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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する G01G
審判 訂正 特29条の2 訂正する G01G
管理番号 1075664
審判番号 訂正2003-39009  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-04-09 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2003-01-17 
確定日 2003-03-11 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3133285号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3133285号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 【1】手続の経緯
本件特許第3133285号は、平成9年9月17日にその願書が提出され、平成12年11月24日に設定登録されたものであり、その後、特許異議の申立てがあり、異議2001-72150号として審理され、平成14年9月17日付けで「訂正を認める。特許第3133285号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との取消決定がなされたところ、当該取消決定に対する訴えが東京高等裁判所へ提出され、更に、訂正審判(訂正2002-39265)が請求され、その請求が取り下げられた後、本件審判請求がなされたものである。

【2】請求の趣旨
本件審判請求は、特許第3133285号の願書に添付した明細書を本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであり、その要旨は、次の訂正事項a1〜a5及びb1〜b6のとおりのものと認める。
[1]特許請求の範囲の記載に対する訂正
訂正事項a1
請求項1の記載
「【請求項1】 トレイに収容された商品の重量を計量する計量手段と、
前記商品の単位重量当たりの価格データを設定する設定手段と、
前記商品を収容するトレイの大きさを検出する検出手段と、
前記検出したトレイの大きさからトレイの重量を決定するトレイ重量決定手段と、
前記計量手段の計量結果と前記トレイ重量決定手段によって決定されたトレイ重量と前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出する値段算出手段とを具備した計量値付け装置であって、
前記計量値付け装置は包装装置と組み合わせて使用され、前記トレイの大きさを検出する手段は、包装装置の被包装物のサイズ検出センサを兼用したことを特徴とする計量値付け装置。」
を、次のとおりに訂正する。
「 【請求項1】 トレイに収容された商品の重量を計量する計量手段と、
品番に対応して単位重量当たりの価格データを記憶する商品ファイルと、
前記商品を収容するトレイの大きさを検出する検出手段と、
前記検出したトレイの大きさからトレイの重量を決定するトレイ重量決定手段と、
計量が包装前か包装後かを入力する操作部と、
該トレイ重量決定手段によるトレイ重量決定前に品番が入力されると、前記商品ファイルから前記価格データを読み出して前記商品の単位重量当たりの価格データを設定する設定手段と、
トレイに収納された商品を包装前に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と前記トレイ重量決定手段によって決定されたトレイ重量と前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出し、
トレイに収納された商品を包装後に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と、前記トレイ重量と、前記商品を包装したフィルムの重量と、前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出する値段算出手段とを具備した計量値付け装置であって、
前記計量値付け装置は包装装置と組み合わせて使用され、前記トレイの大きさを検出する手段は、包装装置の被包装物のサイズ検出センサを兼用したことを特徴とする計量値付け装置。」。
訂正事項a2
請求項2を削除する。
訂正事項a3
請求項3を新たに請求項2と訂正し、「請求項1または2」を「請求項1」と訂正する。
訂正事項a4
請求項4を新たに請求項3と訂正し、「請求項1または2」を「請求項1」と訂正する。
訂正事項a5
請求項5を新たに請求項4と訂正し、「請求項1または2」を「請求項1」と訂正する。
[2]発明の詳細な説明に対する訂正
訂正事項b1
明細書段落番号【0005】の記載を【課題を解決するための手段】と訂正する。
訂正事項b2
明細書段落番号【0006】の記載
「【0006】請求項2に記載の発明は、前記計量値付け装置が包装装置と組み合わされて使用され、前記商品の値段算出手段は、前記計量手段の計量結果と、前記トレイ重量と、前記商品を包装したフィルムの重量と、前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出することを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置を提供する。」を次のように訂正する。
「 【0006】
請求項1に記載の発明は、
トレイに収容された商品の重量を計量する計量手段と、
品番に対応して単位重量当たりの価格データを記憶する商品ファイルと、
前記商品を収容するトレイの大きさを検出する検出手段と、
前記検出したトレイの大きさからトレイの重量を決定するトレイ重量決定手段と、
計量が包装前か包装後かを入力する操作部と、
該トレイ重量決定手段によるトレイ重量決定前に品番が入力されると、前記商品ファイルから前記価格データを読み出して前記商品の単位重量当たりの価格データを設定する設定手段と、
