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審決分類 審判 全部申し立て 特29条の2  B41J
管理番号 1073100
異議申立番号 異議2001-71280  
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-05-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-04-25 
確定日 2002-12-16 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3103796号「画像記録装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3103796号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続きの経緯
本件特許第3103796号の請求項1乃至請求項3に係る発明についての出願は、平成10年11月10日に出願され、平成12年8月25日にその特許の設定登録がなされ、その後、大日本スクリーン製造株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年11月27日に訂正請求(後日取下げ)がなされ、さらに特許異議申立人に対して審尋がなされ、その指定期間内である平成14年1月18日に回答書が提出され、さらに特許権者に対して審尋がなされ、その指定期間内である平成14年3月8日に回答書が提出された後、再度取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年11月19日に訂正請求がなされたものである。

(2)訂正の適否についての判断
ア.特許権者が求めている訂正の内容は、次のとおりである。
訂正事項a:特許請求の範囲の「【請求項1】画情報に応じて半導体レーザを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザから射出されたレーザを伝達する複数の光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する基板と、前記光ファイバから射出されたレーザを記録媒体上へ集光させるズームレンズと、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段とこの入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備え、前記基板は、前記光ファイバを保持する等間隔のV溝を両面に備えたことを特徴とする画像記録装置。」を、「【請求項1】画情報に応じて半導体レーザを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザから射出されたレーザを伝達する複数の光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する基板と、前記光ファイバから射出されたレーザを記録媒体上へ集光させるズームレンズと、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段とこの入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備え、前記基板には、前記光ファイバを等間隔に保持する相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝を両面に備えたことを特徴とする画像記録装置。」と訂正する。
訂正事項b:明細書の段落番号【0021】の記載を、「【課題を解決するための手段】本発明は上述の目的に鑑みてなされたものであり、請求項1に記載の発明は、画情報に応じて半導体レーザを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザから射出されたレーザを伝達する複数の光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する基板と、前記光ファイバから射出されたレーザを記録媒体上へ集光させるズームレンズと、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段とこの入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備え、前記基板は、前記光ファイバを等間隔に保持する相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝を両面に備えたものである。」と訂正する。
イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項aは、本件特許の願書に添付した明細書及び図面(特許掲載公報第4頁第8欄第33〜43行)「図7において、V溝61〜V溝69は、上下に隣接する一対の基板60のV溝から構成されており、光ファイバ2はこれら基板60により挟み込まれて固定されている。光ファイバ2は、レーザを伝達する部分のコア71と、このコア71を保護するクラッド72から構成されており、これらは通常の光ファイバの構成であるので説明を省略する。レーザはコア51から照射されるようになっている。」(段落【0057】)、「光ファイバを保持するためのV溝の角度は、54.74度であり、光ファイバ2の中心点の間隔距離は、256μmである。」(段落【0058】))、及び図7参照)の記載に基づいて、特許請求の範囲の「前記基板は、光ファイバを保持する等間隔のV溝」を「前記基板には、光ファイバを等間隔に保持する相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝」と光ファイバを等間隔に保持するV溝を所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝と、V溝の配置位置を限定するものであるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項bは訂正事項aに伴い、発明の詳細な説明の記載を、請求項1の記載との整合を図るべく訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記訂正は、いずれも特許明細書に記載された事項の範囲内のものであり、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
