP)にカメラ1がアクセスできるようにURL情報を記憶した第一ネームサーバアドレスおよび第二ネームサーバ・アドレス(たとえば、DNS)と、ネットワーク認証が必要であるかどうかを示すフラグ、ネットワーク認証用のユーザーIDおよびパスワードと、カメラ1が連続通信を維持すべきか、あるいはアップロードが指示されたときにのみダイヤルアップ/接続をすべきかを示す変数と、カメラ1がトランスポート制御プロトコル接続に失敗した場合の再試行の回数およびその間隔と、カメラ1がたとえば、接続を行ったが何の通信もあるいは何のリターン・ストリングも受信しない場合のタイムアウトと、ISP接続に関連するリターン・ストリング(前述のカメラ動作のプロンプトとして説明したように)を記憶する。
【0073】
モデム/LAN(MODEM/LAN)変数群は、ネットワーク・インタフェース装置として与えられたモデムに関するセットアップ制御ストリングと、モデムまたはネットワーク・インタフェースを立上げ時にセルフテストするべきかどうかを示すフラグと、LANオプションを記憶する。LANオプションには、ローカル・ネットワーク通信を確立する際に必要または有用な情報、たとえば、カメラ1のゲートウェイ・アドレス、サブネット・マスク、LANアドレスが含まれる。
【0074】
ファイル転送(FILE TRANSFER)変数群は、ファイル転送プロトコル(たとえば、FTP)ホスト・アドレス(たとえば、IPアドレスまたはURLとしての)と、画像が記憶されているインターネット上のシェル・アカウントにアクセスするためのユーザーIDおよびパスワードと、カメラ1がファイル転送ログインに失敗した場合の再試行の数およびその間隔を記憶する。
【0075】
MISC OPTIONS(他のオプション)メニュー/記憶域は、「ハードウェア」設定と、カメラ1の特殊機能の設定を記憶する。
【0076】
ハードウエア設定(HARDWARE SETTINGS)変数群は、現在の日付・時刻と、どのトリガがアクティブであるかと、カメラがそのトリガにどのように応答するかと、動作を実行すべきカメラ1の画像源が何であるかを記憶する。たとえば、トリガ設定(たとえば、第5の実施形態のような、2つの入力トリガおよび1つの出力トリガ)では、2つの入力トリガのどちらかまたは両方がHIGH信号入力時に画像取込みを行うこと、または入力トリガ動作時に出力トリが上にのHIGHを出力すること、またはボタン214eが押されたときの画像取込みを行うこと等の指示を設定することができ、かつこれらの設定は、それぞれの組合せで行ってもよい。
【0077】
画像源設定は、画像源がカメラ上のスイッチ・セット(たとえば、第5の実施形態のスイッチ214g)によって定義されるか、あるいは外部復号ビデオ信号を送信に使用するか、あるいは内部ビデオ信号を送信に使用するか、あるいは内部ビデオ信号の輝度信号(YCrCbの「Y」)、すなわち、必要とする帯域幅が少ない白黒信号のみを送信に使用するかを指示する設定を行う。
【0078】
製造業者(MNUFACTURER)変数群は、製造業者によって設定されるか、あるいは主として製造業者が使用することのできる設定で、たとえば、最後に更新されたNVRAM242内のファームウェアのバージョン番号および識別子や、カメラ自体の通し番号(たとえば、インターネットへのアクセスを認証する場合の固有のカメラ識別子として使用できる)や、製造業者または修理/保守設備によってカメラ1が試験されるときにカメラを適切なデバッグ情報および動作で応答させるためのデバッグ設定を記憶する。MNUFACTURER(製造業者)変数群の設定は、アクセスの限られたものであってよく、たとえば、シリアル/セットアップ・ポートを介して受信されるコマンドを介してのみアクセス可能でありユーザから見ることはできないものや、あるいはアクセス・コードまたはアクセス・コードを定義する所定のボタンの組合せ入力を介してのみ使用することができるものであり、メニュー操作を介して使用することはできない。
【0079】
リセット(RESETS)変数群は、ソフト・リセットが間隔ベースのものであるかどうか、およびそれに伴う間隔と、ソフト・リセットがイベント・ベースのものであるかどうか、および対応するイベント・コード、たとえば、生成されたエラーおよびその繰返しのリストと、どのアプリケーション/ドライバ/メモリ空間(のすべてあるいはいくつか)をリセットまたは初期設定またはクリアするかを定義するリセット・リストとを有し、「ソフト・リセット」が実行される状況、たとえば、後述のステップS10のような再初期設定を定義する。
【0080】
適合(ADAPTIVE)変数群は、アップロードデータ送信速度に応じた画像の圧縮比(たとえば、JPEG)の変更や、接続を確立しない場合の、電話伝送プロトコル(たとえば、PPP)アクセスのための第二電話番号への変更や、接続を確立しない場合の第二DNSアドレスへの変更などの順応機能を使用可能にする。
【0081】
バッチ(BATCH)変数群は、ファイルのバッチ・アップロードが実行される間隔および/または日付/時刻を記憶する。
【0082】
自動構成(AUTOCONFIGURE)変数群は、カメラ1が、FTP接続を確立して画像をアップロードする際に、画像を転送する宛先シェルアカウント内にある新しいパラメータを有するセットアップ/構成ファイルを回収(ダウンロード)するかどうか、およびいつそれを行うかを決定するフラグと、セットアップ・ファイル・ディレクトリを定義するパラメータを記憶する。
【0083】
構成/セットアップ・ファイルは、暗号化され、MISC OPTIONS(他のオプション)記憶域に記憶されている追加のパスワード・キー(図示せず)を介して再生できることが好ましい。この場合、マイクロコントローラ200によって書込みおよび読取りが行える、すなわち暗号化および復号化できる適切な暗号化方法を使用することができる。
【0084】
REPORTING(レポート)メニュー/記憶域には、エラー報告パラメータおよび状況報告パラメータを設定することができる。
【0085】
アドレス(ADDRESS)変数群は、エラー、アッタチメント(画像ファイル)、状況レポート(アッタチメントを含む場合と含まない場合がある)が送信される宛先(Eメール)アドレスと、レポートの詳細レベルを設定するフラグを記憶する。
【0086】
レポート(REPORTS)変数群は、エラーを報告するかどうかと、各アップロード、たとえば、間隔または時限を報告するかどうかと、パラメータまたは設定の変更を報告するかどうかと、画像ファイル添付をレポートとして送信するかどうかと、どのスロットを送信するか(バッチ・リスト全体を送信する場合も含めて)と、カメラ1がレポートに失敗した場合の再試行の回数およびその間隔等、何を報告するかを定義する。
【0087】
エラー・レポート(ERROR REPORTING)変数群は、ログイン失敗や、過度に低いデータ転送速度や、一般的な入出力エラーや、FTPエラーや、モデム故障や、リセットや、パン/チルト・エラー(適用可能な場合、主として第2の実施形態用)などのエラーのうち、どの種類のエラーを報告するかを定義する。
【0088】
必要に応じて、後述の制御手順に従い、あるいは各変数に関して説明した機能に鑑みて当業者なら容易に達成できる制御手順に従って各変数群にアクセスすることができる。間隔または指定された日時が与えられた場合、マイクロコントローラ200はリアルタイム・クロック208と共に、各間隔または指定された各日時のために独立した複数のタイマ(たとえば、2に示したT1、T2...Tn)を維持する。すなわち、各画像スロットごとに少なくとも1つのタイマおよび少なくとも1つのバッチ・タイマが維持される。各タイマは、1つまたは複数のスケジューリング装置を形成するリアルタイム・クロック208およびマイクロコントローラ200と共に、所与の開始時間からの経過時間をカウントすることも、あるいは1つまたは複数の特定の日時までカウントダウンするように設定することもできる。
【0089】
図6は、カメラ1が「オン」したときに開始される制御手順を表す。前述のように、カメラ1が適切な電源に接続されているときは常にカメラ1に実際に電力が供給される。しかし、「オン・オフ」ボタンを操作するか、あるいは電源を接続した場合は、カメラ1は、図6に詳細に示した初期設定ステップおよびメイン・ステップを実行する。図6に示したように、カメラ1が「オン」した後、ステップS10でマイクロコントローラ200がまず「ブートされ」初期設定される。ステップS10で、ブートROM230に従って、マイクロコントローラ200の基本動作に必要なルーチンがNVRAM242からメモリ228にロードされる。このようなルーチン/アプリケーション/ドライバには少なくとも、トランスポート制御(たとえば、TCP/IP)スタックと、ネットワーク・インタフェース装置236を認識するドライバと、ユーザ・インタフェースと、オペレーティング・システム(表示されるブート・メッセージを含む)が含まれる。この後、システムの様々な機能を実行する必要に応じて、データおよびアプリケーションをNVRAM242、圧縮エンジン224、GPメモリ228から呼び出すか、あるいはそれらにロードすることができる。初期設定手順では、COMMUNICATIONS:MODEM/LAN変数群に記憶されている値およびパラメータを使用して、ネットワーク・インタフェース装置236を初期設定することができる。ステップS12では、プログラムは、図7に示したようにメイン・ルーチンを開始する。
【0090】
図7は、カメラ1のメイン・ルーチンの例示的な論理フローを示す。図7に示したように、ステップS14で、メイン・ルーチンは、割込みコントローラ213、GPIOピン219、またはトリガ入力211を介した「ユーザ」介入をイネーブルする。この点で初期設定が完了し、マイクロコントローラ200は、ボタン/スイッチ入力214、GPIOピン219、トリガ入力211、シリアル/IrDAポート210からのコマンド、あるいは様々なタイマからの「自動」コマンドまたはその他の割込み(後述)を認識することができる。
【0091】
マイクロコントローラ200は、シリアル/IrDAポートまたは内部発生信号(たとえば、ボタン、タイマ、トリガ、イベント)に従って、コマンド・セットを応答させ、コマンド・セット中のコマンドに従ってカメラを制御する。この実施形態では、単純さおよび安定性のために「エスケープ・コード」コマンド・セットを用いた。たとえば、カメラが応答するコマンドは、コマンドに伴うデータの前に3つのフィールド・ヘッダ、すなわち、1バイト・エスケープ・コード(従来型の0x1B 16進数)、1バイト・コマンド・コード(セット中の256個の異なるコマンドを許容する)、1バイト・コマンド・データ長(最大で256バイトまでのコマンド特有データを許容する)を有するように構成する。コマンドに伴うデータがない場合でもデータ長のフィールドは常に含められる。コマンドは2つの主範疇、すなわちパラメータ設定およびタスク実行に分類される。カメラは、コマンド構文と同様な応答構文、すなわち、エスケープ・コードと、コマンド・コードのエコーと、コマンド・データ長と、その後に続く、カメラから返されるデータとからなる構文に従う。カメラは要求時に、画像を含む大量のデータを返すので、応答構文中のコマンド・データ長は好ましくは3バイトであり、これによって、カメラは最大で16Mバイトのコマンド特有データを返すことができる。
【0092】
以下のルーチンおよび機能については特に特定のコマンド・セットを参照せずに説明するが、好ましくは、前述のようなコマンド・セットを使用して前述の動作を開始、実行、または終了するものである。後述の図17は、たとえばコマンド・セットの一部として受信したコマンドを処理するルーチンを示す。
【0093】
ステップS16で、マイクロコントローラ200は、
コマンド(たとえば、シリアル/IrDAポート210を介して受信されるか、あるいは1回または複数回のボタン押圧、タイマ、あるいは内部プロセスまたはイベントによって生成される)、
セットアップ信号(すなわち、ボタン214cないしdの一方のボタン押圧、またはシリアルIr/DAポート210から受信されるセットアップ信号)、
バッチ・アップロード信号(すなわち、セットアップ・モード時のボタン214eの押圧、またはシリアルIr/DAポート210から受信されるバッチ・アップロード信号、またはバッチ・タイマ満了)、
リリース信号(主動作モード時のボタン214eのボタン押圧、またはシリアルIr/DAポート210から受信されるリリース信号、または任意の画像スロット・タイマ満了、またはGPIOピン219またはトリガ入力211から受信される信号)
のうちの1つを待つ。
【0094】
