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審決分類 審判 審判種別コード:11 発明同一  B32B
審判 審判種別コード:11 2項進歩性  B32B
審判 審判種別コード:11 4項(5項) 請求の範囲の記載不備  B32B
管理番号 1074509
審判番号 審判1991-753  
総通号数 41 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1979-07-23 
種別 無効の審決 
審判請求日 1991-01-14 
確定日 2001-06-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第1088393号発明「複合シートによるフラッシュパネル用芯材とその製造方法」の特許無効審判事件についてされた平成4年11月25日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成5年(行ヶ)第13号、平成7年7月11日判決言渡)があり、最高裁判所において上告を棄却する判決(平成7年(行ツ)第177号、平成9年7月3日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次の通り審決する。 
結論 特許第1088393号発明の明細書の特許請求の範囲第1項ないし第6項に記載された発明についての特許を無効とする。 特許第1088393号発明の明細書の特許請求の範囲第7項、第8項に記載された発明についての審判請求は、成り立たない。 審判費用は、その3分の2を請求人の負担とし、3分の1を被請求人の負担とする。 
理由 本件特許第1088393号は、昭和52年12月29日に出願し、昭和57年3月23日に設定登録されたものであって、本件特許の各発明は、本件明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲第1項、第7項および第8項に記載された次の事項をそれぞれその要旨とするものと認める。
[第1項]概ね等角等辺の山形に屈曲させた同一形状の多数の複合シートを並列しかつ相互に接着してセル構造を形成したフラッシュパネル用芯材であって、前記複合シートの各辺はそれぞれ概ね1/2の部分が隣接する複合シートと接着され、かつ残りの概ね1/2の部分が自由坦持状態にあるように互い違いにずらして接着されていることを特徴とする複合シートによるフラッシュパネル用芯材。
[第7項]多数の複合シートに対して厚さの一部分のみを残して縦方向に切断する切断線又はV字形ノッチを概ね等間隔Lで互い違いに刻設する段階と、片側の最外層のみに対し当該最外層が切断されている前記切断線の位置又は前記Vノッチの裏側位置に隣接して同一方向に概ね1/2Lの長さにわたって接着剤を塗布する段階と、前記片側にのみ接着剤を塗布された複合シートを多数並列してから1つおきにその長手方向が逆になるように反転させる段階と、これら複合シートをその接着剤塗布位置が隣接する複合シートの接着剤塗布位置のちょうど中央に位置するように積層してから相互に接着させる段階とを包含することを特徴とする複合シートによるフラッシュパネル用芯材の製造方法。
[第8項]波形断面の厚板と該厚板の片側に接着された薄板との2層から成る多数の複合シートに対して、前記薄板のみを縦方向に切断する切断線を概ね等間隔2Lで刻設する段階と、前記薄板に対し各切断線に隣接して同一方向に概ね1/2Lの長さにわたって接着剤を塗布する段階と、前記片側にのみ接着剤を塗布された複合シートを多数並列してから1つおきにその長手方向が逆になるように反転させる段階と、これら複合シートをその接着剤塗布位置が隣接する複合シートの接着剤塗布位置のちょうど中央に位置するように積層してから相互に接着させる段階とを包含することを特徴とする複合シートによるフラッシュパネル用芯材の製造方法。
これに対し、無効審判請求人は、甲第1号証(特開昭54-17983号公報)、甲第2号証の1(特開昭50-27876号公報)、甲第2号証の2(特公昭54-35240号公報)、甲第3号証(特公昭50-24534号公報)、甲第4号証(実開昭49-5919号公報)、甲第5号証(実公昭40-8774号公報)、甲第6号証(特公昭27-4346号公報)、甲第7号証(実公昭27-9689号公報)、甲第8号証(実公昭42-16807号公報)および甲第9号証(特公昭29-2200号公報)を提出して次の(1)、(2)および(3)ような主旨の主張をしている。
