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審決分類 審判 全部無効 特29条の2 訂正を認める。無効としない G06F
管理番号 1055715
審判番号 無効2000-35454  
総通号数 29 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-08-13 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-08-30 
確定日 2001-08-31 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2710181号発明「照光式キートップの構造」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 【1】手続の経緯
本件特許第2710181号の請求項1乃至2に係る発明は、平成4年1月28日に特願平4-12726号として特許出願され、平成9年10月24日にその発明について特許の設定登録(請求項の数2)がなされたものである。
これに対して、平成12年8月30日に請求人サンアロー株式会社より、本件請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とする、との審決を求める本件審判の請求がなされ、平成12年12月4日付で被請求人(特許権者)日本電気株式会社より、本件審判の請求は成り立たない、との審決を求める答弁書とともに訂正請求書が提出され、また平成13年1月26日付で請求人より答弁書及び訂正請求書のそれぞれに対する弁駁書が提出され、さらに平成13年4月17日の口頭審理及び審尋において陳述がなされ、その後上申書(請求人平成13年5月14日付、被請求人平成13年5月15日付)が提出されたものである。
【2】訂正の適否について
(2-1)訂正の要旨
訂正請求書による訂正事項の内容は、以下のとおりである
「特許請求の範囲の請求項1の記載「キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化したことを特徴とする照光式キートップの構造」を『キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設され、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化したことを特徴とする照光式キートップの構造』と訂正する。
これに伴ない、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を取るため、特許掲載公報第2頁左欄第33乃至38行の記載「キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化してなり」を明りょうでない記載の釈明を目的として、『キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設され、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化してなり』と訂正する。」
(2-2)判断
特許請求の範囲の請求項1についての訂正事項は、特許請求の範囲の減縮を目的とし、また詳細な説明の欄についての訂正事項は、前記請求項1の訂正に対応した明りょうでない記載の釈明に相当する。そして、この訂正内容は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
したがって、前記訂正は、特許法第134条第2項ただし書き及び同条第5項で準用する第126条第2項の規定に適合するから、当該訂正を認める。
【3】本件特許発明
訂正請求に係る本件特許請求の範囲の請求項1乃至2に係る発明は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配置され、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化したことを特徴とする照光式キートップの構造。
【請求項2】前記キートップの裏面から文字部のみ光が透過するように表示文字等を印刷し、且つ前記キーシートの前記キートップとの接着面以外の部分を遮光処理したことを特徴とする請求項1記載の照光式キートップの構造。」
【4】審判請求人の主張
(4-1)無効とすべき理由の概要
本件審判請求人は、以下のような証拠方法を提出するとともに、本件特許の請求項1及び2に係る発明についての特許を無効とすべき理由について、概要以下のとおり主張している。
「本件特許の請求項1及び2に係る特許発明は、本件特許出願の日前の他の特許出願であって本件特許出願後に出願公開されたものの願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された甲第1号証(特開平5-83347号公報)に係る発明と同一であるので、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであり、これらの特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。」
証拠方法
・甲第1号証;特願平3-268505号(特開平5-83347号公報)
・甲第2号証;実願昭63-72154号(実開平1-174820号)マイクロフィルム
・甲第3号証;実願昭61-127215号(実開昭63-33520号)マイクロフィルム
・甲第4号証;実願昭54-170317号(実開昭56-86723号)マイクロフィルム
