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平成14行ケ565審決取消請求事件 判例 特許

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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正する G02B
審判 訂正 旧特126条1項1号 請求の範囲の減縮 訂正する G02B
審判 訂正 判示事項別分類コード:813 訂正する G02B
管理番号 1057449
審判番号 訂正2002-39004  
総通号数 30 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1988-03-25 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2002-01-08 
確定日 2002-02-26 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2677268号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2677268号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 【1】手続の経緯
本件審判は、平成14年1月8日付けで請求されたものであり、その請求の要旨は、昭和61年9月9日に特願昭61-212965号として特許出願され、平成9年7月25日に設定登録された、特許第2677268号に係る明細書及び図面(以下、「本件明細書」という。)を、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明を目的として、本件の請求書に添付した全文訂正明細書及び図面のとおり訂正することを求めるものである。

【2】訂正の要旨
請求人が求めている訂正は以下の訂正事項A-a〜訂正事項B-g(i)のとおりである。

訂正事項A-a:
本件明細書の特許請求の範囲第1項を、以下のとおり訂正する。
「1. 物体側より順に、正屈折力の第1群、負屈折力の第2群、及び正屈折力の第3群を有し、この第3群が前群及び後群の2群に分けられるとともに、短焦点距離端から長焦点距離端へのズーミングに際して、第1群及び第3群前群及び後群を各々像面側から物体側へ移動し、前記第1・第2群間、第2・第3群間及び前記第3群の前群・後群間の空気間隔を変化させることによりズーミングを行ない、かつ、前記第2群が物体側から順に、像側により強い曲率を有する第1負レンズ、第2負レンズ、第3正レンズ及び第4負レンズから構成されるとともに、前記第3群後群中のいずれかのレンズに非球面を有し、以下の条件を満足することを特徴とする超コンパクトな広角域を含む高変倍率ズームレンズ系:
但し、
fIII W:第3群の広角端での,焦点距離、
fW:全系の最短焦点距離、
fIIIB:第3群後群の焦点距離、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における第3群の全長をひいた量、
Co:非球面の基準となる球面の曲率、
N:非球面より物体側の屈折率、
N':非球面より像側の屈折率、
X:下の式で表わされる光軸からの高さYにおける光軸方向の変位量、
X=Xo+A4Y4+A6Y6+A8Y8+A10Y10+・・・・
Xo: 下の式で表される非球面の基準となる球面の形状、
Xo=CoY2/(1+(1-Co2Y2)1/2)、
A:非球面係数。」

訂正事項A-b:
本件明細書の特許請求の範囲第3項及び第4項を削除する。

訂正事項B-a:
本件明細書第6頁第3行(特許掲載公報第2頁第4欄第24行)の字句「第3群中の」を、「第3群後群中の」に訂正する。

訂正事項B-b:

訂正事項B-c:
本件明細書第6頁第10行(特許掲載公報第2頁第4欄第37行)「fW:全系の最短焦点距離、」と、第6頁第11行(特許掲載公報第2頁第4欄第38行)「Co:非球面の基準となる球面の曲率、」との間に、以下の字句を加入する。
「fIIIB:第3群後群の焦点距離、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における第3群の全長をひいた量、」

訂正事項B-d:
本件明細書第9頁第20行〜第10頁第7行(特許掲載公報第3頁第6欄4行〜13行)の
「なお、本発明に係わるズームレンズ系は以下の条件を満足することが望ましい。
但し、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における第3群の全長をひいた量である。」
を削除する。

訂正事項B-e:
本件明細書第10頁第18行〜第11頁第4行(特許掲載公報第3頁第6欄23行〜31行)の
「条件(3)に加えて、望ましくは以下の条件を満足することが望ましい。
但し、
fIIIB:第3群後群の焦点距離である。」
を削除する。

訂正事項B-f:
本件明細書第11頁第5行(特許掲載公報第3頁第6欄32行)の字句「この条件は、」を、「条件(4)は、」に訂正する。

訂正事項B-g(a):
本件明細書第16頁13行〜15行(特許掲載公報第4頁第8欄49行〜50行)「第1,3,5,7図はそれぞれ本発明の実施例1,2,3,4の最短焦点距離におけるレンズ構成図」を、「第1、3図はそれぞれ本発明の実施例1、2の最短焦点距離におけるレンズ構成図」に訂正する。

訂正事項B-g(b):
本件明細書第16頁18行〜19行(特許掲載公報第5頁第9欄3〜4行)「第2,4,6,8図は、それぞれ順に上記実施例の収差図」を、「第2、4図は、それぞれ順に上記実施例の収差図」に訂正する。

訂正事項B-g(c):
本件明細書第20頁〜第21頁(特許掲載公報第5頁最下行〜第6頁)、の「実施例2」の字句、及びその下の表を削除する。

訂正事項B-g(d):
本件明細書第22頁1行(特許掲載公報第6頁第11欄最下行)の「実施例3」の字句を、「実施例2」に訂正する。

訂正事項B-g(e):
本件明細書第24頁〜第25頁(特許掲載公報第7頁最下行〜算8頁35行)の「実施例4」の字句、及びその下の表を削除する。

訂正事項B-g(f):
本件明細書第26頁(特許掲載公報第8頁下部)の表1.の(|X|-|Xo|)/(Co(N'-N))の値から、Ex2の数値表、Ex4の数値表を削除し、Ex3の数値表の見出しを「Ex2」に訂正する(Exl〜Ex4は実施例1〜4を意味する)。