(1)本件特許の第1発明(特許請求の範囲第1項に記載された発明)は、本件特許の出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された甲第1号証に係る先願の出願当初の明細書または図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者が先願の発明者と同一ではないし、また、本件特許の出願の時にその出願人が先願の出願人と同一でもないので、本件特許の第1発明(特許請求の範囲第1項に記載された発明)は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。(関連証拠方法;甲第1号証)
(2)本件特許の第1発明(特許請求の範囲第1項に記載された発明)は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第2号証の1に記載された発明と同一であるか、仮にそうでないとしても、甲各号証より当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第1項もしくは第2項の規定により特許を受けることができないものである。(関連証拠方法;甲第2号証の1、甲第2号証の2、甲第3号証、甲第4号証、甲第5号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第8号証および甲第9号証)
(3)本件特許の各発明は、主に現場における施工能率を向上させるべく、現場における展張が容易であり、且つ一旦展張された後はその展張状態を良好に保持することを目的としたものであるにもかかわらず、本件特許の第1発明(特許請求の範囲第1項に記載された発明)にはかかる目的を達成するための必要不可欠な構成が発明の要旨中には何の記載もなく、又既に展張された状態である完成品タイプの場合も発明の要旨中に含めているから、これでは、「特許請求の範囲」に、発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されているとはいえず、本件特許の第1発明(特許請求の範囲第1項に記載された発明)の特許は、特許法第36条第5項の要件を満たしていない出願に対してなされたものである。
そこで、先ず上記(1)の主張について検討すると、甲第1号証(特開昭54-17983号公報)に係る先願(特願昭52-82353号)の出願当初の明細書および図面(甲第1号証を参照。)には、「ペーパーコアによる芯材の製造方法」という名称の発明が記載されており、その特許請求の範囲には、「(1)一定の間隔により平行な折り目を多数本設け、多数本の折り目のうち一本置きの一側に折目に沿って糊代部を形成してなるペーパーコア用シートを多数枚設け、第1枚目のペーパーコア用シートの糊代部に接着剤を塗布し、第2枚目のペーパーコア用シートの多数本の折目のうち一本置きの折目を第1枚目のペーパーコア用シートの糊代部側の折目に対して糊代部の幅の分だけ一側にかつ平行に位置をずらして第2枚目のペーパーコア用シートの裏面を第1枚目のペーパーコア用シートの糊代部に接着し、以下上記の工程により第3枚目以上の各ペーパーコア用シートを下方のペーパーコアシートの糊代部に接着してなるペーパーコアによる芯材の製造方法。(2)特許請求の範囲第1項において、多数枚のペーパーコア用シートを接着させた後、一定の幅によりペーパーコア用シートの折目と直角方向に切断してなるペーパーコアによる芯材の製造方法。(3)特許請求の範囲第2項において、ペーパーコア用シートの折り目にミシン穴を多数形成してなるペーパーコアによる芯材の製造方法。」(甲第1号証の第1頁左下欄第5行ないし右下欄第9行)と記載され、発明の詳細な説明には、「本発明はペーパーコアによる芯材の製造方法に関する。本発明の目的は方形のコアを連続的に形成することにより、伸張させた際応力を与えない限り復元しない芯材を得ることにある。本発明の第2の目的は取り扱いが簡単でかつ抗圧性に優れ、軽量な芯材を得ることにある。以下本発明の詳細を添付図面を参照して説明する。ペーパーコア用シート1として、クラフト紙等の丈夫な方形の紙を多数枚用意する。・・・」(甲第1号証の第1頁右下欄第11行ないし第2頁左上欄第5行)と記載されている。
前記の記載によれば、先願の出願当初の明細書および図面に記載された発明(以下単に先願発明という。)はペーパーコアによる芯材に関するものであるから、本件第1発明のフラシュパネルと対象物品を共通にするものであり、また、先願発明においてはペーパーコア用シートとして「クラフト紙等の丈夫な方形の紙」を用いることは明らかであるが、甲第1号証を精査しても、クラフト紙以外に具体的にどのようなものを用いるのかについては記載がないので、複合シートを含むのか否かはその記載からは明らかでない。