・甲第5号証;実願昭58-40703号(実開昭59-148018号)マイクロフィルム
・甲第6号証;実願昭59-192861号(実開昭61-109024号)マイクロフィルム
(4-2)具体的理由の要点
本件審判請求人は、審判請求書等において、具体的理由を概要以下のとおり主張している。
(4-2-1)審判請求書において
(i)「請求項1に係る特許発明と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者はその構成要件を全く同一にするものであり、表現上、わずかに相違するとするならば、請求項1に係る特許発明では「キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、」と表現しているが、甲第1号証では「作動部は非作動部と一体に透光性の軟質ゴム又は軟質樹脂の材料で形成する」と表現している。
しかし、本件特許の発明の詳細な説明中の従来技術及び実施例では「透光性のシリコンゴム成形品からなるキーシート」と記載されており、甲第1号証の実施例では「図1において、1は非作動部1aと作動部1bを透明なシリコンゴムなどの軟質ゴム又は軟質樹脂の透光性の材料で一体に形成したパッドである。」(0008参照)と記載している。要は、請求項1に係る特許発明ではキーシートといっているが、キーシートをパッドといっても両者はいずれもシリコンゴムキーバッドを意味する点で一致し、両者において実質上の相違はない。」(審判請求書第5頁第14〜27行)
(ii)「次に請求項2に係る特許発明と、甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者はその構成要件が全く同一である。
すなわち、請求項2の構成要件である (ホ)前記キートップの裏面から文字部のみ光が透過するように表示文字等を印刷する点、(ヘ)且つ前記キーシートの前記キートップとの接着面以外の部分を遮光処理する点はいずれも甲第1号証に開示されている。」(同書第6頁第12〜17行)
(4-2-2)答弁書に対する弁駁書(「訂正請求書に対する弁駁書」も概略同旨であり、以下、単に「弁駁書」という。)において
(i)「被請求人が解決しようとする発明の課題がキートップの構造にあることは明白であり、その解決手段もキートップとキーシートを接着等により一体化することにあり、正に甲第1号証の特許発明と同一の構造に他ならない。
照光式キーにおいて、導光板を採用することは本出願前から普通に行われている技術で、光源をキートップの真下から外れた位置に配置することも極めて普通に行っていることであり、現に被請求人もその従来技術及び図面(図2)中で紹介している通りである。ちなみに、照光式キーにおいて、導光板を採用すること、及び光源をキートップの真下から外れた位置に配置することも本件特許出願前から普通に行われている技術であることを示す証拠として、甲第3号証(実開昭63-33520号公報)、甲第4号証(実開昭56-86723号公報)、甲第5号証(実開昭59-148018号公報)及び甲第6号証(実開昭61-109024号公報)を提出します。」(弁駁書第3頁第13〜25行)
(ii)「したがって、本件請求項1において、「前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設され、」なる構成要件を付加したとしても、この付加した構成要件は本件明細書の「従来技術」記載に徴すれば「…………従って光源(LED)16から発生られた光は、透明プラスチック等で成形された導光板14、キーシート22、キートップ21の順に透過し、キートップ21の表面においては文字部のみ光って見えることに成り、文字照光式のプラスチック製キートップが得られる。」と記載がされていることからも判るように、従来から光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設されていたものであり、何ら新しいことではない。」(弁駁書第3頁第26行〜第4頁第7行、同じく陳述要領書第5頁第9〜20行及び上申書第12頁第3〜14行)
(iii)「従って、導光板及び光源の配置を本件請求項1に付加したからといって、この付加による特有の効果は生じないものである以上、本件特許発明である請求項1及び2の訂正は全くの無用の限定に過ぎず、甲第1号証の特許発明と形式上の同一を免れんがために単に訂正したに過ぎない全くの詭弁に過ぎず、甲第1号証の特許発明と本件発明に係る請求項1及び2は実質同一である。」(同弁駁書第4頁第21〜25行)
(4-2-3)口頭審理、審尋及び上申書において
(i)「携帯電話用の照光式キーは照光のタイミングがいく通りかありますが、代表的な例はいずれかのキー(テンキーおよび機能キー)を押すと、内部の光源が光を発する構造であり、その他に外部から電話がかかってきたときにも各キートップが照射する構造もあります。しかしながら、携帯電話で電話するときにいずれかのキーを押せば各キートップに表示されている文字、記号等を明瞭に識別することができる照射構造であることは照光式キーの性格上、当然のことであります。
甲第1号証の発明では照光の方法、手段はいずれか一つに限定されるものではなく、いずれの照光の方法、手段であっても適用されるものであります。」(陳述要領書第3頁第10〜19行)
(ii)「被請求人が解決しようとする発明の課題は平成13年1月26日付けの訂正請求書に対する弁駁書で述べているように、「キートップの構造」にあることは明白であり、決して、参考文献にも示されているように従来から周知慣用の技術である光源の位置や導光板を設けることに特徴を有するものではなく、その解決手段も「キートップとキーシートを接着等により一体化すること」にあり、正に甲第1号証の特許発明と同一の構造に他ならない。」(上申書第11頁第14〜20行)
