• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C09K
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C09K
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する C09K
管理番号 1071161
審判番号 訂正2002-39120  
総通号数 39 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-07-19 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2002-05-15 
確定日 2002-11-18 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2965229号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第2965229号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判請求の要旨は、特許第2965229号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであって、その訂正の内容は次のとおりである。

(1)訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1(特許公報第1頁第2欄第2行参照)に、「からなる液晶組成物。」とあるのを、「からなり、液晶組成物に対する重量比が1.0%の吸着剤で精製処理した場合、らせんピッチの精製処理による変化P/P0 が1.10より小さい、シアノ基含有化合物を含まないアクティブマトリックス用ネマチック液晶組成物(ここでP0 は25℃において測定した吸着剤処理前の液晶組成物のらせんピッチであり、Pは25℃において測定した吸着剤処理後の液晶組成物のらせんピッチである。)。」と訂正する。

(2)訂正事項b
特許請求の範囲の請求項1(特許公報第2頁第3欄第45行参照)に、「置換されても良い縮合環である。}」とあるのを、「置換されても良い縮合環である。}(ただし、下記の組成物Aあるいは組成物Bに1重量%の4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼンをカイラル剤として添加した液晶組成物を除く。)

」と訂正する。

(3)訂正事項c
明細書段落【0001】中(特許公報第3頁第5欄第44〜45行参照)に、「パッシブ方式およびアクティブマトリックスの」とあるのを、「アクティブマトリックスの」と訂正する。

(4)訂正事項d
明細書段落【0005】(特許掲載公報第4頁第8欄第5〜11行参照)に、「(1)本発明の液晶組成物は以下の一般式(I)で表される非カイラルな化合物を主成分とし、吸着剤に対する吸着性がこれらの非カイラルな化合物より大きくない下記一般式(II)または一般式(III)で表される光学活性化合物をカイラル剤として含有することを特徴とする。」とあるのを、「(1)本発明のアクティブマトリックス用ネマチック液晶組成物は以下の一般式(I)で表される非カイラルな化合物を主成分とし、吸着剤に対する吸着性がこれらの非カイラルな化合物より大きくない下記一般式(II)または一般式(III)で表される光学活性化合物をカイラル剤として含有することを特徴とする。また、本発明の液晶組成物は、液晶組成物に対する重量比が1.0%の吸着剤で精製処理した場合、らせんピッチの精製処理による変化P/P0 が1.10より小さく、且つシアノ基含有化合物を含まないことも特徴とする(ここでP0 は25℃において測定した吸着剤処理前の液晶組成物のらせんピッチであり、Pは25℃において測定した吸着剤処理後の液晶組成物のらせんピッチである。)。」と訂正する。

(5)訂正事項e
明細書段落【0008】中(公報第5頁第9欄第1行参照)に、「置換されても良い縮合環である。}」とあるのを、「置換されても良い縮合環である。}(ただし、下記の組成物Aあるいは組成物Bに1重量%の4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼンをカイラル剤として添加した液晶組成物を除く。)

」と訂正する。

2.当審の判断
2.1 新規事項の追加の有無、訂正の目的の適否、及び特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否
(1)訂正事項aについて
訂正事項aは、実施例において、液晶組成物に対する重量比が1.0%の吸着剤で精製処理した場合、らせんピッチの精製処理による変化P/P0(ここでP0 は25℃において測定した吸着剤処理前の液晶組成物のらせんピッチであり、Pは25℃において測定した吸着剤処理後の液晶組成物のらせんピッチである。)が、実施例1においては1.02、実施例2においては1.01であり、一方、好ましくない例とされる比較例1および比較例2においてはいずれも1.10であると記載されている(表4及び表5参照)ことに基づいて、「液晶組成物に対する重量比が1.0%の吸着剤で精製処理した場合、らせんピッチの精製処理による変化P/P0 が1.10より小さい」ことを特定し、かつ、本件明細書段落【0040】に「-CN基やカルボン酸エステル構造を官能基として有する化合物は、得られる液晶素子の電圧保持率を高く維持するという観点からは本発明の非カイラルな成分として不適当である」と記載されていること、本件明細書段落【0041】に「本発明は、電圧保持率の極めて高い混合物Aの成分化合物ならびにこれと同様に高い電圧保持率を示す化合物の特徴を生かし、かつシリカゲル等の吸着剤に対してこれらの電圧保持率の極めて高い非カイラルな化合物よりも吸着性が大きくないカイラル剤化合物をこれらの非カイラルな化合物に組合せることにより、吸着剤による精製処理にも好適なカイラルネマチック混合物を提供しようとするものである」と記載されていること、本件明細書段落【0001】に「さらに詳しくは本発明は高信頼性を要するパッシブ方式およびアクティブマトリックスの液晶表示素子用の液晶組成物に関する」と記載されていることに基づいて、「液晶組成物」を「シアノ基含有化合物を含まないアクティブマトリックス用ネマチック液晶組成物」とするものであるから、該訂正は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内のものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(2)訂正事項bについて
訂正事項bは、訂正前の特許請求の範囲請求項1における液晶組成物から先願明細書に記載された「組成物Aあるいは組成物Bに1重量%の4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼンをカイラル剤として添加した液晶組成物(組成物A、Bの具体的な組成は省略)」を除くものであるから、新規事項の追加には該当せず、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

(3)訂正事項c、d及びeについて
訂正事項c、d及びeは、上記訂正に伴って、発明の詳細な説明の記載部分に生じた不整合な記載を訂正して、特許請求の範囲の記載との整合を図るものであるから、該訂正は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

2.2 独立特許要件についての判断
(1)訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明
訂正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、審判請求書に添付された全文訂正明細書の特許請求の範囲請求項1ないし請求項7に記載された以下のとおりである。
「【請求項1】下記一般式(I)で表される非カイラルな化合物と、吸着剤に対する吸着性が一般式(I)で表される非カイラルな化合物より大きくない下記一般式(II)または一般式(III)で表されるカイラルな化合物からなり、液晶組成物に対する重量比が1.0%の吸着剤で精製処理した場合、らせんピッチの精製処理による変化P/P0が1.10より小さい、シアノ基含有化合物を含まないアクティブマトリックス用ネマチック液晶組成物(ここでP0は25℃において測定した吸着剤処理前の液晶組成物のらせんピッチであり、Pは25℃において測定した吸着剤処理後の液晶組成物のらせんピッチである。)。
【化1】