ステップS16でコマンド信号が検出された場合、マイクロコントローラ200は、ステップS19(後で図17を参照して説明する)のコマンド・ルーチンに進み、コマンド・ルーチンが完了すると、ステップS24に進む。ステップS16でセットアップ信号が検出された場合、マイクロコントローラ200は、ステップS18(後で図16を参照して説明する)のセットアップ・ルーチンに進み、セットアップ・ルーチンが完了すると、ステップS24に進む。ステップS16でバッチ・アップロード信号が検出された場合、マイクロコントローラ200は、ステップS20(図14を参照して説明する)のバッチ・アップロード・ルーチンに進み、バッチ・アップロード・ルーチンが完了すると、ステップS24に進む。ステップS16でリリース信号が検出された場合、マイクロコントローラ200は、ステップS22の取込みルーチンおよびステップS23(図8および9を参照して説明する)の送信ルーチンに進み、取込みルーチンおよび送信ルーチンが完了すると、ステップS24(以下で図15に関して説明するレポート・ルーチン)に進む。ステップS24が完了すると、制御はステップS27に進む。
【0095】
セットアップ信号、バッチ・アップロード信号、またはリリース信号は図17のルーチンによって処理される「コマンド」とみなすことができるが、この実施形態では、独立して受信された「コマンド」として扱われる。ただし、適切なコマンドの受信により、被呼ルーチンに入ることもできる。
【0096】
ステップS27で、カメラ1は、RESETS(リセット)変数群に記憶されている値に従って「ソフト・リセット」を実行することができる。すなわち、カメラ1は、RESET(リセット)変数群に応じて、間隔ベースの「ソフト・リセット」(たとえば、1日に1度、1週間に1度)、またはイベント・ベースの「ソフト・リセット」(たとえば、ある回数だけ接続に失敗した後、あるいは生成された他のエラーの後)を実行することができる。いずれの場合も、RESETS(リセット)変数群に応じて、すべてまたはいくつかのアプリケーション/ドライバ/メモリ空間がリセットまたは初期設定またはクリアされる。ステップS27では、この場合もRESETS(リセット)変数群の内容に応じて、カメラ全体1をリセットまたは再初期設定する場合にカメラを図6のステップS10に戻すことができる。したがって、この機能によって、遠隔地に設置されたカメラ1は、そのユーザが設置場所に訪れることを必要とせずに、ときどき再始動して古いデータを自動でクリアするか、あるいは接続が得られない場合に自動でリセットすることができる。
【0097】
ステップS25でカメラが「オフ」(たとえば、ボタン/スイッチ入力214を介して)されてなかった場合、マイクロコントローラ200はステップS16に戻り、再びメイン・ルーチンを循環する。ステップS25でカメラ1が「オフ」したと判定された場合、制御はメイン・ルーチンに戻り、カメラ1は遮断される(たとえば、待機状態に入る)。
【0098】
図8は、画像を取り込み、圧縮し、記憶する取込みルーチンを示す。図8に示したように、取込みルーチンはまずステップS26で、指示された画像取込みがイベント・ベースのものであるかどうか、すなわち、ユーザまたはトリガの介入によるものであるかどうか、あるいは指示された画像取込みがタイマによる(たとえば、ステップS16でどの信号が受信されたかを示すように設定されるフラグによる)ものであるかどうかを検査する。
【0099】
取込み信号がタイマからのものである場合、制御はステップS28に進み、満了したタイマに応じて画像取込みスロットが識別される。次いで、制御はステップS32に進む。取込み信号がイベント・ベースのものである場合、制御はステップS30に進み、図4に示した画像ファイルメニュー:タイマ変数群中の利用可能なイベント・スロットとして識別されるスロットのうち、最新のものをイベント・スロットとして、画像スロットが識別される。次いで、制御はステップS32に進む。
【0100】
ステップS32で、露光が設定される。すなわち、マイクロコントローラ200が、露光を設定する目的で、現在カメラ1を向けている光景の取込みを開始する。しかし、この取込みは記憶されるのではなく、撮像回路250とマイクロコントローラ200によって画像全体の輝度を累積的にまたは平均して算出するのに用いられる。この平均は、画像の全画素またはその任意の部分から得ることができる。次いで、画像全体の輝度値を使用して、一般的な計算が行われ、これに基づいて、撮像装置248によって画像を取り込むのに適切な露光時間(すなわち、光累積時間)が設定される。
【0101】
ステップS34で、ドライバ252によって撮像装置248が駆動され、光が累積され、すなわち画像が記憶される。画像は次いで撮像回路250に移され、撮像装置248からのアナログ画像信号をビデオ信号にエンコードするための処理、および撮像信号を輝度(Y)信号および2つの色差信号(Cb-青、Cr-赤)に変換するための画像処理を施される。その後、A/D変換器246が上記アナログビデオ信号をYCrCbのデジタル画像信号に変換し、このデジタル画像信号は、圧縮エンジン224およびメモリ・コントローラ226によって画像メモリに渡される(この時点では圧縮なし)。制御は次いで、ステップS36に進む。前述の動作は、前述の赤外線センサにかなり類似しているが、画像の暖色領域および冷色領域を示す色変換ための赤外線周波数変化度を有する場合もある。
【0102】
ステップS36で、色調整と時間/日付/メッセージ・スタンピングを含む画像調整が、画像メモリ220内の画像に対して実行される。マイクロコントローラ200は、画像ファイルメニュー:画像調整変数群および画像ファイルメニュー:スタンピング変数群に記憶されているパラメータおよび設定に従い、かつステップS28またはS30で識別された画像スロットに従って、色調整回路256、圧縮エンジン226、文字生成装置254を制御し(ある特性を増減するか、あるいは維持する)、画像調整を行う。画像ファイルメニュー:スタンピング変数群に応じて、スタンピングでは、日付および時間、ならびに注釈をファイル・ヘッダ情報としてGPメモリ226内の適切なスロットに記憶すると共に、生成した適切な文字を画像メモリ220内の画像に重ね合わせることができる。制御は次いで、ステップS38に進む。
【0103】
ステップS38で、マイクロコントローラ200により、画像ファイルメニュー/記憶域:画像調整変数群に記憶されている設定に従って、画像メモリ220内の画像をGPメモリ226内の適切なスロット(ステップS28またはS30で識別された)に圧縮するように圧縮エンジン226が制御される。他のオプションメニュー/記憶域:適合変数群に記憶されているパラメータがデータ転送速度に応じて画像圧縮を変更する(たとえば、増減する)ように設定された場合、圧縮エンジン226は、データ転送速度が所定の速度よりも低い場合に圧縮レベルを所定の量だけ増大し、あるいはデータ転送速度が所定の速度よりも高い場合に圧縮レベルを所定の量だけ低減するように設定される。この後、制御は、取込みルーチンが図7のステップS22から呼び出された場合、ステップS23に返る。
【0104】
メイン・ルーチンは、図7のステップS23から、図9に示した送信ルーチンに制御を渡す。図9に示したように、送信ルーチンはまず、ステップS40で、ステップS28とステップS30のうちの一方で識別されたスロットがバッチ動作に指定された画像スロットであるかどうか、すなわち、画像ファイルメニュー/記憶域:アップロード変数群に記憶されている設定が、画像スロット内の画像をただちに、たとえば、取込みの後でアップロードすべきであることを示しているかどうか、あるいは画像スロットを次のバッチ・アップロード動作時にアップロードすべきかどうかを検査する。画像スロット内の画像が次のバッチ・アップロード動作に指定されている場合、制御は、メイン・ルーチンのステップS24の後に戻り、次いでステップS16が再び実行され、後に続く信号または割込みを待つ。これは、画像取込みがユーザ介入またはトリガ介入によって開始されたか、それともタイマ満了によって開始されたかにかかわらず行われる。
【0105】
画像ファイルメニュー/記憶域:アップロード変数群に記憶されている設定が、画像スロット内の画像をただちにアップロードすべきであることを示している場合、ステップS41で接続エラーの検出を行い、エラーがある場合は上記のようにメイン・ルーチンのステップS24の後に戻り、エラーがない場合はステップS42で、前記ファイル定義変数群で定義されたファイル名の割り当てを行って、制御をステップS44に渡す。
【0106】
ステップS44では、FTP接続ルーチン(以下で図11を参照して説明する)が呼び出され、カメラがFTPおよびネットワーク・インタフェース装置236を介して、指定されたシェル・アカウントとの接続を確立する。指定された(単一の)画像はステップS46で、ファイル転送アプリケーション、FTPを介して指定されたシェル・アカウントにアップロードされる。この後で、制御がステップS48に渡され、通信メニュー:伝送変数群において、カメラが連続トランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)接続に設定されているか、それともダイヤルアップ動作に設定されているかをマイクロコントローラ200が検査する。カメラ1が連続接続に設定されている場合(たとえば、画像の間の間隔が非常に短いか、あるいは任意の画像スロットの画像ファイルメニュー:タイマ変数群に画像ストリーム化が設定されている場合)、既存のトランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)接続(FTP接続ルーチンで確立される)を切断せずにメイン・ルーチンのステップS24の後に制御が戻り、次いでステップS16が再び実行され、後に続く信号または割込みを待つ。
【0107】
カメラ1がダイヤルアップ接続に設定されている場合、制御はステップS50に進み、図10に示した切断ルーチンで、既存のトランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)接続を解除し、かつモデムを停止させることができる。なお、「ダイヤルアップ」は必ずしも電話のダイヤリングを意味するものではなく、接続が、実際のデータ(ハンドシェークを除く)が送信されるときに新たに確立され、データが送信されないときには切断され、あるいは解除されることに留意されたい。
【0108】
図10に示したように、切断ルーチンにおいて、マイクロコントローラ200はステップS51で、レポートがオンであることをレポートメニュー:レポート変数群が指示しているかどうか、すなわち、アップロード、エラー、またはセットアップ更新を報告するように設定されているかどうかを調べる。レポートがオンである場合、マイクロコントローラ200は切断ルーチンを打ち切り、開始側ルーチンに戻る。この場合、以下で図15を参照して説明するレポート・ルーチンによって最終的に切断が実行される。レポートがオンに設定されていない場合、マイクロコントローラ200はステップS52で必要に応じて、トランスポート制御接続(TCP/IP)、電話伝送接続(たとえば、PPP)、モデム接続を切断し、開始プロセスに戻る。
【0109】
図11に示したように、たとえば、ステップS44で呼び出されたFTP接続ルーチンは、宛先サーバおよびシェル・アカウント/ユーザ・ディレクトリとのファイル転送プロトコル(たとえば、FTP)接続を確立する。ステップS53で、マイクロコントローラ200は、カメラがすでにトランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)接続されている(たとえば、カメラがステップS48と同様に初期ログインから切断されていない場合に)かどうかを調べる。カメラがすでに接続されている場合、制御がステップS58に進み、ファイル転送(たとえば、FTP)アプリケーションがログインする。カメラがトランスポート制御(たとえば、TCP/IP)接続されていない場合、制御はステップS54に進む。
【0110】
ステップS54で、マイクロコントローラ200は、通信メニュー:電話変数群、CAMERA ADDRESS変数群、TRANSMISSION変数群に記憶されているパラメータを使用して、トランスポート制御(たとえば、TCP/IP)接続を確立するにはどんなステップを実行しなければならないかを判定し、接続を試みる。
【0111】
たとえば、ネットワーク・インタフェース装置236がネットワーク・カードである場合、トランスポート制御(たとえば、TCP/IP)ログイン・プロセスは2つの形態のうち一方をとることができる。第1の形態は、ネットワーク認証が必要ではなく、トランスポート制御ログインは比較的簡単である場合で、たとえば、ネットワーク内のユーザに広く利用を許可したFTPサーバへのアクセスで、カメラが存在することおよび動的(たとえば、IP)アドレスを要求すること、(あるいはローカル・ネットワークにカメラのIPアドレスまたはURLを知らせる)をネットワークに知らしめればよい。この後で、ユーザはファイル転送アプリケーション(たとえば、FTP)を使用して、ファイル転送アプリケーション・ユーザIDおよびパスワード(一般的なアクセスの場合は「匿名」に設定することができる)のみを用いてログインすることによってインターネット上のいかなるIPアドレスにも到達することができ、この時、ファイル転送アプリケーションは、単独のネットワーク認証アプリケーションとして動作する。
