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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議200171906 審決 特許
無効200035269 審決 特許
異議199971260 審決 特許
異議199971254 審決 特許

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審決分類 審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1069798
審判番号 不服2002-15389  
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-08-11 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-12 
確定日 2003-01-14 
事件の表示 特願2000- 41615「偏向装置」拒絶査定に対する審判事件〔平成12年 8月11日出願公開、特開2000-224431、発明の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
出願日 平成12年2月18日
(特願2000-41615号(分割出願))
原出願日 平成5年11月4日
(特願平5-301238号、特許第2607066号)
原々出願日 昭和61年4月1日
(特願昭61-76435号、特許第3060424号)
優先日 昭和60年4月1日(米国)
審査請求 平成12年3月17日
補正 平成12年3月17日
拒絶理由 平成13年7月27日付け
意見・補正 平成14年2月6日
拒絶査定 平成14年5月7日付け
審判請求 平成14年8月12日
理由補充 平成14年10月17日

第2 本願発明
本願発明は、補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲(発明の数1)に記載された、次に掲げるとおりのものである。

線同期入力信号に応じてこの入力信号の周波数より高い周波数を有する偏向駆動信号を生成する偏向装置であって、
上記線同期入力信号に応じてこの入力信号に同期した周期的信号を生成する位相固定ループ回路と、
上記駆動信号に応じて、上記高い周波数の繰返し線偏向を生成し、かつ上記高い周波数の上記繰返し線偏向の位相情報を含む繰返し線偏向タイミング表示パルス信号を生成する線出力段と、
上記高い周波数の上記繰返し線偏向タイミング表示パルス信号の1つおきのパルスのみに応動し、上記高い周波数の上記繰返し線偏向タイミング表示パルス信号と上記周期的信号との間の位相差の関数である、上記駆動信号の位相を制御するための、制御信号を生成する位相検波器を有する位相制御ループと、
を具備してなる偏向装置

第3 拒絶理由・拒絶査定の要旨
拒絶理由は、本願発明は次に掲げる刊行物1ないし4から容易であり、また、特許請求の範囲の記載は実施例との対応関係が不明瞭であるとしている。
拒絶査定は、特許請求の範囲が実質的に補正されていないから、拒絶理由によって査定するとしている。
刊行物1:特開昭58-81386号公報
刊行物2:特公昭53-15335号公報
刊行物3:特開昭57-52268号公報
刊行物4:実願昭58-86593号(実開昭59-193063号公報)のマイクロフィルム

第4 請求人の主張の要旨
請求人は、理由補充において、記載不備に関しては、補正によって解消した。
刊行物1ないし4には、本願発明の次に掲げる特徴点1及び2については何も示されていない。
1 線同期入力信号の周波数より高い周波数をもった偏向駆動信号を発生する点
2 線同期入力信号の周波数より高い周波数の繰返し線偏向タイミング表示パルス信号の1つおきのパルスのみに応動して、繰り返し線偏向タイミング表示パルス信号と周期的信号(CMa)との間の位相差の関数である、上記駆動信号(HORDRIVE)の位相を制御するための、制御信号(LFPO’)を生成する位相検波器(202’)を有する位相制御ループ(120)を用いる点

