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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H04B |
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管理番号 | 1067343 |
審判番号 | 審判1998-13643 |
総通号数 | 36 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1998-08-27 |
確定日 | 2002-07-12 |
事件の表示 | 平成9年特許願第88383号「ディジタル移動通信方法」拒絶査定に対する審判事件(平成10年1月27日出願公開、特開平10-28280)について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I 本願発明 1 本件審判請求に係る特許願(以下、「本願」という)は平成9年4月7日になされており、明細書及び図面の記載からみて、 その明細書の特許請求の範囲の欄の請求項1の記載に係る発明(以下、「本願発明」という)の目的、効果は、「ゾーン切換えによる瞬断」を小さくし且つ「交換機の負荷」を小さくすることであり、 本願発明の構成は、 「各移動端末が、時分割通信信号を第1のタイムスロットで受信し、前記第1のタイムスロットとは時間的に異なる第2のタイムスロットを使って時分割通信信号として送信することにより通信を行い、この通信中に前記第1及び第2のタイムスロットとは時間的に異なる第3のタイムスロットで受信される信号を観測し、この観測結果を通信中のゾーン切り換えに使うようにしたことを特徴とするディジタル移動通信方法」 である。 (特許請求の範囲の欄或いは【課題を解決するための手段】の欄の記載参照) 2 なお、本願は、昭和62年8月26日に出願された特願昭62-213906号の特許願を特許法第44条第1項の規定により平成6年9月5日に特願平6-210805号として分割出願し、この特願平6-210805号の特許願(以下、「原出願」という)を特許法第44条第1項の規定により平成9年4月7日に再度分割出願したものである。 しかし、本願発明と原出願の特許発明(特許第2679638号、以下「原出願発明」という)はII及びIIIで述べるように実質的に同一であるので、分割出願は認められず、本願出願日は1で認定したように平成9年4月7日である。 II 原出願発明 原出願の明細書及び図面の記載からみて、原出願発明の目的、効果は、「ゾーン切換えによる瞬断」を小さくし且つ「交換機の負荷」を小さくすることであり、 原出願発明の構成は、 「複数の基地局の制御信号を同一周波数に時間的に多重化し、各移動端末が、時分割通信信号を第1のタイムスロットで受信し、前記第1のタイムスロットとは異なる第2のタイムスロットを使って時分割通信信号として送信することにより通信を行い、この通信中に前記第1及び第2のタイムスロットとは異なる第3のタイムスロットで前記同一周波数で受信される制御信号を観測し、この観測結果を通信中のゾーン切り換えに使うようにしたことを特徴とするディジタル移動通信方法」 である。 (原出願に係る特許公報の特許請求の範囲の欄1.の記載参照) III 両発明の対比 1 本願発明(以下、「前者」という)と原出願発明(以下、「後者」という)とを比較すると、 両者が、ゾーン切換えによる瞬断を小さくし且つ交換機の負荷を小さくすること、を目的、効果とし、 各移動端末が、時分割通信信号を第1のタイムスロットで受信し、前記第1のタイムスロットとは異なる第2のタイムスロットを使って時分割通信信号として送信することにより通信を行い、この通信中に前記第1及び第2のタイムスロットとは異なる第3のタイムスロットで受信される信号を観測し、この観測結果を通信中のゾーン切り換えに使うようにしたことを特徴とするディジタル移動通信方法、 を構成要件としている点で形式的にも一致しており、 ▲1▼ 後者が、複数の基地局の制御信号を同一周波数に時間的に多重化することを構成要件としている(その結果、第3のタイムスロットで受信される信号は前記同一周波数で受信される)のに対して、前者が構成要件としていない点、 ▲2▼ 前者が、第2、第3のタイムスロットを第1、第1及び第2のタイムスロットと時間的に異なるようにしているのに対して、後者が何が異なるか明記していない点、 ▲3▼ 上記第3のタイムスロットで受信される信号を、前者が、特定していないのに対して、後者が制御信号と特定している点、 で形式的に相違している。 2 上記▲1▼〜▲3▼について検討する。(V参照) ▲1▼について、 本願の明細書及び図面には、複数の基地局の制御信号を同一周波数に時間的に多重化することが記載されているだけで、制御信号を異なる周波数とする等他の方法は何も記載されていない。