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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 A01C |
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管理番号 | 1062677 |
異議申立番号 | 異議2001-72459 |
総通号数 | 33 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1999-05-18 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2001-09-07 |
確定日 | 2002-05-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3143436号「田植機の縦送り機構調節構造」の請求項1ないし2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3143436号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3143436号の請求項1ないし2に係る発明についての出願は、平成4年12月3日に特許出願した特願平4-323536号の一部を平成10年9月16日に新たな特許出願とし、平成12年12月22日にその発明について特許権の設定がなされた後、その特許について、特許異議申立人ヤンマー農機株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年3月11日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 訂正事項a 特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を下記のとおり訂正。 【請求項1】 苗載せ台(6)に載置された苗(W)を苗取り出し口(a)側に送る苗送りベルト(16)を備えた縦送り機構(8a)において、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)と、前記操作アーム(17)に接当して前記操作アーム(17)を待機位置(T),(t)から送り位置(S)まで移動操作することにより前記縦送り機構(8a)を作動させる駆動部材(19)と、前記操作アーム(17)を前記待機位置(T),(t)側に付勢する付勢部材(23)とを備え、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)を苗送りベルト(16)による苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材(19)を回転駆動する回転軸(18)を前記縦送り機構(8a)の下端よりも下方に位置させて、前記操作アーム(17)と前記駆動部材(19)とを、前記待機位置(T),(t)から送り位置(S)に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルト(16)の下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アーム(17)における先端と基部との間の部分に、その操作アーム(17)を移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)の一端部を直接に接続し、前記ワイヤ(21)におけるアウターワイヤ(21U)の前記操作アーム(17)側の端部を、前記苗送りベルト(16)の苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルト(16)の巻回経路を通して苗載せ台(6)の左右方向に亘って配設した補強フレーム(7)に固定し、 前記ワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)を押し引き操作することにより、前記操作アーム(17)の待機位置(T),(t)を前記操作アーム(17)の移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構(8a)の苗送り量を調節するように構成してある田植機の縦送り機構調節構造。 訂正事項b 特許明細書の特許請求の範囲の請求項2の記載を下記のとおり訂正。 【請求項2】 苗載せ台(6)に載置された苗(W)を苗取り出し口(a)側に送る苗送りベルト(16)を備えた縦送り機構(8a)において、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)と、前記操作アーム(17)に接当して前記操作アーム(17)を待機位置(T),(t)から送り位置(S)まで移動操作することにより前記縦送り機構(8a)を作動させる駆動部材(19)と、前記操作アーム(17)を前記待機位置(T),(t)側に付勢する付勢部材(23)とを備え、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)を苗送りベルト(16)による苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材(19)を回転駆動する回転軸(18)を前記縦送り機構(8a)の下端よりも下方に位置させて、前記操作アーム(17)と前記駆動部材(19)とを、前記待機位置(T),(t)から送り位置(S)に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルト(16)の下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アーム(17)における先端と基部との間の部分に、その操作アーム(17)を移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)の一端部を直接に接続し、前記ワイヤ(21)におけるアウターワイヤ(21U)の前記操作アーム(17)側の端部を、前記苗送りベルト(16)の苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルト(16)の巻回経路を通して苗載せ台(6)の左右方向に亘って配設した補強フレーム(7)に固定し、前記ワイヤ(21)のインナーワイヤ(21I)の他端部を苗取り量の調節レバー(25)に接続して、 前記苗取り量の調節レバー(25)によって前記ワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)を押し引き操作することにより、前記操作アーム(17)の待機位置(T),(t)を前記操作アーム(17)の移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構(8a)の苗送り量を調節するように構成してある田植機の縦送り機構調節構造。 訂正事項c 特許明細書の段落【0007】の記載を下記のとおり訂正。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明の特徴は以上のような田植機の縦送り機構調節構造において、次のように構成することにある。 [1] 苗載せ台に載置された苗を苗取り出し口側に送る苗送りベルトを備えた縦送り機構において、 前記縦送り機構に備えられた操作アームと、前記操作アームに接当して前記操作アームを待機位置から送り位置まで移動操作することにより前記縦送り機構を作動させる駆動部材と、前記操作アームを前記待機位置側に付勢する付勢部材とを備え、 前記縦送り機構に備えられた操作アームを苗送りベルトによる苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材を回転駆動する回転軸を前記縦送り機構の下端よりも下方に位置させて、前記操作アームと前記駆動部材とを、前記待機位置から送り位置に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルトの下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アームにおける先端と基部との間の部分に、その操作アームを移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤにおけるインナーワイヤの一端部を直接に接続し、前記ワイヤにおけるアウターワイヤの前記操作アーム側の端部を、前記苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルトの巻回経路を通して苗載せ台の左右方向に亘って配設した補強フレームに固定し、 前記ワイヤにおけるインナーワイヤを押し引き操作することにより、前記操作アームの待機位置を前記操作アームの移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構の苗送り量を調節するように構成してある。 