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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  H04N
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H04N
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
管理番号 1055067
異議申立番号 異議1999-71541  
総通号数 28 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-04-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-04-16 
確定日 2002-03-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第2846435号「画像形成装置」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、特許庁は、平成12年2月15日付けで、「特許2846435号の請求項1ないし8に係る発明の特許を取り消す。」との異議の決定し、その後、前記異議の決定の取消を求める訴えが東京高等裁判所に提起され、その訴えの係属中に、本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の訂正をする訂正審判の請求が特許庁に対してなされ、訂正2001-39046号事件として特許庁に係属した。 特許庁は、平成13年10月30日付けで、本件訂正を認める旨の審決をした。 そして、東京高等裁判所において、前記異議の決定取消の判決(平成13年(行ヶ)5号、平成13年12月26日判決言渡し)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり決定する。次のとおり決定する。 
結論 特許第2846435号の請求項1(異議申立時の請求項5を訂正した請求項)に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第2846435号に係る特許発明は、平成2年8月27日の出願であって、平成10年10月30日にその特許の設定登録がなされ、その後、平成11年4月16日に清水彰より特許異議の申立がなされ、平成11年7月13日に山田将之より特許異議の申立がなされ、さらに平成11年7月1
2日に寺脇弘子より特許異議の申立がなされ、そして平成12年2月15日付けで異議の決定がなされたものである。その後、東京高等裁判所に出訴され、平成13年3月21日付けで訂正審判(2001-39046)が請求され、同年10月30日にその訂正を認める審決がなされたものである。

2.本件特許発明
上記訂正の審判により、特許異議の申立時の請求項1〜4,6〜8は削除され、請求項5は、訂正され請求項1とされた。
そして訂正後の請求項1に係る特許発明の要旨は、上記訂正の審判による訂正後の願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下の通りのものと認める。

「【請求項1】原稿よりの反射光を撮像素子に結像する光学系を有する読取手段と、
該読取手段よりの画像信号に基づいて画像を形成する作像手段と、
記録紙を収納し1枚宛作像手段へ給送する給紙装置を構成する用紙手段とを備えており、
前記読取手段が作像手段の上方に該作像手段との間で空間を形成するように支持枠により支持され、前記支持枠が前記読取手段を支持することによってコ型状ユニットを形成するとともに、記録紙排紙トレイが前記空間に位置するように設けられていることを特徴とする画像形成装置。」

3.特許異議申立の概要
(1)申立人 清水彰は、甲第1号証(特開平2-32371号公報)、甲第2号証(特開平2-169473号公報)、甲第3号証(特開平1-271363号公報)、甲第4号証(特開平2-189069号公報)、及び甲第5号証(特願平2-224758号(特開平4-105458号公報))を提出し、本件請求項1ないし5に係る発明は、甲第1〜4号証に記載されている発明に基づいて当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許を受けることができないものであるから、本件請求項1ないし5に係る発明の特許は、特許法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張し、
また、申立人 清水彰は、本件請求項8に係る発明の特許は、明細書又は図面に記載されていないから、特許法第17条の2第3項の規定を満たしておらず、特許法第113条第1号の規定により取り消されるべきものである旨主張し、
また更に、申立人 清水彰は、本件請求項1ないし5、及び8に係る発明の特許は、特許法第36条第4項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第4号の規定に該当し第114条第2項の規定により取り消されるべきものである旨主張している。
(2)申立人 山田将之は、甲第1号証(米国特許明細書第4,947,345号明細書)、甲第2号証(特開平2-165318号公報)、甲第3号証(特開平2-169473号公報)、甲第4号証(特開平2-105165号公報)、甲第5号証(特公昭53-34494号公報)、及び甲第6号証(特開平3-120125号公報)を提出し、本件請求項1ないし8に係る発明は、甲第1〜3号証記載された発明と同一であるか、又は、甲第1〜3号証に記載された発明及び甲第4号証、甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項又は同条第2項の規定に違反してなされたものであり、本件請求項1ないし8に係る発明の特許は、特許法第113条の第1項第2号の規定により取り消されるべきものであると主張している。
また、申立人 山田将之は、本件請求項1ないし3に係る発明は、その出願前の出願であってその出願後に出願公開された甲第6号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであるから、本件請求項1ないし3に係る発明の特許は取り消されるべきものである旨を主張し、
また更に、申立人 山田将之は、本件特許出願に係る明細書及び図面の記載が不備であり、特許法第36条第3項及び第4項の規定の要件を満たしていないから、本件請求項1ないし8に係る発明の特許は、特許法第113条第1項第4号の規定により取り消されるべきものである旨主張している。