訂正事項B-g(g):
本件明細書第27頁2行〜3行(特許掲載公報第8頁第16欄44行〜45行)「第1,3,5,7図はそれぞれ本発明の実施例1,2,3,4の最短焦点距離におけるレンズ構成図」を、「第1、3図はそれぞれ本発明の実施例1、2の最短焦点距離におけるレンズ構成図」と訂正する。

訂正事項B-g(h):
本件明細書第27頁6行〜8行(特許掲載公報第8頁第16欄48行〜49行)「第2,4,6,8図は、それぞれ順に上記実施例の収差図」を、「第2、4図は、それぞれ順に上記実施例の収差図」と訂正する。

訂正事項B-g(i):
図面第3図、第4図、第7図、第8図を削除し、図面第5図の図番号を「第3図」に、図面第6図の図番号を「第4図」に訂正する(図面の内容には変更はない)。

【3】訂正の適否
《3-1》訂正の範囲、訂正の目的及び拡張・変更の有無
上記訂正事項A-a〜訂正事項B-g(i)の訂正は、本件明細書の記載事項からみて新規事項を含むものではないので、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、上記訂正事項A-a〜訂正事項A-bの訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、上記訂正事項B-a〜訂正事項B-g(i)の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
さらに、上記訂正事項A-a〜訂正事項B-g(i)の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとも認められない。
よって、本件の訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第126条第1項ただし書き及び同条第2項の規定に適合する。

《3-2》独立特許要件
《3-2-1》訂正後の発明
平成14年1月8日付けで提出された訂正明細書の特許請求の範囲第1項に記載された発明は、同訂正明細書の請求項1に記載されたとおりの以下のものと認められる。
「物体側より順に、正屈折力の第1群、負屈折力の第2群、及び正屈折力の第3群を有し、この第3群が前群及び後群の2群に分けられるとともに、短焦点距離端から長焦点距離端へのズーミングに際して、第1群及び第3群前群及び後群を各々像面側から物体側へ移動し、前記第1・第2群間、第2・第3群間及び前記第3群の前群・後群間の空気間隔を変化させることによりズーミングを行ない、かつ、前記第2群が物体側から順に、像側により強い曲率を有する第1負レンズ、第2負レンズ、第3正レンズ及び第4負レンズから構成されるとともに、前記第3群後群中のいずれかのレンズに非球面を有し、以下の条件を満足することを特徴とする超コンパクトな広角域を含む高変倍率ズームレンズ系:
但し、
fIII W:第3群の広角端での,焦点距離、
fW:全系の最短焦点距離、
fIIIB:第3群後群の焦点距離、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における第3群の全長をひいた量、
Co:非球面の基準となる球面の曲率、
N:非球面より物体側の屈折率、
N':非球面より像側の屈折率、
X:下の式で表わされる光軸からの高さYにおける光軸方向の変位量、
X=Xo+A4Y4+A6Y6+A8Y8+A10Y10+・・・・
Xo: 下の式で表される非球面の基準となる球面の形状、
Xo=CoY2/(1+(1-Co2Y2)1/2)、
A:非球面係数。」(以下、「本件発明」という。)
なお、請求項2は、本件発明の実施態様項である。

《3-2-2》2000-35492号無効審判事件において引用された刊行物の記載
甲第1号証:(特開昭57‐168209号公報)
(2頁左上欄2〜右上欄4行)
「本発明はズーム領域が広角から望遠までを含み、ズーム比が2.3倍を越えるスチルカメラ用としては高変倍率を有するズームレンズ系に関する。…本発明は、これらの欠点を克服し、高性能でコンパクトな広角域を含む高変倍比ズームレンズ系を提供することを目的とするものである。」と記載されている。
2頁右上欄6行〜左下欄下から6行には、「本発明にかかるズームレンズ系は、物体側より順に正屈折力の第1群(I)、負屈折力の第2群(II)で始まるズームレンズ系において、第1群(I)は2枚の正レンズと1枚の負レンズより成り、第2群(II)は、物体側より順に負屈折力の第1成分(II-1)、正屈折力の第2成分(II-2)、負屈折力の第3成分(II-3)より構成し、第1成分(II-1)は少なくとも2枚の負レンズから成り第2成分(II-2)は少なくとも1枚の物体側に強い曲率を持つ正レンズより成り、第3成分(II-3)は少なくとも1枚の物体側に強い曲率を持つ負レンズより成るとともに、全系の最短焦点距離が、実画面の対角線長より短かく、かつ下記の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ系である。
但し、
fW:全系の最短焦点距離、
fI II:最短焦点距離の状態で第1群と第2群の合成焦点距離、
fII:第2群の焦点距離
fII-1:第2群第1成分の焦点距離、
rII-1: 第2群第1成分の最像側面の曲率半径、
rII-2: 第2群第2成分の最物体側面の曲率半径。」と記載されている。
(第1、3、5、7、9、11、13図)
それぞれ実施例1、2、3、4、5、6、7の最短焦点距離におけるレンズ構成、及び最短焦点距離から最長焦点距離側へのレンズ群の移動形式が図示されている。
(4〜5頁)
(甲第1号証に記載された発明)
そして、甲第1号証の実施例1、2、3、5、6のレンズ構成データ及びそれらの構成図である第1、3、5、9、11図からみて、実施例1、2、3、5、6のズームレンズ系は、上記第2群の像側に第3群としてIII-1とIII-2とを備える。甲第1号証の実施例1、2、3、5、6のレンズ構成データ及びそれらの構成図である第1、3、5、9、11図からみて、負屈折力の第1成分(II-1)は像側により強い曲率を有することが明らかである。
また、第1、3、5、9、11図に実線で示される最短焦点距離側から最長焦点距離側へのレンズ群移動形式、および最短焦点距離、中間焦点距離、最長焦点距離の状態での実施例1、2、3、5、6のレンズ構成データから、上記ズームレンズ系は短焦点距離端から長焦点距離端へのズーミングに際して、第1群(I)、第3群のIII-1及び第3群のIII-2を像面側から物体側へ移動し、第1・第2群間,第2・第3群間及び第3群のIII-1・III-2間の空気間隔を変化させることによりズーミングを行なっていることが明らかである。
してみると、甲第1号証の実施例1、2、3、5、6として、
なる発明が記載されている。

