• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない B21D
管理番号 1064905
審判番号 無効2000-35572  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1982-10-12 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-10-19 
確定日 2001-09-07 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第1583708号発明「電動式パイプ曲げ装置」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第1583708号に係る発明(以下「本件発明」という。)は、昭和57年3月16日(パリ条約による優先権主張1981年3月16日、イタリヤ国、1981年11月12日、イタリヤ国、及び1982年2月8日、イタリヤ国)の出願であって、平成2年10月22日に設定登録がなされ、これに対して、平成10年6月11日に本件請求人より無効審判(平成10年審判第35268号)の請求がなされ、平成11年9月13日に訂正の請求がなされ、平成12年5月9日に「訂正を認める。本件審判の請求は成り立たない。」とする審決がなされ、この審決は確定した。
これに対して、請求人より平成12年10月17日に本件無効審判の請求がなされ、平成13年5月11日付けの口頭審理において無効理由が通知され、その指定期間内である平成13年6月7日付け訂正請求書により、明細書の訂正が請求された。
2.審判請求人の主張
請求人は、下記の甲第1号証、甲第2号、参考資料1及び参考資料2を提出し、平成12年10月17日付け審判請求書、平成13年5月11日付け口頭審理調書、及び平成13年6月11日付け弁駁書において、本件発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、無効とすべきものである旨主張している。

甲第1号証:実願昭50-82565号(実開昭51-161442号)のマイクロフィルム
甲第2号証:特開昭55-136519号公報
参考資料1:特公昭55-6007号公報
参考資料2:特開昭55-5180号公報
3.無効理由の内容
本件特許は、その請求の範囲の記載が、発明の詳細な説明の記載、特に平成11年9月13日付け訂正請求書に添付された全文訂正明細書の第7頁第14行目から第8頁3行目、第10頁第9行目から23行目の記載と対応しないから、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、無効にすべきである。
4.訂正請求について
(1)訂正請求の内容
訂正請求は、平成11年9月13日付け訂正請求書に添付された明細書(以下、「特許明細書」という。)を訂正請求書に添付した訂正明細書の通りに訂正することを求めるものであり、その訂正の内容は次のとおりのものである。
特許請求の範囲第1項について
「パイプの曲げ開始点が、曲げ開始時に前記ベンディングダイ(118,218)の送出側端よりも送入側ガイド部(C,245)側に位置し、パイプの曲げが行われるときにパイプとベンディングダイ(118,218)の送出側端との接触が送出側ガイド部(118a,246)に沿って徐々に進行するように構成されていること」を付加する訂正をする。
(2)訂正の可否に対する判断
訂正事項について検討すると、上記訂正は、特許明細書の特許請求の範囲第1項において、ベンディングダイの送出側ガイド部の構成を「パイプの曲げ開始点が、曲げ開始時に前記ベンディングダイ(118,218)の送出側端よりも送入側ガイド部(C,245)側に位置し、パイプの曲げが行われるときにパイプとベンディングダイ(118,218)の送出側端との接触が送出側ガイド部(118a,246)に沿って徐々に進行するように構成されていること」と機能的に限定するものであるから、上記訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、この限定は、特許明細書の第7頁第14行〜第8頁第3行、及び第10頁第9〜23行の記載に基づくものであり、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものでもない。
したがって、平成13年6月7日付けの訂正請求は、平成6年法律第116号による改正前の特許法第134条第2項ただし書き及び同法第134条第5項で準用する特許法第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。
5.本件特許発明に対する判断
(1)本件発明
本件発明の要旨は、平成13年6月7日付けで訂正された訂正明細書及び平成11年9月13日付けで訂正された図面からみて、その特許請求の範囲第1項に記載された次のとおりのものと認める。
「パイプを曲げるための電動式パイプ曲げ装置であって、
本体(111,211)と、
その本体に設けられたモータと、
そのモータの回転を減速する減速機と、
曲げ曲線に対応する曲げ外周面を有してその中心部で前記減速機の出力軸(112)に固定され、かつその曲げ外周面に沿ってパイプの曲げ断面に対応する保持溝(114,214)が形成された回転フォーマ(113,213)と、
その回転フオーマとの間でパイプを挟むように定位置に設置され、かつ前記回転フォーマの保持溝にほぼ対向してパイプを軸方向に滑らせつつ案内するガイド溝(50,260)を有するベンディングダイ(118,218)と、
