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審決分類 審判 全部申し立て 1項1号公知  B24B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B24B
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B24B
管理番号 1062856
異議申立番号 異議2002-70748  
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-05-14 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-03-22 
確定日 2002-08-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第3212813号「内面研削盤及びその研削方法」の請求項1乃至3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3212813号の請求項1乃至3に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第3212813号の請求項1乃至3に係る発明(以下「本件発明1乃至3」という。)についての出願は、平成6年10月24日に特許出願され、平成13年7月19日にその発明について特許権の設定の登録がされ、その後、平成14年3月22日に特許異議申立人平岡和子より請求項1乃至3に係る特許に対して特許異議の申立てがされたものである。
2 特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件発明1乃至3は、設定登録時の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載された次のとおりのものであると認められる。
「【請求項1】 ワークに形成されたストレート孔の内周面と、該ストレート孔に対して所定の位置精度で形成された略円錐状のシート面とを研削する内面研削盤において、
前記ストレート孔の内周面を研削する円筒面と前記シート面を研削する円錐面とを有する研削砥石を前記ストレート孔の軸芯方向に往復移動させる直行テーブルと、
前記研削砥石を前記シート面の傾斜方向に移動させる斜行テーブルとを備え、
前記直行テーブルの駆動により研削砥石の円筒面でストレート孔を研削する場合には、前記斜行テーブルにより切込送りを与える一方、前記斜行テーブルにより研削砥石の円錐面でシート面を研削する場合には、前記直行テーブルにより切込送りを与えることを特徴とする内面研削盤。
【請求項2】 前記斜行テーブルは、研削砥石を、その円錐面が前記シート面の傾斜方向に合致するように回動可能であることを特徴とする請求項1に記載の内面研削盤。
【請求項3】 ワークに形成されたストレート孔の内周面と、該ストレート孔に対して所定の位置精度で形成された略円錐状のシート面とを研削する内面研削方法において、
前記ストレート孔の内周面を研削する円筒面と前記シート面を研削する円錐面とを有する研削砥石をシート面の傾斜方向に移動させて切込み送りを与えながらストレート孔の軸芯方向に往復移動させることにより、ストレート孔の内周面を研削する第1研削工程と、
前記研削砥石をストレート孔の軸芯方向に移動させて切込み送りを与えながらシート面の傾斜方向に往復移動させることにより、シート面を研削する第2研削工程と、
からなることを特徴とする内面研削方法。」
(2)特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立人平岡和子は、証拠として、甲第1号証(本件特許出願の日前の特許出願であって、本件特許出願後に発行された特開平7-148661号公報)及び甲第2号証(実願平4-2409号(実開平5-60765号)のCD-ROM)を提出し、本件発明1及び3は、甲第1号証に従来の技術として記載されている技術的思想であるから、特許法第29条第1項1号に規定する発明に該当し、また、本件発明2は、甲第2号証に記載された発明と同様のものであり、特許法第29条第1項3号に規定する発明であるか、又は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、請求項1乃至3に係る特許は、取り消されるべきものである旨主張している。
(3)甲第1,2号証
ア 甲第1号証には、
a「【0002】
【従来の技術】・・・図3は、例えば、自動車の燃料噴射ノズル等の内面研削を行う場合の砥石10と工作物12とを拡大して表したものである。
【0004】図3に示すような形状の工作物12において、斜線で示すように傾斜した被研削面14を研削する場合、砥石10を矢印Aで示すように被研削面14と平行に、振幅が小さくかつ速い速度で往復動(以下、これを「オシレーション」という)させながら矢印Bで示す切り込み送り方向に移動させて研削を行う。」(第1欄第19-36行)と記載され、
b 図3に、ストレート孔の内周面と略円錐状の被研削面14とが形成された工作物12の被研削面14を、オシレーションを伴う内面研削で研削する場合の砥石10と工作物12とを示した説明図が示されていると認められる。
イ 甲第2号証には、
「また、上記テーブル2の前面には分度器型の目盛り盤3を介してワーク用スピンドルユニット4が一体に配設されており、このスピンドルユニット4は、上記X軸線及びY軸線からなる平面上において、Y軸線を基準の0度とし、そこから所定の角度で傾いた位置に位置決め固定されるよう構成されている。」(第6頁第11-14行(段落【0012】))と記載されていると認められる。
(4)当審の判断
ア 本件発明1及び3について
甲第1号証には、前記(3)アのとおりの技術的事項が従来の技術として記載されているが、これは、前記技術的事項が単に従来の技術として記載されているにすぎないものであって、前記技術的事項が甲第1号証に係る特許出願前に公然知られた発明であるということにはならず、また、前記技術的事項が、本件特許出願前に公然知られた発明であることについて、何ら証拠が示されていないのであるから、甲第1号証に従来の技術として記載されている前記技術的事項が、本件特許出願前に公然知られた発明であるとすることはできない。
したがって、本件発明1及び3は、特許法第29条第1項1号に規定する発明に該当するものであるという異議申立人の主張は採用できない。
イ 本件発明2について
本件発明2は、前記2(1)で認定したとおり、本件発明1を引用し、さらに、「前記斜行テーブルは、研削砥石を、その円錐面が前記シート面の傾斜方向に合致するように回動可能である」という限定事項を加えたものであり、仮に、甲第2号証に前記限定事項が記載されているとしても、甲第2号証には、本件発明1の内面研削盤の構成について記載も示唆もされていないのであるから、本件発明2は、甲第2号証に記載された発明である、又は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。
したがって、本件発明2は、特許法第29条第1項3号に規定する発明であるか、又は、甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるという異議申立人の主張は採用できない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1乃至3に係る特許は、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては取り消すことができず、また、他に取消しの理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-07-18 
出願番号 特願平6-257996
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B24B)
P 1 651・ 113- Y (B24B)
P 1 651・ 111- Y (B24B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田村 耕作  
特許庁審判長 小池 正利
特許庁審判官 宮崎 侑久
高山 芳之
登録日 2001-07-19 
登録番号 特許第3212813号(P3212813)
権利者 トーヨーエイテック株式会社
発明の名称 内面研削盤及びその研削方法  
代理人 青山 葆  
代理人 前田 厚司  
代理人 古川 泰通  

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