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審決分類 |
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 C08F 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08F 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08F |
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管理番号 | 1061133 |
異議申立番号 | 異議2001-70319 |
総通号数 | 32 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1995-06-20 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-01-31 |
確定日 | 2002-05-13 |
異議申立件数 | 3 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3070368号「α-オレフィン重合体およびα-オレフィン重合用触媒ならびにα-オレフィン重合体の製造方法」の請求項1〜7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3070368号の請求項1〜7に係る特許を維持する。 |
理由 |
[1] 手続きの経緯 本件特許第3070368号発明は、平成5年12月6日に出願され、平成12年5月26日にその特許権の設定登録がなされ、その後、片山晴子、出光石油化学株式会社、日本ポリケム株式会社より3件の特許異議の申立てがなされた。 当審より平成13年5月17日付けで取消理由通知がなされ、特許権者より平成13年7月30日付けで特許異議意見書と訂正請求書が提出され、当審より平成13年10月3日付けで訂正拒絶理由が通知され、特許権者より平成13年12月14日付けで意見書が提出された。 さらに、当審より平成14年1月11日付けで取消理由通知がなされ、特許権者より平成14年1月25日付けで、平成13年7月30日付けの訂正請求の取下書、特許異議意見書及び訂正請求書が提出されている。 [2] 訂正の適否についての判断 1.訂正事項 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1、請求項3及び請求項5における「 XIS≦70.00- 3.64CXS」を「XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS」とする訂正。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1、請求項3及び請求項5における「(ただし、CXSは0.1wt%以上12wt%以下)」を「(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)」とする訂正。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3の「一般式R13R14Si(OR15)2 (式中、R13は炭素数1〜20の直鎖状アルキル基であり、R14は炭素数1の炭化水素基であり、R15は炭素数1〜20の炭化水素基である。)で表される有機ケイ素化合物である電子供与体成分」を「n-プロピルメチルジメトキシシラン」とする訂正。 2.訂正の目的の適否、訂正の範囲の適否及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 訂正事項1は、明細書の段落番号【0010】に特に好ましいものとして記載されていた「XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS」を請求項に記載するものであり、これはとりもなおさずXISについて下限及び上限を式で限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、明細書の実施例の段落番号【0065】の表1に記載されていた実施例6のCXS値5.0%の数値に基づき、これをCXSの上限とする限定を付するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3 訂正事項3は、明細書の実施例1〜4で使用された電子供与体n-プロピルメチルジメトキシシランに基づき、(C)成分の電子供与体成分を具体的な化合物である「n-プロピルメチルジメトキシシラン」と訂正するものであるから、特許請求の範囲を減縮するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 3.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 [3] 特許異議申立についての判断 1.申立理由の概要 (1)特許異議申立人:片山晴子の申立理由 本件請求項1〜7に係る発明は、同人の提出した甲第1号証(刊行物1)に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。 本件請求項7に係る発明は、同人の提出した甲第1号証(刊行物1)及び甲第2号証(刊行物4)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に該当する。 本件請求項1、5及び6に関する明細書の記載は、特許法第36条第4項〜第6項に規定する要件を満たしていない。 (2)特許異議申立人:日本ポリケム株式会社の申立理由 本件請求項1及び2に係る発明は、同人の提出した甲第1号証(刊行物1)あるいは甲第2号証(刊行物2)に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。 本件請求項3〜7に係る発明は、同人の提出した甲第1号証(刊行物1)の比較例2に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。 (3)特許異議申立人:出光石油化学株式会社の申立理由 本件請求項1、2、5及び6に係る発明は同人の提出した甲第1号証(刊行物3)に記載された発明と同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当する。 本件請求項3、4及び7に係る発明は、同人の提出した甲第1号証(刊行物3)及び甲第3号証(刊行物4)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項に該当する。 2.本件発明 本件特許第3070368号の請求項1〜7に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項に特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】炭素数3以上のα-オレフィンを重合してなる重合体であって、下記要件を満たすことを特徴とするα-オレフィン重合体。 α-オレフィン重合体の極限粘度([η])が0.5以上10以下であり、該重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有すること。 【請求項2】炭素数3以上のα-オレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載のα-オレフィン重合体。 【請求項3】炭素数3以上のα-オレフィンを重合してなる重合体であって、該重合体の極限粘度([η])が0.5以上10以下であり、該重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有するα-オレフィン重合体を製造することを特徴とする (A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、 (B)有機アルミニウム化合物、および (C)n-プロピルメチルジメトキシシラン からなるα-オレフィン重合用触媒。 【請求項4】炭素数3以上のα-オレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項3に記載のα-オレフィン重合用触媒。 【請求項5】(A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、 (B)有機アルミニウム化合物、および (C)電子供与体成分 から形成される触媒系を用いて、炭素数3以上のα-オレフィンを重合してなる重合体であって、該重合体の極限粘度([η])が0.5以上10以下であり、該重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有するα-オレフィン重合体を製造することを特徴とするα-オレフィン重合体の製造方法。 【請求項6】炭素数3以上のα-オレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項5に記載のα-オレフィン重合体の製造方法。 【請求項7】(C)電子供与体成分が、一般式R13R14Si(OR15)2 (式中、R13は炭素数1〜20の直鎖状アルキル基であり、R14は炭素数1の炭化水素基であり、R15は炭素数1〜20の炭化水素基である。)で表される有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項5または6記載のα-オレフィン重合体の製造方法。」 