そのベンディングダイを前記回転フォーマに対してパイプ径に対応する所定位置に位置させるベンディングダイ支持機構(124,224)と、
前記回転フォーマの外周部に設けられてパイプの曲げ開始部近傍を保持し、その回転フォーマの回転時にパイプを回転フォーマと一体的に保つパイプホルダ(122,222) とを含み、前記ベンディングダイ(118,218)のガイド溝(50,260)が、パイプの送り方向に沿って延びており、かつそのガイド溝が、パイプ送入側の端部に形成された送入側ガイド部(C,245)と、パイプ送出側の端部に形成された送出側ガイド部(118a,246)と、それらの中間においてパイプに対し接触することなく一定のクリアランスを有して対向する逃がし部(118b,248)とを有し、かつその送出側ガイド部の溝底が送出側端に向って漸次パイプに近づくように形成されていて、パイプの曲げ開始点が、曲げ開始時に前記ベンディングダイ(118,218)の送出側端よりも送入側ガイド部(C,245)側に位置し、パイプの曲げが行われるときにパイプとベンディングダイ(118,218)の送出側端との接触が送出側ガイド部(118a,246)に沿って徐々に進行するように構成されていることを特徴とする電動式パイプ曲げ装置。」
(2)証拠
成立に争いのない甲各号証には、以下の事項が記載されている。
(1)甲第1号証
ア.「本案は金属管又は金属棒を任意の形体に簡単且正確に曲げる装置に関し、回転弧状盤(1)上に被加工金属管棒を圧接するガイドローラ(2)を配設し、回転弧状盤(1)及びガイドローラ共に取替自在としたものである。而して図中(3)は被加工金属管棒、(4)は加工材の末端保持具、(5)はモーター、(6)は減速器、(7)はストッパー、(8)はVベルト、(9)は回転弧状盤(1)に設けた被加工材を通す溝とする。
本案は上記のような構造であるがその作用を述べるに、被加工材(4)を回転弧状盤(4)の溝(9)に通し、上方よりガイドローラ(2)により押圧して回転弧状盤(1)を回転すれば、被加工材の金属管棒(3)は溝(9)とガイドローラ(2)により上下左右を挟まれ、安定した状態と強圧により回転弧状盤(1)の回転に伴い、その弧状盤に沿うて極めて容易に確実な曲成がなされるものである。」(第1頁第10行〜第2頁第11行)
イ.モーター(5)は本体に設けられていること、ガイドローラ(2)は、ガイド溝を有していて、ガイドローラ支持機構によりパイプの曲げ開始点に設置されていること、及び末端保持具(4)は回転弧状盤(1)の外周部に設けられてパイプの曲げ開始部近傍を保持することものであること。(第1図参照)
そして、甲第1号証に記載された回転弧状盤(1)は、回転フォーマと、同じく加工材通入溝(9)は、保持溝と、同じく減速器(6)は減速機と、加工材末端保持具(4)はパイプホルダと、それぞれ表現し得るので、甲第1号証には、
パイプを曲げるための電動式パイプ曲げ装置であって、
本体と、
その本体に設けられたモータと、
そのモータの回転を減速する減速機と、
曲げ曲線に対応する曲げ外周面を有してその中心部で前記減速機の出力軸に固定され、かつその曲げ外周面に沿ってパイプの曲げ断面に対応する保持溝が形成された回転フォーマと、
その回転フォーマとの間でパイプを挟むように定位置に設置され、かつ前記回転フォーマの保持溝にほぼ対向してパイプを軸方向に案内するガイド溝を有するガイドローラと、
そのガイドローラを前記回転フォーマに対してパイプ径に対応する所定位置に位置させるガイドローラ支持機構と、
前記回転フォーマの外周部に設けられてパイプの曲げ開始部近傍を保持し、その回転フォーマの回転時にパイプを回転フォーマと一体的に保つパイプホルダとを含み、
ガイドローラは、パイプの曲げ開始点に位置している電動式パイプ曲げ装置が記載されているものと認められる。
(2)甲第2号証
ア.「金属管の曲げ装置であって、管の曲げ半径(R1 )を決定する溝を外周に有しかつ該溝には管を溝に対して接線方向に保持するための対応受けを所属せしめた1つの扁平な円筒セグメントと、該円筒セグメントを中心にして同心的に旋回可能なレバーとから成り、該レバーが前記円筒セグメント軸に対して平行に延びる軸を有し、該軸に作業面を有する加圧片が配置されており、前記作業面が、前記の円筒セグメント軸と加圧片軸とに平行に延びる平面内で、半径(R0 )を有するほぼ半円形の凹面状横断面を有している形式のものに関する。」(第2頁左下欄第20行〜同頁右上欄第12行)
イ.「加工片の作業面はトーラス面又はトロイド面として構成されており、しかもトーラス面又はトロイド面の大半径(R2 )は管の曲げ半径(R1 )の2乃至10倍である。・・・(中略)・・・しかも加圧片の軸は加圧片の長手方向で僅かに偏心して配置され、これによって、管と協働する加圧片の両端は異なった長さの梃子腕(XとY)を形成する。・・・梃子腕(Y)が梃子腕(X)よりも短ければ、円筒セグメントにもっとも近く位置する加圧片の端縁の圧着力は、加圧片の反対の端部における圧着力よりも僅かに小であるので、加圧片は管に沿って一層容易に摺動する。」(第5頁左上欄第10行〜同頁右上欄第12行)
ウ.「第1図から判るように二又レバー28における加圧片30の長さと位置は、作業起点位置において一方の移行部Aが、管27に対して垂直にかつ円筒セグメントの軸14に対して半径方向に延びる平面E1 内に実質的に位置するように設計されている。他方の移行部Bは、円筒セグメント軸14に対してやはり半径方向に延びているが前記平面E1 と45°の角度αを成す平面E2 内に位置している。・・・(中略)・・・二又レバー28に対して時計回り方向で比較的大きな力を加えると直ちに加圧片30は管27に沿って滑り始めて該管を溝11内へ曲げ始める。約70°の旋回角に二又レバー28を旋回させると、二又レバー28及び加圧片30は鎖線位置28’,30’に達する。この場合第1図から判るように端面33’は、円筒セグメント10の軸14に対して実質的に半径方向を維持している。」(第6頁左下欄第8〜同頁右下欄第16行)
