• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65H
管理番号 1061103
異議申立番号 異議2001-70458  
総通号数 32 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-12-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-02-13 
確定日 2002-05-01 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3075283号「画像形成装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3075283号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
特許第3075283号の請求項1乃至4に係る発明についての出願は、平成1年3月3日に出願された特願平1-51559号の一部を新たな出願として出願されたものであって、平成12年6月9日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人須藤軍二、小湊勇次、林久美子及び小山英子より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成13年8月24日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1の
「用紙に記録を行う記録部と、
前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、
前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、
前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、
画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材と、
揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に連動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。」
とあるのを、
「用紙に記録を行う記録部と、
前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、
前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、
前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、
画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材と、
前記ドア部材とは別体として揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に運動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。」
と訂正する。
訂正事項b:段落【0006】の
「【課題を解決するための手段】本発明は、用紙に画像の記録を行う画像形成装置に関する。本発明の請求項1の発明は、用紙に記録を行う記録部と、前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材と、揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に運動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする。」とあるのを、
「【課題を解決するための手段】本発明は、用紙に画像の記録を行う画像形成装置に関する。本発明の請求項1の発明は、用紙に記録を行う記録部と、前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、画像形成装置本体に対して設けられ、前記ドア部材とは別体として揺動して上方が開閉するドア部材と、揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に運動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする。」
と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aについて:
特許請求範囲の請求項1に記載された「ガイド部」が「前記ドア部材とは別体として揺動する」ものであることを限定したものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当し、また、ガイド部をドア部材に揺動自在に設けることは、段落【0038】に記載されており、実質的上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
訂正事項bについて:
訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正に該当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質的上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立についての判断
(1)申立の理由の概要
異議申立人須藤軍二は、甲第1号証(特開昭64-8133号公報)、甲第2号証(特開昭62-36248号公報)及び甲第3号証(特開平2-231324号公報)を提出し、本件の請求項1乃至4に係る特許発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明であり、あるいは、少なくとも甲第1号証乃至甲第3号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるので特許法第29条第1,2項の規定に違反して特許されたものであり、明細書の記載に不備があるので、特許法第36条第3項及び第4項にも違反しており、
異議申立人小湊勇次は、甲第1号証(実願昭61-81016号(実開昭62-194634号)のマイクロフィルム))、甲第2号証(特開昭64-53944号公報)及び甲第3号証(特開昭64-8133号公報)を提出し、本件の請求項1乃至4に係る特許発明は、甲第1号証及び甲第2号証または甲第3号証にに記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるので特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであり、
異議申立人小山英子は、甲第1号証(特開平2-193827号公報)を提出し、本件の請求項1乃至4に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものであり、
異議申立人林久美子は、甲第1号証(特開昭64-8133号公報)を提出し、本件の請求項1乃至4に係る特許発明は、甲第1号証に記載された発明であり、あるいは、少なくとも甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に発明できたものであるので特許法第29条第1,2項の規定に違反して特許されたものであり、本件の請求項1乃至4に係る発明についての特許を取り消すべき旨主張している。

(2)本件発明
上記訂正が認められるから、本件の請求項1乃至4に係る発明(以下、「本件発明1乃至4」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至4に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1乃至4に係る発明は、以下のものである。

【請求項1】用紙に記録を行う記録部と、
前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、
前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、
前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、
画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材と、
前記ドア部材とは別体として揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に運動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】前記ガイド部が前記ドア部材の開閉動作に連動して開放されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】前記ドア部材は、前記搬送装置をカバーするものであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】前記ガイド部は、用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路の一部を形成するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。