{一般式(I)において、六員環 A、B、CおよびDは、それぞれ独立に、トランス-1,4-シクロへキシレン、1-シクロヘキセン-1,4-ジイルまたは1,4-フェニレンを示し、 g、hおよびiは0または1を示し、(g+h+i)≧1であり、X、YおよびZはそれぞれ独立に単結合、-CH2-CH2-、-OCH2-または-CH2O-を示し、R1およびR2はそれぞれ独立にH、CnH2n+1-、CnH2n+1O-もしくはCnH2n+1-O-CkH2k-(ただし、nおよびkはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1-O-CkH2k-、CnH2n-3-、CnH2n-3O-もしくはCnH2n-3-O-CkH2k-(ただし、kは上記と同じ、nは2ないし18の整数である)を示し、(n+k)≦18であり、該式における少なくとも一つのH原子はF原子で置換されていてもよい。}
【化2】

{一般式(II)において、六員環a、b、cおよびdはそれぞれ独立に、トランス-1,4-シクロへキシレン、1-シクロヘキセン-1,4-ジイルまたは1,4-フェニレンを示し、g、hおよびiは0または1を示し、(g+h+i)≧1であり、x、yおよびzはそれぞれ独立に単結合、-CH2-CH2-、-OCH2-または-CH2O-を示し、R3およびR4はそれぞれ独立にH、CnH2n+1-、CnH2n+1O-もしくはCnH2n+1-O-CkH2k-(ただし、nおよびkはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1-O-CkH2k-、CnH2n-3-、CnH2n-3O-もしくは CnH2n-3-O-CkH2k-(ただし、kは上記と同じ、nは2ないし18の整数である)を示し、(n+k)≦18であり、該式における少なくとも一つのH原子はF原子で置換されていてもよく、R3、R4、x、yおよびzの少なくとも一つは不斉炭素原子を有する。}
【化3】

{一般式(III)において、R5は、H、F、CnH2n+1-、CnH2n+1O-、CnH2n+1COO-もしくはCnH2n+1OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1COO-、CnH2n-1OCO-、CnH2n-3-、CnH2n-3O-、CnH2n-3COO-もしくはCnH2n-3OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に2ないし18の整数である)、あるいはCnH2n+1-Ph-COO-もしくはCnH2n+1-Ph-OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)を示し、Phは1,4-フェニレンを示し、R6はH、CnH2n+1-(ただし、nは1ないし18の整数である)もしくはCnH2n-1-(ただし、nは2ないし18の整数である)であり、環Eは唯一つの二重結合を他の環とは共有せずに有する縮合環であるか、または、5-位または6-位が炭素数1ないし18のアルキル基またはアルコキシ基で置換されても良い縮合環である。}(ただし、下記の組成物Aあるいは組成物Bに1重量%の4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼンをカイラル剤として添加した液晶組成物を除く。)

【請求項2】前記カイラルな化合物が、一般式(II){ただし、六員環a、b、cおよびdとg、hおよびiとは前記と同じであり、x、yおよびzはそれぞれ独立に単結合、-CH2-CH2-を示し、R3およびR4はそれぞれ独立にH、CnH2n+1-、CnH2n+1O-もしくはCnH2n+1-O-CkH2k-(ただし、nおよびkはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、(n+k)≦18であり、六員環a、b、cおよびdの少なくとも一つが1,4-フェニレンを表すとき、そのフェニレン環の側位のH原子はF原子で置換されてもよい。R3およびR4の少なくとも一つのH原子はF原子で置換されてもよく、R3、R4の少なくとも一つは不斉炭素原子を有する。}で示される化合物である請求項lに記載の液晶組成物。
【請求項3】カイラルな化合物が下記一般式(V)で表される化合物である請求項1記載の液晶組成物
【化4】

{一般式(V)において、六員環SおよびTはトランス-1,4-シクロへキシレンまたは1,4-フェニレンを示し、pは0または1の整数を示し、UおよびVは単結合または-CH2-CH2-を示すが同時に-CH2-CH2-であることはなく、R9はCnH2n+1-を示し、nは1ないし18の整数を示し、R10は下記の部分式(VI)で示され、
【化5】

〔一般式(VI)において、qおよびrは独立に0または1の整数を示し、mは2ないし12の整数を示し、RはF-またはCH3-を示す。式(V)において、環Tが1,4-フェニレンであるときはその2-位または3-位のHはFで置換されていてもよい。〕}。
【請求項4】一般式(I)で示される非カイラル化合物が下記一般式(IV)で表される化合物である請求項1、2および3のいずれか1項に記載の液晶組成物
【化6】

{一般式(IV)において六員環A’、B’、C’およびD’はそれぞれ独立に、トランス-1,4-シクロへキシレン、1-シクロヘキセン-1,4-ジイルまたは1,4-フェニレンを示し、g、hおよびiは0または1を示し、(g+h+i)≧1であり、X’、Y’およびZ’はそれぞれ独立に単結合または-CH2-CH2-を示し、R7はCnH2n+1-(ただし、nは1ないし18の整数である)もしくはCnH2n-1-(ただし、nは2ないし18の整数である)または CnH2n+1O-CkH2k-(ただし、nは1ないし18の整数である)を示し、R8は、CmH2m+1-またはCmH2m+1O-(ただし、mは1ないし18の整数である)、F、CHF2O-もしくはCF3O- を示し、kは1ないし17の整数を示し、(n+k)≦18であり、X’、Y’およびZ’の中、少なくとも一つは単結合である。また環 D’が1,4-フェニレンであり、かつ、R8がF、CHF2O-またはCF3O-であるときは1,4-フェニレンのR8に関してオルト位のHはFで置換されていてもよく、また、gが1であり、かつ、環B’もしくは環C’が1,4-フェニレンであるときは該環の側位のHはFで置換されていても良い。}。
【請求項5】吸着剤に対する吸着性が一般式(I)で表される非カイラルな化合物より大きくない化合物が一般式(III)で表される光学活性化合物である請求項1に記載の液晶組成物 。
【請求項6】 一般式(III)で表される光学活性化合物が一般式(VIII)で表される化合物である請求項5に記載の液晶組成物
【化7】

{式(VIII)において、R11はH、F、CnH2n+1-、CnH2n+1O-、CnH2n+1COO-もしくはCnH2n+1OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1COO-もしくはCnH2n-1OCO-、(ただし、nはそれぞれ独立に2ないし18の整数である)を示す。}。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶組成物を含む液晶表示素子。」

(2)先願発明
本件特許の出願前にドイツに出願された特許出願(P4224460/9、1992年7月24日出願)に基づく優先権を主張して日本に出願された特願平5-182829号の願書に最初に添付された明細書(以下、「先願明細書」という)には、実施例4として、「種々の液晶性の基本素材(A,B)をそれぞれの場合に4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼン(CCP-308*.F.F)でドープする。基本混合物は以下のような特性と組成を持っている。
【0085】
【表2】表2