エ.「加圧片乃至滑りシューを管に対して相対的に円筒セグメント軸を中心として動かす」(第3頁右下欄第12〜14行)
オ.加圧片のほぼ半円形の凹面状横断面を有する作業面が、パイプに対する相対的な送り方向に沿って延びており、かつそのガイド溝が、パイプに対する相対的な送入側の端部に形成された移行部Bと、パイプに対する相対的な送出側の端部に形成された移行部Aと、それらの中間においてパイプに対し接触することなく一定のクリアランスを有して対向する逃がし部とを有するように形成されていて、パイプに対する作業起点が、曲げ開始時に前記加圧片の送出側端に位置するように構成されていること。(FIG.1及び第4頁右下欄第10〜14行参照)
甲第2号証に記載された円筒セグメント10及びその外周に形成された溝は、回転フォーマ及びその外周に形成された保持溝と、同じく加圧片30及びこの加圧片に形成されたほぼ半円形の凹面状横断面を有する作業面は、ベンディングダイ及びこのベンディングダイに形成されたガイド溝と、同じく対応受け24は、パイプホルダと、同じくパイプに対する作業起点は、パイプの曲げ開始点と表現し得るので、甲第2号証には、
パイプを曲げるためのパイプ曲げ装置であって、
曲げ曲線に対応する曲げ外周面を有して、かつその曲げ外周面に沿ってパイプの曲げ断面に対応する保持溝が形成された回転フォーマと、
その回転フォーマを中心にして同心的に旋回可能なレバーとから成り、そのレバーが前記回転フォーマ軸に対して平行に延びる軸を有し、該軸に回転フォーマとの間でパイプを挟むように設置され、かつ前記回転フォーマの保持溝にほぼ対向してパイプを軸方向に滑らせつつ案内するガイド溝を有するベンディングダイと、
前記回転フォーマの外周部に設けられてパイプの曲げ開始部近傍を保持し、前記ベンディングダイをパイプに対して回転フォーマの軸を中心として旋回せしめるときに、パイプを回転フォーマと一体的に保つパイプホルダと、
前記ベンディングダイのガイド溝が、パイプに対する相対的な送り方向に沿って延びており、かつそのガイド溝が、パイプに対する相対的な送入側の端部に形成された移行部Bと、パイプに対する相対的な送出側の端部に形成された移行部Aと、それらの中間においてパイプに対し接触することなく一定のクリアランスを有して対向する逃がし部とを有し、パイプの曲げ開始点が、曲げ開始時に前記ベンディングダイの相対的な送出側端に形成された移行部Aに位置するように構成されているパイプ曲げ装置が記載されているものと認める。
(3)対比・判断
本件発明と甲各号証に記載された発明とを対比すると、
甲各号証に記載された発明は、いずれも本件発明の必須の構成である「ベンディングダイ(118,218)のガイド溝(50,260)が、パイプの送り方向に沿って延びており、かつそのガイド溝が、パイプ送入側の端部に形成された送入側ガイド部(C,245)と、パイプ送出側の端部に形成された送出側ガイド部(118a,246)と、それらの中間においてパイプに対し接触することなく一定のクリアランスを有して対向する逃がし部(118b,248)とを有し、かつその送出側ガイド部の溝底が送出側端に向って漸次パイプに近づくように形成されていて、パイプの曲げ開始点が、曲げ開始時に前記ベンディングダイ(118,218)の送出側端よりも送入側ガイド部(C、245)側に位置し、パイプの曲げが行われるときにパイプとベンディングダイ(118,218)の送出側端との接触は送出側ガイド部に沿って徐々に進行するように構成されていること」を備えておらず、また、該構成が示唆されているものでもない。そして、該構成を具備することにより本件発明は、「パイプがベンディングダイを滑りつつ通過する際に、パイプの曲げ行程がベンディングダイの送出側ガイド部の溝底に沿って徐々に進行するので、パイプに対しほぼ弾性域内において適切な引張応力が与えられつつ、曲げ成形される。その結果、薄肉パイプであっても、曲げの外側が過度に伸ばされて薄肉になったり、内側が過度に圧縮されてシワになったり、あるいはパイプ断面が扁平になったりすることがほとんどなく、良好にかつスピーデイに曲げ加工を行うことができる。」という明細書に記載された格別の作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明は、甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
なお、請求人が提出した参考資料2(特開昭55-5180号公報)に記載されたベンディングダイ(押し型19)は曲げが行われるときにパイプと共に直線動するものであってパイプを滑らせつつ案内するものでなく、また、そのガイド溝がパイプの送り方向に沿って直線状に延びており、第2図に示された状態では送出側端がパイプから離れていて接触するものでなく、また、参考資料1(特公昭55-6007号公報)に記載されたベンディングダイ(ダイス2)のガイド溝(溝6)の送出側ガイド部の形状は不明であり、第1図に示されたパイプホルダ(クランプ3)のベンディングダイ側端面が回転フォーマの径方向に延びる平面上に位置している以上、ベンディングダイは曲げ開始時にはベンディングダイの送出側端は略曲げ開始点にあって、曲げが行われるときにパイプと共に直線動するものと解されることから、これらからパイプの曲げ開始点が、曲げ開始時に前記ベンディングダイの送出側端よりも送入側ガイド部側に位置させることが周知であったとすることはできない。
