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審決分類 審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備 訂正を認める。無効としない G01R
審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 訂正を認める。無効としない G01R
審判 全部無効 特39条先願 訂正を認める。無効としない G01R
管理番号 1060253
審判番号 無効2000-35283  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-11-18 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-05-29 
確定日 2002-04-15 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第2598843号発明「自家用発電機等の出力特性試験装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2598843号の発明は、平成3年5月1日に特許出願され、平成9年1月9日に特許権の設定登録が行われた。その後、審判請求人株式会社興研により無効審判の請求がなされ、審判請求書の副本が被請求人に送達され、被請求人は指定期間内である平成12年9月8日付けで訂正請求書を提出している。

2.訂正請求について
2-1.訂正の内容
平成12年9月8日付訂正請求書による訂正事項は次のとおりである。
(A)特許請求の範囲の請求項1を、「抵抗用液体(10)が充填される略円筒状をなす3つの通電槽(12)と、
前記3つの通電槽(12)内に配置されて試験対象の自家用発電機等から電力の供給を受ける3つの主電極(14)と、
前記主電極(14)と通電槽(12)との間に、主電極(14)を覆うように介在され、主電極(14)から通電槽(12)への通電量を調整する可動絶縁体(16)と、
通電槽(12)内の抵抗用液体(10)を再利用するため、これを冷却又はろ過して再度通電槽(12)内に戻す循環用の配管系(18)と、
を有する、
自家用発電機等の試験装置において、
通電槽(12)上方に位置する枠体(70)を構成する上枠板(71)には、複数の絶縁がいし(34)を介して導入管(20)の上端フランジ(72)が固着されて垂直下方向に延出する円筒パイプ状の導入管(20)が取り付けられ、
主電極(14)は、通電槽(12)上方で支持されて吊り下げられた状態で通電槽(12)内に収納され、かつ、通電槽(12)内の上方位置あるいは通電槽(12)の上方位置で着脱、交換可能に取り付けられており、
配管系(18)の一部として通電槽(12)上方に設置され内部の中空導入路(74)により通電槽(12)内に抵抗用液体(10)を送流する導入管(20)の中空導入路壁部(75)を通電部材として、主電極(14)への送電が行われ、該導入管(20)に主電極(14)が着脱、交換可能に取り付けられると共に該導入管(20)の外周面は絶縁材(24)で被服されている、
ことを特徴とする自家用発電機等の出力特性試験装置。」と訂正する。

(B)特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(C)特許公報第2頁第4欄第9行目から第2頁第4欄第47行目に記載した「【0012】図1には、・・・いずれにも使用できる。」を下記の通りに訂正する。
「【0012】
図1乃至図7には本発明の構成が示されており、図示されるように抵抗用液体10が充填される略円筒状をなす3つの通電槽12には、試験対象となる自家用発電機等から電力の供給を受ける主電極14が配置されている。
そして、通電槽12上方の枠体70を構成する上枠板71には、複数の絶縁がいし34を介して導入管20の上端フランジ72が固着されて垂直下方向に延出する前記導入管20が横振り不可状態で取り付けられている。
【0013】
主電極14は通電槽12上方で支持されて吊り下げられた状態で通電槽12内に収納され、かつ、通電槽12内の上方位置あるいは通電槽12の上方位置で着脱、交換可能に取り付けられている。
【0014】
主電極14と通電槽12との間には、主電極14を覆うように、主電極14から通電槽12への通電量を調整する可動絶縁体16が介在されている。
【0015】
そして、通電槽12には、内部の抵抗用液体10を再利用するために冷却又はろ過して通電槽12へ戻す循環用の配管系18が接続されている。
【0016】
通電槽12上方には、配管系18の一部であり内部の中空導入路74により通電槽12内に抵抗用液体10を送る導入管20が設置されており、この導入管20の中空導入路壁部75を通電部材として主電極14への送電が行われる。
【0017】
また、この導入管20に主電極14が着脱、交換可能に取り付けられており、さらに、この導入管20の外周面は絶縁材24で被服されている。
【0018】
そして、試験対象の自家用発電機等の規格電圧に合わせて主電極14は低電圧用タイプ14a(図1(A)参照)または高電圧用タイプ14b(図1(B)参照)のいずれをも選択、交換可能とされている。
【0019】
さらに、以上の構成に加え、通電槽12へ送る抵抗用液体10の流量を調整する流量調整部材22が導入管20の基端側に設けられている。
【0020】
【作用】
本発明では、主電極14が通電槽12上方で支持され、吊り下げられた状態とされ、通電槽12上方の枠体70を構成する上枠板71には、複数の絶縁がいし34を介して導入管20の上端フランジ72が固着されて垂直下方に延出する前記導入管20が横振り不可状態で取り付けられている。
よって、主電極14支持部材挿通用の孔を通電槽12の底部に穿設する必要がなく、主電極14の下端部がフリーの状態にもかかわらず、横振れしない強固な状態で前記主電極14を取り付けることが出来る。
【0021】
また、主電極14は通電槽12内の上方位置あるいは通電槽12の上方位置で導入管20に着脱、交換可能に取り付けられているので、試験対象となる自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれにも使用できる。」

(D)特許公報第3頁第5欄第29行目から第3頁第5欄第33行目の「【0027】ここで、各通電槽12内には、・・・取り付けられている。」を下記の通り訂正する。
「【0027】
ここで、各通電槽12内には、その上方より、外周をテフロン等の絶縁材24で被覆された導入管20が垂下するように延出されて配設されており、導入管20の先端部では主電極14が着脱、交換可能に取り付けられている。
すなわち、通電槽12上方に位置する枠体70を構成する上枠板71には、複数の絶縁がいし34を介して導入管20の上端フランジ72が固着されており、もって垂直下方向に延出する前記導入管20が着脱、交換可能に取り付けられている。
主電極14は、前記導入管20の下端部において、該導入管20の延出方向、すなわち垂直に降下する方向に向けられて直線状に接続されており、吊り下げ状態にして着脱、交換可能に取り付けられている。また、通電槽12の軸心に沿って取り付けられている。
さらに、導入管20の下端部に形成された排出口73を、接続された主電極14の上端部に接近させた状態にして取り付けられている。」