そこで、さらに、その出願当時の技術水準に基づいて、当業者が甲第1号証の上記記載事項に接した場合どのように理解するかについて検討する。
甲第9号証(特公昭29-2200号公報)には、「特殊合板」という名称の発明が記載されており、その特許請求の範囲には「長辺状段ボールを適宜間隔を置いて相互に結合又は接着し之を引伸して波状網目状の構成体とし之を心としてその波状網目状両端面にベニヤ板を貼り合わせて成る特殊合板」(第2頁右欄第4行ないし第7行)と記載され、発明の詳細なる説明には、「本発明は段ボールを原料として之より波状網目状構造体を作り之を心として所謂蜂の巣状の構造となし之によって軽量且つ堅牢にして工業的経済的に製産し得る特殊合板を提供せんとするものである。」(第1頁左欄第17行ないし第21行)、「この製品は将来航空機用のフローリング、包装箱材料、壁板、戸、組立住宅、組立ボード等の各種領域に於いて賞用され得るものと信ぜられる」(第1頁右欄第13ないし第16行)と記載されている。
上記記載事項によれば、甲第9号証記載の発明においては、本件第1発明や先願発明と同じフラッシュパネルにおいて、芯材を段ボールとしたものが示されているということができる。そして、該公報が先願発明の出願時より約23年も前に刊行されたものであることを考えれば、この記載事項は、先願発明の出願時に、当業者に周知のことであったと認められる。
また、甲第3号証(特公昭50-24534号公報)には、「建材」という名称の発明が記載されており、その発明自体の特徴は、芯材に穿孔し、補強材を挿通し、この芯材の表裏に板状の表面部材を添着固定して建材とするもの(第14欄42行ないし第16欄第11行)であるが、発明の詳細な説明には、「本発明は建材、より具体的に言うならば主としてサンドイッチ形式の建材に関するものであり、外装材又は内装材として利用されるに好ましい建材を提供すると共にそれらの新しい製造方法を提案し、軽く工場等で規格量産したものを用いて施工現場で強固且つ堅牢な構築物を得ようとするものである。」(第2欄第4行ないし第10行)、「芯材としては撥水性を有する樹脂含浸のクラット紙又は金属、合成樹脂材の外ボール紙その他の紙質の資材も広く採用することができ、」(第5欄第7行ないし第9行)、「各単片は特に軽量性を求め又生産の容易性を得る場合には撥水加工したクラフト紙その他の紙質を採用することが好ましく、又強剛性乃至好ましい補強性を得る場合には金属系又はセメント系の素材が採用される。勿論木質系その他の部材でもよい。」(第8欄第7行ないし第12行)、「本発明における芯材としてクラフト紙等の紙質のような可撓性資材が利用されるものであることについては前述したが金属材であってもそれが比較的薄層のものであるならば充分な可撓性を有するものであることは明白である。合成樹脂材であってもこのことは同様である。更にそれら資材の併用されたものとして、例えば金網材に対して合成樹脂質または紙質を添着したもの、合成樹脂板と紙質板又は箔片板の金属乃至経木状木質材の如きが併用された場合、或いは布片状に織成又は編成された繊維質の布帛類を採用して紙質又は合成樹脂膜片の如きを層着したその他が適宜に採用され得る。」(第8欄第41行ないし第9欄第9行)と記載されている。
この記載からみると、本件第1発明や先願の発明と同様のフラッシュパネル用芯材の材料として、甲第3号証記載の発明の出願時である昭和43年3月(甲第3号証により認められる。)には、既に広く各種の材料が用いられていたし、例えば、金網に紙を添着したものや、布帛に紙を添着したものも材料として可能であると考えられていたことが認められる。
以上認定の事実からすると、甲第9号証記載の発明における段ボール、甲第3号証記載の発明における金網に紙を添着したものや、布帛に紙を装着したものは、本件第1発明における「複数の板材が層をなして接着されかつ一定の厚みを有する」という「複合シート」に相当するものということができ、そうすると、先願の発明の出願時において、本件第1発明と同じフラッシュパネル用芯材の技術分野で、その芯材を複合シートとするものは周知であったと認められる。
前記の事実を前提とした場合、当業者が先願発明をみるときに、その発明の中に「複合シート」が記載されているに等しいか否かを検討する。