(3)引用刊行物に記載された発明
当審が平成13年6月21日付けで通知した取消しの理由において引用した刊行物1(実願昭61-81016号(実開昭62-194634号)のマイクロフィルム)、刊行物2(特開昭64-53944号公報)、刊行物3(特開昭64-8133号公報)及び刊行物4(特開昭59-207364号公報)には、それぞれ以下のものが記載されている。
ア.刊行物1(実願昭61-81016号(実開昭62-194634号)のマイクロフィルム)
アー1.「複写機本体10内には感光体ドラム14が回転自在に設けられており、…感光体ドラム14は帯電コロトロン16により一様に帯電され、次いで走査露光装置18により原稿に対応する静電潜像が感光体ドラム14状に形成される。…感光体ドラム14上の静電潜像は現像装置38により現像され可視像化される。…感光体ドラム14上のトナー像は…搬送されてきたコピー用紙に転写コロトロン44の作用により転写され、…トナー像の転写されたコピー用紙は、…定着装置48により定着されて、…排出される。」(第4頁13行〜第5頁16行参照)
アー2.「フィードロール66が駆動されると、給紙トレー64中のコピー用紙が送出され、搬送口一ラ対68により…搬送され」(第6頁8〜11行参照)
アー3.「給紙トレー64は、…通常の給紙トレーとしても使用できる」(第6頁19行〜第7頁2行参照)
アー4.「給紙トレー70中に収納されたコピー用紙は、フィードローラ72を回転駆動することにより送出され、搬送口一ラ対74、68により転写位置まで搬送される。一方給紙トレー76中に収納されたコピー用紙は、フィードローラ78を回転駆動することにより送出され、搬送口-ラ対80、74、68により転写位置まで搬送される。」(第7頁3〜9行参照)
アー5.「82、84はキャビネット12の側壁であり、それぞれ軸86、88の回りに回動自在に取り付けられており、それぞれの上端部分が複写機本体10の下部側壁を構成するようになっている。」(第7頁10〜13行参照)

イ.刊行物2(特開昭64-53944号公報)
イー1.「シート部材を搬送経路に導く送給経路(第1の送給経路40及び第2の送給経路46)のー部を開放するために設けられた開閉部材52」(第4頁右上欄3〜5行参照)
イー2.「プレート状部材68の片面(内面)には、シート部材の送給方向に対して垂直な方向…に間隔を置いて複数の案内突条86が設けられている。…従って、かかる開閉部材52が上記開位置にあるときには、…送給経路(第1の送給経路40及び第2の送給経路46)を閉じ、送給経路の一部を規定する。」(第4頁右下欄12行〜第5頁左上欄5行参照)
イー3.「開閉部材52を開位置にせしめると送給経路の一部…が所要の通り開放され、それ故に、送給経路にてシート部材が詰まった場合に開閉部材52を開位置にせしめることによって詰まったシート状部材を容易に取り除くことができる。」(第6頁右上欄14行〜左下欄4行目参照)

ウ.刊行物3(特開昭64-8133号公報)
ウー1.「…50は給紙装置本体としてのフィーダ本体であり、このフィーダ本体50内には上下2段のカセット収納部55、55′が形成され、これらカセット収納部55、55′には、用紙Pを収納したカセット26、27が収納されている。…カセット収納部55、55′の上部には、カセット26、27内の用紙Pを1枚ずつ取り出す取出し手段としての給紙ローラ28、28′が配設されている。…上段カセット26から給紙口一ラ28′を介して取り出された用紙Pは、上部ガイド64で案内された後、上部アライニングローラ対29′で先端を整位され、…また、下段カセット27から給紙口一ラ28を介して取り出された用紙Pは、中間ガイド下部ガイド67で案内された後、下部アライニングローラ対29で先端を整位され、ついで、中間ガイド68で案内された後、上部アライニングローラ対29′で挟持搬送され…。
…ドア80は軸70を支点として矢印c方向に開く。そして、ドア80の裏側に装備された前記送出手段55の全体が露出し、該送出手段55により構成される給送路85に詰まった用紙Pの取り除き作業や保守点検作業が極めて容易に行うことが可能となる。…ドア80に装着されている中間ガイド68」(第3頁石上欄12行〜第4頁左上欄9行参照)

エ.刊行物4(特開昭59-207364号公報)
エー1.「本発明は複写機・印刷器・記録器・その他シートを搬送する機構を具備する各種機械等の搬送部開閉装置に関するものである。」(第1頁左下欄13行〜15行参照)
エー2.「シート搬送装置内に詰まったシートを除去する場合にシート搬送経路を開放して、その搬送路内のシートを取り除く方法が行われている」(第1頁左下欄16行〜19行参照)

(4)対比・判断
刊行物1には、画像形成装置の側部に沿って上下方向に用紙搬送路を構成し、該用紙搬送路の開放を行うものが記載されており、画像形成蔵置は、記録部、記録部よりも下方に上下方向に複数段配置された給紙トレイ、給紙手段、用紙を下から上に向かって導く搬送路が記載されている。そして、搬送路に沿った側壁の上部が開閉可能なドア構造となっている。なお、権利者は平成13年8月24日付け特許異議意見書において、「刊行物1には、キャビネットの内部については、搬送ローラ対80、74、68が示されているが、用紙搬送路の構成についての記載はない。」(第3頁第27〜29行参照)と主張しているが、給紙トレー64、70、76から給紙された用紙が搬送ローラ68、74、80により上部に搬送されていくのであるから、搬送路は記載されているというべきである。
本件発明1と刊行物1に記載されたものとを対比すると、両者は、用紙に記録を行う記録部と、前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材とを備えたことを特徴とする画像形成装置である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点:本件発明1において、ドア部材とは別体として揺動して上方が開閉可能であって、ドア部材の閉じ動作に運動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部が設けられているのに対して、刊行物1に記載されたものにおいては、ガイド部材が全く設けられていない点。

そこで、上記相違点について検討する。
一般に、開閉部材に用紙をガイドする部材を設け、ガイド部材が用紙搬送路の一部を構成するようにしたものはよく知られており、刊行物2乃至4に記載されたものは、開閉部材にガイド部材を設けるようにした周知のものの具体例である。そして、刊行物4には、ガイド部材をドア部材と別体として揺動し、上方に開閉可能に揺動するものが記載されている(第2図参照)。
ガイド部材を揺動するように取り付けた場合、用紙の流れに沿うように揺動させることは当業者が当然配慮すべき設計的事項であり、用紙が下から上方に搬送される場合、下向きに揺動させた場合用紙がガイド部材に巻き込まれてしまうおそれがあることは当業者にとって明らかであるので、本件発明1において、ドア部材とは別体として揺動し、ドア部材の閉じ動作に運動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部を設け、ガイド部が搬送路を構成するようにした点は、刊行物4に記載された上記技術事項から当業者が容易に想到できたものと認められる。
よって本件発明1は、刊行物1乃至4に記載されたものから当業者が容易に発明できたものと認められる。

さらに、本件発明2乃至4について検討すると、それぞれの発明で特定されている事項である、「ガイド部材がドア部材の開閉動作に連動して開放されること」、「ドア部材は、前記搬送装置をカバーするものであること」、「ガイド部材は用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路の一部を形成すること」は、何れも刊行物2乃至4に記載されているので、本件発明2乃至4は何れも、刊行物1乃至4に記載されたものから当業者が容易に発明できたものと認められる。

(5)むすび
以上のとおり、本件発明1乃至4は、上記刊行物1乃至4に記載のものから当業者が容易に発明することができたものであるから、本件発明1乃至4についての特許は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認める。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像形成装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】用紙に記録を行う記録部と、
前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、
前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、