甲第2号証:(特開昭60‐178421号公報)
(特許請求の範囲第1項)
「物体側より順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2 レンズ群、正の屈折力の第3 レンズ群そして第4レンズ群の4つのレンズ群を有したズームレンズにおいて、前記第1レンズ群及び第3 レンズ群を物体側へ移動させ、前記第2 レンズ群と第4 レンズ群を移動若しくは固定させることによって広角側から望遠側へズーミンクを行い、前記第3レンズ群中に少なくとも1つの正の屈折力のレンズ3Aを有するようにし、前記レンズ3Aの少なくとも1つのレンズ面を非球面としたことを特徴とするコンパクトなズームレンズ。」
(特許請求の範囲第2項)
「前記レンズ3Aのレンズ面の非球面をレンズの周辺部にいくに従い正の屈折力が弱まるような形状としたことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のコンパクトなズームレンズ。」
(特許請求の範囲第4項)
「前記第4レンズ群を物体側に凸面を向けた少なくとも1つの正屈折力のレンズ面を有するようにしたことを特徴とする特許請求の範囲第3項記載のコンパクトなズームレンズ。」
(2頁左上欄8行〜左下欄1行)
「最近、小型軽量の高性能のコンパクトなズームレンズが写真用カメラ、ビデオカメラ、TVカメラ等に要求されている。ズームレンズのレンズ全長及びレンズ外形を小さく構成し高性能化を図るためには、各レンズ群の屈折力を強くすると共に屈折力分担を適正に決めなければならない。この場合一般に屈折力を強くすると諸収差の発生量が増大し、ズーミングによる収差変動を除去することが困難となる。ズームレンズのコンパクト化を図る別の方法としてズーミングに際して多数のレンズ群を移動させてズーミングを行い収差変動を押さえる方法がある。この方法の一例として物体側から順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、そして正の屈折力の第4レンズ群で構成し、ズーミングに際して前記4つのレンズ群を移動させるとともに前記第3レンズ群から射出する軸上光束がほぼ平行となる屈折力配分としたズームレンズが特開昭57-168209号公報、特開昭57-169716号公報等で提案されている。これらで提案されているズームレンズは第3レンズ群から射出される軸上光束がほぼ平行である為ズームレンズのコンパクト化には限界があった。そこで前記ズームレンズの第3レンズ群から射出する光束を収斂光束とすることによってさらにレンズ全長を短くする方法があるが、この方法はズーミングによる収差変動の除去が難しく、高性能なズームレンズを達成するのが困難であった。
本発明は高性能なコンパクトなズームレンズの提供を目的とし、非球面レンズを効果的に用いることによって本発明の目的を良好に達成している。」
(2頁左下欄2〜14行)
「本発明の目的を達成する為のコンパクトなズームレンズの主たる特徴は物体側より順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2 レンズ群、正の屈折力の第3 レンズ群そして第4レンズ群の4つのレンズ群を有したズームレンズにおいて、前記第1レンズ群及び第3 レンズ群を物体側へ移動させ、前記第2 レンズ群と第4 レンズ群を移動若しくは固定させることによって広角側から望遠側へズーミンクを行い、前記第3レンズ群は少なくとも1つの正の屈折力のレンズ3Aを有しており、前記レンズ3Aの少なくとも1つのレンズ面を非球面としたことである。」
(2頁右下欄18〜3頁左下欄12行)
「…非球面の形状として好ましくはレンズの周辺部にいくに従い正の屈折力が弱まるような形状とすることによって球面収差と非点収差を同時に補正している。すなわち、第3レンズ群の屈折力を強めることにより、球面収差が周辺部分でアンダーに、非点収差が軸外でアンダーとなるが、周辺部分で屈折力を弱める非球面とすることにより、球面週、非点収差ともにオーバー方向に補正可能としているのである。尚第3レンズ群中に負の屈折力のレンズがあり、このレンズ面にレンズ周辺部にいくに従い負の屈折力が強まる形状の非球面を施しても良いが、前述の如く正の屈折力のレンズに施した方が収差補正が容易となり好ましい。」
(4頁左下欄13行〜右下欄6行)
「尚本発明のズームレンズにおいてはズーミングに際して第2レンズ群と第4レンズ群を移動させても良いが第2レンズ群のみを移動させて第4レンズ群を固定させておいても良い。第4レンズ群を固定させればレンズ鏡筒が簡単となり好ましい。又本発明では第4レンズ群によって収差補正及びレンズ全長の短縮化を行っているが、第4レンズ群を除いて、3つのレンズ群で構成し、これらのレンズ群に各々収差補正を分担させることによっても同様に本発明の目的を達成することができる。後述する本発明の数値実施例では非球面を1面使用しているが、複数面に使用した場合には、より効果が高くなることは言うまでもない。」
(5頁〜6頁)
数値実施例1,2,3,4の短焦点距離、中間焦点距離、長焦点距離の状態でのレンズ構成データが示されている。
(添付された図面)
第1図,第2図,第3図には、数値実施例1,2,3のレンズ系の断面図が、また、第8図)には数値実施例4のレンズ系の断面図と移動の仕方が図示され、第4図,第5図,第6図には数値実施例1,2,3のレンズ系の収差図が示されている。