また、前記無効理由の通知で指摘された明細書の記載不備も訂正によって解消した。
(4)むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件発明の特許を無効とすることはできない。
また、審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
電動式パイプ曲げ装置
(57)【特許請求の範囲】
(1)パイプを曲げるための電動式パイプ曲げ装置であって、
本体(111,211)と、
その本体に設けられたモータと、
そのモータの回転を減速する減速機と、
曲げ曲線に対応する曲げ外周面を有してその中心部で前記減速機の出力軸(112)に固定され、かつその曲げ外周面に沿ってパイプの曲げ断面に対応する保持溝(114,214)が形成された回転フォーマ(113,213)と、
その回転フォーマとの間でパイプを挟むように定位置に設置され、かつ前記回転フォーマの保持溝にほぼ対向してパイプを軸方向に滑らせつつ案内するガイド溝(50,260)を有するベンディングダイ(118,218)と、
そのベンディングダイを前記回転フォーマに対してパイプ径に対応する所定位置に位置させるベンディングダイ支持機構(124,224)と、
前記回転フォーマの外周部に設けられてパイプの曲げ開始部近傍を保持し、その回転フォーマの回転時にパイプを回転フォーマと一体的に保つパイプホルダ(122,222)と
を含み、前記ベンディングダイ(118,218)のガイド溝(50,260)が、パイプの送り方向に沿って延びており、かつそのガイド溝が、パイプ送入側の端部に形成された送入側ガイド部(C,245)と、パイプ送出側の端部に形成された送出側ガイド部(118a,246)と、それらの中間においてパイプに対し接触することなく一定のクリアランスを有して対向する逃がし部(118b,248)とを有し、かつその送出側ガイド部の溝底が送出側端に向って漸次パイプに近づくように形成されていて、パイプの曲げ開始点が、曲げ開始時に前記ベンディングダイ(118,218)の送出側端よりも送入側ガイド部(C,245)側に位置し、パイプの曲げが行われる時にパイプとベンディングダイ(118,218)の送出側端との接触が送出側ガイド部(118a,246)に沿って徐々に進行するように構成されていることを特徴とする電動式パイプ曲げ装置。
(2)前記回転フォーマ(113,213),ベンディングダイ(118,218)及びパイプホルダ(122,224)がパイプ径に応じてそれぞれ交換可能である特許請求の範囲第1項記載の装置。
(3)前記ベンディングダイ(118,218)及びパイプホルダ(122,222)がパイプの異なる外径に対応できる汎用寸法の溝を有する特許請求の範囲第1項記載の装置。
(4)前記ベンディングダイ(118,218)を支持するベンディングダイ支持機構(124,224)が、そのベンディングダイを前記回転フォーマ(113,213)の回転軸と平行な軸線回りに回動可能に支持するようになっている特許請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の装置。
(5)前記ベンディングダイ(118,218)が前記ベンディングダイ支持機構(124,224)とパイプとの間に楔状に挿入され、パイプの送り込みにより挟圧された状態で保持されてパイプを案内する特許請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載の装置。
(6)前記ベンディングダイ支持機構(124,224)がスライダ(119,219)を備え、このスライダは前記本体(111,211)に形成されたガイド部(115,239)により前記回転フォーマ(113,213)に対して接近・離間可能に支持され、かつそのスライダと前記本体との間にそのスライダをパイプ径に応じた位置に位置決め固定するための固定手段(131,134:231,234)が設けられている特許請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の装置。
(7)前記ベンディングダイ支持機構(124,224)が、前記ベンディングダイ(118,218)及び回転自在なベンディングガイドローラを選択的に支持可能とされ、ベンディングダイの使用により主に薄肉パイプの曲げ加工が、またベンディングガイドローラの使用により主に厚肉パイプの曲げ加工が行なわれるようになっている特許請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野>
この発明はパイプを所定の曲率で曲げるパイプ曲げ装置に関し、特に、モータにより例えば半円状の回転フォーマを回し、この回転により回転フォーマの外周にパイプを巻き付けて湾曲させるパイプ曲げ装置に関するものである。
<従来の技術と解決課題>
この種のパイプ曲げ装置として、実開昭51-161442号公報に記載のものがある。これは回転弧状盤にパイプの端部を保持させ、かつこのパイプを2個のガイドローラで回転弧状盤の側に押付けつつ、回転弧状盤を回転させることによりそれの外周にパイプを巻付けて曲げるものである。
「橋本 明著:プレス曲げ加工(第10版)発行:日刊工業新聞社 昭和48年3月30日」の第156頁〜第157頁には、3個のロールによりパイプ断面に対応する孔型を構成し、その3個のロールでパイプを曲げる孔型ロール曲げ装置が開示され、また固定した円形ダイスのまわりにしごきロールを用いてパイプを巻付けるしごきロール曲げ装置も開示されている。
