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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する D03D |
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管理番号 | 1072426 |
審判番号 | 訂正2002-39179 |
総通号数 | 40 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-02-25 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2002-09-02 |
確定日 | 2002-10-25 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3018409号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3018409号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.請求の要旨 本件審判の請求の要旨は、特許第3018409号発明(平成2年6月27日特許出願、平成12年1月7日設定登録)の明細書を、審判請求書に添付した訂正明細書のとおり、すなわち、下記訂正事項1ないし訂正事項3のとおり訂正することを求めるものである。 2.訂正の内容 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を下記のとおりに訂正する。 「ナイロン織物を製造するにあたって、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(△n)0.03〜0.045、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)35〜45d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、仕上径・緯密度の和が280〜340本/インチとなるように製織し、且つ を満たすように製織することを特徴とする柔軟なナイロン織物の製造方法。」 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を下記のとおりに訂正する。 「ナイロン織物を製造するにあたって、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(△n)0.03〜0.045、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)45〜60d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、仕上径・緯密度の和が250〜300本/インチとなるように製織し、且つ を満たすように製織することを特徴とする柔軟なナイロン織物の製造方法。」 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を下記のとおりに訂正する。 「ナイロン織物を製造するにあたって、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(△n)0.03〜0.045、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)60〜80d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、仕上径・緯密度の和が210〜270本/インチとなるように製織し、且つ を満たすように製織することを特徴とする柔軟なナイロン織物の製造方法。」 3.訂正の適否の判断 そこで、これらの訂正事項1ないし訂正事項3について検討する。 訂正前の特許明細書の特許請求の範囲請求項1には、「ナイロン織物を製造するにあたって、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(△n)0.03〜0.045、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)35〜80d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、・・・、」と記載され、本件発明のナイロン織物を製造するのに用いるナイロンマルチフィラメントのトータルデニールが、トータルデニール(D1)35〜80dのものを少なくとも経糸とするとしながら、「前記D1が35〜45dであるときには、仕上径・緯密度の和が280〜340本/インチとなるように製織し」と記載しており、最終的に用いるトータルデニールを35〜45dのときに限定しているため、訂正前の請求項1は、トータルデニールが35〜45d以外の範囲のナイロンマルチフィラメントが使用されるのか、使用されないのか、明りょうでなく、全体して如何なるトータルデニールのナイロンマルチフィラメントが用いられているのか、明りょうでなかった。 訂正事項1の訂正は、請求項1で使用するナイロンフィラメントのトータルデニールを、請求項1及び特許明細書に記載されている、35〜45dのものに明確化しようとするものであるから、上記訂正事項1の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものである。 訂正前の特許明細書の特許請求の範囲請求項2には、「ナイロン織物を製造するにあたって、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(△n)0.03〜0.045、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)35〜80d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、・・・、」と記載され、本件発明のナイロン織物を製造するのに用いるナイロンマルチフィラメントのトータルデニールが、トータルデニール(D1)35〜80dのものを少なくとも経糸とするとしながら、「前記D1が45〜60dであるときには、仕上径・緯密度の和が250〜300本/インチとなるように製織し」と記載しており、最終的に用いるトータルデニールを45〜60dのときに限定しているため、訂正前の請求項2は、トータルデニールが45〜60d以外の範囲のナイロンマルチフィラメントが使用されるのか、使用されないのか、明りょうでなく、全体して如何なるトータルデニールのナイロンマルチフィラメントが用いられているのか、明りょうでなかった。 