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審決分類 審判 一部無効 1項2号公然実施 無効としない A63F
審判 一部無効 1項1号公知 無効としない A63F
審判 一部無効 2項進歩性 無効としない A63F
管理番号 1062206
審判番号 無効2001-35052  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-05-02 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-02-09 
確定日 2002-07-22 
事件の表示 上記当事者間の特許第2998096号発明「ゲーム装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第2998096号は、平成6年8月15日に出願(優先権主張 平成5年8月25日)された特願平6-191376号の特許出願について、平成11年11月5日に特許権の設定がなされたところ、これに対して平成13年2月9日にコナミ株式会社より請求項1ないし2に係る発明の特許(以下、「本件特許」という。)について、特許無効の審判が請求されたものである。

第2.本件特許発明
本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし2に記載された次の事項により特定されるものであり、
その構成要件を符号を付して分節すると、次のとおりである。
「【請求項1】
1A: 遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段と、前記操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と、前記ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段とを有するゲーム装置において、
1B: 前記ゲーム制御手段は、前記操作入力手段から入力される操作信号を前記ゲーム表示手段に表示する操作表示手段を有し、
1C: 前記操作表示手段は、前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメントを記憶する表示エレメント記憶手段と、前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて、前記表示エレメント記憶手段に記憶された複数の表示エレメントから表示すべき表示エレメントを選択する表示エレメント選択手段とを有し、
1D: 前記ゲーム表示手段は、前記操作入力手段を表す表示画像を表示し、前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて前記表示エレメント選択手段で選択された表示エレメントを、前記表示画像中に表示し、
1E: 前記操作入力手段は、第1の遊戯者が操作する第1の操作入力手段と、第2の遊戯者が操作する第2の操作入力手段とを有し、
1F: 前記表示エレメント記憶手段は、前記第1の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメントと、前記第2の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第2の表示エレメントとを記憶する
1G: ことを特徴とするゲーム装置。」
【請求項2】
2A: 請求項1記載のゲーム装置において、
2B: 前記操作入力手段は、前記遊戯者が操作する複数の操作ボタンを有し、
2C: 前記複数の表示エレメントは、前記操作入力手段の前記操作ボタンの配置状態に対応して配置されている
2D: ことを特徴とするゲーム装置。」

第3.請求人の主張及び証拠方法
1.請求人の主張
請求人は、甲第1号証ないし甲第3号証を提示し、本件特許の請求項1ないし2に係る発明は、本件特許の出願(優先権主張日 平成5年8月25日)前に日本国内において公然知られた(以下、「公知」という。)、又は本件特許の出願(優先権主張日 平成5年8月25日)前に日本国内において公然実施された(以下、「公用」という。)発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから本件の請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第123条第2項に該当し無効とすべきである旨主張する。