ウ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項乃至第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

(3)特許異議の申立てについての判断
ア.申立ての理由の概要
特許異議申立人大日本スクリーン製造株式会社は、証拠として、甲第1号証(特開2000-141749号公報)を提出し、本件特許の請求項1乃至請求項3に係る発明は、本件特許の出願前であって本件特許の出願後に公開された特願平10-315838号(特開2000-141749号公報参照)の願書に最初に添付された明細書または図面に記載された発明と同一であり、しかも、その発明者も出願人も同一でない。従って、本件特許の請求項1乃至請求項3に記載された発明の特許は特許法第29条の2の規定に違反してなされたものであるから、同法第114条第2項により取り消されるべきである、と主張している。
そして、ズームレンズによる解像度の変更が周知・慣用の技術であることを立証するために、参考文献1(特開平6-152939号公報)、参考文献2(特開平5-19188号公報)、参考文献3(特開昭60-169820号公報)、参考資料4(特開昭60-172022号公報)を提出している。
イ.本件発明
上記(2)で示したように上記訂正が認められるから、本件特許第3103796号の請求項1乃至請求項3に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至請求項3(以下、「本件発明1」乃至「本件発明3」という。)に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】画情報に応じて半導体レーザを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザから射出されたレーザを伝達する複数の光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する基板と、前記光ファイバから射出されたレーザを記録媒体上へ集光させるズームレンズと、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段とこの入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備え、前記基板には、前記光ファイバを等間隔に保持する相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝を両面に備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】前記基板の一方の面のV溝と他方の面のV溝は同一数備えられ、かつ、一方の面のV溝と他方の面のV溝とを等間隔でずらしてなることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】前記基板を重ねて前記光ファイバをマトリクス状のマルチスポットとなるように保持することを特徴とする請求項2記載の画像記録装置。」
ウ.引用例等
当審が平成13年9月17日付けの取消理由通知で引用した特願平10-315838号(特開2000-141749号公報参照)の願書に最初に添付された明細書又は図面(甲第1号証)(以下、「先願明細書」という。)には下記の事項が記載されている。
(a)「【請求項1】光ビームを被走査面に照射すると共に、主走査および副走査することによって画像を記録する画像記録装置であって、光ビームを発する光源と、前記光源からの光ビームを伝送する光ファイバーアレイと、前記光ファイバーアレイの端面から出射する光ビームを前記被走査面に導く光学系と、を備え、前記光ファイバーアレイが、複数の光ファイバーが一次元配列された複数の光ファイバー列と、互いに平行でかつ副走査方向に相対的にずれて形成された表面溝と裏面溝とを有し、前記表面溝と裏面溝とに一の光ファイバー列がそれぞれ嵌入されるスペーサー基板と、を備えることを特徴とする画像記録装置。」(特許請求の範囲、請求項1)。
(b)「この発明は、・・・像面サイズを大きくしないで高密度な画像記録を行うことができる画像記録装置および光ファイバーアレイを提供することを目的とする。」(段落【0006】)。
(c)「<1.第1の実施の形態> <<1-1.全体装置構成>>図1はこの発明の一実施の形態である画像記録装置1の全体装置構成図である。以下、図1を用いてこの画像記録装置について説明していく。・・・画像記録装置1は主に、レーザードライバ10、光源20、光ファイバー30、光ファイバーアレイ40、光学系50およびドラム60を備えている。・・・光源20は複数の発光素子である半導体レーザー21を備えており、レーザードライバ10による電力の供給により各半導体レーザー21が発光する。また、各半導体レーザー21には光ファイバー30の受光端が対向して(カップリングして)設けられており、それら光ファイバー30はコネクタ35を介して光ファイバーバンドルとして束ねられ、出射端は光ファイバーアレイ40(後述)を形成している。そして、各半導体レーザー21から発せられた光ビームは光ファイバー30により伝送され、光ファイバーアレイ40における出射端から出射し、光学系50により被走査面である円筒形のドラム60の外周面に導かれて結像される。ドラム60はそのY軸方向の中心を軸として、図示しない回転駆動機構により回転自在となっており、光ビームがドラム60の外周面に結像しつつ、ドラム60が回転することによりZ軸方向(主走査方向)に主走査が行われ、さらには、光ファイバーアレイ40の後述する各光ファイバー30の並び(光ファイバー列)およびレーザードライバ10〜光学系50のY軸方向(副走査方向)の移動により副走査が行われる。」(段落【0012】〜【0014】)。
(d)「光ファイバーアレイ40は、光ファイバー30が一次元配列された複数の光ファイバー列31a,31b,31c,31dを備え、それら各光ファイバー列31a〜31dの相互の間に、それら光ファイバー列を位置決めして保持するスペーサー基板401,402,403が配置され、さらに、図2中において最上段および最下段に、光ファイバー列31aおよび31cを押さえて支持する押さえ基板404,405を備えている。すなわち、光ファイバー列31a〜31d、スペーサー基板401,402,403および押さえ基板404,405がZ軸方向に互いに交互に積層された構造となっている。」(段落【0017】)。