訂正事項d 特許明細書の段落【0008】の記載を下記のとおり訂正。 【0008】 [2] 同様な目的で請求項2に記載のように、苗載せ台に載置された苗を苗取り出し口側に送る苗送りベルトを備えた縦送り機構において、 前記縦送り機構に備えられた操作アームと、前記操作アームに接当して前記操作アームを待機位置から送り位置まで移動操作することにより前記縦送り機構を作動させる駆動部材と、前記操作アームを前記待機位置側に付勢する付勢部材とを備え、 前記縦送り機構に備えられた操作アームを苗送りベルトによる苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材を回転駆動する回転軸を前記縦送り機構の下端よりも下方に位置させて、前記操作アームと前記駆動部材とを、前記待機位置から送り位置に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルトの下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アームにおける先端と基部との間の部分に、その操作アームを移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤにおけるインナーワイヤの一端部を直接に接続し、前記ワイヤにおけるアウターワイヤの前記操作アーム側の端部を、前記苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルトの巻回経路を通して苗載せ台の左右方向に亘って配設した補強フレームにに固定し、前記ワイヤのインナーワイヤの他端部を苗取り量の調節レバーに接続して、 前記苗取り量の調節レバーによって前記ワイヤにおけるインナーワイヤを押し引き操作することにより、前記操作アームの待機位置を前記操作アームの移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構の苗送り量を調節するように構成してもよい。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項a及びbは特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当しており、また訂正事項c及びdは訂正後の特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るための明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当しており、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、変更するものではない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議申立てについての判断 (1)申立ての理由の概要 特許異議申立人は、本件の請求項1ないし2に係る発明の特許に対して、証拠として下記の甲第1号証ないし甲第4号証を提示し、本件の請求項1ないし2に係る発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載の周知手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである旨主張している。 記 甲第1号証:実公平4-36579号公報 甲第2号証:特開平2-65714号公報 甲第3号証:実願平2-2987号(実開平3-92917号)の願書に添 付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム 甲第4号証:特開平2-265409号公報 (2)本件の請求項1ないし2に係る発明 上記2.で示したように上記訂正が認められるから、 本件の請求項1ないし2に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」という)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記2.(1)訂正事項a及びb参照) (3)甲号各証に記載の発明 特許異議申立人が提示した甲号各証には、以下の発明が記載されている。 甲第1号証:実公平4-36579号公報(当審で通知した取り消しの理由 で引用した刊行物1) 「駆動体に接触して強制的に揺動せしめられる作動体に応動して間欠的に作動する苗繰出機構を苗載台に装着すると共に、・・・苗の苗繰出し方向の掻取り巾を苗掻取り量調整操作部材の操作により調整自在に構成した田植機において、上記苗繰出機構の作動体を該作動体の戻り位置を規制し得るべくワイヤ・・・等の連結具を介して苗掻取り量調整操作部材に連結し、苗掻取り量調整操作部材の操作により苗の掻取り量を調整した際、苗の掻取り量に応じて苗の繰出し量が変化し苗の繰出し量が常に適正量に保持されるように構成すると共に、前記作動体と苗繰出機構の作動金具とを一方向係合可能で、かつ植付クラッチ切状態では作動体と作動金具の連動が解除されるようにした融通機構を有する・・・連繋部材を介して連繋させたことを特徴とする田植機における苗送り装置」(第1頁第1欄第2-18行)、 「苗載台3の苗取出し口寄り側裏面にはローラ6,7がブラケット6′,7′に支持されたシャフト6a,7aを介して回転自在に軸支され、該ローラ6,7間には苗繰出し用の突起付ベルト8が捲回されており、一方のローラ6にはラチェットホイール9が一体的に設けられている。・・・シャフト6aにはラチェットホイール9の歯に係合するラチェット爪10aを有するT型状の作動金具10が回動可能に装着され」(第2頁第3欄第33-43行)、 「16,17,18は夫々戻しスプリング・・・20は・・・支点ピン22を介して揺動自在に吊設された作動体で、・・・作動体20の揺動先端部に軸支したローラ23は・・・駆動体24の回転軌跡a内に臨んだ関係位置にある。この駆動体24は・・・常時第1図における反時計方向に回転し、・・・駆動体24がローラ23に当ってローラ23を駆動体24の軌跡外まで押上げ・・・これにより・・・T型状作動金具10がシャフト6aを中心にして時計方向に回動しラチェットホイール9及びローラ6を同方向に所定ピッチ回動せしめるようになっており、このローラ6の回動により突起付ベルト8が・・・回動移動して苗載台3上のマット苗を苗取出し口側に所定ピッチ繰出すようになっていて、これらにより苗繰出機構Bが構成されている。」(第2頁第4欄第31行-第3頁第5欄第12行)、 「27は・・・苗掻取り量調整操作部材(レバー)で・・・レバー27の長手方向中途部はワイヤ29を介して前記苗繰出機構Bの作動体20と直接的に連結されていて、レバー27の傾動操作により作動体20の戻り位置が規制されるようになっている。」(第3頁第5欄第19-34行)、 「図中34はアウタ、35はアウタ止めプレートである。」(第3頁第6欄第24-25行)、 「レバー27を図示の傾斜状態に係合固定するとワイヤ29により作動体20の戻り位置が規制されるため作動体20の作動範囲が小となり、苗の繰出し量も小となる。またレバー27をニ方向に傾動すると夫々上記とは逆方向に移動して・・・苗の繰出し量も大となる。」(第3頁第6欄37-44行)」、の各記載とともに、「本実施例では作動体20とT型状作動金具10とが別体のものであるが、作動体20がなく、T型状作動金具10のみを有する従来タイプのものにワイヤ29を直接連結するようにしてもよい。」(第3頁第6欄18-22行)、と記載されている。