(1)甲第1号証に関して
甲第1号証には、本件特許の優先権主張日前に発売されたファミリーコンピュータ用の任天堂社製ゲームカートリッジ「ジョイメカファイト」に関する説明が記載され、このゲームは、上記ゲームカートリッジと任天堂社製のゲーム装置本体であるファミリーコンピュータとを組み合わせることにより、テレビ受像機などからなる所定のディスプレイ装置に「ジョイメカファイト」のゲーム画像を表示し、ファミリーコンピュータに付属のコントローラからの操作信号に基づいて制御されるようになっていることから、甲第1号証に開示のゲーム装置は、
a)遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段(コントローラ)、操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段、ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段(テレビ受像機など)を有しており、
また、甲第1号証のジョイメカファイトゲームに関する説明から、
b)このゲーム装置は、操作入力手段(コントローラ)から入力される操作信号(Aボタン、Bボタン、十字ボタンを操作することによって生じる信号)をゲーム表示手段(ディスプレイ装置)に表示する手段を有し、
c)操作信号をゲーム表示手段に表示する上記手段は、操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメント(Aボタン図形、Bボタン図形、十字ボタン図形についての複数の状態)を記憶する手段と、この手段に記憶された複数の表示エレメントから操作入力手段により入力された操作信号に基づいて表示すべき表示エレメントを選択する手段とを有し、
d)ゲーム表示手段は、操作入力手段を表す表示画像(Aボタン図形、Bボタン図形、十字ボタン図形を含むコントローラ図形)を表示するようになっており、操作入力手段により入力された操作信号に基づいて表示すべき表示エレメントを選択する上述の手段で選択された表示エレメントが、上記表示画像中に表示されるようになっており、
e)このゲーム装置の操作入力手段は、遊戯者が操作する複数の操作ボタン(Aボタン、Bボタン、十字ボタン)を有し、
f)上述の表示エレメントは、操作入力手段の前記操作ボタンの配置状態に対応して操作入力手段の画像の中に配置されている。
したがって、甲第1号証には、本件特許の請求項1に係る発明の、
構成要件1Aに相当する『遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段と、前記操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と、前記ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段とを有するゲーム装置』の構成、
構成要件1Bに相当する『前記ゲーム制御手段は、前記操作入力手段から入力される操作信号を前記ゲーム表示手段に表示する操作表示手段』の構成、
構成要件1Cに相当する『前記操作表示手段は、前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメントを記憶する表示エレメント記憶手段と、前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて、前記表示エレメント記憶手段に記憶された複数の表示エレメントから表示すべき表示エレメントを選択する表示エレメント選択手段』の構成、
構成要件1Dに相当する『前記ゲーム表示手段は、前記操作入力手段を表す表示画像を表示し、前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて前記表示エレメント選択手段で選択された表示エレメントを、前記表示画像中に表示』する構成、
構成要件1Gに相当する『ゲーム装置。』の構成
が開示されているから、本件特許の請求項1に係る発明の構成要件1E及び1Fを除くすべての構成要件が開示されているといえる。

(2)甲第2号証に関して
甲第2号証には、本件特許の優先権主張日前に発売されたスーパーファミコン用のタイトー社製ゲームカートリッジ「ゆうゆのクイズでGO!GO!」の取扱説明書と、ゲーム画面の写真が示され、このゲームは、上記ゲームカートリッジと任天堂社製のゲーム装置本体であるスーパーファミコンとを組み合わせることにより、テレビ受像機などからなる所定のディスプレイ装置に「ゆうゆのクイズでGO!GO!」のゲームを表示するものであって、2人の遊戯者が参加する2プレイモードを実行する場合には、2つのコントローラからの操作信号に基づいてゲームの制御がなされるものである。
そして、甲第2号証の「ゆうゆのクイズでGO!GO!」に関する説明から、
g)このゲーム装置は、第1の遊戯者が操作する第1の操作入力手段(1P用のコントローラ)と、第2の遊戯者が操作する第2の操作入力手段(2P用のコントローラ)とを有し、
h)このゲーム装置は.表示エレメント(Aボタン図形、Bボタン図形でXボタン図形、Yボタン図形(或いはこれらを含む図形))を表示するために表示エレメントを記憶するための手段を備え、
i)この手段は、第1の操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメント(2組表示される、Aボタン図形、Bボタン図形、Xボタン図形.Yボタン図形(或いはこれらを含む図形)のうちの左側のもの)と、第2のコントローラによる複数の操作信号を表示する第2の表示エレメント(同、左側のもの)とを記憶するようになっていることが読み取れることから、甲第2号証には、本件特許の請求項1に係る発明の、
構成要件1Eに相当する『前記操作入力手段は、第1の遊戯者が操作する第1の操作入力手段と、第2の遊戯者が操作する第2の操作入力手段』の構成、及び
構成要件1Fに相当する『前記表示エレメント記憶手段は、前記第1の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメントと、前記第2の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第2の表示エレメントとを記憶する』構成が開示されているといえる。