トレイに収納された商品を包装前に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と前記トレイ重量決定手段によって決定されたトレイ重量と前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出し、
トレイに収納された商品を包装後に計量する場合には、前記計量手段の計量結
果と、前記トレイ重量と、前記商品を包装したフィルムの重量と、前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出する値段算出手段とを具備した計量値付け装置であって、
前記計量値付け装置は包装装置と組み合わせて使用され、前記トレイの大きさを検出する手段は、包装装置の被包装物のサイズ検出センサを兼用したことを特徴とする計量値付け装置を提供する。」。
訂正事項b3
明細書段落番号【0008】の記載
「【0008】請求項3に記載の発明は、前記トレイ重量決定手段が、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルであることを特徴とする請求項1または2に記載の計量値付け装置を提供する。」を、次のように訂正する。
「【0008】
請求項2に記載の発明は、
前記トレイ重量決定手段は、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルであることを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置を提供する。」。
訂正事項b4
明細書段落番号【0009】の記載
「【0009】請求項4に記載の発明は、前記トレイ重量決定手段が、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルを複数種類備え、使用するトレイの種別に応じて前記テーブルの一つを選択可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の計量値付け装置を提供する。」を、次のように訂正する。
「【0009】
請求項3に記載の発明は、
前記トレイ重量決定手段は、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルを複数種類備え、使用するトレイの種別に応じて前記テーブルの一つを選択可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置を提供する。」。
訂正事項b5
明細書段落番号【0010】の記載
「【0010】請求項5に記載の発明は、前記トレイ重量決定手段が、トレイ形状のパターン認識データにより重量を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の計量値付け装置を提供する。」を、次のように訂正する。
「【0010】
請求項4に記載の発明は、
前記トレイ重量決定手段は、トレイ形状のパターン認識データにより重量を補正することを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置を提供する。」
訂正事項b6
明細書段落番号【0027】中の「計量包装値付け装置(包装後の搬入コンベアに計量器が組み込まれている場合)」を「計量包装値付け装置(包装前の搬入コンベアに計量器が組み込まれている場合)」に訂正する。
【3】訂正の適否
[1]訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の実質変更又は拡張の存否
1.訂正事項a1
訂正事項a1は、
・旧請求項1に、構成「品番に対応して単位重量当たりの価格データを記憶する商品ファイル」及び「計量が包装前か包装後かを入力する操作部」を付加し、
・旧請求項1における「前記商品の単位重量当たりの価格データを設定する設定手段」を「該トレイ重量決定手段によるトレイ重量決定前に品番が入力されると、前記商品ファイルから前記価格データを読み出して前記商品の単位重量当たりの価格データを設定する設定手段」と限定し、かつ、
・旧請求項1における「前記計量手段の計量結果と前記トレイ重量決定手段によって決定されたトレイ重量と前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出する値段算出手段」を、「トレイに収納された商品を包装前に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と前記トレイ重量決定手段によって決定されたトレイ重量と前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出し、
トレイに収納された商品を包装後に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と、前記トレイ重量と、前記商品を包装したフィルムの重量と、前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出する値段算出手段」と限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
2.訂正事項a2
訂正事項a2は特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
3.訂正事項a3〜a5
訂正事項a3〜a5は、訂正事項a2に伴い生じる請求項の番号の繰り上がりであって、不明瞭な記載の釈明、及び、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当する。
また、これらの訂正a1〜a5は訂正前の明細書に記載された事項に基づくものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。
4.訂正事項b1〜b5
いずれも、特許請求の範囲の記載内容の訂正に伴い生じる不明瞭な記載の釈明を目的とする訂正である。
5.訂正事項b6
誤記の訂正を目的とする訂正に該当する。