【0112】
この第1の形態の場合には、カメラ1は、通信メニュー:伝送変数群で「ネットワーク:セキュリティ:N」に設定され、通信メニュー:伝送変数群から得たインターネットアドレス(IPアドレスあるいはURL情報)のみを使用する。第2の形態は、カメラはネットワーク認証に合格しなければならず、ネットワークにアクセスするにはユーザIDおよびパスワードが必要とされる場合で、たとえばネットワーク内の特定のユーザに対してのみ使用を許可したFTPサーバ等へのアクセスの場合である。この第2の形態の場合には、カメラ1は、通信メニュー:伝送変数群で「ネットワーク:セキュリティ:Y」に設定され、通信メニュー:伝送変数群中のユーザIDおよびパスワードを使用すると共に、必要に応じて動的IPアドレスを要求し、トランスポート制御アプリケーションは、単独であるいは上記で述べたようにファイル転送アプリケーションと共にネットワーク認証アプリケーションとして働く。
【0113】
したがって、マイクロコントローラ200はステップS54で、通信メニュー:電話変数群、カメラ・アドレス変数群、伝送変数群の設定に応じて、トランスポート制御(TCP/IP)接続を試みる。ネットワーク・インタフェース装置236として電話伝送プロトコル、たとえばPPPを使用することを必要とするモデムを使用する場合、マイクロコントローラ200は自動的に、たとえば、モデム・ドライバ・パラメータを検出することによって、図12に示したPPPルーチンに進む。
【0114】
ステップS56で、マイクロコントローラ200は、トランスポート制御(TCP/IP)接続が確立されたかどうかを検査し、接続が確立されていない場合にはステップS54に戻り、接続が成功した場合にはステップS58に進む。マイクロコントローラ200はまた、ステップS54で再試行の数(すなわち、ステップS54ないしS56の反復の数)を監視し、各再試行の間の間隔と共に通信メニュー:伝送変数群に定義される再試行の数を超えたときにはFTP接続ルーチンを終了し(すなわち、リターンし)、レポートメニュー:エラー・レポート変数群の内容に応じて報告できるエラーを生成する。
【0115】
ステップS58で、マイクロコントローラ200は、通信メニュー:ファイル転送変数群に記憶されているパラメータを使用して、宛先IPアドレスでファイル転送アプリケーション(たとえば、FTP)ログインの確立を試みる。通常、ログインは、ネットワークの宛先(たとえば、IP)アドレスへのファイル転送アプリケーション(たとえば、FTP)アクセスのためのユーザIDおよびパスワードを用いて行われる。カメラ1は、通信メニュー:ファイル転送変数群中のユーザIDおよびパスワードを使用する。ステップS60で、マイクロコントローラ200は、ファイル転送アプリケーション(たとえば、FTP)ログインが行われたかどうかを検査し、ログインが完了していない場合にはステップS58に戻り、接続が成功した場合にはFTP接続ルーチンを終了する(リターンする)。マイクロコントローラ200はまた、ステップS58で再試行の数(すなわち、ステップS58ないしS60の反復の数)を監視し、各再試行の間の間隔と共に通信メニュー:ファイル転送変数群に定義される再試行の数を超えたときにはFTP接続ルーチンを終了し(すなわち、リターンし)、レポートメニュー:エラー・レポート変数群の内容に応じて報告できるエラーを生成する。本実施形態では、再試行を監視するいくつかのステップで、指定されたタイムアウト値に従って、確立された接続が、たとえば、適切なリターン・ストリングを受信せずにタイムアウトしたかどうかも監視され、タイムアウトが記録されているときは同じ接続失敗ステップを実行する(たとえば、ルーチンを終了し、報告できるエラーを生成する)。
【0116】
ステップS58およびS60でファイル転送アプリケーション(たとえば、FTP)ログインが成功した場合、あるいはプロセスが前述のように、ログイン失敗または接続失敗のエラーを生成した場合、制御は図9のステップS46の送信ルーチンに戻る。
【0117】
カメラがネットワーク・インタフェース装置236としてモデムを使用しない場合、マイクロコントローラ200は図11のPPP接続ルーチンを実行しない。「電話伝送プロトコル」では、たとえば電話回線やその他のアナログ伝送回線を介してトランスポート制御プロトコル接続が確立されるので「電話伝送プロトコル」は、ネットワーク・インタフェース装置236が、トランスポート制御プロトコルを使用してインターネットにアドレスしインターネットからアドレスされることのできる媒体に直接配線されることも、あるいはその他の方法で接続されることもない場合にしか使用されない。
【0118】
前述のように、カメラ1がネットワーク・インタフェース装置236としてモデムを使用する場合、マイクロコントローラは図11のFILE TRANSFER(FTP)接続ルーチンのステップS54から図10のPPPルーチンにジャンプし、PPPルーチンで、マイクロコントローラ200は、通信メニュー:電話変数群に記憶されているパラメータを使用する。ステップS64で、マイクロコントローラ200は、ネットワーク・インタフェース装置236としてのモデムをイネーブルし、あるいはリセットし、第一電話番号をダイヤルする。
【0119】
モデムは、接続に成功することも失敗することもあり、あるいはビジー信号を受けることも、あるいはまったく応答を受けないこともある。したがって、マイクロコントローラ200はステップS66で、接続が確立されたかどうかを検査する。接続が首尾良く確立された場合、マイクロプロセッサ200はステップS68に進む。
【0120】
しかし、マイクロコントローラ200はステップS64で再試行の数(すなわち、ステップS64ないしS66の反復の数)を監視し、各再試行の間の間隔と共に通信メニュー:電話変数群に定義される再試行の数を超えたときには第二電話番号に切り替え、第二電話番号のために再試行数をリセットし、報告できるエラーを生成する。マイクロコントローラ200は次いで、第一電話番号の場合と同様にステップS64およびS66を実行する。第二電話番号を使用して再試行数を超えた場合、マイクロコントローラ200はPPP接続ルーチンを終了し(すなわち、リターンし)、エラー・レポート変数群の内容に応じて、報告できるエラーを生成する。
【0121】
接続に成功した場合でも、マイクロコントローラ200はステップS68で、モデムに問い合わせを行い、接続が十分なものであるかどうかを検査することができる。すなわち、画像を十分にストリーム化する(このことが画像ファイルメニュー:タイマ変数群に設定されている場合)ために高速接続(たとえば、28800bps以上)が必要である場合、低い転送速度で接続することは受け入れられない。ユーザが通信メニュー:電話変数群に「良好な接続」速度定義を設定してあり、ステップS68で、モデム接続が、定義された速度に達していない場合、マイクロコントローラ200はステップS68に戻り、この接続を接続なしと同様に扱う、すなわち、再試行をカウントする。同様に、不十分な接続も接続なしと同様に扱われるので、マイクロコントローラ200はステップS64で、第一電話番号では十分な接続を確立できない場合、最終的に第二電話番号に切り替える。接続速度が十分なものである場合、制御はステップS68からステップS70に進む。さらに、通信メニュー:電話変数群に「良好な接続」速度が設定されていない場合、マイクロコントローラ200はステップS68を実行せず、制御はステップS70に進む。
【0122】
ステップS70は、FTP接続ルーチンのステップS54と同様に処理される。この場合、モデム接続が確立された後、電話伝送プロトコル(たとえば、PPP)ソフトウェア(これはISPサーバ上でも実行されている)は、トランスポート制御プロトコル・スタックによって作成されたパケットを転送するが、それがためにISPサーバとの低速なトランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)接続として認識される場合がある。すなわち、ネットワーク・インタフェース装置236がモデムである場合、トランスポート制御(たとえば、TCP/IP)ログイン・プロセスでは、電話伝送プロトコル(たとえば、PPP)を使用してISPまたはその他のダイヤルイン・ネットワーク・アクセスに接続され、ほぼ常にネットワーク認証に合格することが必要である。この場合、カメラは、通信メニュー:伝送変数群で「ネットワーク・セキュリティ:Y」に設定され、通信メニュー:伝送変数群中のユーザIDおよびパスワードを使用する。電話伝送プロトコル(たとえば、PPP)も用いている場合、カメラ1は動的IPアドレスを要求する(あるいはカメラのIPアドレスをローカル・ネットワークに知らせる)。この後で、制御はFTP接続ルーチンに戻り、ステップS56(したがって、ステップS70でトランスポート制御プロトコル接続が確立されていない場合、FTP接続ルーチンはTELEPHONEルーチン全体を再び実行する)、S58、S60を経た後、図9の送信ルーチンのステップS46に戻る。
【0123】
たとえば、誤ったユーザIDまたはパスワードをトランスポート制御プロトコル、電話伝送プロトコル、またはファイル転送プロトコル接続またはログイン用に用いた場合は、、接続失敗と同じ場所でエラーを返し、接続失敗と同様に処理され、マイクロコントローラ200がエラーを生成しかつ記録し、前述のように、指定された再試行回数の後に接続の試みを放棄することに留意されたい。
【0124】
ステップS46で送信ルーチンに制御が戻った後、図13に示した(単一)ファイル書込み・ルーチンが実行される。
【0125】
ステップS72で、マイクロコントローラ200は、少なくともファイル・サイズと日付とを有する、書き込まれるべき画像ファイル(画像スロット)に割り当てられたファイル名およびディレクトリのディレクトリ・リストを検索する。この情報は、マイクロコントローラ200が、最後に書き込まれたファイルと、ファイル転送アプリケーション(たとえば、FTP)を介して書き込まれ/アップロードされるファイルを比較するために使用される。制御は次いでステップS74に進む。ステップS74で、コントローラは、画像ファイルメニュー:ファイル定義変数群に設定されたパラメータに基づいて、ディレクトリ選択装置として働くファイル転送アプリケーションにより、検索されたファイル情報と、書き込まれる画像ファイルの情報を比較し、必要に応じて、指定された画像スロット内の画像ファイルを書き込む。
【0126】
たとえば、画像ファイルメニュー:ファイル定義変数群の「上書き」パラメータがオンに設定されている場合、マイクロコントローラ200は、宛先ディレクトリに存在するファイルを削除し、指定された画像スロット内の画像ファイルを宛先ディレクトリに書き込むが、「上書き」がオフに設定されている場合、存在する画像に上書きすることはない。「より新しい」パラメータがそれに伴う間隔と共に設定されている場合、マイクロコントローラ200は、ファイルの日時を比較することができ、その差がこの間隔よりも大きい場合にのみ、指定された画像スロット内の画像ファイルを宛先ディレクトリに書き込む(たとえば、Webページ上の1画像をいくつかの異なる地域間で切り替えられるように、いくつかの異なる位置にある複数のカメラが同じ複数の名に書き込む場合)。同時に、マイクロコントローラ200は、宛先ディレクトリに存在するファイルの日時が、アップロードされる画像ファイルの日時と同じである(あるいは差がたとえば、5秒、1分などよりも少ない)場合(すなわち、アップロードされるファイルが、現在宛先ディレクトリに存在しているファイルと同じであることを示す)にはアップロードを中断することができる。
【0127】
画像ファイルを書き込むときには、同時にサムネイル画像ファイルを書き込むことができる。この場合、マイクロコントローラ200は、書き込まれた画像ファイルに対応するサムネイル・スロットとして指定されている画像スロットがあるかどうかを調べる。対応するサムネイル画像がある場合、マイクロコントローラ200は、親画像ファイル名に関連付けされた所定のサムネイル・ファイル名にしたがって、サムネイル画像ファイルを書き込む。上記で指摘したように、マイクロコントローラ200は、画像スロット設定に応じてサムネイル画像が自動的に作成されるように設定されている場合、送信された画像をサムネイル・サイズに自動的にスケーリングし、親ファイル画像に関連付けされた所定のファイル名を使用してサムネイル画像を書き込む。第3の代替形態では、マイクロコントローラは、マスタ・コラージュ・サムネイル画像スロットから適切なサムネイルを抽出し、親ファイル画像に関連付けされた所定のファイル名を使用してサムネイル画像を書き込む。
【0128】