先願の発明は、上記認定のとおり、ペーパーコアによる芯材に関するものであり、伸張させた際応力を与えない限り復元しない芯材を得ることを目的とし、さらに、取扱いが簡単でかつ抗圧力に優れ、軽量な芯材を得ることをも目的としている。
先願の発明は、そのような技術課題を、特有の構造を採用することにより解決しようとするものである。すなわち、甲第1号証によれば、従来の6角形のハニカム構造紙は、伸縮自在であるが、伸張させたとき両端を支持させ、引っ張っていない限り6角形のコアが復元して板状となってしまい甚だ厄介であって、伸張状態を保持させるため蒸気を与えたりして前処理をせざるを得なかったが、先願の発明は、伸張させた場合は応力を与えない限り菱形状コアは板状に復元しない構造にしたというものである(第2頁右下欄第7行ないし第3頁左上欄第1行)。
その際、先願の発明では、ペーパーコア用シートを多数枚用意して芯材を製造するとしており、そのペーパーコア用シートとして「クラフト紙等の丈夫な方形の紙」を多数枚用意するというものである。
この先願の発明を目的を含め全体としてみると、先願の発明は、その構造に特徴があるものであって、その材料には重点がおかれておらず、このため、材料については「クラフト紙等の丈夫な方形の紙を多数枚用意する」との記載があるのみであるが、この部分は、文面上図面を参照しての製造方法の説明部分にすぎないことが認められる。そうすると、「クラフト紙等の丈夫な方形の紙」というのは、単にシートとして例示しているにすぎないものと解釈すべきであり、先願の発明のペーパーコア用シートは、「クラフト紙等の丈夫な方形の紙」のことである、あるいは、「クラフト紙と同程度の丈夫さを有する方形の紙」に限るというように限定して解釈すべきであるとすることはできない。
したがって、先願の発明においては、当業者がこれをみた場合、その材料として、「クラフト紙等の丈夫な方形の紙」を1例とするような、従来のこの分野、すなわち、ペーパーコアの芯材の分野で材料として慣用されているシート材を、自ずから想起するというべきである。
しかも、先願の発明は、芯材が抗圧性を有することも目的の1つとしているから、上記認定のとおり、フラッシュパネル用芯材として周知であって、抗圧性の点でも有利であることが自明である「複合シート」について、当業者は、先願の発明の材料として当然これを用いることができると理解するというべきである。
そうすると、先願の発明は、芯材として、複合シートを用いることが技術的に自明であるというべきである。
そこで、振り返って甲第1号証の記載を再度検討すると、甲第1号証の第1図および第2図の糊代部3(斜線の入った部分)の巾は、折目2とその折り目2に一番近い折目2との間隔の1/2にはなっていないものの、第4図をみると、それには、概ね等角等辺の山形に屈曲させた同一形状のペーパーコア用シートを並列しかつ相互に接着してセル構造を形成した芯材が示されており、さらに第4図のペーパーコア用シート同士の重なり方について詳しく検討すると、第2枚目のペーパーコア用シートは、第1枚目のペーパーコア用シートの折目2(上向きの折目)とその折目2(上向きの折目)に一番近い折目2(下向きの折目)との間隔の略1/2だけ右側にずれており、第3枚目のペーパーコア用シートも、第2枚目のペーパーコア用シートの折目2(上向きの折目)とその折目2(上向きの折目)に一番近い折目2(下向きの折目)との間隔の略1/2だけ右側にずれており、第4枚目以降のペーパーコア用シートも同様に、第n枚目のペーパーコア用シートは、第n-1枚目のペーパーコア用シートの折目2(上向きの折目)とその折目2(上向きの折目)に一番近い折目2(下向きの折目)との間隔の略1/2だけ右側にずれていることが分かる。
そして、甲第1号証の特許請求の範囲第1項に記載されているように、先願の発明は、第2枚目のペーパーコア用シートの多数本の折目のうち一本置きの折目を第1枚目のペーパーコア用シートの糊代部側の折目に対して糊代部の幅の分だけ一側にかつ平行に位置をずらして第2枚目のペーパーコア用のシート裏面を第1枚目のペーパーコア用シートの糊代部に接着し、以下上記の工程により第3枚目以上の各ペーパーコア用シートを下方のペーパーコアの糊代部に接着しているのであるから、第2枚目のペーパーコア用シートと第1枚目のペーパーコア用シートの折目2(上向きの折目)とその折目2(上向きの折目)に一番近い折目2(下向きの折目)との間隔の略1/2のずれ、第3枚目のペーパーコア用シートと第2枚目のペーパーコア用シートの折目2(上向きの折目)とその折目2(上向きの折目)に一番近い折目2(下向きの折目)との間隔の略1/2のずれ、および、第n枚目のペーパーコア用シートと第n-1枚目のペーパーコア用シートの折目2(上向きの折目)とその折目2(上向きの折目)に一番近い折目2(下向きの折目)との間隔の略1/2のずれの部分は糊代部の幅の分であることは明らかである。