そして、上記のように本件請求項1〜7に係る発明には、これらの発明に共通する事項ととして「重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有するα-オレフィン重合体」が記載されているところ、本件請求項1〜7に係る発明はこのような特徴を有することにより、明細書の段落番号【0001】に記載されているように「20℃キシレン可溶部(CXS)で表される低規則性ポリマー成分含量が少ないにもかかわらず、105℃キシレン不溶部(XIS)で表される高規則性ポリマー成分量も非常に少ないα-オレフィン重合体」が得られ、これにより「べたつき性に優れ、且つ延伸性といった加工性に優れたα-オレフィン重合体」(段落番号【0006】)が得られるのである。 3.刊行物の記載 (1)刊行物1:特開平3-33102号公報(特許異議申立人:片山晴子の提出した甲第1号証、日本ポリケム株式会社の提出した甲第1号証) 該刊行物には、「(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与性化合物を必須成分とする固体触媒成分、(B)有機金属化合物及び(C)一般式R1R2Si(OCH3)2〔但し、R1及びR2は夫々同一又は異なる炭素数1〜10個の脂肪族炭化水素基である。〕で表わされ、量子化学計算で算出した体積が230〜500Å3、同じくメトキシ基の酸素原子の電子密度が0.685〜0.800A.U.(アトミックユニット)のジメトキシ基含有シラン化合物とからなるα-オレフィン重合用触媒。」(特許請求の範囲)の発明について記載され、発明の詳細な説明には比較例2としてR1とR2がそれぞれCH3とCH3であるシラン化合物を使用した例が記載され、得られたポリプロピレンHI(ヘプタン不溶分)が84.2%であったことも記載されている。 (2)刊行物2:特開平5-117329号公報(特許異議申立人:日本ポリケム株式会社の提出した甲第2号証) 該刊行物には、「【請求項1】チーグラー型オレフィン重合用触媒の存在下に、プロピレン、エチレン及び1-ブテンをランダム共重合してオレフィン共重合体を製造する方法において、前記チーグラー型オレフィン重合用触媒として(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及びR1R23-nSi(OR3)n、(ここで、R1は分岐鎖状炭化水素基を、R2はR1と同一か若しくは異なる炭化水素基を、R3は炭化水素基を、nは2≦n≦3の数を示す)で表わされる有機珪素化合物を必須成分として含有する固体触媒成分と、(B)有機アルミニウム化合物とから形成される触媒を用い、前記プロピレン、エチレン及び1-ブテンを生成共重合体中のプロピレン含有量が80〜96重量%、エチレン含有量が1〜5重量%及び1-ブテン含有量が3〜15重 量%となるように共重合させることを特徴とするオレフィン共重合体の製造方法。」(特許請求の範囲)の発明について記載され、発明の詳細な説明の実施例1には、 有機珪素化合物としてR1が第三級ブチル基でR2がメチル基でありR3がメトキシ基である第三ブチルメチルジメトキシランを使用した例が記載され、溶媒可溶副生物が3.7重量%であること、耐ブロッキング性が150(g/10cm2 )であることが記載されている。 (3)刊行物3:特開平2-84404号公報(特許異議申立人:出光石油化学株式会社の提出した甲第1号証) 該刊行物には、「1)[A]マグネシウム化合物およびチタン化合物を接触させることによって形成されるマグネシウム、チタンおよびハロゲンを必須成分として含有する固体チタン触媒成分、[B]有機アルミニウム化合物触媒成分、および、[C]シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基またはこれらの誘導体を含む有機ケイ素化合物触媒成分、から形成されるオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合もしくは共重合させることを特徴とするオレフィンの重合方法。」(特許請求の範囲)の発明について記載され、発明の詳細な説明には、「本発明は、アモルファスポリマー成分の副生率が極めて低く、しかも、高立体規則性を有するかあるいは組成分布の狭いオレフィン重合体を高収率で得ることができるようなオレフィンの重合方法およびこの重合に用いられるオレフィン重合用触媒に関する。」(第2頁左上欄第2行〜第7行)が記載され、実施例8には、有機珪素化合物としてジシクロペンチルジメトキシシランを使用した例が記載され、n-デカン可溶性分量が4.9であることが記載されている。 (4)刊行物4:特開平3-70711号公報(特許異議申立人:出光石油化学株式会社の提出した甲第3号証) 該刊行物には、「(1)次の一般式Mg(OR1)(OR2) (1)[ただし、式(1)中のR1およびR2は、各々独立に、炭素数1から20の炭化水素基を表す。]で表されるジアルコキシマグネシウム化合物、酸ハロゲン化物およびハロゲン化チタン化合物を反応させて得られる固体触媒成分、有機アルミニウム化合物およびアルコキシ基を含有する有機ケイ素化合物から得られる触媒の存在下に、α-オレフィンを単独重合または共重合させることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。」(特許請求の範囲)について記載され、発明の詳細な説明には、「本発明は、オレフィン重合体の製造方法に関し、さらに詳しく言うと、高活性、高立体規則性を示し、かつ重合活性の経時低下が少ないなどの優れた性質を有する重合触媒を用いて、プロピレン等のα-オレフィンからポリプロピレン樹脂等の各種のオレフィン重合体や共重合体を製造する方法に関する。」(第1頁左下欄第18行〜同頁右下欄第4行)の記載があり、実施例には、そこで得られたポリマーのI.I.(%)も記載されている。 (5)刊行物5:「Transition Metal Catalyzed Polymerization」Cambridge University Press、1988、第624頁〜第638頁(特許異議申立人:片山晴子の提出した甲第2号証) 該刊行物は、「不均一系チタンベースチーグラーナッタ触媒によるポリプロピレンのミクロタクチシチィ分布」と題する学術論文であって、これには次のような記載が存在する。 ・イントロダクション「δ-TiCl3 、β-TiCl3および2種類のTi支持触媒系によるいくつかのポリプロピレンを溶出カラム法により分画した。キシレン100℃以上の可溶分画部のNMRおよびDSC分析は、高い立体規則性触媒系δ-TiCl3や電子供与体を含むTi支持触媒には立体規則性の異なる2種類のイソスペシフィック中心(高および低イソスペシフィシチィ)が存在することを示した。」(第624頁下から第13行〜下から第6行) ・「一方、商業的ポリプロピレンの主要部を占めるのはイソタックチック部である。沸騰ヘプタン不溶部分として決められている、イソタックチックインデックス(I.I.)が95%以上であり、」(第625頁第17行〜第19行) ・カラム溶出分画「10グラムの試料を130℃ 400mlキシレンに溶解した。溶液を1200gの海砂(35-48メッシュ)と混合して130℃に保持し、後20℃に徐々に冷却した。試料で覆われた海砂をカラム(直径74mm、高さ435mm)に充填した。最初の分画を20℃でキシレンをカラムに滴下することにより溶出した。続く分画は溶出温度を段階的に130℃まで上げて得た。溶出温度の間隔は次のようであった。20℃から60℃までは間隔10℃から20℃;60℃から90℃までは間隔2℃から10℃;90℃から110℃までは間隔1℃から2℃;110℃以上では間隔0.5℃から1℃であった。」(第627頁第4行〜第16行) ・表2 試料リスト No. Catalyst Solvent System Extraction Ata.%a 1 δ-TiCl3 AA-AlEt2Cl 5.1 2 δ-TiCl3 AA-AlEt2Clb 6.2 3 β-TiCl3-AlEt2Cl 62.7 4 Mg-Ti(I)c-AlEt3 43.0 5 Mg-Ti(I)-AlEt3 -MTd 4.7 6 Mg-Ti(II)e-AlEt3 28.0 7 Mg-Ti(II)-AlEt3-PTMSf 0.9 a:%分画20℃キシレン d:メチルトルエート f:C6H5Si(OCH3)3(第628頁。但し、この表2は一部省略して摘示してある。) ・結果 100℃以上キシレン溶解分画のミクロタクチシチィ分布 「TiCl3、VCl3、CrCl3のような遷移金属ハロゲン化物、電子供与体を含むものと含まない支持Ti触媒を用いて製造された種々のポリプロピレンを通常の溶媒抽出方法により、20℃キシレン可溶部、沸騰へプタン可溶部、および沸騰ヘプタン不溶部の3つの分画に分けた。沸騰ヘプタンに不溶分画の立体規則性を13C NMRにより決定した。」(第628頁下から第19行〜下から第8行) 4.対比判断、同一性の判断(特許法第29条第1項第3号) (1)刊行物1との同一性 刊行物1に記載された発明は、[3].3.(1)で述べたようにオレフィン重合用の触媒に関するものであり、得られたポリプロピレンの溶媒に対する可溶性ないし不溶性については、ヘプタン不溶分について記載があるものの、キシレン可溶部およびキシレン不溶部については何の記載も存在しない。 