【5】被請求人の主張
(5-1)答弁の概要
被請求人(特許権者)は、訂正請求書により特許請求の範囲を減縮するとともに、答弁書において概要以下のとおり答弁している。
「本件発明は、甲第1号証記載の発明とはその構成要件を同一にするとの請求人の主張は全く根拠のないものであるから、本件特許に無効の理由はない。」
(5-2)具体的理由の要点
被請求人(特許権者)は、答弁書等において、具体的理由を概要以下のとおり主張している。
(5-2-1)答弁書において
(i)「甲第1号証には、キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押すことによって内部の光源が光を発する点、およびキートップの真下からずれた位置にある光源からの光が導光板を介してキートップを透過する点の開示がない。すなわち、甲第1号証には、わずかに照光式キーである点、および光源から放射された光がキーシートを透過して抜き文字印刷された文字を浮かび上がらせる点が開示されているに過ぎない。このことは、甲第1号証の図1乃至3に光源が記載されていないことからも明らかである。
これに対して、本件発明では、光源は前記キートップの真下から外れた位置であって前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設されており、光源周辺の構造をもその特徴としている。したがって、甲第1号証には、本件発明の特徴とする要件「キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップ」および「前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設され」の開示はない。
したがって、甲第1号証に記載された発明は、「キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップ」および「前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設され」を有しておらず、本件発明とはその構成が同一ではない。」(答弁書第3頁第8〜27行)
(5-2-2)口頭審尋及び上申書において
(i)「光源、導光板そのものについて周知であったとしても、甲第1号証には、光源をキートップの真下から外れた位置であって、光源からの光が導光板を経由してキートップを照射するように配置することを採用することの可否について、何ら開示されておりません。」(上申書第3頁第28行〜第4頁第2行)
【6】当審の判断
(6-1)本件特許発明
本件特許発明は、前記【3】のとおり訂正された特許請求の範囲の請求項1乃至2に記載されたとおりのものである。
(6-2)証拠方法
(6-2-1)甲第1号証(特願平3-268505号[特開平5-83347号公報])について
前記甲第1号証(特願平3-268505号[特開平5-83347号公報])には、その発明と実施例及び図面に係わる記載を参酌すると、以下のとおりの記載が認められる。
(i)「【請求項1】透光性硬質樹脂で形成したキートップの裏面に、数字、記号等の抜き文字印刷層を形成し、該抜き文字印刷層の裏面に有色透光性印刷層を形成し、該有色透光性印刷層の裏面に透光性接着剤を介して透光性の軟質ゴム又は軟質樹脂の作動部上面に接着し、該作動部は、非作動部と一体に前記透光性の材料で形成し、作動部上面を除く残余の作動部と非作動部の各表面に非透光性の被覆層を形成したことを特徴とする照光式キー。
【請求項2】非作動部と連接する作動部の一部を構成するスカート部及び該スカート部の上部に連接する環状保持部とを非透光性の軟質ゴム又は軟質樹脂で形成するとともに、該環状保持部の内側に透光性の可動ブロック体を形成したことを特徴とする請求項1記載の照光式キー。
【請求項3】非作動部と連接する作動部の一部を構成するスカート部及び該スカート部の上部に連接する環状保持部とを非透光性の軟質ゴム又は軟質樹脂で形成するとともに、該環状保持部の下部に透光性の可動ブロック体を形成し、かつキートップの裏面と環状保持部の内周面と可動ブロック体の上面とで囲繞した光拡散空間部を形成したことを特徴とする請求項1記載の照光式キー。」(特許請求の範囲)
(ii)「【産業上の利用分野】本発明は携帯電話や自動車電話等の各種移動通信用キーあるいはその他の各種端末キーとして夜間や暗い場所等において使用するときに便利なコンパクト型の照光式キーに関する。」(段落番号【0001】)
(iii)「【作用】照光用の光源から放射された光は透光性の材料で形成した作動部および非作動部を透過するが被覆層に遮断されてその一部が反射する。作動部を透過した光のうちその上面に達した光は、接着剤層を透過し、さらに有色透光性印刷層を通過時に所定の有色光に着色され、その着色された光が抜き文字印刷層の抜き文字部分のみを透過し、透光性硬質樹脂で形成したキートップを透過して目には着色された文字が浮かび上がる。作動部上面を除く残余の作動部と非作動部の各表面には非透光性の被覆層で被覆されているために外部に光が漏れない。
また、透光性の軟質ゴム又は軟質樹脂で形成された作動部上面と透光性硬質樹脂で形成したキートップとは透光性接着剤で接着しているために、キーの叩打時にずれることがなく確実にオン・オフ作動し、フレームも不要となり薄型のコンパクトな設計が可能となる。」(段落番号【0005】)