従って、前者のディジタル移動通信方法が、実質的には、複数の基地局の制御信号を同一周波数に時間的に多重化することを構成要件としていることは明らかである。 ▲2▼について、 原出願の明細書及び図面には、第2、第3のタイムスロットと第1、第1及び第2のタイムスロットの異なりについて時間が記載されているだけで、周波数等他の方法は何も記載されていない。従って、後者のディジタル移動通信方法が、第2、第3のタイムスロットを第1、第1及び第2のタイムスロットと時間的に異なるようにしていることは明らかである。 ▲3▼について、 前者の第3のタイムスロットで受信される信号が後者の制御信号と同じであることは明らかである。 3 従って、本願発明と原出願発明は実質的に同一である。 IV 刊行物記載の発明 原査定の理由において提示された、特開平7-284145号公報(平成7年10月27日特許庁発行、以下「刊行物1」という)には、 各移動端末が、時分割通信信号を第1のタイムスロットで受信し、前記第1のタイムスロットとは時間的に異なる第2のタイムスロットを使って時分割通信信号として送信することにより通信を行い、この通信中に前記第1及び第2のタイムスロットとは時間的に異なる第3のタイムスロットで受信される信号を観測し、この観測結果を通信中のゾーン切り換えに使うようにしたことを特徴とするディジタル移動通信方法、 であって、 ゾーン切換えによる瞬断を小さくし且つ交換機の負荷を小さくすることができる、 という発明(以下、「第1の発明」という)が記載されている。 V 出願人の主張の検討 出願人の平成11年2月1日付け審判請求理由補充書の5.請求の理由(3)▲3▼における主張について検討する。 1 出願人は「原出願の特許請求の範囲第1項に記載の発明では、複数の基地局の制御信号を同一周波数に時間的に多重化しているので、セル移行のたびに制御チャネルを探索する必要がなく、着信呼損を低減でき、更に制御チャネル探索のための移動局消費電力を節約できるという顕著な効果を有する」と主張している(第5頁第19行〜第22行)。(本願発明の当該構成要件については、そのような限定がないという以外何も述べていない) しかし、原出願の明細書及び図面(特に目的、効果の欄)には、「セル移行のたびに制御チャネルを探索する必要がなく、着信呼損を低減でき、更に制御チャネル探索のための移動局消費電力を節約できるという顕著な効果を有する」ことは記載されていない。 また、本願の明細書及び図面には、複数の基地局の制御信号を同一周波数に時間的に多重化することが記載されているだけで、制御信号を異なる周波数とする等他の方法は何も記載されていない(IIIの2の▲1▼について、に於いて既に述べた)し、他の方法に依る場合に必要な制御チャネルを探索する手段等についても全く記載されていない。 更に、本願発明と原出願発明が大前提としている、周波数の不足の抜本的解決を挙げていることを考慮すれば、制御信号を異なる周波数に依らせることは意に添わないことになる。 従つて、出願人の「原出願の特許請求の範囲第1項に係る発明と、本願の特許請求の範囲に係る発明は同一ではない」という主張(第6頁第1行〜第2行)は根拠が無い。 2 出願人は、第6頁第21行〜第8頁第8行に於いて、要するに、原出願発明の各「タイムスロット」間の異なりは時間的に限定のないものとして解釈すべきである、そのように解釈すれば両発明は同一ではない、と主張している。 確かに、用語「タイムスロット」について明細書中で特に定義されていない。 しかし、「タイムスロット」という名前からまた実施例から見ても、時間に関するものであることは明らかである。 従つて、出願人の上記主張は失当である。 VI 結び 以上I〜V項を総合して判断すると、本願明細書の特許請求の範囲の欄の請求項1の記載に係る発明は、刊行物1に記載された第1の発明と同一であるので、特許法第29条第1項第3号の規定により、本件審判請求人である本願出願人は本願明細書の特許請求の範囲の欄の請求項1の記載に係る発明について特許を受けることができない。 よって、結論の通り審決する。 |
審理終結日 | 1999-07-08 |
結審通知日 | 1999-07-23 |
審決日 | 1999-08-09 |
出願番号 | 特願平9-88383 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(H04B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊東 和重、池田 敏行、木屋野 忠 |
特許庁審判長 |
丸山 光信 |
特許庁審判官 |
齋藤 操 大橋 隆夫 |
発明の名称 | ディジタル移動通信方法 |
代理人 | 京本 直樹 |