指定された画像スロット内の画像ファイルが書き込まれた後、制御はステップS75に進む。ステップS75で、マイクロコントローラ200は、他のオプションメニュー・記憶域:自動構成変数群に記憶されている情報、すなわち、セットアップ/構成ファイルをファイル転送アプリケーションを介して入手するかどうかと、セットアップ/構成ファイルをファイル転送接続時に入手するか、それともバッチ接続だけの時に入手するかと、セットアップ・ファイルのディレクトリに応じて、定義されたディレクトリからファイル転送アプリケーションを通して新しい1組の「セットアップ」パラメータをダウンロードし記憶する。マイクロコントローラ200はまたステップS75で、ファイル転送(たとえば、FTP)接続から切断(ログアウト)する。このように、ユーザは、セットアップ・ファイルまたは構成ファイルを、カメラ1によって認識できる所定のフォーマットで宛先ディレクトリに入れることができ、カメラは、新しいあるいは修正された1組の動作パラメータ(たとえば、図5に示したパラメータ)全体またはその一部をダウンロードすることができ、それによってカメラの動作を遠隔制御することができる。
【0129】
この後、制御は前述のように、図13の単一ファイル書込みルーチンから図9の送信ルーチン(ステップS48)に戻る。何らかの理由、たとえば、宛先ディレクトリが満杯であるか、あるいは与えられたパスワードでは十分なアクセスができないために画像ファイルを書き込むことができない場合、報告可能なエラーが生成され、ステップS58および親ステップS44で再試行数を監視する際にエラーがカウントされる。
【0130】
図14は、バッチ(またはバッファ)アップロード・ルーチンを表すフローチャートであり、このルーチンは、他のオプションメニュー:バッチ変数群に指定されたバッチ・タイマが満了したときにメイン・プロセスのステップS20から呼び出すことができる。前述のように、各画像スロットは、画像スロット内の画像ファイルをただちにアップロードするのではなくバッチ(またはバッファ)アップロードすることができるかどうかを指定するパラメータを画像ファイルメニュー:アップロード変数群に有する。
【0131】
図14に示したように、バッチ・アップロード・ルーチンで、マイクロコントローラ200はまず、上記で(ステップS76に関して)説明したのと同様に動作する図11のFTP接続ルーチンを呼び出す。この後、マイクロコントローラ200は、FTP接続ルーチンで接続障害エラーが生成されたかどうかを検査し、接続障害(モデム、トランスポート制御、またはファイル転送で)が起こった場合には、上記でステップS41に関して説明したのと同様にバッチ・アップロード・ルーチンを中断する。制御は次いで、ステップS78に渡され、マイクロコントローラ200は、アップロードされるファイル・スロット内の画像ファイルのバッチ・リストを、たとえば、GPメモリ228内でアセンブルする。バッチ・リストは、それぞれの画像ファイルメニュー:アップロード変数群でバッチ・アップロードできるスロットとして識別された各ファイル・スロットを識別する情報(すなわち、インデックス)を含む。マイクロコントローラ200は次いで、ステップS80に進む。ステップS80は、図13の単一ファイル書込みルーチンで前述したステップS74と同様に実行される。ただし、アップロードはバッチ・リスト中の各画像スロットごとに実行される。したがって、バッチ・リスト中の指定された画像スロットに対応する各画像ファイルは、対応する宛先ディレクトリに書き込まれる。
【0132】
このように、それぞれ異なる時刻に記録され記憶された1組の画像ファイル(たとえば、毎日のシーンを示す画像ファイル)を、単一の接続セッションでディレクトリにアップロードすることができる(たとえば、いくつかの異なる毎日のシーンを含む1週間に1度のバッチ・アップロード)。ステップS80の後で、制御はステップS81(前述のステップS75と同じ)、ステップS82(前述のステップS46と同じ)、ステップS83(前述のステップS47と同じ)、ステップS84(前述のステップS50と同じ)を経て、図7のメイン・プロセスのステップS20の後に戻る。
【0133】
図15は、メイン・ルーチンのステップS18、S20、またはS24の後で実行されるレポート・ルーチンを示す。カメラ1は、トランスポート制御プロトコル(たとえば、TCP/IP)を介してインターネットに接続された後、割り当てられたメール(たとえば、SMTP)サーバを介してトランスポート制御(たとえば、TCP/IP)プロトコルのメール・プロトコル部分(たとえば、SMTP)を使用してEメール・メッセージを送信することができる。望ましくはメール・プロトコル部分(たとえば、SMTP)は、バイナリ・ファイル(たとえば、画像、オーディオ)を付加することを可能にする拡張機能(たとえば、MIME)を有する。このように、カメラ1の所有者またはオペレータは、付加された画像ファイルを含む状況レポートをカメラから受信することができる。REPORTING:REPORTS変数群中のパラメータに応じて、前述の場合にエラーが生成されたとき、あるいは画像ファイルまたは画像ファイルのバッチのアップロードが完了したとき、あるいはパラメータ記憶構造内でパラメータが変更されたときに、マイクロコントローラ200はGPメモリ228内のレポート・バッファに、簡単なあるいは冗長な状況メッセージ、日時を付加する。さらに、レポートメニュー:レポート変数群が付加および対応する指定画像スロットを指定している場合、間隔または日時に応じて、あるいはイベント・ベースで(たとえば、手動で)指定画像スロットが更新されたときに、(たとえば、図7のステップS20またはステップS22で)GPメモリ228内のレポート・バッファに付加状況メッセージが付加される。レポート・ルーチンでは、マイクロコントローラ200は、通信メニュー/記憶域:カメラ・アドレス(たとえば、SMTPサーバ)変数群およびレポートメニュー/記憶域:アドレス変数群に記憶されているEメール・アドレス情報を使用して、カメラ1の状況(レポート・バッファの内容をEメール・メッセージの一部として送信する)、および指定画像スロットの内容を添付ファイルとして、インターネット上の任意のEメール・アドレスに簡単なEメール・メッセージを送信する。
【0134】
図15に示したように、レポート・ルーチンにおいて、マイクロコントローラ200はステップS90で、レポートがオンに設定されていることをレポートメニュー/記憶域:レポート変数群が指示しているかどうか、すなわち、アップロード、エラー、またはセットアップ更新を報告するように設定されているかどうかを検査する。レポートがオフに設定されている場合、マイクロコントローラ200はレポート・ルーチンを打ち切り、最初のルーチン、すなわち、図7のメイン・ルーチンに戻る。レポートがオンに設定されている場合、マイクロコントローラ200はステップS92で、レポート・バッファにデータが存在しているかどうかを検査する。レポート・バッファにデータが存在しない場合、マイクロコントローラ200はレポート・ルーチンを打ち切り、最初のルーチン、すなわち、図6のメイン・ルーチンに戻る。データが存在する場合、制御はステップS92に進む。
【0135】
ステップS92、S94、S96は、エラー生成および再試行を含めて、前述のステップS53、S54、S56と同じである。したがって、マイクロコントローラ200がトランスポート制御(たとえば、TCP/IP)接続に成功した場合にのみ、制御はステップS98に進み、そうでない場合は、中断してメイン・プロセスのステップS25の後に戻る。ステップS98で、マイクロコントローラ200は、テキストとしてのレポート・バッファの内容と、レポートメニュー/記憶域:アドレス変数群に記憶されているパラメータから得た適切なヘッダと、メール・プロトコルの未使用フィールドを充填するのに必要なダミー情報と、レポートメニュー/記憶域:レポート変数群に指定された、適切な指定画像スロット・ファイル名またはそれを指し示すポインタを有する添付画像ファイルとを含むメール(たとえば、SMTP)メッセージをアセンブルする。マイクロコントローラ200は次いで、ステップS100に進み、カメラがメール(たとえば、SMTP)メッセージおよび指定された添付画像をローカル・メール(SMTP)サーバ(この後でメッセージを最終的な宛先へ送る)に与える。制御は次いで、ステップS102およびS104を通過する。ステップS102は前述のステップS48と同じであり、連続アクセスが設定されている場合には後に続く切断ステップS104をバイパスする。ステップS104は前述のステップS52と同じであり、マイクロコントローラ200は、必要に応じてトランスポート制御プロトコル、電話伝送プロトコル、モデム接続を切断し、次いで最初のプロセス、すなわちメイン・プロセスのステップS25に戻り、次いで、ステップS16に戻る。
【0136】
したがって、カメラ1は、ユーザの指示に応じて、インターネットを介して送信されるEメールにより、画像アップロード、エラー、動作パラメータの変更の状況を報告すると共に、添付画像ファイルを送信し、主として画像アップロード用に設けられたトランスポート制御プロトコル(TCP/IP)接続を利用して、カメラ1の問題をカメラのオペレータに知らせるか、あるいはEメールを介してオペレータに直接画像ファイルを与えることができる。場合によってはカメラ1からのEメール・レポートが停止することによって、カメラ1がもはやインターネットにアクセスできないことをカメラのオペレータに知らせることができる。
【0137】
図16は、ローカル・セットアップ信号とリモート・セットアップ信号のどちらかが入力されたときにメイン・プロセスのステップS18から開始されるセットアップ・ルーチンを制御する方法の例を示すフローチャートである。カメラ1は、セットアップ動作が内部動作であるか、あるいは付加または接続されたセットアップ装置を介して行われるかを検出する。「セットアップ信号」は、たとえばボタン/スイッチ入力214の任意のボタンを押すことによって開始するか、あるいは、たとえば接続されたPC216からシリアル/IrDAポート210を介して受信されるセットアップ・データによって開始することができる。ステップS106で、マイクロコントローラ200は、ボタン/スイッチ入力214上でボタンが押されたかどうか、あるいはシリアル/IrDAポート210を介してセットアップ・データが受信されたかどうかをキーボード・コントローラ212を介して判断する。制御は、ボタン/スイッチ入力214上でボタンが押された場合にはステップS108に進み、シリアル/IrDAポート210を介してセットアップ・データが受信された場合にはステップS120に進む。
【0138】
ステップS108で、キーボード・コントローラ212はマイクロコントローラ200と共に、押されたボタンを解釈し、変数群およびパラメータをテキスト表現、表形式表現、またはグラフィカル表現としてLCDコントローラ206を介してディスプレイ218に表示する。すなわち、画像ファイル記憶域を表示する。たとえば、「menu」114cボタンが押された場合、制御はステップS110に進む。「item」ボタン114dが押された場合、制御はステップS112に進む。「up」ボタン114aまたは「downボタン114bが押された場合、制御はステップS114に進む。セットアップ・ルーチンに入った後に、「release」ボタン114eが押された場合、制御はステップS118に進む。
【0139】
ステップS110で、マイクロコントローラ200は、メニュー/記憶階層内の同じ「レベル」のメニュー/記憶項目間、すなわち記憶域、画像スロット、変数群、またはパラメータ(図4、5に示されている)の間で設定項目を切り替え、LCDコントローラ206およびディスプレイ218を介して適切なメッセージを表示する。たとえば、「IMAGE FILES」が表示されているときに「menu」ボタン114cを順次押すと、マイクロコントローラは、「画像ファイル」、「他のオプション」、「通信」、「レポート」を順次表示する。「ファイル1」が表示されているときに「menu」ボタン114cを順次押すと、マイクロコントローラは、「ファイル1」、「ファイル2」ないし「ファイル9」、すなわち同じ「レベル」のメニュー/記憶項目を順次表示する。制御は次いで、ステップS108に戻る。
【0140】
ステップS112で、マイクロコントローラ200は、メニュー/記憶項目の「レベル」間、すなわち記憶域、画像スロット、変数群、またはパラメータ(図4、5に示されている)を切り替え、LCDコントローラ206およびディスプレイ218を介して適切なメッセージを表示する。たとえば、「画像ファイル」が表示されているときに「item」ボタン114dを順次押すと、マイクロコントローラは、「画像ファイル」、「ファイル1」、「ファイル定義」、「ファイル名」、すなわちメニュー/記憶項目の「レベル」をディスプレイに順次表示する。制御は次いで、ステップS108に戻る。
【0141】