前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、
前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、
画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材と、
前記ドア部材とは別体として揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に連動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 前記ガイド部が前記ドア部材の開閉動作に連動して開放されることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】 前記ドア部材は、前記搬送装置をカバーするものであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】 前記ガイド部は、用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路の一部を形成するものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機やプリンター等の画像形成装置に関し、特に、用紙搬送路の開放を容易に行い得るように構成した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】用紙トレイ等を本体フレームの前面から出し入れするように構成された装置は、通常フロントローディングタイプの装置等と呼ばれており、給紙カセット等を本体の側部から装着する装置に比較して、本体の設置スペースを少なく出来る等の利点があるために、最近多く用いられている給紙手段である。前記したような用紙トレイを正面から出し入れすることが出来るような画像形成装置としては、例えば、実開昭62-194634号公報等に示されるように、多数の用紙トレイを多段に配置して、それぞれの用紙トレイから給紙路を介して任意の用紙を送り出し、感光体ドラム等の画像転写部に向けてを給紙出来るようにされる。
【0003】前記画像形成装置では、記録部と1つの用紙トレイによる給紙部とを一体に形成した上部フレームと、多数の用紙トレイと中間トレイとを組込んだ下部フレームとを組合せて構成し、前記2つのフレームの両側部を縦方向に貫通するようにして、上下に用紙を案内するための給紙路と戻し路とを配置している。そして、用紙トレイからの給紙により通常の記録紙を作成することと、片面複写済み用紙に対してその裏面に画像を転写して、両面コピーを作成することや、片面複写済み用紙の画像面に別の画像を転写して多重コピーを作成すること等の、任意の記録紙作成モードを選択出来るように構成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記したような従来の装置においては、多数の用紙トレイを縦方向に並べて構成した給紙装置においては、その側部に上下に貫通させるように用紙搬送路を設けているが、前記用紙搬送路において、用紙のジャム等が発生したときに、前記用紙搬送路を開放する作業が面倒であるという問題があり、用紙搬送路の構成を簡素化して容易に開閉可能とし、点検やジャム処理を容易に行い得るような装置が求められている。
【0005】
【発明の目的】本発明は、上記したような従来の画像形成装置の欠点を解消するもので、画像形成装置本体に設けたカバーとしてのドアを開閉することにより、用紙搬送路を容易に開閉でき、ジャム紙の処理等の動作を容易に行い得るように構成した装置を提供することを目的としている。
【0006】【課題を解決するための手段】本発明は、用紙に画像の記録を行う画像形成装置に関する。本発明の請求項1の発明は、用紙に記録を行う記録部と、前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材と、前記ドア部材とは別体として揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に連動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする。
【0007】請求項2の発明は、前記ガイド部が前記ドア部材の開閉動作に連動して開放されることを特徴とする。
【0008】請求項3の発明は、前記ドア部材は、前記搬送装置をカバーするものであることを特徴とする。請求項4の発明は、前記ガイド部は、用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路の一部を形成するものであることを特徴とする。
【0009】本発明の装置は、前述したように構成したものであるから、装置本体に設けたドア部材を容易に開閉することができる。また、前記ドア部材を開閉することにより、同時に用紙搬送路を開閉するので、用紙のジャム等を容易に処理することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】図示された例に従って、本発明の装置の実施例の構成を説明する。図1および図2に示される例は、画像形成装置1としての機構を複写機に適用する場合を示しているもので、該画像形成装置1は、例えばゼログラフィー方式の機構を設けた上部装置10と、主として給紙装置を装備した下部装置30とから構成される。前記画像形成装置1において、上部装置10には、一般の複写機の場合と同様に上部にプラテン12を設けて、該プラテンの上面に対して、プラテンカバー13を開閉可能に設けており、その複写のモードの選択や、複写の枚数の設定その他の走査を行うために、コントロールパネル11を設けている。
【0011】図1に示されるように、画像形成装置においては、複数個の用紙トレイ5、5a〜5cを上下方向に重ねる状態で収容しており、それぞれの用紙トレイから任意に用紙を送り出すことが出来るように構成される。前記画像形成装置において、上部装置10には画像読取り装置および感光体ドラム15と、該感光体ドラムの周囲に配置されるゼログラフィー方式の各機構等が設けられるとともに、1つの用紙トレイ5と、その用紙トレイに対応して配置される給紙装置ユニット6とが設けられている。
【0012】また、下部装置30には、複数個の用紙トレイが上下方向に重なるようにして配置されており、それぞれの用紙トレイの給紙部には給紙装置ユニット6a〜6cが設けられている。なお、前記画像形成装置に設けられる用紙トレイは、本体フレームの前部分から挿脱出来るような形式の、いわゆるフロントローディングタイプの装置として構成されているもので、それ等の用紙トレイの一方の側部から、給紙装置ユニットによって用紙を送出すことが出来るように構成される。また、上下の装置の両側の部分には、それ等の装置を上下に貫通する状態で、用紙トレイから記録部に向けて用紙を送り出すための用紙搬送路と、コピーを下部装置に設けた中間トレイに向けて搬送するための戻し路40とを設けている。
【0013】前記下部装置30において、用紙トレイの間の所定の位置には、中間トレイ5dを配置しており、片面複写済み用紙を該中間トレイを通し、給紙装置ユニット6dを介して、再び画像転写部に向けて送り出すことによって、多重複写や両面複写等の任意の複写のモードを選択することが出来る。なお、図示される画像形成装置の実施例においては、最下部の用紙トレイ5cは、大容量トレイとして構成されている。また、前記大容量のトレイの下部には、該トレイ5cを引き出した際に、その先端部分を支持するためのキャスターが設けられている。そして、そのトレイ5cを引き出す際に、後述するように、トレイの重量が本体フレームに付加されることがないようにされる。
【0014】前記画像形成装置の本体フレームの側部のカバー部材は、図示されるように、用紙搬送路の外カバーとしての側ドア33、34が設けられている。そして、前記側ドアを奥側のヒンジを介して揺動可能に設け、用紙搬送路内でのジャム処理や、後述するような給紙装置のメンテナンス等に際して、該側ドアを開くことによって、容易にメンテナンスを行うことが出来るように構成されている。すなわち、前記画像形成装置においては、側ドアを開いた際に、手前側が上下に広い開口を形成できるので、ジャム紙等の処理を行う場合に容易に手を挿入したりすることが可能になる。
【0015】前記側ドアは、下部装置に対して配置した場合の例を図示しているが、その側ドア33は、上部装置10の給紙装置ユニットの部分をも同時にカバーすることが出来る。また、図1の例においては、上部装置10の給紙装置ユニットの側には、側カバーを下部のヒンジを介して開閉可能に設けることが可能である。さらに、装置の他方の側に設けられる側ドア34は、上部装置10から片面複写済み用紙を戻すための戻し路のカバー部材として設けられており、該ドア34には戻し路から中間トレイ50への分岐を行うための分岐爪44が設けられている。
【0016】
【画像形成装置の動作】前述した画像形成装置において、上部装置10の内部には、プラテン12上に載置された原稿の画像を走査するための光学系装置14と、感光体ドラム15、現像装置16、およびクリーニング装置17等が配置されており、光学系装置から伝達される光によって、感光体ドラム15に静電潜像を形成し、その静電潜像にトナーを付着させてトナー画像として可視像化する。また、前述したゼログラフィー方式の装置の画像転写部分に向けて用紙搬送路が設けられており、例えば、用紙トレイ5から取り出される用紙は、該用紙トレイに対応した位置に配置される給紙装置ユニット6によって給紙が行われる。