《3-2-3》対比
本件発明と甲第1号証に実施例1、2、3、5、6としてして記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、引用発明における
a「第1群(I)」、
b「第2群(II)」、
c「第3群のIII-1」、「第3群のIII-2」、
d第1成分(II-1)の「少なくとも2枚の負レンズ」、
e「正屈折力の第2成分(II-2)」及び
f「負屈折力の第3成分(II-3)」
は、本件発明における、
a「第1群」、
b「第2群」、
c「第3群前群」、「第3群後群」、
d第2群の「第1負レンズ」と第2群の「第2負レンズ」、
e第2群の「第3正レンズ」及び
f第2群の「第4負レンズ」
に相当する。

よって、両者は、
「物体側より順に、正屈折力の第1群,負屈折力の第2群,及び正屈折力の第3群を有し、この第3群が前群及び後群の2群に分けられるとともに、短焦点距離端から長焦点距離端へのズーミングに際して、第1群及び第3群前群及び後群を各々像面側から物体側へ移動し、前記第1・第2群間,第2・第3群間及び前記第3群の前群・後群間の空気間隔を変化させることによりズーミングを行ない、かつ、前記第2群が物体側から順に、像側により強い曲率を有する第1負レンズ,第2負レンズ,第3正レンズ及び第4負レンズから構成され以下の条件を満足することを特徴とするコンパクトな広角域を含む高変倍率ズームレンズ系:
但し、
fIII W:第3群の広角端での,焦点距離、
fW:全系の最短焦点距離
fIIIB:第3群後群の焦点距離、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における第3群の全長をひいた量」
の点で一致する。

そして、両者は、以下の点で相違する。
相違点1:
本件発明は超コンパクトと規定しているのに対して、引用発明はコンパクトと規定している点。
相違点2:
但し、
Co:非球面の基準となる球面の曲率、
N:非球面より物体側の屈折率、
N':非球面より像側の屈折率、
X:下の式で表わされる光軸からの高さYにおける光軸方向の変位量、
X=Xo+A4Y4+A6Y6+A8Y8+A10Y10+・・・・
Xo: 下の式で表される非球面の基準となる球面の形状、
Xo=CoY2/(1+(1-Co2Y2)1/2)、
A:非球面係数。

《3-2-4》判断
相違点1について:
相違点1について判断するに、引用発明のズームレンズ系も、小型化を目的としてなされたものであり、超コンパクトと規定するかコンパクトと規定するかによって、格別の技術的意義の差異が生じるものとは認められない。
したがって、相違点1は、本件発明と引用発明との実質的な相違点であるとは認められない。

相違点2について:
次に相違点2について判断する。
甲第2号証には、「物体側より順に正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2 レンズ群、正の屈折力の第3 レンズ群そして第4レンズ群の4つのレンズ群を有したズームレンズにおいて、前記第1レンズ群及び第3 レンズ群を物体側へ移動させ、前記第2 レンズ群と第4 レンズ群を移動若しくは固定させることによって広角側から望遠側へズーミンクを行い、前記第3レンズ群中に少なくとも1つの正の屈折力のレンズ3Aを有するようにし、前記レンズ3Aの少なくとも1つのレンズ面を非球面としたことを特徴とするコンパクトなズームレンズ」において、非球面として「好ましくはレンズの周辺部にいくに従い正の屈折力が弱まるような形状」、または「負の屈折力のレンズがあり、このレンズ面にレンズ周辺部にいくに従い負の屈折力が強まる形状」とすることによって、高性能なコンパクトなズームレンズの提供という目的を達成することが記載されている。
しかしながら、甲第2号証においては、非球面は第3レンズ群III(本件発明の第3群前群に相当)中に配置されていることが、甲第2号証の5頁〜6頁に記載された数値実施例1,2,3,4として示され、それを前提として作用効果が説明されている。してみると、甲第2号証のものは、第4レンズ群IV(本件発明の第3群後群に相当)に非球面を配置することの示唆、並びにその配置の変更によりもたらされる非球面の作用及び効果を示しているとは認められない。
一方、本件発明は、非球面を配置する位置を第3群後群中と規定する構成及び他の本件発明の構成により、球面収差とサジタル横収差における高次フレアに特に着目して「ズーム全域で球面収差とサジタル横収差における高次フレアをバランス良く補正すること」 (本件の特許掲載公報第5欄29〜31)を実現したものであり、この点で、非球面を配置する位置を第3群後群中と規定したことによる技術上の意義が認められる。
したがって、引用発明と、非球面を採用した甲第2号証のものとは、ズームレンズ系としての基本的構成が共通であり、かつ、用途、画角、焦点距離、全長等の機能的仕様も類似しているので甲第2号証の技術事項を引用発明に適用すること自体は当業者が容易に想到できる事項であるとしても、引用発明に、甲第2号証に示された形状の非球面を、甲第2号証で示された位置、すなわち第3群前群中に配置するに止まり、本件発明の相違点2に係る「第3群後群中」に特定形状の非球面を配置するという構成には至らない。
そして、引用発明に、甲第2号証に示された形状の非球面を適用するに当たり、その位置を、本件発明のように第3群後群中に変更することは、その変更の合理的な動機が引用発明、甲第2号証及び周知の事項からは導き出せず、かつ、甲第2号証のものとは異なる非球面の位置を選択している点に技術上の意義が存在する以上、相違点2に係る本件発明の構成が引用発明及び甲第2号証の記載から当業者が容易に想到できた事項であるとすることはできない。