また、これらの訂正b1〜b6は訂正前の明細書に記載された事項に基づくものであり、特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものではない。
[2]独立特許要件
1.本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に係る発明
本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に係る発明(以下、それぞれ「訂正発明1」・・・「訂正発明4」という。)は、本件審判請求書に添付された訂正明細書及び願書に添付された図面の 記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。
(訂正発明1)
「 【請求項1】 トレイに収容された商品の重量を計量する計量手段と、
品番に対応して単位重量当たりの価格データを記憶する商品ファイルと、
前記商品を収容するトレイの大きさを検出する検出手段と、
前記検出したトレイの大きさからトレイの重量を決定するトレイ重量決定手段と、
計量が包装前か包装後かを入力する操作部と、
該トレイ重量決定手段によるトレイ重量決定前に品番が入力されると、前記商品ファイルから前記価格データを読み出して前記商品の単位重量当たりの価格データを設定する設定手段と、
トレイに収納された商品を包装前に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と前記トレイ重量決定手段によって決定されたトレイ重量と前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出し、
トレイに収納された商品を包装後に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と、前記トレイ重量と、前記商品を包装したフィルムの重量と、前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出する値段算出手段とを具備した計量値付け装置であって、
前記計量値付け装置は包装装置と組み合わせて使用され、前記トレイの大きさを検出する手段は、包装装置の被包装物のサイズ検出センサを兼用したことを特徴とする計量値付け装置。」
(訂正発明2)
「【請求項2】 前記トレイ重量決定手段は、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルであることを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置。」
(訂正発明3)
「【請求項3】 前記トレイ重量決定手段は、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルを複数種類備え、使用するトレイの種別に応じて前記テーブルの一つを選択可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置。」
(訂正発明4)
「【請求項4】前記トレイ重量決定手段は、トレイ形状のパターン認識データにより重量を補正することを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置。」。
2.先願明細書に記載された発明
これに対して特許異議申立人 株式会社イシダが提出した、本件の出願日前の出願であって、その出願後に出願公開された特願平9-171344号(特開平11-11438号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「先願明細書」という。)には、自動包装機のトレイ認識装置に関し、次の事項が記載されている。
・【0003】この自動計量包装値付け機では、ラベルの張り付け位置を、・・・真正な物品重量をラベルに印字させるために包装直前の前計量の計量値からトレイの重量を除く、いわゆる風袋引きをすることが要請されている。
・【0009】又、従来の自動包装機の中には、そのトレイ搬入部からトレイ包装部に搬入されるトレイの大きさを検出するためトレイセンサを備えたものがある。このセンサによる検出情報は、自動包装におけるフィルムの長手方向引出し量及びフィルムの幅方向引き伸ばし量を決定するためにだけ使用されていて、それ以外には使用されていなかった。
・【0025】図1は自動包装機例えば自動計量包装値付け機全体の構成を示す斜視図であって、この図1に示されるように自動計量包装値付け機は、包装装置1と、計量部としての計量器2と、プリンタ部としてのラベルプリンタ3と、ラベル貼付け部としてのラベル貼付け装置4と、制御装置5(図5参照)と、表示部としてのディスプレイ6a付きの入力装置6等を具備している。入力部としての入力装置6は多数の操作キー6bを備えている。
・【0035】前記構成の包装装置1には、そのトレイ搬入部11が作る搬入経路においてトレイサイズ検出手段としての垂直トレイセンサアレイ31と、水平トレイセンサアレイ32とが設けられている(図2参照)。
・【0042】また、前記計量器本体42は、トレイ17およびそれに入っている物品の総重量を自動計量する計測部と、前記総重量からトレイ17の重さを差し引く風袋引き演算部と、その演算結果に応じた物品の値段に換算する換算部とを有している。そして、この計量器本体42は、前記演算結果、すなわち、物品の真正重量値と、それを換算した値段との情報をラベルプリンタ3に供給するようになっている。
・【0047】この供給によりトレイ17は計量器2の載せ台44上に載置されるから、まず、計量器2により物品とトレイ17との合計の重さが自動的に計量される。
この計量結果はラベルプリンタ3に供給される。それにより、ラベルプリンタ3は、前記合計重量と包装に使用したフィルムFの量に応じたフィルム重さ等を考慮して風袋引きの演算等を適宜行うとともに、ラベル発行動作を行って計量結果や演算結果などをラベル52に印字して発行する。
・【0049】なお、この自動包装におけるフィルムFの長手方向の引出し量及び幅方向の引伸ばし量は、トレイセンサアレイ31、32により検出されたトレイ17の各部(開口長さl1、ベース長さl2、開口幅w1、ベース幅w2、高さh、トレイの傾斜側壁の水平投影幅s1、s2等)のサイズに応じて決定される。