(3)甲第3号証に関して
甲第3号証には、本件特許の優先権主張日前に発売されたファミリーコンピュータ用のアイ・ジー・エス社製ゲームカートリッジ「バズニック」に関する説明が記載され、このゲームは、上記ゲームカートリッジと任天堂社製のゲーム装置本体であるファミリーコンピュータとを組み合わせることにより、テレビ受像機などからなる所定のディスプレイ装置に「バズニック」のゲーム画像を表示し、ファミリーコンピュータに付属のコントローラからの操作信号に基づいて制御されるようになっていることから、第3号証に開示のゲーム装置は、
a)遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段(コントローラ)、操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段、ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段(テレビ受像機など)を有しており、
また、甲第3号証のバズニックゲームに関する説明から、
b)このゲーム装置は、操作入力手段(コントローラ)から入力される操作信号(十字ボタンを操作することによって生じる信号)をゲーム表示手段(ディスプレイ)に表示する手段を有し、
c)操作信号をゲーム表示手段に表示する上記手段は、操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメント(4つの矢印の画像を含む画像(表示エレメント)を記憶する手段と、この手段に記憶された複数の表示エレメントから、操作入力手段により入力された操作信号に基づいて、表示すべき表示エレメントを選択する手段とを有し、
d)ゲーム表示手段は、操作入力手段を表す表示画像(4つの矢印の画像を含む左側領域の画像)を表示するようになっており、操作入力手段により入力された操作信号に基づいて表示すべき表示エレメントを選択する上述の手段で選択された表示エレメントが、上記表示画像中に表示される。
したがって、第3号証には、本件特許の請求項1に係る発明の1Aないし1Gの構成要件の各構成要件のうち、1E及び1Fを除くすべての構成要件を開示する。

(4)本件特許の請求項1に係る発明について
甲第1号証には、本件特許の請求項1に係る1Aないし1Gの各構成要件のうちの、1E及び1Eを除くすべての構成要件が開示される。すなわち、甲第1号証には、本件特許の請求項1に係る発明における技術思想のうち「2つの操作入力手段を備えると共に、2つの表示エレメントを表示手段に表示するようにすることで、2人プレイに対応できるようにする」という以外のすべての技術思想が開示されている。
他方、甲第2号証には、本件特許の請求項1に係る発明の1Aないし1Gの各構成要件のうちの1E及び1Eの構成要件が開示される。すなわち、甲第2号証には2人プレイに対応させるべく2つの操作入力手段を準備し、そのそれぞれに対応させた表示エレメントを表示手段に表示するという技術思想が開示されている。
したがって、甲第1号証に開示の発明に甲第2号証に開示の発明を組み合わせることにより、本件特許の請求項1に係る発明をなすことができる。そして、甲第1号証に開示の発明と甲第2号証に開示の発明とは共に、ゲーム装置に関するものであるから、当業者がこれらに記載の技術を組み合わせて本件発明を推考することには困難がない。
よって、本件特許の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項に規定される進歩性を欠くため特許法第123条第1項第2号に規定される無効理由を有する。
なお、甲第3号証は、甲第1号証と同様に本件特許の請求項1に係る発明の1Aないし1Gの各構成要件のうちの、1E及び1Fを除くすべての構成要件を開示する。
したがって、甲第3号証に開示される発明と、甲第2号証に開示される発明とを組み合わせることによっても、本件特許の請求項1に係る発明をなすことが可能であり、その組合せには上述の場合と同様の理由で困難性がない。
従って、甲第2号証と甲第3号証によっても、本件特許の請求項1に係る発明の進歩性が否定される。

(5)本件特許の請求項2に係る発明について
甲第1号証には、ゲーム装置の操作入力手段が、遊戯者が操作する複数の操作ボタン(Aボタン、Bボタン、十字ボタン)を有していることが開示されていることにより、本件特許の請求項2に係る発明の構成要件2Bの「前記操作入力手段は、前記遊戯者が操作する複数の操作ボタンを有し、」が開示され、また、表示工レメントは、操作入力手段の前記操作ボタンの配置状態に対応して操作入力手段の画像の中に配置されていることが開示されていることから、請求項2に係る発明の構成要件2Cの『前記複数の表示エレメントは、前記操作入力手段の前記操作ボタンの配置状態に対応して配置されている』が開示されている。
したがって、甲第1号証には、本件特許の請求項2に係る発明の2Aないし2Dの各構成要件のうち、2Aの『請求項1記載のゲーム装置において、』という構成要件を除くすべての構成要件が開示されているといえる。
上述のように本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に開示の発明と甲第2号証に開示の発明とを組み合わせることにより容易になすことができたものといえるから、本件特許の請求項2に係る発明は、かかる本件特許の請求項1に係る発明をなすための先行技術に、甲第1号証に開示の発明を更に組み合わせることによりなすことができる。
よって、本件特許の請求項2に係る発明は、特許法第29条第2項に規定される進歩性を欠く。

