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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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審判199911343 | 審決 | 特許 |
審判19935910 | 審決 | 特許 |
審判199715350 | 審決 | 特許 |
審判19967530 | 審決 | 特許 |
審判199715352 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 延長登録 特許、登録しない。 C07D |
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管理番号 | 1064203 |
審判番号 | 審判1997-15353 |
総通号数 | 34 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2002-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1997-09-12 |
確定日 | 2000-10-19 |
事件の表示 | 平成8年特許権存続期間延長登録願第700025号「複素環式化合物」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
特許第1720916号は、昭和60年1月25日(パリ条約による優先権主張1984年1月25日及び1984年10月15日、イギリス国)に出願され、平成3年12月17日に出願公告されて平成4年12月24日に設定登録されたものであって、その特許発明の要旨は、出願公告された明細書の記載からみて、その特許請求の範囲第1項、第10項、第11項、第12項、第13項及び第15項に記載の次のとおりのものと認める。 「1.下記一般式(I)の化合物、ならびに該化合物の生理学的に容認される塩および溶媒和物からなる群から選ばれる複素環式化合物。 ![]() ここに、R1は水素原子、またはC1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、C3〜6アルケニル、フエニルまたはフエニル-C1〜3アルキルを表わし、R2,R3およびR4にて表わされる群の一つは水素原子またはC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはフエニル-C1〜3アルキルであり、そして他の二つの群はそれぞれ同一または異別であることができて水素原子またはC1〜6アルキル基を表す。 10.下記一般式(I)の化合物または該化合物の生理学的に容認される塩もしくは溶媒和物の製造法であつて: ![]() [ここに、R1は水素原子、またはC1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、C3〜6アルケニル、フエニルまたはフエニル-C1〜3アルキルを表わし、R2,R3およびR4にて表わされる群の一つは水素原子またはC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはフエニル-C1〜3アルキルであり、そして他の二つの群はそれぞれ同一または異別であることができて水素原子またはC1〜6アルキル基を表わす。] 一般式(II)の化合物: ![]() (ここにR1は上記の定義の通りでありそしてYはメチレン基または基CH2Z(ここで、Zはハロゲン原子;アシルオキシ基;-N+R5R6R7X-基(ここで、R5、R6およびR7は同一または異なっていてよく、それぞれ低級アルキル、アリルまたはアラルキルを表わし、あるいはR5およびR6はそれらが結合している窒素原子と共に5または6員環を形成してよく、Xはアニオンを表わす);または基NR5R6(ここでR5とR6は上記の通りである))を表わす)または該化合物の保護された誘導体を、一般式(III)のイミダゾール ![]() (ここにR2,R3およびR4は上記の定義の通りである)または該化合物の塩と反応させ、 式(I)の化合物がエナンチオマーの混合物として得られるときには必要に応じてこの混合物を分割して所望エナンチオマーを得、 および(または)式(I)の化合物が遊離塩基の場合に必要に応じて該遊離塩基を塩に転換することを特徴とする方法。 11.下記一般式(I)の化合物または該化合物の生理学的に容認される塩もしくは溶媒和物の製造法であつて: ![]() [ここに、R1は水素原子、またはC1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、C3〜6アルケニル、フエニルまたはフエニル-C1〜3アルキルを表わし、R2,R3およびR4にて表わされる群の一つは水素原子またはC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはフエニル-C1〜3アルキルであり、そして他の二つの群はそれぞれ同一または異別であることができて水素原子またはC1〜6アルキル基を表わす。] 一般式(IV)の化合物: ![]() (ここにAは水素原子またはヒドロキシル基を表わし、そしてR1、R2,R3またはR4は上記の定義の通りである)または該化合物の塩または保護された誘導体を酸化し、 式(I)の化合物がエナンチオマーの混合物として得られるときには必要に応じてこの混合物を分割して所望エナンチオマーを得、 および(または)式(I)の化合物が遊離塩基の場合に必要に応じて該遊離塩基を塩に転換することを特徴とする方法。 12.