特許異議申立人:日本ポリケムの提出した甲第3号証の実験証明書によれば、刊行物1の比較例2で得られるポリマーはCXSが6.25でXISが34.0とのことであるが、本件請求項1に係る発明は訂正の結果、CXSは5.0%以下に限定されたから、この点だけでも該比較例2とは区別し得るものとなった。 従って、本件請求項1に係る発明は刊行物1に記載された発明と同一とすることはできない。 本件請求項2〜7に係る発明は[3].2.で述べたように「重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有すること」を必須の要件とするものである点では本件請求項1に係る発明と同様であるから、本件請求項2〜7に係る発明も本件請求項1に係る発明と同様に刊行物1に記載された発明と同一とすることはできない。 (2)刊行物2との同一性 刊行物2に記載された発明は、[3].3.(2)で述べたようにチーグラー型触媒を使用したオレフィン共重合体の製造方法に関するものであり、得られたポリプロピレンの溶媒に対する可溶性ないし不溶性については、溶媒可溶副生物について記載があるものの、キシレン可溶部およびキシレン不溶部については何の記載も存在しない。 特許異議申立人:日本ポリケムの提出した甲第3号証の実験証明書によれば、刊行物1の実施例1で得られるポリマーはCXSが1.0でXISが0.0とのことであるが、本件請求項1に係る発明は訂正の結果、「XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS」の関係を満足しなければならないところ、CXS=1.0をこの式に代入すると、16.36≦XIS≦53.64となり、XISが0.0との実験データはこの式を満足しないものとなったから、この点だけでも該実施例1とは区別し得るものとなった。 従って、本件請求項1に係る発明は刊行物2に記載された発明と同一とすることはできない。 本件請求項2〜7に係る発明は[3].2.で述べたように「重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有すること」を必須の要件とするものである点では本件請求項1に係る発明と同様であるから、本件請求項2〜7に係る発明も本件請求項1に係る発明と同様に刊行物2に記載された発明と同一とすることはできない。 (3)刊行物3との同一性 刊行物3に記載された発明は、[3].3.(3)で述べたようにオレフィン重合用触媒を使用したオレフィン共重合体の製造方法に関するものであり、得られたオレフィン重合体の溶媒に対する可溶性ないし不溶性については、n-デカン可溶性分量について記載があるものの、キシレン可溶部及びキシレン不溶部については何の記載も存在しない。 特許異議申立人:出光石油化学株式会社の提出した甲第2号証の実験証明書によれば、刊行物3の実施例8で得られるポリマーはCXSが5.4でXISが1.6とのことであるが、本件請求項1に係る発明は訂正の結果、CXSは5.0%以下に限定されたから、この点だけでも該比較例2とは区別し得るものとなった。 従って、本件請求項1に係る発明は刊行物1に記載された発明と同一とすることはできない。 本件請求項2〜7に係る発明は[3].2.で述べたように「重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有すること」を必須の要件とするものである点では本件請求項1に係る発明と同様であるから、本件請求項2〜7に係る発明も本件請求項1に係る発明と同様に刊行物3に記載された発明と同一とすることはできない。 5.進歩性の判断(特許法第29条第2項) [3].3.(1)〜(4)で述べたように、刊行物1〜4に記載された発明はいずれも特定の触媒を使用したポリオレフィンの製造に係るものであるが、そこで得たポリマーの溶媒に対する溶解性に関するものとしては、刊行物1にはヘプタン不溶分が、刊行物2には溶媒可溶副生物が、刊行物3にはn-デカン可溶性分量が、また、刊行物4にはイソタクチックインデックス(I.I.)(刊行物5からすると沸騰ヘプタン不溶部と考えられる。)が、それぞれ記載されているが、キシレン可溶部及びキシレン不溶部については何の記載も存在しない。 また、刊行物5には、不均一系チタンベースチーグラーナッタ触媒によって得たポリプロピレンのキシレン可溶分画について数値も挙げられ記載があるが、キシレン不溶部〔正確に言えば105℃のキシレン不溶部(XIC)〕については何の記載も存在しない。 そして、本件発明の特徴は[3].2.で述べたように、「20℃キシレン可溶部(CXS)で表される低規則性ポリマー成分含量が少ないにもかかわらず、105℃キシレン不溶部(XIS)で表される高規則性ポリマー成分量も非常に少ないα-オレフィン重合体」にあるのであって、このような低規則性ポリマー成分も高規則性ポリマー成分も共に少ないと言う思想は上記刊行物1〜5の何れにも全く記載も示唆もされていない。そして、本件請求項1に係る発明の「重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有するα-オレフィン重合体」はこのような思想を具体的に技術的に表現したものに他ならない。そうであって見れば、この点は刊行物1〜5を寄せ集めてみても当業者が容易に発明することができたものではない。 よって、本件請求項1に係る発明は刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 本件請求項2〜7に係る発明は[3].2.で述べたように「重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有すること」を必須の要件とするものである点では本件請求項1に係る発明と同様であるから、本件請求項2〜7に係る発明もこの点が刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができないものである以上、本件請求項1に係る発明と同様に刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 6.明細書の記載要件についての判断(特許法第36条第4項〜第6項) 特許異議申立人片山晴子の主張を要約すると、本件請求項1、5及び6に係る発明については、当業者が容易に該発明の実施ができる程度に該発明の構成が記載されていないと主張し、その理由として次のようなものを挙げている。 (1)キシレン不溶部と可溶部についての関係式(正しく言うと「重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有すること」)の技術的意味について説明がない。 (2)触媒などの製造手段はこのような関係式を満足するものを必ず提供し得る訳ではなく、したがってかかる関係式を満足するものを得ようとすると過度の試行錯誤を要することになる。 しかし、本件明細書の実施例2、3、4及び6では、実施例1に記載の方法の一部を変更して実験を行っているものであるところ、実施例1には(a)有機マグネシウム化合物の合成、(b)固体生成物の合成、(c)エステル処理固体の合成、(d)固体触媒成分の合成(活性化処理)、(e)プロピレンの重合、等の各段階について、使用した原料化合物、その使用量、反応、混合などの処理条件(温度、圧力、時間など)が詳細に記載されているから、少なくともこれらの実施例については本件請求項1、5及び6に係る発明が実施し得ないとは考えられない。 確かに、CXSとXICの数値の特定の組み合わせの値を有するポリマーが、どのような条件設定によればそれが得られるのか、その方向性を示唆するものが必ずしも本件明細書には記載されていな点は全く問題なしとは言えないが、ただ、上記のような当業者が実施可能な実施例が4つあること、また、本件特許請求の範囲に入らない比較例も数多くある(例えば実施例1及び5、比較例1〜8)ことなどを考慮すると、これら多数の実施例や比較例の条件を参酌し、適宜条件などについて多少の変更等を加えて行えば、過度に近いような数多くの試行錯誤を繰り返さずとも目的とするものを得る可能性が極めて少ないとまでは断言し難いのである。 してみれば、本件明細書の記載では発明の実施はできないとは考え難いので、本件明細書が特許法第36条第4項〜第6項に規定する要件を満たしていないとは言えない。 [5]むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件請求項1ないし7に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1〜7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件請求項1〜7に係る発明の特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認められない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、上記のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 α-オレフィン重合体およびα-オレフィン重合用触媒ならびにα-オレフィン重合体の製造方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 炭素数3以上のα-オレフィンを重合してなる重合体であって、下記要件を満たすことを特徴とするα-オレフィン重合体。 α-オレフィン重合体の極限粘度([η])が0.5以上10以下であり、該重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有すること。 