2.証拠方法
甲第1号証:ジョイメカファイトゲーム概要
甲第2号証:スーパーファミコン用ゲーム「ゆうゆのクイズでGO!GO!」の取扱説明書の写し及びゲーム画面
甲第3号証:パズニックゲーム概要
甲第4号証:マルカツスーパーファミコン1993年9号の写し(1993年5月21日発行)
甲第5号記:マルカツスーパーファミコン1993年10号の写し(1993年6月11日発行)
甲第6号証:週刊ファミコン通信第7巻第29号の写し
甲第7号証:週刊ファミコン通信第7巻第32号の写し
甲第8号証:ファミリーコンピュータマガジン第7巻第9号の写し(平成3年5月10日発行)
甲第9号証:特許第2998096号原簿
甲第10号証:特許第2998096号特許公報
甲第11号証:陳述書
甲第12号証:週刊ファミコン通信第8巻第23号の写し(1993年6月4日発行)
甲第13号証:ファミリーコンピュータマガジン第9巻第10号の写し(平成5年.6月11日発行)
甲第14号証:週刊ファミコン通信第8巻第25号の写し(1993年6月18日発行)
甲第15号証:ジョイメカファイト必勝攻略法の写し(1993年8月10日発行)
甲第16号証:証明書
甲第17号証:宣誓供述書
甲第18号証:ファミリーコンピュータ取扱説明書写し
甲第19号証:スーパーファミコン取扱説明書写し

第4.被告の主張
1.甲第1号証、甲第2号証、甲第3号証の証拠能力について
甲第1号証、甲第2号証(の第1〜2頁)、甲第3号証は、無効審判の請求の際に審判請求人が恣意的に作成した説明書類であり、いわば、本件特許発明を無効にすることを意図した請求人が勝手に作り上げた説明書類であり、客観的な証拠とはなり得ないものである。甲第17号証のような宣誓供述書が審判請求時から提出されていたとしても同様である。
第1回の弁ぱく書に添付された甲第11号証ないし第16号証について請求人は、無効理由たる事実を証明するための証拠(甲第1号証及び甲第2号証)の信憑性を高めるための間接証拠に該当し特許法第131条第2項違反ではないと主張しているが、甲第1号証及び甲第2号証はその証拠方法について主張の体をなしておらず信憑性は皆無である。
仮に、甲第11号証ないし甲第16号証により甲第1号証及び甲第2号証の信憑性が生ずることになるとすれば、それは無から有を生じさせることになり、そのような証拠は明らかに特許法第131条第2項違反であり提出することは認められない。

2.予備的主張
(1)本件特許の請求項1に係る発明に関して
ア)甲第1号証について
甲第1号証には、審判請求人も認めるように、請求項1に係る本件特許発明の構成要件1E、1Fが開示されていない。しかも、甲第1号証は、これら構成要件1E、1Fを示唆するものでもないので、甲第1号証に基づいて当業者が容易に本件特許発明に想到しうるということはできない。
イ)甲第2号証について
審判請求人は、甲第2号証には構成要件1E、1Fが開示されていると主張しているが、甲第2号証は構成要件1E、1Fを開示も示唆もするものではない。
ウ)甲第3号証について
甲第3号証には、審判請求人も認めるように、請求項1に係る本件特許発明の構成要件1E、1Fが開示されていない。しかも、甲第3号証は、これら構成要件1E、1Fを示唆するものでもないので、甲第3号証に基づいて当業者が容易に本件特許発明に想到しうるということはできない。
エ)甲第1号証又は甲第3号証と甲第2号証の組み合わせについて
甲第2号証には、コントローラによる操作信号を表示する画像は開示も示唆もされておらず、しかも、甲第2号証に係るクイズゲームではゲーム画面に操作信号を表示する必要性が全くない。そうである以上、甲第2号証を甲第1号証又は甲第3号証と組み合わせることは全く考えられない。仮に無理に組み合わせたとしても本件特許発明に想到するものではない。

