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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B23D
管理番号 1062768
異議申立番号 異議2001-71305  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1990-08-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-04-27 
確定日 2002-05-27 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3104793号「切断装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3104793号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3104793号に係る発明は、平成1年2月9日に特許出願され、平成12年9月1日にその特許権の設定登録がなされ、その後、大東精機株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年4月26日に訂正請求がなされたものである。
2.特許異議の申立ての理由の概要
異議申立人大東精機株式会社は、証拠として甲第1号証(藤田商事株式会社代表取締役社長 藤田忠義の証明書)、甲第2号証(西ドイツカスト社のパンフレット)、甲第3号証(実願昭50-152967号(実開昭52-65992号)のマイクロフィルム)、甲第4号証(特開昭63-185517号公報)を提出し、同時に、甲第1号証に係るカスト社製バンドソーマシーンSSZ260Bについて検証を申し出て、本件発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。
また、明細書に記載不備があり、特許法第36条第4項の規定に違反して特許されたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。
3.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
平成9年9月5日付け全文補正明細書第6頁第14〜16行における「か、又は本体バイス7における移動バイスジョー7Mに取付けられた前進端リミットスイッチ33で送りバイス9の前進端位置を検出し、この位置をワークWの先端位置の原点位置とする」との記載を削除。
イ.訂正事項b
平成9年9月5日付け全文補正明細書第8頁第20〜末行における「また、本実施例ではストッパプレート31を本体バイス7における移動バイスジョー7Mの側壁に設けたが、前バイスに設けてもよく、かつ送材時に逃げ構造を持ったストッパプレート31でもよい。例えばスイング又はリフトによるシリンダで行うとよい。さらに、ストッパプレート31を設けずに本体バイス7そのものをストッパプレート31と兼用してもよい。さらに、前バイスを移動方式として、前バイスにストッパプレート31を取付け(この場合、前バイスと本体バイスは同意儀とする)、前バイスの移動量を検出するエンコーダ又はリニアスケールにて原点位置出しおよび切断寸法出しを行なうようにしてもよい。また、前バイス自体を動かない構造としてストッパプレート31と兼用してもよい。」との記載を削除。
(2)訂正の目的の適否
上記訂正事項a,bは、いずれも発明の詳細な説明の記載中、異議の申立ての理由で指摘された特許請求の範囲と対応していない事項を削除して、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載を整合させたものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
(3)新規事項の有無
上記訂正事項a,bは、いずれも発明の詳細な説明に記載された技術的事項を単に削除するものであるから、願書に添付された明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、新規事項の追加には該当しない。
(4)実質的な拡張・変更の存否
これらの技術的事項の削除が特許請求の範囲に影響を与えるものでもないから、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
(5)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項ただし書並びに同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