(3)申立人 寺脇弘子は、甲第1号証(特開平2-209247号公報)、甲第2号証(特開平1-133462号公報)、甲第3号証(特開平1-317937号公報)、及び甲第4号証(特開昭64-42662号公報)を提出し、本件請求項1ないし8に係る発明は、甲第1号証〜第4号証に記載された発明から当業者が容易に発明し得るものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、本件請求項1ないし8に係る発明の特許は、同法第113条第1項第2号の規定により取り消されるべきものである旨主張している。

4.各甲号証に記載されている発明
(A)清水彰が提出した各甲号証に記載されている発明
(A.1)甲第1号証(特開平2-32371号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「第1図の上部は原稿像を読み取り、デジタル・カラー画像データを出力するカラー・イメージ・スキャナ部1(以下、スキャナ部1と略す)と、スキャナ部1に内蔵されデジタル・カラー画像データの各種の画像処理を行うとともに、外部装置とのインターフェース等の処理機能を有するコントローラ部2より構成される。」(第2頁左上欄第1〜7行)

(イ)「第1図の下部は、コントローラ部2より出力されたカラー・デジタル画像信号を記録紙に記録するためのプリンタ部3である。」(第2頁左上欄第20行〜同頁右上欄第2行)

(ウ)「露光ランプ14、レンズ15、フルカラーでライン・イメージの読み取りが可能なイメージ・センサ16(本実施例ではCCD)によって、原稿台ガラス17上に置かれた原稿像、プロジェクタによる投影像、または、シート送り機構12によるシート原稿像を読み取る。次に、各種の画像処理をスキャナ部1とコントローラ部2で行い、プリンタ部3で記録紙に記録する。第2図において、記録紙は小型定型サイズ(本実施例ではA4〜A3サイズまで)のカット紙を収納する給紙カセット20と、大型サイズ(本実施例ではA2〜A1サイズまで)の記録を行うためのロール紙29より供給される。」(第2頁右上欄第11行〜同頁左下欄第5行)

(エ)「ピック・アップ・ローラ24は、給紙カセット20よりカット紙を1枚づつ給紙するためのローラであり、給紙されたカット紙はカット紙送りローラ25により給紙第1ローラ26まで搬送される。」(第2頁左下欄第11〜14行)

(オ)「プリントされた記録紙は、排紙トレイ23に排出されプリント動作を完了する。」(第3頁左上欄第13〜14行)