(e)「<3.第3の実施の形態>第3の実施の形態は光ファイバーアレイ42以外は第1の実施の形態と全く同一の装置構成である。・・・図4は第3の実施の形態における光ファイバーアレイ42の出射端面を示す図である。以下、図4を用いて第3の実施の形態における光ファイバーアレイ42について説明する。・・・第1の実施の形態における光ファイバーアレイ40におけるスペーサー基板401〜403および押さえ基板404,405が、M本の光ファイバー30からなる光ファイバー列31a〜31d全体を収容する内部構造を持たない表面溝RDおよび裏面溝WDならびに位置決め溝FDをそれぞれ備えていたのに対して、第3の実施の形態の光ファイバーアレイ42は複数の単位溝UDを内部構造として持つスペーサー基板421〜423の表面溝RDおよび裏面溝WDならびに押さえ基板424,425の位置決め溝FDを備えている。そして、各単位溝UDは各光ファイバー列31a〜31dを構成する個々の光ファイバー30に対応して等しいピッチP(前述の光ファイバー30の直径)で光ファイバー列31a〜31dにおける光ファイバー30の並び方向にM個設けられている。また、それら単位溝UDの(Y-Z面での)断面はV字型の形状となっており、それら単位溝UDの組(複数の単位溝UDからなる集合)がスペーサー基板421〜423の表面溝RDおよび裏面溝WDならびに押さえ基板424,425の位置決め溝FDを形成している。・・・そして、各光ファイバー列31a〜31dの各光ファイバー30は表面溝RDおよび裏面溝WDならびに位置決め溝FDの各単位溝UDに嵌入してY軸方向に位置決めされる。そして、表面溝RDおよび裏面溝WDならびに位置決め溝FDのうちの互いに対向する溝における対向する一対の単位溝UDにより各光ファイバー30を挟み込むようにしてZ軸方向についても位置決めしている。・・・また、各スペーサー基板421〜423の表面溝RDおよび裏面溝WDおよび押さえ基板424,425の位置決め溝FDは、第1の実施の形態と同様に、順にY軸方向に長さP/Nずつ相対的にずれて設けられており、したがって、各光ファイバー列31a〜31dの相対的位置関係も第1の実施の形態と同様のものとなっている。そのため、全光ファイバー30のZ軸方向(主走査方向)の射影は互いに間隔P/NでM・N本並んでおり、それにより、等しい間隔P/NでM・N本の走査を並行して行うことができる。・・・以上より、第1および第2の実施の形態と同様に高密度で走査できるのに加えて、各溝がV字型の断面であることにより各光ファイバー30の位置決め精度が高く、したがって、精度の高い走査を行うことができる。」(段落【0030】〜【0035】)。
(f)「さらに、上記第1〜第7の実施の形態では、ドラム上を走査する外面円筒型の画像記録装置としたが、平面の被走査面を有する平面型の画像記録装置としてもよい。」(段落【0064】)。

上記記載(a)、(c)からみて、先願明細書に記載された画像記録装置は、光ビームを被走査面に照射すると共に、主走査および副走査することによって画像を記録するものであるから、画情報に応じてレーザードライバ10による電力の供給により各半導体レーザー21が発光するものであることは、明らかである。
したがって、これらの記載(a)〜(f)を含む明細書及び図面によると、先願明細書には、下記の発明が記載されている。
「画情報に応じて半導体レーザー21を発光させるレーザードライバ10と、前記半導体レーザー21から出射された光ビームを伝送する複数の光ファイバー30と、前記光ファイバー30の出射端を保持するスペーサー基板421〜423(431a〜431c)と、前記光ファイバーから出射された光ビームを被走査面に結像させる光学系50とを備え、前記基板には、前記光ファイバー30を光ファイバー30の直径に等しいピッチPで等間隔に保持する複数のV溝UDを両面に備えたことを特徴とする画像記録装置。」(以下、「先願発明」という。)

エ.対比・判断
(a)本件発明1と先願発明とを対比する。
先願発明の「発光」、「半導体レーザー21」、「レーザードライバ10」、「出射」、「光ビーム」、「伝送」、「光ファイバー30」、「出射端」、「スペーサー基板421〜423(431a〜431c)」、「結像」、「V溝UD」は、それぞれ、本件発明1の「駆動」、「半導体レーザ」、「駆動手段」、「射出」、「レーザ」、「伝達」、「光ファイバ」、「端部」、「基板」、「集光」、「V溝」に相当する。
先願発明の被走査面は光ビームが結像される面であるから、被走査面は記録媒体上の面であることは明らかである。
そして、先願発明の「光学系50」と本件発明1の「ズームレンズ」とは、「光学系」という点で共通する。
したがって、両者は、
「画情報に応じて半導体レーザーを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザーから射出されたレーザーを伝達する複数の光ファイバーと、前記光ファイバーの端部を保持する基板と、前記光ファイバーから射出されたレーザーを記録媒体上へ集光させる光学系とを備え、前記基板には、前記光ファイバーを等間隔に保持する複数のV溝を両面に備えたことを特徴とする画像記録装置。」で一致し、次の2点で相違する。
相違点1:本件発明1は、光学系がズームレンズであり、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段と、この入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備えているのに対して、先願発明では、光学系と記載されているのみで、どのような光学系であるのか、さらにはそれを制御する何らかの制御手段を備えているのかどうか明確でない点。
相違点2:光ファイバーを等間隔に保持する複数のV溝が、本件発明1では、相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝であるのに対して、先願発明では、個々の光ファイバー30の直径に等しいピッチPで設けられており、相互に所定幅の平坦部をもって離間形成されていない点。

まず、相違点1を検討する。
相違点1の技術的事項のうち、「記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段」は、本件明細書及び図面(特に、【0034】〜【0036】、及び図3)を参酌すると、図3に記載された「管理テーブル」に代表される、解像度とズームレンズの倍率とを1対1に対応させて記憶させた複数組の組み合わせ表であると解釈されるところ、異議申立人が提出した各参考文献に記載された事項は次のとおりである。