ステップS114で、マイクロコントローラ200は、パラメータの設定可能な値を切り替え(循環方向は、「up」ボタン114aと「down」ボタン114bのどちらが押されるかによって決まる)、LCDコントローラ206およびディスプレイ218を介して表示されるパラメータを変更する。たとえば、「画像ファイル:ファイル1:アップロード:即時/バッチ」が表示されているときに「up」ボタン114aと「down」ボタン114bのうちの一方を押すと、マイクロコントローラ200は、「即時」または「バッチ」、すなわちその特定のパラメータの設定可能な全ての値を強調表示する。電話番号や、ファイル名や、ディレクトリや、メッセージなどパラメータが数値フィールドまたは英数字フィールドであるときは、マイクロコントローラ200は、「up」ボタン114aまたは「down」ボタン114bが押されたときに(循環方向は、「up」ボタン114aと「down」ボタン114bのどちらが押されるかによって決まる)、必要に応じて数値またはASCII文字を循環表示する。この場合、マイクロコントローラ200は、「item」ボタン114cが押されるのと同時に「up」ボタン114aと「down」ボタン114bのうちの一方が押されたときに、数値フィールドまたは英数字フィールド内の次の文字場所に設定焦点を移動することができる(移動方向は、「item」ボタン114cと共に「up」ボタン114aと「down」ボタン114bのどちらが押されるかによって決まる)。制御は次いで、ステップS108に戻る。
【0142】
ステップS118で、マイクロコントローラ200がセットアップ・ルーチンを実行している間にリリース・ボタン114eが押されると、マイクロコントローラ200は、すべてのパラメータ変更および値変更を記憶し、図7のメイン・プロセスのステップS18の後に戻る。
【0143】
ステップS120で、マイクロコントローラ200は、図5の構造に書き込むべき新しい1組のパラメータ、またはNVRAM242(たとえば、EEPROMまたはフラッシュ・メモリ)に書き込むべき新しいファームウェア・コードをリモート供給源から、たとえば、カメラ1に接続されたPC216またはセットアップ装置からシリアル/IrDAポート210を介して受信し、それを書き込む。前述のように、セットアップはシリアル/IrDAポート210を介して行うことができ、PC216は、カメラ1からデータ、コマンド結果、画像を受信することができ、制御データ、コマンド、をカメラ1へ送信し、あるいはNVRAM242にファームウェア(たとえば、O/S、TCP/IPまたはその他のプロトコル・スタック、FTPまたはその他のファイル転送アプリケーション、カード・ドライバ、その他のドライバおよびアプリケーション)を書き込み、あるいはNVRAM内のファームウェアに上書きすることのできる専用ソフトウェアまたは汎用ソフトウェアを実行する。制御は次いで、ステップS122に進み、マイクロコントローラ200は、パラメータ・セットの任意の部分またはすべてを書き直すか、あるいはファームウェアの任意の部分またはすべてを書き直し、次いで図7のメイン・プロセスのステップS18の後に戻る。
【0144】
したがって、ユーザは、メニュー/記憶構造内の変数またはパラメータを見て、それらを変更することができ、あるいは場合によってはファームウェア・セット全体またはその一部を更新し、カメラ1の制御方法を変更することができる。さらに、ユーザは、ボタン/スイッチ214を直接操作するか、あるいはシリアル/IrDAポート210を介してセットアップ・データを受信することによってパラメータを変更することができる。
【0145】
図17は、ローカル・コマンド信号とリモート・コマンド信号のどちらかが入力されたときにメイン・プロセスのステップS19から開始されるセットアップ・ルーチンを制御する方法の例を示すフローチャートである。このルーチンは、パラメータを設定する場合や、機能を実行する場合に、上記の説明でなされなかったコマンドおよび機能を処理する。カメラ1は、コマンドがパラメータ設定コマンドであるか、それともタスク実行コマンドであるかを検出する。誤った構文を有するコマンドはステップS138で記録される。「コマンド」はたとえば、ボタン/スイッチ入力214の1つのボタンを単独であるいは複数のボタンを組み合わせて押すことによって開始することも、あるいは内部でタイマ、イベント、またはプロセスによって生成することもでき、あるいは、たとえば接続されたPC216からシリアル/IrDAポート210を介して受信されるコマンドでもよい。ステップS130で、マイクロコントローラ200は、たとえば適切なエスケープ・コードを有していて最初にコマンドとして識別されたデータを受信し、コマンドの発信側(たとえば、シリアル/IrDAポート210を介した外部セットアップ装置や、内部要求)を識別する。マイクロコントローラ200は次いで、どんな種類のコマンドが受信されたか、たとえば、パラメータ設定コマンドであるか(この場合、ステップS134に進む)、それともタスク実行コマンドであるか(この場合、ステップS136に進む)、それとも誤った構文を有するコマンドであるか(この場合、ステップS138に進む)を識別する。
【0146】
パラメータ設定コマンドおよびタスク実行コマンドには以下のような例をあげることができるが、これらに限らない。
【0147】
System Setup(システム・セットアップ)設定コマンドおよびImage Parameter(画像パラメータ)設定コマンドには、Set Serial Number、Set Time、Set Hardware Settings、Set Modem Parameters、Set Timeouts、Set Schedule、Set Debug Options、Set Serial Number、Set Image Appearance Parameters、Set Image Spatial Parameters、Set Image Timestamp Parametersがある。
【0148】
Connection Parameter(接続パラメータ)設定コマンドには、SetDNS、Set Image File Name、Set FTP Host、Set FTP username/password、Set SMTP host、Set SMTP username/password、Set Email destination、Set Primary Dialup Strin9、Set Primary Dialup Return/Response String、Set Secondary Dialup String、Set Secondary Dialup Return/Response String、Set Login String Definition、Set Login String、Set Login Return/Response String、Set PPP options、Set PPP Username、Set PPP Password、Set Email/LAN optionsがある。
【0149】
任意のパラメータ設定コマンドを使用して、設定すべきパラメータを回収することもできる。たとえば、カメラ1は、「Get」パラメータ設定コマンドを受信したときに、状況情報を報告することができる。「Get」 パラメータ設定コマンドの例には、Get Serial Number、Get Time、Get Camera Status、Get Camera Versionがある。
【0150】
Parameter Setting Commandの場合、ステップS134で、マイクロコントローラ200は、指定されたパラメータを、図4、5に示した構造に書き込むか、あるいは指定されたパラメータをこの構造から読み取ってコマンド発信側に報告する。
【0151】
Task Executionコマンドは、指定されたタスクをできるだけ早く(たいていの場合はただちに)実行する。たとえば、Task Executionコマンドには、ポート210を介したJPEG画像送信、リセット、トリガー出力送信、JPEG画像記録、タイマリセット、Eメールレポートの送信、ファームウェアアップデートがある。
【0152】
Task Executionコマンドの場合、ステップS136で、カメラは、たとえば本明細書の前述の実施形態で詳細に説明したルーチンを使用して、指定されたタスクを実行するが、タスク実行方法が簡単なもの、、あるいは単一の機能であるときには、このタスクを直接実行する。
【0153】
コマンド構文エラーの場合、エラーはコマンド発信側に報告され、他のエラーと同様に、レポート・バッファに書き込まれる。
【0154】
一般に、本明細書で説明するようにボタン、トリガ、タイマ、またはイベントを介して開始される機能は、ポート210を介して受信される適切なコマンドを用いて直接開始することもできる。ポート210は、カメラ1からデータ、コマンド結果、画像を受信することができ、制御データ、コマンド、をカメラ1へ送信し、あるいはNVRAM242にファームウェア(たとえば、O/S、TCP/IPまたはその他のプロトコル・スタック、FTPまたはその他のファイル転送アプリケーション、カード・ドライバ、その他のドライバおよびアプリケーション)を書き込み、あるいはNVRAM内のファームウェアに上書きすることのできる接続されたPC216上の専用ソフトウェアまたは汎用ソフトウェアから受信するコマンドに応答する。
【0155】
したがって、ユーザは、コマンド・ルーチンを使用することにより、内部コマンド、またはシリアル/IrDAポート210を介して送信される外部コマンドを介して、カメラ1の操作を行うことができる。
【0156】
図18は、本発明の第2の実施形態によるカメラ1のブロック図である。図18に示しように、本発明の第2の実施形態であるカメラ1は、第1の実施形態と同じ基本動作を有し、図1ないし17を参照して説明した機能を組み込む。したがって、すでに第1の実施形態および図1ないし17を参照して説明した要素、すなわち、同じ参照符号を有し、あるいは同じ機能または同様な機能をサポートする要素の説明を省略する。
【0157】
本発明の第2の実施形態では、より高度な機能を第1の実施形態に追加している。図18に示したように、第2の実施形態は、ズーム・レンズ・システムとオートフォーカス・システムとを備える。ズーム・レンズ210は、モータを組み込んだズーム・ドライブ260によっていくつかの異なる焦点距離の間で駆動される。合焦レンズ268は、モータを組み込んだフォーカス・ドライブ262によって撮像装置248上に画像を合焦させるように駆動される。アパーチャ266は、モータを組み込んだアパーチャ・ドライブ264によって撮像装置248に当たる光の量を制限するように駆動される。ストローブ274はストローブ・ドライブ272によって駆動される。
【0158】
ズーム・ドライブ260、フォーカス・ドライブ262、アパーチャ・ドライブ264、ストローブ274は、マイクロコントローラ200に接続されマイクロコントローラ200によって駆動される。すなわち前述のように1本または複数のGPIOピンを介して接続され駆動される。ストローブ274およびアパーチャ264は、各画像の露光が適切なものになるように、前述の図8の取込みルーチンのステップS32中で得られる露光情報に従って、マイクロコントローラ200によって(図8のステップS32の露光と共に)制御される。フォーカス・ドライブ264は、取込みルーチンのステップS32で得られる画像を使用して、従来型のコントラスト情報法によりマイクロコントローラ248によって算出されるオートフォーカス値を用いて(図8のステップS32の露光と共に)制御される。ボタン/スイッチ入力214は、ストローブ274を制御し、ズームインし、ズームアウトするために、図1で説明したボタンに追加して組み込まれる。
【0159】
第2の実施形態のカメラ1は、ビューファインダ244だけでなく、脱着可能なフルビデオ(LCD)ディスプレイまたは一体型フルビデオ・ディスプレイ218’を使用することができる。したがって、ディスプレイ218’はカラーLCDまたはグレースケール(ビデオ)LCDであり、LCDコントローラ206は、撮像装置248に形成される画像を示すようにディスプレイ218’を駆動する。このように、ディスプレイ218’は前述のマルチライン・ディスプレイ218よりも高価になることがあるが、ディスプレイ218は、カメラ1が向けられた光景を、ビューファインダよりも正確に表現し、取込まれる画像のより正確なプレビューを表示する。
【0160】
また、マイクロコントローラ200は、たとえば、1本または複数のGPIOピンを介して、モータ・コントローラ276に接続され、モータ・コントローラ276は、第2の実施形態のカメラ1が取り付けられた2軸モータ付きパン/チルト取付け装置278を制御する。したがって、カメラ1は、それ自体を任意の方向に向けるようにパン/チルト取付け装置278を制御することができる。
【0161】