得られたドーピングされた混合物のらせんピッチおよび保持率を測定し、さらにHTPをそれから計算によって求めた。混合物を引き続きアルミニウム酸化物で20分間処理し、らせんピッチおよび保持率を再測定した。この方法で得られた値はアルミニウム酸化物処理の後にドープの残余濃度を計算するために使用することができる。得られた値を表Iに示す。
【0086】
【表3】


と記載されている。

(3)対比・判断
訂正後の本件請求項1に係る発明と、上記先願明細書に記載された発明とを比較すると、上記先願明細書の実施例4に記載された「液晶性の基本素材(A,B)」は、本件請求項1に係る発明における「一般式(I)で表される非カイラルな化合物」に包含されるものであり、また、同じく上記先願明細書の実施例4に記載された「4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼン(CCP-308* .F.F)」は、本件請求項1に係る発明における「一般式(II)で表されるカイラルな化合物」に包含されるものであることから、本件請求項1に係る発明の液晶組成物は上記先願明細書の実施例4に記載された液晶組成物を含み得るものである。
しかしながら、上記訂正により、「組成物Aあるいは組成物Bに1重量%の4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼンをカイラル剤として添加した液晶組成物(組成物A、Bの具体的な組成は省略)」、すなわち先願明細書の実施例4に記載された液晶組成物が請求項1の液晶組成物から全て除かれたため、訂正後の本件請求項1に係る発明は上記先願明細書に記載された発明と同一ではない。したがって、訂正後の本件請求項1に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものではない。
また、訂正後の本件請求項2ないし請求項7に係る発明は、いずれも訂正後の本件請求項1に係る発明の構成をその主たる構成として含むものであり、上述したとおり訂正後の本件請求項1に係る発明は上記先願明細書に記載された発明と同一ではないことから、同様な理由により訂正後の本件請求項2ないし請求項7に係る発明もまた上記先願明細書に記載された発明と同一ではない。したがって、訂正後の本件請求項2ないし請求項7に係る発明は特許出願の際独立して特許を受けることができないものではない。
そして、他に訂正後の本件請求項1ないし請求項7に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとすべき理由を発見しない。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件審判請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項に規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
液晶組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記一般式(I)で表される非カイラルな化合物と、吸着剤に対する吸着性が一般式(I)で表される非カイラルな化合物より大きくない下記一般式(II)または一般式(III)で表されるカイラルな化合物からなり、液晶組成物に対する重量比が1.0%の吸着剤で精製処理した場合、らせんピッチの精製処理による変化P/P0が1.10より小さい、シアノ基含有化合物を含まないアクティブマトリックス用ネマチック液晶組成物(ここで、P0は25℃において測定した吸着剤処理前の液晶組成物のらせんピッチであり、Pは25℃において測定した吸着剤処理後の液晶組成物のらせんピッチである。)。
【化1】

{一般式(I)において、六員環A、B、CおよびDは、それぞれ独立に、トランス-1,4-シクロヘキシレン、1-シクロヘキセン-1,4-ジイルまたは1,4-フェニレンを示し、g、hおよびiは0または1を示し、(g+h+i)≧1であり、X、YおよびZはそれぞれ独立に単結合、-CH2-CH2-、-OCH2-または-CH2O-を示し、R1およびR2はそれぞれ独立にH、CnH2n+1-、CnH2n+1O-もしくはCnH2n+1-O-CkH2k-(ただし、nおよびkはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1-O-CkH2k-、CnH2n-3-、CnH2n-3O-もしくはCnH2n-3-O-CkH2k-(ただし、kは上記と同じ、nは2ないし18の整数である)を示し、(n+k)≦18であり、該式における少なくとも一つのH原子はF原子で置換されていてもよい。}
【化2】

{一般式(II)において、六員環a、b、cおよびdはそれぞれ独立に、トランス-1,4-シクロヘキシレン、1-シクロヘキセン-1,4-ジイルまたは1,4-フェニレンを示し、g、hおよびiは0または1を示し、(g+h+i)≧1であり、x、yおよびzはそれぞれ独立に単結合、-CH2-CH2-、-OCH2-または-CH2O-を示し、R3およびR4はそれぞれ独立にH、CnH2n+1-、CnH2n+1O-もしくはCnH2n+1-O-CkH2k-(ただし、nおよびkはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1-O-CkH2k-、CnH2n-3-、CnH2n-3O-もしくはCnH2n-3-O-CkH2k-(ただし、kは上記と同じ、nは2ないし18の整数である)を示し、(n+k)≦18であり、該式における少なくとも一つのH原子はF原子で置換されていてもよく、R3、R4、x、yおよびzの少なくとも一つは不斉炭素原子を有する。}
【化3】

{一般式(III)において、R5は、H、F、CnH2n+1-、CnH2n+1O-、CnH2n+1COO-もしくはCnH2n+1OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1COO-、CnH2n-1OCO-、CnH2n-3-、CnH2n-3O-、CnH2n-3COO-もしくはCnH2n-3OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に2ないし18の整数である)、あるいはCnH2n+1-Ph-COO-もしくはCnH2n+1-Ph-OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)を示し、Phは1,4-フェニレンを示し、R6はH、CnH2n+1-(ただし、nは1ないし18の整数である)もしくはCnH2n-1-(ただし、nは2ないし18の整数である)であり、環Eは唯一つの二重結合を他の環とは共有せずに有する縮合環であるか、または、5-位または6-位が炭素数1ないし18のアルキル基またはアルコキシ基で置換されても良い縮合環である。}(ただし、下記の組成物Aあるいは組成物Bに1重量%の4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼンをカイラル剤として添加した液晶組成物を除く。)


【請求項2】 前記カイラルな化合物が、一般式(II){ただし、六員環a、b、cおよびdとg、hおよびiとは前記と同じであり、x、yおよびzはそれぞれ独立に単結合、-CH2-CH2-を示し、R3およびR4はそれぞれ独立にH、CnH2n+1-、CnH2n+1O-もしくはCnH2n+1-O-CkH2k-(ただし、nおよびkはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、(n+k)≦18であり、六員環a、b、cおよびdの少なくとも一つが1,4-フェニレンを表すとき、そのフェニレン環の側位のH原子はF原子で置換されてもよい。R3およびR4の少なくとも一つのH原子はF原子で置換されてもよく、R3、R4の少なくとも一つは不斉炭素原子を有する。}で示される化合物である請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】 カイラルな化合物が下記一般式(V)で表される化合物である請求項1記載の液晶組成物
【化4】