参考文献1(特開平6-152939号公報)には、ズームレンズ32を利用した「ドット・デンシティ(ドットの密度)が変更可能なレ一ザプリンタ」において、「解像度を入力するときには、ズームレンズの倍率設定が自動的に行われる」手段が記載されている(【0011】、【0046】)。
参考文献2(特開平5-19188号公報)には、アフォーカルズーム光学系(ズームレンズ)AL3を利用することにより、記録面上でのビームスポット間隔を倍率に基づいて変更するマルチビーム走査記録装置が記載されている(【0043】、【0056】、及び図8参照)。
参考文献3(特開昭60-169820号公報)には、所要の走査線数に応じてレーザー光ビームのビーム間ピッチを変更可能なズームレンズ式のビームコンブレッサを使用した画像走査記録装置が開示(第2頁左上欄第15〜19行参照)され、また、
参考文献4(特開昭60-172022号公報)には、ズームレンズを利用することにより、複数本のレーザー光ビームのビーム間ピッチを所要の走査線数に応じたビーム間ピッチに変更可能な画像走査記録装置が開示(第3頁右上欄第15行〜左下欄第2行)されている。
さらに審尋に対する回答書において、新たに提出された周知慣用技術として、参考文献5〜参考文献11には、それぞれ、参考文献5(「DT-R3100(Genasett3100」のカタログ(1995年9月に発行の記載有)(異議申立人の提出した第1号証)には、「高性能ズームレンズ機構により、最小スポット径は6.3μm(4000dpi)を実現し、スポットサイズを各分解能に合わせて最適なサイズでプロッティングできます。最高出力分解能は4000dpiを実現。きわめて高精度な出力品質が得られます。出力分解能は、1200dpi、1500dpi、2000dpi、2400dpi、3000dpi、4000dpiの6段階中から、仕事に合わせて選択できます。」と記載されている。
参考文献6(「ドラムタイプレコーダー」 DT-R3100 (Ver.1.6)ユーザーズマニュアル第5版第1刷 (1997年8月)発行 大日本スクリーン製造株式会社)(同第2号証)には、1200dpi、1500dpi、2000dpi、2400dpi、3000dpi、3500dpi、4000dpiの7種類の分解能から選択設定し、それに対応するズーム値を数値キー等で設定できるよう構成されたものが記載されている。
参考文献7(「The International Society for Optical Engineering」の発表予稿」(同第3号証)には、多数のレーザービームの倍率をズームレンズ7と駆動モータ8とを利用して変更することで、1940dpiから4560dpiの連続可変的な(continuously)範囲の画像の記録を実現する構成が記載されており、上記参考文献7の構成は、参考文献8(岡崎雅英・林尚久・脇本善司 大日本スクリーン製造株式会社、“80チャンネルレーザープロッター用光学系の設計”、1992年(平成4年) 第17回光学シンポジウム(光学技術・学術講演会) 『光学系の設計、素材、製作、評価を中心にして』 講演予稿集 (期日 平成4年6月25日(木)〜26日(金))、社団法人 応用物理学会分科会 日本光学会、p17-p18)(同第4号証)にも記載されている。
参考文献9(特開昭62-23611号公報)(同第5号証)には、ズームレンズL5によりビームピッチ(解像度)を無段階に調整する点が記載されている(第4頁右下欄第1行〜第3行)。
参考文献10(特開平5-131676号公報)(同第6号証)には、ズームレンズ5の倍率を調整することにより、ビーム間ピッチ(解像度)を連続的に調整する点が記載されている(【0032】、【0033】)。
そして、参考文献11(特開平6-47954号公報)(同第7号証)には、ズームレンズ13によりビーム間ピッチ(解像度)を縮小する縮小光学系を備える点が記載されている(【0029】)。
すなわち、参考文献1〜4、7〜11には、いずれにも、ズームレンズにより倍率を変更することで複数(無数)の解像度による画像の記録を実現する構成が記載され、参考文献5、6には、「高性能ズームレンズ機構により、・・・スポットサイズを各分解能に合わせて最適なサイズでプロッティングでき・・・出力分解能は、1200dpi、1500dpi、2000dpi、2400dpi、3000dpi、4000dpiの6段階中から、仕事に合わせて選択でき」(参考文献5)、選択された露光条件(分解能を含む)に、「矢印記号キーまたは数値キーで、ズーム値データを1〜5000の範囲で設定し、ENTキーを押します。」(参考文献6)と記載されている。
してみると、レ一ザプリンタの如き画像記録装置において、ズームレンズにより倍率を変更することで複数(無数)の解像度による画像の記録を実現するとともに、その際倍率や解像度を設定するために、キーボード等のデータの入力手段やメモリー等のデータの保持手段を配設することは当然になされるものと考えられ、このような技術は周知技術であるとみられる。
したがって、先願発明において、像面サイズを大きくしないで高密度な画像記録を行うことができる画像記録装置を提供するために、前記周知技術を採用し、相違点1の本件発明1の如く構成することは、課題解決のための具体化手段における微差にすぎない。
次に相違点2について検討する。
先願発明のものは個々の光ファイバーの直径に等しいピッチで設けられていることから、各光ファイバーが相互に接触して配設されているのに対し、本件発明1のものは、各光ファイバーが、光ファイバを等間隔に保持する相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝によって、相互に所定間隔をもって非接触に配設されている。そして本件発明1のものは各光ファイバーが接触しないよう配設されていることにより、「互いに隣接する光ファイバー同士の間隔が所定ピッチをもって配置することが可能となります。これは、複数の光ファイバーをマトリクス状に配置する際の自由度を向上させるものであります。」(平成13年11月27日付け特許異議意見書、第2頁第19〜21行)、「例えば、各光ファイバーの太さ(直径)にバラツキがあるような状況のとき、各光ファイバーがV溝で正確に位置決めされます」(平成14年3月8日付け回答書、第4頁第3〜5行)という顕著な作用効果を奏すると共に、光ファイバーの相互接触による損傷・破損等が生じ得ない点で、先願発明に対する有利な効果を奏し、相違点2は、もはや光ファイバーの配置の際の具体化手段における微差を超えたものと認められる。