そして、「作動体20がなく、T型状作動金具10のみを有する従来タイプのものにワイヤ29を直接連結」した場合には、「駆動体24」が直接「T型状作動金具10」に接触してこれを回動させるよう構成されることが明らかである。そうすると、甲第1号証には、「田植機における苗送り装置において、苗載台3の苗取出し口寄り側裏面にはローラ6,7が回転自在に軸支され、該ローラ6,7間には苗繰出し用の突起付ベルト8が捲回されており、一方のローラ6にはラチェットホイール9が一体的に設けられていると共に、該ラチェットホイール9の歯に係合するラチェット爪10aを有するT型状作動金具10が回動可能に装着されている。そして、常時反時計方向に回転している駆動体24がT型状作動金具10に接触してこれを時計方向に回動し、ラチェットホイール9及びローラ6を同方向に所定ピッチ回動せしめることにより、突起付ベルト8が回動移動して苗載台3上の苗を苗取出し口側に所定ピッチ繰出すようになっていて、これらにより苗繰出機構Bが構成されている。苗繰出機構BのT型状作動金具10はワイヤ29に直接連結され、さらにワイヤ29は苗掻取り量調整操作部材(レバー27)に直接的に連結されており、レバー27の傾動操作により、T型状作動金具10の戻り位置が規制されるため、T型状作動金具10の作動範囲が調節され、苗の繰出し量が調節される。」が実質的に記載されているといえる。また、第1図ないし第4図によれば、「T型状作動金具10」は「スプリング16」により反時計方向に付勢されており、「ワイヤ29」の「アウタ34」は、「アウタ止めプレート35」により、「突起付ベルト8」の上端よりも上側において「苗載台3」に取り付けられている。 甲第2号証:特開平2-65714号公報(当審で通知した取り消しの理由 で引用した刊行物2) 「苗集合体を載せて左右に往復動する苗載台と、・・・苗載台上の苗集合体を・・・苗取出口の側に移送する苗送り装置とを備えた移植機の苗供給装置」(1頁左下欄第5-9行)、 「ラチェットレバー29が・・・回動させられ・・・苗載台上の苗の集合体を・・・下方に移送する」(2頁右下欄第3-6行)、 「苗送りセンサ36は前記ラチェットレバー29に連動して上下動する苗送りロッド38に取り付けられ」(3頁左上欄第3-5行)の記載より、甲第2号証には、 「苗集合体を載せて左右に往復動する苗載台と、苗載台上の苗集合体を苗取出口の側に移送する苗送り装置とを備えた移植機の苗供給装置であって、苗載台上の苗の集合体を下方に移送するラチェットレバー29に連動して上下動する苗送りロッド38をラチェットレバー29に接続した移植機の苗供給装置」が記載されており、第3図によれば、「苗送りロッド38」は「苗載台20」の裏面側において支持されているといえる。 甲第3号証:実願平2-2987号(実開平3-92917号)の願書に添 付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(当 審で通知した取り消しの理由で引用した刊行物4) 「苗縦送り機構の駆動構造」(第1頁第3行)、 「苗のせ台(4)の上部に従動ローラー(12)が配置されて、この従動ローラー(12)と駆動ローラー(9)とに亘りゴム製の送りベルト(13)が巻回されている」(第7頁8-11行)、 「送りレバー(35)と・・・受動スプロケット(18)とを腰折れリンク(36)を介してワイヤ(37)で連結して人為縦送り機構(G)を構成してあり、送りレバー(35)を揺動して苗を人為的に縦送り可能としてある。」(第11頁第7-11行)、の記載より、甲第3号証には、 「苗のせ台(4)の上部に従動ローラー(12)が配置されて、この従動ローラー(12)と駆動ローラー(9)とに亘りゴム製の送りベルト(13)が巻回されている苗縦送り機構の駆動構造において、送りレバー(35)とスプロケット(18)とを腰折れリンク(36)を介してワイヤ(37)で連結して人為縦送り機構(G)を構成した、苗縦送り機構の駆動構造」が記載されており、第2図によれば、「ワイヤ(37)」は「苗のせ台(4)」に固定されているといえる。 甲第4号証:特開平2-265409号公報(当審で通知した取り消しの理 由で引用した刊行物3) 「本発明は、・・・縦送り機構と、縦送り機構を苗停止位置に移動せしめる条止め機構とからなる田植機の苗縦送り装置に関する。」(第1頁左下欄第17-20行)、 「苗載台10の下方には、下方側の駆動ローラ14と上方側の従動ローラ16との間には突起付の搬送ベルト17が巻掛けられており」(第2頁右下欄第14-17行)、 「縦送り機構Tを苗送り停止位置まで移動させる条止め機構Jについて説明する。・・・条止めレバー40に一端が枢止連結されたボーデンワイヤ41の他端は・・・植付クラッチに枢止連結されており」(第3頁左下欄第5-18行)、 「第3図中、符号45は・・・ボーデンワイヤ37のアウタワイヤの一方が固定されるブラケットである。」(第3頁右下欄第7-10行)の記載より、甲第4号証には、 「縦送り機構と、縦送り機構を苗停止位置に移動せしめる条止め機構とからなり、苗載台10の下方には、下方側の駆動ローラ14と上方側の従動ローラ16との間に突起付の搬送ベルト17が巻掛けられており、条止め機構は、ボーデンワイヤの一端が条止めレバーに、他端は植付クラッチに枢止連結されており、該ボーデンワイヤのアウタワイヤの一方はブラケットに固定されている、田植機の苗縦送り装置」が記載されている。 (4)対比・判断 本件発明1と甲号各証に記載の発明とを対比すると、甲号各証に記載の発明のいずれも、本件発明1の構成である、「アウターワイヤの操作アーム側の端部を、苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルトの巻回経路を通して苗載せ台の左右方向に亘って配設した補強フレームに固定し」の構成(以下、「相違点の構成」という)を備えていない。 すなわち、甲第1号証には「苗掻取り量調整操作部材(レバー27)」に連結される「ワイヤ29」の「アウタ34」を、「アウタ止めプレート35」により「苗載台3」に取り付ける構成が記載されているが、「苗載台3」は補強フレームを備えておらず、「アウタ34」が取り付けられる「アウタ止めプレート35」も「突起付ベルト8」の上端よりも上側に取り付けられていることから、甲第1号証には上記相違点の構成が記載されておらず、また示唆されてもいない。 また甲第2号証には、苗の集合体を下方に移送するラチェットレバーに連動して上下動する苗送りロッドを、苗載台の裏面側において支持した、苗送り装置を備えた移植機の苗供給装置が記載されているが、苗載台は補強フレームを備えておらず、苗送りロッドも苗送り装置における苗送り量を調節するために用いるものではない。さらに甲第3号証及び甲第4号証には縦送り機構を設けた田植機において、苗載台に固定されたワイヤをレバーにより操作可能に構成した点が記載されているが、苗載台は補強フレームを備えていないばかりか、上記ワイヤは人為縦送り機構(甲第3号証に係る発明)あるいは条止め機構(甲第4号証に係る発明)に用いるワイヤであって、縦送り機構の苗送り量を調節するために用いるものではないから、これら甲第2号証ないし甲第4号証には上記相違点の構成が記載されておらず、また示唆されてもいない。 ここで、特許異議申立人はその特許異議申立書において参考資料(実願平3-35062号(実開平4-129727号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム)を提示し、上記参考資料には補強フレームに相当する「補強板119」が記載されており、さらに甲第3号証及び甲第4号証には、アウターワイヤの操作アーム側の端部を苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りのフレームに固定する構成が開示されていることから、仮に特許明細書に記載されている本件の請求項1を訂正して、アウターワイヤの操作アーム側の端部を苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの補強フレームに固定する点を限定したとしても進歩性を有するようにはならない旨の主張をしている。 よって検討するに、上記参考資料に記載されている「補強板119」は「苗載せ台42の裏面位置の中央部に、横方向に掛け渡し状に固定」(参考資料の段落【0034】)されるものではあるが、該「補強板119」に田植機を構成する他の部材を取り付けるようには構成されておらず、ましてワイヤを取り付けることは示唆されてもいない。