(iv)「【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基いて説明する。図1は本発明の一実施例を示すキーの拡大断面図である。図1において、1は非作動部1aと作動部1bを透明なシリコンゴムなどの軟質ゴム又は軟質樹脂の透光性の材料で一体に形成したパッドである。作動部1bは本例では上部が上面平坦状に膨出した膨出部1cと下部が下方に突出した突出部1dにて形成されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、後述する如く、非作動部1aの側面の上部もしくは途中部分または下部から上方に向けて膨出する薄肉のスカート部と該スカート部の上部に連接するキートップ部とにより形成してもよい。また、作動部1bの膨出部1cの平坦状上面1eを除く残余の作動部1bと非作動部1aの各表面に非透光性の被覆層2を形成する。該被覆層2の形成により外部への光の漏洩が防止される。3は透明材等の透光性硬質樹脂で形成したキートップで、指により直接叩打される部分である。このキートップ3の裏面には、数字、記号等の抜き文字印刷層4を形成する。したがって、抜き文字印刷層4の抜き文字部分4aのみに光が透過するようになり、その他の印刷部分では光が透過せず、遮蔽される。5は抜き文字印刷層4の裏面に形成した有色透光性印刷層で、抜き文字部分4aが所定の色に写し出されるようにするものである。6は有色透光性印刷層5の裏面と、透光性の材料で形成した軟質ゴム又は軟質樹脂の作動部1bの膨出部1cの平坦状上面1eとを接着する透光性接着剤である。このように透光性硬質樹脂で形成したキートップ3をこれと異種材料の軟質ゴム又は軟質樹脂の透光性の材料で形成した作動部上面1eに接着することによりキートップ3の叩打時に該キートップ3裏面と作動部1bの膨出部1cの平坦状上面1eとの間にずれがなく確実にオン・オフ動作が行われる。また、キートップ3を保持するためのフレームも不要となり全体としてコンパクトな設計が可能となる。そして接着剤は透光性のものを使用しているために、この接着剤により照光用の光源からの光が遮られることがなく、キートップ側に着色された文字等の光が送られる。また本実施例で使用する透光性接着剤とは、軟質ゴム又は軟質樹脂と化学的に活性化する下地処理剤を単独使用する場合を意味する他、該下地処理剤と接着剤を併用して使用する場合、あるいは接着剤を単独使用する場合のいずれの場合も含まれる。」(段落番号【0008】)
(v)「【発明の効果】本発明は上記の説明から判るように、透光性硬質樹脂で形成したキートップの裏面に、数字、記号等の抜き文字印刷層を形成し、該抜き文字印刷層の裏面に有色透光性印刷層を形成し、該有色透光性印刷層の裏面に透光性接着剤を介して透光性の軟質ゴム又は軟質樹脂の作動部上面に接着し、該作動部は、非作動部と一体に前記透光性の材料で形成し、作動部上面を除く残余の作動部と非作動部の各表面に非透光性の被覆層を形成したので、キーを叩打するときにキートップ部分が作動部の上面とずれたりすることなく確実にオン・オフ作動し、フレームを要することなくコンパクトな組立ができる。しかもキートップ部分に照光用の穴をあけることなくキートップに表示される文字、記号等のみを均一に照射して外部に光が漏れることがなく効率的な照射が可能となり、暗いところ等でも明瞭に文字等を識別できる。」(段落番号【0011】)
(vi)「また、非作動部と連接する作動部の一部を構成するスカート部及び該スカート部の上部に連接する環状保持部とを非透光性の軟質ゴム又は軟質樹脂で形成した場合、光源から放射された光は環状保持部の内側に形成した透光性の可動ブロック体部分のみを透過し、ここで光の均一性が得られるとともに光の減衰性が少なく明るくなり、構造的に強度の高い構造となり、かつ所定の有色光に着色された光が抜き文字印刷層の抜き文字部分のみを透過し、透光性硬質樹脂で形成したキートップを透過して目には着色された文字が浮かび上がることとなる。さらに、非作動部と、これに連接する作動部の一部を構成するスカート部及び該スカート部の上部に連接する環状保持部とは非透光性の軟質ゴム又は軟質樹脂で形成されているため、これらの部分から光が外部に漏れることがなく、簡単な構造で遮蔽できる。」(段落番号【0012】)
(6-2-2)周知・慣用技術について
本件特許発明の出願時における周知・慣用技術として、以下のような技術的事項が認められる。
(i)実願昭63-72154号(実開平1-174820号)マイクロフィルム(甲第2号証)は「自照式パネルスイッチ構造」であって、その第1図等を参酌すると、以下の記載が認められる。
「文字(1c)は黒色、地の部分(1d)は白色半透明……」「キートップの表示を裏面に印刷し、地の部分に半透明色を印刷した」「発光ダイオード(4a)をキートップの真下から外れた位置であって、前記キートップを照射するように配置する」
(ii)実願昭61-127215号(実開昭63-33520号)マイクロフィルム(甲第3号証)は「キーボードスイッチ」であって、その第1図等を参酌すると、以下の記載が認められる。
「光源(7)をキートップの真下から外れた位置であって、前記光源(7)からの光が導光体(8)(導光板)を経由して前記キートップを照射するように配置する」
(iii)実願昭54-170317号(実開昭56-86723号)マイクロフィルム(甲第4号証)は「暗所用キーボード装置」であって、その第1図等を参酌すると、以下の記載が認められる。
「光源(8)をキートップの真下から外れた位置であって、前記光源(8)からの光が透明枠構造体(9)による光導路(導光板)を経由して前記キートップを照射するように配置する」
(iv)実願昭58-40703号(実開昭59-148018号)マイクロフィルム(甲第5号証)は「押釦スイッチ」であって、その第2図等を参酌すると、以下の記載が認められる。