したがって、特許法29条の2第1項の、本件発明1と先願発明との同一性を判断するにあたり、両者は技術的思想が異なるものと認められるから、同一発明とはいえない。

(b)本件発明2は、本件発明1を引用した発明であり、本件発明1が先願発明と同一発明と認められない以上、本件発明2も先願発明と同一とは認められない。
(c)本件発明3は、本件発明2を引用した発明であり、本件発明2が先願発明と同一発明と認められない以上、本件発明3も先願発明と同一とは認められない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては本件請求項1に係る発明乃至請求項3に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像記録装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 画情報に応じて半導体レーザを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザから射出されたレーザを伝達する複数の光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する基板と、前記光ファイバから射出されたレーザを記録媒体上へ集光させるズームレンズと、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段とこの入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備え、前記基板には、前記光ファイバを等間隔に保持する相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝を両面に備えたことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】 前記基板の一方の面のV溝と他方の面のV溝は同一数備えられ、かつ、一方の面のV溝と他方の面のV溝とを等間隔でずらしてなることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】 前記基板を重ねて前記光ファイバをマトリクス状のマルチスポットとなるように保持することを特徴とする請求項2記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の光ファイバから照射するレーザを用いて記録を行う画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レーザヘッドに備えられた光ファイバを固定する基板の構成を図9に示す。
【0003】
図9において、基板91の片面上に、等間隔の距離にV字型の切り欠き(以下:V溝)を設けており、このV溝に光ファイバ2を設置している。光ファイバ2はV溝により左右方向に対して保持される。次に、基板91に対向する位置に基盤92を備えて、基板92をもって光ファイバ2を基板91へ押圧して挟み込むことで光ファイバ2を完全に固定している。この基板92は、V溝を備えないものである。
【0004】
この構成での解像度は、2つの隣接する光ファイバ2の間(図9中の距離A)の距離で定められる。しかし、さらに高解像度の記録を行うためには、光ファイバ2の隣接する距離を短くする必要があるが、光ファイバ2の幅があるので光ファイバ2を近づけることで解像度をあげるのには限界がある。
【0005】
そこで、基板を傾けることで、光ファイバの区間距離内にも記録可能とし、高解像度を上げる技術がある。
【0006】
例えば、図9に示した基板を45°傾けた状態で記録を行うと、2つの隣接した記録される点の距離は、Acos45°=A/2(Aは図9の2つの隣接する光ファイバ2の記録点の距離)となり、実際の光ファイバ2の間隔距離の半分となって記録する点の距離が短くなり解像度をあげることができる。
【0007】
また、光ファイバ2から射出されたレーザは、固定された光学系レンズによって記録媒体に集光されている。(例えば、特開平7-276698号) このように、光学系が固定されていたので、解像度が異なっても記録媒体へ照射されるレーザの径は常に一定となっていた。
【0008】
図10、図11は解像度に応じて記録媒体へ与えられるエネルギー量をグラフで示した図であり、記録媒体上に塗布された昇華染料をレーザにより離散させて記録を行うものものである。
【0009】
図10、図11において、101は、昇華染料であり、102は、ベースフィルムである。
【0010】
図に示すように、昇華染料101にレーザを照射すると、レーザの熱エネルギーにより、昇華染料101はベースフィルム102から離散する。このように、昇華染料101がベースフィルム102から離散することで画情報の記録が行われる。
【0011】
ここでは、記録媒体へ照射されるレーザの径を60μm、解像度の低い画素は一辺が10.58μm、解像度が高い画素は、一辺が6.35μmとする。
【0012】
図10に示すように、解像度が低い場合の画素を形成するためには、有効エネルギー量のグラフの中、斜線部分のエネルギーを記録媒体に対して照射すると、昇華染料101が離散し、1辺が10.58μmの画素が形成される。
【0013】
これに対し、図11に示すように、解像度の高い画素を形成するためには、低い解像度よりも少ないエネルギーを記録媒体6へ照射することで、高い解像度の画素を得ている。
【0014】
従来のレーザの径は、光学系が固定されているためどの解像度でも一定(60μm)であり、また、レーザの出力も同じであった。このため、径が同じであるレーザを用いて記録媒体6へ照射するエネルギーを調節するためには、昇華染料101へ照射する時間を調節することで行われていた。照射する時間の調節は、レーザを駆動する時間や、走査速度を変更することで行われていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の技術では、以下にあげるような問題があった。
【0016】
第1に、光ファイバの数を増やすと一度に記録できる点の数が増えるので記録速度を向上させることができる反面、光ファイバの数を増やすと基板の長さが長くなる。
【0017】
基板の長さが長い状態で基板を傾けてドラム等の円柱状に巻かれた記録媒体への記録を行うと、基板の中心位置にある光ファイバと基板の端部にある光ファイバとでは、記録媒体までの距離に大きな差ができてしまう。この距離の差により、光ファイバから照射されたレーザにピンぼけが生じてしまい、画質の劣化を起こしてしまうという問題があった。また、基板の長さが長くなるとその分光学系のレンズの径も大きくなり、レーザヘッド自体が大型化するという問題があった。