(E)図面図1乃至図3に符号を書き加えて別紙添付した図1乃至図3に差し替える。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項(A)のうち、「通電槽(12)上方に位置する枠体(70)を構成する上枠板(71)には、複数の絶縁がいし(34)を介して導入管(20)の上端フランジ(72)が固着されて垂直下方向に延出する円筒パイプ状の導入管(20)が取り付けられ、」と記載する点は導入管(20)の取付状態を限定するものであり、「内部の中空導入路(74)により通電槽(12)内に抵抗用液体(10)を送流する導入管(20)の中空導入路壁部(75)を通電部材として、主電極(14)への送電が行われ、」と記載する点は、抵抗用液体(10)の送流が導入管(20)の内部の中空導入路(74)により行われ主電極(14)への送電が導入管(20)の中空導入路壁部(75)により行われることを限定するものであり、「該導入管(20)に主電極(14)が着脱、交換可能に取り付けられると共に」と記載する点は主電極(14)の接続状態を限定するものであり、また、「該導入管(20)の外周面は絶縁材(24)で被服されている、」と記載する点は導入管(20)の外周面が絶縁材(24)で被服されていることを限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、特許明細書の段落番号[0016]には「通電槽12上方には、配管系18の一部であり通電槽12内に抵抗用液体10を送る導入管20が設置されており、この導入管20を通電部材として主電極14への送電が行われる。」と、段落番号[0027]には「ここで、各通電槽12内には、その上方より、外周をテフロン等の絶縁材24で被覆された導入管20が垂下するように延出されて配設されており、導入管20の先端部では主電極14が着脱、交換可能に取り付けられている。」と、段落番号[0036]には「導入管20の上端部には絶縁がいし34(図3参照)を介して接続端子バー36(図3参照)が取り付けられており、」と記載されている。また、実施例の側面図である図3によれば、通電槽(12)上方に位置する枠体を構成する上枠には複数の絶縁がいし(34)を介して導入管(20)の上端フランジが固着されて垂直下方向に延出する導入管20が取り付けられており、実施例の正面図である図2においても、上枠には複数の絶縁がいしを介して導入管(20)の上端フランジが固着されて垂直下方向に延出する導入管が取り付けられている。そして、枠体を構成する上枠は、側面図である図3においても正面図である図2においても直線状に見えるものであるから、板状のものであること、即ち「上枠板」であることが明らかである。また、導入管(20)は、管状のものであるから、内部の中空導入路により抵抗用液体を送流すると共に、中空導入路壁部を通電部材として送電を行うことも明らかである。
してみると、これらの訂正事項は明細書に記載した事項の範囲内におけるものであり、また、実質上、特許請求の範囲を拡張し、変更するものでもない。

上記訂正事項(B)は、請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、この訂正に伴い、実質上、特許請求の範囲が拡張又は変更されるものではない。

上記訂正事項(C)は、上記訂正事項(A)の請求項1の訂正に対応して明細書の発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項(C)のうち「垂直下方向に延出する前記導入管20が横振り不可状態で取り付けられている。」及び「横振れしない強固な状態で前記主電極14を取り付けることが出来る。」と訂正する点は、図2及び図3に、枠体を構成する上枠板に複数の絶縁がいしを介して導入管の上端フランジを固着することが記載されており、また、仮に本件発明において、導入管が横振れ可能状態であるとすると、導入管と主電極との間隔が変化し、極端な場合には導入管と主電極とが接触して出力特性試験装置として動作しなくなることから、導入管が横振れしない状態で取り付けられることは技術的に当然の事項である。また、訂正事項(C)のうちのその余の点も上記訂正事項(A)と同様の理由で、明細書に記載した事項の範囲内におけるものである。
そして、この訂正に伴い、実質上、特許請求の範囲が拡張又は変更されるものではない。

上記訂正事項(D)も、上記訂正事項(A)の請求項1の訂正に対応して明細書の発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。そして、上記訂正事項(A)と同様の理由で、明細書に記載した事項の範囲内におけるものであり、また、この訂正に伴い、実質上、特許請求の範囲が拡張又は変更されるものではない。

上記訂正事項(E)は、上記訂正事項(A)の請求項1の訂正に対応して図1、図2、及び図3の部材に「70」〜「75」の符号を記載するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、この訂正に伴い、実質上、特許請求の範囲が拡張又は変更されるものではない。