「光源(24)をキートップの真下から外れた位置であって、前記光源(24)からの光が導光板(13)を経由して前記キートップを照射するように配置する」
(v)実願昭59-192861号(実開昭61-109024号)マイクロフィルム(甲第6号証)は「押釦スイッチ」であって、その第1図等を参酌すると、以下の記載が認められる。
「光源(48)をキートップの真下から外れた位置であって、前記光源(48)からの光が導光板(33)を経由して前記キートップを照射するように配置する」
(6-3)対比・判断
(6-3-1)請求項1に係る発明について
訂正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)と甲第1号証である前記特願平3-268505号の出願公開明細書及び図面(以下、図面を含め単に「先願明細書」という。)に記載された発明(以下、「先願発明」という。)とを対比する。
先願明細書及び図面第1〜3図とこれに係わる記載を参酌すると、先願明細書における照光式キーは、その「可動接点(7)と固定接点(8)及びスペーサ(9)」がキートップ(3)の押下によるキースイッチを構成するものであって、携帯電話や自動車電話等の「照光式キー」である旨明記(段落番号【0001】)されており、さらに先願明細書の記載として、「パッド(1)」は「非作動部1aと作動部1bを透明なシリコンゴムなどの軟質ゴム又は軟質樹脂の透光性の材料で一体に形成した」(段落番号【0008】)ものであって、本願発明における「キーシート」に相当するものであるから、先願明細書には本願発明における「キートップの押下によりキーシートを介して操作されるキースイッチの接点部を有し、内部の光源が光を発する照光式キートップ」が開示されているものと認められる。
そして、先願明細書における「キートップ(3)」は「透光性硬質樹脂」で形成されており(前記段落番号【0008】)、また前記したように先願明細書における「パッド(1)の作動部(1b)」は本願発明における「キーシート」に相当し、「6は有色透光性印刷層5の裏面と、透光性の材料で形成した軟質ゴム又は軟質樹脂の作動部1bの膨出部1cの平坦状上面1eとを接着する透光性接着剤である。このように透光性硬質樹脂で形成したキートップ3をこれと異種材料の軟質ゴム又は軟質樹脂の透光性の材料で形成した作動部上面1eに接着することによりキートップ3の叩打時に該キートップ3裏面と作動部1bの膨出部1cの平坦状上面1eとの間にずれがなく確実にオン・オフ動作が行われる。」(前記段落番号【0008】)との記載によれば、先願明細書には「キートップ(3)は光透過性を有するプラスチックからなり、また作動部(1b)(キーシート)は光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップ(3)と前記作動部(1b)(キーシート)を透光性接着剤(6)により接着して一体化した」照光式キーの構成が開示されている。
さらに、先願明細書には「照光用の光源から放射された光は透光性の材料で形成した作動部および非作動部を透過するが被覆層に遮断されてその一部が反射する。作動部を透過した光のうちその上面に達した光は、接着剤層を透過し」(前記段落番号【0005】)との記載が認められ、また「非作動部と連接する作動部の一部を構成するスカート部及び該スカート部の上部に連接する環状保持部とを非透光性の軟質ゴム又は軟質樹脂で形成した場合、光源から放射された光は環状保持部の内側に形成した透光性の可動ブロック体部分のみを透過し、ここで光の均一性が得られるとともに光の減衰性が少なく明るくなり、構造的に強度の高い構造となり、かつ所定の有色光に着色された光が抜き文字印刷層の抜き文字部分のみを透過し、透光性硬質樹脂で形成したキートップを透過して目には着色された文字が浮かび上がることとなる。」(前記段落番号【0012】)旨の記載も認められる。しかしながら、この先願明細書には、照光式キートップが「キースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する」ものであること、「光源は、前記キートップの真下から外れた位置」であること、及び「光源からの光が導光板を経由してキートップを照射するように配置」されることに係る構成が明示されているものとは認められない。
したがって、本願発明と先願発明とは、以下のとおりの一致点及び相違点を有するものと認められる。
(一致点)
「キートップの押下によりキーシートを介して操作されるキースイッチの接点部を有し、内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化した照光式キートップの構造。」
(相違点)
(i)本願発明にあっては、キースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップであるのに対し、先願発明にあっては、この構成が明示されていない点。
(ii)本願発明にあっては、光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配置されるものであるに対し、先願発明にあっては、光源からの光が前記キートップ(3)を照射するものではあるが、その具体的構成が明示されていない点。
(検討)
請求人は、この相違点(i)(ii)についても先願明細書(甲第1号証)に実質的に開示されている旨主張している。そこで、前記相違点(i)(ii)について、これが単なる相違点であって実質的な相違点といえないものであるか、すなわち先願明細書(甲第1号証)に実質的に開示されているものといえるか否かについて、以下検討する。
