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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G11B
管理番号 1065094
審判番号 不服2001-20811  
総通号数 35 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-11-10 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-22 
確定日 2002-10-08 
事件の表示 平成 6年特許願第106039号「ディスク装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成 7年11月10日出願公開、特開平 7-296484、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1、手続の経緯、本願発明の認定
本願は、平成6年4月21日の出願であって、その発明は、補正された明細書及び図面の記載によれば特許請求の範囲の請求項の1及び2に記載された次の2発明と認める。
「【請求項1】音響データおよび音響データの位置情報が記録されたディスクを回転駆動する回転駆動機構と、ディスクに対向する光ヘッドと、光ヘッドをディスクに沿って移動させる送り機構と、ディスクから読出された位置情報を保持する記憶部とを備えたディスク装置において、
光ヘッドにより音響データが再生されている途中で電源スイッチが切られたときに光ヘッドの送りが停止されると共に前記記憶部での位置情報の保持が解除され、
その後に前記電源スイッチが再接続されたときには、前記位置情報を参照することなく、前記光ヘッドによる音響データの再生位置をデータの頭側へ所定量戻した後に光ヘッドによる音響データの再生動作が再開され、
且つ前記再生動作が再開された後に、複数記録されている音響データの先頭位置へ光ヘッドを高速で移動させるスキップ動作が選択されたときには、光ヘッドにより新たに前記位置情報が読出されて記憶部に保持されこの保持された位置情報に基づいて光ヘッドの送り動作が行われることを特徴とするディスク装置。(以下、本願発明1という)
【請求項2】前記電源スイッチが再接続されたときには、前記光ヘッドによる音響データの再生位置を所定トラック数だけデータの頭側へ戻してから音響データの再生動作が再開される請求項1記載のディスク装置。(以下、本願発明2という)」

2、原審の拒絶理由および拒絶査定理由
(1)原審拒絶理由
「1.この出願は,明細書及び図面の記載が下記の点で,特許法第36条第4項乃至第6項に規定する要件を満たしていない。 記 請求項1の「スキップ動作」とはいかなるものか,他の構成との関連が請求項に示されておらず不明瞭である。
2.この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に頒布された刊行物に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。
3.この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前日本国内において公然知られ又は公然実施をされ若しくは日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 請求項1,2 引用文献等:1,A,B 備考 引用文献1にはこの出願人により,電源投入時,先の電源断時に位置した曲の先頭から再生を開始するものが開示されているが,そのようなもの自体,文献A,Bにもあるように周知である。 文献Aの従来技術にもあるように,電源投入時,ディスクの先頭から再生を開始するものも周知であるから,そのいずれかを選択するように装置を構成することなど,当該分野の通常の知識をしてみれば,何ら困難なく構成できることであり,格別なことなど何もないし,そのような選択機構を設けることも,すでに文献Bに開示されていた事項にすぎない。引用文献等一覧 1.特開平 3-222148号公報 2.実願昭60-152123号(実開昭62-061057号)のマイクロフィルム 3.特開昭59-195391号公報」
(2)原審拒絶査定理由
「この出願は,平成13年7月16日付け拒絶理由通知書に記載の理由によって,拒絶をすべきものと認める。 なお,意見書及び手続補正書の内容を検討したが,拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせない。 備考 (1)テープにしろ,ディスクにしろ,ちょっと戻して再生を開始することで途切れがなくなるなどというのは,当業者とはいえない使用者側からみても常識である。(2)ディスクの先頭に頭出しするか,曲の先頭に頭出しするかなどは,音響機器では嗜好の問題であり,適宜選択される程度の事項にすぎず,格別ではない。 このようなヘッドの大移動をする際に,いわゆる「シーク」動作をさせることはもはや常識である。 このような(1)(2)の如き事項を記載したところで,当り前のこと,適宜選択するようなことにすぎないのであるから,先の拒絶の理由を解消するような材料にはならない。」

3:原審の拒絶理由および拒絶査定理由に対する当審の判断
原審の拒絶査定理由は、拒絶理由の理由1〜3の何れを適用して拒絶査定をしたのかが明記されていないが、その内容から、理由の2の特許法第29条第1項第3号もしくは理由の3の特許法第29条第2項を適用したものと推認されるので、先ず、特許法第29条第1項第3号もしくは特許法第29条第2項について検討し、その後に、同じく拒絶理由の理由の1で指摘された特許法第36条を検討する。

(1)理由の2及び理由の3の特許法第29条第1項第3号もしくは特許法第29条第2項の検討

i:刊行物記載発明の認定
a:特開平3ー222148号公報(以下、刊行物1という)は、カーオーディオ装置の再生装置に関する発明であって、
イ:第2頁右下欄8〜13行には、システムコントローラ5はマイコンで構成され、
(1)TOC情報や.ACCオフ時の各種情報(ACCオフによる中断曲の曲番M、該中断曲の演奏時間情報St、中断位置の絶対時間情報At等)を内蔵メモリ5aに記憶することが記載されており、
この記憶を基に、
ロ:第3頁右下欄1〜9行には、ACCオフになってから再度ACCオンになるまでの経過時間tが設定時間Ts1以下の場合には,ACCオフによる演奏中断位置から再生を開始する(ステップ114)。すなわち、システムコントローラ5はメモリ5aに記憶してある絶対時間At位置に光ピックアップ2を位置決めし、該位置から再生を開始することが記載されている。
これら記載から刊行物1には

TOC情報や.ACCオフ時の各種情報(ACCオフによる中断曲の曲番M、該中断曲の演奏時間情報St、中断位置の絶対時間情報At等)を内蔵メモリ5aに記憶し、
ACCオフになってから再度ACCオンになるまでの経過時間tが設定時間Ts1以下の場合には,ACCオフによる演奏中断位置から再生を開始する(ステップ114)するように、システムコントローラ5は上記メモリ5aに記憶してある絶対時間At位置に光ピックアップ2を位置決めし、該位置から再生を開始するカーオーデオ装置