【請求項2】 炭素数3以上のα-オレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項1に記載のα-オレフィン重合体。 【請求項3】 炭素数3以上のα-オレフィンを重合してなる重合体であって、該重合体の極限粘度([η])が0.5以上10以下であり、該重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有するα-オレフィン重合体を製造することを特徴とする (A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、 (B)有機アルミニウム化合物、および (C)n-プロピルメチルジメトキシシラン からなるα-オレフィン重合用触媒。 【請求項4】 炭素数3以上のα-オレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項3に記載のα-オレフィン重合用触媒。 【請求項5】 (A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、 (B)有機アルミニウム化合物、および (C)電子供与体成分 から形成される触媒系を用いて、炭素数3以上のα-オレフィンを重合してなる重合体であって、該重合体の極限粘度([η])が0.5以上10以下であり、該重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)の関係を有するα-オレフィン重合体を製造することを特徴とするα-オレフィン重合体の製造方法。 【請求項6】 炭素数3以上のα-オレフィンがプロピレンであることを特徴とする請求項5に記載のα-オレフィン重合体の製造方法。 【請求項7】 (C)電子供与体成分が、一般式R13R14Si(OR15)2(式中、R13は炭素数1〜20の直鎖状アルキル基であり、R14は炭素数1の炭化水素基であり、R15は炭素数1〜20の炭化水素基である。)で表される有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項5または6記載のα-オレフィン重合体の製造方法。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、20℃キシレン可溶部(CXS)で表される低規則性ポリマー成分含量が少ないにもかかわらず、105℃キシレン不溶部(XIS)で表される高規則性ポリマー成分量も非常に少ないα-オレフィン重合体およびそのような重合体を得るためのα-オレフィン重合用触媒ならびにα-オレフィン重合体の製造方法に関する。更に詳しくは、CXSが少ないためべたつきが少なく、かつXISが少ないため延伸性に優れたフィルム、ファイバー、中空成形、押し出し成形等に好適に用いることのできるαーオレフィン重合体およびそのような重合体を得るためのα-オレフィン重合用触媒ならびにα-オレフィン重合体の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】 ポリプロピレンに代表されるαーオレフィン重合体は、剛性が高く、機械的強度の大きい優れた合成樹脂であり、その延伸物は、機械的性質が大幅に向上し、また透明性も著しく改良されるため、延伸フィルム、延伸テープ、フラットヤーン、スプリットファイバー、バンド等の用途に広く用いられている。 【0003】 ポリプロピレンにはプロピレンの単独重合体からなるホモポリマーと少量のα-オレフィンを共重合させるランダム共重合体が有り、剛性はホモポリマーの方が優れるので、剛性を必要とする用途には通常ホモポリマーが延伸して用いられる。しかしながら、高立体規則性のホモポリマーを用いた場合、剛性は改良されるが逆に加工性は低下する。そしてホモポリマーの加工性を改良する方法として、立体規則性の異なる2種のポリプロピレン単独重合体が混合された組成物を用いる方法(特開昭61-23607号公報)が提案されている。しかしながら、この提案においては、若干加工性は改善されるものの、沸騰ヘプタンによる不溶部のアイソタクチック・ペンタッド分率が0.50〜0.92という非常に低規則性ホモポリマーを90〜10重量%を含む必要があるため、ポリプロピレンの剛性が犠牲となりホモポリマー本来の特徴が発揮できず、さらにべたつきの問題が発生する。 【0004】 一方、ホモポリマーの延伸性を改善する方法として、ランダム共重合体を用いる方法(特開昭56-32512号公報、特開昭59-135209)が提案されている。しかしながら、かかる方法を利用しても、多少延伸性は改良されるが、少量のエチレンを共重合させるだけで急激に立体規則性が悪化して、剛性が低下し、べたつきの問題が発生する。 【0005】 このように、現在では、非常に低規則性のポリプロピレンを混ぜ込むか、プロピレンとα-オレフィンとのランダム共重合することにより、高立体規則性のポリプロピレンが本来有する剛性、べたつき性、等を犠牲にしながらも加工性、等を改良し、全体としてバランスのとれた樹脂を製造する努力がなされているものの剛性及び加工性が共に優れたポリプロピレンは未だ開発されていない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 かかる現状において、本発明の解決すべき課題、即ち本発明の目的は、上記のような従来技術の問題点を解決しうる新規なαーオレフィン重合体およびそのような重合体を得るためのα-オレフィン重合用触媒ならびにα-オレフィン重合体の製造方法を提供するものであって、べたつき性に優れ、且つ延伸性といった加工性に優れたαーオレフィン重合体およびそのような重合体を得るためのα-オレフィン重合用触媒ならびにα-オレフィン重合体の製造方法を提供するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明は、炭素数3以上のα-オレフィンを重合してなる重合体であって、該重合体の極限粘度([η])が0.5以上10以下であり、該重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%とが、XIS≦70.00-3.64CXS(ただし、CXSは0.1wt%以上12wt%以下)の関係を有することを特徴とするα-オレフィン重合体に関するものである。 【0008】 以下、本発明について具体的に説明する。 本発明のα-オレフィン重合体は、炭素数3以上のα-オレフィンを重合してなる重合体であり、使用できるα-オレフィンの具体例としてはプロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、オクテン-1、デセン-1、などの直鎖状モノオレフィン類、3-メチルブテン-1、3-メチルペンテン-1、4-メチルペンテン-1、などの分岐モノオレフィン類、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらのα-オレフィンは1種類を用いてもよいし、あるいは、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのα-オレフィンのうちでは、プロピレンまたはブテン-1を用いて単独重合を行うこと、あるいはプロピレンまたはブテン-1を主成分とする混合オレフィンを用いて共重合を行うことが好ましく、プロピレンを用いて単独重合を行うこと、あるいはプロピレンを主成分とする混合オレフィンを用いて共重合を行うことが特に好ましい。また、本発明における共重合に際しては、エチレン及び上記のα-オレフィンから選ばれる2種類または、それ以上の種類のオレフィンを混合して用いることができる。さらに、共役ジエンや非共役ジエンのような多不飽和結合を有する化合物を共重合に用いることも可能である。そして、重合を2段以上にして行うヘテロブロック共重合も容易に行うことができる。 【0009】 本発明のα-オレフィン重合体は、テトラリン溶媒中、135℃で測定される極限粘度([η])が、0.5以上10以下であり、好ましくは、0.7以上8.0以下である。 【0010】 また、本発明のα-オレフィン重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%の関係は、XIS≦70.00-3.64CXSであり、好ましくは、XIS≦63.64-3.64CXS、さらに好ましくは、XIS≦57.28-3.64CXS、特に好ましくは、XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXSである。 【0011】 本発明において、20℃キシレン可溶部(以下CXSと略す)重量%は、1gの重合パウダ-を200mlの沸騰キシレンに溶解した後、50℃まで徐冷し、次いで氷水に浸し攪拌しながら20℃まで冷却し、20℃で3時間放置した後、析出したポリマーを濾別し、濾液からキシレンを蒸発させ、60℃で減圧乾燥して20℃のキシレンに可溶なポリマーを回収することにより算出する。 【0012】 また本発明における、105℃キシレン不溶部(以下XISと略す)重量%は、角五らによりMacromolecules、21、314〜319(1988)に発表された論文に記載の方法に基づいて、重合パウダーを135℃キシレンに溶解したのち海砂を投入して20℃まで冷却し、さらに再加熱した際105℃では抽出されず105〜135℃で抽出された部分の重量%をいう。 【0013】 本発明のα-オレフィン重合体のCXSは、0.1wt%以上12wt%以下である。 【0014】 本発明のα-オレフィン重合体は、例えば次のような方法により製造することができる。