4.特許異議の申立てについての判断
(1)本件発明
上記3.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「切断位置の一側に、切断すべきワークを把持自在の本体バイスを設け、前記ワークの送材作用を行う送りバイスを、前記本体バイスに対して接近離反する方向へ往復動可能に設けてなる切断装置において、前記送りバイスによってワークを保持して本体バイスに近接する方向へ送材するとき、ワークの先端部を当接して位置決めするためのストッパを前記本体バイスにおける移動バイスジョーに設けてなる切断装置」
(2)証拠の認定
藤田商事株式会社代表取締役社長である藤田忠義作成の「カスト社製バンドソーマシーンに関する証明書」(甲第1号証)中には、1982年にカスト社から輸入した、形式:SSZ260Bのバンドソーマシーンが、現在、藤田商事株式会社の工場内で使用中であることが記載されている。また、甲第1号証の添付書類2の写真2のコントロールパネルには「SSZ260B」の表示が、写真3のコントロールパネルの側面には「1982」の表示が見られる。
また、甲第1号証の添付書類1の「特殊鋼」第33巻第5号には、西独カスト社の極東地区総代理店である藤田商事株式会社の広告記事として、西独カスト社の完全自動切断加工システム(SSDシリーズ)の広告が掲載されている。
さらに、上記バンドソーマシーンの構造を示したとされる、甲第1号証の添付書類3には、「切断位置の一側に、切断すべきワークを把持自在の本体バイスを設け、前記ワークの送材作用を行う送りバイスを、前記本体バイスに対して接近離反する方向へ往復動可能に設けてなる切断装置において、ワークを送りバイスで保持する前に、全駆動ローラーコンベアーによってワークを本体バイスに近接する方向へ送材するとき、ワークの先端部を当接して位置決めするためのストッパを前記本体バイスにおける移動バイスジョーに設けてなる切断装置」が記載されていると認められる。
旧西ドイツカスト社製作のパンフレットであるとされる甲第2号証には、「5.EMO PARIS 10・18・VI・83」及び「Magasin flexible KASTO-SSZ260B+auto-mate de coupe a ruban,pilotes par CNC.」の表示が認められる。
甲第3号証刊行物には、油圧シリンダによって回動自在な位置決め板にワークの先端部を当接させて位置決めした後、ワークを送材バイス機構によって挟持するようにした切断装置が記載されていると認められる。
甲第4号証刊行物には、ワークがロールコンベヤで送られてクランプジョーに当接されて位置決めした後、ワークをクランプで保持するようにした切断装置が記載されていると認められる。
(3)当審の判断
ア.甲第1号証の添付書類3に説明された構造のカスト社製バンドソーマシーンSSZ260B(以下、「本件バンドソーマシーン」という。)が、本件出願前に公然と輸入されたものであるか否かについて判断する。
公然と輸入されたとするためには、輸出する者と輸入する者との間には秘密保持義務が存在しないことを必要とすべきである。ところで、甲第1号証によれば、本件バンドソーマシーンの輸入は、西独カスト社が輸出したものを、その代理店である藤田商事株式会社が輸入したものと認められるところ、社会通念上、製造者とその販売代理店との間には守秘義務があると解するのが相当であるから、本件バンドソーマシーンを藤田商事株式会社が輸入したという事実をもって、本件バンドソーマシーンが公然と輸入されたと認めることはできない。
イ.西独カスト社製バンドソーマシーン(型式:SSZ260B)が、本件出願前に日本国内において公知となっていたか否かについて判断する。
異議申立人は、「甲第2号証から、旧西ドイツのカスト社製バンドソーマシーン(型式:SSZ260B)が、遅くとも1983年6月頃には公知となっていたことが明らかである。」と主張する。
しかし、甲第2号証から、型式:SSZ260Bのバンドソーマシーンが、1983年6月10日〜18日にパリで開催されたEMOに展示されたこと、また、当該バンドソーマシーンが本件バンドソーマシーンと同一構造であったことが認められたとしても、その事実は、フランスにおいて公知又は公然展示されたことが認められるにすぎず、その事実のみでは日本国内において本件バンドソーマシーンと同一構造のものが公知又は公然実施されたと認めることはできない。
ウ.以上のとおりであるから、本件バンドソーマシーンについて検証を行うまでもなく、本件バンドソーマシーンが公然と輸入されたものである、又は、本件バンドソーマシーンと同一構造のものが日本国内において公知であると認めることはできない。
