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審決分類 審判 全部無効 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 無効とする。(申立て全部成立) H01H
管理番号 1072762
審判番号 無効2001-35163  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1983-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-04-16 
確定日 2003-03-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第1730090号発明「センサ―スイツチ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第1730090号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第1730090号に係る発明についての出願は、昭和57年5月22日に出願された実願昭57-75500号を昭和58年2月19日に特願昭58-26594号に出願変更し、平成2年6月8日に出願公告(特公平2-26330号)され、平成5年1月29日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、平成12年10月26日に本件特許に対し訂正審判請求(訂正2000-39127号)がなされ、平成13年1月29日に訂正を容認する審決が確定したものである。

2.請求人の主張
これに対して、請求人は、本件発明の特許を無効とする、との審決を求め、その理由として、訂正2000-39127号審判事件による訂正前の特許請求の範囲に基づく技術的範囲には、別紙対象目録(添付を省略)記載のスイッチは包含されないものであるところ、訂正後の特許請求の範囲に基づく技術的範囲に、別紙対象目録記載のスイッチは包含されると被請求人は東京高等裁判所において主張しており、かかる主張を許容する可能性を生み出す本件特許請求の範囲の記載は、平成6年改正前の特許法126条第2項に違反し、平成5年改正特許法123条1項7号の規定により無効である(以下、「無効理由1」という。)、本件特許発明の要旨とするセンサースイッチは、本件特許発明の出願日前に出願され、本件特許発明の出願後に出願公開された実願昭56-167117号(実開昭58-72735号、以下甲第2号証という)の願書に最初に添付された明細書(実開昭58-72735号のマイクロフィルム、以下甲第3号証という)に記載された考案と同一であり、本件特許発明は、特許法第29条の2、平成5年改正特許法123条1項2号の規定により無効である(以下、「無効理由2」という。)と主張し、証拠方法として、甲第1号証「東京地方裁判所平成10年(ワ)第17311号特許権侵害差止等請求事件判決書」乃至甲第3号証を提出している。

3.被請求人の主張
被請求人は、平成13年7月11日付けの答弁書において、無効理由1に対し、訂正審判請求事件の審決による訂正は、不明瞭な記載の釈明に相当し、また、実質上特許請求の範囲を拡張していないので、訂正2000-39127号の審決は正しい旨、また、無効理由2に対し、本件特許発明は甲第3号証に記載された考案と同一ではなく、従って、平成5年改正特許法第123条第1項第2号の規定に違反していない旨、主張している。