しかしながら、これらの装置は比較的肉の厚いパイプを大きな半径で曲げるのには適しているが薄肉パイプを曲げるには適さず、曲げの内側部分が過度に圧縮されてシワができたり、曲げの外側部分が過度に伸ばされ、その部分で材料が薄くなって割れや破損を生じたりする問題がある。
薄肉パイプを曲げる方法として、パイプ内にマンドレル(芯材)を入れる技術もあるが、このマンドレルを使用する曲げ装置は扱いが複雑で、コストも高くつく欠点がある。
本発明の課題は、マンドレル等の芯材を使用することなく、薄肉パイプを迅速かつ良好に曲げることのできる電動式パイプ曲げ装置を提供することにある。
<課題を解決するための手段>
この課題を解決するために本発明に係る装置は、回転フォーマとベンディングダイを有し、全体としての構成要素は以下のとおりである。
(a)本体:各構成部材を支持するものである。
(b)モータ:本体に設けられる。回転フォーマの駆動源となる。
(c)減速機:モータの回転を減速して適切な曲げ速度を与える。
(d)回転フォーマ:パイプ曲げ曲線に対応する円弧状等の外周面を有する。そして、その中心部において減速機の出力軸に固定される。また上記外周面に沿ってパイプ断面に対応する保持溝が形成される。
(e)ベンディングダイ:回転フォーマとの間でパイプを挟むように定位置に設置される。また回転フォーマの保持溝にほぼ対向するガイド溝を有し、このガイド溝は曲げ工程においてパイプを軸方向に滑らせつつ案内する。
(f)ベンディングダイ支持機構:ベンディングダイをパイプ径に対応する所定位置に位置させる。この支持機構として、例えばベンディングダイを回転フォーマの回転軸と平行な軸線まわりに回動可能に支持する態様もあるし、この支持機構とパイプとの間にベンディングダイを楔状に挿入し、狭圧状態で保持する態様もある。
<作用・効果>
このようなパイプ曲げ装置においては、パイプが回転フォーマに巻込まれる際、ベンディングダイを滑りつつ通過させられることにより、パイプに対しほぼその弾性域内で適切な引張応力が与えられつつ、曲げ成形される。その結果、薄肉パイプであっても、曲げの外側が過度に伸ばされて薄くなったり、内側が過度に圧縮されてシワになったり、あるいはパイプ断面が偏平になったりすることがほとんどなく、良好にかつスピーディに曲げ加工を行なうことができる。
<実施例>
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
=第1実施例=
第1図ないし第7図は本発明の第一実施例を示す。第1図において211は箱型の本体であり、その内部には図示しないモータ及び減速機が内蔵されている。その減速機の出力軸は本体211の上面から突出し、その出力軸に回転フォーマ213がボルト216(第2図参照)及び図示しない適宜の回転防止手段により固定されている。その減速機は減速比の相当大きなものが、曲げ成形トルクを得る上で望ましく、例えば450W程度のモータを使えば25000〜26000r.p.m.程度の回転速度を得ることができ、それを減速することにより出力軸ひいては回転フォーマ213に、例えば約5〜7r.p.m.の回転速度が与えられる。
本実施例における回転フォーマは、180°を越える半円よりやや大きなプーリ状の部材であり、第1図において反時計方向へ回転することによりパイプtを曲げ成形する。この回転フォーマ213の円弧外周面には、半円形状の保持溝214が形成されている。この保持溝214は曲げるパイプtの径に対応するものであり、異なる径のパイプを曲げる場合には、ボルト216を外し、パイプ径にあった保持溝214を有する回転フォーマに交換されることとなる。
回転フォーマ213に対向する位置にベンディングダイ218が設けられる。このベンディングダイ218は、例えば焼き入れ鋼等適宜の金属部材を研磨して得られ、その断面がほぼ方形になるように縦長に形成されている。その長手方向に沿って断面がほぼ半円形のガイド溝260が形成され、パイプはこのガイド溝260を滑りつつ案内されるようになっている。
このベンディングダイ218を第4図に拡大して示す。図中P側がパイプをガイドする側である。この図から明らかなように、ガイド溝260は三つの部分、すなわちパイプ送入側端218′の側に形成された送入側ガイド部245と、パイプ送出側端218″の側に形成された送出側ガイド部246と、これらを繋ぐ逃がし部248とを備えている。送入側ガイド部245は溝深さyの円筒面の一部で形成されているが、送出側ガイド部246は送出側端218″に向って漸次溝底がパイプ側に近づくように形成されている。つまり、送出側ガイド部246の溝深さは先端でxであるが、その内端では送入側ガイド部245と同じ深さyとなっている。第5図は、このベンディングダイ218の送入側ガイド部245と送出側ガイド部(243)とを、180°向きを逆にして向き合せた格好で、各々の溝深さの違いを示すものである。
また、ベンディングダイ218のガイド溝260とは反対側の面(背面)は、三つの部分に分かれている。まず、パイプ送入側端218′からガイド溝260と平行な平行部240が形成されている。一方、パイプ送出側端218″の側には先端に向ってガイド溝260側に傾斜する傾斜部242が形成され、さらにこれら平行部240と傾斜部242とを結ぶ湾曲凹部241が形成されている。つまり、このベンディングダイ218は先端側部分が楔状とされているのであり、第7図に示すように、ベンディングダイ支持機構の一部をなす円筒支持部材224とパイプtとの間に楔状に挿入された状態で保持され、円筒支持部材224の外周面に上述の湾曲凹部241が圧着させられるようになっている。