さらに、甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明におけるワイヤは縦送り機構の苗送り量を調節するために用いるものではないことは上記したとおりであるから、甲第1号証に記載された発明に上記参考資料に記載された発明並びに甲第3号証及び甲第4号証に記載された発明を寄せ集めてみても、当業者が直ちに上記相違点の構成を想到することができたとすることはできない。 そして、本件発明1は、上記相違点の構成としたことにより、訂正明細書に記載された作用効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は甲号各証に記載された発明に基いて当業者が容易に成し得た発明ではないので、本件発明1の特許は、特許法特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 また、本件発明2は、本件発明1をさらに限定したものであるから、本件発明1に対する判断において成した理由と同様の理由により、甲各号証に記載された発明に基いて当業者が容易に成し得た発明ではないので、本件発明2の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。 (5)むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件請求項1ないし2に係る発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし2に係る発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 したがって、本件請求項1ないし2に係る発明についての特許は拒絶の査定をしなけらばならない特許出願に対してされたものと認めない。 よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 田植機の縦送り機構調節構造 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 苗載せ台(6)に載置された苗(W)を苗取り出し口(a)側に送る苗送りベルト(16)を備えた縦送り機構(8a)において、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)と、前記操作アーム(17)に接当して前記操作アーム(17)を待機位置(T),(t)から送り位置(S)まで移動操作することにより前記縦送り機構(8a)を作動させる駆動部材(19)と、前記操作アーム(17)を前記待機位置(T),(t)側に付勢する付勢部材(23)とを備え、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)を苗送りベルト(16)による苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材(19)を回転駆動する回転軸(18)を前記縦送り機構(8a)の下端よりも下方に位置させて、前記操作アーム(17)と前記駆動部材(19)とを、前記待機位置(T),(t)から送り位置(S)に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルト(16)の下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アーム(17)における先端と基部との間の部分に、その操作アーム(17)を移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)の一端部を直接に接続し、前記ワイヤ(21)におけるアウターワイヤ(21U)の前記操作アーム(17)側の端部を、前記苗送りベルト(16)の苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルト(16)の巻回経路を通して苗載せ台(6)の左右方向に亘って配設した補強フレーム(7)に固定し、 前記ワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)を押し引き操作することにより、前記操作アーム(17)の待機位置(T),(t)を前記操作アーム(17)の移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構(8a)の苗送り量を調節するように構成してある田植機の縦送り機構調節構造。 【請求項2】 苗載せ台(6)に載置された苗(W)を苗取り出し口(a)側に送る苗送りベルト(16)を備えた縦送り機構(8a)において、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)と、前記操作アーム(17)に接当して前記操作アーム(17)を待機位置(T),(t)から送り位置(S)まで移動操作することにより前記縦送り機構(8a)を作動させる駆動部材(19)と、前記操作アーム(17)を前記待機位置(T),(t)側に付勢する付勢部材(23)とを備え、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)を苗送りベルト(16)による苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材(19)を回転駆動する回転軸(18)を前記縦送り機構(8a)の下端よりも下方に位置させて、前記操作アーム(17)と前記駆動部材(19)とを、前記待機位置(T),(t)から送り位置(S)に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルト(16)の下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アーム(17)における先端と基部との間の部分に、その操作アーム(17)を移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)の一端部を直接に接続し、前記ワイヤ(21)におけるアウターワイヤ(21U)の前記操作アーム(17)側の端部を、前記苗送りベルト(16)の苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルト(16)の巻回経路を通して苗載せ台(6)の左右方向に亘って配設した補強フレーム(7)に固定し、前記ワイヤ(21)のインナーワイヤ(21I)の他端部を苗取り量の調節レバー(25)に接続して、 前記苗取り量の調節レバー(25)によって前記ワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)を押し引き操作することにより、前記操作アーム(17)の待機位置(T),(t)を前記操作アーム(17)の移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構(8a)の苗送り量を調節するように構成してある田植機の縦送り機構調節構造。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、苗載せ台に載置された苗を苗取り出し口側に送る縦送り機構を備えた田植機において、縦送り機構の苗送り量を変更する縦送り機構調節構造に関する。 【0002】 【従来の技術】 田植機では、苗植付機構が苗取り出し口を通過して苗を取り出し田面に植え付けるように構成されており、苗植付機構による苗の植え付けに伴って、苗載せ台に載置された苗が縦送り機構により苗取り出し口側に送られるように構成されている。 このような田植機では一般に、苗植付機構の苗取り量が変更できるように構成されているので、苗植付機構の苗取り量が変更されると、これに合わせて縦送り機構の苗送り量も変更して、苗植付機構の苗取り量の変更に関係なく、苗載せ台に載置された苗が縦送り機構により苗取り出し口側に過不足なく送られるようにする必要がある。 【0003】 前述のような縦送り装置の苗送り量を変更する技術としては、下記の[ 1],[2]に記載のものが従来より知られている。 [ 1] 苗のせ台の苗載せ面に縦送り機構の苗送りベルトを備え、その苗送りベルトを苗のせ台の左右移動端位置で縦送り作動させるための操作アームと、その操作アームに接当して操作アームを待機位置から送り位置まで駆動揺動する駆動カム部材とを備えるとともに、前記操作アームに操作ロッドを連結して、その操作ロッドの遊端を苗のせ台の背面に沿って上方に高く延設し、その操作ロッドの長さ方向位置を変更することで、前記待機位置を変更できるようにした苗送り調整装置付き田植機(例えば、特開昭59-156211号公報参照)。 [ 2] 苗のせ台の苗載せ面に縦送り機構を備え、その縦送り機構を苗のせ台の左右移動端位置で縦送り作動させるための操作アームと、その操作アームに接当して操作アームを待機位置から送り位置まで駆動揺動する駆動カム部材とを備えるとともに、前記操作アームとは別に、操作アームの待機位置を決めるストッパーを設け、そのストッパーに操作用のワイヤを連結して、ストッパー姿勢を変更することにより、操作アームの待機位置を調節できるように構成したもの(例えば、実公平4-36579号公報参照)。 【0004】 上記の各従来技術では、縦送り機構の操作アームの待機位置を送り位置側寄りに変化させると、駆動部材により操作アームが待機位置から送り位置に移動操作される際のストロークが短くなって、縦送り機構の苗送り量が小さくなる。逆に、ストッパーにより操作アームの待機位置を送り位置から離れる側に変化させると、駆動部材により操作アームが待機位置から送り位置に移動操作される際のストロークが長くなって、縦送り機構の苗送り量が大きくなる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 上記[ 1]に記載した従来技術によると、操作アームの待機位置の変更を、操作ロッドの押し引き操作によって容易に行い易い点では有用なものではあるが、所定角度範囲内で揺動運動をする操作アームと、押し引き操作される操作ロッドとの、互いに運動方向の異なる部材どうしが連動連結されるものであるため、操作ロッドの押し引き方向の運動に揺動運動による振れが加わり、その動きがギクシャクとしたものとなりがちであり、ガタの発生や耐久性の低下を伴い易い。 さらに、操作ロッドの操作部は、操作アームの揺動面に沿う方向で操作される必要があり、その操作ロッドの配設位置や操作方向に大きな制約を受けるので、設計上の自由度が低いものであった。 また、上記[ 2]に記載の従来技術によると、操作アームをワイヤで操作するものであるから、操作ロッドによる操作を行うような前者の従来技術に比べて、ガタの発生や設計上の自由度を高め得る点では有用なものであるが、その反面、次のような問題がある。 つまり、前述のように操作アームとストッパーとを用いて操作アームの待機位置を決定する構造を備えた場合、駆動部材によって縦送り機構の操作アームが待機位置から送り位置に移動操作される際に、操作アームがストッパーから離れて送り位置に移動することになり、次に操作アームがバネ等の付勢部材の作用により送り位置から待機位置側に移動し、ストッパーに接当して待機位置に戻る。従って、苗の植付作業時に泥等が多く付着する田植機において、操作アームが送り位置から待機位置に戻る際に、操作アームとストッパーとの間に泥等が挟み込まれるおそれがある。 【0006】 このように縦送り機構の操作アームとストッパーとの間に泥等が挟み込まれると、ストッパーによって決められる待機位置から、挟み込まれた泥等の分だけ操作アームが送り位置に接近することになり、挟み込まれた泥等の分だけ操作アームの待機位置が送り位置に接近することになって、縦送り機構の苗送り量が所望の値よりも小さなものとなってしまう。 本発明は田植機の縦送り機構調節構造において、泥等の挟み込み等により縦送り機構の苗送り量が、所望の値よりも小さなものとなってしまうような状態を防止することを目的としており、縦送り機構の耐久性を良いものとすることを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明の特徴は以上のような田植機の縦送り機構調節構造において、次のように構成することにある。 [1] 苗載せ台に載置された苗を苗取り出し口側に送る苗送りベルトを備えた縦送り機構において、 前記縦送り機構に備えられた操作アームと、前記操作アームに接当して前記操作アームを待機位置から送り位置まで移動操作することにより前記縦送り機構を作動させる駆動部材と、前記操作アームを前記待機位置側に付勢する付勢部材とを備え、 前記縦送り機構に備えられた操作アームを苗送りベルトによる苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材を回転駆動する回転軸を前記縦送り機構の下端よりも下方に位置させて、前記操作アームと前記駆動部材とを、前記待機位置から送り位置に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルトの下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アームにおける先端と基部との間の部分に、その操作アームを移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤにおけるインナーワイヤの一端部を直接に接続し、前記ワイヤにおけるアウターワイヤの前記操作アーム側の端部を、前記苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルトの巻回経路を通して苗載せ台の左右方向に亘って配設した補強フレームに固定し、 前記ワイヤにおけるインナーワイヤを押し引き操作することにより、前記操作アームの待機位置を前記操作アームの移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構の苗送り量を調節するように構成してある。 【0008】 [2] 同様な目的で請求項2に記載のように、苗載せ台に載置された苗を苗取り出し口側に送る苗送りベルトを備えた縦送り機構において、 前記縦送り機構に備えられた操作アームと、前記操作アームに接当して前記操作アームを待機位置から送り位置まで移動操作することにより前記縦送り機構を作動させる駆動部材と、前記操作アームを前記待機位置側に付勢する付勢部材とを備え、 前記縦送り機構に備えられた操作アームを苗送りベルトによる苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材を回転駆動する回転軸を前記縦送り機構の下端よりも下方に位置させて、前記操作アームと前記駆動部材とを、前記待機位置から送り位置に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルトの下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アームにおける先端と基部との間の部分に、その操作アームを移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤにおけるインナーワイヤの一端部を直接に接続し、前記ワイヤにおけるアウターワイヤの前記操作アーム側の端部を、前記苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルトの巻回経路を通して苗載せ台の左右方向に亘って配設した補強フレームに固定し、前記ワイヤのインナーワイヤの他端部を苗取り量の調節レバーに接続して、 前記苗取り量の調節レバーによって前記ワイヤにおけるインナーワイヤを押し引き操作することにより、前記操作アームの待機位置を前記操作アームの移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構の苗送り量を調節するように構成してもよい。 【0009】 【作用】 [I] 請求項1及び2の特徴によると、縦送り機構の操作アームにワイヤを直接に接続して送り位置側に延出し、操作アームを待機位置側に付勢する付勢部材を備えているので、ワイヤ及び付勢部材により操作アームの待機位置が決まる。 これによって請求項1及び2の特徴によると、ワイヤを引き操作して(苗取り量の調節レバーによってワイヤを引き操作して)、縦送り機構の操作アームの待機位置を操作アームの移動方向に沿って送り位置に接近させれば、駆動部材により操作アームが待機位置から送り位置に移動操作される際のストロークが小さくなって、縦送り機構の苗送り量が小さくなる。 