{一般式(V)において、六員環SおよびTはトランス-1,4-シクロヘキシレンまたは1,4-フェニレンを示し、pは0または1の整数を示し、UおよびVは単結合または-CH2-CH2-を示すが同時に-CH2-CH2-であることはなく、R9はCnH2n+1-を示し、nは1ないし18の整数を示し、R10は下記の部分式(VI)で示され、
【化5】

〔一般式(VI)において、qおよびrは独立に0または1の整数を示し、mは2ないし12の整数を示し、RはF-またはCH3-を示す。式(V)において、環Tが1,4-フェニレンであるときはその2-位または3-位のHはFで置換されていてもよい。〕}。
【請求項4】 一般式(I)で示される非カイラル化合物が下記一般式(IV)で表される化合物である請求項1,2および3のいずれか1項に記載の液晶組成物
【化6】

{一般式(IV)において六員環A’、B’、C’およびD′はそれぞれ独立に、トランス-1,4-シクロヘキシレン、1-シクロヘキセン-1,4-ジイルまたは1,4-フェニレンを示し、g、hおよびiは0または1を示し、(g+h+i)≧1であり、X’、Y’およびZ’はそれぞれ独立に単結合または-CH2-CH2-を示し、R7はCnH2n+1-(ただし、nは1ないし18の整数である)もしくはCnH2n-1-(ただし、nは2ないし18の整数である)またはCnH2n+1O-CkH2k-(ただし、nは1ないし18の整数である)を示し、R8は、CmH2m+1-またはCmH2m+1O-(ただし、mは1ないし18の整数である)、F、CHF2O-もしくはCF3O-を示し、kは1ないし17の整数を示し、(n+k)≦18であり、X’、Y’およびZ’の中、少なくとも一つは単結合である。また環D’が1,4-フェニレンであり、かつ、R8がF、CHF2O-またはCF3O-であるときは1,4-フェニレンのR8に関してオルト位のHはFで置換されていてもよく、また、gが1であり、かつ、環B’もしくは環C’が1,4-フェニレンであるときは該環の側位のHはFで置換されていても良い。}。
【請求項5】 吸着剤に対する吸着性が一般式(I)で表される非カイラルな化合物より大きくない化合物が一般式(III)で表される光学活性化合物である請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項6】 一般式(III)で表される光学活性化合物が一般式(VIII)で表される化合物である請求項5に記載の液晶組成物
【化7】

{式(VIII)において、R11はH、F、CnH2n+1-、CnH2n+1O-、CnH2n+1COO-もしくはCnH2n+1OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1COO-もしくはCnH2n-1OCO-、(ただし、nはそれぞれ独立に2ないし18の整数である)を示す。}。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶組成物を含む液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は液晶表示素子用の液晶組成物およびこれを用いる液晶表示素子に関する。さらに詳しくは本発明は高信頼性を要するアクティブマトリックスの液晶表示素子用の液晶組成物に関する。
【従来の技術】
従来の液晶表示素子に用いられる液晶組成物には正もしくは負の誘電異方性を発現させるために、末端基または側鎖にCN基を有する化合物がしばしば使用されている。また、広い液晶相温度範囲を得るために、エステル基を分子内に有する化合物がしばしば使用されている。近年、液晶表示素子の応用範囲拡大に伴い、パッシブ方式、アクティブマトリックス方式等において、液晶材料の高比抵抗、液晶素子の低消費電流、高い電圧保持率等の高信頼性、ならびに表示の高コントラスト等への要求が増加しつつある。シアノ基(CN基)のような分極性の強い基を有する化合物を用いた液晶材料は誘電異方性についての寄与は大きいものの、これを用いる液晶素子はその消費電流、ひいては表示コントラストについて問題が生じている。この理由については当業者間においても明確に解明されているわけではないが、末端基または側鎖のCN基が表示素子内に存在するイオン性不純物と何らかの相互作用をすることによりその化合物を液晶素子材料に用いた場合にその電流値、比抵抗または電圧保持率ひいては表示のコントラストに悪影響を及ぼしていると考えられている。これらの問題を解決するために、近年、誘電異方性を発現させるために分子内にフッ素原子を有する化合物を主成分とする液晶材料が開発されている。(例えば特開平2-289682参照)
通常、液晶材料を表示素子に使用する場合には、素子内での液晶分子の配向性をよくするために少量のカイラル剤が混合されている。カイラル剤としては例えば後記の化合物が使われている。
【0002】
【化8】

【0003】
また、液晶材料のらせんピッチの温度依存性が異なる2種以上のカイラル化合物を混合してカイラル剤として使用し、駆動電圧の温度依存性を小さくすることが出来ることが報告されている。(特開昭63-22893)
前述の高信頼性ならびに高コントラストを要求される表示素子に使用される液晶材料は、その要求達成のために、再結晶、カラムクロマトグラフィなどによって高度に精製された液晶化合物を液晶材料の使用目的に応じて適宜溶融混合して得られる物である。そして、この液晶材料には通常カイラル剤が含まれている。これ等のカイラル剤を添加した液晶組成物は、その製造工程上から混入するイオン性不純物を取り除くためには、吸着剤等による処理やカラムクロマトグラフィによる精製が効果的である。従来好ましく用いられているカイラル剤をフッ素系の非カイラルな液晶化合物に、混合した液晶組成物を吸着剤処理もしくはカラムクロマトグラフィーにより精製する場合に、フッ素系の非カイラルな液晶化合物は従来のカイラル剤化合物よりも吸着剤或いはカラム充填剤に対する吸着性が小さいためにカイラル剤が選択的に吸着され、液晶組成物中のカイラル化合物の濃度が減少し、その結果得られる液晶材料のらせんピッチが所望の値より長くなり、素子の表示不良の原因となることがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上に述べたことから明かなように、本発明の目的は比抵抗が高く、液晶素子に使用した場合にその消費電流が小さく、また高い電圧保持率を有するような液晶材料で、吸着剤処理等による精製において材料中のカイラル化合物の濃度が大きく変化しないような液晶混合物を提供することにある。
【0005】
【課題解決するための手段】
(1) 本発明のアクティブマトリックス用ネマチック液晶組成物は以下の一般式(I)で表される非カイラルな化合物を主成分とし、吸着剤に対する吸着性がこれらの非カイラルな化合物より大きくない下記一般式(II)または一般式(III)で表される光学活性化合物をカイラル剤として含有することを特徴とする。また、本発明の液晶組成物は、液晶組成物に対する重量比が1.0%の吸着剤で精製処理した場合、らせんピッチの精製処理による変化P/P0が1.10より小さく、且つシアノ基含有化合物を含まないことも特徴とする(ここで、P0は25℃において測定した吸着剤処理前の液晶組成物のらせんピッチであり、Pは25℃において測定した吸着剤処理後の液晶組成物のらせんピッチである。)。
【0006】
【化9】