《3-2-5》
したがって、本件訂正後の請求項1に記載された発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものではなく、出願の際独立して特許を受けることができるものである。
よって、本件の訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第126条第3項の規定にも適合している。

【4】むすび
以上のとおりであるから、本件の訂正は、訂正について平成6年法律第116号附則第6条第1項の規定により、なお従前の例によるとされる、改正前の特許法第126条第1項ただし書き、同条第2項及び同条第3項の規定に適合している。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
超コンパクトな広角域を含む高変倍率ズームレンズ系
(57)【特許請求の範囲】
1.物体側より順に、正屈折力の第1群,負屈折力の第2群,及び正屈折力の第3群を有し、この第3群が前群及び後群の2群に分けられるとともに、短焦点距離端から長焦点距離端へのズーミングに際して、第1群及び第3群前群及び後群を各々像面側から物体側へ移動し、前記第1・第2群間,第2・第3群間及び前記第3群の前群・後群間の空気間隔を変化させることによりズーミングを行ない、かつ、前記第2群が物体側から順に、像側により強い曲率を有する第1負レンズ,第2負レンズ,第3正レンズ及び第4負レンズから構成されるとともに、前記第3群後群中のいずれかのレンズに非球面を有し、以下の条件を満足することを特徴とする超コンパクトな広角域を含む高変倍率ズームレンズ系:

但し、
fIIIW:第3群の広角端での,焦点距離、
fW :全系の最短焦点距離、
fIIIB:第3群後群の焦点距離、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における
第3群の全長をひいた量、
Co:非球面の基準となる球面の曲率、
N :非球面より物体側の屈折率、
N′:非球面より像側の屈折率、
X :下の式で表わされる光軸からの高さYにおける光軸方向の変位量、
X=Xo+A4Y4+A6Y6+A8Y8+A10Y10+・・・・
Xo:下の式で表わされる非球面の基準となる球面の形状、
Xo=CoY2/{1+(1-Co2Y2)1/2}、
A :非球面係数。
2.前記第3群前群は、物体側より順に2枚の正レンズと負レンズとからなり、前記第3群後群は、物体側から順に1枚の正レンズと1枚の負レンズとからなることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載のズームレンズ系。
【発明の詳細な説明】
本発明はズーム領域が広角から中望遠・望遠までを含み、ズーム比が3倍程度のスチルカメラ用ズームレンズ系に関する。
近年この種のズームレンズ系としては、特開昭57-168209号公報,特開昭57-169716号公報等に提案され、基本的には正屈折力の第1群、負屈折力の第2群前群と後群とからなる正屈折力の第3群を有し、短焦点距離端(以下S端という)から長焦点距離端(以下L端という)へのズーミングに際して第1群及び第3群前群及び後群とが像面側から物体側へ移動するズームタイプがそのコンパクト性と収差補正上の有利性のために多用されてきた。
しかしながらいずれもそのコンパクト化は、未だ不十分にしか達成されていず、ズーム比が2倍程度のズームレンズ系に比べて、大きなレンズ系となっていた。
一方、最近特開昭60-178421号公報中にみられるように、この種のズームレンズ系にも非球面を用いて、コンパクト化を計る試みがなされているが、十分満足な結果が得られていない。
本発明は、ズーム領域が広角から中望遠、望遠までを含み、ズーム比が3倍程度で、2倍ズームレンズに匹敵するほど大幅にコンパクト化された高性能ズームレンズ系を提供することを目的とする。
具体的には、本発明は本発明と同一出願人による特開昭57-168209号公報中の発明の改良発明で、非球面を用いて、一層高性能・超コンパクトなズームレンズ系を提供することを目的とする。
以下本発明についてさらに詳しく説明する。
すなわち、本発明に係わる高変倍率ズームレンズ系は、物体側より順に、正屈折力の第1群(I),負屈折力の第2群(II),及び正屈折力の第3群(III)を有し、この第3群が前群(III-F)及び後群(III-B)の2群に分けられるとともに、S端からL端へのズーミングに際して、第1群及び第3群が像面側から物体側へ移動し、前記第1・第2群間,前記第2・第3群間及び第3群の前群・後群間の空気間隔をそれぞれ変化させることによりズーミングを行ない、かつ、前記第2群が物体側から順に、像側に強い曲率を有する第1負レンズ(II-1),第2負レンズ(II-2),第3正レンズ(II-3)及び第4負レンズ(II-4)で構成され、前記第3群後群中のいずれかのレンズに非球面を有する。
また本発明は、以下の条件を満足することを特徴とする。