2-3.むすび
したがって、上記訂正は、特許法第134条第2項ただし書、並びに同法同条第5項において準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.無効審判請求について
3-1.本件発明
上記「2.訂正請求について」で述べたように訂正請求が認められるから、本件特許第2598843号の請求項1〜3に係る発明は、訂正請求書で訂正された特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された次のとおりのものである。(以下、「本件発明1」〜「本件発明3」という。)
【請求項1】(本件発明1)
抵抗用液体(10)が充填される略円筒状をなす3つの通電槽(12)と、
前記3つの通電槽(12)内に配置されて試験対象の自家用発電機等から電力の供給を受ける3つの主電極(14)と、
前記主電極(14)と通電槽(12)との間に、主電極(14)を覆うように介在され、主電極(14)から通電槽(12)への通電量を調整する可動絶縁体(16)と、
通電槽(12)内の抵抗用液体(10)を再利用するため、これを冷却又はろ過して再度通電槽(12)内に戻す循環用の配管系(18)と、
を有する、
自家用発電機等の試験装置において、
通電槽(12)上方に位置する枠体(70)を構成する上枠板(71)には、複数の絶縁がいし(34)を介して導入管(20)の上端フランジ(72)が固着されて垂直下方向に延出する円筒パイプ状のの導入管(20)が取り付けられ、
主電極(14)は、通電槽(12)上方で支持されて吊り下げられた状態で通電槽(12)内に収納され、かつ、通電槽(12)内の上方位置あるいは通電槽(12)の上方位置で着脱、交換可能に取り付けられており、
配管系(18)の一部として通電槽(12)上方に設置され内部の中空導入路(74)により通電槽(12)内に抵抗用液体(10)を送流する導入管(20)の中空導入路壁部(75)を通電部材として、主電極(14)への送電が行われ、該導入管(20)に主電極(14)が着脱、交換可能に取り付けられると共に該導入管(20)の外周面は絶縁材(24)で被服されている、
ことを特徴とする自家用発電機等の出力特性試験装置。
【請求項2】(本件発明2)
主電極(14)は試験対象の自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれをも選択、交換可能とされている、請求項1記載の自家用発電機等の出力特性試験装置。
【請求項3】(本件発明3)
通電槽(12)への抵抗用液体(10)の流量を調整する流量調整部材(22)が設けられている、請求項1または請求項2記載の自家用発電機等の出力特性試験装置。

3-2.請求人の主張
審判請求人は、審判請求書で、無効理由として次のように主張している。
(1)本件特許の明細書の請求項1、請求項2、請求項3、請求項4に係る発明についての特許の一構成要素、即ち、循環用の配管系(18)の一部として導入管(20)を通電部材として主電極(14)へ送電が行われる構成要素から、導入管(20)に印加されている高い電圧が主電極(14)を介さず配管系(18)へ導電される電気回路を構成することを排除する点を、本件特許発明は有しておらず、「安全かつ良好に試験を行える」という本件特許発明の作用、効果を達成できない(無効理由a)。
更に、本件特許の明細書の請求項1、請求項2、請求項3に係る発明についての特許の構成要素においては、導入管20が絶縁材24で被覆されていない場合には、「導入管20自体が主電極14と同様のものとなる可能性があり、もってこの導入管20から主電極14への通電動作よりも、導入管20から直接通電槽12へ向かって放電したり、あるいは当該導入管20から隣り合う他の導入管20や近接する昇降装置38へ向かって放電したりする可能性が高くなり、ひいては装置破壊に至る可能性がある」としているので、特許請求の範囲での記載と発明の詳細な説明での記載とが矛盾する結論に達する(無効理由b)。
したがって、本件特許は、平成2年改正特許法第36条第4項若しくは第5項及び第6項に規定の要件を満たしていない特許出願に対してなされており、特許法第123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。(審判請求書)
(2)本件特許の請求項1、請求項2、請求項3、請求項4に係る発明は、先願特許である甲第3号証の発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定の要件に該当する特許出願に対してなされており、特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。(審判請求書)
そして、証拠方法として甲第3号証(特許第2560154号に対する平成9年異議第72501号の特許異議決定公報)、並びに周知・慣用技術を立証するための証拠方法として甲第4号証(特開昭53-133754号公報)、甲第5号証(特開昭64-47976号公報)、甲第6号証(特開平3-68106号公報)及び甲第7号証(特公平1-43441号公報)を提出している。

3-3.無効理由(1)について
[無効理由a]
無効理由aは、「循環用の配管系(18)の一部として導入管(20)を通電部材として主電極(14)へ送電が行われる構成要素から、導入管(20)に印加されている高い電圧が主電極(14)を介さず配管系(18)へ導電される電気回路を構成することを排除するという構成」を本件発明は有しておらず、「安全かつ良好に試験を行える」という本件特許発明の作用、効果を達成できない、というものである。
しかし、先ず、本件明細書には「また、主電極への通電が行われる通電部材たる導入管は、その内部を流れる抵抗用液体で冷却され、かつ、絶縁材で覆われているので、放電による絶縁破壊のおそれがなく、このため、安全かつ良好に試験を行える。」(段落番号[0057])と記載されているのであるから、「安全かつ良好に試験を行える。」という作用効果は、「主電極への通電が行われる通電部材たる導入管は、その内部を流れる抵抗用液体で冷却され、かつ、絶縁材で覆われている」という構成により達成されるものであって、この構成は本件発明1の構成として記載されている。
次に、本件明細書の段落番号[0031]には「通電槽12の上方にはタンク40が設けられており、タンク40は耐電圧、耐触のフレキシブルホース42で各導入管20に接続されている。」と記載されており、導入管20とタンク40が電気的に絶縁されることが示唆されている。そして、本件発明において、導入管20に接続される主電極14は抵抗用液体10が充填される通電槽12内に配置されるものであるから、導入管に導電された発電機からの電流は主電極に流れ、さらに、主電極に流れた電流は、抵抗用液体を介して一番流れやすい通電槽に向かって流れると考えられる。そうすると、仮に試験中に配管系18などに接触したとしても感電する恐れはないと考えられ、格別不都合を生じるものではない。以上のことから、発明の詳細な説明に当業者が容易に実施をすることができる程度に本件発明の構成が記載されていないということはできず、また、本件発明においては、導入管に導電された発電機からの電流は主電極に流れ、さらに、主電極に流れた電流は、抵抗用液体を介して一番流れやすい通電槽に向かって流れるものであり、導入管、主電極、抵抗用液体、通電槽を含む請求項記載の事項を発明の構成とするものであるから、「導入管(20)に印加されている高い電圧が主電極(14)を介さず配管系(18)へ送電される電気回路を構成することを排除するという構成」を発明の構成に欠くことができない事項とするものではない。
したがって、本件明細書に無効理由aにいう記載不備があるということはできない。

