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審決分類 審判 査定不服 利害関係、当事者適格、請求の利益 審決却下 H04R
管理番号 1062503
審判番号 不服2001-1418  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-01-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-05 
確定日 2002-08-05 
事件の表示 平成11年特許願第136338号「携帯用ステレオ音楽等聴取装置」拒絶査定に対する審判事件[平成12年 1月28日出願公開、特開2000- 32579]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 
理由 第1 手続の経緯
1 本件審判請求に係る特許出願(以下、「本件出願」という)は、西暦1977年3月24日にイタリアにした特許願に基づいてパリ条約第4条の規定による優先権を主張した昭和53年3月23日に出願された特願昭53-32475号の特許出願(以下、「原出願1」という)を、実用新案法第10条第1項の規定により昭和58年7月19日に実願昭58-111089号の実用新案登録出願(以下、「原出願2」という)に変更し、これを更に実用新案法第11条第1項において準用する特許法第44条第1項の規定により昭和62年2月19日に分割出願して実願昭62-23529号(以下、「原出願3」という)とし、これを更に特許法第46条第1項の規定により平成2年3月12日に特願平2-60901号の特許出願(以下、「原出願4」という)に変更し、これを更に特許法第44条第1項の規定により平成9年8月4日に分割出願して特願平9-209458号の特許出願(以下、「原出願5」という)とし、これを更に特許法第44条第1項の規定により平成11年5月17日に分割出願して特願平11-136338号の特許出願としたものである。

2 本件出願は、平成12年1月28日に出願公開(特開2000-32579号公報)され、また、平成11年5月17日に出願と同時に審査請求され、平成12年1月6日付けで拒絶の理由が通知され、平成12年10月27日付で前記拒絶の理由によって拒絶査定され、平成13年2月5日に前記拒絶査定に対し本件審判請求がなされたものである。

第2 本件出願の出願日の遡及について
1 本願発明の要旨は、明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものであって、本願発明は、上記原出願1ないし原出願5の明細書又は図面にそれぞれ記載されているものと認められる。
「聴取者の個人的運動を妨害することなく、個人的聴取者に担持され操作される個人的ステレオ音楽等聴取装置であって、
a) 信号を記録した担体から同時に互いに異なるステレオ番組出力信号を再生させる小型化された番組源再生装置と;
b) 前記番組源再生装置からのステレオ番組出力信号を受け取り信号の増幅を行う小型化されたステレオ信号増幅手段と;
c) 前記番組源再生装置から物理的に隔離して位置付けられ、前記信号増幅手段からのそれぞれ異なる出力信号をそれぞれ別々に受け取りHiFiステレオ音響を再生する、唯一のステレオ音響再生手段としての小型軽量化されたステレオヘッドホン手段と;
d) 前記番組源再生装置および前記信号増幅手段に電気的に接続されたバッテリを備えている電源手段と;
e) 前記番組源再生装置、信号増幅手段および電源手段を、単一の携帯用ユニットの形態で保持し、聴取者の身体により担持される保持手段と;
からなる携帯用ステレオ音楽等聴取装置。」

2 また、原出願2ないし5は、それぞれ出願の変更の要件、出願の分割の要件をみたし、それぞれの「出願のとき」は何れも原出願1の出願のときに遡及するものと認められる。

3 本件出願は、出願の分割の要件を満たしており、上記1,2も併せて検討すると、結局、本件出願の「出願のとき」は、原出願1の出願のときである昭和53年3月23日とみなされる。

第3 本件審判請求の利益
1 本件出願の出願のときとみなされる昭和53年(1978年)3月23日を起算点として20年を満了する日は、平成10年(1998年)3月23日であり、その日は、本件分割出願をした日である平成11年(1999年)5月17日の前であり、出願公開日(平成12年1月28日)の前である。

2 特許出願の目的は、特許権を得ることにあり(特許法第36条第1項)、そのため本件査定不服審判請求がなされているが、特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をこえることはできない(特許法第67条第1項)ところ、新たな特許出願がもとになる特許出願から20年をこえて出願されている場合である本件審判請求の利益について、以下検討する。
新たな特許出願の発明は、仮に特許されるものであっても、もとになる特許出願の日から20年をもって特許権の存続期間は満了するもので、それ以降は、出願人は、特許権を取得することができないから、もとになる特許出願の日から20年をこえたときに出願されている新たな特許出願は、特許権を得るという目的を達成できない出願といえ、この点で出願の利益は無く、審査及び審理を行う意味も無いものといえる。そして、新たな特許出願は、審判請求においてもその利益が無いことにかわりはないので、審判請求の利益も、また無いといわざるを得ない。

3 また、補償金請求権(特許法第65条第1項)についても検討する。
新たな特許出願がもとになる特許出願から20年をこえたときに出願されている本件のような場合は、特許権と補償金請求権の関係から、補償金請求権についても、特許権の存続期間の規定を類推して適用され、補償金請求権の存続期間はもとになる特許出願の日から20年をこえることはできない。したがって、新たな特許出願の発明は、仮に特許されるものであっても、特許権についての上記2の検討と同様に、補償金請求権を得ることができない出願であって、この点でも、審判請求の利益も無いといわざるを得ない。

4 なお、原出願5については、平成11年7月8日に拒絶査定され、この拒絶査定に対し審判請求がなされ(平成11年審判第17200号)、審理の結果、平成13年5月21日付けで「本件審判請求は、請求の利益がないため、不適法な審判請求であり、しかも、その請求をすることができないものであるので、特許法第135条の規定により却下すべきものである。」との理由で「本件審判請求を却下する。」との審決がなされ、そして、この審決は確定している。

第4 むすび
以上のとおり、本件審判請求は、その請求の利益が認められないから、不適法な審判請求であり、しかも、その補正をすることもできないものであるので、特許法第135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-02-26 
結審通知日 2002-03-01 
審決日 2002-03-26 
出願番号 特願平11-136338
審決分類 P 1 8・ 02- X (H04R)
最終処分 審決却下  
前審関与審査官 大野 弘  
特許庁審判長 田口 英雄
特許庁審判官 山本 章裕
橋本 恵一
発明の名称 携帯用ステレオ音楽等聴取装置  
代理人 黒瀬 雅志  
代理人 前島 旭  
代理人 佐藤 一雄  

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