・【0053】トレイマスタファイル65には、自動計量包装値付け機が取扱える各種のトレイについてトレイ搬入部11による包装部12へのトレイ17の搬入中に、このトレイ17の種類等を自動認識させるための各種のデータ等が記憶されている。
・【0054】詳しくは、トレイマスタファイル65に記憶されたデータには、図6に例示のようにトレイの種類毎に個々に割り当てられたトレイ番号とトレイ名称の他に、各種のトレイ毎の各部実寸データとそれに対応する擬似サイズデータとがある。
・【0055】トレイの各部を実際にスケールを用いて測定して得た実寸値である各部実寸データには、そのトレイにおける長さL、幅W、高さH、及び必ずしも必要ではないがトレイ重さGがある。
・【0060】この後、CPU61は、前記のようにして自動認識したトレイの種類について登録されている実寸データのうち、例えばトレイ重さGについての実測データ値をトレイマスタファイル65から読み出して、前記包装部12に搬入されつつあるトレイ17についての風袋量を決定する。こうして選択された風袋量についてのデータ値は、CPU61から前記計量器本体42の風袋引き演算部に出力されるから、この演算部においてトレイ17内の物品の真正重量値とそれを換算した値段とが算出される。そして、CPU61は前記演算結果をラベルプリンタ3に供給する。
・【0061】最後に、CPU61は、前記ステップ2で自動認識したトレイの種類について登録されている実寸データのうち、例えばトレイの開口長さl1及び開口幅w1についての実測データ値をトレイマスタファイル65から読み出して、搬入されているトレイ17の長さ・幅を決定する。そして、CPU61は、選択したトレイ17の長さ・幅についての実寸データを、包装装置1にフィルム制御情報として供給するから、それに基づき包装装置1はストレイッチフィルムFの長手方向引出し量及び幅方向に引伸ばし量を決定して、既述の包装動作を実行する。なお、前記引出し量及び引伸ばし量の決定においては、以上のように搬入されているトレイ17の長さ・幅の決定に基づいて、制御装置1の図示しない搬入姿勢判定部で、前記長さl1と幅w1との大小関係によりトレイ17が縦長し搬入(l1<w1)されているのか、横流し搬入(l1>w1)されているのかの演算を行い、それによる搬入姿勢判定結果も当然に考慮される。しかも、前記搬入姿勢判定結果はCPU61を介してラベル貼付け装置4にラベル貼付け位置を調整させるためのラベル貼付け情報として供給される。
3.判断
以下、訂正発明1と先願明細書に記載された発明とを比較する。
先願明細書には、訂正発明1における特定事項である「計量が包装前か包装後かを入力する操作部」及び、「トレイに収納された商品を包装前に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と前記トレイ重量決定手段によって決定されたトレイ重量と前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出し、
トレイに収納された商品を包装後に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と、前記トレイ重量と、前記商品を包装したフィルムの重量と、前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出する値段算出手段」について、記載されていない。
すなわち、先願明細書における「風袋引き」は、先願明細書段落番号【0047】に、「ラベルプリンタ3は、前記合計重量と包装に使用したフィルムFの量に応じたフィルム重さ等を考慮して風袋引きの演算等を適宜行う」旨の記載が見られるものの、
・段落番号【0003】の「真正な物品重量をラベルに印字させるために包装直前の計量値からトレイの重量を除く、いわゆる風袋引きをする」との記載、
・段落番号【0042】の「前記総重量からトレイ17の重さを差し引く風袋引き演算部」との記載、
・段落番号【0060】の「トレイ重さGについての実測データ値をトレイマスタファイル65から読み出して、前記包装部12に搬入されつつあるトレイ17についての風袋量を決定する。」との記載、
及び図1等を見ると、先願明細書には、一貫して商品を包装前に計量することを前提とした計量値付け装置について記載されているのであって、商品を包装後に計量することについての構成を具体的に開示した記載は見あたらない。ましてや、「計量が包装前か包装後かを入力する操作部」の構成や「トレイに収納された商品を包装後に計量する場合」を想定した具体的な構成についての記載を、先願明細書中に見いだすことはできない。
したがって、訂正発明1は先願明細書に記載された発明と同一であるとは言えない。
そして、訂正発明1が先願明細書に記載された発明と同一であるとは言えない以上、請求項1の従属請求項である請求項2〜4に係る発明(すなわち、訂正発明2〜4)もまた、先願明細書に記載された発明と同一であるとは言えない。
【4】むすび
以上のように、本件訂正発明1〜4は、特許異議申立人が提出した証拠を検討しても、特許出願の際独立して特許を受けることができないものとすることはできない。
また、他に本件訂正発明1〜4が特許出願の際独立して特許を受けることができないものとする理由を発見しない。
したがって、本件訂正請求は、特許法126条第1項第1号乃至第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項乃至第4項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
計量値付け装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 トレイに収容された商品の重量を計量する計量手段と、
品番に対応して単位重量当たりの価格データを記憶する商品ファイルと、
前記商品を収容するトレイの大きさを検出する検出手段と、
前記検出したトレイの大きさからトレイの重量を決定するトレイ重量決定手段と、
計量が包装前か包装後かを入力する操作部と、