(2)本件特許の請求項2に係る発明に関して
請求項2に係る発明は、進歩性のある請求項1に係る発明の全ての要件を含むものであるので、請求項2に係る発明が進歩性を有する発明であることは明白である。

第5.当審の判断
請求人は、甲第1号証(又は甲第3号証)には、本件特許の請求項1に係る発明の1Aないし1Gの構成要件のうち、1E及び1Fを除くすべての構成要件が開示され、甲第2号証(又は甲第3号証)には1E及び1Fの構成要件が開示されているから、甲第1号証(又は甲第3号証)に開示の発明に甲第2号証に開示の発明を組み合わせることにより本件特許の請求項1に係る発明をなすことができる旨主張する。

1.甲第1号証ないし甲第3号証に開示の発明
(1)甲第1号証に開示の発明について
甲第11号証の記載によれば、甲第1号証で説明される「ジョイメカファイト」ゲーム装置は、任天堂製のファミリーコンピュータ用ゲームカートリッジ「ジョイメカファイト」とコントローラを有するファミリーコンピュータ本体とを使用してジョイメカファイトのゲームを画面上で実行するものであるといえることから、甲第1号証に開示された発明は、「遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段と、前記操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と、前記ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段とを有するゲーム装置」であると認められる。
また、甲第4号証、甲第15号証の記載によれば、ジョイメカファイトゲームのマニュアル画面で「ソウサモード」としたときには、画面上部にコントローラを模した画像が表示され、ボタンの操作に対応して矢印が表示されることから、甲第1号証のゲーム装置は、操作入力手段を表す表示画像を表示し、操作入力手段から入力される操作信号をゲーム表示手段に表示するものと認められる。

(2)甲第2号証に開示の発明について
甲第6号証の「ゆうゆのクイズでGO!GO! スーパーファミコンカートリッジ タイトー・・・ふたり同時プレーもできるぞ。」(36頁の右頁)、及び甲第2号証の「ゆうゆのクイズでGO!GO! 取扱説明書」、甲第号証19号証の「Nintendo SUPER FAMICOM スーパーファミコン 取扱説明書」の各記載によれば、甲第2号証で説明される「ゆうゆのクイズでGO!GO!」のゲーム装置は、任天堂製のスーパーファミリーコンピュータ用ゲームカートリッジ「ゆうゆのクイズでGO!GO!」と2つのコントローラを有するスーパーファミリーコンピュータ本体とを使用して「ゆうゆのクイズでGO!GO!」のゲームを画面上で実行するものであるといえることから、甲第2号証に開示された発明は、「遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段と、前記操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と、前記ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段とを有するゲーム装置であって、操作入力手段は、第1の遊戯者が操作する第1の操作入力手段と、第2の遊戯者が操作する第2の操作入力手段とを有するゲーム装置」であると認められる。
なお、甲第2号証の「ゆうゆのクイズでGO!GO! 取扱説明書」には、画面構成の写真と共に「1 問題の表示部 クイズの問題が表示されます。2 選択肢表示部 答の選択肢が表示されます。・・・7 ファンクションウィンドウ ボタンの配置を色で表します。カーソル選択の時は、「カーソルで選んで下さい」のメッセージが表示されます。(*1Pが黄色、2Pが青)」(8頁)、及びコントローラの写真と共に「SELECTボタン スタート時設定画面に切り換えるときに使います。STARTボタン ゲームをスタートするとき、また設定後の再スタートに使います。クイズ中のポーズをする時にも使用します。カーソルキー 設定画面でのカーソルの上下移動、また、ジャンルやコースをセレクトするときに使います。設定によって、答の選択にも使います。選択後の決定は、AまたはBを押して下さい。Xボタン 2番目の答が正解だと思ったら青のボタンを押します。Aボタン 4番目の答が正解だと思ったら赤のボタンを押します。Bボタン 3番目の答が正解だと思ったら黄のボタンを押します。Yボタン 1番目の答が正解だと思ったら緑のボタンを押します。このゲームには、メインゲームとボーナスゲームとがありますが、それぞれボタンの使い方が違います。各ボタンの機能は、画面の中の「ファンクション・ウィンドウ」に表示されます。左の図は、クイズの答えを1,2,3,4のボタンで選択できることを示しています。」(5頁ないし6頁)の記載が見受けられ、これらの記載によれば、甲第2号証に開示の発明は、「ゆうゆのクイズでGO!GO!」を実行すると、画面上にクイズの問題、答の選択肢、ボタン配置を色で表したボタンを2組備えるファンクションウィンドウ等が表示され、そして、クイズの解答を、コントローラのXボタン,Yボタン、Aボタン,Bボタンから選択して入力するものと認められる。
なお、上記の記載事項から甲第2号証に開示の発明に、本件特許の構成要件1Fに相当する「前記第1の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメントと、前記第2の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第2の表示エレメントとを記憶」する「前記表示エレメント記憶手段」を有すると認めることはできないし、それを認めるに足りる証拠の提示もない。