【0018】
第2に、解像度を調節するためには、基板を正確に傾ける必要があり、その制御を行うための制御装置が必要となってしまうのでコストが高くなってしまうという問題があった。
【0019】
第3に、従来の技術で高解像度を出そうとすると、基板を傾ける角度を大きくする必要があるが、角度を傾けるとレーザの重なる度合いが大きくなってしまうという問題があった。
【0020】
第4に、光学系が固定されており解像度を変化させても記録媒体に照射されるレーザの径は変わらないので、高解像度の記録を行う場合に1画素に対するレーザのエネルギーを少なくしたとしても、画素の周りの昇華染料が離散してしまい、隣接する画素の昇華染料をも離散させてしまう可能性があり、画質の劣化を招いてしまうという問題があった。(具体的には、図11) 本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、記録速度と画質の向上を図ることのできる画像記録装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の目的に鑑みてなされたものであり、請求項1に記載の発明は、画情報に応じて半導体レーザを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザから射出されたレーザを伝達する複数の光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する基板と、前記光ファイバから射出されたレーザを記録媒体上へ集光させるズームレンズと、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段とこの入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備え、前記基板は、前記光ファイバを等間隔に保持する相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝を両面に備えたものである。
【0022】
そして、この構成により、光ファイバを保持するためのV溝を基板の両面に設けるようにしたので、光ファイバを保持するための基板の小型化を図ることができる。
【0023】
また、請求項2記載の発明は、請求項1の構成に加え、基板の一方の面のV溝と他方の面のV溝は同一数備えられ、かつ、一方の面のV溝と他方の面のV溝とを等間隔でずらしてなる構成を備えたものである。
【0024】
そして、この構成により、基板上に備えたV溝を両面に同一数備え、かつそれぞれに備えたV溝を等間隔でずらしているので、基板の両面に光ファイバを設置することができる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2の構成に加え、基板を重ねて前記光ファイバをマトリクス状のマルチスポットとなるように保持する構成を備えたものである。
【0026】
そして、この構成により、基板の両面のV溝を等間隔でずらして基板を重ねて光ファイバを保持するようにしたので、隣接する光ファイバの間に重ねた光ファイバのレーザを照射させることができ、解像度を上げることができる。また、光ファイバをマトリクス状にしたので、光ファイバの数を増やしたとしてもレンズの径が大きくなるのを防止することができる。
【0027】
【0028】
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明のレーザヘッドを用いた記録装置全体の概略を示した概略図である。
【0031】
図1において、1は、記録を行うためのレーザを射出する半導体レーザである。2は、半導体レーザ1から射出されたレーザを伝達するための光ファイバである。3は光ファイバの端部(レーザが射出される部分)を保持するためのV溝ブロックである。4は、光ファイバ2を束ねるための光ファイバアレーである。5は、V溝ブロック3から射出されたレーザを縮小拡大するズームレンズである。このズームレンズ5は倍率を変化させることができるものである。6は、画情報の記録が行なわれる記録媒体であり、その表面には熱により離散する昇華染料が塗布されている。7は記録媒体6を巻き付けるドラムである。8は、ドラム7を回転させるためのモータである。9は、ドラムの長手方向に対して記録を行うレーザヘッドを移動させるリニアモータである。
【0032】
図1に示されてた画情報記録装置の動作を説明する。
半導体レーザ1は画信号に応じて駆動されてレーザを射出する。射出されたレーザは、光ファイバ2を介して伝導され、V溝ブロック3で保持されている端部から再びレーザが射出される。V溝ブロック3から射出されたレーザは、ズームレンズ5で縮小され記録媒体6へ照射される。記録媒体6の表面に塗布された昇華染料は、レーザの熱エネルギーにより記録媒体6から離散する。離散した昇華染料は図示しない吸引手段により吸引される。ドラム8が1回転すると、リニアモータ9によりレーザヘッドがドラム8の長手方向に駆動してゆき記録媒体6全体の走査を行う。
【0033】
次に、本発明の装置の構成を図2のブロック図に示す。
重複する符号については説明を省略する。
【0034】
図2において、21は、半導体レーザ1を駆動制御するためのレーザ制御部である。22は、ズームレンズ5の倍率を制御するためのズームレンズ駆動部である。23は、解像度とズームレンズ5の倍率を対応させた管理テーブルを記憶保持するROM部である。24は、本装置の解像度の設定等を行う操作部である。25は、記録する画情報を保持記憶する画メモリ部である。26は、各部を制御する主制御部である。
【0035】
図3にROM部53に保持されている管理テーブルの一例を示す。
解像度設定値は、解像度を決定するものであり、倍率設定値は解像度設定値に対応して保持され、解像度に対応したズームレンズ5の倍率を決定する倍率の値である。
【0036】
この解像度設定値と倍率設定値の値は、図3に示したものに限ることはなく、様々なパターンが考えられるのは言うまでもない。
【0037】
ここでは、2400dpiの解像度の場合の倍率を0.33とし、4000dpiの解像度では、0.20としている。
【0038】
このように、構成された画情報記録装置の動作を説明する。
操作部24から記録する解像度が入力されると、主制御部26は入力された解像度とROM部23に保持されている管理テーブルの解像度設定値の値とのマッチングをし、一致した解像度に対応する倍率設定値をROM部23から読み出す。