該トレイ重量決定手段によるトレイ重量決定前に品番が入力されると、前記商品ファイルから前記価格データを読み出して前記商品の単位重量当たりの価格データを設定する設定手段と、
トレイに収納された商品を包装前に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と前記トレイ重量決定手段によって決定されたトレイ重量と前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出し、
トレイに収納された商品を包装後に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と、前記トレイ重量と、前記商品を包装したフィルムの重量と、前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出する値段算出手段とを具備した計量値付け装置であって、
前記計量値付け装置は包装装置と組み合わせて使用され、前記トレイの大きさを検出する手段は、包装装置の被包装物のサイズ検出センサを兼用したことを特徴とする計量値付け装置。
【請求項2】 前記トレイ重量決定手段は、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルであることを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置。
【請求項3】 前記トレイ重量決定手段は、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルを複数種類備え、使用するトレイの種別に応じて前記テーブルの一つを選択可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置。
【請求項4】 前記トレイ重量決定手段は、トレイ形状のパターン認識データにより重量を補正することを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は計量装置、特に商品の重量を計量し、その重量値とその商品の単位重量当たりの価格データとから商品の値段を算出し、ラベル等に印字する計量値付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の計量値付け装置においては、商品の風袋重量は単位重量当たりの価格データ、商品名等と共に予め品番に対応して記憶されており、品番を入力するだけで自動的にデータが呼び出され、計測した重量から品番入力によって呼び出した風袋重量を減算して商品の正味重量を算定し、この正味重量によって値付けを行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの方法では、
▲1▼風袋重量を記憶させる操作が面倒で、かつ間違いやすく、間違えた場合には正確な値段を算出することができない、
▲2▼同一商品(品名、単位重量当たりの価格データが同じ)でも風袋重量が異なると、品番を別々にしなければならず、品番の入力が面倒である、
▲3▼風袋重量を変更する場合には、風袋重量をキー入力しなければならない、等の課題があった。
【0004】
本発明はこのような背景の下になされたもので、風袋重量は使用するトレイの大きさを検出して判断され、計測した総重量から自動的に商品重量を算定して商品単価を掛けることにより自動的に値付けを行うことができる計量値付け装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
トレイに収容された商品の重量を計量する計量手段と、
品番に対応して単位重量当たりの価格データを記憶する商品ファイルと、
前記商品を収容するトレイの大きさを検出する検出手段と、
前記検出したトレイの大きさからトレイの重量を決定するトレイ重量決定手段と、
計量が包装前か包装後かを入力する操作部と、
該トレイ重量決定手段によるトレイ重量決定前に品番が入力されると、前記商品ファイルから前記価格データを読み出して前記商品の単位重量当たりの価格データを設定する設定手段と、
トレイに収納された商品を包装前に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と前記トレイ重量決定手段によって決定されたトレイ重量と前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出し、
トレイに収納された商品を包装後に計量する場合には、前記計量手段の計量結果と、前記トレイ重量と前記商品を包装したフィルムの重量と、前記商品の単位重量当たりの価格データとに基づいて商品の値段を算出する値段算出手段とを具備した計量値付け装置であって、
前記計量値付け装置は包装装置と組み合わせて使用され、前記トレイの大きさを検出する手段は、包装装置の被包装物のサイズ検出センサを兼用したことを特徴とする計量値付け装置を提供する。
【0007】
【0008】
請求項2に記載の発明は、
前記トレイ重量決定手段は、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルであることを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置を提供する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、
前記トレイ重量決定手段は、トレイの大きさと重量との関係を記憶するトレイ重量テーブルを複数種類備え、使用するトレイの種別に応じて前記テーブルの一つを選択可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置を提供する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、