エ.次に、本件特許発明が、甲第1号証の添付書類3に記載された発明及び甲第3、4号証刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるか否かを判断する。
本件特許発明と甲第1号証の添付書類3に記載された発明とを比較すると、両者はワークの先端部を本体バイスの移動バイスジョーに当接させて位置決めする点で一致し、前者では、送りバイスによってワークを保持して本体バイスに近接する方向へ送材するとき、ワークの先端部を当接して位置決めするのに対し、後者では、送りバイスでワークを保持する前に全駆動ローラーコンベアーで本体バイスに近接する方向へ送材して位置決めしている点で、両者は相違する。
次に、本件特許発明と甲第3号証刊行物記載の発明とを対比すると、前者は、送りバイスによってワークを保持して本体バイスに近接する方向へ送材するとき、ワークの先端部を当接して位置決めするのに対し、後者では、バイスでワークを保持する前に送材して位置決めしている点で、両者は相違する。
さらに、本件特許発明と甲第4号証刊行物記載の発明とを対比すると、前者は、送りバイスによってワークを保持して本体バイスに近接する方向へ送材するとき、ワークの先端部を当接して位置決めするのに対し、後者では、クランプ(バイス)でワークを保持する前に送材して位置決めしている点で、両者は相違する。
つまり、いずれの証拠に記載された発明においても、本件特許発明の構成である、「送りバイスによってワークを保持して本体バイスに近接する方向へ送材するとき、ワークの先端部を当接して位置決めする」という構成を備えていない。
そして、かかる構成により、本件特許発明は、送りバイスでワークを保持したまま位置決めを行うので、位置決め後に送りバイスで把持するものにおいて発生していたワークをつかむときに発生する寸法誤差を回避できるという作用効果を生じるものと認める。
また、いずれの証拠にも、位置決めされたワークをバイスでつかむときに発生する寸法誤差に関する記載もしくはそれを示唆する記載はない。
してみれば、上記作用効果を奏すること目的として、ワークを送材して位置決めした後に送りバイスでワークを保持していた構成を、上記本願発明の構成に変更することは、当業者が容易になし得たと認めることはできない。
したがって、本件特許発明は、甲第1号証の添付書類3に記載された発明及び甲第3、4号証刊行物に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
オ.さらに、本件特許に係る出願の明細書の記載不備について検討する。
異議申立人の主張する記載不備は、上記訂正請求による訂正によって明りょうでない記載が削除されたことから、解消した。
したがって、本件特許は、特許法第36条第3項もしくは第4項に規定する要件を満たさない出願に対してなされたものとすることができない。
5.むすび
以上のとおりであるから、異議申立人の主張する理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
切断装置
(57)【特許請求の範囲】
切断位置の一側に、切断すべきワーク(W)を把持自在の本体バイス(7)を設け、前記ワーク(W)の送材作用を行う送りバイス(9)を、前記本体バイス(7)に対して接近離反する方向へ往復動可能に設けてなる切断装置において、前記送りバイス(9)によってワーク(W)を保持して本体バイス(7)に近接する方向へ送材するとき、ワーク(W)の先端部を当接して位置決めするためのストッパ(31)を前記本体バイス(7)における移動バイスジョー(7M)に設けてなる切断装置。
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
この発明は、切断機でワークを切断する際、ワークの端部を自動的に位置決めしてワークを切断することのできる切断装置に関する。
(従来の技術)
従来、切断機でワークの先端切りのために切断する際には、ワークの端部を位置決めする必要がある。このワークの端部を位置する方法としては今までに種々な位置決め手段が知られている。
すなわち、例えば(A)鋼尺により鋸刃の位置からワークの先端を測って位置決めする方法。(B)切断される側に定寸ストッパを設けてこの定寸ストッパにワークの端部を突当てて位置決めする方法。(C)ワークの側面にトリミングローラを当ててワークの移動距離を測定して位置決めする方法。(D)ワークの送材方向に対して直交する方向の両側に光電スイッチを設けてワークの送材距離を測定して位置決めする方法。および(E)切断機の後方に別個の送材装置を設けて、この送材装置でワークを送って例えば送りバイスに突当て、その位置を原点位置として送りバイスなどで送って位置決めする方法。