第7図において円筒支持部材224は、スライダ219上に固定され、スライダ219は本体211に形成されたガイド部としての一対の溝239に案内されつつ、回転フォーマ213に対し接近・離間可能に保持されている。この部分の断面を第3図に示す。本体上部211aには対称的な突出部211′が形成されることにより上記溝239(あり溝)が形成され、一方、スライダ219には両側において平行に伸びる一対の突条219′が形成されていて、スライダ219と円筒支持部材224とが一体となった一体部品217が、溝239により摺動可能に案内される。
この一体部品217を上下方向に移動可能に貫通してピン234が設けられ、ピンフランジ235と円筒支持部材224との間に設けられた圧縮スプリング236によって常時下方へ付勢されている。また本体突出部211′の底面には所定間隔で数個の位置決め孔231が形成されていて、ピン下端部234′がこれら位置決め孔231のいずれかに嵌まるようになっている。なお、ピン234の上端部にはノブ226が設けられ、このノブ226をつまんで引き上げることにより、ピン下端部234′を位置決め孔231から抜き出すことができ、かつ、引き上げた状態のハンドル226を所定角度回して、その下端面をピン225の上に乗り上げさせれば、ピン234を引き上げた状態に維持することができる。
第1図に戻って、回転フォーマ213の周方向の一端部(曲げ開始部)には半径方向に突出する突起部221が形成され、その先端部にパイプホルダ222が垂直なピン223により回動可能に取付けられている。このパイプホルダ222には半円状の保持溝222′が形成されており、回転フォーマ213との間でパイプtの先端部を拘束し、回転フォーマ213の回転時においてパイプtと回転フォーマ213とを一体的に保持する役割を果す。
なお、第2図から明らかなように、前記本体211は上段部211a及び下段部211bを有し、下端部211bの四つの側面は下方に末広がりになっており、本体211の底部は上部にくらべてより大きな設置面を構成している。
次に、以上のように構成されたパイプ曲げ装置の使用方法ならびに作用について説明する。
パイプ曲げに先立ち、第1図においてベンディングダイ支持機構の主体をなす円筒支持部材224を、本体211の複数の位置決め孔231のいずれかの位置にピン234で固定する。そして、曲げるべきパイプtの先端部をパイプホルダ222と回転フォーマ213との間に差し入れ、かつ回転フォーマ213の保持溝214に係合させる。さらに、そのパイプtと円筒支持部材224との間にベンディングダイ218を楔状に差し入れ、第7図に示すような状態で固定する。
なお、ベンディングダイ218を円筒支持部材224とパイプtとの間に挿入するに際し、ベンディングダイ218に突起を設け、かつ円筒支持部材224の一部を支点として操作可能なレバー状の治具を用い、その治具を上記突起に係合させてベンディングダイ218を押込むようにすれば、挿入操作が容易となる。
そしてモータを起動し、予め設定した角度だけ回転フォーマ213を回転させると、パイプtはその先端部がパイプホルダ222によって拘束されているため、回転フォーマ213の回転に従い、ベンディングダイ218に対し滑りつつ送り込まれ、回転フォーマ213の保持溝214に徐々に巻付けられて、パイプの曲げ加工が行なわれる。
そして、上記曲げ過程において、パイプtはベンディングダイ218を通過させられるが、その際に曲げ成形に好ましい圧力効果を受ける。特に、送出側ガイド部246により、パイプtにはほぼ弾性域内において一時的に引張応力が生じ、そのような状態で徐々に曲げ工程が進行するものと考えられ、これによってシワ等のない良好な曲げ部が形成される。
これについて更に第7図を参照して説明する。曲げる前のパイプ断面aは、ベンディングダイ218を通過する過程では一時的に卵形断面bに変形させられると考えられる。しかし、この変形はほぼ弾性的なものであり、このベンディングダイ218を通過して回転フォーマ213に巻付けられた過程では、パイプtは元の円形断面aに容易かつ迅速に復帰し、卵形(偏平)になることはほとんどない。
第6図はパイプtが回転フォーマ213とベンディングダイ218とに挟まれた状態を示しているが、これによれば、送出側ガイド部246を通過する際に一時的に卵形になることが推定できる。
そして、本実施例のパイプ曲げ装置を使用して、パイプを最高180°まで曲げる場合、広い範囲にわたる直径、例えば4mm〜約35mmのパイプを曲げることができ、さらにパイプに肉厚が非常に薄い場合でも、芯材なしに曲げ加工でき、かつその曲げられたパイプの引張りによる歪みはほとんどなく、滑らかな表面の曲げパイプが得られる。
曲げ操作が終われば、回転フォーマ213を逆回転させれば、ベンディングダイ218を容易に取外すことができ、したがって曲げられたパイプを回転フォーマ213から取外すことができる。
なお、パイプ径が変われば回転フォーマ213もそのパイプ径に対応する溝径のものに交換されるが、ベンディングダイ218及びパイプホルダ222については、パイプ径と合致する溝径のものでなくても、パイプ径より大きい溝を有するものであれば、ある程度汎用的に(パイプ径が変わってもベンディングダイ218及びパイプホルダ222は変えることなく)使用することも可能である。
=第2実施例=
次に第2実施例について、第8図ないし第12図に基づいて説明する。第2実施例が第1実施例と異なる大きな点は、第8図から明らかなように、ベンディングダイ118が円筒支持部材124に対し垂直軸回りに回動可能に支持されていること、ならびにベンディングダイ118のガイド溝50の形状が異なることである。