訂正事項2の訂正は、請求項2で使用するナイロンフィラメントのトータルデニールを、請求項2及び特許明細書に記載されている、45〜60dのものに明確化しようとするものであるから、上記訂正事項2の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものである。 訂正前の特許明細書の特許請求の範囲請求項3には、「ナイロン織物を製造するにあたって、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(△n)0.03〜0.045、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)35〜80d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、・・・、」と記載され、本件発明のナイロン織物を製造するのに用いるナイロンマルチフィラメントのトータルデニールが、トータルデニール(D1)35〜80dのものを少なくとも経糸とするとしながら、「前記D1が60〜80dであるときには、仕上径・緯密度の和が210〜270本/インチとなるように製織し」と記載しており、最終的に用いるトータルデニールを60〜80dのときに限定しているため、訂正前の請求項3でトータルデニールが60〜80d以外の範囲のナイロンマルチフィラメントが使用されるのか、使用されないのか、明りょうでなく、全体して如何なるトータルデニールのナイロンマルチフィラメントが用いられているのか、明りょうでなかった。 訂正事項3の訂正は、請求項3で使用するナイロンフィラメントのトータルデニールを、請求項3及び特許明細書に記載されている、60〜80dのものに明確化しようとするものであるから、上記訂正事項3の訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内のものである。 そして、上記各訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。 4.むすび したがって、本件審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号。以下「平成6年改正法」という。)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年改正法による改正前の特許法第126条第1項ただし書き、第2項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 柔軟なナイロン織物の製造方法 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】ナイロン織物を製造するにあたって、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(Δn)0.03〜0.045、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)35〜45d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、仕上径・緯密度の和が280〜340本/インチとなるように製織し、且つ を満たすように製織することを特徴とする柔軟なナイロン織物の製造方法。 【請求項2】ナイロン織物を製造するにあたって、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(Δn)0.03〜0.045、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)45〜60d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、仕上径・緯密度の和が250〜300本/インチとなるように製織し、且つ を満たすように製織することを特徴とする柔軟なナイロン織物の製造方法。 【請求項3】ナイロン織物を製造するにあたって、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(Δn)0.03〜0.045、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)60〜80d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、仕上径・緯密度の和が210〜270本/インチとなるように製織し、且つ を満たすように製織することを特徴とする柔軟なナイロン織物の製造方法。 【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はナイロンマルチフィラメントからなる柔軟な織物の製造方法に関するものであり、本発明により製造される織物は軽量で柔軟性があり、しかも通気性や耐水性等の機能性に富んでいるので、ダウン側地やスポーツウェア等に最適である。尚本発明に使用されるナイロンとしては6-ナイロン、6,6-ナイロン、4,6-ナイロン等の各種ナイロンが例示される。 [従来の技術] ダウンウェア等に適した織物としては、軽量で柔軟性を有し、通気性や耐水性等機能性に優れたものが望まれる。このような織物は細デニールのマルチフィラメントを高密度に織り上げることによって得られるが、紡速1000m/分以下で巻取り、次いで延伸工程へ供されてなる従来のFDYを用いた場合は細デニールのものをマルチ化しようとしても単糸デニールが1.5d以下の細い糸では原糸に紡糸過程で生じる毛羽やループの為に製織性が低下し、十分満足できる製品が得られていない。更に、方射型や海島型と言われる複合糸を細化した極細糸を用いる方法もあるが、製糸や後加工に費用がかかりすぎ実用的でない。 [発明が解決しようとする課題] 本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、柔軟・軽量で且つ通気性・耐水性等の機能性に優れた織物を提供しようとするものである。 [課題を解決するための手段] 本発明の柔軟なナイロン織物の製造方法は、3500m/分以上の巻取速度で紡糸された複屈折率(△n)0.03〜0.45、伸度(DE)40〜60%、トータルデニール(D1)35〜80d、単糸デニール(D2)0.4〜1.5dのナイロンマルチフィラメントを少なくとも経糸に用いて、前記D1が35〜45dのときには、仕上経・緯密度の和が280〜340本/インチ、前記D1が45〜60dのときには、仕上経・緯密度の和が250〜300本/インチ、前記D1が60〜80dのときには、仕上経・緯密度の和が210〜270本/インチとなるように製織し、且つ を満たすように製織することに要旨がある。 [作用] 前述した様に従来のFDYでは得られた糸は捲取速度が遅いので、糸班や毛羽,ループが存在し、糸デニールの糸を高密度に織り上げることは難しい。従って捲取速度が3500m/分以上の高速紡糸により得られた糸を用いる必要がある。 複屈折率(Δn)は0.03〜0.045とする必要がある。