【0017】そして、ゲート21および先端位置決め装置を通って、感光体ドラム15と転写コロトロン22との間を通過する際に、感光体ドラム15の画像が転写され、搬送装置23によって移動されて定着装置18において加熱と加圧とが行なわれて、トナーが溶融されて紙に付着され、コピーが形成されて、排出路を介して排出トレイ25に排出される。
【0018】また、前記上部装置10には、コピーの排出路の途中に分岐爪24が設けられていて、複写のモードが多重または両面複写の場合には、前記分岐爪を介して戻し路26に向けて送り出され、それぞれに対応した用紙の移動が行われる。前記上部装置に対応して配置される下部装置30には、前述したように、複数の用紙トレイ5a〜5cが設けられており、それぞれの用紙トレイに対応させて、給紙装置ユニット6a〜6cが配置されている。
【0019】前述した複数の用紙トレイに対して、給紙装置ユニットが一方の側に配置されており、それ等の給紙装置ユニットには、後述するように、ピックアップローラと用紙さばき機構、および、縦方向への搬送機構として、搬送ローラ装置等が一体に組合せられた給紙装置ユニット6、6a〜6cが配置され、該給紙装置ユニットを上下に接続する用紙搬送路を形成するガイド板等が、そのユニットに一体に形成されている。
【0020】前記上部装置10の排出路から、分岐爪24を介して分岐される戻し路の下部は、下部装置30の用紙搬送路とは反対側に配置された戻し路40に接続される。この下部装置に設けた戻し路40には、一方向に駆動される搬送ローラ装置41が所定の間隔で配置しており、その途中に設けた切換爪44の部分から下側を反転路42として構成している。また、前記反転路42には、正逆方向に駆動が行われる反転ローラ43を、所定の間隔で設けている。
【0021】前述したように構成される戻し路40において、定着装置18を通って排出される片面複写済み用紙は、通常のコピーモードの場合には、前述したように直接排出トレイ25に向けて排出される。また、複写のモードが多重または両面コピーである場合には、切換爪24を揺動させて戻し路26に向けて案内し、カール修正装置27を介して下部装置30の戻し路40に案内する。そして、複写のモードが多重複写に設定されている場合には、片面複写済み用紙を切換爪44を介して中間トレイ5dに案内し、そのままの状態で、給紙部6dを用いて給紙路から画像転写部に向けて搬送する。
【0022】これに対して、複写のモードが両面複写である場合には、戻し路40から反転路42に向けて片面複写済み用紙を移動させ、その用紙の後端部が切換爪44の部分を通過したことを検知すると、反転ローラ43の駆動を切換えるとともに、切換爪44を揺動させて、用紙を中間トレイ5dに導入する。そして、中間トレイ5d内で斜め送りローラ52によってその用紙の側部の位置決めを行い、ゲート53によって先端部の位置決めを行ってから、感光体ドラムに形成される画像のタイミングに合せて、給紙部6dを用いて給紙して、片面複写済み用紙の裏面に別の画像を転写することが出来るようにされる。
【0023】前述したように構成された画像形成装置の下部装置30には、用紙トレイと給紙装置ユニットとを組合せた給紙部に対して、その所定の位置に中間トレイ5dが配置される。この中間トレイ5dは、前述した実開昭62-194634号公報等に示されるように、片面複写済み用紙を複数枚収容しておき、多重または両面複写に際して、その中間トレイから片面複写済み用紙を順次送り出すような機構のトレイではなく、片面複写済み用紙を1枚受入れた後で、裏面または多重複写に向けて、片面複写済み用紙を直ちに送り出すことが出来るようなトレイとして構成されている。
【0024】したがって、前記画像形成装置においては、例えば、複数枚の両面コピーを連続して作成する場合には、装置本体に装備した自動原稿送り装置等を用いて、原稿を循環させたりすること等によって、片面複写済み用紙を作成する動作と、裏面に対する画像の転写等の動作を連続して行う動作を繰返すことが出来る。また、前記中間トレイを従来の中間トレイ装置の場合と同様な機構を有するものとして構成した場合には、前記従来例に示されたように、片面複写済み用紙を中間トレイに堆積させて、裏面または多重複写に向けて順次排出させるように構成することも出来る。
【0025】
【給紙装置ユニットの構成】以下に前記画像形成装置における各構成部材の機構と、その動作とを説明する。前述したように、画像形成装置1においては、多数の用紙トレイを上下方向に重ねた状態で配置し、それ等の用紙トレイから給紙装置ユニットを用いて給紙の動作を行うことが出来るように構成されている。前記給紙装置ユニットは、図3に示されるように、上部装置10の用紙トレイに対応させた給紙装置ユニット6と、下部装置に装着する用紙トレイと、中間トレイとに対応させた給紙装置ユニット6a〜6cとから構成されるが、これ等の給紙装置ユニットは、本体フレーム31に対して、各々が独立した状態で個別に支持されるようになっている。
【0026】前記各給紙装置ユニットを本体フレーム31に対して装着するために、本体フレームの縦部材から内側に向けて、ユニット支持ブラケット35、35aをそれぞれ突出させて設けている。そして、前述したように構成され、対向して配置されたブラケット35、35aに対して、それぞれの給紙装置ユニットが固定され、それ等の給紙装置ユニットを介して用紙トレイからの給紙を行うとともに、給紙部から画像転写部に向けての用紙搬送路が形成されることになる。前記給紙装置ユニットとしては、例えば、図4ないし図11に示されるような装置が形成される。以下に説明する給紙装置ユニットは符号100を付して示されるが、後述する給紙装置ユニットは、前述した給紙装置ユニット6〜6cの場合と同様に構成されているものである。
【0027】前記給紙装置ユニットは、各構成部材を本体フレームに各々組込んで構成したものではなく、図4および図9に示されるように、給紙装置ユニット100をユニットフレーム101と、両側のフレーム101a、101b等でカバーした状態に形成し、その内部に各構成部材を一体に組込んで構成している。そして、該給紙装置ユニット100の側フレーム101a、101bのそれぞれの外側には、駆動ギヤ機構等が露出した状態で設けられており、該給紙装置ユニットを画像形成装置の本体フレームに装着した際に、本体の駆動機構に対して、それ等の駆動ギヤ装置等が接続され、給紙ローラやピックアップローラ等の各構成部材の駆動が行なわれるようにされる。
【0028】前記給紙装置ユニットは、図5等に詳細に示されているように構成されているもので、搬送ローラ装置110と、支持フレーム120を介して支持されるピックアップローラ145と、該支持フレーム120の基部に配置される給紙ローラ140と、該給紙ローラ140に対向して配置されるリタードローラ130とから構成される。
【0029】前述した各ローラ装置のうち、搬送ローラ装置110は、本体の用紙搬送路における搬送ローラ装置として用いられることが出来るもので、本実施例においては、本体の用紙搬送路を、上部装置に向けて用紙トレイからの用紙を搬送する動作と、下部の用紙トレイからの用紙の搬送とを行うことが出来るものとして構成される。また、用紙トレイ60に収容された用紙に対して、通常の給紙装置の場合と同様にして、ピックアップローラ145が当接し、該ピックアップローラ145が回転されることによって、用紙を搬出し、給紙ローラ140とリタードローラ130とにより構成される用紙さばき機構で用紙さばき作用を行う。
【0030】前記実施例で示される用紙さばき機構において、給紙ローラ140は用紙を送り出す方向に駆動が行なわれるが、リタードローラ130は給紙ローラの搬送方向とは反対の方向に駆動が行われるようになっており、用紙が重送状態で両ローラの間にニップされた場合に、上部の用紙のみを送り出すことが出来るようにされる。なお、前記リタードローラ130において、該ローラは駆動軸131との間にトルクリミッター132を介して支持されており、給紙ローラ140との間のニップ部分に1枚の用紙がニップされた場合には、該トルクリミッター132が滑って、ローラ130を搬送方向に回転させる。
【0031】さらに、前記リタードローラ130は、支持軸136に対して揺動可能に設けられたブラケット135を介して支持されており、該ブラケット135に対して配置したスプリング(図示を省略)によって、リタードローラ130を給紙ローラ140に対して一定の押圧力で接するようになっている。そして、用紙が重送状態で用紙さばき機構のニップ部分に入った場合には、従来より用いられている用紙さばき機構の場合と同様に、ローラ130が反対方向に回転されて用紙さばき作用を行うことが出来るようにされる。
