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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  C07D
管理番号 1069044
異議申立番号 異議1998-73765  
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-04-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-07-30 
確定日 2002-09-24 
異議申立件数
事件の表示 特許第2716952号「8-メトキシキノロンカルボン酸誘導体の製造中間体」の特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2716952号の特許を取り消す。 
理由 (1)経緯・本件特許発明
本件特許第2716952号は、昭和62年3月30日(優先権主張:昭和61年3月31日、昭和61年9月24日)に出願した特許出願(特願昭62-76892号)の一部を、平成2年6月12日に新たな特許出願(特願平2-153306号)をして、さらにその一部を平成6年3月28日に新たな特許出願(特願平6-56950号)をして、またその一部を平成7年9月8日に新たな特許出願(特願平7-231343号)としたものであり、平成9年11月7日に設定登録がされたところ、特許異議の申立てがなされたものであって、本件特許発明は、その明細書の記載からみて特許請求の範囲第1項に記載された次のとおりのものである。
「一般式(XXXIII)

(式中、Y2はハロゲン原子を示し、R11は水素原子または低級アルキル基を示す)で表される化合物。」
(2)本件出願の優先権主張
特許権者は、分割による新たな特許出願である本件特許に係る出願に対しても、元々の原出願である上記特許出願(特願昭62-76892号)と同様に、昭和61年3月31日及び昭和61年9月24日にした特許出願に基づく優先権主張の利益が認められるべきであるという。
ところで、特許法第41条第4項には、「第1項の規定による優先権を主張しようとする者は、その旨及び先の出願の表示を記載した書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出しなければならない。」と規定していることから、本件特許に係る出願書類をみると、願書面には、その優先権を主張する旨の記載はないし、また、その優先権を主張する旨及び先の出願を表示した書面等も提出されていない。
特許権者は、親出願についての優先権を継続して分割出願する際には再度の優先権主張の手続を必要としない旨主張するが、特許法その他特許に関する法令をみても、分割による新たな特許出願に際しては、別個の手続である優先権主張の手続を改めてしなくても、その手続をしたものとみなされる、と解せる規定はない。
してみると、本件特許に係る出願は、優先権の主張を伴う特許出願であるとはいえないから、特許法第44条第2項の規定により、もとの特許出願の時(昭和62年3月30日)にしたものとみなされるに止まる。
(3)対比・判断
先の取消理由で通知した、本件特許の出願日前である昭和61年9月18日に出願され、本件出願後に出願公開された特願昭61-220149号(特開昭62-252772号公報)の願書に最初に添付した明細書(以下、「先願明細書A」という。)には、一般式[1]

[式中、Rは水素原子または低級アルキル基を、R1は低級アルキル基を、R2は水素原子、ハロゲン原子、アミノ基またはニトロ基を、Xはハロゲン原子を、Zはハロゲン原子または・・・・]で表される8-アルコキシキノロンカルボン酸誘導体、に関する発明について記載があり、その明細書中の参考例2には、「1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メトキシ-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸の合成」について記載がされ、具体的には、「・・・無色針状晶の1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メトキシ-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸エチルを4.53g得た。
融点178〜180℃、
元素分析値:C16H15F2NO4、
計算値:C:59.44,H:4.68、N:4.33、
分析値:C:59.34,H:4.59、N:4.33、
次いで、この結晶4.5gに酢酸30ml、濃硫酸4ml及び水22mlの混液を加え1時間還流した。冷後氷水100mlを加えて析出晶を濾取し、水洗後乾燥して無色粉末の目的物を4g得た。
融点185〜186℃
元素分析値:C14H11F2NO4、
計算値:C:56.95,H:3.76、N:4.74、
分析値:C:56.68,H:3.70、N:4.74」と記載されている。
そこで、本件特許発明と先願明細書Aに記載された発明とを対比すると、上記参考例2に示されている「1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メトキシ-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸」、及び「1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1,4-ジヒドロ-8-メトキシ-4-オキソ-3-キノリンカルボン酸エチル」は、本件特許発明における上記一般式(XXXIII)中のY2がフッ素であり、R11が水素又はエチル基である場合の化合物に相当する。
したがって、本件特許発明は、先願明細書Aに記載された発明と同一の発明であるというべきである。
そして、本件特許に係る出願の発明者が上記先願に係る発明をした者と同一ではなく、また、本件特許に係る出願時において、本件特許に係る出願人が上記先願の出願人と同一でもない。
したがって、本件特許発明は、特許法第29条の2第1項の規定により特許を受けることができないものである。
(4)むすび
以上のとおりであるから、本件特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものである。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第1項及び第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 1999-06-23 
出願番号 特願平7-231343
審決分類 P 1 651・ 16- Z (C07D)
最終処分 取消  
前審関与審査官 佐野 整博  
特許庁審判長 加藤 孔一
特許庁審判官 内藤 伸一
深津 弘
登録日 1997-11-07 
登録番号 特許第2716952号(P2716952)
権利者 宇部興産株式会社 三共株式会社
発明の名称 8-メトキシキノロンカルボン酸誘導体の製造中間体  
代理人 大野 彰夫  
代理人 吉岡 拓之  
代理人 桜井 周矩  

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