(発明が解決しようとする課題)
ところで、上述した従来技術のうち、(A)の方法では、作業者の肉眼で測定するので、切代補正などを考慮に入れて行なわなければならず、正規寸法に対して長いものになってしまったり、また、時には短かくなってしまい、常に正確な位置決めするのが難かしかった。
(B)の方法においては、(A)の方法と同様に目盛りを見て合せるため、誤差があることと、ワークを送材するために定寸ストッパからワークを逃がす動作を行なわなければならない。(C)の方法においては、ワークの側面にトリミングローラを当てているので、ワークとの間に滑りが起ったり、あるいはワークの変形により正確な寸法出しが難かしい。
また、(D)の方法では、ワークを押したり、あるいは引きながら、遮光するので、ワークの測定面に付着している切削油やゴミの影響により測定誤差が生じ正確な寸法出しが難かしい。さらに、(E)の方法では、切断機本体の他に別の送材装置を設けていて、ワークに送材装置を突当ててつかむので、つかむときに寸法誤差が生じるという問題があった。
この発明の目的は、上記のごとき問題点を改善するため、ワークの端部を正確にかつ自動的に位置決めして先端切りの製品精度の向上を図った切断装置を提供することにある。
(課題を解決するための手段)
前述のごとき従来の問題に鑑みて、本発明は、切断位置の一側に、切断すべきワークを把持自在の本体バイスを設け、前記ワークの送材作用を行う送りバイスを、前記本体バイスに対して接近離反する方向へ往復動可能に設けてなる切断装置において、前記送りバイスによってワークを保持して本体バイスに近接する方向へ送材するとき、ワークの先端部を当接して位置決めするためのストッパを前記本体バイスにおける移動バイスジョーに設けてなるものである。
(実施例)
以下、この発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
第1図および第2図を参照するに、切断機としての例えば横型帯鋸盤1における切断加工部3にはエンドレス状の帯鋸刃Bが第2図において紙面に対して直交する方向へ走行自在、かつ上下方向へ上下動自在に設けられている。この帯鋸刃Bの走行自在かつ上下動自在な具体的な構成はすでに公知のものを採用しているため詳細な説明を省略する。
切断加工部3の切断位置BS(帯鋸刃Bの中心が上下動される位置)における前側(第1図,第2図において右側)にはワークWから切断分離した製品を受ける製品受台5が配設されている。また、切断加工部3の切断位置BSにおける後側(第1図,第2図において左側)には、ワークWを切断する際にクランプする本体バイス7が設けられ、さらにこの本体バイス7の後側にはワークWをクランプしてワークWを前後方向(第1図,第2図において左右方向)へ送材する送りバイス9が設けられている。
前記本体バイス7は固定バイスジョー7Fと移動バイスジョー7Mとから構成され、第1図において固定バイスジョー7Fが上側に、移動バイスジョー7Mが下側に設けられていて、移動バイスジョー7Mの第1図において下側には本体バイスシリンダ7Sが設けられている。
上記構成により、ワークWが本体バイス7に送材されると、固定バイスジョー7Fに対して移動バイスジョー7Mが本体バイスシリンダ7Sによって第1図において下側から上側へ移動されてワークWは固定バイスジョー7Fと移動バイスジョー7Mとによりクランプされることになる。ワークWを本体バイス7がアンクランプするには、本体バイスシリンダ7Sにより移動バイスジョー7Mを第1図において下側へ移動せしめることによってアンクランプされることとなる。
前記送りバイス9は固定バイスジョー9Fと移動バイスジョー9Mとから構成されており、第1図において固定バイスジョー9Fが上側に、移動バイスジョー9Mが下側に設けられていて、移動バイスジョー9Mの第1図において下側には送りバイスシリンダ9Sが設けられている。また、送りバイス9におけるベース11の左側には送りシリンダ13が設けられている。
上記構成により、ワークWが第2図に示すごとくクレーンなどで固定バイスジョー9Fと移動バイスジョー9Mとの間におけるベース11上に載せられると、固定バイスジョー9Fに対して移動バイスジョー9Mが送りバイスシリンダ9Sによって第1図において下側から上側へ移動されてワークWは固定バイスジョー9Fと移動バイスジョー9Mとによりクランプされる。さらにワークWが固定バイスジョー9Fと移動バイスジョー9Mでクランプされた状態で送りシリンダ13を作動させることによって、送りバイス9が第1図において左右方向へ移動されるので、ワークWも同方向へ移動されることになる。