逆に、ワイヤを押し操作して(苗取り量の調節レバーによってワイヤを押し操作して)、縦送り機構の操作アームの待機位置を操作アームの移動方向に沿って送り位置から離間させれば、駆動部材により操作アームが待機位置から送り位置に移動操作される際のストロークが大きくなって、縦送り機構の苗送り量が大きくなる。 また、ワイヤによる操作であるから、操作アームとは反対側におけるワイヤの操作方向や操作位置は、操作アームの操作方向や操作位置とは関係なく設定することができ、設計上の自由度も格段に高くなる。 【0010】 [II] 前項[I]に記載のように請求項1及び2の特徴によると、縦送り機構の操作アームにワイヤを直接に接続することによって、操作アームの待機位置を変更するように構成している。 このように請求項1及び2の特徴では、ワイヤにより直接に操作アームの待機位置を変更できるように構成しているので、「従来の技術」に記載のように、操作アームに接当するストッパーの位置を変更して操作アームの待機位置を変更する構成に比べて、操作アームが送り位置から待機位置に戻る際に、操作アームとストッパーとの間に泥等が挟み込まれると言うような状態は生じることがなく、操作アームの待機位置を精度良く設定することができる。 【0011】 [III] 請求項1及び2の特徴のように、縦送り機構の操作アームにワイヤを直接に接続していると、駆動部材により操作アームが待機位置から送り位置に移動操作された際、操作アームによりワイヤが押し操作されることになるが、この場合にはワイヤが弛んで操作アームの待機位置から送り位置への移動が吸収されるので、ワイヤにおける操作アームとは反対側(ワイヤにおける苗取り量の調節レバー側)に、悪影響が及ぶことはない。また、ワイヤによる操作であるから、操作アームとは反対側におけるワイヤの操作方向や操作位置は、操作アームの操作方向や操作位置によって制約されることなく自在に設定することができる。 【0012】 [IV] 請求項1及び2の特徴によると、操作アームにおける先端と基部との間の部分にインナーワイヤを直接に接続し、ワイヤを送り位置側に延出している。これにより、駆動部材により操作アームが待機位置から送り位置側に移動操作される際に、操作アームと一緒にワイヤが駆動部材から離れる側に押される状態となって、駆動部材がワイヤに接触するような状態が防止される。 さらに、操作アームに対するインナーワイヤの連結箇所を、操作アームの基部に設けた場合に比べて、インナーワイヤの押し引き量に対する操作アームの角度変化の割合が大きくなり過ぎて微妙な調節が行い難い状態となることを避けられ、また、操作アームに対するインナーワイヤの連結箇所を、操作アームの先端部に設けた場合に比べては、操作アームの揺動に伴う苗載せ面に直交する方向でのインナーワイヤの振れが大きくなりすぎることを避けられる。したがって、アウターワイヤの操作アーム側端部箇所でインナーワイヤが押し引き方向以外の方向で大きく振れ動くことを回避できる。 【0013】 [V] また、請求項1及び2の特徴によると、操作アームに連係されたワイヤにおけるアウターワイヤの操作アーム側の端部を、前記苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所に固定している。従って、苗送りベルトの配設箇所よりも苗送り方向での上手側位置にアウターワイヤの固定部を設ける場合に比べて、アウターワイヤにおける操作アーム側の端部が操作アームに接近することになり、ワイヤのアウターワイヤから操作アーム側に出ているインナーワイヤの露出部分の長さを短かくすることができる。 このように、ワイヤの全長のうちで、露出部分の長さを極力短くし、アウターワイヤ部分の長さの割合を比較的長めに設定することで、操作アームが駆動部材で揺動操作されたときに生じるインナーワイヤの弛みの多くを、長いアウターワイヤの内部で吸収させ易い。 つまり、苗のせ台が左右端部に達して、操作アームが駆動部材で揺動操作されたときに生じるインナーワイヤの弛みは、インナーワイヤの露出部分とアウターワイヤの内部に位置する部分とにわたって生じるが、上述のようにワイヤの全長に対するアウターワイヤ部分の長さの割合を多くすることで、弛みの多くがアウターワイヤの内部で生じ、相対的に露出部分でのインナーワイヤの弛みに伴う変形が少なくなるので、アウターワイヤに対する出入りをスムースにして、円滑な作動状態を維持し易いものである。 【0014】 [ VI] さらに、請求項1及び2の特徴によると、上述のように、インナーワイヤの一端部が操作アームに対してその先端と基部との間の部分に連結されているとともに、アウターワイヤの操作アーム側端部が苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所に固定されているので、これらの相乗により、耐久性の低下を避けながらより一層円滑な作動状態を現出できる。 つまり、インナーワイヤを押し引き操作して操作アームを揺動作動させた場合のインナーワイヤの振れは、操作アームに対するインナーワイヤの連結箇所を、操作アームの先端と基部との間にすることで、アウターワイヤの操作アーム側端部箇所でインナーワイヤが押し引き方向以外の方向で大きく振れ動くことを回避し、また、苗のせ台が左右端部に達して、操作アームが駆動部材で揺動操作された場合は、それに伴うインナーワイヤの弛みは、ワイヤの全長に対するアウターワイヤ部分の長さの割合を多くすることで、弛みの多くがアウターワイヤの内部で吸収されるようにしている。 このことによって、インナーワイヤの押し引きによる場合、駆動部材との接当による場合の何れの場合における操作部材の揺動によっても、アウターワイヤの端部にインナーワイヤが強く摺接して耐久性の低下を招くようなことを避けながら、円滑な作動を行わせることができる。 【0015】 【発明の効果】 請求項1及び2の特徴によると、田植機の縦送り機構調節構造において縦送り機構の操作アームにワイヤを直接に接続して、操作アームの待機位置を変更するように構成することにより、操作アームとストッパーとの間に泥等が挟み込まれて、縦送り機構の苗送り量が所望の値よりも小さなものとなると言う状態を未然に回避することができるようになり、縦送り機構を所望の苗送り量で安定して作動させることができるようになった。これにより、苗植付機構の苗取り量の変更に関係なく、縦送り機構により苗が苗取り出し口側に過不足なく安定して送られるようになって、田植機の植付性能を向上させることができた。また、ワイヤによる操作であるから、操作アームとは反対側におけるワイヤの操作方向や操作位置は、操作アームの操作方向や操作位置とは関係なく設定することができ、設計上の自由度も格段に高くなる。 【0016】 請求項1及び2の特徴によると、駆動部材により縦送り機構の操作アームが待機位置から送り位置に移動操作された際、ワイヤが弛んで操作アームの待機位置から送り位置への移動が吸収されて、ワイヤにおける操作アームとは反対側(ワイヤにおける苗取り量の調節レバー側)に悪影響が及ぶことはないので、縦送り機構の操作アームにワイヤを直接に接続することによる耐久性の低下等を伴うものではない。 【0017】 請求項1及び2の特徴によると、操作アームの待機位置から送り位置への移動に伴い、操作アームと一緒にワイヤが駆動部材から離れる側に押されるように構成しているので、駆動部材がワイヤに接触することを充分に防止することができるようになって、縦送り機構の耐久性を向上させることができた。 【0018】 さらに、請求項1及び2の特徴によると、インナーワイヤの一端部が操作アームに対してその先端と基部との間の部分に連結されているとともに、アウターワイヤの操作アーム側端部が苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所に固定されているので、これらの相乗により、耐久性の低下を避けながらより一層円滑な作動状態を現出できる利点がある。 【0019】 【実施例】 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 図1に示すように本機(図示せず)の後端に設けられた四連リンク機構1に、本機から動力の伝達を受けるフィードケース2を連結し、フィードケース2の下端に横向きフレーム3を架設して、横向きフレーム3から後方に向けて複数個の植付伝動ケース4を延出している。