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審決分類 審判 全部無効 発明同一 無効とする。(申立て全部成立) B41M
管理番号 1059077
審判番号 無効2001-35231  
総通号数 31 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-08-22 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-05-31 
確定日 2002-05-20 
事件の表示 上記当事者間の特許第3076189号発明「ガラス製品のロット番号表示方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3076189号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第一 手続きの経緯
1.出願 平成6年2月9日
2.登録 平成12年6月9日
3.本件審判請求書 平成13年5月31日
4.答弁書 平成13年8月31日
5.訂正請求書 平成13年8月31日
6.弁駁書 平成13年10月26日
第二 請求人の主張及び提出した証拠方法
請求人は「特許第3076189号発明の特許を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めている。
そしてその理由として、平成13年5月31日付け無効審判請求書において、本件特許の請求項1に係る発明は、その出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された他の特許出願である特願平5-295994号(特開平7ー133124号公報)(無効審判請求人東洋ガラス株式会社の提出した甲第1号証)の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書」という)に記載された発明と同一であるから、特許法29条の2第1項に該当し同法123条により無効とされるべきである旨主張している。そして請求人は次の証拠方法を提出している。
甲第1号証:特願平5-295994号(特開平7ー133124号公報)
第三 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は、成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求めている。
そして、その答弁書において、無効の理由がないことは明白である旨主張し、本件請求項1に係る発明と、先願明細書に記載された発明とは、本件請求項1に係る発明の「隠しロット番号」という手段において、その構成を異にし、しかも両者の目的及び作用効果において全く別異のものであり、発明の本質を異にするものであることは明らかである。したがって本件請求項に係る発明は、引用発明に記載された発明ということは出来ない旨を主張している。
第四 訂正請求について
本件訂正請求(平成13年8月31日付け)の要旨は、特許第3076189号の明細書を、本件訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、すなわち、下記のとおり訂正するものである。
一 特許請求の範囲の欄
「 ガラス壜やガラスコップのロット表示方法において、紫外線を照射することにより発色し、通常の可視光の下では無色透明であるインクにより生産時の状況を示すロット番号を印字したことを特徴とするガラス製品のロット番号表示方法」を、
「 ガラス壜やガラスコップのロット表示方法において、紫外線を照射することにより発色し、通常の可視光の下では無色透明であるインクにより生産時の状況を示す隠しロット番号を印字したことを特徴とするガラス製品のロット番号表示方法」と訂正する。
二 発明の詳細な説明の欄
(1)段落番号【0006】中の、
「識別できないが、、」の読点の一つを削除する。
(2)段落番号【0007】中の、
「ロット番号」を「隠しロット番号」と訂正する。
(3)段落番号【0009】中の、
「識別でず」を「識別できず」と訂正する。
(4)段落番号【0011】中の、
「識別でず」を「識別できず」と訂正する。
第五 訂正の適否
一 特許請求の範囲の訂正事項について
1.訂正の目的について
「ガラス壜やガラスコップのロット表示方法において、紫外線を照射することにより発色し、通常の可視光の下では無色透明であるインクにより生産時の状況を示す隠しロット番号を印字したことを特徴とするガラス製品のロット番号表示方法」との訂正は、設定登録時の特許発明における、ロット番号を、隠しロット番号として、ロット番号の構成を特定したものであり、特許法134条第2項ただし書き1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的にするものに該当する。
2.新規事項の有無について
この訂正は、設定登録時の特許発明における、発明の詳細な説明の一実施例に記載されている内容に関するものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した範囲内においてされたものである。
3.特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
この訂正は、設定登録時の特許発明におけるロット番号の構成をさらに特定したものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
二 発明の詳細な説明の訂正事項について
訂正事項(2)は、特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴う訂正であって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、特許法134条第2項ただし書き3号の要件に該当するものであり、またこの訂正は願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。
また、訂正事項(1)、(3)、(4)は、誤記の訂正を目的とするものであり、この訂正は願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものである。