(A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(B)有機アルミニウム化合物、および(C)電子供与体成分から形成される触媒系を用い、先に述べたα-オレフィン重合体が得られる条件下でα-オレフィンを重合することにより製造できる。 【0015】 マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分(A)は、一般にチタン・マグネシウム複合型触媒と呼ばれているものを用いることができ、下記のようなマグネシウム化合物、チタン化合物および電子供与体を接触させることにより得ることができる。 【0016】 固体触媒成分(A)の合成に用いられるチタン化合物は、例えば一般式Ti(OR1)aX4-a(R1は炭素数が1〜20の炭化水素基、Xはハロゲン原子、aは0≦a≦4の数字を表す)で表されるようなチタン化合物を挙げることができる。具体的には、四塩化チタン、四臭化チタン、四沃化チタン等のテトラハロゲン化チタン化合物、メトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、ブトキシチタントリクロライド、フェノキシチタントリクロライド、エトキシチタントリブロマイド等のトリハロゲン化アルコキシチタン化合物、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジブトキシチタンジクロライド、ジフェノキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジブロマイド等のジハロゲン化ジアルコキシチタン化合物、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリブトキシチタンクロライド、トリフェノキシチタンクロライド、トリエトキシチタンブロマイド等のモノハロゲン化トリアルコキシチタン化合物、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラフェノキシチタン等のテトラアルコキシチタン化合物を挙げることができる。これらチタン化合物は、単独で用いられても良いし、二種類以上を組み合わせて用いても良い。更に、これらのチタン化合物は、炭化水素化合物あるいはハロゲン化炭化水素化合物などに希釈されて用いられても良い。 【0017】 固体触媒成分(A)の合成に用いられるマグネシウム化合物としては、マグネシウム-炭素結合やマグネシウム-水素結合を持った還元能を有するマグネシウム化合物、あるいは、還元能を持たないマグネシウム化合物を用いることができる。還元能を有するマグネシウム化合物の具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、ブチルエトキシマグネシム、ブチルマグネシウムハイドライド等を挙げることができる。これら還元能を有するマグネシウム化合物は、有機アルミニウム化合物との錯化合物の形態で用いてもよい。一方、還元能を持たないマグネシウム化合物の具体例としては、マグネシウムジクロライド、マグネシウムジブロマイド、マグネシウムジイアイオダイド等のジハロゲン化マグネシウム化合物、メトキシマグネシウムクロライド、エトキシマグネシウムクロライド、ブトキシマグネシウムクロライド、イソプロポキシマグネシウムクロライド、フェノキシマグネシウムクロライド等のアルコキシマグネシウムハライド化合物、ジエトキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、ジイソプロポキシマグネシウム、ジフェノキシマグネシウム等のジアルコキシマグネシウム化合物、ラウリル酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩等を挙げることができる。これら還元能を持たないマグネシウム化合物は、予め或いは固体触媒成分の調製時に還元能を持ったマグネシウム化合物から公知の方法で合成したものであってもよい。 【0018】 固体触媒成分(A)の合成に用いられる電子供与体としては、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、カルボン酸類、有機酸または無機酸のエステル類、エーテル類、酸アミド類、酸無水物類等の含酸素電子供与体、アンモニア類、アミン類、ニトリル類、イソシアネート類等の含窒素電子供与体等を挙げることができる。これらの電子供与体のうち好ましくは有機酸または無機酸のエステル類およびエーテル類が用いられる。 【0019】 有機酸のエステル類として好ましくは、モノおよび多価のカルボン酸エステルが用いられ、それらの例として脂肪族カルボン酸エステル、オレフィンカルボン酸エステル、脂環式カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステルを挙げることができる。具体例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸フェニル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、吉草酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニス酸エチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル、フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジnプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジnブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジnオクチル、フタル酸ジフェニル等を挙げることができる。 【0020】 また、無機酸のエステル類として好ましくは、一般式R2nSi(OR3)4-n(R2は炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子、R3は炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは0≦n<4である)で表されるようなケイ素化合物を挙げることができる。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、tブチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジtブチルジメトキシシラン、ブチルメチルジメトキシシラン、ブチルエチルジメトキシシラン、tブチルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルエチルジメトキシシラン、ドデシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロペンチルtブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルtブチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、tブチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジtブチルジエトキシシラン、ブチルメチルジエトキシシラン、ブチルエチルジエトキシシラン、tブチルメチルジエトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、ヘキシルエチルジエトキシシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、フェニルトリtブトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシシラン等を挙げることができる。 【0021】 さらに、エーテル類として好ましくは、ジアルキルエーテル、一般式 (R4〜R7は炭素数1〜20の線状または分岐状のアルキル、脂環式、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル基であり、R4またはR5は水素であってもよい)で表されるようなジエーテル化合物を挙げることができる。具体例としては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、ジネオペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオクチルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-3,7-ジメチルオクチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-シクロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-シクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ヘプチル-2-ペンチル-1,3-ジメトキシプロパン等を挙げることができる。 これらの電子供与体のうちエステル化合物が特に好ましく用いられる。 