植付伝動ケース4の前端部に亘り横向きフレーム3と平行に伝動軸を架設して、植付伝動ケース4への伝動構造を構成し、植付伝動ケース4の後端部に苗植付機構5、植付伝動ケース4の上方に苗植付機構5の植付作動に連動して左右に一定ストロークで往復横移動する苗載せ台6を設けて、乗用型の田植機に搭載される苗植付装置を構成している。 【0020】 次に、苗載せ台6の往復横移動の構造について説明する。図2及び図3に示すように、苗載せ台6の背面側に全幅に亘って横向きの補強フレーム7を掛け渡して、組立状態の苗載せ台6を補強している。植付条毎にマット状の苗Wを区画する側壁6Aを苗載せ台6に設けて、側壁6Aにより苗載せ台6を植付条毎の苗載せ台部分に分割しており、補強フレーム7で組立状態の苗載せ台6を補強している。 【0021】 図2及び図3に示すように、後述する縦送り装置8が囲む内部空間を貫通する補強フレーム7から前方側に第1ブラケット9を延出し、第1ブラケット9に苗載せ台6の横送り機構Aを連結している。図2及び図3に示すように、フィードケース2から螺旋軸10を横向きに延出して、螺旋軸10に外嵌されて螺旋軸10の軸芯方向に横移動する移動体11を設け、移動体11に螺旋軸10の螺旋溝に咬合するコマ部材12を内装して、螺旋軸10の回転によりコマ部材12と一体で移動体11が横移動するように構成しており、移動体11と第1ブラケット9とを連結部材13を介して連結している。 以上の構成により、フィードケース2の駆動機構(図示せず)により螺旋軸10を回転させて、移動体11を一定ストロークで往復横移動させ、苗載せ台6を左右に一定ストロークで往復横移動させる。 【0022】 次に、縦送り装置8について説明する。図2,3,4に示すように、下方に位置する駆動プーリ14と上方に位置する従動プーリ15とに亘って、突起付きのベルト16を巻回して苗送りベルト機構8a(縦送り機構に相当)を構成しており、苗送りベルト機構8aを植付条毎に2つ並設している。駆動プーリ14に一方向クラッチ20を介して連動する操作アーム17を備えて、苗送りベルト機構8aが苗Wを下方に送る下降方向では、駆動プーリ14と操作アーム17とが一体回動し、反下降方向では駆動プーリ14と操作アーム17との連動状態が絶たれるように一方向クラッチ20を構成しており、苗送りベルト機構8aの反下降方向側に操作アーム17を付勢するつる巻きバネ23(付勢部材に相当)を設けている。 【0023】 これにより、フィードケース2から突出して常時回転する回転軸18に備えられた駆動アーム19(駆動部材に相当)の回転軌跡と、操作アーム17の回動軌跡とが、苗載せ台6の往復横移動のストロークエンドで一致して、図3に示すように駆動アーム19が操作アーム17を待機位置Tから送り位置Sまで移動操作することにより、苗送りベルト機構8aが苗Wを苗取り出し口a側に送るように構成している。 【0024】 図3に示すように、つる巻きバネ23の付勢により操作アーム17の待機位置Tを設定する調節レバー25を設け、調節レバー25と操作アーム17とをボーデンケーブル構造のワイヤ21で連動連結している。ワイヤ21におけるアウターワイヤ21Uの操作アーム17側の端部を、苗載せ台6の支持部材22に対してワイヤ21の軸芯方向に所定範囲で相対移動自在に連結して、アウタ受け部bを構成しており、受け板24が固定された補強フレーム7に支持部材22を取り付けている。駆動アーム19が接当する操作アーム17の部分とは反対側で、且つ、操作アーム17における先端と基部との間の部分に、ワイヤ21のインナーワイヤ21Iを直接に接続しており、インナーワイヤ21Iを操作アーム17から上方の支持部材22側(操作アーム17の送り位置S側)に延出している。 【0025】 図3に示すように、アウターワイヤ21Uが調節レバー25側に向けて付勢されるように、アウターワイヤ21Uの操作アーム17側の端部の筒部分を、抜けないように支持部材22に支持して、アウターワイヤ21Uのつば部21tと支持部材22との間に、圧縮型の巻きバネ26を設けている。巻きバネ26によってアウターワイヤ21Uに作用する付勢力を、つる巻きバネ23によって操作アーム17に接続されたインナーワイヤ21Iに作用する付勢力よりも大に設定しており、つる巻きバネ23による操作アーム17の待機位置Tへの付勢力によって、巻きバネ26が圧縮変形しないようにしている。 【0026】 以上の構成により、苗植付機構5の苗取り量を多くする場合には、調節レバー25を多側に操作してインナーワイヤ21Iを操作アーム17側に戻し操作し、操作アーム17の待機位置Tを下方側に変更する。このように操作アーム17の待機位置Tを送り位置Sから下方に離間させると、駆動アーム19により操作アーム17が待機位置Tから送り位置Sに移動操作される際のストロークが大きくなって、苗送りベルト機構8aの苗送り量が大きくなる。 【0027】 逆に苗植付機構5の苗取り量を少なくする場合には、図4に示すように調節レバー25を少側に操作して、インナーワイヤ21Iを調節レバー25側に引き操作し、操作アーム17の待機位置Tを上側の待機位置tに変更する。このように操作アーム17の待機位置Tを送り位置Sに接近した待機位置tに変更すると、駆動アーム19により操作アーム17が待機位置tから送り位置Sに移動操作される際のストロークが小さくなって、苗送りベルト機構8aの苗送り量が小さくなる。 【0028】 この場合、待機位置Tから待機位置tへの操作アーム17の移動によって、苗送りベルト機構8aが作動し、苗Wが苗取り出し口a側に送られて苗載せ台6の下端のガイドレール27に押し付けられるようになるが、この状態を巻きバネ26の圧縮変形によるアウターワイヤ21Uの変位によって吸収できるので、調節レバー25の操作が重くなるとか、ガイドレール27への押し付けによって苗Wが崩れると言った不都合は生じない。この状態において前述の理由により、操作アーム17の待機位置Tが待機位置tに直ちに移動しないことがあるが、その後の苗送りベルト機構8aの作動によって巻きバネ26が元の状態に戻り、直ぐに操作アーム17の待機位置Tが待機位置tに移動する。 【0029】 図1に示すように変更レバー(図示せず)、変更アーム29、ガイドレール27にボルト止めされたブラケット30により、苗載せ台6に載置された苗Wの下端位置を変えて苗取り量を変更する変更機構Bが構成されている。図5に示すようにブラケット30は、正面視横倒れJ字形状の屈曲板30aに支持棒30bをを2箇所で固定して構成されており、屈曲板30aで形成された空間部30cに変更アーム29の先端部を入り込ませている。 【0030】 尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。 【図面の簡単な説明】 【図1】 苗植付装置の全体側面図 【図2】 苗載せ台と横送り機構との連結状態を示す横断面図 【図3】 縦送り装置付近の構造を示す側面図 【図4】 縦送り装置の下部付近の構造を示す側面図 【図5】 苗取り量の調節用のブラケットの斜視図 【符号の説明】 6 苗載せ台 8a 縦送り機構 17 操作アーム 19 駆動部材 21 ワイヤ 23 付勢部材 25 苗取り量の調節レバー a 苗取り出し口 T,t 待機位置 S 送り位置 W 苗 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 訂正事項a 特許明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載を下記のとおり訂正。 