第2の実施形態では、各画像スロットごとにパン/チルト設定、ズーム設定、ストローブ設定を別々に実施できるように、図4に示した各IMAGE FILESメニュー記憶域はさらに、図19に示したようにSPECIAL変数群を組み込む。この変数群には、パン位置パラメータ、チルト位置パラメータ、ズーム位置パラメータ、ストローブ・トグルを設定することができる。この場合、図20に示したように、図8のステップS32の前のステップS31が実行され、マイクロコントローラ200は、パン・パラメータおよびチルト・パラメータで指定された方向にカメラ1を向けるためにズーム・ドライブ260および2軸パン/チルト取付け装置278を制御し、ズーム位置パラメータに指定されたように適切な量だけズームし、ストローブ(Y/N)トグル・露光情報に従ってストローブ274を有効にする。SPECIAL変数群中のパラメータを、ボタン/スイッチ入力214またはシリアル/IrDAポート210を介してローカルに変更することも、あるいは前述のように自動構成プロセスまたはセットアップ・ファイル回収法を介してリモートに変更することもできることに留意されたい。したがって、ズーム、パン、チルトは、他のパラメータと同様に、ローカルに変更しリモートに制御することができる。
【0162】
図21は、本発明の第3の実施形態によるインターネットカメラのブロック図を示す。図21に示したように、本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態と同じ基本動作を有する。したがって、すでに第1の実施形態および図1ないし17を参照して説明した要素、すなわち、同じ参照符号を有し、あるいは同じ機能または同様な機能をサポートする要素の説明を省略する。
【0163】
図21に示したように、本発明の第3の実施形態では,第1の実施形態のビューファインダ244、画像形成光学システム245、撮像装置248、撮像ドライバ252、撮像回路250は除かれている。ただし、すべての残りの構成要素は、図1のようにまとめて収納される。本発明の第3の実施形態は、除かれた構成要素の代わりに画像変換器222を含み、画像変換器222はNTSC信号またはPAL信号を輝度(Y)信号および2つの色差信号(Cb-青、Cr-赤)に変換する。画像変換器222は、シリアル・コントローラ238およびシリアル制御バス240を介してマイクロコントローラ200に接続され、マイクロコントローラ200によって制御される。適当な画像変換器222の一例には、米国ロックウェル社から市販されているBrooktree Bt829がある。
【0164】
画像変換器222は従来型のカムコーダまたはCCTV110に接続され、カムコーダ110は、それが向けられた光景のNTSC信号またはPAL信号を供給する。必ずしもカムコーダまたはCCTVに接続しなくてもよく、任意のNTSC源またはPAL源を有する、VTR、テレビジョン・チューナなどに接続することもできることに留意されたい。したがって、本発明の第3の実施形態は、独立式パーソナル・コンピュータを必要とする複雑なセットアップの使用を回避するものである。
【0165】
その他の点では、本発明の第3の実施形態は、図3ないし17に関する説明を含めて、第1の実施形態とほぼ同様に動作する。
【0166】
図22は、本発明の第4の実施形態によるインターネットカメラのブロック図を示す。図22に示したように、本発明の第4の実施形態は、第1の実施形態と同じ基本動作を有する。したがって、すでに第1の実施形態および図1ないし17を参照して説明した要素、すなわち、同じ参照符号を有し、あるいは同じ機能または同様な機能をサポートする要素の説明を省略する。
【0167】
図22に示したように、本発明の第4の実施形態では,第1の実施形態のビューファインダ244、画像形成光学システム245、撮像装置248、撮像ドライバ252、撮像回路250、文字生成装置254、色調整回路256、ディスプレイ218、ディスプレイ・コントローラ206は除いている。ただし、すべての残りの構成要素は、図1のようにまとめて収納される。第4の実施形態は、セットアップでのみ使用される部品を省き、PCを介して初期セットアップを行えるようにすることによって、一体型インターネットカメラをより廉価に作製することを可能にする。
【0168】
本発明の第4の実施形態は、パーソナル・コンピュータPC216(たとえば、ラップトップ)を初期セットアップに使用し、その後、上記で図3ないし17に関して説明したように制御する。たとえば、PC216は、カメラと通信するシリアル・ポート/IrDAポート2161と、コマンドをPC216を介してカメラに入力する入力2162(たとえば、キーボードおよび/またはマウス)と、カメラを適切に位置決めできるようにCCD248によって取り込まれてカメラのシリアル・ポート/IrDAポート210を介してPC216に出力された画像を表示するディスプレイ2164と、データ(画像データを含む)を記憶するメモリ2163と、オペレーティング・システムまたはアプリケーションとシリアル・ポート/IrDAポート2161との間の通信を行う入出カシステムと、シリアル/IrDAポート210を介して前述のパラメータ記憶構造(たとえば、図5の)からの読取りおよびこの構造への書込みを行うセットアップ・アプリケーションを組み込んでいる。要素2161から2166までを含む前述のPC216は、第1から第3までの実施形態のうち、任意の実施形態で使用することができることに留意されたい。
【0169】
その他の点では、本発明の第4の実施形態は、第4の実施形態で省かれた構成要素を必要とする機能(たとえば、色調整、文字生成など)を除いて、図3から17までに関する説明を含め、第1の実施形態とほぼ同様に動作する。
【0170】
図23は、本発明の第5の実施形態であるインターネットカメラのブロック図を示す。図23に示したように、本発明の第5の実施形態は、第1の実施形態と同じ基本動作を有する。したがって、すでに第1の実施形態および図1から17までを参照して説明した要素、すなわち、同じ参照符号を有し、あるいは同じ機能または同様な機能をサポートする要素の説明を省略する。
【0171】
図23に示したように、本発明の第5の実施形態では,第1の実施形態のビューファインダ244、文字生成装置254、色調整回路256、ディスプレイ218は省かれる。ただし、すべての残りの構成要素は、図1のようにまとめて収納される。さらに、第5の実施形態は、交換可能なレンズを含むと共に、後述のように工業での使用またはCCTVネットワークの一部としての使用を可能にする追加機能とを含む。第5の実施形態では、一体型インターネットカメラを無人のCCTV環境に円滑に導入することができる。
【0172】
第5の実施形態は、一体型マイクロコントローラ200によって制御されるトラブルシューティングLED219を有し、このLEDは、電源オン、エラー、モデムの状況、データ伝送状況等の、カメラの状況を示すために使用される。
【0173】
複数の交換可能なレンズ271のうち、任意のレンズをCCTVで標準であるCSマウントまたは差込み取付け装置273を介してカメラに接続することができる。したがって、カメラに広角レンズ(たとえば、内部監視用)または望遠レンズ(長距離監視または戸外監視用)を使用することができる。
【0174】
第5の実施形態では、第4の実施形態と同様に制御されるNTSC/PAL・YCbCr変換器222も組み込まれる。図23には、外部ビデオ入力源をカメラ1に接続するコネクタ222a(望ましくはBNCコネクタ)も示す。コネクタ222aは必ずしもカムコーダまたはCCTVに接続する必要はなく、任意のNTSC源またはPAL源を有する、VTR、テレビジョン・チューナなどに接続することができることに留意されたい。
【0175】
しかし、第5の実施形態では、カメラ1は、第1の実施形態に関して説明したように内蔵撮影装置(たとえば、CCD248および関連部品)も有する。したがって、ユーザはカムコーダ/CCTV入力と内部ビデオ入力のうちのどちらを画像源として使用するかを選択することができる。図23に示したように、第5の実施形態では、撮像回路250は、NTSC/PAL・YCbCr変換器222に直接接続される。この場合、前述の実施形態とは異なり、撮像回路は、CCD248出力から直接NTSC信号またはPAL信号を作成し、NTSC信号またはPAL信号は変換器250によってYCrCbに変換される。別法として、図23に破線で示したように、第1の実施形態と同様に、撮像回路250(NTSC変換機能やPAL変換機能を有さない)をA/D変換器246経由で圧縮エンジン224に接続することが考えられる。
【0176】
ボタン/スイッチ入力214に内部/外部ビデオ・スイッチ214gが設けられる。スイッチ214gはマイクロコントローラ200によって監視され、適切なビデオ源を、スイッチ214gの状況に応じて選択するか、あるいは、たとえば他のオプションメニュー:ハードウエア設定変数群中の設定によって選択することができる。様々なカメラを固定間隔で切り替えるCCTVモニタ局のビデオ出力にビデオ入力222aを接続すると、一体型インターネットカメラの第5の実施形態は、この切り替えに従うようにスケジューリングすることができ、かつネットワーク・インタフェース装置236を介してCCTVネットワーク上の様々な子CCTVカメラからの画像を送信することができる。
【0177】
ボタン/スイッチ入力214には、前述のように画像取込みおよびアップロードをただちに開始するリリース・スイッチ214eと、前述のソフト・リセット動作、ハード・リセット、リブートを開始するリセット・ボタン214fも設けられる。
【0178】
第5の実施形態はさらに、NTSC/PAL変換器223と出力223a(BNCコネクタまたはその他の同軸コネクタを有する)とを有する。カムコーダ/CCTV110またはCCD248からのビデオまたは画像は(場合により、画像メモリを介して出力される)、出力223aに経路指定される。テレビジョンまたはCCTVネットワーク217を出力223aに接続すると、ネットワーク・インタフェース装置235を介して送信される画像と同じ画像をローカルにあるいはCCTVネットワーク監視局で監視することができる。NTSC/PAL変換器223は、独立に設けることも、あるいはNTSC/PAL出力機能を有するLCD/VIDEOコントローラ206aに組み込むこともできる。また、入力コネクタ222aは、任意に出力コネクタ223aに直接経路指定され、その場合、変換が不要になることにも留意されたい。
【0179】
第5の実施形態は少なくとも2つの入力トリガポート211aと1つの出力トリガ・ポート211bも有しており、これらのポートは前述のトリガ入力211およびGPIOピン219と同様に制御され、トリガ装置(たとえば、モーション・センサ)およびトリガ可能な装置(たとえば、照明、アラーム)に接続することができる。ローカル照明またはアラームは、前述のデータ交換機構を介して制御することができ、たとえば、トリガ・ポート211aを介して監視されるセンサのトリガにより、出力トリガ・ポート211bを介して照明またはアラームを開始することのできる新しい設定のコールアウトおよび間隔撮像が開始される。制御は前述と同様に実行される。トリガ入力およびトリガ出力を独立に管理することもできる。たとえば、間隔スケジューリングされた画像取込みにローカル照明をリンクし、画像取込みと共にローカル照明を駆動することができる。入力トリガ条件および出力トリガ条件、状況、リンクされたイベントは、TRIGGERS変数群(図示せず)のREPORTINGメニュー/記憶域に記憶される。トリガ・イベントまたは被トリガ・イベントは、前述のようにレポート・バッファに付加される他の情報と共に報告することができる。
【0180】
本発明の第5の実施形態では、パーソナル・コンピュータPC216(たとえば、ラップトップ)を初期セットアップに使用し、その後、上記で図4から16までに関して説明したように制御することができる。たとえば、第4の実施形態と同様にPC216aを備えており、PC216aは標準RS232Cシリアル・インタフェース2165を有する。尚、USBインタフェースまたはIEEE1394インタフェースを画像転送だけでなく同じ目的、すなわち、初期セットアップに使用することもできる。シリアル・インタフェース2165は、第4の実施形態で説明したようにカメラと通信する。第5の実施形態で説明した要素とRS232Cシリアル・インタフェース2165とを有する前述のPC216aを第1から第5までの実施形態のうち、任意の実施形態で使用することができることに留意されたい。
【0181】
その他の点では、本発明の第5の実施形態は、第5の実施形態で省かれた構成要素を必要とする機能(たとえば、色調整、文字生成など)を除いて、図3から22までに関する説明を含め、第1から第4の実施形態とほぼ同様に動作する。ただし、第1から第4までの実施形態の機能を、第5の実施形態の機能と組み合わせられることにも留意されたい。
【0182】