但し、
fIIIW:第3群の広角端での焦点距離、
fW :全系の最短焦点距離、
fIIIB:第3群後群の焦点距離、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における
第3群の全長をひいた量、
Co:非球面の基準となる球面の曲率、
N :非球面より物体側の屈折率、
N′:非球面より像側の屈折率、
X :下の式で表わされる光軸からの高さYにおける光軸方向の変位量、
X=Xo+A4Y4+A6Y6+A8Y8+A10Y10+・・・・
Xo:下の式で表わされる非球面の基準となる球面の形状、
Xo=CoY2/{1+(1-Co2Y2)1/2}、
A :非球面係数。
である。
条件(1)はレンズ全長を短かくし、コンパクト化をはかる為の条件である。条件(1)の上限をこえると、レンズ全長が長くなり、かつズーミングに伴う第3群の移動量が大きくなって不利である。一方、条件(1)下限をこえると、一眼レフカメラ用レンズとしては必要なバックフォーカスの確保が困難になる。なお条件(1)は全系の最短焦点距離が32以上程度である時には
0.4<fIIIW/fW<0.75
を満足することが望ましい。
ところで、本発明では物体側から順に正・負・正の基本的に3群から成るズーム形式をとった高変倍率ズームレンズにおいて、あえて、第3群の屈折力を強くしてコンパクト化をはかったので、どうしてもズーム全域の球面収差と軸外のサジタル横収差における高次収差とのバランスがとりにくくなる。
そこで、本発明では、第3群(III)のいずれかの面に条件式(2)で示されるような形状の非球面を導入することによって、コンパクトでありながらなおかつ高性能化を計っている。
条件(2)は物理的に、当該の面が正のパワーを有する面であれば、レンズ光軸から離れるにつれて、正の屈折力がゆるくなる面形状であること、あるいは当該の面が負のパワーを有する面であれば、レンズ光軸から離れるにつれて、負の屈折力が強くなる面形状であることを示している。従って、第3群全体として強い正の屈折力を持ちながらも、その中に設けられた前記非球面が条件(2)を満たすことによって、レンズ光軸から離れた位置では、相対的にゆるい屈折力を持たせることができ、特にズーム全域での球面収差と軸外のサジタル横収差における高次フレアをバランスよく補正することが可能となる。
条件(2)をはずれると、コンパクト化を保った上で、球面収差が補正しきれなくなるか又は、軸外のサジタル横収差の高次フレアが大きくなりすぎて、十分な性能が得られないことになる。
ここで、軸外のサジタル横収差の高次フレアの補正に重点を置く場合は、非球面を第3群中の出来るだけ像側の位置に置くことが望ましく、第3群後群中に設ける方がよい。しかし第3群前群の後方のレンズに設けても後群中に設けるのとほぼ同じ効果が得られる。
さらに、本発明においては、S端からL端へのズーミングに際して第3群の前群(III-F)及び後群(III-B)との間の空気間隔を縮めることにより、広角域を含む高変倍率ズームレンズにおいては特に補正困難な像面湾曲をズーム全域で良好に補正することができる。
なお、前記第3群の前群は物体側より順に2枚の正レンズと1枚の負レンズとから構成され、第3群の後群は物体側より順に1枚の正レンズと、物体側に強い曲率を有する1枚の負レンズとから構成されることが望ましい。
条件(3)はズーム全域において像面湾曲を良好に補正するための条件である。条件(3)の下限を越えると、広角端から望遠端へのズーミングに伴って像面が正の方向に傾く傾向が著しくなる。一方、条件(3)の上限を越えると、広角端から望遠端へのズーミングに伴って像面が負の方向に傾く傾向が著しくなり、同時に第3群の全長を確保する為に広角端において、第3群前群と後群間の間隔が大きくなってしまい、全長のコンパクト化にとって不利になる。
条件(4)は、第3レンズ群後群の焦点距離と広角側の全系の焦点距離の関係を規定するものであり、充分なバックフォーカスを確保しながら、コンパクトで且つ、像面湾曲が良好に補正されたズームレンズ系を得るための条件である。この条件の上限を越えると、バックフォーカスの確保が困難となる。下限を越えるとパックフォーカスが不必要に長くなり、レンズ系のコンパクト化にとって不利である上、ズーミングに伴う像面湾曲の変動が大きくなる傾向が生じ、これを充分に補正しようとすると、条件(3)におけるΔdIIIの値を大きくとることが必要となり、結果的に、レンズ系のコンパクト化が困難となる。
ところで、極めてコンパクトでかつ一眼レフ用カメラとして充分なバックフォーカスを持つズームレンズを構成するためには以下の条件を満足することが望ましい。

但し、
TIIIB:第3群後群の軸上厚、
BW :広角端におけるバックフォーカス
である。
条件(5)は、広角端における、第3レンス群後群の前頂点からフイルム面までの距離と、広角側の全系の焦点距離の関係を規定するものであり、レンズ系のコンパクト化及び、バックフォーカス確保の為の条件である。条件の下限を越えると、バックフォーカスの確保が困難となる。条件の上限を越えると、レンズ全長が長くなって不利である。
さらに本発明は以下の条件を満足することが望ましい。
(6) |rII-3|<|rII-2|