【0022】 かかる固体触媒成分を製造する方法としては、例えば、特公昭52-39431号公報、特公昭52-36786号公報、特開昭54-94590号公報、特開昭55-36203号公報、特開昭56-41206号公報、特開昭57-63310号公報、特開昭57-59916号公報、特開昭58-83006号公報、特開昭61-218606号公報、特開平1-319508号公報特開平3-706号公報等に開示された方法を挙げることができる。これらの方法としては、 【0023】 (1)液状のマグネシウム化合物、あるいはマグネシウム化合物および電子供与体からなる錯化合物を析出化剤と反応させたのち、チタン化合物、あるいはチタン化合物および電子供与体で処理する方法。 (2)固体のマグネシウム化合物、あるいは固体のマグネシウム化合物および電子供与体からなる錯化合物をチタン化合物、あるいはチタン化合物および電子供与体で処理する方法。 (3)液状のマグネシウム化合物と、液状チタン化合物とを、電子供与体の存在下で反応させて固体状のチタン複合体を析出させる方法。 (4)(1)、(2)あるいは(3)で得られた反応生成物をチタン化合物、あるいは電子供与体およびチタン化合物でさらに処理する方法。 (5)Si-O結合を有する有機ケイ素化合物の共存下アルコキシチタン化合物をグリニャール試薬等の有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物、エーテル化合物およびTiCl4で処理する方法。 (6)金属酸化物、ジヒドロカルビルマグネシウムおよびハロゲン含有アルコールとの接触反応物をハロゲン化剤で処理した後あるいは処理せずに電子供与体およびチタン化合物と接触する方法。 (7)有機酸のマグネシウム塩、アルコキシマグネシウムなどのマグネシウム化合物をハロゲン化剤で処理した後あるいは処理せずに電子供与体およびチタン化合物と接触する方法。 (8)(1)〜(7)で得られる化合物を、ハロゲン、ハロゲン化合物および芳香族炭化水素のいずれかで処理する方法。 これらの固体触媒の合成方法のうち(1)〜(5)に挙げた方法が好ましく用いられ、(5)に挙げた方法が特に好ましく用いられる。 【0024】 また、このような固体触媒成分(A)は、単独でも使用することができるが、無機酸化物、有機ポリマー等の、多孔質物質に含浸させて使用することも可能である。 かかる多孔質無機酸化物としては、SiO2、Al2O3、MgO、TiO2、ZrO2、SiO2-Al2O3複合酸化物,MgO-Al2O3複合酸化物,MgO-SiO2-Al2O3複合酸化物等が挙げられ、多孔質有機ポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、スチレン-n,n’-アルキレンジメタクリルアミド共重合体、スチレン-エチレングリコールジメタクリル酸メチル共重合体、ポリアクリル酸エチル、アクリル酸メチル-ジビニルベンゼン共重合体、アクリル酸エチル-ジビニルベンゼン共重合体、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル-ジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレングリコールジメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル-ジビニルベンゼン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルピロリジン、ポリビニルピリジン、エチルビニルベンゼン-ジビニルベンゼン共重合体、ポリエチレン、エチレン-アクリル酸メチル共重合体、ポリプロピレン等に代表されるポリスチレン系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアクリロニトリル系、ポリ塩化ビニル系、ポリオレフィン系のポリマーを挙げることができる。これらの多孔質物質のうち、SiO2、Al2O3、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体が好ましく用いられる。 【0025】 (B)成分として使用される有機アルミニウム化合物は、少なくとも分子内に一個のAl-炭素結合を有するものである。 代表的なものを一般式で下記に示す。 R8mAlY3-m R9R10Al-O-AlR11R12 (R8〜R12は炭素数が1〜8個の炭化水素基、Yはハロゲン、水素またはアルコキシ基を表し、mは2≦m≦3で表される数字である)有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物のようなトリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物、テトラエチルジアルモキサン、テトラブチルジアルモキサン等のアルキルアルモキサンが例示できる。 【0026】 これらの有機アルミニウム化合物のうち、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物、アルキルアルモキサンが好ましく、とりわけトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドの混合物およびテトラエチルジアルモキサンが好ましい。 【0027】 電子供与体触媒成分(C)としては、以下の条件を満たすものが用いられる。すなわち電子供与体触媒成分(C)を上記固体触媒成分(A)および有機アルミニウム化合物(B)とともに重合に用いて得られるα-オレフィン重合体の極限粘度([η])が0.1以上15以下であり、該重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)の関係が XIS≦70.00-3.64CXS (ただし、CXSは0.1wt%以上12wt%以下)である。 【0028】 電子供与体触媒成分(C)として用いられる電子供与体としては上記の条件を満たすものであれば制限を受けないが、例えば、固体触媒成分(A)の調製に用いられる電子供与体を用いることができ、特に下記のような有機ケイ素化合物から選択されることが好ましい。 【0029】 このような有機ケイ素化合物としては、一般式R2nSi(OR3)4-n、(R2は炭素数1〜20の炭化水素基または水素原子、R3は炭素数1〜20の炭化水素基であり、nは0≦n<4である)で表されるような有機ケイ素化合物を挙げることができる。具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、tブチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジtブチルジメトキシシラン、ブチルメチルジメトキシシラン、ブチルエチルジメトキシシラン、tブチルメチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、tブチルイソプロピルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘキシルエチルジメトキシシラン、ドデシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、シクロペンチルイソブチルジメトキシシラン、シクロペンチルtブチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソプロピルジメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルtブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルイソプロピルジメトキシシラン、フェニルイソブチルジメトキシシラン、フェニルtブチルジメトキシシラン、フェニルシクロペンチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、tブチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、プロピルメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、ジtブチルジエトキシシラン、ブチルメチルジエトキシシラン、ブチルエチルジエトキシシラン、tブチルメチルジエトキシシラン、ヘキシルメチルジエトキシシラン、ヘキシルエチルジエトキシシラン、ドデシルメチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルエチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、フェニルトリtブトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシシラン等を挙げることができる。 【0030】 上記のような有機ケイ素化合物のうち、電子供与体触媒成分(C)としては、例えば一般式R13R14Si(OR15)2で表される有機ケイ素化合物が好ましく用いられる。式中、R13は炭素数1〜20の炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の直鎖状アルキル基が特に好ましい。また式中、R14は炭素数1〜5の炭化水素基であり、炭素数1の炭化水素基が特に好ましい。さらに式中、R15は炭素数1〜20の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜5の炭化水素基である。 