【0032】前記給紙機構の例においては、給紙ローラ140とピックアップローラ145とは、ギヤ146〜148により構成されるギヤ装置によって同期駆動が行われ、前記2つのローラは、支持フレーム120を介して設けられている。また、前記支持フレームは、給紙ローラ140の駆動軸141に支持され、一方の側120aに接続したスプリング121と、他方の側120に突出させて配置した突起156とによって、揺動され得るように構成されており、前記突起156の駆動を行うために、揺動装置150が配置されている。
【0033】前述した揺動装置150は、ソレノイド151とリンク機構とから構成されるもので、リンク装置は、軸153から突出して設けられたリンク152を、ソレノイド151のプランジャーに接続し、リンク152aをスプリング154に接続している。そして、前記軸153のフレーム側に突出した揺動板155が、支持フレーム120の突起156に係合して、該突起を介して支持フレームの揺動の動作を行うようにすることによって、ピックアップローラ145は用紙に対して離接する動作が行なわれるものとなる。また、前記給紙機構において、給紙の動作を行う場合にのみ、ピックアップローラを用紙に押圧し、その他の状態では、ピックアップローラを用紙から離間させて、ピックアップローラを用紙に対して余分に押圧したりすることを防止するようにしている。(このための機構と動作については、後で詳細に説明を行う)前記給紙装置ユニット100を給紙部に装着する際には、図7に示されるように、ユニット100の側フレーム101aに設けた突出部材97と、ネジ孔98を用いて、ユニット支持ブラケット35に対して位置決めと固定を行うように構成されている。この実施例において、ユニット支持ブラケット100の所定の位置にブラケット95を切り起こすようにして設けておき、該ブラケット95には位置決め用の孔96を設けている。前記給紙装置ユニットを本体フレームに装着する際には、該ユニットの側フレームに設けた突出部材97をブラケット95の孔96に挿入して、給紙装置ユニットの一方の側の位置決めを行う。そして、その後で、ネジ孔98にボルト等を挿入して、支持ブラケットの固定部材(図示を省略)に対して、ユニットの他端部を固定する。
【0034】したがって、給紙装置ユニットを給紙部に固定する動作は、ブラケットに設けた孔と、ユニットの突出部材との係合によって容易に行われるもので、該ユニットの本体フレームに対する位置決め等の調整の動作は、前記ブラケット95の調整を行う等の手段によって行うことが可能である。なお、前記給紙装置ユニットの実施例において、各ローラ装置は図9に示されるローラ駆動装置80を介してその駆動が行なわれるが、他方の側に配置されるギヤ機構75は、図12において説明するように、用紙トレイのボトムプレートの揺動を行わせるために、その駆動装置として用いられる。
【0035】また、前記給紙装置ユニットは、それぞれが独立した駆動機構を有しないものであるから、本体の駆動機構に対して入力ギヤを接続し、それぞれのユニットを連動させるようにしている。前記給紙装置ユニットの駆動機構として、図8に示されるような装置を用いることが出来る。この図8に示される給紙装置ユニットの駆動機構は、本体フレームに中間ギヤ192を設けるとともに、該中間ギヤ192の両側に、揺動可能なアーム194を介して揺動ギヤ193を設け、該揺動ギヤ193を支持するアーム194をスプリング195によって付勢し、中間ギヤと揺動ギヤとが噛合うようにするとともに、給紙装置ユニットを装着した際に、該揺動ギヤ193がユニットの入力ギヤ191に噛合うようにされる。
【0036】そして、本体フレームの給紙部に給紙装置ユニットを装着すると、そのユニットの入力ギヤ191が揺動ギヤ193に噛合い、上部の駆動用のギヤ(図示を省略)からの駆動を、ユニットの入力ギヤに伝達することが出来る。前記したようにして、本体フレームの各給紙装置ユニット装着部に、給紙装置ユニットを装着すると、全部の給紙装置ユニットの駆動ギヤ装置が接続されることになり、それぞれの給紙装置ユニットの駆動を行うことが出来るようになる。なお、前述した駆動機構においては、途中の1つの給紙装置ユニットを省いた場合には、その下部の給紙装置ユニットの駆動は行われないものとなる。
【0037】前記給紙装置ユニットは、図10および図11に示されるように構成される。この図10に示される給紙装置ユニットの実施例は、上部装置10に設けられる給紙装置ユニット6の場合を示し、図11に示される実施例は、下部装置30に設けられる給紙装置ユニットの場合の構成を示している。前記給紙装置ユニットにおいて、給紙装置ユニット100の左の側には、用紙トレイ60が挿入され得るようになっており、給紙装置ユニット100の他方(図の右側)の側には、本体用紙搬送路102と、給紙装置ユニットからの給紙路105とがそれぞれ配置され、これ等の搬送路は、それぞれユニットの上部分に配置された搬送ローラ装置110の部分で合流し、上部の用紙搬送路に接続されるようになっている。
【0038】前記図10に示す給紙装置ユニットにおいて、給紙装置ユニット6の用紙搬送路102は、ジャムクリアー用のドア部材としての側ドア33aとともに、上方が開閉するように揺動可能に設けられたガイド板103と、ユニット側のガイド板104とから構成され、給紙路105は上ガイド板107と下ガイド板106とから構成される。また、下部装置の給紙装置ユニットに設けられる用紙搬送路は、図11に示すように、一方のガイド板103が側ドア33の内側に突出されたリブ部材によって構成されるもので、その他のガイド部材は、給紙装置ユニット6の場合と同様に構成される。前記各ガイド板のうち、ガイド板104と下ガイド板106とは、図示されるように、一体の部材として給紙装置ユニットに組込まれている。
【0039】前記用紙搬送路機構において、本体用紙搬送路102は、その下部がラッパ状に広がった状態に構成されており、下部の給紙装置ユニットからの用紙搬送路を接続することが出来るようにされる。そして、前記用紙搬送路の上部には略水平な軸を介して一対のローラが配置され、搬送ローラ装置110を構成している。前記給紙装置ユニットにおいて、用紙トレイ60に収容されている用紙の検知を行うために、用紙センサー160が配置されており、該用紙センサー160のアーム161が、ボトムプレート61に設けた孔に対応した位置に揺動可能に設けられ、該ボトムプレート61上に用紙がなくなった場合に、アーム161の端部が大きく落込むことを検知して、用紙なしの情報を出力することが出来るようにされる。
【0040】また、用紙トレイからの給紙路と本体用紙搬送路の合流部付近には、用紙の通過を検知するためのセンサー165が配置されており、用紙トレイから搬出されて給紙路105を通過する用紙、または、給紙装置ユニットを上下方向に貫通するように配置されている搬送路102を、用紙が通過する場合のそれぞれに、該センサー165のアーム166を揺動させるようにする。
【0041】
【ボトムプレートの揺動機構】さらに、前記用紙トレイ60には、ボトムプレート61が揺動可能に設けられており、該ボトムプレート61の揺動を行うために、図12に示されるような押し上げアーム70が設けられる。この押し上げアーム70は、給紙部に用紙トレイが装着されたことの情報が入力されると、その駆動機構が作動されて揺動が行われ、ボトムプレートを介して用紙の上部が一定の高さに設定され、ピックアップローラ145を用紙に押圧した状態で、ブラケット120が略水平になる位置にまで上昇させる。
【0042】前記ブラケット120の上昇の検知は、図5に示されたセンサー125によって行うが、該センサー125によるブラケットの検知は、該ブラケットに設けたアクチュエータ126が、フォトセンサーの発光部と受光部との間に入ったことによって行われる。そして、前述したようにして、用紙が所定の位置にまで上昇され、ピックアップローラ145が用紙に押圧された状態が設定されることにより、用紙トレイからの給紙の動作を行うことが出来る。
【0043】前記押し上げアーム70の駆動機構は、前記図12に示されているが、これをさらに詳細に説明すると、押し上げアーム70の軸71は、給紙ユニットの側フレームを貫通して設けられており、半月ギヤ72をその軸71の端部に設けている。前述した半月ギヤ72は、ギヤ駆動装置73によって駆動が行なわれるが、該駆動装置73は、駆動入力ギヤ73aと出力ギヤ73bとの間に電磁クラッチ74が設けられ、さらに、前記出力ギヤ73bと半月ギヤ72と噛合う係合ギヤ75との間に減速機構が設けられる。
【0044】また、前記出力ギヤ73bに対して、ロック用のギヤ装置が配置されており、該ロック用のギヤ装置は、本体フレームの用紙トレイ装着部分の奥の側に、揺動可能に設けられた保持アーム78に支持され、該アーム78はスプリング78aによって、駆動装置73から離間する方向に付勢されている。さらに、ロック用のギヤ装置76のギヤ77には、ワンウエイクラッチが設けられていて、出力ギヤ73bを一方の方向にのみ回転させるような制御を行うようにしている。