(A.2)甲第2号証(特開平2-169473号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(カ)「本ファクシミリ装置は、上段に原稿読取部が、下段に画像記録部が、それぞれ配置された構成を成し、送信済原稿及び受信済原稿は、中段の排紙トレイ107に排出される。
〈原稿読取部〉
原稿読取部は、原稿トレイ117、該原稿トレイ117上に載置された原稿123を1枚づつ給紙するための給紙ローラ118、給紙された原稿を露光する露光ランプ119、原稿画像をセルフォックレンズアレイ120を介して走査して電気信号に変換するイメージセンサ121、走査後の原稿を搬送する原稿搬送ローラ122、原稿の場合と記録紙の場合とで経路を切り換える切り換え爪115(原稿排出時には実線位置、記録紙排出時には破線位置)、用紙(原稿又は記録紙)の排出を検出する排紙検出センサ124、用紙を排出する排出ローラ対116、等より構成される。
〈画像記録部〉
画像記録部は、図中矢印方向に回転可能に軸支された感光体ドラム、画像データに応じてON・OFFするレーザ光を出力するレーザ装置(半導体レーザ、ポリゴンミラー等)108a、出力されたレーザ光を反射して感光体ドラムに導くための反射鏡108b、108c、レーザ照射に先立ち感光体ドラムを帯電する帯電チャージャ111、感光体ドラムに形成される静電潜像をトナー現像する現像装置112、記録を収納する記録紙カセット101、カセットから記録を給紙する給紙ローラ102、給紙された記録紙を所定のタイミングで感光体ドラム〜転写チャージャ間に送出するタイミングローラ対103、感光体ドラム上のトナー像を記録紙に転写するための転写チャージ亜113、トナー像を転写された記録紙を感光体ドラムから分離するための分離チャージャ114、分離された記録紙を搬送する搬送ベルト104、搬送ローラ対105、106、等より構成される。」(第2頁左下欄第4行〜同頁右下欄第20行)

(A.3)甲第3号証(特開平1-271363号公報)には、図面とともに下記の事項が記載されている。

(キ)「転写材Pは上で方向を変換し、排紙ローラ16によって排紙トレイー兼用の開閉カバー17に排紙される。」(第2頁左第16〜19行)

(A.4)甲第4号証(特開平2-189069号公報)には、図面とともに下記の事項が記載されている。

(ク)「第2図に示すようにリーダー1を移動させてプリンター2を凹部Dから露出させ、前ドア28を開放することで作業を実施することが出来る。」(第4頁右下欄第14から6行)

(B)山田将之が提出した各甲号証に記載されている発明
(B.1)甲第1号証(米国特許明細書第4,947,345号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「訳:第1図は本発明の待ち行列管理方法を利用するようにした多機能複写、プリント兼ファクシミリ装置の主な構成部材を示す説明図」

(イ)「Machine 5 has a laser printer 7 and document scanner 9 together with touch panel type User Interface(UI) 10 for controlling and programming machine operation.」(第2欄第57〜60行)
「訳:装置5は、レーザプリンタ7、ドキュメントスキャナ9及び装置の動作を制御、プログラムするためのタッチパネル型ユーザインターフェース(UI)を有する。」

(ウ)「Printer 7 includes a photoreceptor drum 20 ,the outer surface 22 of which is coated with a suitable photoconductive material,and a charge corotron 28 for charging the drum photoconductive surface 22 in preparation for imaging. Drum 20 is suitable joulnaled for rotation within the machine frame 35, drum 20 rotating in the direction by the arrow s to bring the photoconductive surface thereof past exposure,developer,and transfer stations 32,34,36 of the printer 7.」(第3欄第10〜18行)
「訳:プリンタ7は、外面22が適当な光導電材料で被覆されている光受容体ドラム20と、潜像の準備としてドラム光導電面22を帯電させる帯電コロトロン28とを有する。ドラム20は矢印方向に回転して、その光導電面を、プリンタ7の露光ステーション32、現像ステーション34及び転写ステーション36を通過させる。」

(エ)「A supply of copy sheets 68 is provided by paper trays 70,72,74,trays 70,72,74 each having a feed roll 76 for feeding one sheet at a time from the stack of sheets in the tray to a pinch roll pair 78 where the sheet is registered with the image developed on drum 20. Following registration,the sheet is forwarded to transfer station 36 where the developed image is transferred from photoconductive surface 22 to the copy sheet 68.」(第3欄第46〜54行)
「訳:コピーシート68の供給はトレイ70、72、74によって行われる。トレイ70、72、74は各々がフィードロール76を有している。このフィードロールは一時に一枚のシートをトレイ内のシートスタックからピンチロール対78へ送出するようになっており、このピンチロール対78において、シートはドラム20上に現像されている画像と整合させられる。整合の後、シートは転写ステーション36へ送られ、この転写ステーションにおいて、現像済み画像は光導電面22からコピーシート68へ転写される。」