本明細書では、特定の規格およびプロトコルを参照して、各実施形態で実施される構成要素および機能について説明したが、本明細書はそのような規格およびプロトコルに制限されない。たとえば、インターネット伝送に関する規格(たとえば、TCP/IP、UDP/IP、HTML、PPP、FTP、SMTP、MIME)、周辺機器制御に関する規格(IrDA、RS232C、USB、ISA、ExCA、PCMCIA)、公衆電話網に関する規格(ISDN、ATM、xDSL)、ビデオおよび圧縮に関する規格(NTSC、PAL、JPEG、TIFF、GIF)はそれぞれ、技術的水準の例である。そのような規格は、ほぼ同じ機能を有するより高速のあるいはより効率的な等価物で定期的に置き換えられる。したがって、同じ機能を有する代替規格およびプロトコルは等価物とみなされる。
【0183】
したがって、本発明による一体型インターネットカメラは、それ自体が、デジタル画像を取り込み、インターネットに接続し、インターネット上の任意の場所に画像を配布するのに必要なすべての構成要素を組み込んでいるので、娯楽、広告、教育、セキュリティ、交通監視、気象観測、保育監視、サーベイランス、一般的な消費者アプリケーションで容易にかつ廉価に使用することができる。
【0184】
上記の説明では、本発明の特定の実施形態について述べたが、当業者には本発明の修正形態が容易に明らかであり、かつ本発明の範囲が添付の特許の範囲によってのみ決定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1の実施形態による一体型インターネットカメラの斜視図である。
【図2】
図1に示した一体型インターネットカメラのブロック図である。
【図3】
インターネットに接続された図1の一体型インターネットカメラの概略図である。
【図4】
インターネットに接続された図1の一体型インターネットカメラの概略図である。
【図5】
図1のメニュー・パラメータ格納構造を示すブロック図である。
【図6】
図1に示した一体型インターネットカメラの初期設定ルーチンのフローチャートである。
【図7】
図1に示した一体型インターネットカメラのメイン・ルーチンのフローチャートである。
【図8】
図1に示した一体型インターネットカメラの画像取込みルーチンのフローチャートである。
【図9】
図1に示した一体型インターネットカメラの画像伝送ルーチンのフローチャートである。
【図10】
図1に示した一体型インターネットカメラの切断ルーチンのフローチャートである。
【図11】
図1に示した一体型インターネットカメラのファイル転送接続ルーチンのフローチャートである。
【図12】
図1に示した一体型インターネットカメラの電話接続ルーチンのフローチャートである。
【図13】
図1に示した一体型インターネットカメラのファイル書込みルーチンのフローチャートである。
【図14】
図1に示した一体型インターネットカメラのバッチ・アップロード・ルーチンのフローチャートである。
【図15】
図1に示した一体型インターネットカメラのレポート・ルーチンのフローチャートである。
【図16】
図1に示した一体型インターネットカメラのセットアップ・ルーチンのフローチャートである。
【図17】
図1に示した一体型インターネットカメラのコマンド・ルーチンのフローチャートである。
【図18】
本発明による一体型インターネットカメラの第2の実施形態ブロック図である。
【図19】
図18の第2の実施形態に関する、図1のメニュー・パラメータ格納構造の追加ブロック図である。
【図20】
図18に示した第2の実施形態に関する、図8の画像取込みルーチンの追加フローチャートである。
【図21】
本発明による一体型インターネットカメラの第3の実施形態ブロック図である。
【図22】
本発明による一体型インターネットカメラの第4の実施形態ブロック図である。
【図23】
本発明による一体型インターネットカメラの第5の実施形態ブロック図である。
【図24】
デジタル画像をインターネットへ送信することのできる従来技術のシステムのブロック図である。
【符号の説明】
1 一体型インターネットカメラ
110 カムコーダ/CCTV
110 ビデオ・カメラ
112 フレーム・グラバ・カード
114 並列バス
118 シリアル・ポート
120 モデム
122 パーソナル・コンピュータ
200 マイクロコンピュータ
201 カメラ本体
201 メイン・プロセッサ
202 スロット・コントローラ
206 ディスプレイ・コントローラ
212 キーボード・コントローラ
213 割込みコントローラ
214 ボタン/スイッチ入力装置
218 ディスプレイ
220 画像メモリ
224 圧縮エンジン
228 汎用(GP)メモリ(DRAM)
230 ブートROM
232 スロット・インタフェース
234 パラレル・バス
236 ネットワーク・インタフェース装置
237 接続ケーブル
238 シリアル・コントローラ
242 NVRAM
244 ビューファインダ光学システム
246 A/D変換器
248 撮像装置
250 撮像回路
254 文字生成装置
256 色調整回路
314 リモート・シェル・アカウント
 
訂正の要旨 訂正の要旨
1.特許請求の範囲の請求項1を、もとの請求項3の内容、およびもとの請求項6の内容の一部である、「前記宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを備える」という内容により減縮し、さらに、所定のファイル転送プロトコルをFTPに、および所定のインターネット・トランスポート制御プロトコルをTCP/IPに限定すると共に、不明瞭な記載の釈明を目的として、明細書第1ページ第12行目〜13行目(特許第3034243号、第1欄第11行目)に記載の「ネットワークインターフェース装置」を「前記ネットワークインターフェース装置」とし、明細書第1ページ第23」行目、第26行目(特許第3034243号、第2欄第13行目および第3欄第3行目)の「トランスポート制御装置」を「前記トランスポート制御装置」に訂正するため、請求項1全体を、
「デジタル画像をインターネット・アドレスへ送信する一体型インターネットカメラであって、
撮像装置と、
撮像装置上に画像を形成する光学システムと、
撮像装置からデジタル画像を取りこむ画像取込み回路と、
デジタル画像ファイルをインターネットへ送信するためにインターネットに接続することのできるネットワーク・インタフェース装置と、
所定のインターネット・アドレスにある宛先シェル・アカウントと前記ネットワーク・インタフェース装置を介して通信し、ファイル転送プロトコルFTPに従ってデジタル画像ファイルを宛先シェル・アカウントへ転送し、それによって、インターネットにアクセスしたユーザが宛先シェル・アカウント内のデジタル画像ファイルを使用することを可能にするファイル転送装置と、
インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケット化し、パケット化されたデジタル画像ファイルの所定のインターネット・アドレスへのアドレス指定を制御するトランスポート制御装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ネットワーク・インタフェース装置を介してインターネットとの接続を開始する伝送開始装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置を有し、
前記光学システムと、前記画像取込み回路と、前記ネットワーク・インタフェース装置と、前記ファイル転送装置と、前記トランスポート制御装置と、前記伝送開始装置との間の動作および通信を制御するマイクロコントローラと、
前記宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置と、
前記撮像装置、前記光学システム、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置と、前記マイクロコントローラと、前記第1のスケジューリング装置と、前記構成装置と、がすべて内部に収納されたカメラ本体と、
を備え、
前記光学システム、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、および前記伝送開始装置と、前記第1のスケジューリング装置との間の動作および通信も前記マイクロコントローラにより制御されることを特徴とする一体型インターネットカメラ。」と訂正する。
2.特許請求の範囲のもとの請求項24をもとの請求項27の内容、およびもとの請求項30の内容の一部である、「前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリから構成情報を検索する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って、前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置と、を含む」という内容により減縮し、さらに、構成情報検索装置が構成情報を「回収する」という限定を加えると共に、所定のファイル転送プロトコルをFTPに、および所定のインターネット・トランスポート制御プロトコルをTCP/IPに限定し、不明瞭な記載の釈明を目的として、明細書第5ページ第28行目(特許第3034243号、第6欄第15行目)に記載の「ネットワークインターフェース装置」を「前記ネットワークインターフェース装置」とし、明細書第5ページ第28行目および29行目および明細書第6ページ第2行目(特許第3034243号、第6欄第15行目〜16行目、17行目および第19行目〜20行目)、に記載の「宛先シェル・アカウント」を「前記宛先シェル・アカウント」に訂正するため、請求項24全体を、
「インターネットを介してデジタル画像を送信するインターネットカメラシステムであって、
所定のインターネット・アドレスにユーザ・ディレクトリを有する宛先シェル・アカウントと、
インターネットを介して前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリにアクセスするアクセス装置と、
カメラ本体を有する一体型インターネットカメラとを備え、前記カメラ本体が、
デジタル画像を取りこむ画像取込みシステムと、
デジタル画像ファイルをインターネットへ送信するためにインターネットに接続することのできるネットワーク・インタフェース装置と、
前記ネットワーク・インタフェース装置を介して前記宛先シェル・アカウントと通信し、ファイル転送プロトコルFTPに従って前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリへデジタル画像ファイルを転送し、それによって、インターネットにアクセスしたアクセス装置が前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリ中のデジタル画像ファイルを使用できるようにするファイル転送装置と、
インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IPに従ってデジタル画像ファイルをパケット化し、パケット化されたデジタル画像ファイルの所定のインターネット・アドレスへのアドレス指定を制御するトランスポート制御装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ネットワーク・インタフェース装置を介してインターネットとの接続を開始する伝送開始装置と、
前記トランスポート制御装置および前記ファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの前記宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするために少なくとも1つのタイマを含む第1のスケジューリング装置と、
前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って、前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置と、
を含むことを特徴とするインターネットカメラシステム。」と訂正する。
3.特許第3034243号発明の明細書中の特許請求の範囲の請求項1〜44において、特許請求の範囲の減縮を目的として、もとの請求項3、11、27、35を削除し、以下項数を繰り上げ、以下の請求項対応表に示すように訂正する。
請求項対応表


4.特許請求の範囲の、番号を繰り上げた後の請求項5(もとの請求項6)において、請求項1に組み込まれた部分との重複を避けるため、不明瞭な記載の釈明を目的とし、かつ、上記3に記載の請求項の番号の繰り上げに対応して、従属先を訂正することを目的として、請求項5全体を、以下の通り訂正する。
「さらに、前記構成設定装置は、前記構成情報に従って前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の一体型インターネットカメラ。」
5.特許請求の範囲の、番号を繰り上げた後の請求項9(もとの請求項10)において、請求項1に組み込まれた、「前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置」との整合性をとるため、不明瞭な記載の釈明を目的とし、かつ、上記3に記載の請求項の番号の繰り上げに対応して、従属先を訂正することを目的として、請求項9全体を、以下の通り訂正する。