4.無効理由1について
そこでまず、上記無効理由1について検討する。
(1)訂正2000-39127号審判請求における訂正の内容
上記訂正審判請求において、特許権者が求めた訂正の内容は、以下のとおりであった。
a.特許請求の範囲の請求項1の中の「絶縁基台に接点ばね片を上下に略平行して埋設」の「上下に」とあるを削除する。
b.特許請求の範囲の請求項1の中の「ガイド部材を、下の接点ばね片に」の「下」とあるを「一方」に訂正する。
c.特許請求の範囲の請求項1の中の「上の接点ばね片の一部に検出突部」の「上」とあるを「他方」に訂正する。
d.特許請求の範囲の請求項1の中の「連結手段」を「連係手段」に訂正する。
e.特許請求の範囲の請求項2を削除する。
上記の訂正を容認する審決により、特許請求の範囲は、請求項1の
「絶緑基台に接点ばね片を上下に略平行して埋設し、両接点ばね片の接点を一定間隔を隔てて相対したノーマルオープン型リーフスイッチにおいて、
検出突部の前方から上方に設定幅の案内面を形成するガイド兼カバー若しくはガイド片等のガイド部材を、下の接点ばね片に連結手段を介して連係設置し、
該ガイド部材に対して一定の方向性をもって接触してくる対象体を、上記案内面が該接点ばね片を反曲させつつ首振り運動して滑り案内するように設け、
上の接点ばね片の一部に検出突部を設けて、該検出突部の先端を上記案内面より外方に設定寸法突出せしめて設け、
上記ガイド部材の案内面に接触した対象体の定位置の変形部の有、無により、検出突部が対象体の接触部に押されて接点ばね片を反曲させつつ後退して、該反曲動作によって接点相互を接触(閉)せしめ、或は、検出突部が案内面から突立したままの原位置を保つ、即ち、接点も離間(開)位置を保つようにして、対象体の変形部の有、無を自動的に検出して作動するようにしたことを特徴とする、センサースイッチ。」が、
「絶緑基台に接点ばね片を略平行して埋設し、両接点ばね片の接点を一定間隔を隔てて相対したノーマルオープン型リーフスイッチにおいて、
検出突部の前方から上方に設定幅の案内面を形成するガイド兼カバー若しくはガイド片等のガイド部材を、一方の接点ばね片に連係手段を介して連係設置し、
該ガイド部材に対して一定の方向性をもって接触してくる対象体を、上記案内面が該接点ばね片を反曲させつつ首振り運動して滑り案内するように設け、
他方の接点ばね片の一部に検出突部を設けて、該検出突部の先端を上記案内面より外方に設定寸法突出せしめて設け、
上記ガイド部材の案内面に接触した対象体の定位置の変形部の有、無により、検出突部が対象体の接触部に押されて接点ばね片を反曲させつつ後退して、該反曲動作によって接点相互を接触(閉)せしめ、或は、検出突部が案内面から突立したままの原位置を保つ、即ち、接点も離間(開)位置を保つようにして、対象体の変形部の有、無を自動的に検出して作動するようにしたことを特徴とする、センサースイッチ。」
となった。
(2)訂正の可否に対する判断
訂正2000-39127号審判請求の審決は、『訂正前の特許請求の範囲の請求項1において、「上下に」、「下」、「上」の語句は、何れも、2本の接点ばね片(A、B)の説明を、本件特許発明スイッチを全て横向きに表わした実施例図面に従ったものであり、単に図面との統一を図ったものと解される。しかしながら、本件特許発明スイッチは明細書記載の如く各種電子機器のメカ部分等に設置して使用するものであるが、それらに使用されている設置状態は実施例図面の状態の他に、上向き、下向き、同じ横向きでも右向き、左向き、前向き、後向き、或は斜め方向その他全く自由自在であり、同じスイッチであっても設置位置、姿勢が変るたびに接点ばね片A、Bの位置関係も様々に変化することになるのは明らかである。そうすると、2本の接点ばね片(A、B)の位置関係を「上下」、「上」あるいは「下」で表わすことは、2本の接点ばね片を単純に図面上の位置関係だけで捉えた例を示したにすぎず、両接点ばね片の各々をスイッチ全体の構成、作用、効果等を説明する上で明確に区別する用語としては不明瞭、不適切なものと認められる。』との理由により、上記a.乃至c.の訂正事項は、何れも明りょうでない記載の釈明に相当するものであるとし、さらに、『「上下に」という記載は、上述したように不明瞭な記載であり、構成上格別の意味を有していないものであるから、かかる記載を削除したとしても、本件特許発明スイッチの構成を把握する上で何等の影響を与えるものではなく、・・・極めてコンパクトで性能優秀なセンサースイッチの提供という課題に変更を及ぼすものでもないから、これらの訂正は実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。』とする判断の下に訂正を容認したものである。
しかしながら、本件発明に係る出願公告後の異議申立ての審査時に、異議の証拠として提出された実開昭58-72735号公報に係る先願明細書に記載された考案(反曲動作方向から見て左右に略平行して絶縁基台に埋設されている接点ばね片の構成を有するセンサースイッチ)との同一性を回避するために公告後補正がなされ、その結果、本件発明の特許請求の範囲に「上下」、「下」及び「上」との要件が記載されることになった経緯を考慮すれば、訂正前の請求項1に記載された「絶縁基台に接点ばね片を上下に略平行して埋設し」における「上下に略平行して」とは、接点ばね片が反曲動作する方向を「下」とし、反曲動作した接点ばね片が元に戻る動作方向を「上」として、「上下」を規定したものであり、これにより、絶縁基台に略平行に埋設される接点ばね片の構成を、接点ばね片の反曲動作方向、即ち、上下に配置するとの構成を規定したものであることが明らかである。
さらに、訂正前の請求項1の記載から、「前方から上方に設定幅の案内面を形成するガイド兼カバー若しくはガイド片等のガイド部」が対象体の接触によって「案内面が接点ばね片を反曲させつつ首振り運動して滑り案内する」ことになるため、前方から上方に形成された案内面が対象体によって押圧されて接点ばね片を押圧する方向、即ち、下方向とこれによって接点ばね片が反曲動作する方向は同一であることは明らかであり、「上下」、「下」及び「上」なる用語は、接点ばね片の反曲動作方向をも同時に示すものであると認められる。
そうすると、絶縁基台に埋設される接点ばね片の構成を「上下に略平行して」(反曲動作方向に略平行して)と規定されていたものを、単に「略平行して」にすると訂正したことにより、訂正後の請求項1の記載に基づく技術的範囲には、反曲動作方向に略平行して絶縁基台に埋設されている接点ばね片の構成の他に、反曲動作方向から見て左右に略平行して絶縁基台に埋設されている接点ばね片の構成をも包含することになると考えられる以上、上記訂正は本件発明の特許請求の範囲を拡張するものであったと言わざるをえない。

5.むすび
したがって、上記無効理由2について検討するまでもなく、本件特許は、願書に添付した明細書の訂正が、平成6年改正前の特許法第126条第2項の規定に違反してなされたものであり、平成5年改正特許法第123条第1項第7号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-11-01 
結審通知日 2001-11-06 
審決日 2001-11-20 
出願番号 特願昭58-26594
審決分類 P 1 112・ 854- Z (H01H)
最終処分 成立  
前審関与審査官 吉見 信明湯原 忠男張谷 雅人  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 和泉 等
岡田 和加子
登録日 1993-01-29 
登録番号 特許第1730090号(P1730090)
発明の名称 センサ―スイツチ  
代理人 及川 昭二  
代理人 飯田 秀郷  
代理人 鈴木 英之  
代理人 早稲本 和徳  
代理人 七字 賢彦  
代理人 栗宇 一樹  
代理人 川崎 隆夫  
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