【0031】 このような電子供与体触媒成分(C)として用いられる有機ケイ素化合物の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、エチルメチルジメトキシシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、ブチルメチルジメトキシシラン、ペンチルメチルジメトキシシラン、ヘキシルメチルジメトキシシラン、ヘプチルメチルジメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、ドデシルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。 【0032】 本発明のα-オレフィン重合体を得るための重合方法においては、得られるα-オレフィン重合体の極限粘度([η])が0.5以上10以下であり、該重合体の20℃キシレン可溶部(CXS)重量%と105℃キシレン不溶部(XIS)重量%の関係が、XIS≦70.00-3.64CXS(ただし、CXSは0以上15以下)となる様な条件で重合が実施される以外に特に制限は無い。 【0033】 また、本発明のα-オレフィン重合体を得るための重合方法において、各触媒成分を重合槽に供給する方法としては、窒素、アルゴン、ブタン等の不活性ガス中、あるいはプロピレン等のオレフィン中で水分のない状態で供給する以外は、特に制限すべき条件はない。 【0034】 前述の触媒系を用いて重合を行う場合には、固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)、および電子供与体触媒成分(C)は、個別に供給しても良いし、いずれか2者を予め接触させて供給しても良い。 【0035】 本発明のα-オレフィン重合体を得るための重合方法においては、前記のような触媒存在下にオレフィンの重合を行うことが可能であるが、このような重合(本重合)の実施前に以下に述べる予備重合を行ってもかまわない。 【0036】 予備重合は、固体触媒成分(A)および有機アルミニウム化合物(B)の存在下、少量のオレフィンを供給して実施され、スラリー状態で行うのが好ましい。スラリー化するのに用いる溶媒としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンのような不活性炭化水素を挙げることができる。また、スラリー化するに際し、不活性炭化水素溶媒の一部または全部に変えて液状のオレフィンを用いることができる。 【0037】 予備重合時の有機アルミニウム化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子1モル当たり、0.5〜700モルのごとく広範囲に選ぶことができるが、0.8〜500モルが好ましく、1〜200モルが特に好ましい。 【0038】 また、予備重合されるオレフィンの量は、固体触媒成分1g当たり0.01〜1000g、好ましくは0.05〜500g、特に好ましくは0.1〜200gである。 【0039】 予備重合を行う際のスラリー濃度は、1〜500g-固体触媒成分/l-溶媒が好ましく、特に3〜300g-固体触媒成分/l-溶媒が好ましい。予備重合温度は、-20〜100℃が好ましく、特に0〜80℃が好ましい。また、予備重合中の気相部でのオレフィンの分圧は、0.01〜20kg/cm2が好ましく、特に0.1〜10kg/cm2が好ましいが、予備重合の圧力、温度において液状であるオレフィンについては、この限りではない。さらに、予備重合時間に特に制限はないが、通常2分から15時間が好適である。 【0040】 予備重合を実施する際、固体触媒成分、有機アルミニウム化合物、オレフィンを供給する方法としては、固体触媒成分と有機アルミニウム化合物を接触させておいた後オレフィンを供給する方法、固体触媒成分とオレフィンを接触させておいた後有機アルミニウム化合物を供給する方法のいずれの方法を用いても良い。また、オレフィンの供給方法としては、重合槽内が所定の圧力になるように保持しながら順次オレフィンを供給する方法、或いは所定のオレフィン量を最初にすべて供給する方法のいずれの方法を用いても良い。また、得られる重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することも可能である。 【0041】 さらに、有機アルミニウム化合物の存在下、固体触媒成分を少量のオレフィンで予備重合するに際し、必要に応じて電子供与体を共存させても良い。使用される電子供与体は、上記の電子供与体触媒成分(C)の一部または、全部である。その使用量は、固体触媒成分中に含まれるチタン原子1モルに対し、0.01〜400モル、好ましくは0.02〜200モル、特に好ましくは、0.03〜100モルであり、有機アルミニウム化合物に対し、0.003〜5モル、好ましくは0.005〜3モル、特に好ましくは0.01〜2モルである。 【0042】 予備重合の際の電子供与体の供給方法に特に制限なく、有機アルミニウム化合物と別個に供給しても良いし、予め接触させて供給しても良い。また、予備重合で使用されるオレフィンは、後述する本重合で使用されるオレフィンと同一であっても異なっていても良い。 【0043】 上記のように予備重合を行った後、あるいは、予備重合を行うことなく、前述の固体触媒成分(A)、有機アルミニウム化合物(B)および電子供与体触媒成分(C)からなるオレフィンの重合用触媒の存在下に、オレフィンの本重合を行うことができる。 【0044】 本重合時の有機アルミニウム化合物の使用量は、固体触媒成分中のチタン原子1モル当たり、1〜1000モルのごとく広範囲に選ぶことができるが、特に5〜600モルの範囲が好ましい。 【0045】 また、本重合時に使用される電子供与体触媒成分(C)は、固体触媒成分中に含まれるチタン原子1モルに対し、0.1〜2000モル、好ましくは0.3〜1000モル、特に好ましくは、0.5〜800モルであり、有機アルミニウム化合物に対し、0.001〜5モル、好ましくは0.005〜3モル、特に好ましくは0.01〜1モルである。 【0046】 本重合は、-30〜300℃までにわたって実施することができるが、20〜180℃が好ましい。重合圧力に関しては特に制限は無いが、工業的かつ経済的であるという点で、一般に、常圧〜100kg/cm2、好ましくは2〜50kg/cm2程度の圧力が採用される。重合形式としては、バッチ式、連続式いずれでも可能である。また、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンの如き不活性炭化水素溶媒によるスラリー重合もしくは溶液重合、重合温度において液状のオレフィンを媒体としたバルク重合または気相重合も可能である。 【0047】 本重合時には重合体の分子量を調節するために水素等の連鎖移動剤を添加することも可能である。 【0048】 【実施例】 以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例によって特に限定をうけるものではない。なお実施例中、重合体の各種物性の評価方法は、次のとうりである。 【0049】 (1)20℃キシレン可溶部(CXS):本発明明細書中記載の方法に依った。 (2)105℃キシレン不溶部(XIS):本発明明細書中記載の方法に依った。 (3)極限粘度(以下[η]と略す):テトラリン溶媒、135℃で測定した。 (4)重量平均分子量/数平均分子量比(以下Mw/Mnと略す):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりオルトジクロルベンゼン溶媒、145℃で測定した。 【0050】 実施例1 (a) 有機マグネシウム化合物の合成 攪拌機、還流冷却器、滴下ロート、温度計を備えた1000mlのフラスコをアルゴンで置換したのち、グリニャール用削状マグネシウム32.0gを投入した。滴下ロートにブチルクロリド120gとジブチルエーテル500mlを仕込み、フラスコ中のマグネシウムに約30ml滴下し、反応を開始させた。反応開始後、50℃で4時間かけて滴下を続け、滴下終了後、60℃で更に1時間反応を続けた。その後、反応溶液を室温に冷却し、固形分を濾別した。サンプリングした反応溶液中のブチルマグネシウムクロリドを1規定硫酸で加水分解し、1規定水酸化ナトリウム水溶液で逆滴定して濃度を決定したところ(指示薬としてフェノールフタレインを使用)、濃度は2.1モル/リットルであった。 【0051】 (b) 固体生成物の合成 攪拌機、滴下ロートを備えた500mlのフラスコをアルゴンで置換した後、ヘキサン290ml、テトラブトキシチタン7.7g(23ミリモル)およびテトラエトキシシラン75.0g(360ミリモル)を投入し、均一溶液とした。次に、(a)で合成した有機マグネシウム化合物溶液181mlを、フラスコ内の温度を5℃に保ちながら、滴下ロートから3.5時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、室温でさらに1時間攪拌した後室温で固液分離し、ヘキサン300mlで3回、トルエン300mlで3回洗浄を繰り返した後トルエン300mlを加えた。 固体生成物スラリーの一部をサンプリングし、組成分析を行ったところ固体生成物中にはチタン原子が2.1重量%、エトキシ基が36.2重量%、ブトキシ基が3.8重量%含有されていた。またスラリー濃度は、0.125g/mlであった。 【0052】 (c) エステル処理固体の合成 スラリーの上澄み液を125mlを抜き取り、フタル酸ジイソブチル45.8ml(171ミリモル)を加え、95℃で30分反応を行った。反応後、固液分離し、トルエン287mlで2回洗浄を行った。 