下記一般式(I)の化合物または該化合物の生理学的に容認される塩もしくは溶媒和物の製造法であつて: ![]() [ここに、R1は水素原子、またはC1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、C3〜6アルケニル、フエニルまたはフエニル-C1〜3アルキルを表わし、R2,R3およびR4にて表わされる群の一つは水素原子またはC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはフエニル-C1〜3アルキルであり、そして他の二つの群はそれぞれ同一または異別であることができて水素原子またはC1〜6アルキル基を表わす。] 前記式(I)の化合物または該化合物の塩または保護された誘導体を式(I)の他の化合物に転換させ、 式(I)の化合物がエナンチオマーの混合物として得られるときには必要に応じてこの混合物を分割して所望エナンチオマーを得、 および(または)式(I)の化合物が遊離塩基の場合に必要に応じて該遊離塩基を塩に転換することを特徴とする方法。 13.下記一般式(I)の化合物または該化合物の生理学的に容認される塩もしくは溶媒和物の製造法であつて: ![]() [ここに、R1は水素原子、またはC1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、C3〜6アルケニル、フエニルまたはフエニル-C1〜3アルキルを表わし、R2,R3およびR4にて表わされる群の一つは水素原子またはC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはフエニル-C1〜3アルキルであり、そして他の二つの群はそれぞれ同一または異別であることができて水素原子またはC1〜6アルキル基を表わす。] 前記式(I)の化合物の保護された形態から保護基を除去し、 式(I)の化合物がエナンチオマーの混合物として得られるときには必要に応じてこの混合物を分割して所望エナンチオマーを得、 および(または)式(I)の化合物が遊離塩基の場合に必要に応じて該遊離塩基を塩に転換することを特徴とする方法。 15.下記の一般式(I)の少くも一種類の化合物または該化合物の生理学的に容認される塩または溶媒和物を、少くも一種類の生理学的に容認される担体または賦形剤と共に含んでなる、神経単位の5HTリセプター拮抗剤組成物。 ![]() ここに、R1は水素原子、またはC1〜10アルキル、C3〜7シクロアルキル、C3〜6アルケニル、フエニルまたはフエニル-C1〜3アルキルを表わし、R2,R3およびR4にて表わされる群の一つは水素原子またはC1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C2〜6アルケニルまたはフエニル-C1〜3アルキルであり、そして他の二つの群はそれぞれ同一または異別であることができて水素原子またはC1〜6アルキル基を表わす。」 これに対する本件特許権存続期間の延長登録出願(以下、本件出願という。)は、本件出願の願書の記載、延長の理由の記載及び処分を受けたことを証明する添付資料からみて、特許発明の実施について特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったその政令で定める処分として、以下に示す内容の物に特定するものであると認められる。 ▲1▼延長登録の理由となる処分 薬事法第14条第1項に規定する医薬品に係る同条第4項の承認 ▲2▼処分を特定する番号 承認番号(06AM)第0022号 処分を受けた日:平成8年1月31日 ▲3▼処分の対象となった物 一般的名称 塩酸オンダンセトロン 化 学 名 1,2,3,9-テトラヒドロ-9-メチル-3-[(2-メチル-1H-イミダゾル-1-イル)メチル]-4H-カルバゾル-4-オン塩酸塩(本化合物は3-[(ジメチルアミノ)メチル]-1,2,3,9-テトラヒドロ-9-メチル-4H-カルバゾ-ル-4-オンの別称で医薬品製造承認事項一部変更承認書中に記載されている) ▲4▼処分の対象となった物について特定された用途 抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)に対する本医薬品の、小児への適用 本件出願に対する原審の拒絶理由は、「塩酸オンダンセトロンを有効成分とし、抗悪性腫瘍剤(シスプラスチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)を効能・効果とする医薬については、本願に係る承認前である平成6年1月19日付で、承認番号(06AM)第0022号として承認されており、本願に係る承認が、当該有効成分及び効能・効果について最初に承認されたものとは認められないから、この出願の特許発明の実施に前記処分を受けることが必要であったものとは認められない。したがって、この出願に係る特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないから、この出願は特許法第67条の3第1項第1号に該当する。」(平成8年12月2日付け拒絶理由通知)というものであり、請求人の、本願に係る一部変更承認前にされた原承認においては成人に限るものであったのに対し、本願に係る承認においては小児をも適用対象とするものであるから、両承認は適用対象において相違する、という主張に対しては「適用対象は上記処分における用法及び容量に関するものであって、本願に係る用途(効能・効果)に使用する物については、医薬品製造承認(06AM)第0022号の処分によって特許発明の実施ができることとなっていたものであるから、有効成分及びその効能・効果が同一である本願に係る医薬品製造承認一部変更承認(06AM)第0022号を受けることが特許発明の実施に必要であったものとは認められない。」(昭和62年12月特許庁発行、「改善多項制及び特許権の存続期間の延長制度に関する運用基準」、33頁末行〜34頁7行、及び下から7〜5行等参照)(平成9年5月26日付け拒絶査定)というにある。 