[無効理由b]
無効理由bは、請求項1、請求項2、請求項3に係る発明は、「導入管20が絶縁材24で被覆される」という構成を有していないので、発明の詳細な説明の記載と矛盾するというものである。
しかし、平成12年9月8日付の訂正請求により、請求項1には「該導入管(20)の外周面は絶縁材(24)で被服されている、」という構成が記載され、また、請求項2及び請求項3も、請求項1を引用するものであり「該導入管(20)の外周面は絶縁材(24)で被服されている、」という構成を備えることとなったから、この無効理由は解消した。

3-4.無効理由(2)について
[甲第3号証の発明]
甲第3号証によれば、本件特許の先願特許である特許第2560154号の発明は次のとおりのものである。(以下、先願特許の請求項1及び請求項2に係る発明を「先願発明1」及び「先願発明2」という。)
【請求項1】(先願発明1)
抵抗用液体(10)が充填される通電槽(12)と、
通電槽(12)内に配置されて試験対象の自家用発電機等から電力の供給を受ける主電極(14)と、
主電極(14)と通電槽(12)との間に介在され、主電極(14)から通電槽(12)への通電量を調整する可動絶縁体(16)と、
通電槽(12)内の抵抗用液体(10)を再利用するため、前記抵抗用液体(10)を冷却又はろ過して再度通電槽(12)内に戻す循環用の配管系(18)と、を有する、自家用発電機等の試験装置において、
方形状をなす枠体(70)内に、略円筒状をなす通電槽(12)と該通電槽(12)内に配置される略円筒状をなす主電極(14)と前記通電槽(12)と主電極(14)の間に介在される略円筒状をなす可動絶縁体(16)とを備えた通電槽ユニット(28)が配置され、
通電槽(12)上方に位置する前記枠体(70)を構成する上枠板(71)には、複数の絶縁がいし(34)を介して導入管(20)の上端フランジ(72)が固着されて垂直下方向に延出する円筒パイプ状の導入管(20)が取り付けられ、
主電極(14)は、前記導入管(20)の下端部において、該導入管(20)の延出方向に向けて直線状に接続されて吊り下げ状態とされ、かつ通電槽(12)の軸心に沿い、導入管(20)の下端部に形成された排出口(73)を、接続された主電極(14)の上端部に接近させて取り付けられてなり、
導入管(20)の外周面は絶縁材(24)で被覆されると共に、内部の中空導入路(74)により配管系(18)の一部として通電槽(12)内に抵抗用液体(10)を送流し、かつ通電部材で構成された導入管(20)の中空導入路壁部(75)を介して、主電極(14)への送電をも行われる、ことを特徴とする自家用発電機等の電力供給試験装置。
【請求項2】(先願発明2)
前記導入管(20)の上端部側には通電槽(12)内への抵抗用液体(10)の流量を調整する流量調整部材(22)が接続されていることを特徴とする請求項1記載の自家用発電機等の電力供給試験装置。

[本件発明1について]
本件発明1と先願発明1とを対比すると、両者は次の点で相違する。
(相違点1)
本件発明1においては「3つの通電槽」及び「3つの主電極」と、通電槽及び主電極の数が「3つ」と限定されているのに対して、先願発明1においてはこのような数の限定がない点。
(相違点2)
本件発明1においては「主電極は、・・・通電槽内の上方位置あるいは通電槽の上方位置で着脱、交換可能に取り付けられており、」及び「該導入管に主電極が着脱、交換可能に取り付けられる」と、主電極は通電槽内の上方位置あるいは通電槽の上方位置で導入管に着脱、交換可能に取り付けられているのに対し、先願発明はこのような構成を有していない点。

上記相違点について検討する。
相違点1について、通電槽及び主電極の数を「3つ」と限定した点は、発電機として3相交流発電機が周知であって、その試験装置として通電槽及び主電極を「3つ」とすることは当業者が先願発明の実施に際して通常採用する事項であるから、格別の差異とはいえない。

相違点2について、本件発明は、特許明細書の記載によれば、「簡単に主電極を交換することができ、作業効率の高い自家用発電機等の出力特性試験装置を提供する」(段落番号[0010])ことを目的の一つとして相違点2の構成を採用し、この構成により「主電極14は通電槽12内の上方位置あるいは通電槽12の上方位置で導入管20に着脱、交換可能に取り付けられているので、試験対象となる自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれにも使用できる。」(段落番号[0021])ということを一つの作用とし、「主電極は着脱、交換可能に取り付けられているので、試験対象となる自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれにも使用でき、メンテナンスも容易に行える。」(段落番号[0056])ことを一つの効果とするものである。そうすると、本件発明1は、相違点2の構成により先願発明1とは異なる作用効果を奏するものである。
また、審判請求人は、主電極は通電槽内の上方位置あるいは通電槽の上方位置で導入管に着脱、交換可能に取り付けられているという点は、周知、慣用技術の付加、削除、転換等であると主張し、証拠方法として甲第4号証乃至甲第7号証を提出している。
しかし、甲第4号証では、絶縁筒4の底部においてロッド7に固定電極1が取り付けられているが、固定電極1は絶縁筒4内の上方位置あるいは絶縁筒4の上方位置でロッド7に取り付けられているものではなく、また、固定電極1がロッド7に着脱、交換可能に取り付けられているか明らかでない。甲第5号証では、電極23が支持棒24に取り付けられているが、電極23が着脱、交換可能に取り付けられているか明らかでない。甲第6号証では、支持棒24に電極4が取り付けられているが、着脱、交換可能に取り付けられているか明らかでない。さらに、甲第7号証には、主電極は、高圧小電流のものは直径が小で、低圧大電流のものは直径が大であると記載されているが、主電極が着脱、交換可能に取り付けられているかどうか明らかでない。してみると、主電極は通電槽内の上方位置あるいは通電槽の上方位置で導入管に着脱、交換可能に取り付けられているという相違点2の構成が、周知、慣用技術であるということはできない。