【0045】そして、用紙トレイを給紙部に装着すると、該トレイの側板によりアームを駆動装置に向けて押圧し、ギヤ73bと77とを噛合わせるようにする。また、用紙トレイが給紙部に装着されると、用紙サイズセンサーがトレイの装着を検知し、その後でボトムプレートの上昇の動作が開始される。前述した動作によって用紙が上昇するにつれて、センサー161がノーペーパーの検知の動作を行うとともに、該用紙の上面に押圧されている状態の支持フレーム120が揺動されることをセンサー125によって検出し、該センサー125が支持フレームの上昇を検知すると、その位置で押し上げアーム70を揺動させる動作を停止する。前記したようにして押し上げアームを上昇させる動作が停止されると、入力ギヤ73aに対する駆動が切られるが、前述したように2つのギヤ73b、77が噛合っているために、駆動装置73はギヤ77のワンウエイクラッチによって停止位置に保持され、押し上げアームに用紙の重量が付加された状態でも、その位置に保持することが出来る。
【0046】そして、前記したようにして用紙を給紙位置に上昇させて、ピックアップローラを回転させることによって給紙が行なわれるが、その給紙の途中で用紙が少なくなると、その状態を検知した用紙センサーからの情報によって、駆動装置が作動されて、半月ローラ72を介してさらにボトムプレート70の上昇の動作を行うものとなる。この場合に、例えば、ボトムプレートを5mm程度上昇させるようにして、ボトムプレート61の上昇を停止する。その位置で用紙トレイ60から、さらに給紙の動作が継続されることが出来る状態に設定される。
【0047】前記したような用紙の上昇の動作が継続されて、用紙トレイからの給紙が行われ、用紙トレイの用紙がなくなると、用紙センサーのアーム166がボトムプレートの孔に落込むことになるので、該アームの揺動の情報を用紙センサーが出力して、コントロールパネルの表示部にそのことを表示し、オペレータに指令を出すようにする。
【0048】また、用紙トレイを引出す場合には、該用紙トレイ60によるアーム78に対する押圧が解除されるので、2つのギヤ73b、77の係合が解除され、駆動装置がフリーな状態となるので、押し上げアーム70が、復帰用のバネ72aの力と、半月ギヤの自重およびボトムプレートと用紙等の重量によって押し下げられ、元の位置に戻されることになる。なお、前述したように、給紙トレイの底の部分に対して、押し上げアームが摺動することを許容するために、該給紙トレイの底板に設けられる孔は、一般の給紙カセット等の場合よりも横方向に長く形成されており、給紙トレイを引き出す際に、アームの下降が遅れても、そのアームが引っ掛かったりすることがないようにされている。
【0049】
【ジャムクリアー時の搬送ローラ装置ニップ解除機構】前記画像形成装置において、図13に示されるように、用紙搬送路を構成する搬送ローラ装置110は、駆動ローラ111とピンチローラ112とから構成される。これ等の対向して配置された2つのローラ装置は、駆動ローラ111の軸に設けられた駆動ギヤ114が、中間ギヤ116を介して駆動系のギヤ115に噛合うことによって、その駆動力が伝達されるように構成される。前記搬送ローラ装置110において、用紙搬送路内での用紙の搬送を正確に行うようにするために、対向して配置されたローラの軸を、スプリング113等によってニップ力を確保出来るように構成している。
【0050】ところが、前記したようにして構成された搬送ローラ装置において、両ローラの間にニップされた状態で用紙が停止した場合には、ローラが停止状態に保持されることになるために、側ドアを開いて用紙の除去を行おうとしても、搬送ローラ装置にニップされた用紙を無理に引出すと、用紙が破れたりする等の問題が発生し、その破れた用紙片が完全に取除かれずに機内に残り、その後の用紙搬送路でのトラブルの原因となったりすることがある。
【0051】これに対して、従来の画像形成装置の用紙トレイと記録部とを接続する給紙路においては、搬送ローラ装置を構成する駆動ローラを本体フレームに固定して配置し、ピンチローラを開閉ドアの部分に設けており、該ドアを開くことによって、ピンチローラが駆動ローラから離間されて用紙搬送路を解放することが出来るようにされている。また、駆動ローラとピンチローラとの2つの軸に対して、スプリングを巻き掛ける状態でニップ圧力を設定するようにしている装置の場合には、ジャムクリアー時に、そのスプリングによる力に対向させて、より大きな力で両ローラの間を開くような手段を設けることが必要となる。
【0052】そこで、本実施例の搬送ローラ装置においては、図13および図14に示されるように、ジャムクリアー用のドア118を開いた際に、中間ギヤ116を駆動ギヤ115から解放することによって、搬送ローラ装置110の両ローラのニップを解除せずに、両ローラをフリーに回転させ得るように構成している。なお、前記ドア118は、図1に示された給紙装置ユニット6に対応して設けられ、図10に示されるようにして、該開閉ドア33aにリンク等を介して揺動可能に設けられた場合の例として示している。しかし図11図に示されるように給紙装置ユニット6a〜6cに対応させて配置する場合には、それ等のドアのヒンジの部分に押し棒を設けること等によって、搬送ローラ装置の駆動機構との間の連動を解除させ得るようにすることが出来る。
【0053】前記搬送ローラ装置の駆動機構において、中間ギヤ116はリンク117を介して駆動ローラ111の軸に支持し、そのリンク117をスプリング117bにより揺動させることによって、該中間ギヤ116を揺動させることが出来る。また、前述したジャムクリアー用のドア118は、例えば、該ドアを下部のヒンジ118aを介して開閉可能に設ける場合には、そのドアの上部に押し棒119を設けておき、該ドアを閉じた時に、その押し棒119によって、中間ギヤ116を保持するリンクから突出したアーム117aを押圧し、該ギヤ116を介して2つのギヤ114、115を接続するように構成している。
【0054】したがって、前記搬送ローラ装置の駆動系において、搬送ローラ装置110が用紙を搬送する状態に設定される場合には、図13に示されるように、ドア118を閉じる位置に設定すると、押し棒119がアーム117aを押圧するので、ギヤ115の回転がギヤ114に伝達されて、搬送ローラ装置の駆動が行われる状態となる。
【0055】これに対して、ドア118を開いた場合には、図14に示されるように、押し棒119によるアーム117aへの押圧が解除される。そして、中間ギヤを支持するリンク117は、スプリング117bによって引かれるので、駆動ローラ111の軸を中心にして時計方向に揺動されることになり、中間ギヤ116が駆動ギヤ115から離れ、搬送ローラ装置をフリーな状態に設定する。なお、前記搬送ローラ装置において、側ドアを図1に示されるように、奥の側のヒンジを介して揺動させるように構成する場合には、ドアの端部にアームに対応させて押し棒を配置することが出来る。そして、図示したドア118の場合と同様にして、搬送ローラ装置のギヤを駆動系のギヤから解放し、両ローラの間にニップされた用紙を、容易に手で引き出すことが出来るように構成することが可能である。
【0056】
【給紙装置の駆動制御】前記給紙装置ユニットにおいては、図4ないし図11にもとづいて先に説明したように、ピックアップローラを揺動可能に設け、給紙を行う際にピックアップローラを用紙に向けて揺動させて、用紙に対してピックアップローラを押圧した状態で、用紙の送り出しの動作を行うようにしている。また、前記給紙装置においては、ピックアップローラ145と給紙ローラ140とは、給紙ローラの駆動軸141が給紙方向に駆動されることによって、それ等のローラを図の反時計方向に駆動して、用紙Pの送りの作用を行うが、リタードローラ130は、図の反時計方向に駆動が行なわれて、用紙を用紙トレイに向けて戻すような方向に駆動が行われる。
【0057】しかし、前記リタードローラ130には、駆動軸131との間にトルクリミッター132が設けられているので、1枚の用紙のみが用紙さばき機構に挿入された場合には、給紙ローラ140により搬送される用紙に対する摩擦抵抗が大きいので、トルクリミッターが滑って、リタードローラを送り方向に回転させる。これに対して、複数枚の用紙が同時にピックアップローラ145によって用紙トレイから搬出された場合には、上部の用紙P1が用紙さばき機構を通って送出されるが、下の重送紙P2は、リタードローラ130が反対方向に回転されることによって停止される。これは、重送を生じている用紙間の摩擦係数よりも、リタードローラと用紙との摩擦係数が大きいことによるためである。
【0058】前記給紙装置ユニットによって給紙を行う場合には、図15および図16に示されるように、ピックアップローラ145を支持する支持フレーム120を、ボトムプレート61に向けて下降させる動作を行い、該支持フレーム120の先端部分に配置したピックアップローラ145を反時計方向に駆動して、用紙Pの送り出しの動作が行われる。そして、ボトムプレート61上から送り出された用紙は、それが重送状態の場合には、上部の1枚の用紙のみが送り出されて、他の紙は用紙さばき機構にニップされた状態で残ることになる。
【0059】ところが、前記したように、用紙さばき機構に用紙の先端部分が、ニップ部分の直前で残った状態で、画像形成装置の動作が停止され、用紙トレイを本体から引き出したりする場合には、その用紙さばき機構のニップ部分の直前部に残された状態の紙が、用紙トレイから突出した状態で残るために、その用紙トレイを引き出す途中で本体フレームの突出部分に引掛かったりして、損傷されたりすることがある。