【0039】
次に、読み出された倍率設定値を用いてズームレンズ駆動部22を駆動させて、ズームレンズ5を倍率設定値に設定されている倍率にする。
【0040】
そして、モータ部8がドラム7を一定速度で回転させるようになった後、画メモリ部25から画情報を読み出しこの画情報に応じてレーザ制御部21が半導体レーザ1を駆動し記録媒体6へレーザを照射して記録を行う。
【0041】
ここでは、解像度の値を入力するようにしたが、予め記憶されている解像度設定値を図示しない表示部に表示させ、利用者に選択させるようにしても良いのはいうまでもない。
【0042】
次に、図3の管理テーブルに応じてズームレンズを駆動させた場合のレーザのエネルギー量を示したものを図4、図5に示す。
【0043】
V溝ブロック3から照射されるレーザの径は60μmとする。
図4は、2400dpiの画素(一辺が10.58μm)を形成する場合について示した有効エネルギーのグラフである。
【0044】
上述したように、V溝ブロック3から射出された時のレーザの径は、60μmであるが、一辺が10.58μmの画素を書くには径が大きすぎる、このため図4に示すように、この解像度の場合は、ズームレンズ5の倍率を0.33とし、レーザの径を60μmから20μmに縮小して記録媒体6へ照射するようにしている。
【0045】
このように、レーザの径は一定ではなく、解像度(画素の大きさ)に応じてレーザの径を調節するようにしたので、従来のものに比べ、画素領域内にレーザのエネルギーを集中できるので、画素領域外の昇華染料を離散してしまうことを防止することができる。
【0046】
図5は、4000dpiの画素(一辺が6.35μm)の画素を形成する場合について示したものである。
【0047】
図4と同様に、V溝ブロック3から射出されたレーザはズームレンズ5により縮小されて、記録媒体6上に形成される。この時のレーザの径は、12μmとなっている。この時のズームレンズ5の倍率は、0.20であり、この値は、ROM部53に保持されているものである。
【0048】
図4、図5に示したように、解像度に応じてズームレンズ5の倍率を決定し、V溝ブロック3から射出されたレーザの径を対応する画素の大きさ程度の径に絞り込んで記録媒体6へ照射するようにしている。
【0049】
このように、レーザの径を解像度(画素の大きさ)に対応してレーザを絞り込んでレーザのエネルギーが画素の大きさの範囲の中に効率よく集中させているので、従来のように、画素が小さくなっても画素の周りの昇華染料まで離散させてしまうことを防止して画質の向上を図ることができる一方、レーザのエネルギーを集中しているので昇華染料の離散するスピードを早めることができるので、記録速度の向上を図ることができる。
【0050】
ここでは、解像度の値と倍率のテーブルについて説明したが、これにレーザの出力を対応させて保持してもよい。
【0051】
解像度の高い場合に離散させる昇華染料の量は、解像度の低いものに比べて昇華染料の量が少ないので、レーザの出力を少なくすることことができる。このため、解像度の低い場合のエネルギーと同量のエネルギーをもって解像度が高い場合のレーザを照射する必要はなく、解像度に応じたエネルギーだけを照射すればよい。これらのエネルギーは、記録媒体6の特性に応じて利用者が設定するようにしており、予め実験等で得られた値を設定するのが望ましい。このように、解像度に応じてレーザの径の倍率を調節すると同時にレーザの出力も対応させて調節するようにしたので、レーザの出力を効率良く利用することができ、レーザを発光させるための駆動電流を軽減することができる。
【0052】
次に、V溝ブロック3について、図6、図7、図8を用いて説明する。
図6は、V溝ブロック3の正面図でり、この例では128(8列*16行)本の光ファイバ2を保持するV溝ブロック3について説明する。
【0053】
図6において、V溝ブロック3は、両面に光ファイバ2を保持するV溝を備えた基板60を重ねることで、光ファイバ2をマトリクス状に保持している。この基板は、従来と同じ素材を用いており、主にシリコン基板が使用される。
【0054】
左側下端をV溝61とし、その上の光ファイバを保持している部分をV溝62とする。以下左上端のV溝をV溝68とし、V溝61の右方向に隣接するV溝をV溝69とする。
【0055】
このように、両面にV溝を備えた基板60を重ねることで光ファイバ2を複数保持するので、多くの光ファイバ2を保持することが可能となり、一度に記録できる画素数が多くなり、記録速度の向上を図ることができる。
【0056】
また、光ファイバ2を保持する基板60の両面にV溝を備えて、従来のように光ファイバ2を抑えるための基板を挟み込む必要がなくなり、基板60の厚さ以上にV溝ブロック3が厚くなることはなく、V溝ブロック3の小型化を図ることができる。
【0057】
次に図6に示したV溝の詳細を図7を用いて説明する。
図7において、V溝61〜V溝69は、上下に隣接する一対の基板60のV溝から構成されており、光ファイバ2はこれら基板60により挟み込まれて固定されている。光ファイバ2は、レーザを伝達する部分のコア71と、このコア71を保護するクラッド72から構成されており、これらは通常の光ファイバの構成であるので説明を省略する。レーザはコア51から照射されるようになっている。
【0058】
光ファイバを保持するためのV溝の角度は、54.74度であり、光ファイバ2の中心点の間隔距離は、256μmである。
【0059】
次に、隣接するV溝内の記録点について、図8を用いて説明する。
図8は、図6のV溝61〜V溝69までの記録点を示した図面である。
【0060】
図8において、記録媒体6へ照射されたレーザを示しており、その中心点が記録が行われる記録点である。記録点81〜89は、V溝61〜69から照射されたレーザに対応するものである。
【0061】
記録点81〜89の間隔距離は32μmの等間隔であり、V溝61〜69から照射されたレーザによる記録点は重ならないようになっている。
【0062】
これは、この基板60に備えられている一方の面のV溝と、他方の面のV溝が等間隔ずれていることによるものであり、この場合、基板60のV溝62はV溝61に対して図面から見て右方向に32μmずれている。この関係はすべてのV溝においても同様な構成になっていおり、例えば、V溝63も、V溝62に対して右方向に32μmずれている。このように、V溝61とV溝69の間隔距離を重ねられた光ファイバの数+1(V溝62からV溝68)で割った距離だけ、V溝の位置をずらしてあるので、V溝61とV溝69の記録点の間にV溝62〜V溝68の記録点が等間隔で並べられるように構成されている。