(3)甲第3号証に開示の発明について
甲第8号証には、「第3回初心会展示会レポート 展示ゲームオールカタログ ファミコン70本 展示の対象となるハードの中で、もっとも出展ゲーム数が多いのは、やっぱりファミコン。」(129頁1行ないし3行)、「アイ・ジー・エス・・・バズニック 7月10日・・・ゲームセンターからの移植板」(129頁)の記載があり、これらの記載によれば、バズニックゲームはファミコンを使用するものであると認められるから、甲第3号証で説明される「バズニック」ゲーム装置は、「遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段と、前記操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と、前記ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段とを有するゲーム装置」であるといえる。

2.本件特許の請求項1に係る発明と甲第1号証に開示の発明(甲第3号証に開示の発明)との対比について
(1)本件特許の請求項1に係る発明と甲第1号証に開示された発明(甲第3号証に開示の発明)とを対比すると、両者は、遊戯者の操作による操作信号を入力する操作入力手段と、前記操作入力手段からの操作信号に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と、前記ゲーム制御手段により制御されるゲームを表示するゲーム表示手段とを有するゲーム装置である点で一致し、甲第1号証に開示の発明については、操作入力手段を表す表示画像を表示し、操作入力手段から入力される操作信号をゲーム表示手段に表示するゲーム装置である点でも一致し、少なくとも次の点で相違する。

(2)相違点
a)本件特許の請求項1に係る発明は、「操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメントを記憶する表示エレメント記憶手段」と「操作入力手段により入力された操作信号に基づいて、前記表示エレメント記憶手段に記憶された複数の表示エレメントから表示すべき表示エレメントを選択する表示エレメント選択手段」とを有する「操作表示手段」(構成要件1C)を有するのに対して、甲第1号証に開示された発明には、このような構成の「操作表示手段」を有するか否か不明である点。
b)本件特許の請求項1に係る発明は、「前記操作入力手段は、第1の遊戯者が操作する第1の操作入力手段と、第2の遊戯者が操作する第2の操作入力手段」(構成要件1E)を有するのに対して、甲第1号証に開示された発明には、このような構成の「操作入力手段」を有しない点。
c)本件特許の請求項1に係る発明は、「第1の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメント」と、「第2の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第2の表示エレメント」とを記憶する「表示エレメント記憶手段」(構成要件F)を有するのに対して、甲第1号証に開示された発明には、このような構成の「表示エレメント記憶手段」を有しない点で相違する。