さらに、これらの訂正は実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
三 訂正請求の適否についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求は、特許法134条第2項ただし書き1号乃至3号に掲げる事項を目的としかつ同条第5項で準用する特許法126条第2項及び第3項の規定に適合するので当該訂正を認める。
第六 無効理由について
一 請求人は前記「第二 請求人の主張及び提出した証拠方法」で記載したように、本件請求項1に係る発明は、先願明細書に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2第1項の規定により特許を受けることができない旨を主張している。
そこで、これについて検討する。
二 先願明細書
「本発明は、デザインに影響を及ぼさない方法で製品に型番マークをマーキングして生産管理を行い、ガラス製品の品質を向上させ、また、歩留まりを向上させることを目的としている。」(段落【0006】)が記載され、
「印字ヘッド6によって製品底部中央にバリカム24によってトラッキングしてきた型番と製造月日時や製造ライン名等のデータを英数字を使い型番マークとして印字する。なお、型番マークは英数字に限らず、種々の文字記号を用いることができるのはもちろんである。」(段落【0017】)が記載され、
「型番マークは紫外線蛍光インクで印字されているので可視光ではほぼ無色透明であり、型番マークを欠点として認識することはない。製品がNo5ステーション21に到達するとブラックライト16により製品底部の型番マークが紫外線で照らされて蛍光を発し、読み取り可能となる。」(段落【0018】)が記載されており、これらの記載及び図面によれば、
ガラス製品に、その製品の型番と製造月日や製造ライン名等のデータを、英数字を使って表した型番マークの表示方法において、紫外線で照らされて蛍光を発し、可視光ではほぼ無色透明な紫外線蛍光インクにより、生産時の状況を示す型番と製造月日時や製造ライン名等のデータを英数字を使って表した型番マークを印字したことを特徴とする、型番と製造月日時や製造ライン名等のデータを英数字を使って表した型番マークの表示方法が記載されているものと認める。
三 対比
そこで本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という)と先願明細書に記載された発明とを対比すると、先願発明の「ガラス製品」、「紫外線で照らされて蛍光を発し、可視光ではほぼ無色透明な紫外線蛍光インク」及び「型番と製造月日時や製造ライン名等のデータを英数字を使って表した型番マーク」がそれぞれの機能に照らし、それぞれ本件発明の「ガラス壜やガラスコップ」、「紫外線を照射することにより発色し通常の可視光の下では無色透明であるインク」及び「ロット又はロット番号」に対応するものであり、両者の一致点及び相違点は以下のとおりとなる。
(1)一致点
ガラス壜やガラスコップのロット表示方法において、紫外線を照射することにより発色し、通常可視光の下では無色透明であるインクにより生産時の状況を示すロット番号を印字したことを特徴とするガラス製品のロット番号表示方法。
(2)相違点
本件発明においては「隠しロット番号」であるのに対し、先願明細書には、隠しなる表現は、明確に記載されていない。
相違点の判断
本件発明における隠しロット番号とは、「紫外線を照射することにより発色し、通常の可視光の下では無色透明であるインクにより生産時の状況を示す(段落【0007】)」ものをさしていると認められる。
一方先願明細書においても、「型番マークは、紫外線蛍光インクで印字されているので可視光ではほぼ無色透明であり、型番マークを欠点として認識することはない。(中略)ブラックライト16により製品底部の型番マークが紫外線に照らされて蛍光を発し、読みとり可能となる」(段落【0019】)の発明が開示されており、本件発明でいうところの「隠しロット番号」と実質的に同一である。
被請求人は、答弁書において、本件発明の「隠しロット番号」は、消費者段階において、万が一生じた事故の際に必要に応じてなされる詳細ロットの判読を前提としているが、先願明細書に記載された発明は、生産管理を行いガラス製品を向上させまた歩留まりを向上させるものであって両者は全く別異のものであり発明の本質を異にするものである旨を主張しているが、本件発明のロット番号も、先願明細書に記載された発明の型番マークも、いずれもガラス製品の製造中の情報を表していることには変わりがなく、それをどの段階で、どのように使うかは、単なる使い方の問題であって、この点に格別発明は認められず、請求人の主張は、採用できない。
したがって、本件発明と、先願明細書に記載された発明とは、実質的に同一であり、しかも本件発明の発明者が、上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一のものであるとも、本件発明の出願時において、その出願人が、先願明細書の出願の出願人と同一であるとも認められない。
してみると、本件発明にかかる特許は、特許法29条の2第1項の規定に違反してなされたものであり、特許を受けることができない。
第七 結び
以上のとおりであるから、本件発明の特許は、特許法123条第1項2号の規定に該当し、無効とすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-03-18 
結審通知日 2002-03-29 
審決日 2002-04-09 
出願番号 特願平6-36499
審決分類 P 1 112・ 161- Z (B41M)
最終処分 成立  
前審関与審査官 畑井 順一  
特許庁審判長 佐田 洋一郎
特許庁審判官 番場 得造
渡辺 努
登録日 2000-06-09 
登録番号 特許第3076189号(P3076189)
発明の名称 ガラス製品のロット番号表示方法  
代理人 神戸 真  
代理人 吉田 吏規夫  
代理人 後藤 憲秋  
代理人 神戸 清  

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