以上のことから、主電極は通電槽内の上方位置あるいは通電槽の上方位置で導入管に着脱、交換可能に取り付けられているという相違点2の構成が、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないということはできず、したがって、本件発明1が先願発明1と同一であるとすることはできない。

[本件発明2について]
本件発明2は本件発明1を引用し本件発明1を「主電極は試験対象の自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれをも選択、交換可能とされている」と限定するものである。
してみると、本件発明2と先願発明1とは、上記相違点2について述べたと同様の理由で、同一発明とすることはできない。

[本件発明3について]
本件発明3は本件発明1または本件発明2を引用し、これらを「通電槽への抵抗用液体の流量を調整する流量調整部材が設けられている」と限定するものである。
本件発明3と同様の限定が付加されている先願発明2と、本件発明3とを対比すると、両者は上記相違点1及び相違点2で相違する。
してみると、本件発明3と先願発明2とは、上記相違点2について述べたと同様の理由で、同一発明とすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1〜3に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
自家用発電機等の出力特性試験装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 抵抗用液体(10)が充填される略円筒状をなす3つの通電槽(12)と、
前記3つの通電槽(12)内に配置されて試験対象の自家用発電機等から電力の供給を受ける3つの主電極(14)と、
前記主電極(14)と通電槽(12)との間に、主電極(14)を覆うように介在され、主電極(14)から通電槽(12)への通電量を調整する可動絶縁体(16)と、
通電槽(12)内の抵抗用液体(10)を再利用するため、これを冷却又はろ過して再度通電槽(12)内に戻す循環用の配管系(18)と、
を有する、
自家用発電機等の試験装置において、
通電槽(12)上方に位置する枠体(70)を構成する上枠板(71)には、複数の絶縁がいし(34)を介して導入管(20)の上端フランジ(72)が固着されて垂直下方向に延出する円筒パイプ状の導入管(20)が取り付けられ、
主電極(14)は、通電槽(12)上方で支持されて吊り下げられた状態で通電槽(12)内に収納され、かつ、通電槽(12)内の上方位置あるいは通電槽(12)の上方位置で着脱、交換可能に取り付けられており、
配管系(18)の一部として通電槽(12)上方に設置され内部の中空導入路(74)により通電槽(12)内に抵抗用液体(10)を送流する導入管(20)の中空導入路壁部(75)を通電部材として、主電極(14)への送電が行われ、該導入管(20)に主電極(14)が着脱、交換可能に取り付けられると共に該導入管(20)の外周面は絶縁材(24)で被服されている、
ことを特徴とする自家用発電機等の出力特性試験装置。
【請求項2】 主電極(14)は試験対象の自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれをも選択、交換可能とされている、請求項1記載の自家用発電機等の出力特性試験装置。
【請求項3】 通電槽(12)への抵抗用液体(10)の流量を調整する流量調整部材(22)が設けられている、請求項1または請求項2記載の自家用発電機等の出力特性試験装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は自家用発電機等の出力特性試験装置に関するものである。
【0002】
高層ビルなどにおいて、停電などの緊急事態に対処するため設置されている自家用発電機等の出力特性が、この種の装置で試験される。
【0003】
【従来の技術】
図8には従来例が示されており、通電槽12内には主電極14が配置されており、主電極14の下部はブラケットを兼ねるターミナル50に固定された大径のボルト52へナット54で取り付け支持されている。
【0004】
主電極14と通電槽12の間および通電槽12とターミナル50の間には、絶縁用のがいし56が介在されており、通電槽12底部に穿設されたボルト貫通用の孔58の両端側には漏水防止用のパッキング60が取り付けられている。
【0005】
通電槽12には抵抗用液体10が充填され、主電極14へ通電するターミナル50および通電槽12は出力ケーブル62で図示しない自家用発電機に接続される。
【0006】
そして、通電槽12と主電極14との間で通電が所要時間行なわれ、自家用発電機の出力特性が試験される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の試験装置では、主電極14の下方をボルト52で支持しているので、通電槽12底部に穿設した孔58から漏水するおそれがある。
【0008】
特に試験中は通電によりボルト52が発熱して高温となるので、パッキング60やがいし56が損傷する可能性も高く、経年変化による劣化も早い。
【0009】
また、発熱によりボルト52が損傷することも考えられるが、ボルト52の耐久性を上げるためその径をこれ以上大きくするときわめてコスト高となる。
また、高電圧用の試験装置と低電圧用の試験装置の主電極14は、その径の大きさが異なり、1台の試験装置で双方の試験に対応するためには、前記主電極14をそれぞれに交換する必要があるが、かかる従来の試験装置ではその交換作業が面倒になると共に、交換作業をする度に通電槽12内の冷却用液体10を全部抜かなければならず、かなりの作業手間となっていた。
【0010】
本発明は上記従来の事情に鑑みなされたもので、その目的は、漏水のおそれがなく、電力供給試験を良好に行え、かつ簡単に主電極を交換することができ、作業効率の高い自家用発電機等の出力特性試験装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る試験装置は以下のように構成されている。
【0012】
図1乃至図7には本発明の構成が示されており、図示されるように抵抗用液体10が充填される略円筒状をなす3つの通電槽12には、試験対象となる自家用発電機等から電力の供給を受ける主電極14が配置されている。