前記送りバイス9における固定バイスジョー9Fの第1図において左部にはブラケット15が一体化されており、このブラケット15にはピン17で支持ブロック19が取付けられている。この支持ブロック19にはピニオン21が回転自在に支承されており、このピニオン21にはこのピニオン21の回転数を検出するエンコーダ23が備えられている。
前記ピニオン21に噛合したラック25が第1図において左右方向へ延伸されており、このラック25の両側は支持ブロック27で支持されている。また、前記エンコーダ23は横型帯鋸盤1に備えられて横型帯鋸盤1を制御するNC装置29に接続されている。
上記構成により、送りバイス9が第1図において左右方向へ移動される際、ピニオン21がラック25に噛合されているから、回転される。このピニオン21の回転数をエンコーダ23で検出して送りバイス9の移動距離が計測されると共にNC装置29へ転送される。
前記本体バイス7における移動バイスジョー7M側(第1図において左側壁)には、例えばストッパ部材としてのストッパプレート31が設けられていると共に、本体バイス7には送りバイス9の前進端位置を検出する前進端リミットスイッチ33が設けられている。
前記送りバイス9を第2図において左右方向へ移動せしめるための油圧回路35が第2図に示されている。すなわち、第2図において送りシリンダ13の前部シリンダ室37、後部シリンダ室339にはそれぞれ配管41,43の一端が連通されている。配管41,43の他端はチェック弁45,47に接続されている。チェック弁45,47には配管49,51の一端が接続されており、配管49,51の他端は比例ソレノイド53のBポート,Aポートに接続されている。なお、配管49,51の途中とチェック弁47,45にはパイロット圧用の配管55,57が接続されている。
前記比例ソレノイド53にはソレノイドSOL1,SOL2が備えられている。さらに比例ソレノイド53のPポート,Rポートには配管59,61の一端が接続されており、配管59の他端は先端位置決め用の比例ソレノイド63のBポートに接続されている。配管61の他端はタンク65に連通されている。
前記比例ソレノイド63にはソレノイドSOL3が備えられている。比例ソレノイド63のPポート,Rポートには配管67,69の一端が接続されており、配管67,69の他端は配管71の一端に接続されている。配管73の他端は圧力源73に接続されている。
前記配管67の途中には配管75の一端が接続されており、他端にはチェック弁77が接続されている。配管67の途中には減圧弁79が設けられており、この減圧弁79と前記配管61との途中にはパイロット圧用の配管81が接続されている。
前記比例ソレノイド53のソレノイドSOL1,SOL2および比例ソレノイド63のソレノイドSOL3は前記NC装置29に接続されている。
上記構成により、送りバイス9を第2図において右方向へ移動させる場合には、圧力源73から油が配管71に吐出される。配管71の油は配管67,減圧弁79を経て比例ソレノイド63のPポートに送られる。NC装置29からの指令によりソレノイドSOL3が励磁されると、PポートとBポートが連通されるから、油は配管59に送られて比例ソレノイド53のPポートに送られる。
そして、比例ソレノイド53のソレノイドSOL2がNC装置29からの指令で励磁されて、PポートとAポートが連通されるから、配管59の油は配管51に送られると共に、チェック弁47、配管43を経て送りシリンダ13の後部シリンダ室39に送られて、送りシリンダ13が作動して送りバイス9が右方向へ移動されることになる。
送りバイス9を第2図において左方向へ移動させる場合には、配管59の油はNC装置29の指令により比例ソレノイド53のソレノイドSOL1が励磁されると、PポートとBポートが連通されるから、配管49に送られると共に、チェック弁45、配管41を経て送りシリンダ13の前部シリンダ室37に送られて送りシリンダ13が作動して送りバイス9が左方向へ移動されることになる。
次に、ワークWを切断加工部3へ送材する本実施例の動作について、第3図〜第9図を用いて説明する。
まず第3図において、ワークWをクレーンなどで上方から矢印で示したごとく、送りバイス9上に載せる。その際、送りバイス9の前進端で本体バイス7がワークWをクランプできるように第3図に示したごとく、長さAだけ確保しておく。また、送りバイス9は移動バイスジョー9Mを作動させてワークWをクランプし、本体バイス7は全閉状態にある。