前記トレイ重量決定手段は、トレイ形状のパターン認識データにより重量を補正することを特徴とする請求項1に記載の計量値付け装置提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。図1はこの発明の一実施形態による包装機と組み合わされた計量値付け装置の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は包装機であり、搬入コンベア2から搬入される商品3をストレッチフィルムによって包装し、包装後の該商品3を搬出コンベア4に搬出する。前記搬入コンベア2は、前記包装機1に商品3(被包装物)を搬入するコンベアであり、商品3の長さ(L)を検出するセンサs1(s1aおよびs1bによって構成される)、商品3の幅(W)を検出するセンサs2(s2aおよびs2bによって構成される)および商品3の高さ(H)を検出するセンサs3(s3aおよびs3bによって構成される)が配設されている。
【0012】
上記センサs1、s2およびs3には、反射型または通過型のセンサが使われる。反射型センサは、1つの筐体の中に発光器および受光器を備え、前記発光器から発光された光が検知対象物で反射された光を前記受光器で受光することによって前記検知対象物を検知するセンサであり、通過型センサは発光器と受光器とを離反した2点に置き、検知対象物が前記2点の間にあるとき、前記発光器から発光された光が前記検知対象物で遮断され、受光器に到達しないことによって前記検知対象物を検知するセンサである。
【0013】
この実施形態の場合、長さ(L)の検出は、2つの反射型センサs1aおよびs1bを互いに離間する矢印M1および矢印M2の方向へ移動させて、前記センサs1aおよびs1bの出力がONからOFFに変化するまでの移動距離から求める。なお、各センサs1、s2およびs3の具体的な構成が実施形態の方式に限定されないのは勿論である。
【0014】
幅(W)の検出は、s2aおよびs2bによって構成される一対の通過型センサs2の出力がOFFの期間の搬入コンベア2を駆動するステッピングモータの駆動カウント数から算定された駆動コンベア2の走行距離によって測定する。また、高さ(H)の検出は、搬送コンベア2上の高さ方向に高さを等分に違えて配設された複数対の通過型センサs3(s3a、s3bによって構成される一対のセンサを異なる高さで複数個配設する)の商品3通過時のOFF個数によって測定する。なお、上記長さ(L)、幅(W)および高さ(H)のデータの内、L、W、Hは後述する包装機1の制御に用いられ、しおよびWは後述する風袋重量の測定に用いられる。
【0015】
次に、搬出コンベア4は、包装機1により包装後の商品3を後段の計量値付け装置に搬出するもので、計量値付け装置への搬入コンベアとしても機能するようになっている。計量コンベア5は、商品3の重量(Wt)を搬送中に計量するコンベアである。ラベル印字貼付部6は、商品3の重量(Wt)から風袋重量(Wf)を減算して商品3の正味重量(Wo)を算出し、この重量(Wo)と商品3の単位重量当たりの価格データとから商品の値段を算出し、この算出した値段と商品名、正味重量、有効日等とともにラベル7に印字し、商品3が所定位置にきたとき、印字したラベル7を商品に貼付する。貼付方法には、例えばエアジェットによる吹き付けやラベル保持面の保持効果による圧接法などがある。
【0016】
貼付コンベア8は、商品3へのラベル7の貼付が行われるコンベアであり、その上部(底貼りの場合はその下部)にラベル印字貼付部が配設されている。また、商品3が所定位置に到達したことを検出する商品検出センサs4が配設されている。このセンサs4がOFFになってから所定時間経過後にラベルを貼付する。この所定時間を変更することにより、ラベル貼付位置を変えることができる。
【0017】
次に、図2を参照して上述の構成による計量値付け装置の制御部の構成について説明する。この図において、符号Aは計量値付け部を示し、符号Bは包装機部を示す。前記計量値付け部Aはプログラムを実行し制御を行うCPU(セントラルプロセッシングユニット)10を核として構成され、前記CPU10が実行する各種プログラムが記憶されているROM(リードオンリメモリ)11、前記CPU10がプログラムを実行する際に使用するワークエリア、レジスタ、フラグおよび処理実績データを記憶する実績ファイルが記憶されるRAM(ランダムアクセスメモリ)12がバスを経由して前記CPU10に接続されている。また、このRAM12には後述する商品ファイル-風袋重量変換テーブル等もここに記憶され、これらはメモリ、バッファアンプ等により記憶内容が保護されている。
【0018】
さらに、前記CPU10には計量コンベア5上にある商品を計量する計量部13、各種データの入力、設定を行い、各種データやメッセージを表示する表示操作部(コンソール)14、包装機部Bと交信を行うための通信用インターフェースINF15、計量コンベア5および貼付コンベア8の制御を行う制御部16、ラベルに商品名、値段、重量等を印字し、このラベルをラベル発行口に吸引保持させるラベル印字部17、前記吸引保持されているラベルをエアジェットの吹き付けや圧着により商品に貼付するラベル貼付部18および前記貼付コンベア8における商品検出センサs4による商品検出部19が、バスを介して接続されている。
【0019】
また、前記包装機部Bは制御を行うCPU20を中心として構成され、前記計量値付け部Aとの交信を行うための通信用インターフェースであるINF21は各種ステイタスデータの他、本実施形態では前記CPU20側から前記CPU10側へセンサs1、センサs2によって検出した長さ(L)幅(W)データが送信される。ROM22には前記CPU20が実行する各種プログラムが記憶されている。RAM23は前記CPU20がプログラムを実行する際に使用するワークエリア、レジスタ、フラグが記憶されるメモリであり、商品の長さ(L)、幅(W)および高さ(H)の各データに基づいて制御機構部を制御する各種制御データ決定するテーブルもここに記憶されている。(ここに使用されるメモリはROMでもよいが変更が可能なようにRAMを使用しており、電源をOFFしてもデータが保護されるように不揮発性RAMとすることが望ましい。)
【0020】
表示操作部24は包装機部Bのコンソール(表示操作部)であり、後述するトレイタイプ等の入力を行う。包装機制御部25は商品の長さ(L)、幅(W)および高さ(H)に基づいて各作動部を制御する包装機構制御部であり、搬入コンベア2および搬出コンベア4の制御もここで行う。長さ検出部26はセンサs1により商品の長さを検出し、幅検出部27はセンサs2により商品の幅を検出し、高さ検出部28はセンサs3により商品の高さを検出する。この3つの検出部によって商品サイズ検出部Cが構成される。