そして、通電槽12上方の枠体70を構成する上枠板71には、複数の絶縁がいし34を介して導入管20の上端フランジ72が固着されて垂直下方向に延出する前記導入管20が横振り不可状態で取り付けられている。
【0013】
主電極14は通電槽12上方で支持されて吊り下げられた状態で通電槽12内に収納され、かつ、通電槽12内の上方位置あるいは通電槽12の上方位置で着脱、交換可能に取り付けられている。
【0014】
主電極14と通電槽12との間には、主電極14を覆うように、主電極14から通電槽12への通電量を調整する可動絶縁体16が介在されている。
【0015】
そして、通電槽12には、内部の抵抗用液体10を再利用するために冷却又はろ過して通電槽12へ戻す循環用の配管系18が接続されている。
【0016】
通電槽12上方には、配管系18の一部であり内部の中空導入路74により通電槽12内に抵抗用液体10を送る導入管20が設置されており、この導入管20の中空導入路壁部75を通電部材として主電極14への送電が行われる。
【0017】
また、この導入管20に主電極14が着脱、交換可能に取り付けられており、さらに、この導入管20の外周面は絶縁材24で被服されている。
【0018】
そして、試験対象の自家用発電機等の規格電圧に合わせて主電極14は低電圧用タイプ14a(図1(A)参照)または高電圧用タイプ14b(図1(B)参照)のいずれをも選択、交換可能とされている。
【0019】
さらに、以上の構成に加え、通電槽12へ送る抵抗用液体10の流量を調整する流量調整部材22が導入管20の基端側に設けられている。
【0020】
【作用】
本発明では、主電極14が通電槽12上方で支持され、吊り下げられた状態とされ、通電槽12上方の枠体70を構成する上枠板71には、複数の絶縁がいし34を介して導入管20の上端フランジ72が固着されて垂直下方向に延出する前記導入管20が横振り不可状態で取り付けられている。
よって、主電極14支持部材挿通用の孔を通電槽12の底部に穿設する必要がなく、主電極14の下端部がフリーの状態にもかかわらず、横振れしない強固な状態で前記主電極14を取り付けることが出来る。
【0021】
また、主電極14は通電槽12内の上方位置あるいは通電槽12の上方位置で導入管20に着脱、交換可能に取り付けられているので、試験対象となる自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれにも使用できる。
【0022】
また、主電極14への通電が行われる導入管20はその内部を流れる抵抗用液体10で冷却され、また前述のように絶縁材24で被覆されているので、放電による装置破壊のおそれがない。
すなわち、ここで導入管20が絶縁材24で被覆されておらず、かつその内部を流れる抵抗用液体10で冷却されない状態であると、前記導入管20自体が主電極14と同様のものとなる可能性があり、もってこの導入管20から主電極14への通電動作よりも、導入管20から直接通電槽12へ向かって放電したり、あるいは該導入管20から隣り合う他の導入管20や近接する昇降装置38に向かって放電したりする可能性が高くなり、ひいては装置破壊に至る可能性があるのである。
【0023】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例を説明する。
【0024】
図2には実施例の全体構成が示されており、三相交流電源を有する発電機を試験するため、連通槽26上部には1基の予備用を含めて合計4基の通電槽ユニット28が設けられている。
【0025】
すなわち、一般に使用される発電機が三相交流タイプであるので、これに合わせて通電槽ユニット28を3基設け、1基を予備用に設けているためである。
【0026】
通電槽ユニット28は、連通槽26上部に設けられた略円筒状の通電槽12と、吊り下げられた状態で通電槽12内に配置される主電極14と、通電槽12と主電極14との間に、前記主電極14を覆うように介在される可動絶縁体16とで構成されており、各通電槽12内には抵抗用液体(通常、水が使用される。)10が充填される。
【0027】
ここで、各通電槽12内には、その上方より、外周をテフロン等の絶縁材24で被覆された導入管20が垂下するように延出されて配設されており、導入管20の先端部では主電極14が着脱、交換可能に取り付けられている。
すなわち、通電槽12上方に位置する枠体70を構成する上枠板71には、複数の絶縁がいし34を介して導入管20の上端フランジ72が固着されており、もって垂直下方向に延出する前記導入管20が着脱、交換可能に取り付けられている。
主電極14は、前記導入管20の下端部において、該導入管20の延出方向、すなわち垂直に降下する方向に向けられて直線状に接続されており、吊り下げ状態にして着脱、交換可能に取り付けられている。また、通電槽12の軸心に沿って取り付けられている。
さらに、導入管20の下端部に形成された排出口73を、接続された主電極14の上端部に接近させた状態にして取り付けられている。
【0028】
通電槽12と主電極14との間に介在される略円筒状の可動絶縁体16は昇降装置38(図3参照)で支持されている。
【0029】
また、前記連通槽26は、その上に載置された各通電槽12・・・内の抵抗用液体10を集水し、ラジエータ32に送流する役目を果たしている。
【0030】
さらに該連通槽26は、運転中の通電槽12・・・内に発生したエアを内部に導入し、これを運転していない予備の通電槽12に移動させそこでエア抜きさせる役目を有している。
すなわち、通電槽12に多くエアが混在している状態での通電はアークが発生するものとなり、負荷バランスに悪影響を与え、正確な試験が行えないからである。
【0031】
通電槽12の上方にはタンク40が設けられており、タンク40は耐電圧、耐触のフレキシブルホース42で各導入管20に接続されている。
【0032】
タンク40には抵抗用液体10を供給する導入本管21が取り付けられており、タンク40とフレキシブルホース42との間には導入管20へ流れる抵抗用液体10の流量を調整する流量調整バルブ22が取り付けられている。
【0033】
また、通電槽12下方の連通槽26には抵抗用液体10を排出する排水管44が取り付けられており、排水管44にはポンプ46が取り付けられている。
【0034】
排水管44はラジエータ32に接続されており、ラジエータ32の出口側には導入本管21が接続されている。
【0035】
また、排水管44と導入本管21は、ろ過装置48にも接続されており、抵抗用液体10はラジエータ32を通らずろ過装置44でろ過される場合がある。