「前記構成設定装置がさらに、前記構成情報に従って、前記画像取込み回路、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置、前記第2のスケジューリング装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。」
6.特許請求の範囲の、番号を繰り上げた後の請求項27(もとの請求項30)において、請求項22(もとの請求項24)に組み込まれた部分との重複を避けるため、不明瞭な記載の釈明を目的とし、かつ、上記3に記載の請求項の番号の繰り上げに対応して、従属先を訂正することを目的として、請求項27全体を、以下の通り訂正する。
「前記構成設定装置が、さらに前記構成情報に従って前記画像取込みシステム、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項22または請求項26のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。」
7.特許請求の範囲の、番号を繰り上げた後の請求項31(もとの請求項34)において、請求項22(もとの請求項24)に組み込まれた、「前記宛先シェル・アカウントのユーザ・ディレクトリから構成情報を検索、回収する構成情報検索装置と、前記構成情報に従って、前記第1のスケジューリング装置の動作パラメータを設定する構成設定装置とを含む、構成装置」との整合性をとるため、不明瞭な記載の釈明を目的とし、かつ、上記3に記載の請求項の番号の繰り上げに対応して、従属先を訂正することを目的として、請求項31全体を、以下の通り訂正する。
「前記構成設定装置がさらに、前記構成情報に従って、前記画像取込みシステム、前記ネットワーク・インタフェース装置、前記ファイル転送装置、前記トランスポート制御装置、前記伝送開始装置、前記第2のスケジューリング装置のうちの少なくとも1つの動作パラメータを設定することを特徴とする請求項28から請求項30のいずれかに記載のインターネットカメラシステム。」
8.特許請求の範囲の、番号を繰り上げた後の請求項10、15、16、23、34、35(もとの請求項12、17、18、25、38、39)に記載の「所定のインターネット・トランスポート制御プロトコル」を、インターネット・トランスポート制御プロトコルがTCP/IPであることを目的として「インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IP」と訂正する。該当箇所を下表に示す。


9.不明瞭な記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の、番号を繰り上げた後の請求項15、34(もとの請求項17、38)に記載の「トランスポート制御装置」を「前記トランスポート制御装置」と訂正する。該当箇所を下表に示す。

10.不明瞭な記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の、番号を繰り上げた後の請求項15、33、34(もとの請求項17、37、38)に記載の「ファイル転送装置」を「前記ファイル転送装置」と訂正する。該当箇所を下表に示す。

11.不明瞭な記載の釈明を目的として、特許請求の範囲の、番号を繰り上げた後の請求項28、39(もとの請求項31、43)に記載の「画像取り込み回路」を「画像取り込みシステム」と証する。該当箇所を下表に示す。

12.上記3に示した請求項の番号の繰り上げと整合性を取るため、不明瞭な記載の釈明を目的として、以下の通り請求項の従属先を訂正する。
請求項3(もとの請求項4)の「請求項3に記載」を請求項1または請求項2に記載」に訂正する。
請求項4(もとの請求項5)の「請求項4に記載」を「請求項3に記載」に訂正する。
請求項6(もとの請求項7)の「請求項1から請求項6のいずれかに記載」を「請求項1から請求項5のいずれかに記載」に訂正する。
請求項7(もとの請求項8)の「請求項7に記載」を「請求項6に記載」に訂正する。
請求項8(もとの請求項9)の「請求項8に記載」を「請求項7に記載」に訂正する。
請求項10(もとの請求項12)の「請求項1から請求項11のいずれかに記載」を「請求項1から請求項9のいずれかに記載」に訂正する。
請求項11(もとの請求項13)の「請求項1から請求項12のいずれかに記載」を「請求項1から請求項10のいずれかに記載」に訂正する。
請求項12(もとの請求項14)の「請求項1から請求項13のいずれかに記載」を「請求項1から請求項11のいずれかに記載」に訂正する。
請求項13(もとの請求項15)の「請求項1から請求項14のいずれかに記載」を「請求項1から請求項12のいずれかに記載」に訂正する。
請求項14(もとの請求項16)の「請求項1から請求項15のいずれかに記載」を「請求項1から請求項13のいずれかに記載」に訂正する。
請求項15(もとの請求項17)の「請求項1から請求項16のいずれかに記載」を「請求項1から請求項14のいずれかに記載」に訂正する。
請求項16(もとの請求項18)の「請求項1から請求項17のいずれかに記載」を「請求項1から請求項15のいずれかに記載」に訂正する。
請求項17(もとの請求項19)の「請求項1から請求項18のいずれかに記載」を「請求項1から請求項16のいずれかに記載」に訂正する。
請求項18(もとの請求項20)の「請求項19に記載」を「請求項17に記載」に訂正する。
請求項19(もとの請求項21)の「請求項1から請求項20のいずれかに記載」を「請求項1から請求項18のいずれかに記載」に訂正する。
請求項20(もとの請求項22)の「請求項1から請求項21のいずれかに記載」を「請求項1から請求項19のいずれかに記載」に訂正する。
請求項21(もとの請求項23)の「請求項1から請求項22のいずれかに記載」を「請求項1から請求項20のいずれかに記載」に訂正する。
請求項23(もとの請求項25)の「請求項24に記載」を「請求項22に記載」に訂正する。
請求項24(もとの請求項26)の「請求項24または請求項25に記載」を「請求項22または請求項23に記載」に訂正する。
請求項25(もとの請求項28)の「請求項27に記載」を「請求項24に記載」に訂正する。
請求項26(もとの請求項29)の「請求項28に記載」を「請求項25に記載」に訂正する。
請求項28(もとの請求項31)の「請求項24から請求項30のいずれかに記載」を「請求項22から請求項27のいずれかに記載」に訂正する。
請求項29(もとの請求項32)の「請求項31に記載」を「請求項28に記載」に訂正する。
請求項30(もとの請求項33)の「請求項32に記載」を「請求項29に記載」に訂正する。
請求項32(もとの請求項36)の「請求項24から請求項35のいずれかに記載」を「請求項22から請求項31のいずれかに記載」に訂正する。
請求項33(もとの請求項37)の「請求項24から請求項36のいずれかに記載」を「請求項22から請求項32のいずれかに記載」に訂正する。
請求項34(もとの請求項38)の「請求項24から請求項37のいずれかに記載」を「請求項22から請求項33のいずれかに記載」に訂正する。
請求項35(もとの請求項39)の「請求項24から請求項38のいずれかに記載」を「請求項22から請求項34のいずれかに記載」に訂正する。
請求項36(もとの請求項40)の「請求項24から請求項39のいずれかに記載」を「請求項22から請求項35のいずれかに記載」に訂正する。
請求項37(もとの請求項41)の「請求項40に記載」を「請求項36に記載」に訂正する。
請求項38(もとの請求項42)の「請求項24から請求項41のいずれかに記載」を「請求項22から請求項37のいずれかに記載」に訂正する。
請求項39(もとの請求項43)の「請求項24から請求項42のいずれかに記載」を「請求項22から請求項38のいずれかに記載」に訂正する。
請求項40(もとの請求項44)の「請求項24から請求項43のいずれかに記載」を「請求項22から請求項39のいずれかに記載」に訂正する。
13.特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、不明瞭な記載の釈明を目的として、明細書の段落【0009】第8行目(特許第3034243号、第12欄第14〜15行目)、「所定のファイル転送プロトコル」を「ファイル転送プロトコルFTP」と訂正する。
14.特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、不明瞭な記載の釈明を目的として、明細書の段落【0010】第1〜2行目(特許第3034243号、第12欄第21行目)、「所定のインターネット・トランスポート制御プロトコル」を「インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IP」と訂正する。段落【0010】第10行目(特許第3034243号、第12欄第33〜34行目)、「カメラ本体に収納されている。」を「カメラ本体に収納されている。また上記一体型インターネットカメラは、構成装置を有し、構成装置は、構成情報検索装置と構成設定装置とを有する。構成情報検索装置は宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収し、それに対して構成設定装置は構成情報に従って、第1のスケジューリング装置等の動作パラメータを設定する。」と訂正する。
15.特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、不明瞭な記載の釈明を目的として、明細書の段落【0011】第6〜7行目(特許第3034243号、第12欄第43〜44行目)、「送信開始装置とを有する」を「送信開始装置と、第1のスケジューリング装置と、構成情報検索装置と構成設定装置とを含む構成装置を有する」と訂正する。また明細書の段落【0011】第11行目(特許第3034243号、第12欄第49〜50行目)、「所定のファイル転送プロトコル」を「ファイル転送プロトコルFTP」と訂正する。
16.特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、不明瞭な記載の釈明を目的として、明細書の段落【0012】第1〜2行目(特許第3034243号、第13欄第6行目)、「所定のインターネット・トランスポート制御プロトコル」を「インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IP」と訂正する。また明細書の段落【0012】第5行目(特許第3034243号、第13欄第12行目)、「接続を開始する」を「接続を開始する。第1のスケジューリング装置は、トランスポート制御装置とファイル転送装置によるデジタル画像ファイルの宛先シェル・アカウントへの転送をスケジューリングするための少なくとも一つのタイマを含む。構成情報検索装置は宛先シェル・アカウントから構成情報を検索、回収し、それに対して構成設定装置は構成情報に従って、第1のスケジューリング装置等の動作パラメータを設定する」と訂正する。
17.特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、不明瞭な記載の釈明を目的として、明細書の段落【0019】(特許第3034243号、第14欄第23〜31行目)を、「一体型インターネットカメラにおける構成設定装置は、構成情報に従って、1つまたは複数の画像取込み回路、ネットワーク・インタフェース装置、ファイル転送装置、トランスポート制御装置、伝送開始装置の動作パラメータを設定する。」と訂正する。
18.特許請求の範囲と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、不明瞭な記載の釈明を目的として、明細書の段落【0023】第1〜2行目(特許第3034243号、第14欄第50行目〜第15欄第1行目)、「所定のインターネット・トランスポート制御プロトコル」を「インターネット・トランスポート制御プロトコルTCP/IP」と訂正する。
異議決定日 2001-11-06 
出願番号 特願平10-346071
審決分類 P 1 651・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 関谷 隆一  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 山本 章裕
小林 秀美
登録日 2000-02-18 
登録番号 特許第3034243号(P3034243)
権利者 ペンタックス テクノロジーズ コーポレーション
発明の名称 一体型インターネットカメラおよびインターネットカメラシステム  
代理人 松岡 修平  
代理人 松岡 修平  

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