これに対し、本件特許権者たる請求人は、本願に係る一部変更承認前にされた原承認の(06AM)第0022号の医薬品製造承認は、塩酸オンダンセトロンについて、その適用対象を成人に限るものであるのに対して、本願に係る医薬品製造承認事項一部変更承認(06AM)第0022号の承認は、塩酸オンダンセトロンについて、その適用対象を小児とするものであり、それ故に、成人を適用対象とする医薬品製造承認があったところで、小児を適用対象としてこの医薬品を投与することはできなかったのであるから、小児を適用対象とする医薬品としての本件特許発明の実施には、本願に係る医薬品製造承認処分を受けることが必要であったことは明白であり、この医薬品製造承認処分があってはじめて小児を適用対象とする医薬品としての本件特許発明の実施が可能となったものであるから、本件特許権の特許期間が侵食されていたので、特許期間の延長によってその発明の保護が図られるべきものに相当する、と主張する。 そこで、存続期間を延長されるべき「特許発明の実施」といえるための要件について以下に検討する。 存続期間が延長された場合の特許権の効力を規定した特許法第68条の2が「特許権の存続期間が延長された場合(中略)の当該特許権の効力は、その延長登録の理由となった第67条第2項の政令で定める処分の対象となった物(その処分においてその物の使用される特定の用途が定められている場合にあっては、当該用途に使用されるその物)についての当該特許発明の実施以外の行為には、及ばない。」と規定していることを考慮すると、その延長登録が認められるためには、政令で定める当該処分の範囲と延長登録出願の対象である特許発明の範囲とが重複していることが必要であり、かつ同じ物及び同じ用途に使用されるものに特許期間の延長効果を何回も付与することは避けなければならないから、既に別の同様な処分を受けたことによってその特許発明の実施をすることができるようになっていないことが必要である。 したがって、同じ物を同じ用途に使用する場合には、その使用形態等の変更のため重ねて政令で定める処分が必要とされる場合であっても、そのことを理由に特許期間の登録延長は認められないというべきである。 これをいわゆる医薬特許についてみると、特許法第67条第2項の規定する政令(特許法施行令第1条の3の2号)に基づく薬事法第14条第1項及び第4項の規定する医薬品の製造、輸入等の承認は、当該医薬品の有効成分、効能・効果のみならず、剤形、用法,用量等を特定した品目単位で行われているが、その記載内容からみて当該医薬品の有効成分、効能・効果が明らかにされており、これによって特許発明の実施を特定するために必要なその物及び用途が特定されるから、最初に当該処分を受けた後、当該医薬品の有効成分、効能・効果以外の剤形、用法、用量等の変更の必要上、再度処分を受ける必要が生じたとしても、後の処分によって特許期間の登録延長を認めることはできないというべきである。 これを本件についてみると、本件特許発明は、本件出願に係る処分の対象となった化合物(一般的名称:塩酸オンダンセトロン;化学名:1,2,3,9-テトラヒドロ-9-メチル-3-[(2-メチル-1H-イミダゾル-1-イル)メチル]-4H-カルバゾル-4-オン塩酸塩)を包含する化合物に係る発明(特許請求の範囲第1項)及び該化合物を含む化合物の製造法に係る発明(特許請求の範囲第10項、第11項、第12項及び第13項)であるが、本件特許権の専用実施権者である日本グラクソ株式会社は、塩酸オンダンセトロンの抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)の効能・効果について、平成6年1月19日付けで適用対象を成人に限るものとして薬事法による承認を受け、次いで平成8年1月31日付けで適用対象を小児にまで広げるものとして本件延長登録出願に係る処分である薬事法による一部変更承認を受けていることが明らかである。 してみると、本件延長登録出願は、同出願において示す処分の範囲と本件特許権の範囲とが上述のとおり重複していることは明らかであるが、本件特許発明の実施については、塩酸オンダンセトロンの効能・効果を抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)とし、適用対象を成人とするものについてすでに政令で定める処分を受けているのであるから、本件特許発明が実施されていることになり、有効成分が同じでありその効能・効果が同じ抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)である以上、適用対象を小児とし、先に処分を受けた成人とは異なる適用対象であることにより、その実施(生産、使用、譲渡等)につき薬事法が規定する処分をあらためて受ける必要があったとしても、本件延長登録願をもって、延長登録の要件を満たすものということはできない。 したがって、この出願に係る特許発明の実施に特許法第67条第2項の政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められないから、この出願は特許法第67条の3第1項第1号に該当する。 よって、結論のとおり決定する。 |
審理終結日 | 1998-07-03 |
結審通知日 | 1998-07-14 |
審決日 | 1998-07-24 |
出願番号 | 特願平8-700025 |
審決分類 |
P
1
8・
7-
Z
(C07D)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 冨永 保 |
特許庁審判長 |
加藤 孔一 |
特許庁審判官 |
谷口 浩行 深津 弘 |
登録日 | 1992-05-29 |
登録番号 | 特許第1720916号(P1720916) |
発明の名称 | 複素環式化合物 |
代理人 | 西村 公佑 |
代理人 | 佐藤 辰男 |
代理人 | 高木 千嘉 |