【請求項1】 苗載せ台(6)に載置された苗(W)を苗取り出し口(a)側に送る苗送りベルト(16)を備えた縦送り機構(8a)において、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)と、前記操作アーム(17)に接当して前記操作アーム(17)を待機位置(T),(t)から送り位置(S)まで移動操作することにより前記縦送り機構(8a)を作動させる駆動部材(19)と、前記操作アーム(17)を前記待機位置(T),(t)側に付勢する付勢部材(23)とを備え、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)を苗送りベルト(16)による苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材(19)を回転駆動する回転軸(18)を前記縦送り機構(8a)の下端よりも下方に位置させて、前記操作アーム(17)と前記駆動部材(19)とを、前記待機位置(T),(t)から送り位置(S)に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルト(16)の下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アーム(17)における先端と基部との間の部分に、その操作アーム(17)を移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)の一端部を直接に接続し、前記ワイヤ(21)におけるアウターワイヤ(21U)の前記操作アーム(17)側の端部を、前記苗送りベルト(16)の苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルト(16)の巻回経路を通して苗載せ台(6)の左右方向に亘って配設した補強フレーム(7)に固定し、 前記ワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)を押し引き操作することにより、前記操作アーム(17)の待機位置(T),(t)を前記操作アーム(17)の移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構(8a)の苗送り量を調節するように構成してある田植機の縦送り機構調節構造。 訂正事項b 特許明細書の特許請求の範囲の請求項2の記載を下記のとおり訂正。 【請求項2】 苗載せ台(6)に載置された苗(W)を苗取り出し口(a)側に送る苗送りベルト(16)を備えた縦送り機構(8a)において、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)と、前記操作アーム(17)に接当して前記操作アーム(17)を待機位置(T),(t)から送り位置(S)まで移動操作することにより前記縦送り機構(8a)を作動させる駆動部材(19)と、前記操作アーム(17)を前記待機位置(T),(t)側に付勢する付勢部材(23)とを備え、 前記縦送り機構(8a)に備えられた操作アーム(17)を苗送りベルト(16)による苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材(19)を回転駆動する回転軸(18)を前記縦送り機構(8a)の下端よりも下方に位置させて、前記操作アーム(17)と前記駆動部材(19)とを、前記待機位置(T),(t)から送り位置(S)に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルト(16)の下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アーム(17)における先端と基部との間の部分に、その操作アーム(17)を移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)の一端部を直接に接続し、前記ワイヤ(21)におけるアウターワイヤ(21U)の前記操作アーム(17)側の端部を、前記苗送りベルト(16)の苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルト(16)の巻回経路を通して苗載せ台(6)の左右方向に亘って配設した補強フレーム(7)に固定し、前記ワイヤ(21)のインナーワイヤ(21I)の他端部を苗取り量の調節レバー(25)に接続して、 前記苗取り量の調節レバー(25)によって前記ワイヤ(21)におけるインナーワイヤ(21I)を押し引き操作することにより、前記操作アーム(17)の待機位置(T),(t)を前記操作アーム(17)の移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構(8a)の苗送り量を調節するように構成してある田植機の縦送り機構調節構造。 訂正事項c 特許明細書の段落【0007】の記載を下記のとおり訂正。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明の特徴は以上のような田植機の縦送り機構調節構造において、次のように構成することにある。 [1] 苗載せ台に載置された苗を苗取り出し口側に送る苗送りベルトを備えた縦送り機構において、 前記縦送り機構に備えられた操作アームと、前記操作アームに接当して前記操作アームを待機位置から送り位置まで移動操作することにより前記縦送り機構を作動させる駆動部材と、前記操作アームを前記待機位置側に付勢する付勢部材とを備え、 前記縦送り機構に備えられた操作アームを苗送りベルトによる苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材を回転駆動する回転軸を前記縦送り機構の下端よりも下方に位置させて、前記操作アームと前記駆動部材とを、前記待機位置から送り位置に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルトの下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アームにおける先端と基部との間の部分に、その操作アームを移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤにおけるインナーワイヤの一端部を直接に接続し、前記ワイヤにおけるアウターワイヤの前記操作アーム側の端部を、前記苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルトの巻回経路を通して苗載せ台の左右方向に亘って配設した補強フレームに固定し、 前記ワイヤにおけるインナーワイヤを押し引き操作することにより、前記操作アームの待機位置を前記操作アームの移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構の苗送り量を調節するように構成してある。 訂正事項d 特許明細書の段落【0008】の記載を下記のとおり訂正。 【0008】 [2] 同様な目的で請求項2に記載のように、苗載せ台に載置された苗を苗取り出し口側に送る苗送りベルトを備えた縦送り機構において、 前記縦送り機構に備えられた操作アームと、前記操作アームに接当して前記操作アームを待機位置から送り位置まで移動操作することにより前記縦送り機構を作動させる駆動部材と、前記操作アームを前記待機位置側に付勢する付勢部材とを備え、 前記縦送り機構に備えられた操作アームを苗送りベルトによる苗送り方向での先端部に位置させるともに、前記駆動部材を回転駆動する回転軸を前記縦送り機構の下端よりも下方に位置させて、前記操作アームと前記駆動部材とを、前記待機位置から送り位置に至るそれぞれの作動範囲が前記苗送りベルトの下側空間に位置する状態で配設し、 前記操作アームにおける先端と基部との間の部分に、その操作アームを移動させて苗送り量の調節を行うためのワイヤにおけるインナーワイヤの一端部を直接に接続し、前記ワイヤにおけるアウターワイヤの前記操作アーム側の端部を、前記苗送りベルトの苗送り方向での始端部よりも苗送り方向下手側寄りの箇所で、前記苗送りベルトの巻回経路を通して苗載せ台の左右方向に亘って配設した補強フレームにに固定し、前記ワイヤのインナーワイヤの他端部を苗取り量の調節レバーに接続して、 前記苗取り量の調節レバーによって前記ワイヤにおけるインナーワイヤを押し引き操作することにより、前記操作アームの待機位置を前記操作アームの移動方向に沿って変更して、前記縦送り機構の苗送り量を調節するように構成してもよい。 |
異議決定日 | 2002-04-24 |
出願番号 | 特願平10-261240 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(A01C)
|
最終処分 | 維持 |
特許庁審判長 |
藤井 俊二 |
特許庁審判官 |
松川 直樹 渡部 葉子 |
登録日 | 2000-12-22 |
登録番号 | 特許第3143436号(P3143436) |
権利者 | 株式会社クボタ |
発明の名称 | 田植機の縦送り機構調節構造 |
代理人 | 伴 正昭 |
代理人 | 北村 修一郎 |
代理人 | 北村 修一郎 |