(3)相違点についての検討
相違点a)について
請求人が提示した他の証拠をみても、「操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメントを記憶する表示エレメント記憶手段」と、「操作入力手段により入力された操作信号に基づいて、前記表示エレメント記憶手段に記憶された複数の表示エレメントから表示すべき表示エレメントを選択する表示エレメント選択手段」とを有する「操作表示手段」を、甲第1号証に開示された発明が有すると認定するに足りる証拠はないし、また、このような構成の「操作表示手段」が周知であるともいえない。

この点について請求人は、表示エレメントが操作信号に基づいて選択されるようにするためには、事前に複数の表示エレメントをどこかの記憶手段に記憶しておき、これを選択する表示エレメント選択手段を設けることが、ゲームを装置で行えるようにする上で必要不可欠となるから、複数の表示エレメントが記憶されるのはゲーム装置に内蔵されているRAMであり、この場合には、このRAMが表示エレメント記憶手段となる旨主張する。
甲第18号の記載によれば、ファミリーコンピュータにRAMがあることとは認められるものの、そのことから直ちに、甲第1号証に開示された発明に、「操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメントを記憶する表示エレメント記憶手段と、前記操作入力手段により入力された操作信号に基づいて、前記表示エレメント記憶手段に記憶された複数の表示エレメントから表示すべき表示エレメントを選択する表示エレメント選択手段とを有する操作表示手段」を有するとは言えないから、請求人の主張は当を得ないものであって採用できない。

相違点c)について、
請求人の提出した他の証拠をみても、「第1の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメント」と、「第2の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第2の表示エレメント」とを記憶する「表示エレメント記憶手段」についての記載も示唆もなく、また、このような構成の「表示エレメント記憶手段」が周知であるともいえない。

(4)以上のように、本件特許の請求項1に係る発明の構成要件1Cの「操作入力手段による複数の操作信号を表示する複数の表示エレメントを記憶する表示エレメント記憶手段」と、「操作入力手段により入力された操作信号に基づいて、前記表示エレメント記憶手段に記憶された複数の表示エレメントから表示すべき表示エレメントを選択する表示エレメント選択手段」とを有する「操作表示手段」、及び、構成要件1Fの「第1の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第1の表示エレメント」と、「第2の前記操作入力手段による複数の操作信号を表示する第2の表示エレメント」とを記憶する「表示エレメント記憶手段」が公知であることを認定するに足りる証拠の提示はなく、また、これらの手段が周知であるともいえないことから、甲第1号証に開示された発明又は甲第3号証に開示された発明に、甲第2号証に開示された発明を組み合わせたとしても、本件特許の請求項1に係る発明を構成することはできないものである。

(5)本件特許の請求項2に係る発明について
本件特許の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を引用した発明であることから、当然、甲第1号証に開示された発明、又は甲第3号証に開示された発明に、甲第2号証に開示された発明を組み合わせたとしても、本件特許の請求項2に係る発明を構成することはできないものである。

第7.むすび
以上のとおり、甲第1号証ないし甲第3号証に開示された発明を組み合わせたとしても、本件特許の請求項1ないし2に係る発明を構成することはできないから、甲第1号証ないし甲第3号証に開示された発明が公知又は公用であるかの検討をするまでもなく、本件特許の請求項1、2に係る発明は、甲第1号証ないし甲第3号証に開示の発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
したがって、請求人が主張する無効の理由、及び提出した証拠によっては本件特許を無効とすることはできない。
また、他に本件特許を無効とすべき理由を発見しない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-05-23 
結審通知日 2002-05-28 
審決日 2002-06-10 
出願番号 特願平6-191376
審決分類 P 1 122・ 121- Y (A63F)
P 1 122・ 111- Y (A63F)
P 1 122・ 112- Y (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 瀬津 太朗  
特許庁審判長 佐藤 秀一
特許庁審判官 武井 袈裟彦
山本 春樹
登録日 1999-11-05 
登録番号 特許第2998096号(P2998096)
発明の名称 ゲーム装置  
代理人 村松 義人  
代理人 鈴木 正剛  
代理人 佐野 良太  
代理人 北野 好人  
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