(オ)「After fusing,the finished copy or print is advanced by print discharge rolls 84 to print output 86.」(第3欄第58〜60行)
「訳:定着の後、仕上がったコピー又はプリントはプリント排出ロール84によってプリント出力トレイ86は送られる。」

(カ)「Document scanner 9 is a dual mode scanner,permitting either manual scanning operation in which a document 110 to be scanned is manually placed upon a transparent platen 101 or automateic scanning in which one or more documents to be scanned are placed on iclined document feed tray 103. Scanner 9 has a CCD type contact array 102 diposed on a movable scan carrage105.」(第3欄第64行〜第4欄第3行)
「訳:ドキュメントスキャナ9はデュアルモードスキャナであり、ドキュメント110が手動で透明なプラテン101上に載せられるマニュアル走査、又は、1つ又は複数のドキュメントが傾斜したフィードトレイ103上に載せられる自動走査が可能である。スキャナ9は可動走査キャリッジ105上に配置されたCCD型接点アレイ102を有する。」

(B.2)甲第2号証(特開平2-165318号公報号)には、図面とともに次の各事項が記載されている。

(キ)「第7図は本発明が適用できるレーザファクシミリの概観図であり、第8図は第7図に示したレーザファクシミリの概略的な回路構成を示したものである。第7図、第8図のレーザファクシミリは機能上他のファクシミリからの画像信号を受信したり、原稿を読み取り画像信号を送信するスキャナコントローラユニット10と、スキャナコントローラユニット10が受信したり読み取った画像信号に基づいて記録紙上に記録動作を行うプリンタユニット9とに分けられる。尚、プリンタユニット9としては周知のレーザビームプリンタを使用することができる。又、スキャナコントロールユニット10とプリンタユニット9は別筐体であり、ケーブルを介して接続されている。図中1はジャム解除用のトップカバー、2は原稿幅を合わせるためのスライダ、3は原稿台、4は原稿台カバー、5は原稿トレイ、6は電話器、7は操作パネル、8はペデイスタル、9aはカセット、9bは排紙トレイである。又、第8図中21は操作部であり操作パネル7が含まれる。22は伝送制御部、23は重旺盛魚部、24は読み取り部、25はプリンタインタフェース制御部で、21〜25でスキャナコントローラユニットを構成している。」(第2頁左上欄第13行〜同頁右上欄第16行)

(ク)「第3図(a)、(b)はプリンタユニット9の概観図で、9cはプリンタ開閉レバー、9aは記録紙カセット、9dはプリンタ表示部,9eはプリンタ電源スイッチ、9bは記録紙トレイである。第4図はプリンタユニット9の記録紙搬送路の断面図である。図中91はカセット給紙部、92は分離搬送部、93は定着排紙部である。」(第3頁右上欄第11〜18行)

(ケ)「第3図は記録紙トレイ9bを使用しないで、第4図の定着排紙部93を通過した記録紙を反転させて、第1図の排紙ユニット31の搬送ガイド30を導く構成としている。」(第3頁左下欄第4〜7行)