但し、
rII-2:第2群第2レンズの最像側面の曲率半径、
rII-3:第2群第3レンズの最物体側面の曲率半径、
fW :全系の最短焦点距離、
fIII :最短焦点距離の状態での第1群と第2群の合成焦点距離、
fII :第2群の合成焦点距離、
fII-1.2:第2群第1レンズと第2レンズとの合成焦点距離
である。
条件(6)は、第2群が強い負屈折力を持つ場合に生じるズーミングによる球面収差の変動を抑えたレンズ系を提供するための条件である。第2群(II)は全体として負屈折力であるため球面収差を正偏位させる働きがより強くなる傾向にあるが、上記条件(6)を守ることにより第3レンズの最も物体側の面(rII-3)に球面収差を負偏位させる働きを持たせ、球面収差の変動を抑えている。
条件(7)は最短焦点距離を広角に保ち、かつ、第1群(I)と第2群(II)のレンズ移動型式を実用的な範囲に規定するための条件である。すなわち、条件(7)の下限をこえると、第2群に続くレンズ移動型式にもよるが、第1群を移動させる型式を採った場合にその移動量が著しく大きくなり実用的でない。一方、条件(7)の上限をこえて、レンズ系の広角化を計ると前玉径が著しく大きくなったり周辺光量が少なくなる問題が生じる。
次に条件式(8)は第2群第1、第2レンズ(II-1.2)の合成屈折力を実用的な範囲に保つための条件であり、条件(8)の下限をこえると、第1、第2レンズ(II-1.2)の負屈折力が強くなりすぎ、これを打消すための第3レンズ(II-3)の正の屈折力も強くなり、実用的な明るさを持つレンズ系には成り得ない。また、所望の第2群の負屈折力が得られない。一方、条件(8)の上限をこえると、第4レンズ(II-4)により強い負屈折力を与える必要が生じ、最短焦点距離の状態での負の歪曲収差の補正が困難になる。また第2群の負屈折力を大きくすることが困難になり、その結果条件(6)の説明部で述べたように球面収差を負に偏位させることも難しくなる。
なお本発明は基本的に3群構成よりなるズームレンズ系であるが、その物体側に固定の比較的弱い屈折力の成分を加えても本質的には、本発明の構成要件をはずれることはない。
以上の構成をとることによって、出来るだけ少ない構成枚数で構成され、超コンパクトかつ広角域を含み、良好な収差性能を有する高変倍率ズームレンズ系を提供することが可能となる。
以下に本発明の実施例を示す。
r1,r2,r3…は物体側から数えた面の曲率半径、d1,d2,d3…は物体側から数えた軸上間隔を示す。d5,d13,d18(d19)は可変な空間間隔である。N1,N2,N3・・・ は物体側から数えたレンズの屈折率、ν1,ν2,ν3…は同じく物体側から数えたレンズのアッベ数を示す。
I,II,IIIは各々第1,2,3群を示しII-1,II-2,II-3,II-4は各々第2群の第1,第2,第3,第4レンズを示し、III-F,III-Bは各々第3群の前群,後群を示す。A4,A6,A8…は各々非球面面係数を示す。fは焦点距離を示す。Σdはレンズの前端の頂点から後端の頂点までの長さを示す。なお、実施例中、*印及び**印を付した面は、非球面で構成された面であることを示す。
表1に各実施例における

の値を示す。
なお、第1、3図はそれぞれ本発明の実施例1、2の最短焦点距離におけるレンズ構成図であり、下方に示す実線は、最長焦点距離側へのレンズ群移動形式を示す。また破線の直線はそのレンズ群がズーミング中移動しないことを示す。また、第2、4図は、それぞれ順に上記実施例の収差図である。収差図において、<L>,<M>,<S>はそれぞれ、最長焦点距離、中間焦点距離、最短焦点距離の状態であることを示す。



【図面の簡単な説明】
第1、3図はそれぞれ本発明の実施例1、2の最短焦点距離におけるレンズ構成図であり、下方に示す実線は、最長焦点距離側へのレンズ群移動形式を示す。また破線の直線はそのレンズ群がズーミング中移動しないことを示す。また、第2、4図は、それぞれ順に上記実施例の収差図である。収差図において、<L>,<M>,<S>はそれぞれ、最長焦点距離、中間焦点距離、最短焦点距離の状態であることを示す。
I ・・・・・・・・第1群
II・・・・・・・・第2群
II-1・・・・・・第1負レンズ
II-2・・・・・・第2負レンズ
II-3・・・・・・第3正レンズ
II-4・・・・・・第4負レンズ
III ・・・・・・第3群
III-F ・・・・第3群前群
III-B ・・・・第3群後群
【図面】