本実施例のベンディングダイ118は、回動可能に支持されるリング状の基端部118′を備え、この基端部118′において円筒支持部材124に回動可能に装着されている。つまり、第11図に示すように、円筒支持部材124の上端部にリング状の基端部118′が装着され、本体部はそこから下側に垂下して回転フォーマ113との間でパイプtを挟み付ける格好となる。
また、円筒支持部材124は第10図に示すようにスライダ119に固定されているが、本体111上にはガイド部として機能する一対の平行ガイド115が固定され、この平行ガイド115に対し、スライダ119がその両側に形成された一対の溝139において摺動可能に装着されている。この円筒支持部材124にも第1実施例と同様、ピン134がフランジ135と肩面124″との間に設けられた圧縮ばね136により、常時下方に付勢された状態で設けられている。また本体111の上面には複数の位置決め孔131が所定間隔で設けられている。
第8図及び第9図から明らかなように、円筒支持部材124及びスライダ119が一体となった一体部品117の後方には、この一体部品117を介してベンディングダイ118をパイプtに対して押付け機構が設けられている。すなわち、一対の平行ガイド115に対しベースブロック129が摺動可能に設けられ、このべースブロック129に設けられたピン129′(第9図)が前述の位置決め孔131に嵌められることにより、ベースブロック129が複数箇所に選択的に固定されるようになっている。このベースブロック129にはねじ軸132が螺合され、その先端が円筒支持部材124に形成されたノッチ132′(第10図,第11図参照)に突き当てられている。従って、このねじ軸132のノブ133を回せば、ねじ作用により円筒支持部材124を介してベンディングダイ118がパイプtに押付けられる。
なお、第10図の円筒支持部材124に設けられたピン134は、通常は垂直ピン125により引き上げられた状態に維持されるが、ピン134があることで、この円筒支持部材124を第1実施例のベンディングダイ218の治具のためにも利用可能となる。
第8図に示すように、ベンディングダイ118のガイド溝50は、溝の長手方向に弓形に湾曲した形態をなしている。そして送出側ガイド部118aは、図中aからbまでの短い直線部分であって、その半円状の溝底はa端に向って漸次パイプtに近づくようにされている。また、この送出側ガイド部118aから上流側に連続して、パイプtに接しない弓形の逃がし部118bが形成され、この逃がし部118bの送入側端部が送入側ガイド部cとされている。なお、ベンディングダイ118bの弓形の逃がし部118bにつき、その弓形の半径は回転フォーマ113の曲げ半径よりも大きく、第8図においてbとc間となる。全区間a-cにおいて、送出側ガイド部118aに僅かながら下り傾斜があるので、パイプtが回転フォーマ113とベンディングダイ118との間に装着された場合、そのベンディングダイ118とパイプtの接触は両端の点a,cのみで起こる。言い換えれば、中間のb点ではパイプtと接触しない。この部分で、例えば1mmの1/10のオーダでクリアランスを生じる。
パイプホルダ122はピン123により突起プレート121に取付けられ、この突起プレート121はピン139とボルト137及びナット138との二点で回転フォーマ113に脱圧着可能に固定されている。
次に作用を説明する。
回転フォーマ113が回転を開始した初期の段階では、パイプホルダ122がパイプtをまだクランプした状態にはなく、この状態において実際のパイプの曲げ開始点を示す回転フォーマ113上の目盛の0点は、ベンディングダイ118の目盛のゼロ点と一致していない。
そして、回転フォーマ113がさらに回転すると、パイプtがパイプホルダ122によってクランプされた状態となり、ベンディングダイ118とパイプpとの接触は点cでは引き続き行なわれる一方、パイプtとベンディングダイ118の点aとの接触は、送出側ガイド部118aに沿って徐々に進行する。従って、パイプtの曲げが開始されると、ベンディングダイ118の0点が回転フォーマ113の0点と一直線上に整列し、以後実質上の曲げ工程が開始され、パイプtは送出側ガイド部118aによってある程度の横圧力を受けつつ進行する。このため、第12図に示すように、曲げ加工前のパイプ断面dは曲げ作用下で一時的に卵形断面eに変形すると考えられるが、この送出側ガイド部118aの作用は徐々に生じ、またパイプtに生ずる応力はほぼ弾性限界内であるのでベンディングダイ118からパイプtが解放されれば、元の円形断面dに復帰する。そして、このように曲げられたパイプは、破損,シワ及び平坦化等はみられず、曲げるパイプの直径がに比べて大きいものでも、肉厚が薄いものでも、あるいはパイプの材料が引張応力に対し影響を受け易いものでも、滑らかな表面のパイプ曲げ部分を得ることができる。
なお、第1実施例または第2実施例の円筒支持部材124または224に対し、上述のベンディングダイ118あるいは218と交換可能なプーリ状のベンディングガイドローラを用意し、ベンディングダイ118,228とベンディングガイドローラとをパイプの種類に応じて選択的に使用することも可能である。その場合、薄肉のパイプにはベンディングダイ118,218を使用し、厚肉のパイプにはベンディングガイドローラを使用することができる。