第5 当審での判断
1 審査での出願人(請求人)の意見書の要旨
(1) 特許請求の範囲の記載要件について
出願人は、特許請求の範囲の記載に関して、次のように主張している。
「本願発明による偏向装置は、線同期入力信号(Hs)に応答してこの入力信号の周波数よりも高い周波数をもった偏向駆動信号(HORDRIVE)を発生するものであり、上記線同期入力信号(Hs)は位相固定ループ回路(20)に供給され、該位相固定ループ回路は上記同期入力信号に同期した周期的信号(CMa)を発生し、この周期的信号(CMa)は位相検波器(202’)を含む位相制御ループ(120)に供給されて、線出力段(41)から供給されるタイミング表示パルス信号の1つおきのパルスのみと比較され、上記位相検波器(202’)の出力制御信号(LPFO’)は上記線出力段(41)を適正に駆動するために偏向駆動信号発生器に供給されます。」
(2) 本願発明の容易性について
出願人は、刊行物1ないし4に関して、次のように主張している。
「引用文献1(特開昭58-81386号公報)には、
高精細度の映像信号と標準方式の映像信号の双方を選択的に受信できるようにしたテレビジョン受信機が示されており、高精細度の映像信号の受信時にはAFC回路(60)は33.75KHzの水平同期信号に同期した33.75KHzの水平発振出力信号を発生し、標準方式の映像信号の受信時にはにAFC回路(60)は15.734KHzの水平同期信号の2倍の周波数である31.468KHzの水平発振出力信号を発生します。
引用文献2(特公昭53-15335号公報)に記載の発明は、
位相ロックループとして機能する第1のループAと、位相制御ループとして機能する第2のループBの2個のループを使用したライン(線)同期信号発生回路に関するものであります。
引用文献3(特開昭57-52268号公報)に記載の水平同期回路は、
発振器(VCO7)により水平周波数のn倍の周波数の信号を生成し、これを分周器(8)で分周して、水平同期信号HPと周波数および位相が整合した水平同期信号を生成する2ループ水平同期信号が示されている
引用文献4(実願昭58-86593号(実開昭59-193063号)のマイクロフィルム)には、
1個のPLLループを使用した従来の水平AFC回路の他に、入力信号に混入した雑音や入力信号の時間軸変動を除去するための第1のPLL(10)と水平偏向出力の負荷変動に起因する時間軸変動を軽減するための第2のPLL(20)とを具えた水平AFC回路が示されています」

2 意見書の要旨についての検討
(1) 特許請求の範囲に記載された発明
本願発明は、その実施例をみると、デジタル処理を行う偏向装置に係り、そのデジタル処理が図面(全5図、図2ないし図5)を用いて詳細に説明され、図1及びその説明が本願発明に関連するものである。
そうすると、審査での意見書において、本願発明についてその実施例である図1の符号を引用して、特許請求の範囲の記載要件を満たしているとの出願人の主張には理由があり、審判請求での理由補充において、記載不備に関しては、補正によって解消したとの請求人の主張にも理由がある。
(2) 刊行物1ないし4に記載された発明
刊行物1ないし4には出願人が主張するとおりのものが記載され、請求人が主張するように本願発明の特徴点1及び2は記載ないしは示唆する記載もなされていない。
刊行物1には、AFC回路(60)は15.734KHzの水平同期信号の2倍の周波数である31.468KHzの水平発振出力信号を発生するものであるから、本願発明の特徴点1が記載されているが、特徴点2については記載されていない。
刊行物2ないし4には、従来から知られている15.734KHzの水平同期信号のAFC回路が記載され、特に、刊行物4には、第1のPLLと第2のPLLとを具えた水平AFC回路が記載されているが、これらはいずれも本願発明の特徴点1に関連するものではなく、また、特徴点2については記載されていない。
本願発明は、実施例からみると、水平同期信号(fH)の「位相固定ループ回路」と、2倍の水平同期信号(2fH)の「位相制御ループ」とを用い、位相制御ループにおける「位相検波器」が線出力段(2fH水平偏向回路)からの線偏向タイミング表示パルス信号の1つおきのパルスのみに応動(周波数fHに応動)することで、2fHの偏向駆動信号を生成することを特徴とするものである。
したがって、2fHの偏向駆動信号を生成することが、刊行物1に記載され、2つのループ回路を用いてfHの偏向駆動信号を生成することが刊行物4に記載されているからといって、本願発明のように、2fHの偏向駆動信号を生成するために、2fHを2分の1にした周波数fHに応動する位相検波器を用いることまで容易とはいえない。

第6 むすび
以上、本願特許請求の範囲の記載は不明瞭とはいえず、本願発明は、刊行物1ないし4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2002-12-25 
出願番号 特願2000-41615(P2000-41615)
審決分類 P 1 8・ 534- WY (H04N)
P 1 8・ 121- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 乾 雅浩  
特許庁審判長 谷川 洋
特許庁審判官 小林 秀美
橋本 恵一
発明の名称 偏向装置  
代理人 田中 浩  

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