 
訂正の要旨 訂正の要旨
請求人が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。
訂正事項A‐a:
本件明細書の特許請求の範囲第1項を、以下のとおり訂正する。
「1.物体側より順に、正屈折力の第1群、負屈折力の第2群、及び正屈折力の第3群を有し、この第3群が前群及び後群の2群に分けられるとともに、短焦点距離端から長焦点距離端へのズーミングに際して、第1群及び第3群前群及び後群を各々像面側から物体側へ移動し、前記第1・第2群間、第2・第3群間及び前記第3群の前群・後群間の空気間隔を変化させることによりズーミングを行ない、かつ、前記第2群が物体側から順に、像側により強い曲率を有する第1負レンズ、第2負レンズ、第3正レンズ及び第4負レンズから構成されるとともに、前記第3群後群中のいずれかのレンズに非球面を有し、以下の条件を満足することを特徴とする超コンパクトな広角域を含む高変倍率ズームレンズ系:
0.5<fIIIW/fW<0.9
(|X|‐|Xo|)/(Co(N′‐N))<0
0.01<ΔdIII/fW <0.3
0.02<fW/fIIIB<2.0
但し、
fIIIW:第3群の広角端での,焦点距離、
fW:全系の最短焦点距離、
fIIIB:第3群後群の焦点距離、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における第3群の全長をひいた量、
Co:非球面の基準となる球面の曲率、
N:非球面より物体側の屈折率、
N′:非球面より像側の屈折率、
X:下の式で表わされる光軸からの高さYにおける光軸方向の変位量、
X=Xo+A4Y4+A6Y6+A8Y8+A10Y10+・・・・
Xo: 下の式で表される非球面の基準となる球面の形状、
Xo=CoY2/(1+(1‐Co2Y2)1/2)、
A:非球面係数。」
訂正事項A‐b:
本件明細書の特許請求の範囲第3項及び第4項を削除する。
訂正事項B‐a:
本件明細書第6頁第3行(特許掲載公報第2頁第4欄第24行)の字句「第3群中の」を、「第3群後群中の」に訂正する。
訂正事項B‐b:
本件明細書第6頁第7行(特許掲載公報第2頁第4欄第32行)の「(2) (|X|‐|Xo|)/(Co(N′‐N))<0」と、第6頁第8行(特許掲載公報第2頁第4欄第35行)の字句「但し、」との間に、以下の式を加入する。
「(3) 0.01<ΔdIII/fW<0.3
(4) 0.02<fW/fIIIB<2.0」
訂正事項B‐c:
本件明細書第6頁第10行(特許掲載公報第2頁第4欄第37行)「fW:全系の最短焦点距離、」と、第6頁第11行(特許掲載公報第2頁第4欄第38行)「Co:非球面の基準となる球面の曲率、」との間に、以下の字句を加入する。
「fIIIB:第3群後群の焦点距離、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における第3群の全長をひいた量、」
訂正事項B‐d:
本件明細書第9頁第20行〜第10頁第7行(特許掲載公報第3頁第6欄4行〜13行)の
「なお、本発明に係わるズームレンズ系は以下の条件を満足することが望ましい。
(3) 0.01<ΔdIII/fW<0.3
但し、
ΔdIII:広角端における第3群の全長から望遠端における第3群の全長をひいた量である。」
を削除する。
訂正事項B‐e:
本件明細書第10頁第18行〜第11頁第4行(特許掲載公報第3頁第6欄23行〜31行)の
「条件(3)に加えて、望ましくは以下の条件を満足することが望ましい。
(4) 0.02<fW/fIIIB<2.0
但し、
fIIIB:第3群後群の焦点距離である。」
を削除する。
訂正事項B‐f:
本件明細書第11頁第5行(特許掲載公報第3頁第6欄32行)の字句「この条件は、」を、「条件(4)は、」に訂正する。
訂正事項B‐g(a):
本件明細書第16頁13行〜15行(特許掲載公報第4頁第8欄49行〜50行)「第1,3,5,7図はそれぞれ本発明の実施例1,2,3,4の最短焦点距離におけるレンズ構成図」を、「第1、3図はそれぞれ本発明の実施例1、2の最短焦点距離におけるレンズ構成図」に訂正する。
訂正事項B‐g(b):
本件明細書第16頁18行〜19行(特許掲載公報第5頁第9欄3〜4行)「第2,4,6,8図は、それぞれ順に上記実施例の収差図」を、「第2、4図は、それぞれ順に上記実施例の収差図」に訂正する。
訂正事項B‐g(c):
本件明細書第20頁〜第21頁(特許掲載公報第5頁最下行〜第6頁)、の「実施例2」の字句、及びその下の表を削除する。
訂正事項B‐g(d):
本件明細書第22頁1行(特許掲載公報第6頁第11欄最下行)の「実施例3」の字句を、「実施例2」に訂正する。
訂正事項B‐g(e):
本件明細書第24頁〜第25頁(特許掲載公報第7頁最下行〜算8頁35行)の「実施例4」の字句、及びその下の表を削除する。
訂正事項B‐g(f):
本件明細書第26頁(特許掲載公報第8頁下部)の表1.の(|X|‐|Xo|)/(Co(N′‐N))の値から、Ex2の数値表、Ex4の数値表を削除し、Ex3の数値表の見出しを「Ex2」に訂正する(Ex1〜Ex4は実施例1〜4を意味する)。
訂正事項B‐g(g):
本件明細書第27頁2行〜3行(特許掲載公報第8頁第16欄44行〜45行)「第1,3,5,7図はそれぞれ本発明の実施例1,2,3,4の最短焦点距離におけるレンズ構成図」を、「第1、3図はそれぞれ本発明の実施例1、2の最短焦点距離におけるレンズ構成図」と訂正する。
訂正事項B‐g(h):
本件明細書第27頁6行〜8行(特許掲載公報第8頁第16欄48行〜49行)「第2,4,6,8図は、それぞれ順に上記実施例の収差図」を、「第2、4図は、それぞれ順に上記実施例の収差図」と訂正する。
訂正事項B‐g(i):
図面第3図、第4図、第7図、第8図を削除し、図面第5図の図番号を「第3図」に、図面第6図の図番号を「第4図」に訂正する(図面の内容には変更はない)。
審決日 2002-02-14 
出願番号 特願昭61-212965
審決分類 P 1 41・ 811- Y (G02B)
P 1 41・ 813- Y (G02B)
P 1 41・ 121- Y (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 瀬川 勝久  
特許庁審判長 森 正幸
特許庁審判官 綿貫 章
伊藤 昌哉
登録日 1997-07-25 
登録番号 特許第2677268号(P2677268)
発明の名称 超コンパクトな広角域を含む高変倍率ズ-ムレンズ系  
代理人 貞重 和生  
代理人 貞重 和生  

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