{一般式(I)において、六員環A、B、CおよびDは、それぞれ独立に、トランス-1,4-シクロヘキシレン、1-シクロヘキセン-1,4-ジイルまたは1,4-フェニレンを示し、g、hおよびiは0または1を示し、(g+h+i)≧1であり、X、YおよびZはそれぞれ独立に単結合、-CH2-CH2-、-OCH2-または-CH2O-を示し、R1およびR2はそれぞれ独立にH、CnH2n+1-、CnH2n+1O-もしくはCnH2n+1-O-CkH2k-(ただし、nおよびkはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1-O-CkH2k-、CnH2n-3-、CnH2n-3O-もしくはCnH2n-3-O-CkH2k-(ただし、kは上記と同じ、nは2ないし18の整数である)を示し、(n+k)≦18であり、該式における少なくとも一つのH原子はF原子で置換されていてもよい。}
【0007】
【化10】

{一般式(II)において、六員環a、b、cおよびdはそれぞれ独立に、トランス-1,4-シクロヘキシレン、1-シクロヘキセン-1,4-ジイルまたは1,4-フェニレンを示し、g、hおよびiは0または1を示し、(g+h+i)≧1であり、x、yおよびzはそれぞれ独立に単結合、-CH2-CH2-、-OCH2-または-CH2O-を示し、R3およびR4はそれぞれ独立にH、CnH2n+1-、CnH2n+1O-もしくはCnH2n+1-O-CkH2k-(ただし、kは上記と同じ、nは2ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1-O-CkH2k-、CnH2n-3-、CnH2n-3O-もしくはCnH2n-3-O-CkH2k-(ただし、kは上記と同じ、nは2ないし18の整数である)を示し、(n+k)≦18であり、該式における少なくとも一つのH原子はF原子で置換されていてもよく、R3、R4、x、yおよびzの少なくとも一つは不斉炭素原子を有する。}
【0008】
【化11】

{一般式(III)において、R5は、H、F、CnH2n+1-、CnH2n+1O-、CnH2n+1COO-もしくはCnH2n+1OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1COO-、CnH2n-1OCO-、CnH2n-3-、CnH2n-3O-、CnH2n-3COO-もしくはCnH2n-3OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に2ないし18の整数である)、あるいはCnH2n+1-Ph-COO-もしくはCnH2n+1-Ph-OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)を示し、Phは1,4-フェニレンを示し、R6はH、CnH2n+1-(ただし、nは1ないし18の整数である)もしくはCnH2n-1-(ただし、nは2ないし18の整数である)であり、環Eは唯一つの二重結合を他の環とは共有せずに有する縮合環であるか、または、5-位または6-位が炭素数1ないし18のアルキル基またはアルコキシ基で置換されても良い縮合環である。}(ただし、下記の組成物Aあるいは組成物Bに1重量%の4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼンをカイラル剤として添加した液晶組成物を除く。)。
【0009】


【0010】
本発明の一般式(I)で示される非カイラル化合物として、下記一般式(IV)で表される化合物があげられる。
【0011】
【化12】

{一般式(IV)において六員環A’、B’、C’およびD′はそれぞれ独立に、トランス-1,4-シクロヘキシレン、1-シクロヘキセン-1,4-ジイルまたは1,4-フェニレンを示し、g、hおよびiは0または1を示し、(g+h+i)≧1であり、X’、Y’およびZ’はそれぞれ独立に単結合または-CH2-CH2-を示し、R7はCnH2n+1-(ただし、nは1ないし18の整数である)もしくはCnH2n-1-(ただし、nは2ないし18の整数である)またはCnH2n+1O-CkH2k-(ただし、nは1ないし18の整数である)を示し、R8は、CmH2m+1-またはCmH2m+1O-(ただし、mは1ないし18の整数である)、F、CHF2O-もしくはCF3O-を示し、kは1ないし17の整数を示し、(n+k)≦18であり、X’、Y’およびZ’の中、少なくとも一つは単結合である。また環D’が1,4-フェニレンであり、かつ、R8がF、CHF2O-またはCF3O-であるときは1,4-フェニレンのR8に関してオルト位のHはFで置換されていてもよく、また、gが1であり、かつ、環B’もしくは環C’が1,4-フェニレンであるときは該環の側位のHはFで置換されていても良い。}。
【0012】
本発明の組成物の成分として、一般式(II)で示される好ましいカイラルな化合物は、{一般式(II)において、六員環a、b、cおよびdとg、hおよびiとは前記と同じであり、x、yおよびzはそれぞれ独立に単結合、-CH2-CH2-を示し、R3およびR4はそれぞれ独立にH、CnH2n+1-、CnH2n+1O-もしくはCnH2n+1-O-CkH2k-(ただし、nおよびkはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、(n+k)≦18であり、六員環a、b、cおよびdの少なくとも一つが1,4-フェニレンを表すとき、そのフェニレン環の側位のH原子はF原子で置換されてもよい。R3およびR4の少なくとも一つのH原子はF原子で置換されてもよく、R3、R4の少なくとも一つは不斉炭素原子を有する。}で示される化合物である。
【0013】
本発明の組成物の成分として、一般式(II)で示されるさらに好ましいカイラルな化合物は、下記一般式(V)で表される化合物である。
【化13】

{一般式(V)において、六員環SおよびTはトランス-1,4-シクロヘキシレンまたは1,4-フェニレンを示し、pは0または1の整数を示し、UおよびVは単結合または-CH2-CH2-を示すが同時に-CH2-CH2-であることはなく、R9はCnH2n+1-を示し、nは1ないし18の整数を示し、R10は下記の部分式(VI)で示され、
【0014】
【化14】

〔一般式(VI)において、qおよびrは独立に0または1の整数を示し、mは2ないし12の整数を示し、RはF-またはCH3-を示す。式(V)において、環Tが1,4-フェニレンであるときはその2-位または3-位のHはFで置換されていてもよい。〕}。
【0015】
本発明の組成物の成分として、一般式(III)で示される好ましいカイラルな化合物は、下記一般式(VIII)で表される化合物である。
【0016】
【化15】