【0036】
また、導入管20の上端部には絶縁がいし34(図3参照)を介して接続端子バー36(図3参照)が取り付けられており、該接続端子バー36と通電槽12側の端子(図示していない)には試験対象となる自家用発電機側のケーブルが接続される。
【0037】
図4および図5には主電極14の構成が示されている。
【0038】
図4には略円筒形状の主電極14aが示されており、このタイプは200〜400Vの低電圧型発電機の試験に使用される。
【0039】
図5には細長円筒状で縦断面が小判型の主電極14bが示されており、このタイプは3300〜6600Vの高電圧型発電機の試験に使用される。
【0040】
これらの主電極14a,14bはフランジ15を介して導入管20に着脱可能に接続され、発電機の規格電圧に合わせて簡単に選択、交換が可能である。
【0041】
また、導入管20との接続部分にはフランジ15を用いるほか、図6のようにソケット17を用いたり、また、図7のように一方に雌ねじを形成し、他方に雄ねじを形成してねじ込み可能としてもよい。
さらに、主電極14と導入管20とを一体化しておき、導入管20の上端を通電槽12の上方で固定した箇所で脱着、交換できるようにしても構わない。
【0042】
次に実施例の作用について説明する。
【0043】
図示しない自家用発電機が駆動されると、主電極14と通電槽12との間で通電が行なわれ、その出力特性試験が開始される。
【0044】
試験時には可動絶縁体16が昇降装置38で上下動され、これにより主電極14と通電槽12との通電可能な面積が変化し、通電量の調整が行なわれる。
【0045】
また、通電により温度上昇した各通電槽12・・・内の抵抗用液体10は、ポンプ46により連通槽26から排水管44を通ってラジエータ32に送られ、ラジエータ32で熱交換、すなわち冷却された後、導入本管21を経由して膨張タンク40にプールされ、フレキシブルホース42と導入管20を通って再び各通電槽12に供給される。
【0046】
その際には予備の通電槽ユニット28側の流量調整バルブ22が閉じられ、他の3基の通電槽ユニット28において抵抗用液体12の循環が行なわれる。
【0047】
このように予備の通電槽12に抵抗用液体10を循環させることはないが、この予備用の通電槽12内に存する抵抗用液体10は連通槽26を介して他の通電槽12内の抵抗用液体10と混在することとなり、このため稼動される3基の通電槽12における抵抗用液体10の温度が前記流量調整バルブ22による流量調整とも相まってほぼ均一となるので、各槽での負荷のバランスが良好となり、試験を正確に行なえることになる。
【0048】
また、運転中に抵抗用液体10の温度が設定値以上に上昇するのを防ぐため、ラジエータ32はファン33で冷却される。
なお、抵抗用液体10は必要によりろ過装置48でろ過される(主に高電圧の試験に供される場合である)。
【0049】
以上説明したように本実施例によれば、主電極14はその上部を導入管20で支持され、吊り下げられた状態で通電槽12内に配置されるので、主電極14支持部材取り付けのための貫通箇所を通電槽12(連通槽20)底部に形成する必要がなく、このため、漏水するおそれが全くない。
【0050】
さらに、主電極14の取り付けに際し特注部品を使用することがないので、製造コストの高騰を招くおそれもない。
【0051】
また、主電極14は着脱、交換可能に取り付けられているので、試験対象となる自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれにも使用でき、メンテナンスも容易に行える。
【0052】
また、主電極14への通電が行われる導入管20は、その内部を流れる抵抗用液体10で冷却され、さらに絶縁材24で被覆されているので、放電による装置破壊のおそれがない。したがって、安全かつ良好に試験を行える。
すなわち、前記したように、ここで導入管20が絶縁材24で被覆されておらず、かつその内部を流れる抵抗用液体10で冷却されない状態であると、前記導入管20自体が主電極14と同様のものとなる可能性があり、もってこの導入管20から主電極14への通電動作よりも、導入管20から直接通電槽12へ向かって放電したり、あるいは当該導入管20から隣り合う他の導入管20や近接する昇降装置38に向かって放電したりする可能性が高くなり、ひいては装置破壊に至る可能性があるのである。
【0053】
また、通電槽12に供給される抵抗用液体10の流量を流量調整バルブ22で調整できるので、よりきめこまかい水温の制御が行える。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、主電極は吊り下げられた状態で通電槽内に配置されるので、通電槽底部に貫通箇所を形成する必要がなく、このため、漏水するおそれが全くない。
【0055】
さらに、主電極の取り付けに際し特注部品を使用することがないので、製造コストの高騰を招くおそれもない。
【0056】
また、主電極は着脱、交換可能に取り付けられているので、試験対象となる自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれにも使用でき、メンテナンスも容易に行える。
【0057】
また、主電極への通電が行われる通電部材たる導入管は、その内部を流れる抵抗用液体で冷却され、かつ、絶縁材で覆われているので、放電による装置破壊のおそれがなく、このため、安全かつ良好に試験を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の全体構成を示す概要図である。
【図2】
実施例の全体構成を示す正面図である。
【図3】
図2の側面図である。
【図4】
主電極の取り付け状態を示す部分断面図(その1)である。
【図5】
主電極の取り付け状態を示す部分断面図(その2)である。
【図6】
主電極と導入管との接続例をしめす部分拡大図(その1)である。
【図7】
主電極と導入管との接続例をしめす部分拡大図(その2)である。
【図8】
従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
10 抵抗用液体
12 通電槽
14 主電極
16 可動絶縁体
18 配管系
20 導入管
22 流量調整バルブ
24 絶縁材
26 連通槽
28 通電槽ユニット
32 ラジエータ
34 絶縁がいし
36 接続端子バー
38 昇降装置
40 タンク
42 フレキシブルホース
44 排水管
46 ポンプ
48 ろ過装置
【図面】