本願発明において、前記相違点(i)(ii)に係わる個々の構成自体、すなわち照光式キートップが「キースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する」こと、「光源は、前記キートップの真下から外れた位置」であること、及び「光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配置」されることは、被請求人(特許権者)も自認するように、また前記甲第2乃至6号証に開示されているように、いずれも従来より周知の技術的事項であると認められる。そして、前記相違点(i)については、この「キースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する」構成は「照光式キー」の有する機能、すなわち照光式キースイッチの操作時や使用催促時(例えば、被請求人が主張(審尋調書)するように、携帯電話機にあっては電源投入時や着信時の発光)などの種々の態様において通常「内部の光源が光を発する」こと、及びこのような照光式キーにあっては前記した「可動接点(7)と固定接点(8)」によるスイッチの押下により光源が光るものであることが通常の使用形態であることからみて、当業者に周知・慣用の技術的事項乃至自明の事項として先願明細書(甲第1号証)に実質的に開示されているものと認められる。
しかしながら、前記相違点(ii)に係わる「光源は、前記キートップの真下から外れた位置」であって、「光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射する」構成は、本願発明の詳細な説明の欄の記載に基づくと「光源16から発せられた光は、透明プラスチックなどで形成された導光板24、キーシート12、キートップ11の順に透過」(段落番号【0013】)する経路を経由して前記キートップを照射するものであり、その技術的意義は、キートップの構成である「前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化した」ことにおけると同様に「キートップの形状が単純化でき、薄型化及び低コスト化が可能となる。」(段落番号【0015】)というものである。他方、先願明細書においては、摘記した前記段落番号【0005】に「照光用の光源から放射された光は透光性の材料で形成した作動部および非作動部を透過するが被覆層に遮断されてその一部が反射する。作動部を透過した光のうちその上面に達した光は、接着剤層を透過し、さらに有色透光性印刷層を通過時に所定の有色光に着色され、その着色された光が抜き文字印刷層の抜き文字部分のみを透過し、透光性硬質樹脂で形成したキートップを透過して目には着色された文字が浮かび上がる。」旨記載されているものの、この記載は単に照光式キースイッチのキートップに所望の光が透過することを記載するにとどまるものであって、光源からの光を照射光としてキートップ(3)に積極的に導くことを開示乃至示唆しているものとは認められない。そして、この積極的に導くための具体的な導光手段も何ら示唆されておらず、また先願明細書のその余の記載においても、本願発明における具体的な導光手段である光源と導光板との配置に係わる関連構成が、当業者に自明の技術的事項として実質的に開示されているものとも認められない。
したがって、本願発明と先願発明との相違点とした前記相違点(ii)に係る構成は実質的な相違点といえるものであり、当該相違点(ii)に係る構成は、先願明細書において当業者に自明の技術的事項として実質的に開示されているとはいえないから、本願発明と先願発明とは実質的に同一の発明であるとは認められない。
(6-3-2)請求項2に係る発明について
特許請求の範囲の請求項2に係る発明は、前記請求項1に係る発明を引用するものであって、さらにその構成として「前記キートップの裏面から文字部のみ光が透過するように表示文字等を印刷し、且つ前記キーシートの前記キートップとの接着面以外の部分を遮光処理した」点を付加するものである。
したがって、請求項2に係る発明と先願発明とを対比すると、両者は、少なくとも前記請求項1に係る発明におけると同様に相違点(i)(ii)を有するものであり、この相違点(ii)については、前記したと同旨の理由により当該請求項2に係る発明と先願発明とは実質的に同一の発明であるとは認められない。
(6-4)請求人の主張について
請求人は、弁駁書及び上申書において「照光式キーにおいて、導光板を採用することは本出願前から普通に行われている技術で、光源をキートップの真下から外れた位置に配置することも極めて普通に行っていることであり、現に被請求人もその従来技術及び図面(図2)中で紹介している通りである。ちなみに、照光式キーにおいて、導光板を採用すること、及び光源をキートップの真下から外れた位置に配置することも本件特許出願前から普通に行われている技術である」(弁駁書第3頁第17〜22行)旨主張するとともに、「被請求人が解決しようとする発明の課題は……、「キートップの構造」にあることは明白であり、決して、参考文献にも示されているように従来から周知慣用の技術である光源の位置や導光板を設けることに特徴を有するものではなく、その解決手段も「キートップとキーシートを接着等により一体化すること」にあり、正に甲第1号証の特許発明と同一の構造に他ならない。」(上申書第11頁第14〜20行)としている。