Δnが0.03より小さい場合には製織性が悪くなり、Δnが0.045より大きい場合には製糸性が低下し、チーズの捲形状が悪くなる。 伸度は40〜60%をする必要がある。40%未満の場合にはチーズの捲形状が悪く、60%を越える場合には物理的な力を受け易く、工程通過性及び製織性が悪くなり、得られた製品も経筋が入り品位が低下する。 トータルデニール(D1)は35〜80dとする必要がある。35d以下の場合には、製織性が劣化するだけでなく、織物の強度も低下する。また80d以上の場合には、織物の風合が粗硬となりソフト感が低下する。 単糸デニール(D2)は0.4〜1.5dとする必要がある。単糸デニールが小さい方が柔軟であり好ましいが0.4d未満であると、製糸及び加工に費用がかかりすぎる。また1.5d以上であると、太くなりすぎて柔軟性が劣化する。より好ましい単糸デニール0.5〜1.5dである。 破断強力は(DT)≧4.5g/dとすることが好ましい。破断強力が4.5g/d未満の場合には製織性が低下し、糸切れも発生しやすくなるので、品位が低下する。尚より好ましくは4.5〜7.5である。 糸断面は丸断面、三角断面、多角断面、扁平断面等の如何は問わないが、異形断面の場合の異形度は1.0〜4.0であることが好ましい。酸化チタンの量は0〜3.0wt%であることが好ましく、より好ましいのは0〜2.0wt%である。 TiO2の平均粒径は0.1〜0.4μとすることが好ましい。0.4μを超える場合は光輝性が低下するので好ましくない。また0.1μ以下とすることは技術的に難しく、費用の面で好ましくない。尚より好ましくは0.3〜0.4μである。また交絡度は糸がまとまる程度であれば少ない方が良く、好ましくは1〜40個/mである。 本発明において以上の要件を少なくとも経糸に用いて下記の条件を満たすように製織する必要がある。 D1が35〜45dのときには、仕上経・緯密度の和が280〜340本/インチ、 D1が45〜60dのときには、仕上経・緯密度の250〜300本/インチ、 D1が60〜80dのときには、仕上経・緯密度の和が210〜270本/インチ 550≦x≦1320但し 尚、経糸・緯糸のデニールが異なる場合はD1は細い方のデニールとし、太い方の仕上密度を次式で換算して密度の和を求める。 A …太デニール B…細デニール A´…太デニールの仕上密度 B´…細デニールの仕上密度 またここでいう仕上密度はフラット仕上時をいい、しわ加工等では当然この密度を越えてもよい。 上記550≦x≦1320はトータルデニール(D1)と仕上経・緯密度の適正な範囲を示す式で、この範囲であれば、軽量で柔軟であり、且つ通気性・耐水性等の機能性に富んだ織物が得られるが、xが550よりも小さい時は密度が荒くスリップし易く、通気性等の機能性が得られない。また1320よりも大きい時は密度が込み過ぎ織りづらくなり、粗硬な生地となる。尚特に好ましいトータルデニールとフィラメント数と仕上経・緯密度の和との組み合せは下記の通りである。 製織は糊付製織、無糊製織どちらでもよいが、ウォータージェットルームで製織するのがコスト及び品質面から好ましい。組織は特に限定されないが通気性や耐水性等から平織或は2/1ツイル等が好ましい。 製織後の染色・加工は通常通りでよいが、カレンダー加工を施すことで機能性・風合・光沢を著しく向上させることができる、更に浸漬や含浸、スプレーによる撥水加工の他、各種のコーティング、ラミネート加工等を施すことにより、機能性を充実させることができる。 [実施例] 下記第2表に示される区分の糸を用いて種々の織物を作成した。 但し、夫々TiO2は0.3wt%、糸異型度は1.0であった。 製織にあたって、経・緯には同一の糸を用い、トータルデニールが50dの場合は生機密度経170×緯105(本/インチ)仕上密度経178×緯107(本/インチ),トータルデニールが110dの場合は生機密度経142×緯88(本/インチ)、仕上密度経148×緯100(本/インチ)となるように着糊量7%のウォータージュットルーム500rpm/mで製織した。その後ジッガーによる精練リラックスを施し、染色・脱水・セット後、カレンダー加工(120℃,25Kg/cm2,20m/分)及び撥水加工を施した。夫々の織物の製織の際の経糸による停台回数、加工品位、通気度、耐水圧及び風合を調べ総合評価と共に第3表に示した。尚、通気度はJIS 1096 A法により、耐水圧はJIS 1092 A法により測定し、加工品位は経糸・緯糸の品位を目視で判定し、風合は触れた時の柔軟性で評価した。 第3表に示されるように本発明の要件を満たす実施例1〜3は品位及び風合が良く、通気性及び耐水性にも優れている。一方、比較例4〜6は紡糸速度の遅いFDYを用いているのでけば立ちやループが数多く存在し風合が悪い。また比較例5は単糸デニールが細いFDYを無交絡で使用しているので、停台回数も多く実用には不向きである。比較例7は単糸デニールが1.7dを越えており、風合及び耐水性が悪く、比較例8はトータルデニールが90dを越えているので風合が粗硬になった。比較例9は伸度の大きい糸を用いているので停台回数が多く、経筋等のため加工品位も悪い。 参考例 先に示した実施例の区分A及びDの糸を用い生機密度T130×W150(本/インチ)、仕上密度T142×W108の平織物を作成し、その後カレンダー加工を同一面に2回施した以外は実施例と同様に処理した。結果を第4表に示す。 参考例1〜3に使用した糸は実施例1、比較例7、比較例4と夫々対応するが、参考例1は粗な仕上密度であってもカレンダー加工を2回施すことによって、かなりの耐水性を維持している。 [発明の効果] 本発明は以上の様に構成されており、軽量・柔軟で通気性や耐水性等機能性に優れた織物を安価に得ることができるようになった。また上記織物は染色性も良く、各種コーティング・ラミネート・ゴム引き等の加工を施しても柔軟な風合を維持することができる優れた織物である。 |
訂正の要旨 |
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2002-10-08 |
結審通知日 | 2002-10-11 |
審決日 | 2002-10-22 |
出願番号 | 特願平2-171086 |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(D03D)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
石井 淑久 |
特許庁審判官 |
高梨 操 須藤 康洋 |
登録日 | 2000-01-07 |
登録番号 | 特許第3018409号(P3018409) |
発明の名称 | 柔軟なナイロン織物の製造方法 |
代理人 | 藤井 淳 |
代理人 | 藤井 淳 |
代理人 | 小原 健志 |
代理人 | 掛樋 悠路 |
代理人 | 三枝 英二 |
代理人 | 掛樋 悠路 |
代理人 | 小原 健志 |
代理人 | 三枝 英二 |