第3図の状態で、先端位置決めスタートスイッチを押すと、帯鋸刃Bが最上昇端まで上昇すると同時に送りシリンダ13により送りバイス9のベース11が前進(第3図において右方向へ移動)して本体バイス7の移動バイスジョー7Mにおける左側壁に取付けられたストッパプレート31にワークWの端部が第4図および第5図に示すごとく当接する。なお、このとき、ワークWのクランプ力×摩擦係数>送り力となるように、前記油圧回路35で調整する。
ワークWの端部がストッパプレート31に当接したかどうかの検出には、送りバイス9の位置を検出するために取付けられたエンコーダ23で送り速度が零となる位置を見る。
次に、送りバイス9を第6図に示すごとく、送りシリンダ13で少量後退(第6図において少量左方向へ移動)し、本体バイス7を全開させる。
送りバイス9を前進させて位置決めし、その後本体バイス7でワークWをクランプする。なお、このとき位置決め前に前進端用のリミットスイッチ33がONになると、つかみ替え後、送りバイス9が残りの送り量だけ後退位置決め、送りバイス9でつかみ替え後に前進端位置まで進む。その後本体バイス7でワークWをクランプする。第7図において、B寸法は予め計測して機械のパラメータとして例えばNC装置29に記憶させておき、C寸法は切断寸法+切代である。
第7図において、送りバイス9が切削開始位置になければ、送りバイス9が移動して(例えば、自動送りのための原点位置を決めるために前進端まで)切削位置まで動く。その後、切断が開始される。
第7図の状態において、送材1回では先端位置決め寸法(C)まで送り切れないとき、1回で送り切れないという検出は、原点位置出し後、送材中に前進端用のリミットスイッチ33が第8図,第9図に示すごとくONしたとき、NC装置29側にて現在まで送った長さをDとすると、(C-D)の距離Eを、送りバイス99を後退させながら位置決めする。送りバイス9はワークWをクランプした後、前進端まで進み、位置決め完了とする。
さらに、第10図のフローチャートで動作を説明すると、ステップS1で送りバイス9上にワークWをクレーンなどで搬入する。ステップS2で送りバイス9でワークWをクランプすると共に、本体バイス7を全閉する。ステップS3で先端位置決めをスタットさせ、ステップS4で帯鋸刃Bを上昇させると共に送りバイス9を前進させる。このとき、油圧回路35の比例ソレノイド63におけるソレノイドSOL3をONにし、さらに比例ソレノイド53におけるソレノイド2をONさせる。
ステップS5で、ワークWの先端がストッパプレート31に当接する。このとき、エンコーダ23のパルスカウントが0になることで判断される。ステップS6で、ストッパプレート31にワークWの先端が当接したときを、先端位置決めの原点位置と設定する。
次に、ステップS7で送りバイス9を微少後退させる。比例ソレノイド63のソレノイドSOL3をOFF、比例ソレノイド53のソレノイドSOL1をONさせる。ステップS8で送りバイス9を微少量後退して停止させる。ステップS9で本体バイス7を全開させる。
ステップS10で比例ソレノイド53のSOL2をONにして先端位置決めを行なう。ステップS11で前進端用のリミットスイッチ33がONしたかどうかを判断する。
リミットスイッチ33がONしていなければ、ステップS12で比例ソレノイド53にて位置決め後停止させる。さらに、ステップS13で本体バイス7にてワークWをクランプしてクランプを完了させる。ステップS14で送りバイス9を開き、ステップS15で送りバイス9にてワークWを自動送材し原点位置へ行く。ステップS16で切削自動運転がスタートし、帯鋸刃Bが急降してワークの切削が行なわれることになる。
ステップS11でリミットスイッチ33がONしていれば、ステップS17に進む。なお、この際、送りバイス9でワークWを長さL1だけ送ったとする。ステップS17で本体バイス7でワークWをクランプした後、送りバイス9をアンクランプさせる。
ステップS18で、送りバイス9により自動送材し原点位置へ持っていく。ステップS19で送りバイス9が(L0+切込-L1)だけ後退して位置決めする。すなわち、ソレノイドSOL1がONする。ステップS20で送りバイス9でワークWをクランプした後、本体バイス7からワークWをアンクランプする。ステップS21で送りバイス9を前進(ソレノイドSOL2をON)させて、ステップS11の手前に戻ることになる。
このように、送りバイス9でワークWをクランプして原点位置出しおよび位置決めを行なうことができる。位置決めの際、送り長さが足りなければ通常の度数送りを行なう。而して、ワークを搬入し送りバイス9でクランプした時点から先端出し、切削スタートまで全て自動で行なうことができ、さらにワークの先端出しの精度が従来に比べて非常によく、かつ省人化を図ることができる。