しかしながら、前記したように、甲第1号証(先願明細書)には「光源は、キートップの真下から外れた位置」及び「光源からの光が導光板を経由してキートップを照射するように配置される」のように構成することは何ら明記されておらず、光源とこれから発する光の導光板について、甲第1号証(先願明細書)に開示されている技術的事項は、内部に光源を有することの示唆、照光式キーであることの明記が認められるにとどまるものである。そして、この「光源は、キートップの真下から外れた位置」及び「光源からの光が導光板を経由してキートップを照射するように配置される」のように構成する個々の技術的事項自体は、請求人が主張するように周知の技術的事項であるものの、キートップとキーシートの接着一体化構造とこれらを組み合わせることによりさらに薄型化等を図ることに係わる技術的意義についての記載乃至示唆は、甲第1号証(先願明細書)から認めることができない。
なお、請求人は、これらの技術的事項の開示は甲第1号証(先願明細書)の「照光式キー」及び図面の記載から読み取ることができる旨主張(審尋調書)するが、これらの「照光式キー」及び図面の記載からは、前記したように「キースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する」ことの開示があるものと認めることができるにとどまるものであって、「キートップの接着一体化構造」と「光源と導光板との関連配置」との組み合わせに係わる技術的意義までをも見出すことができず、さらにはこれらの技術的事項の開示があることまでも読み取ることができるものとは認められない。
したがって、請求人の当該主張は採用することができない。
(6-5)まとめ
以上のとおりであって、本件特許請求の範囲の請求項1乃至2に係る発明は、本件特許出願当時の周知・慣用技術を参酌しても、本件特許出願の日前の特許出願であって本件特許出願後に出願公開された特願平3-268505号(特開平5-83347号公報、甲第1号証)の願書に最初に添付された明細書又は図面に記載された発明と同一であるとは認められないから、本件特許請求の範囲の請求項1乃至2に係る発明についての特許は、特許法第29条の2の規定に違反してなされたものとすることはできない。
【7】まとめ
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許請求の範囲の請求項1乃至2に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
照光式キートップの構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設され、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化したことを特徴とする照光式キートップの構造。
【請求項2】 前記キートップの裏面から文字部のみ光が透過するように表示文字等を印刷し、且つ前記キーシートの前記キートップとの接着面以外の部分を遮光処理したことを特徴とする請求項1記載の照光式キートップの構造。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子機器等に使用される照光式キートップにおける操作ボタン部の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来この種の操作ボタンの構造において、文字照光方式のプラスチック製キートップにする場合の構造を図2に示す。この構造はキートップ21,キーシート22,フロントカバー23,導光板14,キースイッチ15,光源(LED)16およびサポート板17とから構成される。キートップ21は裏面に凹部21aと側面にフランジ部21bを有する形状になっており、キーシート22は表面および裏面にそれぞれ凸部22a,22bを有する形状となっている。キートップ21の裏面凹部21aとキーシート22の表面凸部22aが嵌合し、かつキートップ21のフランジ部21bがフロントカバー23の裏面に突き当たり、かつキートップ21の裏面凸部22bがキースイッチ15の接点部を押すことになり、キートップ21は位置決めされて脱落しない構造となっている。
【0003】さらに、キートップ21に表示される文字部のみが照明される方式、すなわち文字照光方式にするために、キートップ21をプラスチックの2色成形等で成形することにより、文字部のみ光が透過することになる。キーシート22はシリコンゴム成形することにより光透過性となっている。従って光源(LED)16から発生られた光は、透明プラスチック等で成形された導光板14,キーシート22,キートップ21の順に透過し、キートップ21の表面においては文字部のみ光って見えることになり、文字照光式のプラスチック製キートップが得られる。なお、フロントカバー23は遮光性の材料を用いている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のキートップ構造には、以下のごとき問題点がある。
【0005】(1)キートップの形状において、凹部やフランジ部等が必要であり、薄型化及び低コスト化が難しいこと。
【0006】(2)文字部のみ光を透過するプラスチック製キートップを成形する方法として、2色成形や転写成形を行うとコスト高となる。
【0007】(3)上記(2)の欠点を避けるために、表面を塗装や印刷した後にレーザ光線で文字部のみ剥ぎ取る工法も行なわれているが、表面からの処理であるため耐磨耗性が良くないこと及び文字部に使用できる色調の制約が多い等の欠点がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の照光式キートップの構造は、キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設され、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化してなり、また前記キートップの裏面から文字部のみ光が透過するように表示文字等を印刷し、且つ前記キーシートの前記キートップとの接着面以外の部分を遮光処理してもよい。