【0053】 (d) 固体触媒成分の合成(活性化処理) 上記(c)での洗浄終了後、フラスコにトルエン74.5ml、フタル酸ジイソブチル2.9ml(11ミリモル)、ブチルエーテル6.3ml(37ミリモル)、および四塩化チタン99ml(0.90モル)を加え、100℃で3時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、同温度でトルエン287mlで2回洗浄を行った。次いで、トルエン74.5ml、ブチルエーテル6.3ml(37ミリモル)、および四塩化チタン50ml(0.45モル)を加え、100℃で1時間反応を行った。反応終了後、同温度で固液分離した後、同温度でトルエン287mlで4回洗浄を行ったのち、ヘキサン287mlで3回洗浄し、さらに減圧乾燥して固体触媒成分46gを得た。 固体触媒成分中には、チタン原子が2.2重量%、フタル酸エステルが10.7重量%、エトキシ基が0.7重量%、ブトキシ基が0.3重量%含まれていた。 【0054】 (e) プロピレンの重合 3リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブをアルゴン置換し、トリエチルアルミニウム2.6ミリモル、nプロピルメチルジメトキシシラン0.065ミリモル及び(d)で合成した固体触媒成分5.9mgを仕込み、0.33kg/cm2の分圧に相当する水素を加えた。次いで780gの液化プロピレンを仕込み、オートクレーブの温度を80℃に昇温し、80℃で1時間重合を行った。重合終了後未反応モノマーをパージした。生成した重合体を60℃で2時間減圧乾燥し、130gのポリプロピレンパウダーを得た。 【0055】 従って、固体触媒成分1g当たりのポリプロピレンの収量(以下、PP/Catと略す)は、PP/Cat=22,000(g/g)であった。また、全重合体収量に占める20℃キシレンに可溶な成分の割合はCXS=11.7(wt%)、105℃キシレンに不溶な成分の割合はXIS=25.1(wt%)、重合体の極限粘度は[η]=1.22、そして重量平均分子量/数平均分子量比は、Mw/Mn=4.4であった。重合条件及び重合結果を表1に示す。 【0056】 実施例2〜4 (a) プロピレンの重合 実施例1(e)のプロピレンの重合において、nプロピルメチルジメトキシシランの使用量を表1に示す量に変えた以外は実施例1と同様の方法でプロピレンの重合を実施した。重合条件及び重合結果を表1に示す。 【0057】 実施例5、6 (a) プロピレンの重合 実施例1(e)のプロピレンの重合において、nプロピルメチルジメトキシシランの代わりに、表1に示した化合物を、表1に示した量使用した以外は、実施例1と同様の方法でプロピレンの重合を実施した。重合条件及び重合結果を表1に示す。 【0058】 比較例1〜5 (a) プロピレンの重合 実施例1(e)のプロピレンの重合において、nプロピルメチルジメトキシシランの代わりに、表1に示した化合物を、表1に示した量使用した以外は、実施例1と同様の方法でプロピレンの重合を実施した。重合条件及び重合結果を表1に示す。 【0059】 比較例6 (a) 固体触媒成分の合成 無水塩化マグネシウム47.6g(500mmol)にデカン250mlおよび2-エチルヘキシルアルコール234ml(1500mmol)を130℃で2時間加熱反応を行い懸濁液とした後、この溶液中に無水フタル酸11.1g(75mmol)を添加し、130℃にてさらに1時間攪拌を行い、無水フタル酸を懸濁液に溶解させる。この様にして得られた均一溶液を室温に冷却した後、-20℃に保持された四塩化チタン2000ml(18mol)中に1時間にわたって全量滴下挿入する。挿入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところでジイソブチルフタレート28.0ml(140mmol)を添加し、これより2時間同温度にて攪拌下保持する。2時間の反応終了後熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を2000mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間加熱反応を行う。反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃デカン300mlで5回、室温ヘキサン500mlで3回洗浄を行い、減圧乾燥して固体触媒成分を得た。固体触媒成分中にはチタン原子が2.0重量%、マグネシウム原子が20.0重量%、ジイソブチルフタレートが4.2重量%含まれていた。 【0060】 (b) プロピレンの重合 3リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブをアルゴン置換し、トリエチルアルミニウム2.6ミリモル、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン0.26ミリモル及び(a)で合成した固体触媒成分8.5mgを仕込み、0.33kg/cm2の分圧に相当する水素を加えた。次いで780gの液化プロピレンを仕込み、オートクレーブの温度を80℃に昇温し、80℃で1時間重合を行った。重合終了後未反応モノマーをパージした。生成した重合体を60℃で2時間減圧乾燥し、174gのポリプロピレンパウダーを得た。 【0061】 従って、PP/Cat=20,500(g/g)であった。また、CXS=2.4(wt%)、XIS=72.2(wt%)、[η]=1.77、そして、Mw/Mn=4.2であった。重合条件及び重合結果を表1に示す。 【0062】 比較例7 (a) プロピレンの重合 比較例6(b)のプロピレンの重合において、シクロヘキシルエチルジメトキシシランの代わりに、フェニルトリメトキシシランを使用した以外は、比較例6と同様の方法でプロピレンの重合を実施した。重合条件及び重合結果を表1に示す。 【0063】 比較例8 (a) プロピレンの重合 1リットルのかき混ぜ式ステンレス製オートクレーブをアルゴン置換し、ジエチルアルミニウムクロライド12.4ミリモル、メタクリル酸メチル0.186ミリモル及びソルベー丸紅化学(株)製Cata-01触媒(TiCl3タイプ触媒)17.3mgを仕込み、0.66kg/cm2の分圧に相当する水素を加えた。次いで280gの液化プロピレンを仕込み、オートクレーブの温度を65℃に昇温し、65℃で2時間重合を行った。重合終了後未反応モノマーをパージした。生成した重合体を60℃で2時間減圧乾燥し、96gのポリプロピレンパウダーを得た。 【0064】 従って、PP/Cat=5,550(g/g)であった。また、CXS=1.8(wt%)、XIS=74.1(wt%)、[η]=2.18、そして、Mw/Mn=6.1であった。重合条件及び重合結果を表1に示す。 【0065】 〔表1〕 【0066】 【発明の効果】 べたつき性に優れ、且つ延伸性といった加工性に優れたαーオレフィン重合体およびそのような重合体を得るためのα-オレフィン重合用触媒ならびにα-オレフィン重合体の製造方法を提供する。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の理解を助けるためのフローチャート図である。このフローチャート図は本発明の実施態様の代表例であり、本発明は何らこれに限定されるものではない。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 1.訂正事項 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1、請求項3および請求項5における「XIS≦70.00-3.64CXS」を、「XIS≦57.28-3.64CXSかつXIS≧20.00-3.64CXS」とする訂正 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1、請求項3および請求項5における「(ただし、CXSは0.1wt%以上12wt%以下)」を「(ただし、CXSは0.1wt%以上5.0wt%以下)」とする訂正 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3の「一般式R13R14Si(OR15)2(式中、R13は炭素数1〜20の直鎖状アルキル基であり、R14は炭素数1の炭化水素基であり、R15は炭素数1〜20の炭化水素基である。)で表される有機ケイ素化合物である電子供与体成分」を「n-プロピルメチルジメトキシシラン」とする訂正 |
異議決定日 | 2002-04-23 |
出願番号 | 特願平5-305318 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YA
(C08F)
P 1 651・ 121- YA (C08F) P 1 651・ 534- YA (C08F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 藤本 保 |
特許庁審判長 |
三浦 均 |
特許庁審判官 |
石井 あき子 船岡 嘉彦 |
登録日 | 2000-05-26 |
登録番号 | 特許第3070368号(P3070368) |
権利者 | 住友化学工業株式会社 |
発明の名称 | α-オレフィン重合体およびα-オレフィン重合用触媒ならびにα-オレフィン重合体の製造方法 |
代理人 | 大谷 保 |
代理人 | 丸山 英一 |
代理人 | 久保山 隆 |
代理人 | 久保山 隆 |
代理人 | 山本 隆也 |