【0063】
つまり、V溝61とV溝69の間には、重ねられた基板のV溝が縦方向に対して等間隔で配置されるようになっており、V溝61とV溝69の間には、V溝62〜V溝68から照射されたレーザにより記録が行われるようになっている。
【0064】
このように、V溝61〜V溝68は縦方向に関して等間隔にずれているので、照射されたレーザによる記録点が重なることなく記録媒体6へと照射される。従って、このV溝ブロック3に保持された光ファイバ2から射出されたレーザによる記録点はどれも重なることなく、128の画素を一度に書き込むことが可能なマルチスポットとなっている。
【0065】
また、基板の一方の面と他方の面のV溝を等間隔にずらしたものを重ねて、光ファイバ2をマトリクス状に保持しているので、隣接するV溝の間隔よりも短い間隔で記録を行わせることができ、基板を傾けなくとも、高解像度の記録を可能としている。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、マルチスポットとなるようにマトリクス状に光ファイバを保持したV溝ブロックとズームレンズとを組み合わせ、解像度によってズームレンズ5の倍率を設定することにより、多くの光ファイバをもって記録を行わせて記録速度を向上させるとともに、ズームレンズの倍率を解像度に応じて設定するので、解像度も容易に変化させることができる。
【0067】
また、ズームレンズ5により、V溝ブロック3から射出されたレーザを絞りこむのでさらなる高速記録が可能である。さらに、レーザを画素の径に合うように絞り込むので、画素の抜けがはっきりとし画質の向上を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
レーザ記録ヘッドの全体の構成を示した概略図
【図2】
本装置の概略ブロック図
【図3】
管理テーブルの概略図
【図4】
解像度が低い場合の有効エネルギー量を示した図
【図5】
解像度が高い場合の有効エネルギー量を示した図
【図6】
V溝ブロックの正面図
【図7】
V溝ブロックのV溝の詳細図
【図8】
V溝ブロックによる記録点を示した図
【図9】
従来のV溝を備えた基板を示した図
【図10】
従来の解像度が低い場合の有効エネルギー量を示した図
【図11】
従来の解像度が高い場合の有効エネルギー量を示した図
【符号の説明】
1 半導体レーザ
2 光ファイバ
3 V溝ブロック
4 光ファイバアレー
5 ズームレンズ
21 レーザ制御部
22 ズームレンズ駆動部
23 ROM部
24 操作部
25 画メモリ部
26 主制御部
61 V溝
101 昇華染料
102 ベースフィルム
 
訂正の要旨 訂正の要旨
特許権者が求める特許明細書の訂正は、次の訂正からなる。
訂正事項a:特許請求の範囲の減縮を目的として、特許請求の範囲の「【請求項1】画情報に応じて半導体レーザを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザから射出されたレーザを伝達する複数の光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する基板と、前記光ファイバから射出されたレーザを記録媒体上へ集光させるズームレンズと、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段とこの入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備え、前記基板は、前記光ファイバを保持する等間隔のV溝を両面に備えたことを特徴とする画像記録装置。」を、「【請求項1】画情報に応じて半導体レーザを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザから射出されたレーザを伝達する複数の光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する基板と、前記光ファイバから射出されたレーザを記録媒体上へ集光させるズームレンズと、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段とこの入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備え、前記基板には、前記光ファイバを等間隔に保持する相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝を両面に備えたことを特徴とする画像記録装置。」と訂正する。
訂正事項b:明瞭でない記載の釈明を目的として、明細書の段落番号【0021】の記載を、「【課題を解決するための手段】本発明は上述の目的に鑑みてなされたものであり、請求項1に記載の発明は、画情報に応じて半導体レーザを駆動する駆動手段と、前記半導体レーザから射出されたレーザを伝達する複数の光ファイバと、前記光ファイバの端部を保持する基板と、前記光ファイバから射出されたレーザを記録媒体上へ集光させるズームレンズと、記録する解像度と前記ズームレンズの倍率とを対応させて保持する保持手段と、解像度を指定する入力手段とこの入力手段で入力された解像度に対応して前記ズームレンズの倍率を設定する制御手段とを備え、前記基板は、前記光ファイバを等間隔に保持する相互に所定幅の平坦部をもって離間形成された複数のV溝を両面に備えたものである。」と訂正する。
異議決定日 2002-11-27 
出願番号 特願平10-318747
審決分類 P 1 651・ 16- YA (B41J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 菅藤 政明  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 番場 得造
鈴木 秀幹
登録日 2000-08-25 
登録番号 特許第3103796号(P3103796)
権利者 松下電送システム株式会社
発明の名称 画像記録装置  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 坂口 智康  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 坂口 智康  
代理人 岩橋 文雄  
代理人 大坪 隆司  
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