{式(VIII)において、R11はH、F、CnH2n+1-、CnH2n+1O-、CnH2n+1COO-もしくはCnH2n+1OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1COO-もしくはCnH2n-1OCO-、(ただし、nはそれぞれ独立に2ないし18の整数である)を示す。}。本発明の液晶素子は、前記液晶組成物を含むものである。
【0017】
【化16】

【0018】
【化17】

【0019】
【化18】

【0020】
【化19】

【0021】
【化20】

【0022】
【化21】

【0023】
【化22】

【0024】
【化23】

【0025】
【化24】

【0026】
【化25】

【0027】
【化26】

【0028】
これらの式においてnおよびmは1ないし18の整数を示し、(n+m)は2ないし20である。これらの一般式で表される化合物の中では、末端基として極性基を有する化合物が好ましく用いられる。末端基として極性基を有し、2個の六員環を有する化合物の中では例示した式中のnが2ないし14である物が好ましく、nが3ないし8である物がより好ましい。また、極性基を有し、3個の六員環を有する化合物の中では前記の式中でnが2ないし10である物が好ましく、nが2ないし5である物がさらに好ましい。式(I)で表される化合物は、分子内にシリカゲル等の吸着剤に対する吸着性が大きくない官能基(例えばフッ素等のハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基等)のみを有する物である。液晶素子の材料として用いる場合に、高い電圧保持率を示すには、式(I)の液晶化合物が極性基として、F、Cl等のハロゲン原子だけかまたはエーテル結合に限られる官能基(例えば、F及びCF3O-)を炭素ー炭素結合および炭素ー水素結合の外に有することは望ましい。
【0029】
前記の一般式群において末端に極性基を有しない化合物の中では、3個の六員環を有する物にあっては、nまたはmが2ないし10である物が好ましく、(n+m)が3ないし7である物がより好ましい。また、2個の六員環を有する物にあっては、nまたはmが2ないし14である物が好ましく、(n+m)が3ないし7である物がより好ましい。本発明において、式(I)で表される成分と吸着性がほぼ同程度であるかもしくはより小さい化合物として、式(II)または式(III)で表される光学活性化合物を用いることができる。式(II)の化合物としては、以下の一般式で表される光学活性化合物を好ましい成分化合物として例示することができる。
【0030】
【化27】

【0031】
【化28】

【0032】
【化29】

【0033】
また、式(III)で表わされる化合物の中では、次ぎの式で表わされる化合物が好ましく用いられる。
【化30】

{式(VII)において、R11はH、F、CnH2n+1-、CnH2n+1O-、CnH2n+1COO-もしくはCnH2n+1OCO-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-、CnH2n-1O-、CnH2n-1COO-もしくはCnH2n-1OCO-、(ただし、nはそれぞれ独立に2ないし18の整数である)を示し、R12はCnH2n+1-(ただし、nはそれぞれ独立に1ないし18の整数である)、またはCnH2n-1-(ただし、nはそれぞれ独立に2ないし18の整数である)を示す。}。 これらの化合物の中では、式(VII)でR12が1,5-ジメチルヘキシルである式(VIII)の化合物が好ましく用いられる。
【0034】
【化31】

【0035】
式(VIII)で表されるカイラル化合物の中では、該式でR11が炭素数3ないし9のアルキルオキシ基または炭素数2ないし9のアルカノイルオキシ基である化合物が好ましく、該式でR11がC7H15O-またはC8H17COO-である化合物がより好ましい。後述するように極性基としてカルボン酸エステル構造(例えばアルカノイルオキシ基)を有するカイラル化合物は吸着性の面からは好ましくないと言うのが一般的であるが、式(III)の化合物のように分子量の大きさに対してエステル結合の数が少ない物は本発明でカイラル剤として用いることができる。
【0036】
次ぎに、例をあげて本発明を説明する。 トランス-4-(トランス-4-エチルシクロヘキシル)-1-(3,4-ジフロロフエニル)シクロヘキサン、トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)-1-(3,4-ジフロロフエニル)シクロヘキサン、およびトランス-4-(トランス-4-ペンチルシクロヘキシル)-1-(3,4-ジフロロフエニル)シクロヘキサンの等重量混合物からなる液晶混合物Aを調製し、この混合物Aにカイラル剤として光学活性トランス-4-(トランス-4-ヘキシルオキシシクロヘキシル)-1-[4-(1-メチルヘプチルオキシ)フエニル)]シクロヘキサン(化合物aと略称する)を1重量%混合して本発明であるカイラルネマチック液晶混合物A-1を調製する。混合物A-1の25℃におけるらせんピッチP0および電圧保持率はそれぞれ72.5μm、および98.5%であった。比較のため、カイラル剤として従来から使用されている光学活性4-(4-ヘキシルオキシベンゾイルオキシ)安息香酸1-メチルヘプチルエステル(化合物bと略称する)を1重量%混合物Aに混合してカイラルネマチック液晶混合物A-2を調製した。この混合物A-2の25℃におけるらせんピッチP0および電圧保持率はそれぞれ8.6μmおよび98.3%であった。カイラルネマチック液晶混合物A-1およびA-2に吸着剤(シリカゲル50%以上含有する)を混合物重量に対してそれぞれ1.0%、3.0%、および10.0%添加して処理した後、25℃においてそのらせんピッチPを測定し、らせんピッチの精製処理による変化をP/P0にて表1に示す。精製処理は吸着剤を添加した後室温で約24時間撹拌した後、吸着剤を濾別する方法で行った。
【0037】
【表1】