なお、この発明は、前述した実施例に限定されることなく、適宜の変更を行なうことにより、その他の態様で実施し得るものである。本実施例ではストッパプレート31に当接したことを検出する方法としてエンコーダ23で検出しているが、第11図(A),(B)に示したように、微小変位のリミットスイッチ83やロードセル85で検出しても構わない。
[発明の効果]
以上のごとき実施例の説明より理解されるように、要するに本発明は、切断位置の一側に、切断すべきワーク(W)を把持自在の本体バイス(7)を設け、前記ワーク(W)の送材作用を行う送りバイス(9)を、前記本体バイス(7)に対して接近離反する方向へ往復動可能に設けてなる切断装置において、前記送りバイス(9)によってワーク(W)を保持して本体バイス(7)に近接する方向へ送材するとき、ワーク(W)の先端部を当接して位置決めするためのストッパ(31)を前記本体バイス(7)における移動バイスジョー(7M)に設けてなるものである。
上記構成より明らかなように、本発明においては、送りバイス9によってワークWを保持して本体バイス7に近接する方向へ送材するとき、ワークWの先端部を当接して位置決めするためのストッパ31を前記本体バイス7における移動バイスジョー7Mに設けた構成であるから、ワークWの先端位置決めの際には本体バイス7における移動バイスジョー7Mを閉じておけば良く、ワークWの先端位置決め後には、ワークWを把持すべく本体バイス7における移動バイスジョー7Mを開くと、ストッパ31がワークWの搬送路から退避するものである。
すなわち本発明においては、本体バイス7における移動バイスジョー7Mが、ワークWの先端位置決め時のストッパをも兼ねるものであり、別個にストッパ等を格別に設ける必要がなく、構成がより簡単になるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明を実施する切断機としての横型帯鋸盤の平面図、第2図は第1図における側面図、第3図〜第9図はこの実施例の動作を説明する説明図、第10図はこの実施例の動作を説明するフローチャート、第11図の(A),(B)はストッパプレートを検出する装置の他の実施例を示す図である。
1…横型帯鋸盤(切断機) 3…切断加工部 7…本体バイス
9…送りバイス 13…送りシリンダ 23…エンコーダ
31…ストッパプレート(ストッパ部材) 33…リミットスイッチ
 
訂正の要旨 訂正の要旨
ア.訂正事項a
明りょうでない記載の釈明を目的として、平成9年9月5日付け全文補正明細書第6頁第14〜16行における「か、又は本体バイス7における移動バイスジョー7Mに取付けられた前進端リミットスイッチ33で送りバイス9の前進端位置を検出し、この位置をワークWの先端位置の原点位置とする」との記載を削除。
イ.訂正事項b
明りょうでない記載の釈明を目的として、平成9年9月5日付け全文補正明細書第8頁第20〜末行における「また、本実施例ではストッパプレート31を本体バイス7における移動バイスジョー7Mの側壁に設けたが、前バイスに設けてもよく、かつ送材時に逃げ構造を持ったストッパプレート31でもよい。例えばスイング又はリフトによるシリンダで行うとよい。さらに、ストッパプレート31を設けずに本体バイス7そのものをストッパプレート31と兼用してもよい。さらに、前バイスを移動方式として、前バイスにストッパプレート31を取付け(この場合、前バイスと本体バイスは同意儀とする)、前バイスの移動量を検出するエンコーダ又はリニアスケールにて原点位置出しおよび切断寸法出しを行なうようにしてもよい。また、前バイス自体を動かない構造としてストッパプレート31と兼用してもよい。」との記載を削除。
異議決定日 2002-05-08 
出願番号 特願平1-28691
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B23D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 村山 睦  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 宮崎 侑久
高山 芳之
登録日 2000-09-01 
登録番号 特許第3104793号(P3104793)
権利者 株式会社アマダ
発明の名称 切断装置  
代理人 白石 吉之  
代理人 三好 秀和  
代理人 田中 秀佳  
代理人 江原 省吾  
代理人 城村 邦彦  
代理人 三好 秀和  

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