そうすると、甲第1号証の第4図に示された芯材も、ペーパーコア用シートの各辺はそれぞれ概ね1/2の部分が隣接するペーパー用シートと接着され、かつ残りの概ね1/2の部分が自由担持状態にあるように互い違いにずらして接着されていることは明らかである。
そして本件発明でいうフラッシュパネル用芯材のフラッシュパネルとは、「flush panel」のことであって「面一の板状体」という程度の意味にすぎないし、甲第1号証の第3頁左上欄第3行から第5行の「従って建築用パネルの芯材として使用する場合は単に芯材を伸張させるだけで楽に使用できる。」という記載からみて、甲第1号証でいう芯材も芯材単独で使用されるのではなく、最終的には表面材と組み合わされて「面一の板状体」に加工され例えば建築用パネルとして用いられると考えられるから、甲第1号証でいう芯材が本件発明でいうフラッシュパネル用芯材に相当することは明らかである。
以上のことを総合すると、結局、甲第1号証には、概ね等角等辺の山形に屈曲させた同一形状の多数の複合シートを並列しかつ相互に接着してセル構造を形成したフラッシュパネル用芯材であって、前記複合シートの各辺はそれぞれ概ね1/2の部分が隣接する複合シートと接着され、かつ残りの概ね1/2の部分が自由坦持状態にあるように互い違いにずらして接着されている複合シートによるフラッシュパネル用芯材が記載されていると認めることができる。
そうすると、本件特許の第1発明(特許請求の範囲第1項に記載された発明)は、本件特許の出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された甲第1号証に係る先願の出願当初の明細書または図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件特許の発明者が先願の発明者と同一ではないし、また、本件特許の出願の時にその出願人が先願の出願人と同一でもないので、本件特許の第1発明(特許請求の範囲第1項に記載された発明)は、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、上記(2)の主張および上記(3)の主張、その余の証拠を検討するまでもなく、本件特許の第1発明(特許請求の範囲第1項に記載された発明)に係る特許は、特許法第123条第1項第1号に該当し、同条第1項の規定により無効にすべきものである。
なお、請求人は、平成3年10月21日付審判事件弁駁書第16頁第5行から第12行で、特許請求の範囲の項が複数であって、その一つについてのみ無効理由が存在すれば、他の項の発明を判断せずともよいことは、併合出願を一体として扱うことから明白であり、特許請求の範囲第1項に無効理由がある以上、第2発明および第3発明の製造方法についても無効となるべきものである旨を主張しているが、無効審判の請求は発明毎に請求できるのであって、一つの発明の特許に無効理由が存在するからといって、他の発明の特許が無効になることはないし、また、請求人は、本件特許の第1発明(特許請求の範囲第1項に記載された発明)に係る特許の無効の理由は示しているものの、第2発明(特許請求範囲第7項に記載された発明)および第3発明(特許請求の範囲第8項に記載された発明)の特許の無効理由を具体的に示していないから、本件特許の第2発明および第3発明の特許ついては無効にすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1998-03-12 
結審通知日 1998-03-24 
審決日 1998-04-10 
出願番号 特願昭52-159495
審決分類 P 1 11・ 121- ZC (B32B)
P 1 11・ 532- ZC (B32B)
P 1 11・ 161- ZC (B32B)
最終処分 一部成立  
前審関与審査官 武井 英夫  
特許庁審判長 荻島 俊治
特許庁審判官 石井 克彦
石橋 和夫
仁木 由美子
喜納 稔
登録日 1982-03-23 
登録番号 特許第1088393号(P1088393)
発明の名称 複合シートによるフラツシユパネル用芯材とその製造方法  
代理人 橋本 正男  
代理人 西山 聞一  
代理人 社本 一夫  
代理人 今井 庄亮  
代理人 増井 忠弐  
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