【0038】
表1の混合物A-1は、式(I)で示される非カイラル化合物の液晶A混合物と式(II){式(V)}に含まれるカイラル化合物aとからなる本発明の液晶組成物である。また、混合物A-2は式(I)で示される非カイラル化合物の液晶A混合物と本発明に規定されていないカイラル剤とを用いた液晶組成物である。表1から明らかなように本発明の液晶組成物である混合物A-1においては、らせんピッチの延長は殆どないが、本発明に規定されていないカイラル剤を用いた液晶組成物である混合物A-2においては著しいらせんピッチの延長が生じている。前記式(V-08)、(V-10)、(V-15)、(V-19)で示される化合物は、上記化合物aと同様に使用して同様の効果が期待できる。次ぎに、従来使用されているカイラル剤化合物bは本発明の主成分をなす(I)の化合物に混合した場合には精製処理によりらせんピッチの延長が起きるが、式(I)の化合物以外の非カイラルな液晶化合物に混合した場合には吸着剤による精製処理によってもかかるピッチの延長は生じないことを参考に示そう。トランス-4-プロピル-1-(4-シアノフェニル)シクロヘキサン30部、トランス-4-ペンチル-1-(4-シアノフェニル)シクロヘキサン40部およびトランス-4-ヘプチル-1-(4-シアノフェニル)シクロヘキサン30部からなるシアノ系ネマチック液晶混合物Bおよびトランス-4-プロピルシクロヘキサンカルボン酸4-ブトキシフエニルエステル16部、トランス-4-ブチルシクロヘキサンカルボン酸4-エトキシフエニルエステル12部、トランス-4-ペンチルシクロヘキサンカルボン酸4-メトキシフエニルエステル12部、トランス-4-プロピルシクロヘキサンカルボン酸4-エトキシフエニルエステル10部およびトランス-4-ペンチルシクロヘキサンカルボン酸4-エトキシフエニルエステル8部からなるエステル系ネマチック混合物Cを調製し、混合物Bおよび混合物Cに前記のカイラル剤化合物bをそれぞれ1重量%混合してカイラルネマチック混合物B-1および混合物C-1を調製した。これらのカイラルネマチック混合物B-1および混合物C-1の25℃におけるらせんピッチP0はそれぞれ8.1μmおよび9.4μmであった。これらのカイラルネマチック混合物を混合物A-1と同様に吸着剤処理した後のらせんピッチPおよびP/P0を電圧保持率とともに表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
表2の結果から、シアノ系混合物B-1及びエステル系混合物C-1はフッ素系混合物A-2に比べて電圧保持率の低下が著しく大きいが、吸着剤処理の精製操作によってらせんピッチが延長することは殆ど生じていない。フッ素系混合物におけるらせんピッチの延長は、ネマチック混合物Aに比べてカイラル剤化合物bが極めて吸着性が大きいために生じたものである。混合物Bや混合物Cの成分化合物はカイラル剤化合物bに比べて吸着性に大きな違いがないかまたは化合物bよりも大きな吸着性を持つために得られるネマチック混合物のらせんピッチが殆ど延長しないものと判断できる。すなわち、-CN基やカルボン酸エステル構造を官能基として有する化合物は、得られる液晶素子の電圧保持率を高く維持するという観点からは本発明の非カイラルな成分として不適当である。同様にこれらのCN基やエステル基等の官能基を有するカイラルな化合物は吸着性が大きいために、更にまた電圧保持率の観点からも本発明のカイラルな成分としては一般的に言って望ましくない。
【0041】
本発明は、電圧保持率の極めて高い混合物Aの成分化合物ならびにこれと同様に高い電圧保持率を示す化合物の特徴を生かし、かつシリカゲル等の吸着剤に対してこれらの電圧保持率の極めて高い非カイラルな化合物よりも吸着性が大きくないカイラル剤化合物をこれらの非カイラルな化合物に組合わせることにより、吸着剤による精製処理にも好適なカイラルネマチック混合物を提供しようとするものである。次に式(III)で示されるカイラル剤化合物が本発明の成分として好ましいことを例をあげて説明する。以下の式(IX)および(X)で表されるカイラル剤化合物を別々に前記の混合物Aに1重量%添加してカイラルネマチック混合物A-3および混合物A-4をそれぞれ調製し、その電圧保持率ならびに吸着剤処理後のらせんピッチの変化を前述の混合物A-2と比較した結果を表3に示す。
【0042】
【化32】

【0043】
【表3】

【0044】
表3から、式(X)の化合物はエステル化合物であっても混合物Aの成分に比べて著しく大きな分子量を有し吸着性がフッ素系化合物とほぼ同程度であることから本発明の組成物の成分として好ましく用いられる。
【0045】
【実施例】
以下に実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の実施例および比較例において電圧保持率は、液晶セルに5V、60μsecのパルスを印加し1/60sec間の保持電圧をCRTオシロスコープを用いて面積法により求め、1/60sec間に電圧降下がない場合の面積に対する保持電圧の面積の割合を電圧保持率とした。また、らせんピッチの測定はカノーのくさび法により行なった。
【0046】
実施例 1
以下の三つの式で示される化合物の等重量混合物であるネマチック混合物Aにカイラル剤化合物として次式の光学活性化合物cを1重量%添加してカイラルネマチック液晶混合物A-5を調製した。
【0047】
ネマチック混合物A
【化33】

【0048】
カイラル剤化合物c
【化34】

この液晶混合物A-5の電圧保持率および吸着剤により処理した後のらせんピッチの変化を表4に示す。このカイラル剤化合物cに代えて、前記式(V-09)で示される化合物、さらにより吸着性の小さい式(II)の化合物を使用して液晶混合物A-5に準じた本発明の液晶組成物を得ることができる。
【0049】
比較例 1
実施例1におけるカイラル剤化合物cに代えて以下の式で示される光学活性化合物dを1重量%ネマチック液晶混合物Aに添加して混合物A-6を調製した。この混合物の電圧保持率および吸着剤処理後のらせんピッチを表4に実施例1の結果と共に示す。
【0050】
【化35】

【0051】
【表4】

【0052】
実施例2
以下の化合物からなる液晶組成物N1を調製した。この組成物の透明点は80.6℃、屈折率異方性値は0.090であった。この組成物に式(II)もしくは式(V)に相当する次式で示されるカイラル剤化合物eを0.1重量%を混合してカイラルネマチック液晶組成物N1-1を調製した。この組成物N1-1の電圧保持率および吸着剤処理後のらせんピッチの変化を表5に示す。
【0053】
組成物N1
【化36】

【0054】
カイラル剤化合物e
【化37】

このカイラル剤化合物eに代えて、前記式(V-11)〜(V-14)、(V-16)、(V-17)および(V-18)に示される群から選ばれた化合物が使用できる。さらに該化合物より置換基および環が増加した式(II)に含まれる化合物は分子量が大きくなるので吸着性が小さくなり[0044]に記載のように使用できる。
【0055】
比較例2
実施例2で調製した非カイラルな液晶混合物N1に次式で示されるCN基を有するカイラル剤化合物fを1重量%混合してカイラルネマチック液晶組成物を調製した。この物の特性を実施例2と同様に測定して、その結果を実施例2の結果と共に表5に示す。カイラル剤化合物fはCN基を有するために吸着性が大きいので、これを使用した比較例2の液晶組成物は、電圧保持率は低く、ピッチ変化率も大きくらせんピッチの延長が生じていることがわかる。これに対して、式(II)もしくは(V)に相当する前記カイラル剤化合物eを含む本発明の液晶組成物N1-1(実施例2)の結果は、電圧保持率も高く、ピッチ変化率は小さく、らせんピッチの延長がない。
【0056】
【化38】