【0009】
【実施例】次に本発明について図面を参照して説明する。
【0010】図1は本発明の一実施例を示す断面図である。
【0011】本実施例は透光性のプラスチックからなるキートップ11,このキートップ11の直下にあり透光性のシリコンゴム成形品からなるキーシート12,遮光性の材料からなりキーシート12を押えつけるフロントカバー13,透明プラスチック等で成形された導光板14,キーシート12の下部に接するキースイッチ15,導光板14内に設けられた光源(LED)16およびこれらを搭載するサポート板17から構成されており、キートップ11を押下することによりキーシート12を介してキースイッチ15の接点部を押し、光源16が光を発するようになっている。ここでそれぞれ平面状をなすキートップ11の裏面と、キーシート12の表面の相対する面とを接着し、キートップ11とキーシート12を一体化する。しかる後に、下方からサポート板17、キースイッチ15、導光板14、キーシート12、キートップ11、フロントカバー13の順になるように順次重ね合わせることにより全体が構成される。キーシート12との接着により、キートップ11の形状を非常に単純化することができる。
【0012】さらに文字照光方式のキートップとする場合は、キートップ11を透光性のプラスチックで成形した後に、キートップ11の裏面に遮光色のインクで抜き文字印刷を施せば良い。また照光文字に色を付与したい場合は、その上から透光色のインクでべた印刷すれば良い。なおキーシート12は従来と同様に透光性のシリコンゴム成形品を用い、キートップ11との接着面以外の部分は塗装または印刷等の方法により遮光処理するものとする。
【0013】従って、光源16から発せられた光は、透明プラスチック等で成形さてた導光板24、キーシート12、キートップ11の順に透過し、キートップ11の表面においては文字部のみが光って見えることになり、文字照光式プラスチック製キートップが得られる。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、以下の様な効果が得られる。
【0015】(1)キートップの形状が単純化でき、薄型化及び低コスト化が可能となる。
【0016】(2)キートップの裏面に表示文字を印刷するため、文字消え等の耐磨耗性による不具合の心配がない。
【0017】(3)透光色であれば、透光文字色の色調は自由に選べる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】従来のキートップ構造の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
11,21 キートップ
12,22 キーシート
13,23 フロントカバー
14 導光板
15 キースイッチ
16 光源(LED)
17 サポート板
21a キートップ裏面凹部
21b キートップフランジ部
22a キーシート表面凸部
22b キーシート裏面凸部
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許請求の範囲の請求項1の記載「キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化したことを特徴とする照光式キートップの構造」を『キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設され、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化したことを特徴とする照光式キートップの構造』と訂正する。
これに伴ない、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を取るため、特許掲載公報第2頁左欄第33乃至38行の記載「キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化してなり」を明りょうでない記載の釈明を目的として、『キートップの押下によりキーシートを介してキースイッチの接点部を押し内部の光源が光を発する照光式キートップにおいて、前記光源は、前記キートップの真下から外れた位置であって、前記光源からの光が導光板を経由して前記キートップを照射するように配設され、前記キートップは光透過性を有するプラスチックからなり、また前記キーシートは光透過性を有する弾性体からなり、且つ前記キートップと前記キーシートを接着等により一体化してなり』と訂正する。
審理終結日 2001-06-29 
結審通知日 2001-07-05 
審決日 2001-07-17 
出願番号 特願平4-12726
審決分類 P 1 112・ 16- YA (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 植松 伸二  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 片岡 栄一
川嵜 健
登録日 1997-10-24 
登録番号 特許第2710181号(P2710181)
発明の名称 照光式キートップの構造  
代理人 河合 信明  
代理人 河合 信明  
代理人 福田 修一  
代理人 京本 直樹  
代理人 京本 直樹  
代理人 福田 修一  
代理人 今下 勝博  
代理人 鴇田 將  

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