の発明(以下、刊行物1記載発明という)が記載されている。

b:実願昭60-152123号の願書に添付された明細書及び図面を撮影したマイクロフィルム(実開昭62-61057号参照)(以下、刊行物2という)
実用新案登録請求の範囲に
「アクセサリー電源の立下がり時に再生されたプログラムの番地を記憶する手段と、上記アクセサリー電源の立下がり時から上記立上がり時迄の経過時間が所定時間以上かどうかを検出する手段と、上記所定時間以上の時に上記アクセサリー電源の立上がり時に上記記憶された番地のプログラムの先頭から再生動作を開始させる制御手段とを備えたことを特徴とする車載用信号処理装置。」
の発明(以下、刊行物2記載発明という)が記載されている。

c:特開昭59-195391号公報(以下、刊行物3という)
特許請求項の範囲の請求項1及び2に
「(1)コンパクトディスクの演奏経過段階に関するデータ、あるいは該データと演奏方法に関するデータを記憶する記憶手段と、演奏中止後に再開される演奏動作を前記記憶手段に記憶されているデータに基づいて決定する決定手段を有するコンパクトディスクプレーヤ。
(2)前記演奏中止は電源停止によるものであり、演奏動作の再開は電源再投入によりなされるものであることを特徴とする請求項1項記載のコンパクトディスクプレーヤ。」
の発明(以下、刊行物3記載発明という)が記載されている。

ii:対比及び相違点に関する当審の判断
上記各刊行物1〜3には、電源が投入されて演奏中の曲番や曲名が記憶手段に記憶されていて、電源遮断後の再投入時には該記憶手段の記憶内容を読み出してその記憶されている曲の先頭から演奏を再開する発明が記載されてはいるものの、刊行物1〜3のいずれにも本願発明1の特徴である「光ヘッドにより音響データが再生されている途中で電源スイッチが切られたときに光ヘッドの送りが停止されると共に前記記憶部での位置情報の保持が解除され、 その後に前記電源スイッチが再接続されたときには、前記位置情報を参照することなく、前記光ヘッドによる音響データの再生位置をデータの頭側へ所定量戻した後に光ヘッドによる音響データの再生動作が再開され」るという構成についての記載がないばかりではなく、その示唆もない。
そして本願発明1は、この構成の相違により、明細書記載のとおりの「【0027】【発明の効果】 以上のように、本発明では、電源スイッチが切られその後に電源スイッチが接続されたときに、位置情報を参照せずに、そのまま音響データの再生を再開する。 そのため、位置情報を参照して再生動作処理に移行するといった複雑な制御処理が不要になる。ただし、再生はほぼ中断時から再開されるため、聴取者が違和感を感じることはない。また電源スイッチが接続されて音響データの再生が再開された後にスキップ動作が選択されたときには、一旦位置情報を読取り、これを記憶部に記憶させることにより、スキップ動作は何ら支障なく行われることになる。【0028】 また請求項2に記載の発明のように、電源スイッチが接続されたときに、音響データの再生開始位置をデータの頭方向へわずかにずらすことにより、再生動作が再開されたときに、聴取者の曲の聞きもれがなくなり、聴取感覚の良いものとなる。」という効果を奏するものと認められる。
以上の検討から、本願発明1は原審が通知した拒絶の理由の2及び3で示した刊行物1〜3に記載された発明とは同一の発明と認められないばかりでなく、各刊行物から当業者が容易に発明をすることが出来たとすることもできない。
同様に本願発明2も請求項1を引用する発明であるから、上記本願発明1の判断を援用する。

iii:まとめ
したがって、本願発明1および2は、原審の拒絶理由の2および3で示した刊行物1〜3に記載された各発明と同一の発明であるから特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないとした理由の2および上記各刊行物記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許をする受けることができないとした理由の3の何れにも理由はない。

(2)理由の1の特許法第36条第4項乃至6項規定違反の検討

i:原審が指摘した具体的理由
「請求項1の「スキップ動作」とはいかなるものか、他の構成との関連が請求項に示されておらず不明瞭である。」

ii:当審の判断
本願明細書の【0002】の末尾付近に「各曲の頭へのスキップ動作(曲間移動動作または目標曲のサーチ動作)ができるようになっている。」という記載があり、この記載からスキップ動作の定義が明細書に記載されている。さらに、請求項1には「且つ前記再生動作が再開された後に、複数記録されている音響データの先頭位置へ光ヘッドを高速で移動させるスキップ動作が選択されたときには、光ヘッドにより新たに前記位置情報が読出されて記憶部に保持されこの保持された位置情報に基づいて光ヘッドの送り動作が行われる」という記載があり、他の構成との関連も明瞭であり、補正により特許法第36条の拒絶の理由は解消している。

4、むすび
したがって、原審が平成13年7月16日付拒絶理由で示した特許第36条第4乃至6項の規定違反の理由の1および刊行物1〜3を引用した特許法第29条1項第3号及び特許法第29条第2項の規定によっては本願を拒絶をすることができない。
又、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-09-25 
出願番号 特願平6-106039
審決分類 P 1 8・ 536- WY (G11B)
P 1 8・ 121- WY (G11B)
P 1 8・ 537- WY (G11B)
P 1 8・ 113- WY (G11B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 齊藤 健一  
特許庁審判長 内藤 二郎
特許庁審判官 川上 美秀
麻野 耕一
発明の名称 ディスク装置  
代理人 野▲崎▼ 照夫  
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