(B.3)甲第3号証(特開平2-169473号公報)には、図面とともに次の各事項が記載されている。

(コ)「本ファクシミリ装置は、上段に原稿読取部が、下段に画像記録部が、それぞれ配置された構成を成し、送信済原稿及び受信済原稿は、中段の排紙トレイ107に排出される。
〈原稿読取部〉
原稿読取部は、原稿トレイ117、該原稿トレイ117上に載置された原稿123を1枚づつ給紙するための給紙ローラ118、給紙された原稿を露光する露光ランプ119、原稿画像をセルフォックレンズアレイ120を介して走査して電気信号に変換するイメージセンサ121、走査後の原稿を搬送する原稿搬送ローラ122、原稿の場合と記録紙の場合とで経路を切り換える切り換え爪115(原稿排出時には実線位置、記録紙排出時には破線位置)、用紙(原稿又は記録紙)の排出を検出する排紙検出センサ124、用紙を排出する排出ローラ対116、等より構成される。
〈画像記録部〉
画像記録部は、図中矢印方向に回転可能に軸支された感光体ドラム、画像データに応じてON・OFFするレーザ光を出力するレーザ装置(半導体レーザ、ポリゴンミラー等)108a、出力されたレーザ光を反射して感光体ドラムに導くための反射鏡108b、108c、レーザ照射に先立ち感光体ドラムを帯電する帯電チャージャ111、感光体ドラムに形成される静電潜像をトナー現像する現像装置112、記録を収納する記録紙カセット101、カセットから記録を給紙する給紙ローラ102、給紙された記録紙を所定のタイミングで感光体ドラム〜転写チャージャ間に送出するタイミングローラ対103、感光体ドラム上のトナー像を記録紙に転写するための転写チャージ亜113、トナー像を転写された記録紙を感光体ドラムから分離するための分離チャージャ114、分離された記録紙を搬送する搬送ベルト104、搬送ローラ対105、106、等より構成される。」(第2頁左下欄4行〜同頁右下欄第20行)

(サ)「なお、第2図中、200は、本ファクシミリの操作パネルである。」(第3頁右上欄第19行〜同頁左下欄第1行)

(B.4)甲第4号証(特開平2-105165号公報には、図面とともに次の各事項が記載されている。

(シ)「即ち本実施例では、装置本体2の中央に配設される感光ドラム42、帯電器、現像器、クリーナ等からなる画像形成部41がプロセスカートリッジ43として一体に構成され、該プロセスカートリッジ43の左方には加熱、加圧ローラ45,46、搬入、排出ガイド47,48、排紙ローラ49,49等からなる定着部44と、転写帯電器51等からなる転写部50と、第2搬送ガイド56、一対のレジストローラ57,57の一方等からなる転写紙搬入部52の一部とが、内枠58内に上から下へ組み込まれて一体的に着脱可能な定着転写・カートリッジ59が形成されている。プロセスカートリッジ43の上方に装置本体2には定着部44の排紙ローラ49,49によって排出される転写紙Pの積載部60が設けられ、プロセスカートリッジ43の下方にはシートカセット53、給紙ローラ54、第1は搬送ガイド55及びレジストローラ57,57の一方等からなる転写紙搬送部52の一部が配設されている。」(第4頁右上欄第16行〜同頁左下欄第14行)

(B.5)甲第5号証(特公昭53-34494号公報)には、図面ととともに次の事項が記載されている。

(ス)「転写紙56はその収容ケース57より送りロール群58により送り出され、各サブシステムの転写ステーション、即ちロール50,51及び52と各感光体間のギャップを通過して、順次各色粉末像が転写されて移送され、最後に定着ユニット59に送り込まれて、半永久的複写として、定着されて、複写紙収容場所62へ排出される。」(第4頁左第29〜35行)