以上説明した実施例は文字どおり例示であり、本発明は当業者の常識に基づき、種々の変更,改良等を施した態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第7図は本発明の第1実施例を示す。第1図はその一実施例たるパイプ曲げ装置の平面図、第2図はその側面図、第3図はベンディングダイ支持機構の断面図、第4図はベンディングダイの断面図、第5図はそのベンディングダイの溝の深さを送入側端部と送出側端部とで比較した説明図、第6図は第1図における16-16視断面図、第7図はパイプ曲げ加工時の作動説明図である。第8図〜第12図は第2実施例を示す。第8図はその第2実施例であるパイプ曲げ装置の平面図、第9図はその側面図、第10図はベンディングダイ支持機構の正面図、第11図はベンディングダイの支持形態を示す断面図、第12図は第2実施例におけるパイプ曲げ加工時の作動説明図である。
110,210…パイプ曲げ装置
111,211…本 体
113,213…回転フォーマ
50,260…ガイド溝
122,222…パイプホルダ
114,214…保 持 溝
118,218…ベンディングダイ
119,219…スライダ
 
訂正の要旨 訂正事項
特許第1583708号の明細書における特許請求の範囲を
「(1)パイプを曲げるための電動式パイプ曲げ装置であって、本体(111,211)と、その本体に設けられたモータと、そのモータの回転を減速する減速機と、曲げ曲線に対応する曲げ外周面を有してその中心部で前記減速機の出力軸(112)に固定され、かつその曲げ外周面に沿ってパイプの曲げ断面に対応する保持溝(114,214)が形成された回転フォーマ(113,213)と、その回転フォーマとの間でパイプを挟むように定位置に設置され、かつ前記回転フォーマの保持溝にほぼ対向してパイプを軸方向に滑らせつつ案内するガイド溝(50,260)を有するベンディングダイ(118,218)と、そのベンディングダイを前記回転フォーマに対してパイプ径に対応する所定位置に位置させるベンディングダイ支持機構(124,224)と、前記回転フォーマの外周部に設けられてパイプの曲げ開始部近傍を保持し、その回転フォーマの回転時にパイプを回転フォーマと一体的に保つパイプホルダ(122,222)とを含み、前記ベンディングダイ(118,218)のガイド溝(50,260)が、パイプの送り方向に沿って延びており、かつそのガイド溝が、パイプ送入側の端部に形成された送入側ガイド部(C,245)と、パイプ送出側の端部に形成された送出側ガイド部(118a,246)と、それらの中間においてパイプに対し接触することなく一定のクリアランスを有して対向する逃がし部(118b,248)とを有し、かつその送出側ガイド部の溝底が送出側端に向って漸次パイプに近づくように形成されていて、パイプの曲げ開始点が、曲げ開始時に前記ベンディングダイ(118,218)の送出側端よりも送入側ガイド部(C,245)側に位置し、パイプの曲げが行われる時にパイプとベンディングダイ(118,218)の送出側端との接触が送出側ガイド部(118a,246)に沿って徐々に進行するように構成されていることを特徴とする電動式パイプ曲げ装置。
(2)前記回転フォーマ(113,213),ベンディングダイ(118,218)及びパイプホルダ(122,224)がパイプ径に応じてそれぞれ交換可能である特許請求の範囲第1項記載の装置。
(3)前記ベンディングダイ(118,218)及びパイプホルダ(122,222)がパイプの異なる外径に対応できる汎用寸法の溝を有する特許請求の範囲第1項記載の装置。
(4)前記ベンディングダイ(118,218)を支持するベンディングダイ支持機構(124,224)が、そのベンディングダイを前記回転フォーマ(113,213)の回転軸と平行な軸線回りに回動可能に支持するようになっている特許請求の範囲第1項ないし第3項のいずれかに記載の装置。
(5)前記ベンディングダイ(118,218)が前記ベンディングダイ支持機構(124,224)とパイプとの間に楔状に挿入され、パイプの送り込みにより挟圧された状態で保持されてパイプを案内する特許請求の範囲第1項ないし第4項のいずれかに記載の装置。
(6)前記ベンディングダイ支持機構(124,224)がスライダ(119,219)を備え、このスライダは前記本体(111,211)に形成されたガイド部(115,239)により前記回転フォーマ(113,213)に対して接近・離間可能に支持され、かつそのスライダと前記本体との間にそのスライダをパイプ径に応じた位置に位置決め固定するための固定手段(131,134:231,234)が設けられている特許請求の範囲第1項ないし第5項のいずれかに記載の装置。
(7)前記ベンディングダイ支持機構(124,224)が、前記ベンディングダイ(118,218)及び回転自在なベンディングガイドローラを選択的に支持可能とされ、ベンディングダイの使用により主に薄肉パイプの曲げ加工が、またベンディングガイドローラの使用により主に厚肉パイプの曲げ加工が行なわれるようになっている特許請求の範囲第1項ないし第6項のいずれかに記載の装置。」に訂正する。
審理終結日 2001-07-09 
結審通知日 2001-07-12 
審決日 2001-07-24 
出願番号 特願昭57-42496
審決分類 P 1 112・ 121- YA (B21D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 一正  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 桐本 勲
鈴木 孝幸
登録日 1990-10-22 
登録番号 特許第1583708号(P1583708)
発明の名称 電動式パイプ曲げ装置  
復代理人 牛田 利治  
代理人 岡田 全啓  
代理人 菅原 弘志  
代理人 徳永 信一  
代理人 菅原 弘志  
復代理人 牛田 利治  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