【0021】
次に、この実施形態の動作の概要を図1、図2および動作のフローチャートを参照して説明する。図3は包装機部Bの動作のフローチャートである。この図において、搬入コンベア2の所定位置に商品3を載置することによって包装機部Bの処理ルーチンがスタートする。以下ステップsp10(以下、sp10等と称する)から順を追って動作を説明する。
【0022】
まず、sp10において、搬入コンベア2によって商品3を包装機1に搬入するまでにセンサs1、センサs2およびセンサs3によって前記商品3の長さ(L)、幅(W)および高さ(H)の各サイズを検出する。
sp11・・・検出したサイズのうちL、Wおよび商品を載せたトレイの種別データを計量値付け部Aへ送付する。この実施形態では包装機の制御はトレイ種別によって異なるためトレイ種別データ(標準トレイT1か軟弱トレイT2)が予め表示操作部24により入力されており、このデータを計量値付け部Aへ送付する。
【0023】
sp12・・・検出した商品3のサイズL、WおよびHとトレイ種別Tに基づいて、包装機の制御データを決定する。該制御データとしてはフィルムカット長さ、フィルムのプリストレッチの量、商品3のエレベータヘッド上への搬入位置、折り込み板の作動タイミングなどがある。
sp13・・・上述のsp12で決定された制御データに基づいて各作動部を制御し、包装動作を行う。
sp14・・・包装後の商品3を搬出コンベア4に搬出する。
【0024】
次に図4は、計量値付け部Aの動作を説明するフローチャートである。この図を参照して計量値付け部Aの動作について説明する。まず、sp20において表示操作部14から風袋重量値として処理する商品の商品番号(品番)を入力する。なお前記RAM12には、表1に示すようなフォーマットの商品ファイルが記憶されている。
【表1】
品番を入力することにより前記商品ファイルから入力する品番に対応して記憶されている商品データが読み出されRAM12の各レジスタに記憶される。例えば品番「1234」を入力することにより、100グラム当たり150円で、加工日から4日間有効な豚肉(コマ)のデータが記憶される。
【0025】
sp21・・・計量コンベア5に搬入された商品3の重量(Wt・・・総重量)を計量する。
sp22・・・上記sp11によりCPU20から送付されたL、WおよびHの各データに基づいてトレイ重量(風袋重量)を決定する。この決定はRAM12記憶されているトレイサイズ-風袋重量(Wf)変換テーブルに基づいて行われる。この変換テーブルはトレイ種別(標準トレイ・・・T1、軟弱トレイ・・・T2)毎に設けられている。トレイ種別毎にあるトレイサイズ-風袋重量(Wf)変換テーブルの例を表2に示す。
【表2】
なお、この実施形態では風袋重量は商品の入れ物であるトレイの他に包装されているフィルムも含まれるので、このフィルム重量を加味した重量を風袋重量(Wf)として記憶してある。
【0026】
sp23・・・商品の重量(W)、風袋重量(Wf)と単位重量当たりの価格データ(UP)とから、次の式(1)、(2)により商品の値段(P)を計算する。
Wo=W-Wf・・・・・・・・・・・・(1)
P=(Wo/100)×UP・・・・・(2)
なお、値段(P)の小数点以下は切り捨てとし、単位重量当たりの価格データ(UP)は100グラム当たりの数値なので重量値を100で除してある。
sp24・・・値段、品名、正味重量(Wo)、有効年月日等をラベルに印字して発行口に送る。
sp25・・・商品検出センサs4によって商品があることを検出し、所定時間経過後ラベルを貼付する。
【0027】
なお、上述の実施形態は、包装計量値付け装置であるため、風袋重量はトレイ重量とフィルム重量との和であり、データテーブルにフィルム重量を加味した数値を記憶している。勿論、計量包装値付け装置(包装前の搬入コンベアに計量器が組み込まれている場合)は風袋重量はトレイ重量であり、データテーブルにはトレイ重量を記憶しなければならない。
【0028】
次に、第2の実施形態として、上述の同一トレイ番号でも風袋重量が異なってしまう場合の風袋重量としてトレイ重量とフィルム重量とを区別した実施形態について説明する。即ち、表3のようにトレイ重量(Wf1)とフィルム重量(Wf2)との合計値を記憶しておき、計量が包装後に行われる場合、トレイ重量(Wf1)とフィルム重量(Wf2)との合計値を風袋重量とする。計量が包装前に行われる場合、トレイ重量(Wf1)を風袋重量とする。
【表3】
【0029】
次に、第3の実施形態について説明する。フィルム重量が商品の長さ(L)の値により若干相違があるものの、その相違はトレイ重量に対して無視できる程度なので、RAMにフィルム重量(Wf’)を別に記憶しておき、表4に示す変換テーブルには風袋重量としてトレイ重量(Wf)のみを記憶しておく。そして、計量が包装後の場合、トレイ重量(Wf)とフィルム重量(Wf’)との和を風袋重量とし、計量が包装前の場合、トレイ重量(Wf)を風袋重量とする。ここで、計量が包装後か包装前かは操作部から入力する。
【表4】
【0030】
最後に、第4の実施形態について説明する。上述の第3の実施形態の変形として、表5に示すようにフィルム重量(Wf’)をフィルムカット長さ毎に記憶しておき、フィルム長さに応じてフィルム重量(Wf’)を変更するようにしても良く、このフィルム長さのデータは包装機側のCPU20から受信する。
【表5】
以上、本発明の一実施形態の動作を図面を参照して詳述してきたが、本発明はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0031】
例えば、上述の実施形態では包装機と組み合わせた例について説明したが、包装機では従来より、商品のサイズ(L,W,H)を検出して包装制御データを商品のサイズに応じて自動的に認定するようにしているので、その検出データをそのまま利用でき、都合が良いためである。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではなく、計量値付け装置の搬送コンベアに商品サイズ検出センサを設けたものでも同様の効果を得ることができる。