【0060】前記したような問題を解決するために、本実施例に示す給紙装置ユニット100においては、複写のサイクルの終了時に、ピックアップローラと給紙ローラとを逆方向に回転させて、用紙さばき機構にニップされた状態で停止している用紙を用紙トレイに向けて戻すことが出来るような手段を設けている。そのための機構として、本実施例の装置においては、以下に示されるようにして、逆転するリタードローラの駆動を利用して、給紙ローラとピックアップローラとをリタードローラによって逆方向に駆動する方式を用いて、用紙を戻す作用を行うことが出来るようにされる。
【0061】前記したような目的を達成するために、図15に示されるように、ピックアップローラ145を用紙に押圧した状態で回転させて給紙の動作を行い、その複写のサイクルが終了すると、ソレノイドがオフされて支持フレーム120を揺動させ、ピックアップローラ145を用紙から離間させる。その状態で、搬送ローラ装置11により搬出された用紙がセンサー165により検知されると、給紙ローラ140の駆動をオフにする。そのままの状態で、用紙は搬送ローラ装置11により搬出されるので、該給紙ローラは共回りの状態で回転が継続される。そして、用紙の後端部が用紙さばき機構の部分を通過し終わると、該給紙ローラはリタードローラの逆回転によって給紙方向とは反対の方向に回転される。それと同時に、ソレノイドを短い時間だけオフにして支持フレーム120を下降させ、ピックアップローラ145を用紙に対して押圧させる位置に戻し、用紙を戻す動作を行わせるようにする。
【0062】そして、前記したようにして給紙ローラとピックアップローラとを逆回転させ、その用紙に対する逆送の動作を短時間だけ行うことによって、用紙さばき機構にニップされていた用紙は、その先端部分が用紙トレイの端部から大きく突出しない状態に戻される。したがって、画像形成装置の制御装置に設定された給紙装置の逆駆動のプログラムにしたがって、給紙ローラとピックアップローラとの逆回転を、リタードローラの回転を利用して行うこと、および短時間だけ、ピックアップローラを用紙に押圧する動作を行うことにより、用紙トレイを引き出す際に、該トレイの通路の途中に突出している突起等に引掛かったりして、用紙を損傷する等障害が発生することを防止出来るものとなる。
【0063】なお、前記したような給紙装置において、各ローラの駆動機構は、図17に示されるように構成される。この図17に示される駆動機構において、給紙ローラ140の駆動軸の端部には入力ギヤ142aと電磁クラッチ142とが設けられており、該電磁クラッチ142によって給紙ローラの駆動の制御が行われる。また、ピックアップローラ145は、前記したように、給紙ローラとの間に設けられるギヤ機構を介して連動駆動が行なわれるものとなる。
【0064】さらに、リタードローラ130の駆動軸131の端部には入力ギヤ133が配置され、該駆動軸131に対して、リタードローラ130との間にトルクリミッター132を設けている。そして、前記給紙ローラとリタードローラとの間に用紙が重送状態で挿入された場合には、重なった状態の用紙の間の摩擦抵抗が、用紙とローラとの間の間の摩擦抵抗よりも小さいことより、リタードローラは給紙方向とは反対の方向に駆動されて下の用紙を停止させ、上の紙のみを給紙ローラによって送り出すようにされる。また、1枚の用紙のみが用紙さばき機構に挿入された場合には、トルクリミッターが作用してリタードローラの駆動が切られ、該リタードローラは用紙にしたがって送り方向に回転されるものとなる。
【0065】
【給紙部の最下部に大容量トレイを装備する場合】図1および図2で説明したように、本実施例に示す画像形成装置においては、上下方向に多段に配置した用紙トレイのうち、最下部のトレイを大容量の用紙トレイとして構成することが示されている。そして、その用紙トレイ5cに対して、キャスターを設けておき、該用紙トレイを引出した際に、用紙トレイの重量を本体フレームによって負担させることをなくすような方式を用いることが出来るようにされる。
【0066】前述した大容量トレイとしては、例えば、図18に示されるように構成することが出来る。この図18に示される大容量のトレイ85は、符号を代えて説明するが、第1図の場合の用紙トレイ5cの場合と同じものを説明する。図18に示されるように、本実施例に示す画像形成装置においては、その下部装置30の最下部の用紙トレイを、大容量のトレイ85として構成し、その大容量トレイの下部の先端側にキャスター86を設けている。前記大容量のトレイ85の両側には、それぞれ一対のローラ87、87aを配置し、これ等のローラが、収容部80に設けた案内レールに沿って移動し、トレイの重量を支えることが出来るようにされる。
【0067】また、画像形成装置の下部装置30には、該トレイ用の収容部80を形成し、該収容部80の内側の両側の部分に、トレイの移動の案内を行うために、案内レール81を配置している。そして、図19にも示されるように、前記案内レール81の先端部分にトレイ85のローラの案内を行うための案内部82を設けている。この案内部82としては、レールの下側の先端部分を拡開し、ローラ87aが容易に挿入出来るような形状のものとして構成する。
【0068】さらに、前記大容量トレイ85を引出した際に、そのトレイを所定の位置で停止させるために、本体側にストッパー83を設け、トレイの側部にも係止部88を突出させて設けている。そして、図18に示されるように、大容量トレイ85を引き出した際に、ストッパー83に係止部が係合された状態で、該トレイに対する用紙の補給を行うことが出来るように構成する。
【0069】前述したように構成された大容量トレイ85において、該トレイを本体に装着した状態では、ボトムプレートが上昇されることによって、その内部に収容された用紙の上部がピックアップローラに押圧されて給紙が可能な状態に設定される。なお、ボトムプレートを上昇させたりするための機構等の点は、例えば、特開昭58-183532号公報等に示されるものと同様に構成されることが可能である。そして、トレイ85に対して新たに用紙を補給する場合には、該トレイのハンドルを回転させる等して固定位置から解放し、そのハンドルを持って引き出すことによって、該トレイを装置の前面に移動させる。その際に、前側のローラ87が案内部82に沿って移動すると、トレイの前部分が次第に下降してキャスター86が床面に接して、そのトレイの前側の荷重を負担出来る状態となる。
【0070】したがって、大容量トレイ85を所定の距離引出して用紙を補給しても、その重量はキャスターに負担させることが出来るので、該トレイの突出部分の荷重を本体フレームが負担する必要がなくなる。また、大容量トレイを収容部80に戻す場合には、挿入の途中で案内レール81にローラ87が係合した時点から、本体フレームが荷重を負担することになるが、その場合には、該トレイの突出部分が少なくなっているので、フレームの手前側にかかるアンバランス荷重が少く、装置を横転させたりする等の問題が発生することはない。
【0071】なお、前記画像形成装置において、トレイの構成や、案内レール、走行部材の機構等は、特に図示される例に限定されるものではなく、任意の機構のものを用いることが可能である。さらに、前記トレイに対する給紙装置としては、先に説明した給紙装置ユニットを用いることが出来る。
【0072】
【性能の異なる給紙装置ユニットを用いる場合】前述した給紙装置ユニットは、図4ないし図12に示されるように、同一の構成の装置を全部の給紙部に装備して、それぞれの用紙トレイからの給紙を行うことが出来るように構成しているが、前記画像形成装置においては、必ずしも図示されるような高性能の給紙装置を、全部の用紙トレイに対して装備することを必要としない場合がある。つまり、多数の用紙トレイを同一の装置に設ける場合でも、特に重要な用紙トレイと、使用頻度の低い用紙トレイの場合とでは、全部を高性能の給紙装置で構成する必要がない場合等がある。
【0073】また、画像形成装置をレーザプリンター等のような装置として構成し、該プリンターの記録紙作成能力が大きい場合には、用紙に重送が発生することによる障害が非常に大きいものとなる、しかし、前記画像形成装置に配置する機構を低速度の画像形成装置等に適用する場合には、前述したような高性能の給紙装置を用いることは、その装置の製造コストを上昇させることになり、経済的な面で問題が発生する。そこで、本実施例に示す給紙装置においては、前述したような高性能の給紙装置と、比較的低価格で構成が簡単な給紙装置とを同一のサイズのユニットとして構成し、その給紙装置の重要度に応じて給紙部に装備することが出来る。そして、前記したような目的を達成するために、本実施例の画像形成装置においては、図4に示されたような高性能の給紙ユニットの他に、図20に示されるような比較的簡単な機構の給紙ユニットとを同一の規格で構成し、同一の画像形成装置の給紙部に、それぞれ必要に応じて組み換えることが出来る。
【0074】前記図20に示される給紙装置ユニット100aは、図10に対応する給紙装置の側面図であり、その本体用紙搬送路102や給紙路105は前記図10に示されたものと同一に構成される。これに対して、図示される例の場合には、用紙トレイに対して、従来の給紙カセットの場合のように、ピックアップローラに代えて半月ローラ185を設け、用紙トレイの給紙側先端部分にスナバー183を配置して、用紙さばき機構として構成している。また、用紙トレイ180に収容された用紙に対して、その給紙側先端部分には用紙を支持するボトムプレート181をスプリング等の付勢部材により支持し、該スプリング183により用紙を半月ローラ185に向けて押圧させる。さらに、半月ローラによる送り出し部分の下流側には、用紙さばき機構を配置する必要がないので、半月ローラによる給紙の作用により、用紙を本体用紙搬送路の搬送ローラ装置110に向けて送り出すことが出来る。