【0057】
【表5】

【0058】
実施例 3
以下の式で表される化合物群からなる液晶混合物N2を調製した。この物に実施例2で用いたカイラル剤化合物eを0.23重量%混合して液晶組成物N2-1を調製した。この物の電圧保持率および吸着剤処理後のらせんピッチを表6に示す。
【0059】
【化39】

【0060】
実施例 4
以下の式で示される化合物群からなる液晶混合物N3を調製し、実施例1で用いたカイラル化合物cを0.3重量%混合してカイラルネマチック液晶組成物N3-1を調製した。この物の特性値を実施例3の結果と共に表6に示す。
【0061】
【化40】

【0062】
実施例 5
以下の式で表される化合物群からなる液晶混合物N4を調製し、これに下記の式で示されるカイラル剤化合物gを0.3重量%混合してカイラルネマチック液晶組成物N4-1を調製した。この物の特性を表6に示す。
【0063】
液晶混合物N4
【化41】

【0064】
【化42】

【0065】
カイラル剤化合物g
【化43】

【0066】
実施例 6
下の式で表される化合物群からなるネマチック液晶混合物N5を調製し、この混合物に実施例2で使用したカイラル剤化合物eを1重量%混合してカイラルネマチック液晶組成物N5-1を調製した。カイラルネマチック組成物の電圧保持率、および吸着剤処理によるらせんピッチの変化を表6に示す。
【0067】
【化44】

【0068】
実施例 7
一般式(I)で示される以下の化合物群からなる液晶混合物N6を調製した。この混合物に実施例2で使用したカイラル化合物eを0.2重量%混合してカイラルネマチック組成物N6-1を調製した。この組成物の特性を表6に示す。
【0069】
液晶混合物N6
【化45】

【0070】
実施例 8
以下の化合物10重量部を実施例1で調製したネマチック混合物A90重量部に混合してネマチック混合物N7を調製した。この液晶混合物に次の式で示されるカイラル化合物hを1.0重量%添加してカイラルネマチック組成物N7-1を調製した。その特性値を表6に示す。
【0071】
ネマチック混合物N7
【化46】

【0072】
カイラル化合物h
【化47】

このカイラル化合物hに代えて、前記式(V-1)〜(V-7)に示される群から選ばれた化合物が使用できる。
【0073】
実施例 9
以下の化合物群からなるネマチック混合物N8を調製し、実施例2で使用したカイラル化合物eを0.2重量%混合してカイラルネマチック液晶組成物N8-1を調製した。この組成物の特性値を表6に示す。
【0074】
【化48】

【0075】
【化49】

【0076】
実施例 10
以下の化合物群からなるネマチック混合物N9を調製し、次式のカイラル化合物iと化合物hとをそれぞれ0.10重量%と0.50重量%混合してカイラルネマチック組成物N9-1を調製した。この物の特性値を表6に示す。
【0077】
混合物N9
【化50】

【0078】
カイラル化合物iおよびカイラル化合物j
【化51】

【0079】
【表6】

【0080】
【発明の効果】
以上に述べたように、本願発明の液晶組成物は電圧保持率が高く、かつ、シリカゲル等を用いた吸着処理またはこれらを充填剤としたカラムクロマトグラフィーによる精製処理によってそのカイラルピッチが延長することが殆どない液晶材料である。
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許第2965229号発明の明細書を、下記のとおり訂正する。
1.特許請求の範囲の請求項1(特許公報第1頁第2欄第2行参照)に、
「からなる液晶組成物。」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「からなり、液晶組成物に対する重量比が1.0%の吸着剤で精製処理した場合、らせんピッチの精製処理による変化P/P0が1.10より小さい、シアノ基含有化合物を含まないアクティブマトリックス用ネマチック液晶組成物(ここでP0は25℃において測定した吸着剤処理前の液晶組成物のらせんピッチであり、Pは25℃において測定した吸着剤処理後の液晶組成物のらせんピッチである。)。」と訂正する。
2.特許請求の範囲の請求項1(特許公報第2頁第3欄第45行参照)に、
「置換されても良い縮合環である。}」とあるのを、特許請求の範囲の減縮を目的として、
「置換されても良い縮合環である。}(ただし、下記の組成物Aあるいは組成物Bに1重量%の4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼンをカイラル剤として添加した液晶組成物を除く。)


」と訂正する。
3.明細書段落【0001】中(特許公報第3頁第5欄第44〜45行参照)に、
「パッシブ方式およびアクティブマトリックスの」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「アクティブマトリックスの」と訂正する。
4.明細書段落【0005】(特許掲載公報第4頁第8欄第5〜11行参照)に、
「(1)本発明の液晶組成物は以下の一般式(I)で表される非カイラルな化合物を主成分とし、吸着剤に対する吸着性がこれらの非カイラルな化合物より大きくない下記一般式(II)または一般式(III)で表される光学活性化合物をカイラル剤として含有することを特徴とする。」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「(1)本発明のアクティブマトリックス用ネマチック液晶組成物は以下の一般式(I)で表される非カイラルな化合物を主成分とし、吸着剤に対する吸着性がこれらの非カイラルな化合物より大きくない下記一般式(II)または一般式(III)で表される光学活性化合物をカイラル剤として含有することを特徴とする。また、本発明の液晶組成物は、液晶組成物に対する重量比が1.0%の吸着剤で精製処理した場合、らせんピッチの精製処理による変化P/P0が1.10より小さく、且つシアノ基含有化合物を含まないことも特徴とする(ここでP0は25℃において測定した吸着剤処理前の液晶組成物のらせんピッチであり、Pは25℃において測定した吸着剤処理後の液晶組成物のらせんピッチである。)。」と訂正する。
5.明細書段落【0008】中(公報第5頁第9欄第1行参照)に、
「置換されても良い縮合環である。}」とあるのを、明りょうでない記載の釈明を目的として、
「置換されても良い縮合環である。}(ただし、下記の組成物Aあるいは組成物Bに1重量%の4-[トランス-4-(トランス-4-プロピルシクロヘキシル)シクロヘキシル]-1-(1-メチルヘプチルオキシ)-2,6-ジフルオロベンゼンをカイラル剤として添加した液晶組成物を除く。)


」と訂正する。
審決日 2002-11-06 
出願番号 特願平4-360271
審決分類 P 1 41・ 856- Y (C09K)
P 1 41・ 853- Y (C09K)
P 1 41・ 851- Y (C09K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡辺 陽子  
特許庁審判長 鐘尾 みや子
特許庁審判官 後藤 圭次
西川 和子
登録日 1999-08-13 
登録番号 特許第2965229号(P2965229)
発明の名称 液晶組成物  
代理人 吉見 京子  
代理人 吉見 京子  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