(B.6)甲第6号証(特開平3-120125号公報)には、図面とともに次の各事項が記載されている。

(セ)「このファクシミリ装置は、大きく分けて給紙ユニットA、記録ユニットB、読み取りユニットC及びオプション給紙トレイDの4ユニットから構成される。給紙ユニットAは、ファクシミリ装置の本体下部に設けられ、その上方に記録ユニットB及び読み取りユニットCがこの順に設けられ、記録ユニットBの右側に相当する本体右側壁にオプション給紙トレイDが装備される。給紙ユニットAはファクシミリ受信時において受信情報を記録する記録紙(図示せず)を記録ユニットBに給紙する。また、このファクシミリ装置が複写機として使用されるコピーモード時においても同様に記録ユニットBに記録紙を給紙する。かかる給紙ユニットAは、本体下部に装備され、多数の記録紙を収納する給紙カセット1と、給紙カセット1内の記録紙を一枚ずつ取り出し、記録ユニットBい給紙する給紙ローラ2と、給紙カセット1の上方部に装備されるファクシミリ制御基板3とを備えてなる。また、給紙ユニットAの外部にはハンドセット4と、操作表示部(図示せず)が設けられる。このファクシミリ制御基板3には、このファクシミリ装置の制御系のほとんどの機器が装置される。一方、記録ユニットBには電子写真方式の作像工程を行うイメージングユニット10と、受信情報をレーザ光に変換してイメージングユニット10を構成する感光体ドラム12に露光するプリントヘッド11とが装置される。感光体ドラム12には搬送ローラ6とタイミングローラ7を介して前記記録紙が供給される。搬送ローラ6は前記給紙ローラ2から給紙される記録紙を受け取り、タイミングローラ7に供給する。そうすると、タイミングローラ7が時計方向に回転する感光体ドラム12の回転と同期をとってこれに記録紙を供給する。感光体ドラム12に供給され、所定の作像工程によりトナー像が転写された記録紙は、感光体ドラム12から分離され、イメージングユニット10の左側部に設けられる定着ローラ8の位置に搬送され、ここでの定着工程が完了すると、排出ローラ9によりプリントヘッド11の上部に設けられる排出トレイ13上に排出される。」(第2頁右上欄第8行〜同頁右下欄第10行)

(ソ)「読み取りユニットCは、原稿トレイ20上にセットされる原稿DC(第5図参照)の原稿画像を読み取る密着型の読み取りセンサ50等からなり、読み取った画像データをアナログの画信号として図外の電話回線に送出する。」(第3頁左上欄第3〜7行)
(C)寺脇弘子が提出した各甲号証に記載されている発明
(C.1)甲第1号証(特開平2-209247号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「第5図の上部1は原稿画像を読取り、デジタルカラー画像データを外部装置に出力するカラーイメージスキャナである。第5図の下部3はカラーイメージスキャナ1より出力されたカラーデジタル画像信号を入力し、記録紙に記録するためのプリンタ部である。」(第3頁左上欄第7〜12行)

(イ)「プリンタ部3において、記録紙は小型定型サイズ(本実施例ではA4〜A3サイズまで)のカット紙を収納する給紙カセット20と、大型サイズ(本実施例ではA2〜A1サイズまで)の記録を行うためのロール紙を29より供給される。」(第3頁左下欄第3〜7行)

(ウ)「ピック・アップ・ローラ24は、給紙カセット20よりカット紙を1枚ずつ給紙するためのローラであり、このピック・アップ・ローラ24により給紙されたカット紙は、カットし送りローラ25により給紙用第1ローラ26まで搬送される。」(第3頁左下欄第12〜16行)

(エ)「給紙経路のいずれかより選択給紙された記録紙を、給紙用第1ローラ26まで搬送する。このとき、記録紙の斜行を取り除くため、所定量の紙ループをつくった後に、給紙用第1ローラ26をオンして給紙用第2ローラ27に記録紙を搬送する。」(第3頁右下欄第15行〜第4頁左上欄第4行)

(オ)「記録ヘッドによりプリントされた記録紙は、排紙トレイ23に排出されてプリント動作を完了する。」(第4頁右上欄第9〜11行)

(C.2)甲第2号証(特開平1-133462号)には、図面とともに次の各事項が記載されている。

(カ)「画像形成装置1は、原稿に付された画像情報の読取走査を行う読取部3を内蔵した画像読取手段(スキャナ)2と、この画像形成手段2を上面に載置する状態で支持するレーザビームを用いた画像形成手段(レーザビームプリンタ)4十を有している。」(第2頁右上欄第15〜20行)

(キ)「前記画像形成手段4は、ケース22と、画像形成部17と、前記ヒートローラ15A,15Bにより形成される定着部18十、画像形成部17に画像形成媒体としての複写紙を供給するためこの複写紙を収容した給紙カセット19と、排紙ローラ20A,20Bと、排紙トレイ21と具備している。」(第3頁左上欄第20行〜同頁右上欄第6行)