【0032】
また、上述の実施形態では風袋重量(トレイ重量)を長さ(L)および幅(W)データのみで限定しており、高さ(H)データを用いていない。これは高さデータの場合、実施形態のセンサでは商品の高さがトレイの高さより高い場合、トレイの正確な高さを測定できないためと、通常、長さ(L)と幅(W)の値が同じで、高さ(H)のみが異なるトレイを使用しているユーザが殆どいないことを考慮したためであり、何らかの手段によりトレイの高さを検出し、高さ(H)データを加味してトレイ重量を認定する方式であっても同様の効果を得ることが可能である。
【0033】
また、上述したテーブルにトレイ重量を記憶させる処理については説明しなかったが、このトレイ重量の記憶は、例えば計量値付け装置を設定モードにして空のトレイを流し、その重量を検出した長さ(L)、幅(W)および計量した重量をトレイ番号(入力する)とともに記憶することによって行うことが可能である。
【0034】
また、実施形態では、トレイのタイプとして「標準」、「軟弱」の2種について説明したが、本発明はこの2種のみに限定されるものではない。
【0035】
また、実施形態では長さ(L)、幅(W)を検出してトレイ重量を検出しているが、長さ(L)、幅(W)の検出方法は説明した実施形態に限定されるものではなく、最近は丸形や台形等の変形トレイが使用される場合があるので、TVカメラから得られたビデオ画像をパターン認識する方法によることも可能である。また、長さ(L)、幅(W)に基づいて決定されたトレイ重量をトレイ形状のパターン認識データにより補正するようにしてもよい。
【0036】
また、実施形態では商品ファイルには風袋データを記憶していないが、従来の商品ファイルには風袋データの記憶エリアがあるので、その商品ファイルを利用する場合、
▲1▼商品ファイルに風袋データが記憶されていない(0グラムの場合)のみ、トレイサイズから決定した風袋データを用いることが可能であり、
▲2▼商品ファイルの風袋データエリアに、長さ(L)、幅(W)から決定した最新の風袋データを常時記憶しておき、商品ファイルの風袋データあるいは長さ(L)、幅(W)から決定した風袋データのいずれを使用するか選択可能とすることも可能である。
【0037】
また、実施形態では測定した長さ(L)、幅(W)を計量して値付けする例であったが、サイズ検出部と計量部との間に商品が複数個(図の場合は4個)ある場合は、長さ(L)、幅(W)のデータを設定後FIFO(ファーストインファーストアウト)で記憶しておくことは当然なされるべきことである。
【0038】
【発明の効果】
これまでに説明したように、この発明によれば、
1.風袋重量は使用するトレイの大きさを検出して自動的に判断されるので、予め品番に対応して記憶しておく必要がなく、また、誤った風袋重量による誤値段の問題も生じない、
2.同一商品で風袋重量のみが異なる場合には、従来のように品番を異ならせる必要がない、
3.使用するトレイを変更する場合でもオペレータは風袋重量の入力操作をする必要がない、
4.従来から設けられている被包装物のサイズ検出センサを兼用するので、検出手段を別個に設ける必要がない、
5.使用するトレイの種別が異なるユーザやトレイの種別の変更に対して簡単に対応できる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態による包装機と組み合わされた計量値付け装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の一実施形態による包装機と組み合わされた計量値付け装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】 この発明の一実施形態の包装機部Bの動作を説明するフローチャートである。
【図4】 この発明の一実施形態の計量値付け部Aの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 包装装置(包装機)
2 搬入コンベア
3 商品
4 搬出コンベア
5 計量コンベア
6 ラベル印字貼付部
7 ラベル
8 貼付コンベア
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 計量部
14 表示操作部
15 INF
16 コンベア制御部
17 ラベル印字部
18 ラベル貼付部
19 商品検出部(s4)
20 CPU
21 INF
22 ROM
23 RAM
24 表示操作部
25 包装機制御部
26 長さ検出部(s1)
27 幅検出部(s2)
28 高さ検出部(s3)
A 計量値付け部
B 包装機部
C 商品サイズ検出部
s1(s1a,s1b) センサ
s2(s2a,s2b) センサ
s3(s3a,s3b) センサ
s4(s4a,s4b) センサ
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

 
訂正の要旨 訂正の要旨
審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2003-02-27 
出願番号 特願平9-252537
審決分類 P 1 41・ 856- Y (G01G)
P 1 41・ 16- Y (G01G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森 雅之  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 瀧 廣往
服部 和男
山川 雅也
西川 一
登録日 2000-11-24 
登録番号 特許第3133285号(P3133285)
発明の名称 計量値付け装置  
代理人 渡邊 隆  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  
代理人 志賀 正武  

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