 
訂正の要旨 訂正の要旨
(A)特許請求の範囲の請求項1を、「抵抗用液体(10)が充填される略円筒状をなす3つの通電槽(12)と、
前記3つの通電槽(12)内に配置されて試験対象の自家用発電機等から電力の供給を受ける3つの主電極(14)と、
前記主電極(14)と通電槽(12)との間に、主電極(14)を覆うように介在され、主電極(14)から通電槽(12)への通電量を調整する可動絶縁体(16)と、
通電槽(12)内の抵抗用液体(10)を再利用するため、これを冷却又はろ過して再度通電槽(12)内に戻す循環用の配管系(18)と、
を有する、
自家用発電機等の試験装置において、
通電槽(12)上方に位置する枠体(70)を構成する上枠板(71)には、複数の絶縁がいし(34)を介して導入管(20)の上端フランジ(72)が固着されて垂直下方向に延出する円筒パイプ状の導入管(20)が取り付けられ、
主電極(14)は、通電槽(12)上方で支持されて吊り下げられた状態で通電槽(12)内に収納され、かつ、通電槽(12)内の上方位置あるいは通電槽(12)の上方位置で着脱、交換可能に取り付けられており、
配管系(18)の一部として通電槽(12)上方に設置され内部の中空導入路(74)により通電槽(12)内に抵抗用液体(10)を送流する導入管(20)の中空導入路壁部(75)を通電部材として、主電極(14)への送電が行われ、該導入管(20)に主電極(14)が着脱、交換可能に取り付けられると共に該導入管(20)の外周面は絶縁材(24)で被服されている、
ことを特徴とする自家用発電機等の出力特性試験装置。」と訂正する。
(B)特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(C)特許公報第2頁第4欄第9行目から第2頁第4欄第47行目に記載した「【0012】図1には、・・・いずれにも使用できる。」を下記の通りに訂正する。
「【0012】
図1乃至図7には本発明の構成が示されており、図示されるように抵抗用液体10が充填される略円筒状をなす3つの通電槽12には、試験対象となる自家用発電機等から電力の供給を受ける主電極14が配置されている。
そして、通電槽12上方の枠体70を構成する上枠板71には、複数の絶縁がいし34を介して導入管20の上端フランジ72が固着されて垂直下方向に延出する前記導入管20が横振り不可状態で取り付けられている。
【0013】
主電極14は通電槽12上方で支持されて吊り下げられた状態で通電槽12内に収納され、かつ、通電槽12内の上方位置あるいは通電槽12の上方位置で着脱、交換可能に取り付けられている。
【0014】
主電極14と通電槽12との間には、主電極14を覆うように、主電極14から通電槽12への通電量を調整する可動絶縁体16が介在されている。
【0015】
そして、通電槽12には、内部の抵抗用液体10を再利用するために冷却又はろ過して通電槽12へ戻す循環用の配管系18が接続されている。
【0016】
通電槽12上方には、配管系18の一部であり内部の中空導入路74により通電槽12内に抵抗用液体10を送る導入管20が設置されており、この導入管20の中空導入路壁部75を通電部材として主電極14への送電が行われる。
【0017】
また、この導入管20に主電極14が着脱、交換可能に取り付けられており、さらに、この導入管20の外周面は絶縁材24で被服されている。
【0018】
そして、試験対象の自家用発電機等の規格電圧に合わせて主電極14は低電圧用タイプ14a(図1(A)参照)または高電圧用タイプ14b(図1(B)参照)のいずれをも選択、交換可能とされている。
【0019】
さらに、以上の構成に加え、通電槽12へ送る抵抗用液体10の流量を調整する流量調整部材22が導入管20の基端側に設けられている。
【0020】
【作用】
本発明では、主電極14が通電槽12上方で支持され、吊り下げられた状態とされ、通電槽12上方の枠体70を構成する上枠板71には、複数の絶縁がいし34を介して導入管20の上端フランジ72が固着されて垂直下方に延出する前記導入管20が横振り不可状態で取り付けられている。
よって、主電極14支持部材挿通用の孔を通電槽12の底部に穿設する必要がなく、主電極14の下端部がフリーの状態にもかかわらず、横振れしない強固な状態で前記主電極14を取り付けることが出来る。
【0021】
また、主電極14は通電槽12内の上方位置あるいは通電槽12の上方位置で導入管20に着脱、交換可能に取り付けられているので、試験対象となる自家用発電機等の規格電圧に合わせて低電圧用または高電圧用のいずれにも使用できる。」
(D)特許公報第3頁第5欄第29行目から第3頁第5欄第33行目の「【0027】ここで、各通電槽12内には、・・・取り付けられている。」を下記の通り訂正する。
「【0027】
ここで、各通電槽12内には、その上方より、外周をテフロン等の絶縁材24で被覆された導入管20が垂下するように延出されて配設されており、導入管20の先端部では主電極14が着脱、交換可能に取り付けられている。
すなわち、通電槽12上方に位置する枠体70を構成する上枠板71には、複数の絶縁がいし34を介して導入管20の上端フランジ72が固着されており、もって垂直下方向に延出する前記導入管20が着脱、交換可能に取り付けられている。
主電極14は、前記導入管20の下端部において、該導入管20の延出方向、すなわち垂直に降下する方向に向けられて直線状に接続されており、吊り下げ状態にして着脱、交換可能に取り付けられている。また、通電槽12の軸心に沿って取り付けられている。
さらに、導入管20の下端部に形成された排出口73を、接続された主電極14の上端部に接近させた状態にして取り付けられている。」
(E)図面図1乃至図3に符号を書き加えて別紙添付した図1乃至図3に差し替える。
審理終結日 2002-02-19 
結審通知日 2002-02-22 
審決日 2002-03-05 
出願番号 特願平3-100180
審決分類 P 1 112・ 531- YA (G01R)
P 1 112・ 4- YA (G01R)
P 1 112・ 534- YA (G01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 濱本 禎広  
特許庁審判長 寺山 啓進
特許庁審判官 山川 雅也
高橋 泰史
登録日 1997-01-09 
登録番号 特許第2598843号(P2598843)
発明の名称 自家用発電機等の出力特性試験装置  
代理人 菅 隆彦  
代理人 伊藤 儀一郎  
代理人 伊藤 儀一郎  
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