(C.3)甲第3号証(特開平1-317937号公報)には、図面とともに次の各事項が記載されている。

(ク)「1はプリンタ本体機筐であり、その上面板面2を第1の排紙部としての作りつけトレイにしてあり、」(第7頁右上欄第8〜10行)

(ケ)「カセットフィーダ60の前述上向き出口部70から上方へ搬送されてプリンタ本体50の底面側の第1給紙口としての下向き入口部80に入ってプリンタ本体50内へ供給されたシート材は、搬送ローラ10とアイドラコロ9cの間、ドラム3と転写ローラ7との間、定着器11の定着ローラ対間、第2排紙ローラ12、第1排紙ローラ13を経由搬送されて第1排紙口15からプリンタ機筐上面の第1の排紙部としてのトレイ2上に排出される。」(第7頁左下欄第3〜12行)

(C.4)甲第4号証(特開昭64-42662号公報)には図面とともに次の事項が記載されている。

(コ)「用紙カセットを複写機本体に内蔵した転写型複写機において、前記用紙カセットと、この用紙カセットから用紙を取り出す給紙機構部と、の給紙機構部により送出された用紙を排紙部まで搬送する用紙搬送機構部と、この用紙搬送機構部により移送される用紙に感光体上の現像されたトナー像を転写する転写機構部と、前記感光体の残留トナーを除去するクリーナー機構部と、搬送されてくる用紙上のトナー像を定着する定着機構部と、この定着後の用紙を排出する排紙機構部とを一体に備えたプロセスユニットを設けるとともに、このプロセスユニットを、前記複写機本体に着脱自在に取付けたことを特徴とする転写型複写機」(第1ページ左下欄第5〜17行)

(サ)「第2図は第1図のプロセスユニット24を複写機本体1から引き出した状態を示し、このプロセスユニット24には、これを複写機本体1から引き出すための取手26が設けられ、」(第3頁左上欄第16〜19行)

5.本件請求項1に係る発明と異議申立人 清水彰が提出した甲第1〜4号証に記載された発明、異議申立人 山田将之が提出した甲第1〜56号証に記載された発明、そして異議申立人 寺脇弘子が提出した甲第1〜4号証に記載された発明との対比・判断
請求項1に係る発明と上記各甲号証に記載されている発明を対比すると、上記各甲号証のいずれにも、請求項1に係る発明の必須の構成要件である「前記読取手段が作像手段の上方に該作像手段との間で空間を形成するように支持枠により支持され、前記支持枠が前記読取手段を支持することによってコ型状ユニットを形成するとともに、記録紙排紙トレイが前記空間に位置するように設けられている」点の構成を示す記載がなされていない。そして、請求項1に係る発明はこの点によって明細書に記載されている格別の作用・効果を奏し得るものと認められるから、請求項1に係る発明が上記各甲号証に記載された発明であるとも、また、上記各甲号証に記載されている発明から当業者が容易に発明し得るものとも認められない。

6.異議申立人 清水彰、山田将之の本件明細書が記載不備であるとの主張についての検討
本件明細書の記載は、訂正2001-39046号事件における訂正により、明瞭となったから、本件請求項1に係る発明は、特許法第36条第4項及び第5項に規定する要件を満たさない特許出願に対してなされたものであるとすることができない。
したがって、異議申立ての理由及び証拠によって本件請求項1に係る特許発明の特許は取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2000-11-22 
出願番号 特願平2-224758
審決分類 P 1 651・ 531- Y (H04N)
P 1 651・ 113- Y (H04N)
P 1 651・ 534- Y (H04N)
P 1 651・ 121- Y (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀井 啓明  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 関川 正志
東 次男
登録日 1998-10-30 
登録番号 特許第2846435号(P2846435)
権利者 株式会社リコー
発明の名称 画像形成装置  
代理人 伊藤 武久  
代理人 藤田 アキラ  

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