【0075】前述したように構成された給紙装置を用いる場合には、その給紙装置からの給紙に際して、重送を発生する率が高くなることがあるけれども、通常の画像形成装置等の装置においては、従来より一般に用いられている給紙装置と同じような構成を有する装置であることより、該画像形成装置を画像形成装置として構成した場合には、特に問題を生じたりすることなしに、給紙を行うことが出来る。
【0076】また、前記給紙装置においては、前述したような半月ローラを用いる装置として構成することの他に、他の構成を有する装置を構成することも可能であり、それ等の給紙装置のサイズ等を、給紙装置ユニットと同様に構成することによって、給紙性能と価格が異なる複数種類の装置を用意することが出来る。そして、前述したように、給紙性能と構成が異なる給紙装置を同一のサイズの給紙装置ユニットに対して装備し、画像形成装置の給紙部に対して、それぞれ必要に応じて組みあわせた状態で装着することによって、その給紙装置に要求される給紙性能を良好な状態で発揮させることが可能である。
【0077】さらに、前記画像形成装置においては、特に、その装置がコンピュータに接続されて連続してプリントを作成するような装置や、レーザプリンター等のような高性能の装置である場合には、図4〜5に示されたような用紙さばき装置において、用紙さばき作用が正確に行われ、重送発生率が非常に小さい給紙装置を設けることが必要である。これに対して、小型の複写機等のように、重送発生率が従来より用いられている給紙装置と同等であっても、特にその使用に支障が発生しない装置の場合には、図20に示されたような構成が簡単な給紙装置を用いても、十分にその給紙装置に対する要求に対処出することが来る。したがって、前記画像形成装置においては、サイズが同一で、給紙性能が異なる複数種類の給紙装置を用意しておき、その装置の要求性能に合せて、画像形成装置に装着出来るように構成することにより、任意の性能を有する装置を構成することが出来る。
【0078】
【発明の効果】本発明の装置は、前述したように構成したものであるから、装置本体に設けたドア部材を容易に開閉することができる。また、前記ドア部材を開閉することにより、同時に用紙搬送路を開閉するので、用紙のジャム等を容易に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像形成装置の斜視図である。
【図2】 図1の装置の構成を示す説明図である。
【図3】 給紙装置ユニットの配置状態を示す側面図である。
【図4】 本発明の給紙装置ユニットの斜視図である。
【図5】 給紙装置ユニットを構成するローラ装置の関係を示す斜視図である。
【図6】 図5のa部の拡大説明図である。
【図7】 給紙装置ユニットの装着手段の説明図である。
【図8】 給紙装置ユニットに対する駆動機構の説明図である。
【図9】 給紙装置ユニットの平面図である。
【図10】 給紙装置ユニットの断面図である。
【図11】 用紙トレイに用紙がなくなった状態での給紙ユニットの断面図である。
【図12】 ボトムプレートの押し上げ機構の斜視図である。
【図13】 搬送ローラ装置における用紙のニップ状態の説明図である。
【図14】 搬送ローラ装置におけるジャムクリアー機構の説明図である。
【図15】 用紙トレイから用紙を送り出す状態の説明図である。
【図16】 用紙を戻す動作を示す説明図である。
【図17】 リタードローラと給紙ローラ等の駆動機構の説明図である。
【図18】 装置本体の大容量トレイの収容部の構成を示す説明図である。
【図19】 大容量トレイの引き出し状態を示す説明図である。
【図20】 画像形成装置の給紙部に適用が可能な別の給紙装置ユニットの構成を示す側面図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置、 10 上部装置、 15 感光体ドラム、20 手差しトレイ、 26 戻し路、27 カール修正装置、30 下部装置、 31 本体フレーム、 32 本体キャスター、33・34 側ドア、 42 反転路、 45 用紙搬送路、5d 中間トレイ、60 用紙トレイ、 61 ボトムプレート、70 押し上げアーム、 72 半月ギヤ、 85 大容量トレイ、100 給紙装置ユニット、 101 ユニットフレーム、102 本体用紙搬送路、 105 給紙路、110 搬送ローラ装置、 111 駆動ローラ、112 ピンチローラ、 118 開閉ドア、 120 支持フレーム、 130 リタードローラ、132 トルクリミッター、 140 給紙ローラ、145 ピックアップローラ、 150 揺動装置、151 ソレノイド、160 センサー、 165 用紙センサー。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
訂正事項a:特許請求の範囲の請求項1の
「用紙に記録を行う記録部と、
前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、
前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、
前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、
画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材と、
揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に連動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。」
とあるのを、
「用紙に記録を行う記録部と、
前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、
前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、
前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、
画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材と、
前記ドア部材とは別体として揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に運動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする画像形成装置。」
と訂正する。
訂正事項b:段落【0006】の
「【課題を解決するための手段】本発明は、用紙に画像の記録を行う画像形成装置に関する。本発明の請求項1の発明は、用紙に記録を行う記録部と、前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、画像形成装置本体に対して設けられ、揺動して上方が開閉するドア部材と、揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に運動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする。」とあるのを、
「【課題を解決するための手段】本発明は、用紙に画像の記録を行う画像形成装置に関する。本発明の請求項1の発明は、用紙に記録を行う記録部と、前記記録部よりも下方に、上下方向に複数段配置された、用紙を収容するための給紙トレイと、前記給紙トレイ内の用紙を給紙する給紙手段と、前記給紙トレイから給紙された用紙を下から上に向かって導く用紙搬送路と、前記給紙手段に対応して設けられ、前記給紙手段の用紙搬送方向下流側で、前記給紙手段によって給紙された用紙を上方に搬送するとともに、前記用紙搬送路の下方から搬送される用紙を上方に搬送する搬送装置と、画像形成装置本体に対して設けられ、前記ドア部材とは別体として揺動して上方が開閉するドア部材と、揺動して上方が開閉可能であって、前記ドア部材の閉じ動作に運動して閉じられる、用紙をガイドするガイド部とを備えたことを特徴とする。」
と訂正する。
異議決定日 2002-03-13 
出願番号 特願平11-143072
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (B65H)
最終処分 取消  
前審関与審査官 関谷 一夫二ッ谷 裕子  
特許庁審判長 吉国 信雄
特許庁審判官 山崎 豊
市野 要助
登録日 2000-06-09 
登録番号 特許第3075283号(P3075283)
権利者 富士ゼロックス株式会社
発明の名称 画像形成装置  
代理人 特許業務法人アイ・ピー・エス  
代理人 特許業務法人アイ・ピー・エス  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